○石田祝稔君
公明党の石田祝稔です。
ただいま
議題となりました
復興庁設置法案について、
公明党を代表して質問いたします。(
拍手)
三月十一日の
東日本大震災の発災から八カ月が過ぎ、本年も、あと一カ月
余りとなりました。改めて、お亡くなりになられた
方々に対し、心からの御冥福をお祈り申し上げます。また、今なお三十三万人に及ぶ
皆様が避難
生活を余儀なくされております。一日も早くもとの
生活に戻れるように
与野党を超えて取り組まねばならないと強く決意するものです。
私は、党にあって、
東日本大震災対策本部の事務局長、また、
復興特区・
復興庁検討プロジェクトチーム座長の任を務めていることもあり、我が党の全国の地方議員から、連日のように
東日本大震災からの
復興に関する
意見や
提言が数多く寄せられています。さらに、
公明党では、
国会議員が率先して、土日を中心に毎週のように
東北三県を初め被災現場に赴き、被災
自治体の首長を初め、
被災者の
方々とひざ詰めの対話をしています。この現場における対話、そこから生まれる共感と
復興への決意こそが最も大事なことで、真の
復興を後押しする根源の力と確信しています。
復興庁設置について、この現場からの声を基本に据えて、以下、具体的に質問いたします。
政府は、
復興庁について、
復興基本法で「可能な限り早い時期に法制上の
措置を講ずるものとする」と定めていますが、この
復興基本法は六月二十日に
成立、しかし、
復興庁設置法案が
国会に提出されたのは、今月に入った十一月一日です。実に四カ月以上もの時間が過ぎています。
そもそも
復興庁は、
公明党を初め野党の主張を
政府が受け入れる形で
復興基本法にその
設置が定められたものであります。
東日本大震災から市街地などを
復興するためには、土地利用だけをとってみても、市街地は国土交通省、農地は農林水産省など、霞が関の縦割りによる
手続を必要としていました。そこで、
復興を迅速かつ強力に進めるために、
復興に関する
施策の企画及び立案並びに総合調整、実施までを一貫して行うスーパー官庁として、
復興庁を提案いたしました。
しかし、この
政府案の
復興庁は、スーパー官庁構想は骨抜きにとメディアが報じるほど、
公明党が提案し、また、想定された
復興庁とは異なったものになっていると言わざるを得ません。
復興基本法では、
東日本大震災からの
復興に関する
施策の企画立案、総合調整、そして実施までを
復興庁のつかさどる事務として定めています。しかし、
政府の
復興庁設置法案では、なぜか実施のみが切り離されてしまっているのです。
当初、
復興庁について、
政府案では、附則で検討項目とされ、一年後に検討とされていました。私は、これではとても
被災地、
被災者の期待にこたえることはできないと思わざるを得ませんでした。
公明党は、
復興債の
発行、
復興特区、
復興庁の
設置を提案しました。
与党もその考えに理解を示し、結果として、閣法を取り下げ、議員提案で
復興基本法を
成立させました。
私たち野党は、修正
協議の中で、一日も早く
復興庁を
設置すべきと強く主張いたしました。
政府からは、
復興庁の所管する事務などについて二重行政にならないように配慮するので一定の時間がかかる等の
説明を耳にしましたが、
政府案の
復興庁では、他省庁から
権限を移すような
規定にはなっていません。各省庁の調整の痕跡など、みじんもないではありませんか。
一体、なぜ
法案提出にこんなにも時間がかかったのか、全く理解に苦しみます。
総理に明確な答弁を求めます。
復興等の実施
権限について伺います。
企画立案や総合調整については、
東日本大震災からの
復興のための
施策などと大きな範囲を対象として
規定している反面、実施する事務については、
復興推進計画の認定、
復興特区支援利子補給金の支給、
復興交付金の配分計画などと、実施の具体の例は極めて限定なものになっています。
復興庁設置は、決して、
復興特区へ国のお金を配ることを
目的として
復興基本法に盛り込んだわけではありません。いわゆる受付官庁、
資金配付官庁ではないのです。いや、そうであってはならないのです。
東日本大震災からの
復興のための
施策を一体的かつ強力に進めるためのものであったはずです。
思えば、
復興債の
償還期間について、
総理はたびたび「
償還の道筋を明らかにする」という
復興基本法の
規定を引用されており、
復興基本法の
規定を重要視されているものと
認識しています。その
総理が、なぜ、
復興基本法に定める
東日本大震災からの
復興に関する
施策について、企画立案や総合調整と
施策の実施とを切り離し、十分な実施
権限を持たない
復興庁設置法案を提出されたのか。
復興庁設置法案のどこに、
復興に関する
施策の実施に係る事務があるのか。
総理が今
国会の所信表明演説でおっしゃった「前例にとらわれず果断に実行する力強さをあわせ持った機関」とは、一体何を指しておっしゃっているのか。
政府案の
復興庁は、一体何の事業を前例にとらわれず果断に実行するのか。
総理の答弁を求めます。
私は、実施に係る事務について提案いたします。瓦れきの処理を一元的に行う事務を
復興庁に所掌させてはどうか。
瓦れきの処理は、最終の処分まで膨大な仕事量となります。全国的に
自治体の協力も得なければなりません。さらに、放射性瓦れきの処分も大きな課題であります。処分の方法、処分地の
確保等々、まさに省庁の縦割りを排して一体的に取り組まねばなりません。
総理の答弁を求めます。
実施の事務については、今後、
委員会の
質疑を通して、さらに提案してまいりたいと思います。
復興庁の総合調整について伺います。
政府案では、
復興庁は、他の省庁に対して円滑な
復興事業を促す勧告権を与えられていますが、この勧告権は、現在、各省庁の総合調整を担う
内閣府が持っている
権限ですが、今日まで、
内閣府が各省庁に対して勧告権を行使した事例というのはあるのでしょうか。また、
政府は、
復興庁が勧告権を行使する要件について、具体的にどのようにお考えでしょうか。勧告権がどう機能するのか、すなわち、組織上、通常の省庁より上位に位置づけられた
復興庁が、この勧告権で各省庁の縦割りをどのように排することができるのか、よくわかりません。
総理の答弁を求めます。
さらに、
復興庁の
設置に当たっては、どのように人材を集めるのか。
現在
内閣府に置かれている
復興対策本部を初めとして、各省庁から人材が集められ、
復興庁が組織されることになるかと思われますが、
政府案では、
復興庁を
内閣府と同等の位置、つまり、各省庁より一段高いところに位置づけています。
企画立案や総合調整などに当たっては、大局的な見地からの判断が必要です。各省庁から集められた人材が、縦割り的な視点から、出身省庁を過剰に意識しないのか、いわゆる省益といったものにとらわれずに仕事をすることができるのか、ここは、まさに、
復興庁の長たる
野田総理のリーダーシップが問われる場面であります。
総理の
認識を伺います。
東日本大震災という
未曾有の国難を乗り越えるため、
復興庁には、官民を問わず、広く我が国の持てる人材の総力を結集する必要があります。
事実、発災直後から、
被災地では、国際機関、民間団体に在籍する多くの
日本人が救援、応急
対応に奮闘してくださいました。世界各地で紛争や
災害の
被災者支援や
復旧復興に活躍した実績を持ち、高い能力とノウハウを備えた民間人が、
復興庁でその力を遺憾なく発揮できるようにすべきであります。
また、
被災地を最もよく知る被災
自治体の職員やそのOBを初め、全国の地方公務員やそのOBについても、活躍できるようにすべきではないでしょうか。
これらを踏まえ、民間人や地方公務員等の採用については、別途定員枠を設けるべきと考えます。あわせて、
復興庁が本格稼働する来
年度以降の
復興庁全体の定員について、その
規模、中身をどのようにお考えになっているのか、
総理の答弁を求めます。
復興局について伺います。
政府案では、
復興庁の
権限の一部を
復興局に分掌させ、ワンストップでの
対応を行うということになっております。しかし、例えば
復興計画の認定など、被災市町村との調整が重要な事務の
権限を
復興局が持たなければ、
復興局と本庁との両方を行き来せざるを得ません。
具体的に、どの程度まで
復興局に
権限を持たせるのでしょうか。例えば、
復興局限りで決裁できる事業費はどの程度になるのかなど、
予算、人事も含め、具体的かつ明確にお答えください。
総理の答弁を求めます。
また、
政府案では、岩手、宮城、福島の三県に
復興局を
設置した上で、支所を
設置することとしています。支所は、被災市町村からの相談、要望を受ける機関となることが期待されるところですが、果たして十分な人材が
確保されるのでしょうか。
総理もよく御存じのように、
東日本大震災で甚大な被害を受けた市町村の
復興に当たっては、非常に広範な事業が必要です。その非常に広範な事業の相談、要望を、
復興庁のもとに
設置した
復興局のさらに下部に
設置した支所で
対応し切れるのでしょうか。また、支所を
設置する基準等はどのようにお考えになっているのか、
総理の答弁を求めます。
政府の
復興庁設置法案では、
復興局の位置を、盛岡市、仙台市、福島市としていますが、例えば岩手県では、甚大な被害を受けた沿岸部から盛岡市まで、車で約二時間はかかります。より被害の大きいところにこそ十分な対処をするという
観点からいえば、沿岸部に
復興局を
設置するということも考えられるかと思います。
この
復興局の位置は、沿岸部の被災市町村の首長を初め、各
自治体の実務者などの声を実際に聞かれた上での判断なのでしょうか。また、なぜ
復興局を県庁所在地に置かなければならないのか、その明確な
理由を
総理に伺います。
全壊した家屋三千二百二十五軒、半壊は二万三千五軒。これは、今月十八日時点での茨城県の住宅被害状況です。
政府が
復興局を置くとしている岩手県、宮城県、福島県以外にも、
東日本大震災で甚大な被害を受けた県があります。
現在、
政府には、茨城県の
震災対応を担当する部局はなく、担当者すらいない状況のようですが、これでは、
政府の不作為により
震災復興をおくらせることになりかねません。岩手、宮城、福島以外の被災県について、担当者、担当部局を明確にしなければなりません。
また、
復興局でワンストップ
対応といっても、では、
復興局の置かれる三県以外は一体どこで
対応するのか。相談、要望、そして特区の認定と、すべて、東京に
設置予定の
復興庁の本庁に行かなければならないのでしょうか。
被災地に寄り添う優しさを持った
復興庁とすべく、岩手、宮城、福島以外の各
被災地にどのように
対応するおつもりなのか、明確な答弁を求めます。
復興推進
委員会について伺います。
復興推進
委員会は、単なる
復興構想
会議の名称
変更にとどまってはなりません。
委員会には、
被災地に密着した方や、
被災者の声なき声をも代弁できる方を登用するとともに、女性、子供、障害者等、多様な
意見が反映できる体制を整えるべきと考えます。
復興構想
会議からメンバーを選んで
規模を縮小することは適当でないと考えますが、いかがでしょうか。
また、
復興庁設置法案には、
復興推進
委員会の役割として、
復興のための
施策の実施状況を調査審議することが筆頭に挙げられております。その使命を果たすため、同
委員会の
被災地での開催を求めます。現地からもそうした
意見が寄せられております。
総理の明快な答弁を求めます。
復興庁の発足時期について伺います。
復興庁設置法案は、
震災発生から七カ月がたってようやく
国会に提出されました。
復興特区法案も
復興庁設置法案も、本当に、遅過ぎると言わざるを得ません。
復興庁が一日早く発足すれば、
予算執行と
復興の事業展開が一日早く進みます。私は、遅くとも来年三月十一日、発災一年までには
復興庁を発足させるべきと考えます。
総理の決意をお聞かせください。
最後に、
被災地には既に寒い冬が訪れました。いまだに仮設や借り上げ住宅等に暮らしている
方々、事業の再開を目指して必死に奔走する
方々、住みなれた土地から離れ、
生活の再建、地域の再興を信じて耐え忍んでいらっしゃる
方々のために、私たち
公明党は、全身全霊を挙げて、
復旧復興に一層尽力してまいる決意であります。
政府・
与党には、菅
政権下での大幅なおくれを取り戻すべく、
復旧復興に
全力を挙げて取り組むことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣
野田佳彦君
登壇〕