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2011-12-07 第179回国会 参議院 憲法審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年十二月七日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任         斎藤 嘉隆君     直嶋 正行君     はた ともこ君     白  眞勲君      平山  誠君     芝  博一君  十二月六日     辞任         補欠選任         大島九州男君     友近 聡朗君      片山さつき君     宇都 隆史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         小坂 憲次君     幹 事                 江田 五月君                 鈴木  寛君                 中村 哲治君                 松井 孝治君                 川口 順子君                 西田 昌司君                 魚住裕一郎君                 江口 克彦君     委 員                 足立 信也君                 川上 義博君                 今野  東君                 芝  博一君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 直嶋 正行君                 白  眞勲君                 姫井由美子君                 広野ただし君                 福山 哲郎君                 藤末 健三君                 藤原 正司君                 前川 清成君                 増子 輝彦君                 礒崎 陽輔君                 宇都 隆史君                 衛藤 晟一君                 大家 敏志君                 佐藤 正久君                 中曽根弘文君                 古川 俊治君                 丸山 和也君                 山谷えり子君                 谷合 正明君                 西田 実仁君                 松田 公太君                 井上 哲士君                 藤井 孝男君                 福島みずほ君                 亀井亜紀子君    事務局側        憲法審査会事務        局長       情野 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基  本法制に関する調査  (参議院憲法調査会及び日本国憲法に関する調  査特別委員会における議論経過等について)     ─────────────
  2. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  前回参議院憲法調査会及び日本国憲法に関する調査特別委員会における議論経過等について関谷勝嗣元参議院憲法調査会会長・元参議院日本国憲法に関する調査特別委員長からお話を伺い、次いで憲法審査会事務局から報告を聴取した後、各委員から御発言いただきました。  本日は、前回に引き続き、各委員から自由に御発言いただきたいと存じます。  委員の御発言は五分以内にお願いすることとし、一分前に予告の紙を提示させていただきます。御発言は時間内におまとめ願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は、挙手の上、会長指名を待って御発言願います。  足立信也君。
  3. 足立信也

    足立信也君 民主党足立信也でございます。早速の御指名ありがとうございます。  参議院憲法調査会のこの報告を踏まえ、当憲法審査会で検討すべき論点としては、この調査会においておおむね共通認識が得られなかったもの、例えば意見が分かれた主要なものと、あるいは憲法改正手続法附則における検討事項、いわゆる三つの宿題、並びに十八項目の附帯決議への対応、この三点であると思いますけれども、平成十七年、二〇〇五年の衆参両院調査会報告書以降、顕在化してきた問題点がこの共通認識とされた部分にもあると私は思います。  すなわち、議院内閣制三権分立関係、そして二院制参議院在り方についてであります。共通認識とされたものの、この報告書では、三権分立重要性必要性はこれからも変わらない、衆参両院を基盤とした議院内閣制であるべき、二院制の堅持、現行憲法衆議院優越規定はおおむね妥当である、両院不一致の場合の再議決要件の緩和には慎重であるべきとなっております。  議論のその結果は尊重いたしますけれども、しかし報告書より後に、参議院において政権与党が過半数に達しないといういわゆるねじれの状態になりました。この状況では、議会内閣関係両院不一致の場合の議決在り方両院議員がどのような国民を代表するのかを憲法上明らかにしておく必要があると私は思います。  一点ずつ述べます。  日本議院内閣制は、下院である衆議院の多数派によって選出された首相内閣を形成し、内閣国会に対して責任を負うことになっております。衆議院の場合、議会内閣不信任決議権を持っておりまして、首相内閣総辞職か衆議院解散権を持っております。しかし、参議院内閣関係憲法上不明確なままであると思います。  二点目は、国会意思衆参両院合意によって決まると。したがって、両院意思が異なる場合、国会議決ができないということになります。衆議院優越原則や、あるいは両院協議会における合意形成では解決できない場合はどうするか。国権の最高機関と位置付けるには不十分な部分であって、憲法上不記載であり、明記すべきだと私は考えます。  例えば、衆議院優越については、三分の二は二〇〇五年の総選挙の後のみ。そしてまた、予算には衆議院優越がありますけれども、関連法案には働かない。両院協議会衆参対等となっております。イギリスやフランスやドイツには下院の判断を優先するような仕組みがあるというふうに、私が調べた結果ではございます。  四十三条に「全国民を代表する選挙された議員」とありますが、両院国民の何を代表するのか明確にする必要があると思います。佐藤栄作元総理は、参議院を制する者が政局を制するとおっしゃいました。二〇〇七年以降、参議院政局の府とも言われております。  選挙制度が小選挙区を基本とする二大政党制を模索するならば、内閣議会に優位する仕組み、だから議会は討議の場となるべきだと思います。比例代表基本とする多党制ならば、内閣議会は対等で、議会合議形成の場と位置付けるべきだと思います。そして、選挙制度に全く意図を持たない場合は、なおさらのこと国民の何を代表するのかを憲法上明記すべきだと私は考えます。  以上です。
  4. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、前川清成君。
  5. 前川清成

    前川清成君 民主党前川清成です。  私も、二〇〇四年の初当選以来、一貫して憲法調査会あるいは憲法調査特別委員会に所属をし、憲法議論に加わってまいりました。憲法調査特別委員会においては、簗瀬筆頭理事の下、理事として附帯決議に関する協議も担当させていただき、自民党岡田直樹理事には真摯に誠実に対応していただきました。  私は、二〇〇七年の五月十四日、参議院会議において国民投票法が採決される際、反対討論も担当させていただきましたが、それでも、これまでの議論経緯や法文を尊重して、更に議論を積み重ねてまいりたいと思っています。  同時に、私たち憲法歴史尊重する必要があります。今日、発言の機会をいただきましたので、参議院憲法審査会での議論がスタートするに当たって、議論出発点としての憲法歴史、すなわち法の支配立憲主義についていま一度確認させていただきたいと思います。  一定の限定された地域、すなわち領土と、そこに暮らす人々、すなわち人に対する強制力を持った統治権、すなわち権力が確立したときに国家が成立をいたします。国家が成立したとき、その存在を基礎付けるルールを固有の意味憲法と呼びますが、さらに国民基本的人権を保障するために専断的な権力を制限するルールが確立したとき、そのルール立憲的意味憲法あるいは近代的意味憲法と呼ばれるようになります。  一七八九年、フランス人権宣言第十六条が、権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されていない全ての社会憲法を持つものではないと述べていますが、ここに言う憲法立憲的意味憲法であり、国民の自由や平等を保障するために国家権力を制限することこそ憲法が自由の基礎法と言われるゆえんであり、憲法レーゾンデートルであることを宣言しています。現行憲法においても、第十章「最高法規」の冒頭に、基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得努力の成果であることを確認する九十七条を置いているのは、やはり憲法が自由の基礎法であることの確認であり、自由の基礎法であるからこそ最高法規であることの思想的表現です。  続いては、まず第一に、憲法本質制限規範であることを議論の再スタートに対して是非委員各位にも御確認をお願いしたいと思います。憲法国民の心構えや国柄なるものを書き記す文章ではありません。第二に、国家権力を制限することが憲法レーゾンデートルである以上、憲法改正要件は当然のこととして法律制定改正よりも厳格な手続を要することになります。つまり、硬性憲法であることは理論的な帰結です。したがって、憲法改正要件を緩和することに関しても慎重であるべきです。  もっとも、憲法は決して不磨大典ではありませんし、憲法制限規範としての機能を十分に果たすための努力も必要です。具体的には、憲法九条と自衛隊関係、八十九条と私学助成関係などを法制局解釈改憲に丸投げするのではなく、九条に関していえば、例えば専守防衛やそのための必要最小限度の戦力しか保持しないことなどの限定を置いた上で、憲法あるいは基本法自衛隊を位置付けるなどの建設的な議論も期待をしています。  いずれにせよ、さきの大戦や冤罪事件などに鑑みるとき、現在においても国民の自由や平等に対する最大のリバイアサンは国家権力であることに変わりはなく、それゆえに、専断的な国家権力の行使を禁ずるための憲法役割をより強固なものとし、法の支配立憲主義社会の隅々まで至らせるための議論をここ参議院憲法審査会で尽くしてまいりたいと希望しております。  以上です。
  6. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、礒崎陽輔君
  7. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ありがとうございます。自由民主党礒崎陽輔でございます。  ここで憲法審査会が始まったわけでございます。私は憲法改正を考えるのがこの審査会役割だと思いますが、まだ憲法改正そのもの反対という皆さんも少しいらっしゃるようでございますけれども。  今までのお話にもありましたように、戦前の憲法欽定憲法として、そして不磨大典だと言われておったわけであります。こういう在り方がやはり基本的に民主主義上の非常に問題があり、戦後の憲法、この戦後の憲法制定過程に問題があったという意見も特に我が党を中心に言う人たちもいらっしゃいますが、いずれにいたしましても、私の立場は、人間の作ったものでありますから、これを百年も二百年も三百年もそのまま続けていくというわけにはいかないわけでありますから、当然、時代が変われば憲法も変遷する、これは至極当然のことでございまして、ここにそういう、もう戦後六十年余を経まして憲法改正をやっとできるという体制になったことは私は非常にいいことではないかと思っておるわけであります。  ただ、まだ二回目でありますから、余り慌てたことを言うとお叱りを受けるかもしれませんが、一体ここに何のために集まっているのかということはもう少し明らかにしていかなければならないと思います。  すなわち、これまでの長い経緯を考えれば、やはり今私が申し上げましたように、憲法改正を行うことを、その方向で検討しようということであろうと思います。したがって、どういう手続でそれをやっているのか、どういう枠組みでやっていくのか。もう既にお勉強会という段階はできるだけ早く脱するべきだと思うわけであります。なるべく早く、どういうふうな形で憲法改正案というのを作っていくのかということを考えなきゃなりません。  その中で、もちろんこれは我が党の中でも考えなきゃいけませんが、本当に、じゃ全部改正を求めていくのか、それとも現行憲法の一部改正、これもいろんな単位があるというふうに思います。多くの部分をやるのか、ごく一部でもいいのか、まずその改正規定から改正しようという人の意見もあります。こういうものが様々あるわけでありますが、意見集約を今後やっていくためには、どういう枠組み、どういう手続でこの審査会議論を進めていくかということを、ちょっと私は焦っているのかもしれませんけれど、少し議論をして明確にしていかないと、お勉強をずっと続けていっても、もうそういう段階ではないと思います。  もう前回憲法調査会の御報告をいただきました。相当詳細かつ公平なおまとめの仕方をしていただいておると思います。各党で大体意見の一致が見られた事項、それほどでもないけれど大多数が賛成した事項、全く賛成が得られない事項。結局、今の日本国憲法改正規定でいけば、多くの皆さん合意がなされないことはできないわけでありますから、そうしたときに、本当に、じゃ全部、憲法の全部改正をするのか、それともその大方の合意のあるところで大くくりの改正をしていくのか、あるいはもう少し本当に同意の得られる小さい改正をしていくのか、そういうところを入っていかなきゃなりませんし、それを一体誰がリードしてどこが決めていくのか。各政党が案を出すのか、それとも与野党協議の中、与野党というか各党協議ですね、各党協議の中で出していくのか、そういうことをできるだけ早い段階で決めていっていただきたいと思います。そうすることによって、国民に期待する方向であるんだと思います。  もういつまでも議論をしていく段階ではなくて、具体的にどのように憲法改正するのかと、そのためには、それの枠組みを決めてから個別の事項について、各党間の合意が得られるのか得られないのか、そういうことをやりまして、いずれにしても合意があったところをやろうというところには全く多くの人は異論がないと思いますので、その方向憲法改正を一刻も早く軌道に乗せることが必要だということを今日私は申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  8. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、今野東君。
  9. 今野東

    今野東君 御指名ありがとうございます。民主党今野東でございます。  私は、被災県宮城県の出身であります。まず、その立場での意見を申し上げたいと思います。  前回、十一月二十八日の第一回の憲法審査会で、三月十一日の被災憲法について多くの方々から発言がありました。そこで大変気になったのは、緊急非常事態法制についての発言であります。ある委員は、基本的人権をある程度制限せざるを得ない、そういう必要となってくることも想定しながら、国家緊急事態については憲法にきちんと規定を設けていくことが必要だと発言されました。  前回お配りいただいたハンドブックに、これまでの議論経過論点が整理されておりますけれども、共通認識が得られたもののトップに、憲法の三大原則国民主権基本的人権尊重平和主義は、戦後半世紀以上の年月を経て我が国に定着しており、これを今後も維持すべきであるとするのが共通認識になっているとあります。憲法の三大原則尊重ですね。共通認識が得られたというのは、自民、民主、公明、共産、社民の五党で一致した意見であります。私たちがこの憲法審査会議論を進める際には、これまでの論議、共通認識を踏まえる必要があると私は考えております。  それでは今回の大震災を素通りしてよいのかといえば、そうではありません。一足飛びに緊急事態規定に行くのではなくて、地震、津波、原発事故人々権利暮らし憲法との関係において検証すべきだというふうに思います。  東北の私たちの命と暮らしが根っこから揺さぶられた今回の事態に対して、憲法二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。」とあります。また、二十九条は財産権でありまして、「これを侵してはならない。」とあるわけですが、これらはどのように機能したのか、あるいはまたしなかったのか。また、憲法法律との現行枠組みで弱点があるとしたらどこなのか、メリットとして働いたのはどこかなどについて点検、検証を行うということは、復旧や復興あるいは補償などとレベルは異なりますが、私たちの未来に大変重要なことではないかと思います。まず、このことを行うべきではないかと思います。  なお、私の意見として、今回の災害で大変な救済支援活動に従事された自衛隊皆さんに心から感謝を申し上げるとともに、日本だけではなく世界で災害が頻発する中で、自衛隊の一部をこうした災害救助に当たる災害救助隊へと改組すべきだと考えております。そのことが今回の事態から酌み取るべき大きなテーマであり、国民のニーズにこたえることではないかと思いますし、憲法前文にうたった精神に合致するのではないかと思います。  前回、先輩の江田五月委員が、憲法改正は、その内容が地球憲法にしっかりと適合し、これを前進させるものである必要があります、諸外国に歓迎されるものであることが大切でありますというふうに指摘をされましたが、こうした地球規模の発想の中で憲法在り方を論議すべきではないかと思います。
  10. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、西田昌司君。
  11. 西田昌司

    西田昌司君 自民党西田でございます。  私、前回発言させていただきましたが、前回申し上げましたのは、要するに、制定過程に問題があって、そもそも憲法として有効性があるのかと、それから国の伝統、国柄というものを象徴するものとしての、憲法としての正統性があるのかという問題を申し上げましたけれども、今日もそれに加えて幾つか私の思う問題点を申し上げたいんです。  先生方お話の中でも、現行憲法を、その精神はよしとしながらも、いろいろ加憲とか改正含めて、何か改正するという方向では何となしの方向性があるようなんですけれども、私は、その部分部分問題点を言っていくと、そもそも問題の本質が見えなくなると。憲法というのは、あくまでそもそものこの正統性の話を言わないと、問題を個別の問題に相対化してしまった途端、議論をしても議論をしていることにならなくなってしまうということを重ねて申し上げたいと思います。  その上で、問題点は、例えば憲法前文があるわけですよね。前文というのは、まさにこの憲法ができた経緯、その精神がそこに集約されていますけれども、今読みましても、まさにこれは占領下で、日本自体が二度とアメリカ、占領国に対して、連合国に対してやいばを振るわないようにと、そこを狙って書かれているというのは明らかなわけでありますね。  さらに、その憲法から出てきた九条でありますけれども、九条があって、武力を放棄すると言いながら、現実には昭和二十五年に自衛隊が創設されている。そして、自衛隊については民主党方々も今現在認めておられるわけですよね。  そうなってきたときに、要するに、これはなぜそういうことになっているのかというと、昭和二十五年も、憲法ができた二十一年も、共に昭和二十七年のサンフランシスコ講和条約が発効するまでのいわゆる占領下でありますから、主権者である国民が自発的に決められなかったと。だから、事実上、憲法と表面上全く矛盾する、武力装置としてですよ、要するに自衛隊が存在することになっていると。それを今解釈で認める形になって、それが国民がみんな認める形になっていますが、これも実は、もう既にその時点で憲法自体有効性がはっきり言いましておかしなことになっているということの象徴だと思うんですよ。  そういうことも含めて考えてみると、私は、今この場で議論すべきは、そもそも今の憲法自体に法としての正統性があるのかという問題であります。  さらに、もう一つ問題点を申し上げますと、この憲法には九条で、戦争、交戦権が放棄されております。交戦権といいますのは、当然、宣戦布告をする権利と同時に、後で講和条約を結ぶ権利も含まれているわけなんですね。  そうしましたら、今のこの憲法ができましたのが昭和二十一年で、二十二年から公布されております、施行されておりますけれども、じゃ、昭和二十六年九月のサンフランシスコ講和条約はどの権限に基づいて講和条約が結ばれたのかといいましたら、今の憲法の中ではそもそも交戦権がないんですから講和権もないんですよ。そういうことを考えましても、根本的に私は、この憲法自体には法的にもそういう問題点があります。  そして、更に申し上げますと、その法律的な矛盾だけではなくて、そもそも、何度も申しますが、憲法というのは価値の体系なんですね。ある種、日本人の伝統精神やそういうところ、伝統精神から来たところの価値、それが一つ家族、その象徴としての皇室ということになってきますけれども、そういうものが、家族のカの字が一切うたわれていない、まさに価値なき体制になっているんです。そういうことも含めて、私は今のこの憲法体制憲法というのは事実上、この昭和二十五年の自衛隊ができたときからおかしなことになっているし、そしてさらには、今、憲法体制自体が実はもう今、事実上有名無実に、無効にしているんではないのだろうかと思います。  そういう意味で、私は、この憲法審査会でせっかくこの議論ができるんですから、そもそもの入口から含めたより深い議論をさせていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  12. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、姫井由美子君。
  13. 姫井由美子

    姫井由美子君 民主党姫井由美子です。御指名ありがとうございます。  日本国憲法議論をする憲法審査会の一員になって大変誇りに思うと同時に、大きな責任も感じております。  岡山で、私はベアテ・シロタ・ゴードン女史の講演も聴いたことがございまして、本日はそのとき買わせていただきましたスカーフもしてまいりました。  前回審査会で各委員発言をお伺いし、また先ほど、本日も西田委員発言をお伺いいたしまして、実はとても驚いたわけであります。つまり、日本国憲法制定過程に問題があり、そもそもこの憲法には正統性がなく、有効性に疑問があるという意見が出されただけじゃなく、それを含めてこの当審査会議論をすべきだというふうに言われました。  私は、戦後六十年以上が過ぎ、日本国憲法はしっかりと国民生活の中に根付いていると感じておりますし、また、この憲法を土台に私たちは理念を構築し、様々な法律制度が枝となり、大きな葉を茂らせて国民生活を支えてきたと考えておりますし、私たちの血や肉ともなっていると思います。  もちろん、憲法についてどんな意見を持とうと、憲法自身が十九条や二十一条でその自由を保障しているのですが、この審査会で各委員がそれぞれの考えや持論を展開するだけでは、前回関谷先生が述べられた御報告にあったように、これまでの憲法調査会などで積み重ねられてきた議論の蓄積を無にしてしまうおそれがあると私は考えます。  まず、先ほど礒崎委員も言われましたとおり、この問題を議論するのにスタートラインぐらいはそろえた方がいいのではないかと思っております。法律が合憲か違憲かを判断する議論はあっても、そもそも憲法自体有効性議論するのがこの審査会でしょうか。思想、信条の自由と同時に、九十九条で私たち国会議員憲法尊重擁護義務を負っているのもまた事実であります。様々な意見をお持ちなのは当然ですけれども、これまでに大きな役割を果たしてきたという日本国憲法、その認識を前提にして審査会での議論を行うべきだと私は思っております。つまり、議論すべきは、この憲法、これからどういうふうに維持発展させていくべきか、あるいは加えていくべきかという選定であって、選定する理由はそれぞれあるかと思いますけれども、根っこから引っこ抜くという議論ではない、かと私は思っております。  また、前回発言された委員全員にほぼ共通意見として、憲法について広く国民参加の議論が必要だというものもありました。私は、まず憲法をよく知ってもらいたいと、以前、岡山弁で憲法を翻訳しリーフレットを作ったことがありますが、まず国民にもしっかりと親しめる憲法にしていくような努力も必要かと思います。  そこで、憲法審査会の進め方、方法を決める、あるいは示していただきたいと思っております。どういうふうに国民参加の下、広くこの議論を進めていくかということです。限られた時間の中で、国民に分かりやすく様々な論点を審査していくわけですから、その方法についてをできるだけ皆さんでよく共有をして、広く国民皆さんとの参加をしていきたいと思っております。  最後に一つ、私の意見としまして、首相公選制の問題についてです。  先ほど足立議員の方から、前回共通認識だったところすらもう一度見直すところもあるんではないかという意見もございましたが、憲法論点一つとして首相公選制というものがありまして、調査会報告の中でも首相公選制の是非に関する議論もありました、意見が分かれたとあります。二〇〇一年の小泉政権下で首相公選制を考える懇談会が十二回にわたって開かれたことがありますけれども、それを最後に政府レベルでの議論は行われていないのが現状であります。  しかし、ここ数年、日本首相が一年前後で交代をする状況が続き、国民意思と離れたところで首相選出が行われていることに対する不満も強く聞いております。議院内閣制を維持しながらも国民意思を反映される仕組みの構築について、やはりいま一度国民的な議論もきちんとすべきではないかという意見を申し上げたいと思います。  以上です。
  14. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、西田実仁君。
  15. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  公明党は、憲法改正につきましては、現行憲法をそのまま残した上で新たな条項を加える加憲方式を主張しております。その上で、加える視点といたしましては、以下の五つの視点を示したいと思います。  第一に国民主権をより明確にする視点、第二に新たな人権条項を加えて人権を確立する視点、第三に平和主義の下で国際貢献を進める視点、第四に環境を重視する視点、第五に地方分権を確立する視点、この五つの視点から加憲方式による現行憲法を変えていくということを目指していただきたいと思います。  立憲主義そのものは、憲法がはっきりと認めている事柄について憲法がはっきり認めている方法で権力者が政治を行うということであろうかと思いますが、その意味から、本日は、個人的な意見として、特に第一の国民主権をより明確にする視点の中から第二十六条、教育を受ける権利について、また環境を重視する視点から新しい人権としての環境権について新たに加憲すべきであるとの意見を表明させていただきたいと思います。  まず、憲法調査会におきましてこれまで趨勢である意見として整理をされました新たな人権としての環境権について述べたいと思います。  憲法学説の主流は、憲法第十三条あるいは二十五条から解釈上、環境権を導き出すことも可能であり、必ずしも憲法規定がなければ環境政策が進まないというわけではないと言われております。しかしながら、現実問題としましては、行政が環境権を環境政策の基本として承認しない場合には環境権を基礎とする環境政策の前進は期待できず、その意味で、憲法の条文に新たな環境権に関する権利・責務規定が必要になると考えます。その際、環境権は、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利と定義されるんではないかと思われます。  具体的な条文のイメージといたしましては、ポルトガル憲法の第六十六条第一項が分かりやすく、参考となります。すなわち、全ての者は、健康で生態的にバランスの取れた人間環境に対する権利を有し、それを保護する義務を有する。全ての者は、法律に従い、環境の劣化をもたらす要因の防止又は中止を求める権利を有し、環境が直接に失われるときには、それに対応する権利を有する。  もちろん、この環境権につきましては、憲法上に位置付けた上で、同権利にどのような特色、内容を持たせるのか、また、それを保護するためにどのような法制度を具体的に整備するかという具体的な議論が必要なことは言うまでもありません。  次に、教育を受ける権利につきまして、加憲立場からは更に一歩進めて、生涯にわたる学習権の保障を明記すべきと考えます。  日本における生涯学習の体系化の施策は、既に一九八〇年代後半以降に整えられつつあり、一九九〇年には生涯学習の施策の推進体制の整備に関する法律として結実しております。  その背景には、一九八〇年代以降のユネスコなどでの学習権を保障すべきとの議論があることは間違いありません。すなわち、ユネスコにおける第四回国際成人教育会議では、一九八五年に学習権宣言を発しております。  この学習権については、この宣言の中で、未来のために取っておかれる文化的ぜいたく品などではなく、人間の生存にとって不可欠な基本的人権一つであり、学習こそは、人々を成り行き任せの客体から、自らの歴史をつくる主体に変えていくものと定義付けております。  さらに、昨今の急激なICT環境の発達も、新たな人権としての生涯にわたる学習権の保障を後押ししていると考えます。近年における衛星通信や大容量光ファイバー、インターネットなどの飛躍的発展が、生涯学習の手段としての遠隔教育の力を大いに拡大しているからであります。  以上でございます。
  16. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、藤末健三君。
  17. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。御指名ありがとうございます。  私も他の同僚議員と同じように、憲法調査会のときにずっと参加をさせていただきまして議論をさせていただきました。その中で、私は非常に注力をさせていただきましたのは、やはり前文と九条にあります平和主義でございます。  私がこの平和主義にこだわりますのは、一つは、私の父が戦前に台湾で生まれまして、ちょうど中二のときに終戦になり、父が台湾から引き揚げるときの話をずっと聞いておりまして、どれだけこのとき苦労したんだろうと。やはり、戦争の犠牲者をつくっちゃいけないなということをずっと思っております。そしてまた、私の母はちょうど小学校二年生のときに長崎に落ちた原爆の雲を見ておりまして、本当に晴れた空の中に紫色のキノコ雲が上がったということをずっと私に語ってくれました。  私が七年前にこの政治の道を目指させていただこうと思ったときにやはり一番思いましたのは、この平和な社会をどうやって子供たち、孫たちに残すか、この仕事をさせていただこうというのが私が政治家を志させていただいた大きな理由でございます。その中で、この憲法審査会に参画させていただきまして議論をさせていただく中で、やはり平和主義の堅持ということを是非、今までこの調査会でやった議論を踏まえながら、これからも審査会議論をさせていただければと思っております。  私たちが今議論した中におきましては、憲法前文そして九条におきます平和主義の理念、いろんな議論を思い出しますが、一つは、私のように、前の大戦で三百十万人の同胞の命を失った戦争、この惨禍を経験した日本がこの平和主義を掲げることの意味は何かと。一方で、もう憲法ができて五十年以上たっている、もう新しい国際社会になじまないんじゃないかという議論もございました。  しかしながら、この冊子にもまとまっていますように、これらの意見に対しまして、憲法に示されている理念はまだ有効ではないかと、そしてこの平和の理念に向けて現実を変えていくことが我々のこの憲法に求められるんではないかということが前回お配りになりました憲法調査会のまとめとしても書いてあります。  私も、憲法が現実に即さないという議論はございますが、やはり私は、憲法の中に理念を書き込み、その理念に向かい、我々日本国民が一丸となって進むということも非常に重要な観点ではないかと思っております。  ちなみに、前回の、前の憲法調査会でのまとめにおいては、戦後日本の平和国家としての国際的信頼と実績を高く評価し、これを今後とも重視するとともに、我が国の平和主義原則は不変でもあることを強調し、積極的に国際社会の平和に向けて努力するということと、また平和憲法の理念、精神性は堅持すべきであり、むしろ今こそ国民全体で再認識をし、より一層、国際社会に対して平和主義のメッセージを発信すべきであるというような意見もございまして、私自身もそのように、特に憲法の九条につきましては、不戦条約やほかの国連の憲章といった国際的な枠組み精神、それを踏まえた上で、国際法上も定着しました侵略戦争の放棄などの理念を書き込まれた憲法であるということを主張させていただき、そのことも憲法調査会報告書に載っております。  是非、皆様にお願いしたいのは、今、審査会議論が始まる中で、やはり我々がこの憲法調査会議論し、そして特に私はこの平和主義議論、非常にこだわって議論をさせていただきました。そして、できました報告書にもきちんと我々が唱えた意見が載りましたので、この平和主義議論を、いろんな意見はあると思います、しかしながら私自身はやはり理想を、平和という理想を掲げた憲法、この理想に向けて私たちが歩むということをもう一度再確認するような委員会の審議をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  18. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、佐藤正久君。
  19. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。  我が党は憲法改正案の新憲法草案を党議決定し、内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛軍を保持するというふうに中で明記しております。これは国防や国際協力のための自衛隊を軍に昇格するというものであります。  昭和二十年、我が国はポツダム宣言を受諾し、陸海軍は解体、徹底的な非武装化が進められ、日本は完全な丸腰国家となっていきました。しかし、朝鮮戦争が勃発し、駐留米陸軍の朝鮮投入による力の空白化を懸念したマッカーサー元帥が、吉田茂首相にあてて国内の警察力と海上警備力の強化を促す書簡を送りました。そのマッカーサー書簡を受けて、警察予備隊令、これが制定をされ、警察予備隊が誕生しました。米陸軍の野戦師団をひな形として四個管区隊が編成され、米軍からは小銃や機関銃等の装備を供与されましたが、警察予備隊が軍隊でないとするために、いろいろと名称で苦労したようです。師団を管区、歩兵を普通科、砲兵を特科と呼び変えたり、兵器は武器、戦車に至っては特車というような感じでした。  昭和二十七年に、陸上兵力である警察予備隊と海上保安庁隷下の海上警備隊を統合して保安庁がつくられました。その根拠となる保安庁法、これが国会で大きな議論になりました。特に野党からの反対は、陸海空軍その他の戦力は保持しないとの憲法九条を盾にいろんな観点で議論がなされたというふうに聞いています。当時の吉田茂首相は、戦力とは近代戦を実行する力であり、保安隊、警備隊にはその力がないと答弁をしたようです。その結果、自衛隊は長い間戦力なき軍隊と言われ、今もその呪縛にとらわれているというふうに思います。  その後、昭和二十九年七月に防衛庁が設置をされ、陸海空自衛隊、そして陸海の防衛力から独立した航空自衛隊ができ、現在の体制が逐次整備されていきましたが、自衛隊が今でも軍隊か否かという問題、これは議論が続いているというふうに思います。  今、国会の方においては南スーダンPKO派遣について議論が行われておりますが、ルワンダ軍の歩兵部隊がその自衛隊の警備をサポートしてくれるというような方向で今調整が進んでいるようです。しかし、万一自衛隊が襲撃された場合、ルワンダ軍は救援に駆け付けることはできますが、自衛隊がルワンダ軍を救援することはできないという事態も想定をされ、これは自衛隊による国際平和協力活動が始まって以来、現場の悩みの種となっているというふうに思います。  かつて私が派遣されたイラクにおきましても、その根拠法たるイラク特措法においては武器使用は認められております。しかし、その範囲は極めて限定的であり、自己、自己と共に現場に所在する他の隊員、管理下に入った者の防衛のための武器使用であり、その対象には当然、他国の軍隊や、日本人といえども管理下に入っていなければそれは守ることができないというような状況になっています。  また、集団的自衛権による縛りもあります。集団的自衛権は、自国が攻撃をされていなくても同盟関係にある他国への攻撃を自国に対する攻撃とみなして実力で阻止する権利とされておりますが、我が国は、憲法九条との関係から、権利は保有しているが行使は許されないとする内閣法制局の見解が今通っております。  また、この問題はほかにも様々な弊害を生んでいると思っています。その一つは、対テロ特措法に基づくインド洋へのイージス艦派遣をめぐる議論においても、イージス艦は高度な情報収集能力を持つため、自衛隊と米軍とが情報が一体化されることによって集団的自衛権に抵触するというふうに当時指摘されました。また、ミサイル防衛においても同じようなことが言われております。  本来、集団的自衛権は国連憲章にうたわれている国家固有の権利であり、昭和二十六年に締結された旧日米安全保障条約の前文においては、国連憲章は全ての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有していることを承認している、これらの権利の行使として日本国は云々というふうにここでは認められております。当時としては、自衛隊の前身である警察予備隊創隊からまだ間もない時期であり、日本が米国に協力して共に戦うという想定はあり得なかったということではありましょうが、米国が我が国の集団的自衛権の行使を認めた前提でこの条約が締結されたということは大きな意義を有していると思います。  同盟国が危機に陥った際、自国は助けてほしいが相手は助けられないとのこの片務性ゆえの逃げの姿勢をやめて、権利の行使を宣言すべき時期を迎えていると私は思います。国際情勢の変化、また軍事技術向上などにより、一国のみで自国を防衛できる国家はもはやないと思います。我が国自身が憲法改正を果たして、集団的自衛権の行使を可能とすることが我が国の平和と安全にとっていかに寄与するのか、また、行使されるとした場合、何ができるのか、どこまでできるのか、根本的かつ健全な議論がこの審査会を通じて行われることを切に願っております。  以上です。
  20. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、松田公太君。
  21. 松田公太

    ○松田公太君 御指名ありがとうございます。みんなの党の松田公太でございます。  憲法審査会の一員として、日本国憲法の大切な議論に参加できることを感謝申し上げたいと思います。  先日は、江口幹事からみんなの党の基本的なスタンスなどについてお話をさせていただきました。みんなの党はアジェンダの党です。アジェンダとは、指針や議題、つまり優先順位の高い政策目標を日本の再生という大きな目的に向かって達成するための使命を持って生まれた政党ということです。  そして、みんなの党が掲げるアジェンダの中には将来的に憲法改正を必要とするものが幾つかあります。時間の関係で全てをお話しするのは無理ですけれども、一部を本日は挙げさせていただきたいと思います。  まず、私たちは、将来的に衆参統合による一院制を実現するべきだと考えております。もちろん、一院制に全く懸念事項がないというわけではありません。しかし、日本の経済が成長を続け、国民が未来の明るさを感じられるような状況ならまだしも、現在は、衰退を少しでも食い止め、過去の成功体験に頼るのはやめ、新しい再生のロードマップを策定し、それを行動に移すという非常にスピードが大切な時代だと思っております。そして、今回のような大きな災害が発生し、早急な復旧復興、それが急務のときには、残念ながら、現在のようなねじれ国会によるデメリット、そして効率的な審議、効率的な国会の運営などを考えますと、一院制の方がメリットが大きいのではないかと言わざるを得ません。そして、その一院制の実現のためには憲法四十二条の規定改正が必要になります。  次に、道州制の実現です。  私たちは、権限、財源、人間の三ゲンを徹底的に地方に移管することで、国がやるべき仕事と地方政府である道州が担う仕事の責任分担を明確にし、各地域に主権をシフトするべきだと主張しております。無駄な費用を減らすためだけではありません。日本の再成長のためにも道州制の実現は欠かせないと思っております。やり方によっては、この地域主権型道州制は憲法改正を必要とせずに実現することも可能であるかと考えておりますが、より慎重に取り組むためには憲法九十二条の見直しも議論するべきだと思っております。  また、これは私の個人的な思いも強いものでありますが、みんなの党では現在、首相公選制を正式な公約の一つとしてアジェンダに盛り込む方向で調整中です。トップのリーダーシップが求められる時代にありながら、日本では毎年のように首相が交代されております。この不安定な政治状況が続くのは、やはり民意と離れたところで総理大臣が選ばれる仕組みになっているのが一つの要因ではないかと感じております。  是非とも新しい仕組みをつくり、例えば候補者である党首同士の政策議論も徹底的に国民に開示するような形を取って、日本人に自分たちのリーダーを選んでいただく、その投票を実現したいと思っております。これも、当面は憲法改正せずに実施できる形を思案中ですが、将来的に改革を達成するためには六十七条一項の改正が必要となります。  さて、今年の六月に、憲法九十六条改正を目指す議員連盟の設立総会があり、私もそれに出席をさせていただきました。その場で、先日お亡くなりになられた西岡参議院議長とも言葉を交わしたことを鮮明に覚えておりますが、議員の賛同者は二百名を超えたということでした。九十六条の改正は、憲法改正の発議に必要な要件を、両院の各三分の二以上の賛成から両院の過半数に緩和するというものでございます。  私は、何が何でも憲法改正ありきと言っているわけではありません。当たり前ですが、改正することが目的となってしまったらそれは本末転倒です。しかし、人間がつくるものに完璧なものなどはありません。そういう意味では、これほど世の中が大きく変わって、世界中の先進国の憲法が少しずつ改正されているにもかかわらず、日本だけが六十五年以上一度も手が加えられていないというのはおかしいのではないか、政治の怠慢ではないかと感じてしまいます。本当に変えるべきところはないのでしょうか。  これから、是非皆様と一緒にこの憲法審査会の場でしっかりと議論を深めていければと思っております。  以上です。ありがとうございました。
  22. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、宇都隆史君。
  23. 宇都隆史

    宇都隆史君 自由民主党宇都隆史です。発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。  まず冒頭に、私はこう思うんですが、平成の十九年、百六十七回国会において、衆参の両院にこの審査会を設けるということが決まったにもかかわらず、四年間全くこの審査会自体が開かれなかった。今日は一般の傍聴の皆さんも御覧になっておりますけれども、我々は立法府の人間としてこの怠慢、これを国民に対して大きく反省すべきだと思っております。  その上で、ようやく満を持してこの開かれた憲法審査会なんですけれども、これは議論のための審査会にしてはならないと思います。我々、それぞれ政党が違う人間がここに寄り集まっているわけですが、それぞれいろんな価値観、大事にしたいものも違います。その中で完全な合致を見ることもないことも多いこともこれ事実です。幾ら議論を重ねたとしても、実際に結論として出てきたことを憲法の中に書き込むことができない、あるいは変えることができないという状況であれば、私はこの審査会、何回開いても全く意味がないのではないかと思います。  その上で、国民の今約七割は、総論としてはこの憲法改正することに対して賛成をしております。ところが、実際は、国会の中でこの憲法改正、小さなもの、一つ一つのテーマにおいても議題にも上らないという状況が続いていて、実際には国民の声がこの憲法改正に全く届かないという現状です。  私は、この憲法国民の手に取り戻すという一点に関しても、結論から申し上げますと、改正要件である憲法九十六条、これに絞ってこの審査会を当初は進めるべきだということを提唱させていただきます。  先ほど西田委員の方からこの憲法正統性という話がありました。確かに今、国民の六十年たって血肉になっているというのもそれは事実でございます。ただ、もう一つ事実は、我が国が一九四五年の九月二日から一九五二年四月二十八日まで主権が存在せずに占領下にあった、その占領下にあった時期に作られた憲法であるというのもこれ事実です。占領下において相手の主権が存在しないときに国内法をいじるというのは、これは明確な戦時国際法、ハーグ条約違反です。その正統性のことも考えて、やはり国民が作った憲法ではないということを前提にして、国民にもう一度取り戻すと、そのことを私は申し上げたいと思います。  改正要件の引下げに関しては、これは非常に危険であると、我が国の最高法規を変更するに関しては慎重にあるべきだという御意見も先ほど出ました。しかしながら、私はその論理自体が矛盾をしていると思います。もし改正を必要とするのであれば、国会でしっかりその議論、そして判断をして下していくべきなわけですから、もしこれを、改正要件を引き下げることによって危険であるという論理は、我々国会議員一人一人の資質を自ら否定していることにつながるのではないでしょうか。  また、国会の承認を得た上で憲法改正を具体的にプロセスとして進めようと思えば、必ず国民投票において過半数を得なければなりません。またこれは、国会改正要件を引き下げることが憲法の軽々な改定につながるということを言う論理ということは、国民の判断自体もこれ疑っているということにつながりかねません。  私は、九十六条を改正して、せめて国会の中で過半数の議員、衆参の議員が判断を下せれば、あとは国民投票によって国民に判断をしてもらうというプロセスを取って国民にこの憲法を取り戻すべきだということを主張させていただきます。  以上です。
  24. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、谷合正明君。
  25. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  私は、国民投票制度選挙権について意見を申し上げたいと思います。  平成十九年、国民投票法制定されました。三条で憲法改正についての国民投票の投票権は十八歳以上の国民に認められることになりました。国民投票法では、当時の与党、自民、公明の修正によりまして選挙権を十八歳以上として、附則三条一項に、満十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加することができることとなるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするとされ、二項で、前項の法制上の措置が講ぜられ、年齢満十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加すること等ができるまでの間については、国民投票の投票権を有する年齢を二十歳以上とする旨の経過規定が置かれました。  しかし、どのような状況になれば十八歳以上とする本則の規定が適用されるかについては必ずしも明確ではなくて、提案者の答弁においても、公職選挙法及び民法の改正を要するとするもの、強いて言えば公職選挙法の改正を最低条件とするものがあり、最終的には国会の判断による旨の答弁があります。  また、平成二十一年十月、法制議会は、民法上の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当とする答申をいたしました。しかし、すぐの引下げには慎重で、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決を前提条件に挙げ、十八歳に引き下げる法整備を行う具体的時期については国会の判断に委ねることといたしました。  公明党が以前から主張しているように、国民投票法憲法を争点とするので、より幅広く民意を吸い上げること、つまり十八歳投票権は本則どおり推進すべきと考えます。そして、法制議会による民法の成年年齢を引き下げるとの答申も、時代の趨勢として理解できるところであります。  しかし、民法の成年年齢引下げには付随する事項が多く、例えば取引、結婚、飲酒、喫煙、各種資格、年金保険料など、各方面に影響を及ぼすため、議論も百出しているところであります。  私見でありますが、国民投票を十八歳以上とするためには、公職選挙法の改正のみを最低条件として考えるべきだと思います。でなければ事態は進まないと。公職選挙法の規定を民法とリンクさせてしまうと動かなくなることは明白であり、各方面への影響を一つ一つ検証、排除していく時間的余裕はありません。  また、被成年後見人は、事理弁識の能力を欠くという要件に当てはまり、選挙権を自動的に剥奪されてしまう民法の規定があります。これは従来の、かつての禁治産制度からの流れであります。ただ、実態は、その欠くというのを厳格にとらえないで、実際にはそうでない方も成年後見が付かれた方が財産の管理、安全という意味ではいいということで、かなり運用においては広くとらえている実態があります。実際に投票権を持っていただいてもいいのではという方が事実上入っているという実態もあります。ここも併せて変えていく必要があります。  最後になりますが、百年河清を待つわけにはいかない、憲法議論していく加憲立場からも国民投票制度を早急に整備すべきであり、そのために公職選挙法の改正議論を先行して進めるべきであると考えます。  以上です。
  26. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、白眞勲君。
  27. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。御指名ありがとうございます。  まず冒頭、私の方からも申し上げたいのは、この憲法審査会というのは、あくまでも、憲法改正するための審査会ではなくて、憲法基本的によく調査をして、その上でどういうふうにしていくかを決めるための審査会であるということをもう一度私は確認をさせていただきたいと思います。  多くの委員憲法のいろんな問題点を指摘した、でも最終的には、いや、これでもよかった、この憲法でいいじゃないかという議論があったっていいわけでして、そこは、問題があるからもう改正するんだということでここの審査会委員の多くがコンセンサスが一致して、じゃ改正に向かいましょうということになるかどうかという部分については、まだまだこれから議論をしていくべきではないんだろうか。そうじゃないと、この審査会の意義という部分において私は疑問を呈するしかないというふうに思っております。  また、多くの委員の皆様から、これまでの日本国憲法のこの成立過程における疑義というものについても御指摘がありました。であるならば、サンフランシスコ条約の締結の後の一九五二年以降に、当然のごとくその疑義というものが大きな国民の声となっていなければならなかったのではないんでしょうかという部分が私はあると思うんです。少なくとも、この十二月の八日、ここで真珠湾攻撃から七十年というこの時期に、少なくとも、この一九五二年からすると、もう大分たちますよね、ぱっと計算できないけれども。この間のじゃ議論は一体何だったんだろうかということを考えるべきなのではないんだろうか。  つまり、あの太平洋戦争、今でも多くの、当時の人たちもそうですけれども、あのときに、少なくとも、アメリカから押し付けられたかどうか知りませんけれども、その中で、多くの国民が熱狂的にこの憲法を歓迎したという事実も私はあるんではないかと思うんですね。もう戦争は嫌だという、そういう気持ちの中で、少なくとも多くの国民がそれを歓迎していた。であるからして、私は、その辺りの経緯というもの、もし憲法の成立過程についての経緯をきちっと調べるべきであるならば、そのときの国民の感情ということもよく考えて、考慮に入れて今後の議論にしていくべきではないんだろうかというふうに私は思います。  先ほど吉田総理の話が出てきました。でも、吉田総理でさえ憲法改正について言及したことは私はないんではないかと思います。なぜならば、当時国民の多くの皆様が憲法改正については否定的であったということが事実としてあるわけです。もう一度申し上げます。当時の日本国憲法が、国民主権基本的人権尊重、そして戦争の放棄という、この三つの理念を掲げて出したこの憲法国民の大部分が歓迎していたという事実は私は無視してはいけない、そういうふうに私は思っております。  そういう中で私たちは、先人たちのそういう努力というもの、そういったものも含めてこの憲法を考えていかなければいけない。そしてまた、この三つの理念があったからこそ、私はこの日本国が世界で有数の、もちろんそれは国民努力があったことは間違いありません、国民努力があったことは間違いありませんけれども、その中でこの国が世界有数の先進国に発展したということもまた事実であるということは否定できないことだというふうに思います。  そういう中で我々は、前向きな形でこの国の憲法ということをどういうふうにこれから考えていくかということを議論していかなきゃいけないというふうに思っております。  以上でございます。
  28. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、山谷えり子君。
  29. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  憲法調査会、長い長い議論がございました。そして、やっとこの憲法審査会、発議ができるという審査会が立ち上がったわけでございますから、憲法改正を求める国民の多くの声にこたえて、時代に合った、そして日本の国柄に合った憲法、自主憲法制定をしていかなければならないというふうに思っております。  主権回復した後、新聞の社説では、次は自主憲法制定だというような論説を掲げる社説もございました。占領時代、GHQの深い関与によって作らせられた憲法、しかしGHQは、深い関与によって作らせたという事実を検閲でもって、あるいは多くの大学の法学者を入れ替えることなどによって、国民の目に明らかに長い期間ならなかったということもまた事実だろうというふうに思います。  前文に関して前回も私は申しましたが、どの国も成文憲法とともに建国当初からの伝統、慣習、考え方、感じ方、文化的な基盤、歴史に基づいた国の基本原理というものがございます。欧米主要諸国の成文憲法前文にはこうしたことが盛り込まれております。しかしながら、日本の現憲法前文は、例えば、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というような、主権国家としてあり得ない物の考え方、あるいは極めて翻訳調であること。憲法前文から日本語の表現としていかがなものかというようなことを取り上げれば切りがないくらい翻訳調で、国語としてなっていないというふうに思っております。  この前文の原作者はGHQ民政局のハッシー海軍中佐だったというふうにも言われておりますけれども、このように押し付けられた、国柄から発していない根なし草的な憲法前文を頂くことによって、私たち日本国民は迷子のような状態になっている部分も多くあるというふうに思っております。美しい品格のある日本語、琴線に触れる、誇りを持てるような、そのような憲法の文化的な基盤に基づいた憲法前文というものを、改め直す必要があるというふうに思っております。  先日、ブータンの国王がいらっしゃいました。ブータンは、憲法草案を作る際に日本の十七条の憲法などを参考にしたと聞いております。和をもって貴しとなす、君民一体で祈りながら平和、共存共栄の国柄を紡いできたこの日本の君民一体の祈りの国というような意味では世界最古の歴史、最も古い歴史を持つこの日本の国、そうした国柄を非常に参考にしながらブータンの憲法草案を作ったというふうに聞いております。  日本というのは、対立の国ではなくて、支配、被支配というような権利の闘争というようなことで紡いできた国ではなくて、和をもって貴しとなす祈りの国であった、平和の国、共存共栄の国であった、そこを私たち確認できるような憲法前文にしていかなければアイデンティティーというものが保てないのではないかというふうに思っております。  第三章の「国民権利及び義務」というところを読みますと、例えば権利に関する単語、権利規定十六か所、義務規定三か所でございます。義務でいえば、教育を受けさせる義務、それから納税の義務、勤労の義務ということでございますけれども、こうした国柄に立って言えば、その権利と義務の書きぶりをもう少し国柄に基づいた、そして現実に基づいた形で整理し直していくことが必要ではないかというふうに思っております。  平和を求める国柄というのはもう建国以来の国柄でございまして、平和主義条項を掲げた国は日本国だけで、それを世界に輸出しましょうなどということをおっしゃられる方もいますけれども、平和主義条項を掲げた国は世界でも百数十か国あるわけでございまして、その一番最初に平和を求める、和をもって貴しとなすというふうなことを発信したのは日本であるというようなことも含めて、もう一度清らかな目で日本の国柄を見直して、憲法を自主的に制定していくことが大切だというふうに考えております。
  30. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、福島みずほ君。
  31. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  三点申し上げます。  大日本帝国憲法下におまえは生きたいか、それとも日本国憲法の下において生きたいかと問われれば、私は間違いなく日本国憲法下で生きたい、日本国憲法をどう生かしていくかということに懸けていきたいと思っております。  戦前は、女性は選挙権も被選挙権も持っておりませんでした。権利法律の留保の中でしか認められませんでしたので、最後は、国家総動員法、徴用令や治安維持法やたくさんの法律によって権利は紙切れのようなものとなり、あの不幸な戦争に突入をしていきました。  押し付け憲法論については、これは憲法調査会の下において何度も何度も、かなり長いこと時間を掛けて私たち議論をいたしました。GHQの方を二人お呼びして、ベアテ・シロタ・ゴードンさんともう一人の方をお呼びして、当時の立法過程を私たち参議院憲法調査会の下で学びました。押し付け憲法論だという意見は、その後、この憲法調査会の中からかなり消えたと思っております。  日本の中でも、先ほど意見がありましたが、歓迎をする、日本の中でそういう人権や権利平和主義を願う人々や学者の気持ちがあり、それで作られたものであり、押し付け憲法論ではない。むしろ日本国民は、戦争の惨禍によって苦しんできた日本国民は、この憲法を歓迎し、この憲法を作ったんです。前文にありますが、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きないようにすることを決意し、主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定するというのは、日本国民が取ったんだと思っております。だからこそ、調査会報告書で、現行憲法の果たしてきた役割平和主義の堅持について、これは共通認識であるとされているところです。  平和を紡いできた、そのとおりです。でも、平和を紡いできたのは間違いなく憲法九条が存在をしたからだと思います。憲法九条があるので、日本は直接に戦争にコミットをしませんでした。戦後、非核三原則を発展させてきました。武器輸出三原則を戦後つくってきました。これは、自民党も含めた戦後の日本の政治が本当に超党派で、まさに日本の戦後が、自民党も含めてつくってきた私は貴重な財産だというふうに考えております。  三点目、九十六条の憲法改正要件です。  法律と同じ要件で、まあ国民投票はありますが、憲法を変えていいというふうには思っておりません。要するに多数決で、過半数で変わるわけですから、政権交代のたびに憲法を変えられる、少なくとも発議ができる。憲法は重いものです。憲法最高法規です。憲法法律と同じ国会要件で過半数で変えられるとすれば、極めて不安定になります。憲法を変えれば全てのそれに反する法律は無効になるわけですから、極めて大きいものです。  憲法九条こそ平和を紡いできた。日本の国柄が平和を紡いできたということであれば、それに最も貢献してきたのは憲法九条だと思います。また、改正要件を緩和することは、極めて政争の具になるということで問題ありと。そのことについても徹底的に議論していきたいというふうに考えております。
  32. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、亀井亜紀子君。
  33. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 国民新党、亀井でございます。  議論を拝聴しておりまして、余りにも幅が広いものですから、一体どこから始めていいのやらというふうに思っておりました。そもそも占領下で作られた憲法なのであるからこれは無効であるという考え方から、絶対に変えてはならないというところまで広いわけですから、この審査会が何を目的として、どこを目指してやるのかという意思統一は必要なのではないかなと感じております。  日本国憲法占領下で作られたのでそもそも無効であるという、そういう学者さんの見解があることも私は学校で学びましたし、その理論というのも理解はできます。ただ一方で、その現実というものがありまして、やはり日本国民が率先的に作ったものでなくても、ある程度受け入れられ、そしてその憲法の下で教育された人間が今ほとんどであるということも現実でして、まず、日本国民がこの憲法をどうとらえているかということを国民投票なり、問いかけていくという作業は必要なのではないかと思います。  前回憲法調査会のハンドブックを拝見いたしましたけれども、そのときにGHQの方にヒアリングをしているのはとても興味深いです。その中でミルトン・J・エスマン元連合国最高司令官総司令部民政局陸軍中尉という方の御発言がありますけれども、この方は、GHQが草案を起草することに反対した、けれども、新憲法が外国の押し付けと見られ、占領後に存続できないと考えたからだが、憲法日本国民の政治的願望を表現していたため日本国民に受け入れられ擁護されたと。こういう面はあると思います。ですので、そっくり前文から自主憲法を作るのか、それとも現実に対応して改正をするのかという議論はまず最初に必要ではないかと思っております。  憲法に全く問題がなければこのような調査会は開かれないわけでして、前回のこの調査会のハンドブックができたころも、政権交代が起きてねじれ国会が起きるなどということは想定されていなかったと思います。ですので、今、国会でなかなか二院制の下で結論が出ない状況、また日本平和主義であっても海外が侵略をしてくる可能性があるということ、自衛隊が海外に出ていかなくても、では日本の国土をどのようにして守るのかということにおいて、やはり憲法との関連性から真剣に議論をしなければいけない、その地点にもう来ているのではないかと思います。  以上です。
  34. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、藤井孝男君。
  35. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 会長、ありがとうございます。前回発言をさせていただきました、たちあがれ日本の藤井孝男でございます。  前回、五項目について意見を述べようとしたんですが、限られた時間で時間が足りませんで、言葉不足のところがありましたものですから、今日はそれを補足させていただく意味でも御意見を述べたいと思います。  我が党の綱領第一項目めは自主憲法制定であります。このことを踏まえて幅広いいろいろ意見を言っていきたいんですが、五項目について申し上げたいと思います。  最初の一項目、二項目は前回申し上げました。一項目めは、国家の緊急事態についてであります。東日本大震災などに代表されるように、我が国は大規模自然災害が多発する国であり、こうした緊急事態が発生することが今後とも考えられます。しかし、この憲法において、国家緊急事態についての規定が存在していないという現実があります。これは、時によっては基本的人権の制限などが必要になってくる国家的緊急事態については、憲法にきちんと私はこの緊急事態について規定を設けるべきであるということが第一点であります。  二点目につきましては、これは自衛隊の位置付けについてであります。  自衛隊は、国際社会では国軍と、軍とみなされておりますけれども、我が国の憲法からいきますと、九条があるため、国内法上軍ではないということになっております。このことは、先般の尖閣諸島問題に関しての対応の仕方に非常にお粗末な点がありましたけれども、これは結果的にそうした、軍というふうにみなされていない、国内法上、こうした場合に、やはり自衛隊が国際法上軍隊であるということを憲法においてはっきり明記しておけば、こうした緊急事態に対しての対応がもっともっとしっかりとできたのではないかというふうに考えております。  三番目は、御皇室についてであります。  天皇は、対外的には国家元首とみなされていますけれども、国内的には曖昧な形になっております。しかし、諸外国では日本が立憲君主制であると思っていると私は理解しております。この際、我が国は立憲君主国制であって、国家元首は天皇であるという趣旨を明記すべきだと思っております。  現憲法規定におきましても、天皇の地位は、第一条で主権の存する日本国民の総意に基づくとあり、第二条では皇位は世襲のものとあります。世襲を認めている以上、天皇の地位は、現在の国民だけでなく過去の国民も含めて、歴史伝統によって支えられているというふうに解釈すべきであろう。よって、皇室の歴史伝統に基づいて天皇の地位が存在していることをはっきりと明記すべきだと思っております。  四番目は、政教分離についてであります。  これは靖国問題にも関係するかと思いますけれども、他の自由主義国では、政教分離とは国家と教会の分離であって、国家と宗教の分離ではない、私はそう理解いたしております。アメリカは政教分離の国で、教会への財政支援はしていませんけれども、大統領の就任式では大統領が聖書に手を乗せて宣誓するなど、宗教を国家儀式から排除しているわけではありません。また、アーリントン国立戦没者墓苑でも、戦没者の宗教を尊重した儀式が実施されております。  よって、我が国は、国や地方自治体が戦没者追悼行事など、神道や仏教に基づいて実施したりすることは許されるべきではないかということであります。  最後に、五番目でありますが、これは前回自民党西田昌司委員からも発言ありましたけれども、国家基本最小単位として家族が重要であることは言うまでもありません。今回の東日本大震災でも家族のきずなの重要性を再認識しておりますけれども、ところが、憲法には家族という言葉がありません。このため、学校教育でも家族重要性は教えられていないし、政府の政策もだんだん個人単位になっております。  そこで、この際、家族重要性をはっきりさせるために、憲法家族価値重要性について明記すべきだと思います。
  36. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、古川俊治君。
  37. 古川俊治

    ○古川俊治君 ありがとうございます。  この調査会、私は初めて加わらせていただきましたけれども、今までの経緯を見ますと、何回か参考人質疑あるいは公聴会等が行われ、しかしながら、最近は委員間の相互の意見交換が多いというふうに見ております。  今日ここでお話合いがありましたように、憲法に関する認識は大きな違いがまだございます。私は、この憲法は、法律家でもございますから、制定過程からいえばやはり、大日本帝国憲法下ではありましたけれども、形式的には憲法改正手続を取っていること、そして、その時点において憲法制定権力と考えられていた国民の総体的な合意を取っていること、そういう意味でこの憲法が正式に成立していて、憲法改正手続にそごはないという認識でおります。しかしながら、戦後六十年を経て、この憲法がこのままでいいのかということにおきましては、やはり現代に合った憲法に改憲することは、これは何もひるむことではないというふうに考えているわけであります。  現在におきまして、今、九条の問題が広く議論されているところでありますけれども、既に裁判所の判例におきまして、主に基本的人権に関しましては様々な新しい人権が認められているところであります。例えばプライバシーの権利、人格権、肖像権、その他、今問われている環境権なども問題になっておりますけれども、我々はこうした権利をどのように憲法典の中に書き込んでいくか、あるいはいまだに環境権が問題になっていないために、どのような国民権利がそこで認められないでいるのか、そういうことに関しましてこの憲法審査会勉強していく営みもあってもいいんではないかと思っております。  我々としましては、改憲も一つの目的かもしれませんが、そのほかにおきましても、この古い憲法では、いまだ国民権利を現代生活において守ることの不十分な点については、どうやったら元々の主義、趣旨を貫徹できるか、そういった法的手続を考えていく、そういう場にしてはいいんではないかと思っております。  今の憲法自体は、国民の目から見て何を書いているのかがやはりよく分からない。これはその他の法律にも言えることでありますけれども、そういった目から、この憲法典が国民の規範であるならば、やはり国民から分かる、そうした親近感があるものに変えていくのも国会の務めではないかというふうに考えております。  以上です。
  38. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、中村哲治君。
  39. 中村哲治

    ○中村哲治君 民主党の中村哲治です。  本日の発言の中で若干確認をしておかないといけない点がありますので、それをまずお話をさせていただきます。  西田昌司議員の方から、民主党は今は自衛隊を認めているという趣旨の発言がありました。民主党は結党以来、自衛隊を認めておりますので、そこについては誤解のないようにお願いをいたします。  それから、家族という文字が憲法典の中に書き込まれていないという御主張もありました。憲法第二十四条には、「家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と、このように規定をされております。ということですので、家族についての規定もあるということを指摘させていただきます。  それでは、私の方からは、民主党はこの憲法議論に関してどのような立場を取ってきたのか、それからこの憲法審査会についてはどのような立場で臨まないといけないのかということについて述べさせていただきたいと思います。  民主党は、二〇〇五年十月三十一日、憲法提言というものをお示しをさせていただいております。そこの三ページのところにはこのような記載があります。「政党国会議員は、みずからの意見表明にとどまることなく、国会としてのコンセンサスと国民多数の賛同をどう取りつけていくのかに向けて真摯に努力していくことが求められている。」と、このように書いています。  これは、背景には当然、衆参各議院において国会議員の三分の二以上の合意があり、かつ国民の多数の同意がなければ憲法改正ができないということに憲法上の規定がなっているからです。だから、ベースとしては、どういうコンセンサスを取っていくのかという議論をしていかなければならないということではないでしょうか。制定過程の問題を幾ら議論していてもいいんですけれども、御主張されるのは勝手ですが、その立場合意形成が本当に取れるのかどうかということを認識した上で議論をしていただきたいと思います。  そこで、私の方から今日テーマとして一つ取り上げさせていただきたいのは安全保障の議論でございます。  先ほど佐藤正久議員の方から、PKOについての制約の問題の提示がありました。これは私は非常に傾聴しないといけない議論であろうと考えております。民主党は二〇〇五年の憲法提言においてどのようなことを言っていたのかということをまず議論出発点として御紹介させていただきます。   国際平和の確立と日本平和主義の実現のために、いま、もっとも危険なことは歯止めのない解釈改憲による憲法の「空洞化」であり、国際社会との積極的な協調のための努力をあいまいにし続ける思想態度である。民主党は、その二つの弊害を繰り替えしてきたこれまでの内閣法制局を中心とする、辻褄合わせの憲法解釈にとらわれることなく、わが国のより確かな平和主義の道を確立し、国際社会にも広く貢献して、世界やアジア諸国から信頼される国づくりをめざす。  多角的かつ自由闊達な憲法論議を通じて、①「自衛権」に関する曖昧かつご都合主義的な憲法解釈を認めず、国際法の枠組みに対応したより厳格な「制約された自衛権」を明確にし、②国際貢献のための枠組みをより確かなものとし、時の政府の恣意的な解釈による憲法運用に歯止めをかけて、わが国における憲法の定着に取り組んでいく。併せて、今日の国際社会が求めている「人間の安全保障」についても、わが国の積極的な役割を明確にしていく。  このように書いて、あと、細かい、より詳しい内容も書かせていただいております。  京都大学法学部教授の酒井啓亘教授が「国連平和維持活動(PKO)の新たな展開と日本」という、そういう論文を書かれております。そこで御紹介ありますように、昭和五十五年の憲法解釈で、日本政府は、武力行使を目的、任務とする国連軍への自衛隊の参加は違憲という、そういう見解を出しております。だからこそ、参加はできないので協力をしていると、そういうふうな形になっているわけです。集団的自衛権と集団安全保障の概念も、従来の憲法解釈では混同されております。  こういったことをどのようにして今起こっている問題に対応していくのか、それを検討するのがこの憲法審査会であるはずです。憲法解釈で対応するのか、それとも憲法改正をするのか、そういった議論もこの場所でしていくべきではないかということで提案をさせていただきます。  以上です。
  40. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、川口順子君。
  41. 川口順子

    ○川口順子君 自由民主党の川口順子でございます。  自民党憲法改正についての考え方につきましては非常に大ざっぱに前回申し上げましたので、今回は、私の今日の議論を伺っての感想めいたものを申し上げたいと思います。  まず、多くの議員の方から改正をするとしたらばこういう論点ということが出たというふうに私は認識をしております。改正が必要ではないか、そのときにはこういう点について十分ではないので議論をすべきではないかという立場からの御意見であったかと思います。また、今日の議論でもう一つ特徴がありましたことは、今後どうやって進めていくのかということを議論をすべきであるということの御意見でございました。  私は、今回、この憲法審査会を進めるに当たって、非常に大事なことは、国民の皆様とともに考え進んでいくということだろうと思っております。そういう意見も今までの議論の中にもございました。  私、前回現行憲法の生成の過程について、国民議論の結果、その主体的な議論の結果の総意である憲法であるべきであるということを申しましたが、それは事実として、今の憲法国民の大勢の人に受け入れられているということは事実でありますけれども、生み出す過程、産みの苦しみというのを国民がやってこなかったということが、国民が今憲法に対して持っている自分たち憲法である親近感ということに若干の影響を与えていると私は思うわけでして、そういう意味で、これからの改正につながる議論をするに際しては、一歩一歩を国民の皆様とともに考えて歩んでいくという努力が立法府の立場として非常に重要なんだろうと思うわけです。  そういう意味で、今後の進め方について、私のこれは個人的な関心を非常に引きましたのは、今野議員がおっしゃった今回の震災と憲法関係でして、憲法との関係において今回の震災を検討すべき、あるいは憲法を今回の震災との関係で検討すべきという御議論であったかと思います。  今野議員がおっしゃった二十五条あるいは二十九条といった話もございますけれども、例えば私がある有識者から漏れ聞いた話ですと、例えば今回の原発事故が起こったときに、急遽セメントで固めなければいけない、コンクリートで固めなければいけないというようなことがあったときに、我が国政府は今必要な資材を急遽、徴用をするといいますか、提供をしてもらうための権限を持っていないということをその方は指摘していらしたわけですけれども、そういうことも含まれるであろうというふうに思います。  これがいわゆる緊急事態法、あるいは緊急事態に対して憲法が十分に機能するかどうかという議論でもありますが、そういうことも問題であろうと思いますし、またねじれとの関係で、現行憲法規定が政治あるいは政策の運用を可能にしているかという問題指摘もございましたし、国連憲章の下で日本政府が行うPKOあるいはイラクへの自衛隊の派遣のような状況で十分であるかどうか。ルワンダ軍は恐らく、なぜ貧しいルワンダの軍が日本を守らなければいけないんだろうかと非常に不思議に思っているだろうと私は思います。そういったような、少しその現実のニーズに対する日本政府、日本国の行動との観点で憲法が十分であるのか十分でないのかという議論を始めてみるというのも、国民の皆様の関心を持っていただけるという意味では一つの有用なアプローチではないだろうかというふうに私は思っております。  いずれにしても、今回出たいろいろなイシュー、たくさんの問題点が指摘されているわけでございまして、そのかなりの部分は前の調査会で行われた議論と重なる部分もあると思いますけれども、その報告書から六年を経た今、新たな時代の光で照らしてみるとまた違う議論もあるかなという気がいたしますので、今後大変多くの議論をかなり精力的にやらなければいけないと思いますし、私も審査会の一員として真面目にその議論を進めていくということを国民の皆様にお約束をさせていただきたいと思っております。  以上です。
  42. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 藤井孝男君から追加の発言がございます。
  43. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 先ほどの家族部分についての御意見がありました。ここで論争するつもりはありません。  確かに二十四条では家族という言葉はあります。しかし、私がここで申し上げたかったことは、今般の東日本震災でも家族のきずなの重要性というのは、みんな再認識したのは皆さん方も一緒だと思います。そういう意味において、やっぱりこの際家族重要性をはっきりさせるために、憲法家族価値重要性について私は明記すべきだと、このことを申し上げたいと思って発言をいたしました。  以上です。
  44. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようでありますから、本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会