運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
2011-11-28 第179回国会 参議院 憲法審査会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十三年十一月二十八日(月曜日) 午後一時一分開会 ─────────────
委員
の異動 十月二十四日
辞任
補欠選任
藤原
良信君
川上
義博
君 十月二十五日
辞任
補欠選任
上野 通子君
片山さつき
君 十一月二十五日
辞任
補欠選任
芝 博一君
平山
誠君 直嶋 正行君
斎藤
嘉隆
君 白
眞勲
君 はた
ともこ
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
小坂
憲次
君 幹 事
江田
五月君 鈴木 寛君 中村 哲治君
松井
孝治
君 川口 順子君 中川 雅治君
西田
昌司君
魚住裕一郎
君 江口 克彦君 委 員 足立 信也君
大島九州男
君
川上
義博
君 今野 東君
斎藤
嘉隆
君
那谷屋正義
君 はた
ともこ
君
姫井由美子
君
平山
誠君
広野ただし
君 福山 哲郎君 藤末 健三君
藤原
正司君 前川 清成君 増子 輝彦君 有村 治子君 礒崎
陽輔君
衛藤 晟一君
片山さつき
君
中曽根弘文
君 古川
俊治
君 丸山 和也君
山谷えり子
君 若林 健太君 白浜 一良君 谷合 正明君
西田
実仁君 松田
公太
君 井上 哲士君 藤井 孝男君
福島みずほ
君
亀井亜紀子
君
事務局側
憲法審査会事務
局長
情野
秀樹
君
参考人
元
参議院憲法調
査会会長
元
参議院日本国
憲法
に関する調
査特別委員長
関谷
勝嗣君
───────────── 本日の会議に付した案件 ○「
憲法審査会
の
運営
に関する
申合せ
」
報告
○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する基 本
法制
に関する
調査
(
参議院憲法調査会
及び
日本国憲法
に関する調
査特別委員会
における
議論
の
経過等
について) ─────────────
小坂憲次
1
○
会長
(
小坂憲次
君) ただいまから
憲法審査会
を開会いたします。
議事
に先立ち、
一言
申し上げます。 本
院議長西岡武夫
君は、去る五日、逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。 ここに、皆様とともに謹んで
黙祷
をささげ、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。 どうぞ御起立願います。
黙祷
。 〔
総員起立
、
黙祷
〕
小坂憲次
2
○
会長
(
小坂憲次
君)
黙祷
を終わります。御着席願います。 ─────────────
小坂憲次
3
○
会長
(
小坂憲次
君) 御
報告
いたします。 本
審査会幹事会
におきまして、お
手元
に配付のとおり、
憲法審査会
の
運営
に関する
申合せ
を行いましたので、私から申し上げます。
憲法審査会
の
運営
に関する
申合せ
憲法調査会
以来の先例を踏まえ、次のように申し合わせる。 ○
会長
が
会長代理
を指名し、第一
会派
又は第二
会派
のうち
会長
の所属しない
会派
の
幹事
の中から選定する。 以上でございます。 この際、この
申合せ
に基づき、
会長
は、
会長代理
に
民主党
・新緑風会の
幹事松井孝治
君を指名いたします。(拍手) ─────────────
小坂憲次
4
○
会長
(
小坂憲次
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する
調査
のため、本日の
審査会
に元
参議院憲法調査会会長
・元
参議院日本国憲法
に関する
調査特別委員長関谷勝嗣君
を
参考人
として
出席
を求め、その
意見
を
聴取
することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小坂憲次
5
○
会長
(
小坂憲次
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
小坂憲次
6
○
会長
(
小坂憲次
君)
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する
調査
を議題といたします。 本日は、
参議院憲法調査会
及び
日本国憲法
に関する
調査特別委員会
における
議論
の
経過等
について
関谷参考人
から
お話
を伺い、次いで
事務局
から
報告
を
聴取
した後、各
委員
からの自由な
発言
に入ります。 この際、
関谷参考人
に
一言
御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ本
審査会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございます。
審査会
を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 これまでの豊富な経験を踏まえた忌憚のない
お話
を賜りまして、今後の
調査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
議事
の進め方でございますが、
関谷参考人
から二十分
程度お話
をいただき、次いで
情野憲法審査会事務局長
から十五分
程度報告
を
聴取
した後、各
委員
からの
発言
に移りたいと存じます。 なお、御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
関谷参考人
からお願いいたします。
関谷参考人
。
関谷勝嗣
7
○
参考人
(
関谷勝嗣君
) 御
紹介
をいただきました
関谷勝嗣
でございます。 本日は、実質的に初回となる
憲法審査会
の場にお呼びいただきまして、
発言
の
機会
を与えていただきましたこと、誠にありがとうございます。 私は、
平成
十六年より
憲法調査会
の
会長
を務め、
調査会
での
憲法
の
調査審議
に携わり、
憲法調査会
五年間の
総括
として
平成
十七年四月に
調査会報告書
を
まとめ
、当時の
扇議長
に
提出
をいたしました。その後、
日本国憲法
に関する
調査特別委員会
の
委員長
を務め、
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
の
審査
にもかかわったところでございます。
平成
十七年四月の
憲法調査会報告書提出
から既に六年半が
経過
をいたしました。
憲法改正手続法
が成立してからも四年半がたっています。
参議院
を離れましても
憲法審査会
の行方を心配しておりましたが、こうして
国会
において
憲法改正
を直接に
議論
ができる場が、ようやくとはいえ動き出したことに深く感銘を覚えております。これまでの
議員各位
の御
努力
に対しまして、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。 本日は、
憲法調査会
や
特別委員会
の場での
議論
の
経過等
について話すようにとの仰せでございますので、当時を振り返って
思い
浮かぶことなどを申し上げたいと
思い
ます。 私が
議員
でおりましたころと比べまして、現在の
参議院議員
の
先生方
は相当な若返りが図られたようでございます。中には
江田先生
のように
憲法調査会
の
発足
時からかかわっていらっしゃる方もいらっしゃいますが、
憲法調査会
を経験されていない若い
議員
の方もいらっしゃるかと
思い
ますので、少し遡って
憲法調査会
の当時の経緯から簡単に
お話
をしたいと
思い
ます。 いわゆる五五体制の下では、
自由民主党
、
日本社会党
という二大
政党
が左右に分かれて鋭く対立する
政治情勢
の下にありました。それが
平成
の時代に入り、
憲法制定
後五十年余りを経るころになりますと、国内、国外の諸
情勢
の変化を反映して、
国会
内に総合的な
憲法調査機関
を置くことを求める声が高まり、
平成
九年五月には超党派の
憲法調査委員会設置推進議員連盟
が
発足
をいたしました。その後、
各党
間の
協議
を経て、もちろん
護憲派
の
方たち
は
反対
の姿勢を示されましたが、
平成
十二年一月、両院に
憲法調査会
が設置されるに至りました。これは五年
程度
を目途として
調査
のみを行う
機関
でございます。
参議院
でも
憲法調査会
が活動を開始し、最初に、総論として
文明論
・
歴史論的観点
からの
調査
を行い、続いて各論に入り、二年目には
国民主権
と国の
機構
、三年目には
基本的人権
、四年目には
平和主義
と
安全保障
の
テーマ別調査
を行いました。その後、私が
憲法調査会
の
会長
に就いた
平成
十六年の
時点
では、
憲法全般
にわたる
補充調査
を行い、
報告書案作成
に向けて締めくくりの
議論
に移る
段階
に至っておりました。 それらの
議論
を経まして、いよいよ
報告書案
を
まとめ
る
段階
に移るのですが、
報告書作成
に当たってのポイントとなる事柄を述べさせていただきます。
憲法
に関しましては、改めて申し上げるまでもなく、
政党
間の
意見
の隔たりは大きく、
調査会
では、
議論百出
の中、その結果を
報告書
の体裁に仕立てることは至難の業だと見ておりました。どのような形であればそれが可能なのか、手探りの
状態
で
作業
を進めてまいりました。それは
会長
の私だけではなく、当時の
幹事
や
委員
の皆さんの
共通
の
思い
だったのではないでしょうか。
報告書
の原案は
幹事会
で
作成
することになりましたが、そこで
工夫
を凝らした点について申し上げます。そのコンセプトは、
一言
で言い表しますと、
憲法調査会
における
議論
の成果を
国民
に分かりやすい形で示すということでございます。 具体的に言いますと、第一に、
報告書
の中で示す
意見
について
政党名
を記載した点であります。
憲法調査会
における各
委員
の
発言
は、
基本
的に
議員個人
の
立場
から述べられたものでした。
調査会発足
時において
政党レベル
での
憲法
に関する
検討
がまだほとんどなされていなかったのに対し、その後、各
政党
において急速に
検討
が進みました。また、
政党レベル
での
憲法
に対する
見解
、態度については、
国民
の側の大きな
関心事
でもありました。 そこで、各
政党
とも
検討
は途中
段階
であることを前提にしつつ、
報告書
の
取りまとめ
の
時点
において、
各党
の
意見
として集約されたものについては
報告書
の
当該意見
に
政党名
を付すこととしたところでございます。しかし、
政党名
を明記することについては消極的な御
意見
もございました。
報告書
としてそこまで求められていないのではないか、必ずしも
政党
としての
見解
が確立していないのではないかというものでしたが、各
政党
の
立場
を読み取れないような
報告書
では
調査会
の責務を果たすことにはならないとの
見地
から、
国民
に分かりやすい
まとめ
方をしたところでございます。 この点、
衆議院
の
憲法調査会報告書
では
委員
の
発言回数
によって
意見
の集約を図っておりまして、本院の
報告書
の方が分かりやすいと評価をいただいているのではないかと自負をいたしております。
工夫
の第二は、
調査会
での
議論
の全体像を簡潔に示すため、
憲法
の様々な
論点
についての
認識
の一致の度合いに
段階
を設け、
三つ
の
カテゴリー
に分けて整理した点でございます。 どのような点については
共通認識
が得られ、また
見解
が分かれたか、さらに、
見解
が分かれたもののうち、どちらの
意見
がおおむね
趨勢
であったかを最大公約数的な形で整理することができました。
政党名
を記載することとした点と併せまして、
各党
間でどこまで
認識
を
共通
にしているか、どこから
認識
を異にしているかを明確にできたことになります。さらに、
参議院
の
交渉会派
であった
自民党
、
民主党
、
公明党
の三党間でどこまで
意見
が一致しているかを示すこともできました。
作業
の
段階
では、
共産党
、
社民党
は、殊更に
論点
を設置し、
共通
の
認識
などと
意見
を
まとめ
て
方向付け
をすべきではないと主張されていたのですが、
国民
が読む上でそのような
まとめ
がなければ極めて散漫なものになってしまいます。
報告書
の総
まとめ
においては、ともかく両党の
意見
も含めて整理したものでありまして、
平成
十七年
時点
での各
政党
の考えや取組を知る上で重要な
資料
になったと思っております。 その結果、主な
論点
のうち
共通
又はおおむね
共通
の
認識
が得られたもの三十三
項目
、
趨勢
である
意見
六
項目
、主な
論点
のうち
意見
が分かれたもの二十
項目
でありました。この細かな
内容
につきましては後ほど
事務局
から
報告
をしていただきます。
報告書
の
議決
では
共産党
、
社民党
が
反対
されましたが、
報告書
の
策定段階
で両党の
意見
を聞かずに中身を固めるというようなことはありませんでした。
調査会
の
幹事会
においては両党はオブザーバーの
立場
でございましたが、
報告書
の
作成
に当たってもその
意見
をお伺いしながら
作業
を進めたところでございます。 次に、
報告書
の
内容
に移りたいと
思い
ますが、
調査会委員
の
関心
が高かった
事項
としては、まず第一に、
戦争放棄
を定めた第九条の
改正
の
是非
と国際的な
安全保障
の
在り方
を挙げることができます。次いで、
プライバシー権
や
環境権
など新しい
人権
の
憲法
上の明記の
是非
、さらには
二院制
の
在り方
と
統治機構
の
相互関係
が挙げられます。特に
二院制
と
参議院
の
在り方
についての
検討
では、弾力的かつ機動的な
運営
が必要であるとの判断から、小
委員会
を設置して
議論
を行いました。 そのほか、私の口から
報告書
の
内容
を網羅的に申し上げることはいたしませんが、お
手元
にはハンドブックも配付されておりますので、参照にしていただければと
思い
ます。 ここでは、
内容面
において私
自身
が気に留めている点について触れさせていただきたいと
思い
ます。
会長
としての
立場
上、私
自身
の
意見
が
調査会報告書
の
内容
に影響を及ぼしたということはありません。ただ、私は、所属いたします
自由民主党
において、
参議院
の
憲法調査会報告書
が出されたのと同じ年に発表しました
自民党
新
憲法草案
の起草に携わりました。そのようなことから、
調査会
の
報告書
では、内心もう少し踏み込めるのではないかという箇所もあり、少し時間をいただいてそれらの
項目
に触れさせていただきたいと
思い
ます。 まず、
憲法改正
の
要件
であります。
憲法調査会
の
報告書
では、
憲法改正要件
の変更については
意見
が分かれたと整理されていますが、
国民
に
改正
の
提案
を柔軟に行うことができるようにするため、
国会
での
議決要件
を衆参各院の総
議員
の過半数の賛成に緩和すべきであると考えております。 また、今年三月の
大震災
を経験して改めて感じたことですが、
非常事態
に対処する規定が
憲法
上存在しません。
報告書
でも、それを明記するか否かで
意見
が分かれたとして
両論併記
となっているのですが、この度の
事態
に鑑みると、
国民保護
の
見地
からも
国家緊急権
を制定化する必要があると考えております。 さらに、改めて申し上げるまでもなく、九条の問題は依然として
憲法
を考える上での最
重要事項
であります。
報告書
では九条二項の
改正
の要否について
意見
が分かれたとされていますが、
大震災
でいかに
自衛隊
が活躍したか、そして東北の
人たち
がいかに感謝しているか、御存じのとおりであります。
自衛隊
に対し
憲法
上も正しい位置付けを行い、
自衛隊
が今まで以上に誇りを持って働くことができる
環境
をつくるべきだと考えております。 以上申し上げましたことは私の所感の一
部分
にすぎませんが、このような
思い
を抱きながらも、
会長在任
中は
職責
を全うし、
公平中立
な
立場
で
報告書
の
取りまとめ
に当たりました。 続きまして、いわゆる
憲法改正手続法案
の
審議
について申し上げます。
憲法改正
には、
憲法
九十六条において
国民投票
を行うことが義務付けられておりますが、
憲法調査会
の
報告書
を
提出
した
時点
では、それを具体化する
法律
は制定されておりませんでした。
憲法制定
後、六十年もそれを棚上げにしていたことは、立法府の怠慢と言われても仕方がないと
思い
ます。 法規上、
憲法調査会
での
法案審議
はできないとされておりましたので、
衆議院
では、
平成
十七年の
郵政解散
の総選挙後に
憲法調査会
を模様替えし、
日本国憲法
に関する
調査特別委員会
を設置し、
憲法改正国民投票制度
に取り組みました。一年後の
平成
十八年五月には、
憲法改正手続法案
について、与党であった
自民党
、
公明党
の案、
野党
であった
民主党
の案、それぞれが
提出
され、その
審議
が行われました。 両者の案の主な
相違点
を御
紹介
しますと、
国民投票
の
対象
は
憲法改正
に限定するか、国政上の重要問題にも広げるかが第一点。二点目は、
投票権者
の
年齢
を二十歳以上とするか、十八歳以上とするか。三点目は、
公務員
や
教育者
の
地位利用
による
投票運動
の禁止の
是非
について罰則を設けるか否かの点であります。
衆議院
の
特別委員会
と並行する形で、
参議院
では引き続き
憲法調査会
の場で
国民投票制度
について
調査
を続けました。その後、
衆議院
から
憲法改正手続法案
が送られてきますと、
参議院
でも
特別委員会
における
法案審議
が行われることになります。 ここで、
衆議院
における
法案審議
の
経過
に触れておきます。
自民
・
公明案
と
民主案
が
提出
された後、
妥協点
を探るべく
修正協議
が続けられました。その後、一定の
合意
に至ったようですが、
安倍政権下
の下での政局が絡み、
憲法改正手続法案
が
与野党対立
の焦点となり、最終的には
合意
による
修正
は実現しませんでした。
衆議院
の
議決
は、形の上では
自民
・
公明案
と
民主案
の
併合修正
でしたが、これには当時の
野党
が全て
反対
をいたしました。
特別委員会
の
最終段階
は、正常ではない
状態
での
採決
となりました。
参議院
では、
衆議院
から送られてきた
法案
に対し、
民主党
から改めて対案が
提出
され、これを
一括審議
をいたしました。
日本国憲法
に関する
調査特別委員会
において、
平成
十九年の四月から五月にかけて連日
委員会
が開かれ、私も
委員長
として公正な
審議
が十分にできるようその
職責
を果たしたつもりでございます。
審議
は粛々と進み、
衆議院発議者
はもちろんのこと、
議員立法
としては異例だと思われますが、
安倍内閣総理大臣
にも質疑したほか、二十二名の
専門家
を
参考人
として招致し、その
意見
を
聴取
をいたしました。また、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、名古屋市、福岡市の六都市で
地方公聴会
を開催し、各地域における
意見
を
聴取
をいたしました。そして、
審査
の終了に当たっても、
衆議院
とは異なり、円満な形での
採決
で収めることができました。
法案
の
採決
では、
民主党
、
共産党
、
社民党
、
国民新党
は
反対
に回ったものの、
自民
、
民主
、
公明
の三
会派共同提案
で十八
項目
にわたる
附帯決議
が付されました。
参議院
の
審議
のキーポイントは、この
附帯決議
であったと言えます。その
項目
の数の多さも通常の
法案審査
では見られないものであります。
委員会審査
の中で出された
指摘事項
のうち、重立ったものを取り上げて
努力義務
、
検討課題
としたものですが、これを
まとめ
られた当時の理事の
先生方
の御苦労がしのばれるところでございます。 そこで、
憲法調査会報告書
についてと同様、
憲法改正手続法
につきましても、私は
特別委員長
の
立場
でございましたので、自らの
意見
を述べる
機会
がありませんでした。ここで所感めいたことを少々述べさせていただきます。
衆議院
での
修正
の結果、附則に
検討条項
が規定されました。いわゆる
三つ
の
宿題
と呼ばれるものです。これが片付かないことには
憲法改正手続法
が実施できないというのであれば、早急に本
審査会
で
議論
を進めていただく必要があります。ただ、私は、この
三つ
の
宿題
は
検討
の結果として
法改正
を行うことは必ずしも急ぐ必要のあるものではないとも考えております。 まず、
投票権年齢
ですが、他の
成年年齢
との
関係
もあり、十八歳とするのはまだ時期尚早ではないかと思っております。
法制
上の措置を講ずることとされておりますが、相当期間の猶予を改めて定めるのも一つの選択ではないでしょうか。 次に、
公務員
の
政治的行為
の制限についてですが、
国民投票運動
の名目が付けば何でも許されるというのは行き過ぎであり、本来の
政治的中立義務
との切り分けをうまく
工夫
できないものかと思っております。 続きまして、
国民投票
の
対象
ですが、
憲法改正
以外についても
国民投票制度
を設けることが
検討課題
として挙げられておりますが、私は
国民投票
の
対象
を増やすことは慎重に考えるべきだと考えております。 以上申し上げましたように、苦難の末に
憲法改正手続法
が整備されたことになります。ところが、
国会
の
憲法審査会
の
立ち上げ
に手間取りまして、今日までの日が流れてきたわけでございます。
附帯決議
にうたわれているところですが、
憲法改正手続法
が完全施行されるまでの間に行うべき
課題
は山積していたわけでございます。それが未処理のまま今日に至っているわけですから、
憲法審査会
がこれから何をすべきかは明らかであります。 本年三月の
東日本大震災
は未
曽有
の大災害で、その復興は喫緊の
課題
ではありますが、そのことを
憲法
についての
議論
、
検討
をおろそかにしてよいとの理由とするのは私は認められないと
思い
ます。
議論
を避けるのではなく、
国民
の声を反映した
議論
を交わし、あるべき
憲法像
を煮詰めていくことが重要であると
思い
ます。各
政党
も
憲法ビジョン
についての
議論
を進め、改めて
国民
の前に提示すべきであると考えております。 どうぞ
憲法審査会
で十分なる
議論
がされますことを期待をいたしまして、私からの
報告
とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
小坂憲次
8
○
会長
(
小坂憲次
君) ありがとうございました。 次に、
事務局
から
報告
を
聴取
したいと
思い
ます。
情野憲法審査会事務局長
。
情野秀樹
9
○
憲法審査会事務局長
(
情野秀樹
君) 引き続きまして、
事務局
より、
憲法調査会
の
報告書
、
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
、いわゆる
憲法改正手続法
の
課題
につきまして、お
手元
に配付してございますレジュメに従いまして順次御説明いたします。
憲法調査会
の
日本国憲法
に関する
調査報告書
は、「第一部
憲法調査会
の
組織概要
」、「第二部
経過
の
概要
」、「第三部 主な
論点
及びこれに関する
各党
・各
議員
の
意見
」、「第四部
まとめ
」で構成されております。
報告書
の特色としましては、先ほど
関谷先生
からも御説明がありましたが、三点ございます。第一は、
論点
に関する
意見
の
紹介
の中で、
報告書
の
取りまとめ時点
において、
各党
の
意見
として集約されたものについては
政党名
を明記したこと。第二は、
憲法
に関する
論点
をできる限り多く取り上げたこと。第三は、
報告書
の
総括
ともいうべき「第四部
まとめ
」におきまして、
調査会
における
議論
の状況を分かりやすく示すために
三つ
の
カテゴリー
、すなわち、
共通
又はおおむね
共通
の
認識
が得られたもの、
意見
が対立したものの一方が
趨勢
であると認められたもの、
意見
が分かれた主要なものに整理して記載したことでございます。 それでは、お
手元
に配付してございます
参考資料
三ページ以下の
資料
三、「「
日本国憲法
に関する
調査報告書
」第四部
まとめ
」を御覧ください。 第一の
カテゴリー
は、主な
論点
のうち
共通
又はおおむね
共通
の
認識
が得られたものです。
共通
の
認識
が得られたものとは、
自民党
、
民主党
、
公明党
、
共産党
、
社民党
の五党間で
意見
が一致したもの、おおむね
共通
の
認識
が得られたものとは、党又は党内の一部に若干の異論があったものでございます。
国民主権
、
基本的人権
の尊重、
平和主義
の三大
基本原則
の
維持等
、合わせて三十三
項目
でございます。具体的には、
憲法理念
の
基本
に関する
認識
が大
部分
を占めていますが、
国会
の
憲法調査会
という場で五党が
憲法
に関して
認識
を共有する
部分
を確認できたことに意義があると言えます。 第二の
カテゴリー
は、
自民
、
民主
、
公明
の三党間ではおおむね一致した
趨勢
である
意見
です。新しい
人権
の
憲法
上の明記等、六
項目
でございます。具体的には、新しい
人権
に関する
意見
が半数を占めており、
環境権
や
プライバシー権
など、
憲法制定
時には想定されていなかった新たな
人権
を
憲法
に明記すべきか等が問われています。 第三の
カテゴリー
は、
自民
、
民主
、
公明
の三党間でも
意見
が一致しなかった主要なものを挙げてございます。前文の理念、
内容
等、二十
項目
でございます。前文、天皇、九条二項、緊急・
非常事態
法制
、外国人の地方参政権、道州制、
改正
要件
など多岐にわたっており、
憲法
の各分野において
各党
間に
見解
の相違があることを示しております。 お
手元
に
報告書
の
内容
を簡潔に
紹介
するハンドブックを配付しておりますので、御参照いただきたいと
思い
ます。また、詳細につきましては
日本国憲法
に関する
調査報告書
を御覧いただきたいと存じます。 次に、
憲法改正手続法
の
課題
について御説明いたします。
憲法改正手続法
の附則の中には
三つ
の
検討
事項
が規定されております。これは
三つ
の
宿題
と言われているものです。また、御承知のように、
参議院
においてのみ
憲法改正手続法案
に対して十八
項目
の
附帯決議
が付されております。両者を併せて
憲法改正手続法
の
課題
と申し上げることができると
思い
ます。 附則から御説明いたしますが、お
手元
に配付してございます
参考資料
の七ページ以下、
資料
四、「「
憲法改正手続法
附則における
検討
事項
」及び「
憲法改正手続法案
に対する
附帯決議
」について」を御覧ください。
関谷先生
からの御説明にもございましたように、
自民党
、
公明党
提出
の
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
案と、
民主党
提出
の
日本国憲法
の
改正
及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び
国民投票
に関する
法律
案については、
衆議院
の
段階
では一本化の
努力
が行われたものの、最終的にはまとまらなかったわけでございますが、附則の
検討
事項
はいずれも両者の考え方の溝が埋まらなかった
事項
でございます。
自民党
、
公明党
による
併合修正
が
憲法改正手続法
となっておりますので、
民主党
の最終的なお考えを
紹介
しつつ御説明をいたしたいと存じます。 まず、附則の第三条の投票
年齢
、
成年年齢
の
検討
と
法制
上の措置です。
憲法改正手続法
の本則において、
投票権者
は十八歳以上とされています。この
法律
が完全に施行されるのは
平成
二十二年五月十八日でございましたが、附則では、
法律
が完全施行されるまでに、十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加等ができるよう公職選挙法、民法等の規定に
検討
を加え、必要な
法制
上の措置を講ずることが求められており、その措置が講じられ十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加等ができるまでは、投票
年齢
は二十歳以上とされております。これは、同じ参政権的権利であるのに、
国民投票
は十八歳以上、選挙権は二十歳以上というのでは立法政策として整合性が取れないのではないか、また
成年年齢
を始めとする各種制度における
年齢
規定との整合性も問題となり得るのではないかという観点から規定されたものです。
民主党
案では、
法制
上の措置の有無にかかわらず、投票
年齢
は十八歳以上とされておりました。 なお、本附則に関連して、
附帯決議
の第二項において、
検討
に際し、十分に
国民
の声を反映させ、
法制
上の措置を完了させることを求めております。 第二は、十一条の
公務員
の
政治的行為
の制限に関する
検討
です。
国民投票運動
については、多くの
国民
がこれにかかわるであろうことを前提に、
国民投票運動
は
基本
的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限度の規制のみが設けられておりますが、国家
公務員
法、地方
公務員
法等による
公務員
の
政治的行為
の制限については、この
法律
が完全施行されるまでの間に、
公務員
による
憲法改正
に関する賛否の勧誘その他の
意見
の表明が制限されることとならないよう必要な
法制
上の措置を講ずるものとしております。 なお、
民主党
案は、
憲法改正
案の発議以降、
公務員
の
政治的行為
の制限規定の適用を全て除外するとの考えを取っておられました。 第三は、第十二条の
憲法改正
問題についての
国民投票制度
に関する
検討
です。
憲法改正手続法
は、
国民投票
の
対象
を
憲法改正
案に限定しておりますが、個別の
憲法
問題に限定し、
憲法改正
国民投票
の前にあらかじめ
憲法改正
の要否を問う諮問的、予備的
国民投票
を
憲法
第九十六条の周辺にあるものとして、その意義や必要性の
検討
を行おうとするものです。
検討
は、この規定の施行後速やかに行うとされております。
民主党
案では、
憲法改正
案に限定することなく、国政における重要な問題のうち、
憲法改正
の
対象
となり得る問題、生命倫理に関する問題、その他
国民投票
の
対象
とするのにふさわしい問題も
国民投票
の
対象
とされておりました。 本附則に関連し、
附帯決議
の第一項において、
憲法審査会
において
国民投票
の
対象
と範囲を
検討
し必要な措置を講じるよう努める旨決議されていますが、附則と比較すると
検討
対象
が広く取られております。 次に、
附帯決議
について、引き続き
資料
四、「「
憲法改正手続法
附則における
検討
事項
」及び「
憲法改正手続法案
に対する
附帯決議
」について」、
参考資料
の九ページ以下に沿って御説明いたします。 第一項及び第二項につきましては既に御説明いたしました。 第三項の関連性の判断基準の明確化と適切かつ慎重な判断は、
憲法改正
原案の発議に関するものでございます。
憲法改正
原案の発議は、
内容
において関連する
事項
ごとに行われます。関連性がないものとしては
憲法
第九条の
改正
と
環境権
の創設を一括して発議することができないことが例に挙げられておりますが、
内容
の関連性の判断に当たっての基準作り等を求めるものです。 第四項は、
国民投票
の期日に両院の
議決
の不一致が生じた場合の調整です。
国民投票
の期日は
国会
の
議決
で定められますが、両院の
議決
の不一致を最終的に調整する手段がございません。この結果、
国民投票
を行うことができない
事態
を避けるべく調整についての措置を求めております。 第五項は、
国会
による
憲法改正
案発議の公示と中央選挙管理会による投票期日の告示にタイムラグが生じる可能性がありますが、
国民
への正式な周知であることから、両者を同日の官報で行うことを求めるものです。 第六項は、最低投票率制度の意義と
是非
の
検討
です。最低投票率、すなわち
国民投票
の成立のために必要な最低の投票率は
憲法改正手続法
に規定されておりませんが、
参議院
特別委員会
の
審査
中に最低投票率を必要とする回答が七九%に達したとの世論
調査
の結果が報道されたこともあり、活発な
議論
が行われました。
憲法改正手続法
の完全施行までに
検討
が求められておりました
項目
です。 第七項は、在外投票における投票
機会
の保障の措置を求めるものです。 第八項及び第九項は、
憲法改正
案の広報に関する事務を行うために
国会
に設置される
国民投票
広報
協議
会に関するものです。第八項では、
憲法改正
案の要旨の
作成
等における外部有識者の活用と、客観性、正確性、中立性、公正性の確保、第九項では、
国民投票
公報の早期かつ確実な配布と公式サイトの設置等の周知手段の
工夫
をそれぞれ求めております。 第十項は、
国民投票
の結果の告示における棄権の意思表示のための白票の明示でございます。
特別委員会
において、無効票とされる白票に積極的な意味があるのではないかとの指摘がなされたことを受け、白票の数の明示を求めたものでございます。 第十一項から第十四項は、
憲法改正
案に対し賛成又は
反対
の投票をし又はしないように勧誘する行為である
国民投票運動
に関連するものでございます。 第十一項は、
公務員
等及び
教育者
の
地位利用
による
国民投票運動
の規制について基準の明確化等を求めております。規制の
対象
となる
公務員
等及び
教育者
は五百万人に及ぶとされていますが、許される行為と許されない行為の区分が判然としないことから、萎縮効果が懸念されることを受けたものであります。 一つ飛びまして、第十三項は、テレビ及びラジオの有料広告の規制の
検討
です。テレビ及びラジオの有料広告は、期日前投票の開始時期を踏まえ、
国民投票
の期日前十四日に当たる日から禁止されておりますが、
民主党
案では
憲法改正
案の発議から投票期日までこれを全面的に禁止することとしておりました。他方、放送事業者からは制限を設けるべきではないとの考え方が
特別委員会
で示されたこと等を受けたものでございます。この
項目
は、
憲法改正手続法
の完全施行までに
検討
することとされておりました。
国民投票運動
に関連する罰則につきましては、第十二項で罰則についての構成
要件
の明確化、
法制
上の措置を、第十四項では、罰則の適用に当たっての公職選挙運動との峻別、慎重な運用をそれぞれ求めております。 第十五項から第十八項は、
憲法審査会
に関するものでございます。 第十五項は、
憲法調査会報告書
で指摘された
課題
等の
調査
です。
憲法調査会報告書
で指摘された
課題
とは、さきに御説明した
報告書
の分類における、
自民党
、
民主党
、
公明党
の三党間でおおむね
意見
が一致した第二
カテゴリー
の
趨勢
であると認められるもの、及び三党でも
意見
が一致しなかった第三
カテゴリー
の
意見
が分かれた主要なものをいうと考えられます。 また、
憲法審査会
に関しまして、第十六項において
審査
手続、
運営
に係る
事項
の明定と
憲法改正
原案の
審議
における少数
会派
への配慮、第十七項において広報、公聴会の実施と請願
審査
の充実、第十八項において合同
審査会
の開催における各院の意思の尊重をそれぞれ求めてございます。 以上、
事務局
より、
憲法調査会報告書
、
憲法改正手続法
の
課題
を中心に御説明いたしました。
小坂憲次
10
○
会長
(
小坂憲次
君) これより各
委員
からの
発言
に入りたいと存じます。 本日は、
委員
各位の
意見
表明、
関谷
元
会長
への御質問等、自由に御
発言
いただきたいと存じます。 なお、時間が限られておりますので、
委員
の一回の
発言
時間は五分以内で願います。 まず最初に、各
会派
一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
江田
五月君。
江田五月
11
○
江田
五月君
憲法審査会
の始動に当たり、
関谷先生
には
参議院憲法調査会
の
最終段階
の
会長
等として御足労いただきまして、感謝に堪えません。 また、自由討議の最初に私に
発言
の
機会
を与えていただき、心からお礼を申し上げます。 私は、
参議院憲法調査会
の立ち上がりのときの
民主党
・新緑風会所属の
幹事
で、
運営
検討
委員会
の
委員
でした。最初に村上正邦
会長
が招集された
幹事
懇談会は冒頭から激突し流会となり、その後に私ほか二名の
幹事
で村上
会長
にお会いした際には怒号が飛び交うのみという大荒れの幕開けとなりました。しかし、以後は極めて良識的で建設的な
議論
が進められてきたと
思い
ます。 私は、
調査会
で九回
発言
しており、さらに本院の海外派遣団の団長として訪米して
憲法
事情を
調査
し、その
報告書
も
提出
しています。最初の
発言
は二〇〇〇年二月十六日です。私は、ほぼ同時期に開始した
民主党
の
憲法調査会
の
事務局
長として党の
憲法
論議に加わってきたので、その
立場
を踏まえて
民主党
の
憲法
に関する
基本
姿勢を
紹介
しました。 二十一世紀を、当時ですが、目前にした時期で、時代の変化を踏まえ、新世紀の日本の国の形を大いに
議論
し、私たちが目指すものと現に私たちが手にしている
日本国憲法
とを照らし合わせて、守るべきは守り、変えるべきは変えるという姿勢で大いに
憲法
を論じようという論憲の姿勢で、さらに
民主党
はその後、創憲、
憲法
をつくる創憲も打ち出しました。 党の
調査会
では、総論、統治、
人権
、分権、そして国際・安保と五つの
作業
部会をつくり、私は
人権
部会の座長も務めました。
環境権
、人格権、知る権利など、あるいは安全への権利、発展への権利、自己実現への権利、人間の
安全保障
といった新しい
人権
などの意欲的な提言を
まとめ
て、中間
報告
や
憲法
提言を
取りまとめ
たのです。 この過程で、私たちは、現在の
憲法
の
平和主義
、
民主
主義、
基本的人権
という
三つ
の
基本
的原則は、これからもこの国の形の原則であり続けるべきもので、変えてはならないものだと確認しました。 現
憲法
は戦後の占領下で制定されたもので、制定過程に占領権力の介入があったことは否定できません。しかし、この歴史的事実は大日本帝国
憲法
を
基本
法とする当時の我が国の形が引き起こしたもので、制定過程はこの歴史全体の中で観察しなければなりません。占領権力が世界の
憲法
史の流れに沿って行動し、その時代における国際社会と我が国との意思の合致が現
憲法
となったという側面もあるわけです。 現
憲法
は、形式的には帝国議会の
審議
などの手続を経て成立し、その後、半世紀以上にわたってこの国の形を規定する
基本
法として受け入れられ、機能してきました。 制定当時の国の意思決定の有効性については様々な説があります。しかし、今述べたような現
憲法
の有効性に照らせば、やはり、当時既に未成熟ではあっても
憲法制定
権力が存在していて、これが現
憲法
を成立させたのだと考えられます。本院の
憲法調査会
の最終
報告
は、これからの私たちの
議論
の出発点としなければなりません。 私
自身
が生まれたのは、一九四一年、昭和十六年五月、つまり戦前です。戦後、教科書が墨で塗り潰された翌年の昭和二十三年の小学校入学ですから、現
憲法
とほぼ同時代を生きてきました。言わば純粋の戦後
憲法
世代と言えると
思い
ます。そこで、私たちの世代には現
憲法
が自分たちの血であり肉であるという感覚があり、
憲法改正
と聞くと本能的に身構えてしまうという
部分
があると
思い
ます。 しかし、私は、
憲法
も決して不磨の大典ではなく、現
憲法
も当然これが制定された時代の制約を受けており、その後の時代の変化によって成熟していくべきものだと思っております。 例えば、
平和主義
でいえば、現
憲法
は前文で国際協調主義を、さらに第九条第一項で戦争の放棄を掲げ、さらにその具体的な行動規範として同条第二項に戦力の放棄を規定しました。時代の制約を考えれば、ここに自衛力や国際貢献の規定がないことはよく理解できますが、その制約が大きな変化を遂げた現在、制定当時の
基本
的原理が、現在取るべき具体的行動規範の姿が当時のものと変わってくるのは当然です。 私は今、私たちの世代こそが、制定当時の状況が私たちに課している心の制約を取り払って、現
憲法
を言わば棚卸しをして、論憲から創憲へと向かっていいんですよと、制約を解いて、次の世代の皆さんが
憲法
問題と真正面から向き合える自由な
議論
ができるようにする責務を負っているのだと思っております。
憲法改正
自体は当面する緊急の
課題
ではありませんが、非現実的な目標だというわけでもありません。 そこで、この際、
憲法改正
の条件を幾つか考えてみますと、まず九十六条に規定する
要件
と現在の政治状況を考えれば、
会派
の垣根を越えて
議論
を進め、穏健で良識的な
合意
を形成する
努力
を積み重ねていかなければなりません。
小坂憲次
12
○
会長
(
小坂憲次
君)
江田
議員
、時間が
経過
しております。
江田五月
13
○
江田
五月君 はい。もうちょっとお待ちください。 特に、良識の府と言われる
参議院
はこれをしっかりと自覚すべきです。また、
国会
法第百二条の八の合同
審査会
の活用も必要です。いわゆる投票
年齢
や投票権の要否の問題もありますが、時間の制約上、省略します。 世界中には多くの
憲法
があり、これらはおおむね
民主
主義や
人権
の確立といった流れに沿った世界史の中で生々発展し、今や地球
憲法
とでもいうべき
憲法
規範が世界に姿を現しつつあると
思い
ます。現
憲法
の成立にも当時の世界史の状況が大きくかかわっており、そのことを私たちはしっかりと自覚しておくべきだと
思い
ます。そして、私たちが
憲法改正
に取り組む場合には、その
内容
が地球
憲法
にしっかりと適合し、これを前進させるものである必要があります。諸外国に歓迎されるものであることが大切だと
思い
ます。 時間がちょっと過ぎまして、済みません。
小坂憲次
14
○
会長
(
小坂憲次
君) 川口順子君。
川口順子
15
○川口順子君
自由民主党
の川口順子でございます。 本日、本院
憲法審査会
の第一回会合が開催されるに当たり、
関谷勝嗣
元
憲法調査会
長が日程を繰り合わせていただいて御
出席
をいただいたことに御礼を申し上げます。 そもそも
憲法
は、日本国がどのような国であるべきかについて
国民
が
議論
に
議論
を重ね、その総意を結集した形で
改正
されるべきものと考えます。そのために、
国民
の代表たる
議員
が
国会
で十分に
議論
を重ねる必要があります。 現行
憲法
は、占領下において占領軍によりその草案が示され、日本政府と占領軍の交渉の後、帝国議会において制定されており、その過程において、我が国の追求すべき国家像についての
国民
の主体的
議論
が行われたとは言えないと考えます。 また、その
内容
についても、多くの
国民
が受け入れてきたとはいえ、制定過程から生ずるひずみが存在すること及びその後の六十五年に及ぶ国際社会、我が国社会の変化に照らし、現代、未来の要求に十分にこたえるものになっていないことに問題があると私は考えております。これは
自由民主党
の考え方でもあります。 その考えに基づき、
自由民主党
は結党以来、党是として
憲法
の
改正
を掲げ、真剣な
検討
を行い、
平成
十七年十月、
自由民主党
新
憲法草案
を発表いたしました。現在、
自由民主党
においては、
憲法改正
推進本部を設置し、さきの新
憲法草案
を更に
改正
した新たな
憲法改正
案を
取りまとめ
ることとし、前文、
安全保障
と九条、
環境権
を含む新しい
人権
、地方分権、
憲法改正要件
、緊急
事態
条項などについて真剣な
議論
を重ねています。 幸い、
関谷先生
がお
まとめ
になられた
憲法調査会報告書
においては、
論点
が
認識
の
共通
度を尺度として分類されています。これら
論点
について、
調査会
の
報告
をきちんと踏まえた上で深掘りする必要があります。また、必要に応じ、他の
論点
についても、将来世代の視点を勘案して、
憲法審査会
の場で
議論
を深めるとともに
国民
的
議論
を行うことが必要であります。 また、並行的に
憲法改正
国民投票
法のいわゆる
三つ
の
宿題
の
議論
を開始し、結論を得る必要があります。このうち、十八歳選挙権実現の話と
公務員
の
政治的行為
の制限は、
憲法改正
国民投票
法が全面施行されるまでの三年間に法整備を終えておくべき、言わば締切り付きの
宿題
でした。これに対し、
憲法改正
以外の
国民投票制度
の導入の
検討
は期限が定められていない
宿題
でしたが、これも
憲法審査会
で
検討
すべきものです。早期の取組、結論を望みます。 一部
議員
の
発言
や新聞の論調に、今、復興が最大の
課題
であり、
憲法改正
は優先順位が下がるとの
意見
が見られます。そうでしょうか。復興の重要性については論をまちませんが、
憲法改正
の
議論
も重要です。
東日本大震災
からの復興や
課題
先進国として解決すべき数多くの問題を抱える我が国にとって、今だからこそ国の形がどうあるべきかについて
国民
ベースの
議論
が必要であります。それがなければ、
課題
解決の
基本
的方向ははっきりと
国民
に共有されません。さらに、国際社会の権力構造の変化のただ中で我が国の平和と安全を守り、国際の平和と安全に貢献すべき
立場
にある我が国として何をなすべきかを明確かつ
国民
の総意として共有しなければ、現実の必要にこたえることはできません。 本日ここに
関谷勝嗣
先生の御高説を伺うことにより
憲法改正
の
議論
の場となる
憲法審査会
が活動の第一歩を踏み出したことは、遅きに失したとはいえ、大きな意義を持つことと考えます。今後とも、
関谷先生
始め先人の方々の英知、良識を反すうしながら本
審査会
において真剣な
議論
を重ねていくことを
国民
の皆様にお約束いたしまして、私の
意見
表明といたします。 ありがとうございました。
小坂憲次
16
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、
魚住裕一郎
君。
魚住裕一郎
17
○
魚住裕一郎
君
公明党
の
魚住裕一郎
でございます。
関谷先生
、本当に今日はありがとうございました。 私も、二〇〇〇年、
平成
十二年に
憲法調査会
が設置されまして、
幹事
ではありませんがその末席に入れていただきまして、以来、
憲法
調査特別委員会
にも参加させていただいて、十数年ぶりという形になりますが、
経過
いたしまして、感慨深いものがございます。 今日は、第一回の
憲法審査会
で
発言
させていただく
機会
をいただきまして、心から感謝申し上げます。 まず、
公明党
の現行
憲法
に対する考え方を申し述べたいと
思い
ます。 御承知かと
思い
ますけれども、先ほども
共通認識
として御
紹介
ございましたが、
憲法
の三原則、
国民主権
主義、そして
基本的人権
の尊重、恒久
平和主義
、これは本当に
憲法
の根本規範として堅持すべきものである、変える必要は全くない、また、現行
憲法
それ自体も、戦後の復興を含めて
国民
的法的確信にまで至っている高く評価すべきものというふうに考えているところでございまして、
基本
的に護憲という
立場
でいるわけでございます。 ただ、全く何も変える必要はない、
議論
をする必要もないという意味ではないわけでございまして、
公明党
の
立場
、十年前、これはやっぱりしっかり論ずるべきであるということで、先ほども言葉として出ましたけれども、論憲という
立場
で
議論
をさせていただきました。 その上で、この時代状況、大きく変わっております。
調査会発足
当時は、
憲法
施行後五十年、そして六十五年という状況にありますが、時代状況も大きく変化をしてまいりました。ですから、付け加えるべき
論点
、
項目
があるか、あるのであればそれを加えていくべきであるという意味で、加える
憲法
、加憲という
立場
を主張をさせていただいているわけでございます。したがって、大枠では護憲、そして、よく詰めれば加憲という
立場
であるというふうに私たちは主張をさせていただいているものでございます。 そんな
立場
でやってきたところでございますが、
憲法調査会
五年、そして
憲法
調査特別委員会
二年、この
改正手続
法も
採決
になったわけでございますが、
国民
的な
議論
も大きく盛り上がってきたというふうに承知をしております。ただ、この
採決
後もう四年半たったわけでございまして、この空白の四年、凍結期間はそもそも三年だったはずでございまして、それを超過して四年半というのは誠に遺憾であるというふうに考える次第でございます。 いろんな、議院
運営
委員会
でありますとか、そういう場で早く
憲法審査会
規程を出すべきである、このようにずっと主張してきた者でございますけれども、まずは、今後の進め方として、先ほども御
紹介
がございましたいわゆる
三つ
の
宿題
、そしてまたこの
附帯決議
、十八
項目
ございましたが、この点につきまして、この
憲法審査会
で早急に
議論
を進めていくべきであろうというふうに考えております。 先般、日本弁護士連合会の
会長
声明もございましたけれども、この点も詰めがなければこの
改正手続
法は延期すべきである旨の抜本的見直しを強く求めるという声明が出されたわけでございますが、
国民
的要望だと私も考えているところでございます。 もう一つ、この
宿題
等をやっていくとともに、
憲法
の
調査
でなくして
憲法
の
審査
でございます。現行
憲法
の展開のありようというものも
審査
をしていくべきではないか。私どもの
立場
からすれば、何を加えるべきなのか、加えなくても
法律
で対応できるものがあるんではないだろうか。先ほど
国家緊急権
の
お話
がございました。今回の
東日本大震災
につきましても法的な整備があってそれがきちっと使われて機能したのかどうか、こういうこともあろうかと思っておりまして、そういう点も含めて
審査
すべきであるというふうに主張させていただきまして、魚住の
発言
を終わります。
小坂憲次
18
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、江口克彦君。
江口克彦
19
○江口克彦君 みんなの党の江口克彦でございます。
関谷先生
、先生の
憲法
、
憲法改正手続法
の成立に向けて熱い
思い
を語っていただきまして大変感銘を受けました。ありがとうございました。 初めに、
憲法審査会
が
平成
十九年八月に設置されて四年以上にわたり活動することができないと、できずと。
憲法
という国の根本法の
議論
を行うことができなかったのは、私は政治の怠慢である、また、十分な反省が必要ではないかというふうなことをまず申し上げておきたいと
思い
ます。 もちろん、
憲法改正
には
反対
意見
があることは承知しておりますけれども、
憲法審査会
の土俵の上でしっかりとした
議論
を行い、
憲法
についての結論を出していくことが肝要であり、これこそが政治の責任であるというふうに私は考えます。
参議院
憲法審査会
として、
国民
の負託にこたえ十分に責任を果たしていくことは当然ですが、そもそも我々
憲法審査会
の
委員
一人一人が
憲法改正
の
議論
に責任を有していることを自覚し、
憲法審査会
に臨まなければならないと
思い
ます。
日本国憲法
がアメリカの占領軍による日本弱体化という恣意的意図で
作成
されたものであることは明らかであり、
憲法
の具体的な規定の
是非
以前の問題として、まずこの制定過程自体をもって
改正
の必要があるということを私は指摘したいと
思い
ます。 また、
憲法
の規定
内容
についても、
憲法
施行から六十年以上
経過
し、この間の国際社会の激変や我が国の政治、経済、社会
情勢
の変化を踏まえれば、道州制の導入、首相公選制の導入、あるいはまた
環境
、プライバシー等、新たな視点から
憲法
を考えていくことが必要ではないでしょうか。 そして、絶えざる自己改革のために
憲法改正
を行うという観点からは、まず
憲法
第九十六条を
改正
し、
憲法改正
の
要件
に柔軟性を持たせなければならないというふうに考えます。
憲法審査会
においては、
憲法調査会
で行われてきた
議論
や
憲法
の運用状況も踏まえて国の
在り方
について真摯な
議論
を行い、幅広いコンセンサスを得るということが必要ではないか。同時に、
国民
とともに
議論
を進めることが極めて重要であります。
憲法改正
には
国民投票
の過半数の賛成が必要であり、我々の
議論
は主権者たる
国民
に向けられたものでなければならない。
憲法
は全ての
国民
のためにあるものであり、
国民
とともに
議論
を行うことで
国民
が
憲法
そのもの、そして
憲法
と社会状況の現実等について
認識
を深め、永田町の
議論
を超えた全
国民
的な
憲法改正
の
議論
が展開すべきだというふうに
思い
ます。 また、スケジュールを明確にすることも必要ではないかというふうに指摘をしておきたいと
思い
ます。拙速は避けて十分な
議論
を行うべきであることは言うまでもありませんが、いつまでも
議論
ばかりでは政治の責任は果たせません。ある
程度
の期限をもって成果を上げるべく
議論
を進めていくことが必要であり、例えば
憲法改正手続法
の諸
課題
への対応を二年で成し遂げる必要があると考えます。その上で、
憲法
をテーマごとに見直し、追加
検討
を行うことが必要であり、
憲法審査会
においては、三年から五年に一度、定期的にその
検討
を行い、我が国のオペレーションシステムを時代に合ったものにしていく使命があるのではないか、その使命を果たすべきだというふうに考えております。 以上です。
小坂憲次
20
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、井上哲士君。
井上哲士
21
○井上哲士君 日本
共産党
の井上哲士です。 我が党は、
国民
は
憲法改正
を求めておらず、
憲法審査会
を動かす必要は全くないことを
幹事
懇談会の場でも表明をしてきました。この
審査会
は
憲法改正手続法
に基づくものですが、この
法律
は
憲法
に
改正
規定がありながら手続法がないのは立法不作為だなどとして作られたものであります。しかし、手続法がないことで
国民
の権利が侵害された事実もなく、立法不作為論は全く成り立たないものでありました。そして、この手続法が強行されてからこの四年余りも
憲法審査会
を始動してこなかったことで
国民
が不利益を被った事実もありません。今この
審査会
を動かす理由はありません。 振り返りますと、今日の
憲法
をめぐる動きは、九条の改憲を目指す勢力が二〇〇〇年に
国会
に
憲法調査会
を設置したことに始まりました。改憲を目指す勢力は
調査会
を足掛かりとして
国民
の中に改憲の機運を盛り上げようとしました。しかし、
国民
世論は九条改悪
反対
が多数であり、九条を変えるべきであるとする
意見
は一貫して少数でありました。 続いて、二〇〇五年に
憲法
調査特別委員会
が設置され、
自民
、
公明
、
民主
の
各党
で
憲法改正手続法
作りが進められました。元々、立法不作為などは成り立たないものだった上、慎重
審議
を求める
国民
多数の声を無視して
衆議院
では自公両党による強行
採決
が行われ、
参議院
では最低投票率の問題を始め十八
項目
もの
附帯決議
が付けられました。このことは、いかにこの手続法が多くの問題点を残したまま強行されたかを示しております。そして、手続法を強行し改憲を選挙の公約に掲げた安倍政権は、その夏の
参議院
選挙で
国民
からノーの審判を突き付けられて、退陣を余儀なくされました。 選挙後に
憲法審査会
の設置を規定した
改正
国会
法が施行されましたが、
審査会
規程を制定できず、
審査会
は始動することができませんでした。すると、麻生政権末期の二〇〇九年六月に、自公両党が再び強行
採決
によって
衆議院
で
憲法審査会
規程を制定をいたしました。このように、
審査会
は強行に強行を重ねてつくり上げられたものであります。
民主党
は公正中立な改憲手続法の制定を掲げていましたが、自公両党のこうしたやり方に強く抗議して手続法に
反対
し、
衆議院
での
憲法審査会
の規程にも
反対
し、安倍元首相らに自己批判と謝罪まで求めてきました。その後、二〇〇九年九月の総選挙で
国民
の生活が第一を公約に掲げて政権交代を果たした
民主党
政権の下で、
憲法審査会
は始動させてきませんでした。ところが、
民主党
政権が普天間問題や消費税など公約違反への批判の中で昨年の
参議院
選挙で過半数を割り、いわゆるねじれ
国会
となりました。その下で、
国会
対策上の理由から、
衆議院
では
反対
した
憲法審査会
規程と同じ
内容
の規程を
参議院
では与党だからといって
民主党
が
提案
をし、さらに野田政権になって
憲法審査会
委員
の選任を強行した、これが
経過
であります。
民主党
が改憲手続や
衆議院
での
憲法審査会
規程の制定に際しての主張を顧みることなく、
憲法
の問題を
国会
対策の手段として軽々しく扱うことは、
国民
の厳しい批判を免れないでしょう。また、
自民党
からは、
非常事態
条項が
憲法
に必要だとして、その必要性を
国民
に理解してもらうにはまず
国会
の中で十分な
議論
をしていく必要があるという主張があります。
国民
が具体的に改憲を必要とした場合の手続の場として設けられた
審査会
を改憲機運を盛り上げる場に利用するということは、制定当時の
提案
者の
発言
にも反するものであり、認めることはできません。 震災からの復興の
課題
と本
審査会
の
審議
についての言及もありました。 今、被災地から聞こえてくるのは、
憲法
に定められた生存権を始めとして、
憲法
が震災復興に生かされていないという悲鳴の声であります。逆に、
憲法
に規定がないにもかかわらず、日本では個人の財産形成に税金をつぎ込むことができないと、こういう主張が復興の妨げになっております。 今、
国会
がなすべきことは、総力を挙げて
憲法
を生かした被災地の復興に全力を挙げることでありまして、本
審査会
を今後も動かすべきではないと、そのことを強く主張して
意見
表明を終わります。
小坂憲次
22
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、藤井孝男君。
藤井孝男
23
○藤井孝男君 たちあがれ日本の藤井孝男でございます。
関谷勝嗣
先生、本当に今日はありがとうございました。貴重な御
意見
を賜りまして、本当に
参考
にさせていただきたいと
思い
ます。
関谷先生
とは、もう長い間国政でお互いに、御指導をいただいたり、また論議を交わした間柄でありますけれども、私
自身
、恥ずかしながら
憲法調査会
には在籍しておりませんでしたので、今般、
憲法審査会
で初めてたちあがれ日本という新しい
政党
から参画をさせていただいておりますので、今後ともよろしくお願いをいたしたいと存じます。 そこで、我が党は、昨年四月結党した新しい党でありますけれども、綱領、七
項目
あるわけですが、その第一番目に、自主
憲法制定
をまず第一番目に掲げております。「わが党は、誇りある日本の文化と伝統、豊かな自然に育まれた国土と
環境
、
国民
の生命・財産を守り、国際社会の一員としての責任を果たすため、自主
憲法制定
を目指す。」と、こういう綱領でございます。 したがいまして、これからの
審査会
でも、我が党もいろいろ
意見
を述べていきたいと
思い
ますが、今日は限られた時間でありますので、五
項目
について、
項目
だけになると
思い
ますけれども、
意見
を申し述べたいと存じます。 先ほど
経過
報告
が
事務局
長からなされましたけれども、特に、
合意
したもの、あるいは大筋
合意
したもの、あるいは
意見
が分かれたものという中で、これから言う私の五つのうち四つは
意見
が合わなかったものでございますので、なかなか難しい点があると
思い
ますが、その点について申し上げたいと
思い
ます。 まず初めに、第一
項目
は、国家の緊急
事態
について。これは
関谷先生
からも、
是非
必要である、真剣に考えてくれ、早急に対応してくれという趣旨の
お話
がありました。 皆さん方御承知のとおり、
東日本大震災
などに代表されるように、我が国は大規模自然災害が多発する国であることはもう御承知のとおりであります。そして、大規模の自然災害だけではありませんけれども、例えば外国からいろいろテロの攻撃等々、国家の緊急
事態
に際しては救援活動などのために
国民
の
基本
的な
人権
を、これは守らなければいけないということは当然でありますけれども、こういう緊急
事態
の場合は制限することも必要になってくる。ところが、こうしたときに、
憲法
には国家緊急
事態
についての規定が存在していないという現実があります。 よって、
基本的人権
をある
程度
制限せざるを得ない、そういう必要となってくることも想定しながら、国家緊急
事態
については
憲法
にきちんと規定を設けていくことが必要だと考えております。 二点目につきましては、これも昨年、たしか九月、中国の漁船によって領海侵犯がもちろん行われ、我が国の海上保安庁の船艇に対して体当たりするという事件があり、船長を逮捕いたしました。そのときの
民主党
政権の、菅政権のときでありましたけれども、対応が非常に不十分であり、またビデオ公開もちゅうちょされ、そして、当時の現職の海上保安庁の職員である一色海上保安官がそのビデオをユーチューブで流して、そして
国民
にこの
事態
を、深刻さを知るに至ったことは、これまた御案内のとおりであります。 そういう中で、やはり海上保安庁の海上警察法と申しましょうか、警備法というのも強化しなきゃいけませんけれども、この点については
民主党
も前向きにとらえていただきまして、来年の通常
国会
には海上保安庁の海上警備の強化法については
提出
するという答弁もいただいているところであります。 しかし一方、
自衛隊
の方は全く整備が未整備でありまして、日本の海上
自衛隊
は、
憲法
九条の影響はもちろんありますけれども、国内法上は軍でないことになっております。したがって、あのような尖閣諸島問題に関していえば、他国の海軍は、いわゆるほかの、外国の海軍は、国際法に基づいて、領海侵犯をした外国の民間船舶を
対象
といたしましたけれども、臨検をしたり排除をしたりすることはできますけれども、我が国の
自衛隊
は、総理大臣の命令がない限り何もできないまま領海を守ることはできないと、こういう
法律
上の未整備が、これからの緊急
事態
が起きたとき、領海を侵犯したときの対応のしようがないということで、
自衛隊
に、国際法上の軍隊であることを
憲法
においてはっきりと明記すべきであると、私どもは、党はそのように考えているところであります。 もう時間がなくなりましたので、あとは
項目
だけ申し上げますけれども、三番目につきましては、やはり天皇の、いわゆる国家元首であるという、そういったことをはっきりと明記すべきである。 四番目には、政教分離。我が国の政教分離というのは非常に曖昧になっておりまして、国家と教会との分離である政教分離が、国家と宗教の分離ではないという意味において、私は日本のやはり政教分離ということの中で、国や地方自治体が、戦没者追悼行事などが神道や仏教に基づいて実施することは許されるべきではないか、このように考えている次第であります。 あと、まだもう一
項目
ございますが、時間が参りましたので、この四
項目
にとどめさせていただきたいと
思い
ます。 ありがとうございました。
小坂憲次
24
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、
福島みずほ
君。
福島みずほ
25
○
福島みずほ
君
社民党
の
福島みずほ
です。 今
国会
において
憲法審査会
が始動し始め、
議論
が始まりました。しかし、施行された
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
は、当時の安倍政権によって強行
採決
された
法律
であり、また
国民
の意思を正確に反映できる
法律
ではないことから、
社民党
は
反対
をしました。
参議院
の
日本国憲法
に関する
調査特別委員会
では、十八
項目
にわたる
附帯決議
が付されました。解決されていない問題が余りにも多いにもかかわらず成立させた欠陥
法案
と言わざるを得ません。さらに、同法の附則では、選挙権を有する者の
年齢
に関する公職選挙法、
成年年齢
を定める民法、
公務員
の
政治的行為
制限に関する国家
公務員
法、地方
公務員
法、その他の法令について、同法施行までに必要な
法制
上の措置を講ずることを定めています。同時に、
参議院
における
附帯決議
では、最低投票率、テレビ・ラジオの有料広告規制等について、本法施行までに必要な
検討
とされています。 にもかかわらず、
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
の附則や
附帯決議
に示されている
事項
について必要な
法制
上の措置を講じず、また必要な
検討
も行われていません。にもかかわらず、今
国会
で
憲法審査会
を始動し、
憲法改正
の
審議
がなされることに強く
反対
し、改めて
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
の抜本的見直しをこそ求めます。 日本の最高法規である
日本国憲法
を変える必要はなく、
憲法
価値の実現をこそすべきです。ですから、
憲法審査会
を動かす必要はありません。 この間、司法から立法府に対して多くの
課題
が示されています。例えば、婚外子に関する差別、一票の格差、基地周辺の騒音問題など様々あります。このような立法府に課された問題は放置されたままになっているにもかかわらず、
憲法
を
改正
する
議論
が優先されていいはずがありません。 さらに、非正規雇用の人が四割に達し、自殺に追い込まれている人が年間三万人以上に達しています。
憲法
二十五条の生存権が侵害されている状況です。また、思想、良心の自由、表現の自由、
プライバシー権
、幸福追求権、法の下の平等、家族の中の個人の尊厳と両性の本質的平等、平和的生存権、教育を受ける権利などの権利が十分に保障されていません。
平和主義
、
国民主権
、
基本的人権
の尊重を三本の柱とし、国、社会としての理想の姿、向かうべき姿を示した
日本国憲法
を変える必要はありません。むしろ、その
憲法
に照らして、いまだ達成できていない現状こそを
憲法
に示された権利を回復するために変えていくことが必要です。 また、とりわけ今動かす必要はありません。
東日本大震災
と原発震災で実に多くの皆さんが被災し、被曝をしました。現地では、ようやくこれから復興が始まろうとしています。被災者の皆さんは、
日本国憲法
が保障する二十五条の生存権や十三条の幸福追求権などが著しく侵害されている状況です。今は、その被災者の皆さんの生存権、幸福追求権を回復し、保障することにこそ全力を傾けるべきです。まさに、今求められていることは
憲法
価値の実現なのです。
日本国憲法
の
基本的人権
を保障することこそ必要なときに、なぜ
憲法審査会
を作動なんでしょうか。災害のときに
非常事態
宣言をしなければならず、そのことが
日本国憲法
に規定がないことから
憲法改正
の必要性を言う
見解
があります。しかし、官邸が
国民
を救済するために権利を行使しなかったことが問題で、
憲法
の問題ではありません。 大日本帝国
憲法
は、多くの権利を
法律
の範囲内でしか認めていませんでした。それゆえに、
法律
で幾らでも権利を制限することができたのです。ですから、国家総動員法、治安維持法、徴用令など、多くの
法律
を作り、最後には人々の権利は紙切れのようなものとなりました。
基本的人権
を無制限に一挙に制限できるとすることはできません。むしろ、今必要なことは、生存権などの
基本的人権
の回復に全力を挙げることです。今こそ
憲法
を生かし、実現することこそが求められています。
憲法
を
改正
する必要はありません。
憲法改正
のための
国民投票
のための
憲法審査会
を動かすことに
反対
であることを表明し、私の
意見
といたします。
小坂憲次
26
○
会長
(
小坂憲次
君) 次に、
亀井亜紀子
君。
亀井亜紀子
27
○
亀井亜紀子
君
国民新党
、
亀井亜紀子
でございます。 本日は、
関谷先生
にお時間いただき、これまでの経緯について御説明いただきまして本当にありがとうございます。冒頭、
参議院
が若返ったということをおっしゃいましたけれども、私も一期目の
議員
でございまして、今までの経緯をお伺いできたことは大変
参考
になりました。ありがとうございました。
国民新党
は自主
憲法
の制定を政策に掲げております。ですので、今回の
憲法審査会
の再開は歓迎をいたします。 現在、TPP交渉など、国家を超えた枠組みの創設が国際交渉において議題となっているわけですけれども、その中で日本が自主独立国家として主権を保っていくためには、
憲法
の
改正
は必要であろうと
国民新党
は考えております。 また、
非常事態
規定の創設は、この今回の
東日本大震災
の状況を見て早急に必要であると実感をしております。地方分権の流れの中で、被災地においても自治体に決めさせるというような流れでございますけれども、やはりなかなか
意見
が一致するということは難しいわけでして、このような
非常事態
に際してはやはり国家が指導的な役割を担うということが必要であると考えております。 また、日本は土地について、公と私の
関係
、私有権が非常に強い国家です。けれども、例えば尖閣諸島が私有地であること、また日本の森林が外国に買収されていくようなこと、国家
安全保障
にかかわる重要な問題だと
思い
ますので、この点についても
憲法
上の
議論
が必要ではないかと考えております。 そしてもう一つ、
自衛隊
の位置付けについてですけれども、
自衛隊
が誇りを持って活動をできるような体制を
憲法
上整えていただきたいと
思い
ます。
国民新党
の創設メンバーの一人が田村先生という
自衛隊
出身の方でございました。
政党
の結成当初から、
自衛隊
が誇りを持って活動できるように、そういう
政党
をつくってほしいということでございまして、その
思い
は今もって継承をいたしております。 最後に、両院
協議
会、
二院制
の
在り方
についても
お話
をしたいと
思い
ます。 先ほど
関谷先生
の
お話
で、
国民投票
に関して、その開催日が衆院、参院で
意見
が異なった場合にはどうするかというような
議論
がされたという
お話
もございましたけれども、ねじれ
国会
が常態化する中で、この
二院制
の
在り方
、これは選挙制度改革にも影響を与えるものですし、早急に
議論
すべき議題だと
思い
ます。 政権交代直前の両院
協議
会に私は
出席
をいたしておりました。当時は
自民党
政権で、
民主党
が
参議院
で多数派でございました。そのときに両院
協議
会に出たメンバーのお一人が西岡前
参議院
議長でありました。そして、石井一先生も御
出席
であったと記憶をいたしております。あのときに、きれいに政権交代になればいいけれども、ねじれ
国会
が常態化したときにはどうするのかと。ですから、両院
協議
会を形式的なものではなくて、真剣に調整の場として今
議論
すべきであるということを提示されていた、よく記憶いたしております。残念ながら、あのときの
協議
会も形式的なものに終わってしまいましたけれども、西岡議長のおっしゃっていたことを私よく記憶をいたしておりまして、やはり
二院制
の
在り方
とこの両院
協議
会の
在り方
というのは急いで
議論
をしていただきたいと
思い
ます。 以上でございます。
小坂憲次
28
○
会長
(
小坂憲次
君) 各
会派
を一巡いたしましたので、他に
発言
を希望される方は、挙手の上、
会長
の指名を待って御
発言
願います。 なお、御
発言
は五分以内にお願いすることとし、一分前に予告の紙を提示させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。 鈴木寛君。
鈴木寛
29
○鈴木寛君
民主党
・新緑風会の鈴木寛でございます。 私も
関谷
会長
の下で
参議院
の
憲法調査会
の
幹事
をさせていただきました。本当に当時の御指導に心から改めて感謝を申し上げたいと
思い
ます。また、本日も本当にありがとうございました。現在は
民主党
の
憲法調査会
の
事務局
長をさせていただいておりますが、今日は個人的な
意見
ということで申し上げさせていただきたいと
思い
ます。 先ほど
江田先生
から
お話
がございましたが、いわゆる
日本国憲法
の三大原則、これを維持発展をしていく、その重要性ということについては私も全く
江田
議員
の御
発言
と変わるものではございません。 その中で、私が特に
関心
を持っておりますのは、この三大原則のうちの一つであります
国民主権
の発展という点でございます。そのための統治構造の進化ということに
関心
を持っております。 実は、
国民投票
法の
議論
のときに、投票率を条文の中に盛り込むのかどうかと、そういった
議論
がございましたが、当時は、この投票率については、
国民
が期待を膨らませてこの
憲法
論議に参画をし、そしてその結果としてそのような場合になった場合には投票に向かうようにすることこそがこの時代に生きる私たち政治家の務めだと、こういう
議論
が背景にあったように理解をいたしております。つまり、未成熟であった
憲法制定
権力をしっかりと育て上げて、そしてしっかりとした
憲法改正
権力の行使を実現することが今の時代の政治家の務めだというふうに考えております。 こうした観点から鑑みまするに、今現在、これ世界的な動きとも申し上げても過言ではないと
思い
ますが、いわゆる二十世紀の
民主
主義というものが危機に陥っているというふうに
思い
ます。 これは、価値観が多様化し、そして社会が複雑化する、国際化の進展、そういう中で、いわゆる物質的な価値至上主義を超えて、きずなの重要性などがその典型例でありますけれども、様々な価値観の実現ということが社会で求めている、そして
国民
の皆さんもそのようないろいろな多様な
思い
を持っておられる。それに対して、この統治構造が民意のくみ上げあるいはその集約という点で若干の機能の不十分な点があるということが、昨今の政治離れあるいは閉塞感ということにつながっているのではないかというふうな気がいたします。 加えまして、そこにいわゆるリップマンが言うところのステレオタイプ、あるいはテレポリティクスというものが、二項対立的な分断が社会に蔓延をしていると。こうした状況が続きますと、ハンナ・アーレントなども言っておりますが、全体主義という著書の中で代議制
民主
主義とその懸念というものを指摘しておりますが、そのことが顕在化しかねない、そういった状況にもあろうかと
思い
ます。まさに、現場の
課題
に対して、議会と市民の現場をつなぐ公共圏における熟議というものの充実が的確な問題解決というものにつながるというふうに
思い
ます。 私ども
民主党
政権は、鳩山内閣の下で、
松井
当時官房副長官などのリーダーシップにもより、新しい公共ということの重要性、あるいは熟議、文化の醸成ということを言ってまいりました。これは、すなわちは、まさに
国民主権
の原点に返ると、こういうことだと
思い
ます。 まさに、ステレオタイプ的
議論
に
国民
あるいは政治が翻弄される中で、真の
国民
の幸福、社会正義の実現を可能にする、そうした
民主
主義の創出、あるいはそれを促進する統治構造の進化、また、そうした熟議を担い得る自立し社会に貢献する真の主権者あるいは社会、国の担い手といった者をどのように育てていくのか、また自分たちがそのようになっていくのかというようなことが非常に重要かと
思い
ます。 そのような観点から、我が国に健全な
憲法制定
権力の形成に向けた
議論
がこの場を通じましても充実されることを強く期待するものであります。 本日は、
関谷
会長
、本当にありがとうございました。また、今後の御指導をお願い申し上げます。
小坂憲次
30
○
会長
(
小坂憲次
君)
西田
昌司君。
西田昌司
31
○
西田
昌司君
自民党
の
西田
昌司でございます。
関谷先生
、どうもありがとうございました。 私も
意見
を申し上げさせていただきますが、これは私の個人的
意見
でございます。 先生の
報告
の中にも
憲法制定
過程についての瑕疵があると、そのことについての問題点をこの中で述べられておられますし、今日の
意見
表明をされましたそれぞれの
会派
の中でもそのことを多くの方が問題視されておられます。ところが、そうはいうものの、それはそれで横に置いておきながら、個別の
議論
が次々次々生まれてくるんですね。例えば九条の
議論
もそうでありますし、この
非常事態
に対する
法律
、
法制
がないという、そういう問題が来るんですが、私は、
憲法
問題というのは、どこまで行きましてもその制定過程、そもそものその正統性があるのかということの
議論
をせずに個別問題に入ってくると、その
議論
のやみの中に包まれてしまって本質が見えなくなると思っています。ですから、まずはこの制定過程が、それぞれの
会派
の方々、問題であるということであるのならば、そもそもこの
憲法
自体が果たして有効性があるのかというところに行くべきなんですね。 ところが、これ六十年ほど使ってくると、実際それが有効に使われてきたんじゃないかというところで話が終わってしまうんです。しかし、そうじゃないんですね。私は、その問題についてはこの五分間では説明し切れませんので、また別の
機会
に続けて
発言
をしたいと
思い
ますが、まずはこの正統性の話を
議論
しなければ、個別問題に入っていくと本質を見誤ってしまうと。 特に、その本質問題でいいますと、日本の
憲法
といいますのは、それぞれの国、
憲法
がそうですけれども、国柄を表すものであると。国柄というのは何かということを考えますときに、例えばアメリカ合衆国のようにいわゆる人工的につくられた国と、また共産主義諸国のように革命によってつくられた国とは、根本的にはその成り立ちが違うわけですね。それは、よく
先生方
も伝統、文化、そういう言葉で使われますけれども、そのことをずっとたどっていきますと、
一言
で言えば相続ということに行き当たってしまうんですね。 つまり、我々日本人の主権というのは何からきているかというと、
憲法
によって保障される、そういう問題ではなくて、我々の先祖がこの国をずっと代々歴代にわたって守って伝えてきたと、その相続人としての権利なんですよ。ですから、その相続人としての権利ということを考えましたときには、国柄、国の伝統ということを最大限我々が尊重しなければ、我々の主権自体が実は否定されてしまうと。そこを
憲法
によってできているんだというふうに考えてしまうと、そもそもの日本の国柄というのが見えてこないんです。 何が言いたいかといいますと、そういうことを考えていきますときに一番象徴的に出てくるのが一つは皇室なんですね。皇室の存在というのがやはり日本の国の形を考える上では一番大きなものであります。ところが、今、この場で
議論
するのははばかられることかもしれませんけれども、この皇統が十分にこれから先も保障できるような状況にあるのかというと、非常にその辺に大きな問題を抱えているわけでありまして、そういうことを考えますと、私は、まず
憲法
の
議論
をするときには本質論から入らなければならないし、同時に、そのことを考えましたときに、まずは皇統が絶対に絶えないということを
法律
的にやっぱり我々が担保する仕組みをつくっておかないと、これはとんでもない話になると思うんですね。ですから、今、皇室典範の話は政府の中からも
議論
されていたようであります、真偽のほどはよく分かりませんが。そういうことも含めて考えなければならないと思っております。 それからもう一つ、その皇室に象徴されるのは、実は皇室に象徴されるように、我々は相続によってこの国を守ってきているんだということは、もう片っ方で家族という発想なんですね。日本人が一番大切にする家族というものの価値観を、実は今の
憲法
は何一つ、家族のカの字も書いておりません。それぐらい日本人の価値観とは非常に離れたところからできている
憲法
であると。 だから、二重三重にいろんな意味を含めて今の
憲法
には正統性がないし、そのことは皆さん方それぞれの
会派
の方も多くの方が共有されていることと
思い
ますので、
是非
、
関谷
会長
の
報告
の中にも冒頭にありましたように、制定過程のところから含めて、もう一度根本論をこの
審査会
ではしていただきたいと、そのことを私の
意見
とさせていただきたいと
思い
ます。
小坂憲次
32
○
会長
(
小坂憲次
君)
片山さつき
君。
片山さつき
33
○
片山さつき
君 御指名いただいてありがとうございます。 ついにこの会が始まり、
検討
が始まることを大変喜んでおります。 私も、今から申し述べさせていただくのは私個人の
見解
なんですけれども、
憲法
議論
というと、私
自身
は
安全保障
の問題を今までずっと中心にとらえてきたんですが、昨日の結果も受けて、国と地方の問題というのが恐らくいろいろな
憲法改正
手続の時間の
経過等
を考えるのとは別の時間の動きの中で出てこざるを得ないような状況に今なっているのではないのかなと考えております。 今、
調査報告書
と
関谷
前
会長
のお考えと陳述を伺わせていただいて、国と地方の
部分
をまた改めて読ませていただき、また我が
自民党
の方でも、地方分権と道州制を進めつつも、その
部分
を
憲法改正
案に具体的にどこまで細かく詰めて具現化するかまでは立ち至ってはいないわけでございます。 特に、今回、大阪の都構想というものが出てきまして、九十五条の条文を使えば、その地域だけに適用される
法律
を住民投票をもって通すことは可能でございますが、そのことによってどういう
状態
が起きるかというと、今、現行
憲法
の下、それから戦前からの特別区を引き継いでしまった特別区制度の下でそれをやると、区になったところの地方自治の基礎自治体としての権利というんですか、
憲法
上しっかり認められた基礎自治体としての権利がない
部分
の大きな基礎自治体的なもの、準ずるものが増えていくことになるんですね。それについて、では、それが
国民
の間に広く
認識
されているかというと、決してそのようなことではありません。 その辺の
議論
も含めながら、長いこと国と地方の
在り方
についての
議論
がこの
憲法
の
議論
の場でも堂々巡りになってきたわけですが、そこで、今の閉塞した状況の中で、その
国会
での堂々巡りの
議論
はどうあれ、行政改革をするために、どうにもならない地方経済を何とかするために、どうにもならないこの赤字を何とかするためにという
議論
が出てきてしまっているのであれば、それはこの会なり
国会
の
議論
としてきちっとこれに対応することがないと、
国民
全体の政治に対する要求にこたえていることにならない可能性があるんですね。 つまり、今の
憲法
の九十三条、九十四条、九十五条というものの下で九十五条の住民投票を通って新たに出てくる新しいタイプの自治体というのは、地方自治の
議論
の中でずっと自治が高まってきた自治体よりも自治度が下がってしまう可能性があって、それは、この
報告書
の中にあるいろいろな
議論
で、基礎自治体の地位を高め、どんどんどんどん地方分権する、できることは地方分権の方にやっていくという
部分
とずれてしまう可能性があるし、全体としての国と地方の権限調整や財政調整は
国会
が担うべきではないかという
議論
をこの会でもしてきたはずなんですけれども、そことの調整をどうするかという問題も出てくるので、大阪都構想と、まだ中京都構想と新潟州都構想というのが今あるものの
三つ
だそうですが、その
三つ
はお互いに非常に違いますし、現行の東京都と特別区の
関係
とも違うようでございますし、現実に区割りをやりますと、これは物すごくもめるものでございます。 私の先祖は東京に区をつくるときの区割りの担当を東京府と東京市でしておりましたので、いかに苦労するかという
お話
はそれだけでも分かるんですが、ただ、
法律
上はできるわけですから、それを執行するときに止まっても、それについての見識や
見解
が
国会
の側にないということはあってはいけないと思うので、今後の中で恐らく国と地方の
関係
というのがこの
憲法審査会
でもより大きな地位を持たなければいけないし、我々も
国民
の信託、請託から逃げずに、より良い国と地方の
在り方
、財源調整をどうするか。特に、大阪の場合のように、大阪府も大阪市も恒常的に交付税をもらわなければやっていけない
状態
になっている場合、首都のように恒常的に黒字だから特別なことをやってきたのとは違う場合があちらこちらにできてくる場合にどう考えるかということについてもきちっと
検討
しなければいけないと思っております。 以上でございます。
小坂憲次
34
○
会長
(
小坂憲次
君) 増子輝彦君。
増子輝彦
35
○増子輝彦君 ありがとうございます。 今日は、
関谷先生
、本当にありがとうございました。御礼申し上げます。
民主党
・新緑風会の増子輝彦でございます。私も
衆議院
時代に、
憲法調査会
、
衆議院
時代に参加をさせていただきまして、今日再びこのように、
参議院
、
衆議院
とも
審査会
における論議がスタートしたこと、大変喜んでおります。 今日、実は一部、これは
関谷先生
や川口先生の方からも、今回の
東日本大震災
がこの
憲法
論議を少しやらなくてもいいようなことをおっしゃる方がおられるというような
発言
がありました。私は、
東日本大震災
と福島原発の事故に関して、このことが
憲法
論議を妨げるということの障害には全くないと
思い
ます。そういう方々がおられるならば、
是非
私たちは声を大にして、この
憲法
論議と
東日本大震災
と福島第一原発の事故の
関係
については全く違うということを
是非
、
審査会
の皆さんにも声を大にして言っていただきたいと
思い
ますし、また、今、我々被災県の者として極めて深刻な依然として状況にあることを
是非
改めてこの
審査会
の中で皆様方に御理解をいただきたいと
思い
ます。 私も、個人的でございますけれども、この三大
基本原則
、当然これがあっての
憲法
でありますし、私は
基本
的には、かつて
自民党
を離党したときに、新党みらいという
政党
の中の、五月三日の
憲法
記念日に論憲という考え方をいち早く出した
政党
であるということを私たちは大変誇りに思っておりましたけれども、これに加えて、様々な
憲法
論議の中で今出ていることは承知しております。
是非
この
憲法審査会
を通して様々なものをもう一度皆さんと一緒にやっていきたい、そのことを私は今日あえて申し上げさせていただいて、
発言
に代えさせていただきます。ありがとうございます。
小坂憲次
36
○
会長
(
小坂憲次
君) 白浜一良君。
白浜一良
37
○白浜一良君
公明党
の白浜一良でございます。
関谷先生
、今日は本当にお忙しいところお越しいただいて貴重な御
意見
ありがとうございました。久しぶりにお声を聞きまして、うれしかったでございます。 我が党の
基本
的な
見解
は先ほど魚住さんが申し上げましたけれども、私も
調査会
が
平成
十二年にできたときに我が党の最初の
幹事
でございまして、そういうことで一番長くかかわっておりますので、
一言
所感を述べさせていただきたいと
思い
ます。 今日いろいろ
議論
を聞いていまして、私はもう
一言
だけです、申し上げたいのは。もう本当に教条的な
憲法
議論
はやめようと、このことを申し上げたいわけです。もう戦後ずっとやってきているわけでございまして。 と申しますのは、先ほど少し話ございましたが、昨日、大阪の知事選、市長選がございましたけれども、私、大阪市内に住んでいるものですから、いろんな今日、論評されておりますけれども、大阪に住む者として結局いわゆる大阪を何とかしたいと、再生したい、復興させたいという強い気持ちが維新の会の勝利ということで現れたわけでございます。 問題は、それだけ大阪府民の民意があるならば、いわゆる
政党
がそれを受け止めるべきところではございますが、ある意味で、我が党は自主投票にしましたけれども、
政党
の方が敗北しているわけですね。要するに、そういう現実があるということを私はもう直視しなけりゃならない。これは大阪だけじゃないと思うんです、閉塞感があるのは。日本全体に地方の閉塞感があるわけでございますが。 しかし、先ほども少し
意見
がございましたが、
憲法
を見ますと、地方自治は四条しか書かれておりません。地方自治の本旨とは書かれているけれども、中身がない。そういう現状であるわけで、私は、ですから、こういうある意味で住民と
政党
の主張との乖離というものがなぜ起こるのかと考えた場合に、先ほど少し話がございましたが、やはり
国会
において国と地方のかかわりを本格的な
議論
もしてこなかった。全て
憲法
の規定が少ないから十分じゃないからそういう現実が起こっているとは私は申し上げません。しかし、間違いなしに
議論
が少ないからそういう住民の意向をくみ上げていないのは事実でございまして、一政治団体の維新の会があれだけ圧倒的に住民の意向を体して勝利を市長選、知事選においてするという現実を私たちは直視しなきゃならない、このように思うわけでございますし。 まして、戦後六十六年を過ぎました。あの敗戦の地から今日まで日本の復興のために
国民
は一生懸命働いてきたのは事実でございますが、しかしあの戦後経済復興を支えた基幹産業が空洞化しつつあるわけでございます。また、社会保障をつくり上げてきたけれども、今のような雇用形態でつくり上げた社会保障がもつのかどうかという大きな問題にも直面しているわけでございまして、そういう意味から、私はこの
憲法
を論ずる場合も教条的な
議論
だけでは余り意味がないと。本当にこの日本の国をどうするのかと、
国民
生活を守るというのはどういうことなのかという地点からこの
憲法
を
議論
もした方がいいんじゃないかということを
一言
申し上げたいと
思い
ます。
小坂憲次
38
○
会長
(
小坂憲次
君) 衛藤晟一さん。
衛藤晟一
39
○衛藤晟一君
関谷先生
、どうもごぶさたいたしております。 私も
衆議院
のときにも
調査会
の方でちょっと
議論
させていただいて、やっと
参議院
の方でこうして
議論
ができるということを本当に有り難いというように思っています。 先ほど我が党の
西田
さんからも
お話
ございましたけれども、やっぱり
憲法
のできた歴史というのはいろんな過程があったと。それは、大きく
国会
議員
としてこの流れは冷静に受け止めなければいけないんではないのかという感じがします。やっぱり
憲法
ができたときの制定過程というのは、日本が敗戦を迎え、そして占領という中で、アメリカが日本をどういう具合に統治するかということで
基本
的に日本に作った、あるいはこの中に近衛さんもいろいろかもうとしたりと、いろんなこともありましたけれども、その中でも日本の中でこの動きに一部呼応する人もいたし、逆に言えばその動きを防ぐために早く乗れという人もいたし、そういう中で
日本国憲法
の形が出てきたという具合に
思い
ます。 それがやっぱり昭和二十四年ぐらいまではそういう形でしたけれども、今度はアメリカの方は、昭和二十四年に言わば中華人民共和国が成立したとか、あるいはその後の朝鮮動乱ということが起こることによって明らかにアメリカが方針転換をしたわけでありまして、だからこそ逆に言えば日本の占領が七年間で終わったということだと
思い
ます。 ですから、それから起こってきたことは、当初の四年間は日米
関係
の考え方の違いの中から、アメリカははっきりと日本に対してこういう
憲法
を作れという具合に言ってきた。しかし、それはある意味ではそのもくろみがアメリカは外れたというか、そういう中で、昭和二十四年から六、七年掛けての動きの中で大きな方向転換をしてきたと。それはやっぱり米ソ冷戦の中での日本に対する位置付けの転換が行われてきたと。だから、そういう中で日本の独立があったということが冷静な事実だと
思い
ます。 そんな意味では、やはりそのころのことを考えると、今の日本は、例えば
基本
的な
人権
というか、そういう権利というものはちゃんと確保しながらいかなきゃいけないということと同時に、これをどうやっぱり今からやっていくのかという、国づくりについて明らかに考えていかなきゃいけないときが来ているという具合に
思い
ます。もう少々、そういう意味では遅きに失しているんではないのかという感じがします。 今、片山先生からの
お話
ございましたが、明らかに、日本がずっと取ってきた、明治のときに廃藩置県をやって都道府県制度をつくって、そしてその中から戦後日本は政令市みたいなことをつくってきましたけれども、その矛盾が出てきたのが今回の大阪のダブル選挙、知事と市長のダブル選挙であったような気がします。そういうところに我々はずっと手付かずで残してきたという問題が出てきた。 ですから、今この
憲法
を
議論
するということは、やはり改めてあの
憲法
を作ったときアメリカの意思はどういうことにあったのか、その中で日本にとってはどうなのかということをやっぱりはっきり考えなきゃいけないし、そしてまた、その後の米ソ冷戦の中でそういう位置付けが行われて、そしてそれが終わってまた
平成
という時代になって、終わった中での今アジアの状況というのは非常に厳しい状況にあるわけでありますけれども、そういう中で日本がどう生き残るのかと。 そしてまた、改めて、中央と地方の
関係
だとか、あるいは
公務員
制度の
在り方
一つにしても、この
基本
的な問題は、ほとんど実は昭和二十四年に決められた問題であるからこの問題大きく含んでいるし、例えば農業の問題だって、アメリカが非常にやってくれた農地改革というのは自作農をつくって非常にうまくいったけれども、もうそれだけではやっていけないというようなところまで来ているということは明らかですから、その
経過
を踏まえながら日本がどういう国づくりをしていくのかというときに差しかかっているということが私は
憲法改正
の一番必要なところではないのかという具合に正直言って考えています。 ですから、徹底的な
議論
をしなければいけないというように思っています。どうぞよろしくお願いします。
小坂憲次
40
○
会長
(
小坂憲次
君) 有村治子君。
有村治子
41
○有村治子君
自由民主党
の有村治子でございます。
関谷勝嗣
先生、
会長
でいらしたときには
会長
職ゆえになかなか御
自身
の御
意見
の開陳がかなわなかった中で、
会長
職を御経験の先輩として貴重な御
意見
をいただいたことを心から感謝申し上げます。 また、賛同するかどうかは別にして、
各党
会派
の御
意見
、
江田
五月先生から始まりまして川口順子先輩始め、
各党
、各
委員
の御
意見
も本当にその特徴を表していて、なるほどそういう考えもあり得るのかという意味では、改めて党派を超えてお一人お一人の御
意見
に心から敬意を持った次第でございます。 その上で、
共産党
さんが、こんな大事な
憲法
のことを
国会
対策上、俎上に上げて
憲法審査会
を開始するのはおかしいというふうにおっしゃったんですけれども、逆の意味で私は、
国会
対策上、
民主党
さんのなかなかこの
審査会
の名簿が出されてこなかったという
国会
対策上の遅れたことに関しては非常に残念に思っています。それが議院
運営
委員会
でも何度も何度も交渉の末、今日の実現に至ったことは改めて良かったなというふうに思っています。 その上で一点。
民主党
の増子
議員
もおっしゃったことですが、やはりこの三・一一の
東日本大震災
を受けて、
非常事態
に対する
事態
、
国家緊急権
という
お話
もありましたけれども、まさにこのような
国民
の暮らしの基盤の土台を揺るがすような
事態
に直面する中で、やはり個々の権利義務あるいは社会の要請とか社会的責任に強い影響を及ぼす
事態
が発生した、またこれからも発生する蓋然性が低くないからこそ、
憲法
によってその範囲内で国家統治を明確にして、
国民
生活を脅かす
非常事態
に法治国家として立ち向かうということが極めて大事で、その中で国家
国民
益につながる公益をしっかりと担保していくというきずなを法的にしっかりと明確にして、その範囲内での私たちが遵法精神を明確にするということが大事だと
思い
ますので、むしろ三・一一あるいはそれ以外の天災ということを中心にして、どのような制約が公益を実現するためにハンディになったのか、あるいはメリットになったのかということを、この時期だからこそ、私たち
国民
の代表、各層各地域の代表である議会人が明確に謙虚に耳を傾けて考えを広めて、そして、それぞれの
各党
各派の
意見
を開陳をしていくことが極めて大事だということのリクエストを
会長
にも
是非
今後の俎上に上げていただきたいということを
意見
表明をさせていただきたいと存じます。 以上です。ありがとうございます。
小坂憲次
42
○
会長
(
小坂憲次
君)
山谷えり子
君。
山谷えり子
43
○
山谷えり子
君
関谷勝嗣
先生、ありがとうございました。
自由民主党
、
山谷えり子
でございます。 占領時代に
憲法
と教育
基本
法という日本の背骨に値する大事な二つの
法律
が占領軍によって作らせられました。昭和二十七年四月二十八日、主権を回復して来年で六十年目になるわけですが、私たちは、占領時代にどのようなことが行われたか、のまざるを得なかったかということを冷静に見詰めていく必要があるというふうに思っております。
憲法
の前文に、「平和を愛する諸
国民
の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という文章がございます。これは全く現実を見ていない空想的なわび証文であり、また主権国家としてあり得ない表現だというふうに
思い
ます。これをただすことすらできなかったこの長い長い年月というのは、本当に日本は知的怠惰であったし、そして主権国としての責任と覚悟がなかったのではないかというふうに
思い
ます。北朝鮮のような国によってどれだけ同胞がこれまで拉致されてきたのでしょうか。あるいはまた、竹島、今実効支配されておりますけれども、我が国の領土すら守ることができない。 私は、イラクの戦争の後、復興支援のためにイラクに参りましたが、そのとき連合当局と日本が
自衛隊
、どのような活動ができるかをいろいろ話し合ってまいりました。そのとき日本は、例えば水を配る、学校の修繕、補修をする、それすら
自衛隊
はできないわけです。他の軍隊によって守られながらそうした復興支援活動をしなければならない。それは
憲法
の解釈でできるかもしれませんけれども、非常に現実を見ていない日本の
憲法
によって、日本は主権国家としての当たり前の独立した行動もできなかったのではないかと
思い
ます。 これから本当に、グローバリゼーションの中で、今のような足かせをはめられたような形で主権国家として進んでいくというのはますます難しくなっていくのではないかというふうに思っております。国柄を守り発展させていく、そして国の形を時代に合ったものにしていく、こうした視点から
議論
を進めていただくことをお願いしたいと
思い
ます。今上陛下まで百二十五代、君民一体で我が国はすばらしい国柄を紡いでまいりました。正直、親切、勤勉、チャレンジ精神、親孝行、世界で最も古い連綿とした歴史、伝統、文化を持つ我が国、これは御先祖様から受け継いできたものであり、私たちがその国柄を発展してバトンを渡していく必要があります。そのためにも家族というものは保護、尊重されなければならない、そうした視点も
憲法
の中に入れていくことが大切だと考えております。
小坂憲次
44
○
会長
(
小坂憲次
君)
松井
孝治
君。
松井孝治
45
○
松井
孝治
君
民主党
・新緑風会の
松井
孝治
でございます。
関谷先生
、今日は大変貴重な
お話
をいただきましてありがとうございました。私も
関谷
会長
時代の
憲法調査会
に所属させていただいた一員として、過去の経緯をもう一回
思い
出させていただき、そしていろんな示唆を改めてちょうだいしました。心から御礼を申し上げます。 また、今日、
会長
から
会長代理
を御指名をいただきまして、本日も提起されたような多様な
意見
、それぞれに私どもがきちんと心に刻んで
議論
しなければいけない多様な
意見
が今日も提起されたと
思い
ます。
是非
、
会長
を補佐して、各
会派
の御
意見
を、できるだけ多様な
意見
を取り入れて、しかし前に向いて進めていかなければいけないと
思い
ます。 私個人としては、今、先ほど来御提起になられている日本の伝統、文化というものをしっかりと踏まえながら、そして、しかし国際
関係
、今の近代国家のありようというものも問われている
部分
もしっかり問い直しながら、やはり国の形というものをもう一回見詰め直す、そういう
憲法
を再度
議論
していく必要があると思っております。 同僚の鈴木寛
幹事
からは新しい公共という
議論
もありましたけれども、例えば今ほどございましたような国と地方の
関係
、これも
憲法
の中の地方自治、地方自治法にどこまで委任しているという状況でいいのかどうか、あるいは言及のない家族というような制度というのをどうとらえていくのか。あるいは中央政府、あるいは
国会
の中での
衆議院
、
参議院
、私も
二院制
の小
委員会
でも
議論
させていただきましたが、その
在り方
が問われていますし、選挙制度にもかかわってくる問題でございますので、今日も提起された御
議論
をしっかり、さらに次回以降も継続して、そしてもう
憲法調査会
ではなくて
憲法審査会
に立ち至っておりますし、具体的な
宿題
もあるわけでございますから、できるだけ各
会派
の
意見
を糾合しながら、我々は
参議院
としての使命を果たしていきたいと改めて感じた次第でございます。 本日は誠にありがとうございました。
小坂憲次
46
○
会長
(
小坂憲次
君) 御
発言
も尽きないようでありますが、予定の時刻も過ぎておりますので、本日の
調査
はこの
程度
といたします。 この際、
一言
御挨拶申し上げます。
関谷参考人
には、大変貴重な
お話
をいただきまして誠にありがとうございました。
審査会
を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会