○塚田一郎君
自由民主党の塚田一郎です。
私は、
自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました
復興財源確保特別措置法案等について
質問いたします。なお、答弁が不十分な場合は再
質問をさせていただきます。
野田総理、最近の世論調査では、
内閣支持率が三五%にまで落ち込み、支持と不支持が逆転したものもあります。TPPに関する不誠実な
説明、国内の合意を無視して国際社会で勝手に公約をする態度、山岡大臣の
政治と金の問題や、一川大臣の宮中行事を無視した行動などを
国民はしっかりと見ています。既に
国民は野田政権を見放し始めているのです。
総理、最近の
内閣支持率の低下をどのように受け止めているのですか。また、問題のある閣僚について、任命権者としての
責任をどのように取るつもりか、伺います。
TPPについて一点お伺いします。
総理は、関係国との協議の結果、国益を損なう場合は交渉に参加しないこともあり得ると表明しています。鹿野農林水産大臣は、米を例外品目にすることは大変困難なことであると答弁をしています。
総理、米が例外品目にならなければ国益は損なわれます。その場合、交渉には参加しませんね。当然だと
思いますが、念のため、確認させてください。
本題に入ります。
復興政策について伺います。
震災から八か月を迎えようとする今日に至っても、被災者の
生活再建、
被災地の
復興への展望が開けない状態が続いています。なぜいつも、
民主党政権の出してくる
補正予算、
復興関連
法案は、余りにも遅く、ずさんなものばかりなのでしょうか。我が党や公明党の提案を基本として
復興基本法が六月二十日に成立し、
政府の
復興構想
会議が六月二十五日に提言を出しているにもかかわらず、
補正予算や
法案の形にするのに五か月も掛かっています。提言を出した五百旗頭
議長本人が、率直に言って遅過ぎると苦言を呈しているのは当然です。
総理、三次
補正やこの
財源確保法案はなぜここまで遅くなったのか、御
説明を願います。また、その結果として
復興が遅れていることを
被災地の
皆さんに謝罪してください。
今回の
補正予算は、自民党が七月に提案をした十七兆円に全く満たない金額であり、不十分です。
政府は、震災
復興に五年で十九兆円、十年で二十三兆円が必要と
試算しました。しかし、岩手、宮城、
福島の被災三県は、合計で三十兆円以上が必要と
試算しています。
自民党は、
政府案を検証し、七・一兆円の
予算上積みを提言しています。例えば、
復旧・
復興事業に約一・六兆円の積み増し、被災者の
生活再建、
被災地の再生
事業に約一・五兆円などの
内容です。
これらに加え、
原発事故に伴う除染
費用や廃炉
費用、廃棄物の貯蔵など、いまだ
総額が分からない
費用もあり、
政府案で足りないことは明白です。
総理は先日、二重ローン
対策などを盛り込んだ第四次
補正予算の編成を示唆する
発言をされましたが、一方で、
官房長官や
財務大臣は四次
補正は
考えていないと否定しています。しかし、財確法六十九条三項では新たに
補正予算を作成する場合を想定しており、第四次
補正予算の編成は既定路線と思われます。
総理、第四次
補正予算を
考えているのかいないのか、明確にお答えください。また、
官房長官は二重ローン
対策は予備費で
対応するとおっしゃっているようですが、総理もそういう方針なのか、お答えください。
また、新たな
予算編成により不足する
財源はどのように
確保するのでしょうか。増税幅を更に増やすのか、
復興債を増発するのか、総理にお尋ねします。
自民、公明、民主の三党は、
復興特別会計を
平成二十四
年度に設置することで合意しました。
特別会計の
対象は、
平成二十四
年度以降の
復興費用と三次
補正で発行する
復興債となっています。しかし、一次、二次
補正で執行される
復興費用やその
財源、三次
補正の
復興関係
費用はその
対象に含まれると明記されていません。
これらを
復興特別会計に含まなければ、
復興事業に係る歳入歳出の全体像が把握できず、中途半端なものになってしまうと
考えます。第一次
補正予算から全ての
復興費用及び
財源を
特別会計に含めるべきと
考えますが、
財務大臣の見解をお聞かせください。
政府は、
復興財源のうち七兆円は歳出削減、
税外収入で賄うとしています。内訳は、子ども手当の見直しや東京メトロ株の売却などで三兆円、JT株の売却や公務員人件費の見直しなどで二兆円、そして、今後十年間で様々な努力で捻出する二兆円というものです。
そこで、まず、子ども手当の見直しについて伺います。
政府・
民主党は、子ども手当などマニフェストが実現できない理由に
復興財源の捻出を挙げていますが、これは明らかな詭弁です。マニフェストの
実行は、
大震災以前、今
年度当初
予算の編成時点で既に困難となっていたのです。その時点で、無駄の削減や
予算の組替えで捻出できるとした
民主党の
財源論が破綻していたことは明白です。子ども手当削減で得られた
財源は、本来、増発した赤字国債の発行の減額に充てるべきと
考えますが、総理の御所見を伺います。
次に、公務員人件費の削減について伺います。
政府は人事院勧告を実施しないとしていますが、人勧の
趣旨が
特例法案の七・八%に含まれるという
政府の
説明は納得できません。まず人勧に基づき〇・二三%を下げ、続けて七・八%との差額を給与
特例法で削減するのが筋ではありませんか。なぜそうできないのか、納得できる理由をお示しください。
また、このままでは年内の給与引下げが行われず百二十億円の削減が不可能になります。それでも人勧を実施しないのか、お答えください。
さらに、今回の七・八%の引下げは、新たな労使関係制度を先取りする形で
政府と連合系の労働組合が合意したものだといいます。川端大臣もはっきりそう答弁しています。しかし、
政府と組合の直接交渉で給与を決めるのは、公務員に労働協約締結権がないという現状において違法ではないですか。総理、お答えください。
また、この合意では、今回の給与引下げは
地方公務員には波及させないことも決められたといいます。しかし、全ての公務員が震災からの
復興に力を合わせるという意味で、当然、
地方公務員も給与を引き下げるべきと
考えますが、総理の見解を伺います。
次に、今後十年間で捻出するという二兆円について伺います。
JT株の
政府保有分やエネルギー特会の保有
株式の売却には大きな問題があります。本当に実現できるのか、甚だ疑問です。昨年の一本当たり三・五円の大幅なたばこ増税により、葉たばこ農家は危機に瀕しており、
全国で、耕作人員で約四割、耕作面積で約三割が来
年度から廃作する意向です。葉たばこ農家は
福島など
被災地にも多くあります。
被災地の葉たばこ農家は、震災と増税の二重の苦しみにあえいでいるのです。
このような
状況で、
政府は当初、
復興財源として更なるたばこ増税を打ち出しました。結果として
与野党協議でたばこ増税はなくなりましたが、そのようなことを言い出すこと自体、とんでもないことです。一体、
政府は葉たばこ農家の現状をどう認識しているのか、総理に伺います。
来
年度以降の
たばこ税については、今
年度の
税制改正大綱で、葉たばこ農家、小売店、製造業者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断するとしています。総理、よもや、このような現状でこれ以上のたばこ増税はないでしょうね。ここで確約をしてください。
さらに、今後JT株を全て売却し、完全な民営企業になった場合、現在の葉たばこ全量買取り制度が維持できなくなり、国内の葉たばこ農家は壊滅的な打撃を受けるとの懸念があることについて、総理の見解を伺います。
また、エネルギー特会の保有
株式売却により
政府の後ろ盾がなくなって、国際的な資源獲得競争に勝てるのでしょうか。総理、エネルギー安全保障の観点からエネルギー特会の保有
株式は売却すべきではないと
考えますが、見解をお聞かせください。
もし、検討の結果、売却を行わないことになり、予定していた二兆円の
財源が
確保できない場合、その分の
財源をどうするのか、
財務大臣に伺います。
次に、
消費税について伺います。
総理は、G20に続いてAPECでも、
消費税を二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%に引き上げると国際公約をしてきました。閣議決定もなく、そして
国会での決定もないまま国際公約をしてくるというのは、
国会軽視であり、
国民を無視する行為です。
総理、憲法六十五条には、「行政権は、
内閣に属する。」と書いてあります。
内閣法四条一項には、「
内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と書いてあります。閣議決定もしないことを国際公約してしまうのは、総理の越権行為ではないですか。お答えください。
民主党は、政権交代前には、四年間は
消費税を上げる必要はないと主張していました。二〇〇九年の
政策インデックスでも、
税率五%を維持すると明記しています。鳩山元総理は、
消費税をこの四年間の間に触ることはしない、そのように決めておりますと
国会で答弁しています。四年間の間に解散せずに
消費税増税のための法改正をすることと、この答弁は明らかに矛盾します。総理、いかがですか。お答えください。
そもそも、
消費税を含む
税制改正に関しては、
平成二十一
年度の改正
所得税法の附則百四条で、経済
状況を好転させることを前提として、
平成二十三
年度までに必要な法制上の
措置を講ずるとされています。
政府・与党が六月に決定した
社会保障と税の一体改革成案でも、同じように、経済
状況を好転させることを条件としています。日経平均が連日、年初来最安値を更新する
状況で、経済
状況は好転しているとお
考えですか。総理の認識とその根拠をお示しください。
もし
法案を
提出するのであれば、いつ
消費税増税のための
法案を
国会に
提出するのか、お答えください。
最近、
政府は
平成二十六年四月に
税率を八%に引き上げる方針だという報道がなされ、五十嵐財務副大臣もそれに沿った
発言をされています。これは
政府の公式見解ですか。
法案の中に書き込む増税の具体的な時期と
税率について、明確にお答えください。
また、
政府の
社会保障・税一体改革成案では、引上げ分の
消費税収については
社会保障給付における国と
地方の役割分担に応じた配分を実現するとしていますが、増税に伴う税収における国と
地方の配分をどのように
考えているのか、総理に御
説明願います。
民主党の藤井税調会長は軽減
税率導入に反対すると
発言していますが、今回の増税において軽減
税率の導入を行うのか否かについて、
財務大臣に御
説明願います。
最後に、総理の
政治理念と
消費税増税の関係について伺います。
総理は、国家ビジョンを問われると、中間層の厚みのある社会とおっしゃいます。総理の唯一の国家ビジョンだと
思いますが、私は、これと今回の
消費税増税との関係が理解できません。
総理は、中間層の厚みがある社会を具体的にどのような
政策で実現されようとしているのでしょうか。また、この目標と
消費税増税は矛盾するものではありませんか。お答えください。
総理、あなたは
消費税増税の
法案を通した後に
国民に信を問うと言っていますが、その理屈が通らないことは明白です。
消費税を引き上げないと言って与党・
民主党が得た議席を使って、
消費税増税の
法案を審議し、議決することは、
国民軽視であり、断じて許されません。
消費税の増税
法案を
提出する前に
衆議院を解散して民意を問うことを強く求めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇、
拍手〕