○内閣
総理大臣(野田佳彦君) 前原議員からは、大変力強い激励も込めて御質問をいただきましたこと、恐縮でございます。
まず、第三次
補正予算や今後の
震災復興施策に対する政党間協議や
国会審議の成果の反映についての御質問をいただきました。
先週金曜日の
所信表明演説において、被災地の
復興、原発事故の収束などを大きく加速するために、一日も早く第三次
補正予算とその関連法の成案を得て実行に移すことの重要性を申し上げ、そのために、
政府・
与党と各党会派との共同作業が必要である点を強調させていただきました。
第三次
補正予算とその関連法について、今後、その
内容について丁寧な
説明に努め、並行して行われる政党間協議の結果について柔軟に
対応するとともに、
国会審議における各党会派の御提言に真摯に耳を傾けてまいりたいと考えております。
次に、
国民に
負担をお願いする際の
政治家の覚悟と器量についての御質問をいただきました。
これも、先週金曜日の
所信表明演説でも申し上げましたとおり、まず何よりも、
政府全体の
歳出削減に断固たる決意で臨むことが肝要だと考えております。
国家公務員の
人件費削減については、
国家公務員の
給与引き下げ法案を既に
国会に提出しており、その
早期成立に努力するとともに、私と
政府の政務三役の
給与については、
法案の
成立を待つことなく、自主返納することにいたしました。
また、行政刷新
会議においては、行政の無駄や非効率の根絶に粘り強く取り組むだけではなくて、
政策や
制度に踏み込んだ、
国民目線での提言型
政策仕分けを行います。
さらに、出先機関の原則廃止などの地域主権改革や天下りの根絶など、あらゆる
施策を通じて、
人件費の
削減や行政の無駄根絶に徹底して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
所信表明演説では全般的に
政治家の覚悟と器量を呼びかけるというお話をしましたが、一番覚悟と器量を求められるのは私だと思っています。そのことをしっかりと踏まえて
対応していきたいというふうに思います。
次に、日本郵政株やJT株売却等による
税外収入のさらなる
確保について、具体的に明らかにせよという御質問でございました。
復興財源については、
歳出削減や
税外収入の
確保に努め、できるだけ時限的な
税制措置の幅を縮小していくことが重要と考えています。
政府としては、日本郵政株式の売却を初めとする
税外収入等による
財源確保に努め、
財源確保額が確定した場合には
財源フレームの
見直しの際にその
財源確保額を織り込むこととし、仮に
財源確保額が
事業規模の増加額よりも多い場合には時限的な
税制措置を
減額することとしています。
JT株、エネルギー特会の保有する株式については、前提
条件について
検討した上で、売却可能になれば速やかに売却することとしています。
また、日本郵政株式については、郵政改革関連
法案の
早期成立を図り、その後の経営
状況等を勘案しつつ、速やかに売却することとしております。
続いて、
復興庁の人員・組織体制、
復興特区、
復興庁の支所についての御質問をいただきました。
復興庁の人員・組織体制については、強力なリーダーシップのもと、縦割りを排除し、被災地の要望にワンス
トップで
対応できるよう、内閣
総理大臣を
復興庁の長とし、事務を統括する
大臣として
復興大臣を置くとともに、岩手、宮城、福島の三県に
大臣政務官が担当する
復興局を設置するなど、強力な体制を整備することとしております。
また、
復興特区
制度は、
復興に必要となる規制や
税制の特例
措置に加え、地域の提案に基づき、国と地方の
協議会での協議を経て、特例を迅速に追加、充実する仕組みを導入することとしております。
さらに、
復興局が置かれる三県以外の被災地域についても、被災自治体に対する支援等を現地でしっかりと行うことができるよう、被災自治体の御
意見を伺いながら、必要な体制を
検討してまいりたいと考えております。
二重債務問題に
対応するための新たな機構設立及び被災地の働く場所の形成についてのお尋ねがございました。
いわゆる二重債務問題について、
政府としては、各県に産業
復興機構を設立すべく、県や地域金融機関と精力的に調整を進めております。岩手県では十月七日から相談業務を開始しており、まずはこうした
取り組みを着実に進め、一人でも多くの被災者の救済が実現するよう、全力を尽くしてまいります。
他方、先日、三党協議の結果、合意に至った
東日本大震災事業者再生支援機構については、小規模
事業者、農林水産
事業者、医療福祉
事業者など、各県の産業
復興機構による支援の対象とすることが困難なものをその支援の対象とし、各県の産業
復興機構と相互補完しつつ支援の拡充を図るとされているものと承知をしております。
今後、
東日本大震災事業者再生支援機構に関する
法案が
成立した暁には、三党合意の
趣旨を踏まえ、両機構が連携しつつ着実に被災者の救済に当たれるよう、体制の整備等にしっかりと取り組んでまいります。
また、被災地の厳しい雇用
情勢にかんがみ、雇用なくして被災地の再生はないと強く考えているところであります。
今後、本格的な安定雇用を生み出すため、急速な
円高等による産業空洞化リスクに
対応するための立地補助金や、
復興のリード役となり得る中小
企業等のグループの施設設備の復旧整備を支援する中小
企業等グループ補助金を活用します。
また、第三次
補正予算を踏まえた「日本はひとつ」しごとプロジェクトフェーズ3に基づき、農林水産業、製造業、医療福祉などの
復興を図る産業
政策と一体となった雇用面での支援や、若者、女性、高齢者、障害者の雇用機会の
確保に官民総力で
取り組み、被災者のこれからの暮らしの安心を支えてまいる決意でございます。
福島再生に向けた決意についての御質問がございました。
福島の再生なくして日本の再生はありません。原子炉の年内の冷温停止
状態の達成を初め、一日も早い原発事故の収束に全力を尽くします。緊急時避難準備区域も解除に至りましたが、周辺住民の方々が、安心して故郷に帰り、日常の暮らしを取り戻す日まで、事故との戦いは終わりません。
まず、生活空間を含めた徹底的な除染が急務であります。
政府を挙げて除染に取り組む体制を整備し、大規模除染を国が責任を持って
実施いたします。
また、原子力災害から福島県の子供を初め住民の
皆様の健康を
確保するために必要な
事業を中長期的に
実施する基金として第二次
補正予算において九百六十二億円を計上し、全面的に福島県を支援しております。引き続き、住民の
皆様が安心感を持っていただけるよう、健康管理に最大限取り組んでまいります。
また、今回の事故との相当因果
関係が認められる損害については、被災者の方々が迅速かつ適切な賠償を受けられるよう、原子力損害賠償支援機構を通じた支援など、万全を期してまいります。
いずれにしましても、ふるさと福島で生まれ一生を過ごすという当たり前の人生を若者が夢として語らなくても済む未来を必ず取り戻すため、国が最後の最後まで責任を持って取り組んでまいります。
除染の推進についてのお尋ねがございました。
先祖代々の土地を離れざるを得ない無念さと悲しみをしっかりと胸に刻み、生活空間にある放射性物質を取り除く大規模な除染を、自治体の協力を仰ぎつつ、国の責任として全力で
取り組みます。
予算については、国として一体的に除染及び廃棄物の処理を行うべく、
平成二十三年度復旧・
復興予備費については約二千百八十億円を
確保し、また、第三次
補正予算案では約二千五百億円を計上しているところであります。
平成二十四年度
予算においても、所要の
財政措置を講じてまいります。
除染を推進するための体制については、
関係府省が連携して、
政府が一体となって取り組むための体制準備等を進めているところであります。
迅速な除染を大規模に進めていくよう、
政府として断固たる決意を持って取り組んでまいります。
円高対策についての御質問をいただきました。
急速な
円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般
閣議決定した
円高への総合的
対応策に基づき、日本銀行とも連携して、あらゆる
政策手段を講じてまいります。
御指摘の円建ての国家ファンドに関連して申し上げれば、その
対策の中で、
円高メリットを活用した海外MアンドAや資源
確保等の促進策として、外国為替資金
特別会計からJBICへの融資枠を十兆円規模に拡大することや、JOGMECや産業革新機構の活用なども盛り込んでいるところであります。
また、為替
市場においては、一方的に偏った
円高の動きが続いています。為替
市場の過度な変動は、
経済、金融の安定に悪影響を及ぼすものであります。最近では、為替
市場において短時間に急激な変動が生じ、
円高が急速に進む局面が見られたところであります。投機的な動き、無秩序な動きへの
対応に万全を期し、日本
経済への下振れリスクを具現化させないため、本日午前中に為替介入を開始しました。
引き続き、今後の為替
市場の動向を注視してまいります。
さらに、新成長戦略の実現を加速するとともに、新産業の創出や世界の成長力の取り込みなどを一層推進するため、新たに始動した国家戦略
会議において、日本再生の
基本戦略を年内にまとめてまいります。
今後のエネルギー
政策のあり方についてのお尋ねがございました。
今後のエネルギー
政策については、
国民が安心できる中長期的なエネルギー構成のあり方について、幅広く
国民各層の御
意見をお伺いしながら、エネルギー・環境
会議を中心に
検討してまいります。
具体的には、原子力発電については、中長期的には、原発への依存度を最大限引き下げていくという方向性を目指すべきと考えております。
これを実現するためには、徹底的な省エネがまず必要です。加えて、再生可能エネルギーの普及促進も重要です。そのため、固定価格買い取り
制度の導入に加え、第三次
補正予算においても導入
支援策を盛り込みました。さらに、規制・
制度改革や研究開発など、
政策を総動員して取り組んでまいります。
定期検査で停止中の原子力発電所の再起動については、
事業者が行ったテストを保安院が評価し、さらに、その妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解や
国民の信頼が得られているかどうかという点も含め、
政治レベルで総合的に判断を行ってまいります。
地元自治体に対しては、
政府が前面に立って安全
対策等について丁寧に
説明し、理解を得るべく努力してまいります。
TPPに関する
説明についての御質問をいただきました。
TPPについては、随時、
関係国との間で
情報収集や協議を行ってまいりました。その結果得られた
情報については、
国民の理解を深めるため、
TPPに関連する疑問に答える資料を準備するなど、可能な限り
説明に努めてきており、今後とも、
説明や
情報提供にしっかりと努めてまいります。
TPPについては、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むという視点や
農業再生との両立を図るという視点などを踏まえ、
国益を最大限追求していくべく、協定への
交渉参加について、引き続きしっかりと
議論し、できるだけ
早期に結論を出したいと思います。
食と農林漁業の再生に関する御質問をいただきました。
農林漁業の再生は待ったなしの
課題であります。このため、二十一世紀の成長産業となり得る農林漁業の再生に向けて、次
世代を担う農林漁業者が安心して取り組めるよう、新しい農林水産行政の骨格として
さきに策定した
我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を、
政府全体の責任をもって着実に実行してまいります。
被災地の農林漁業の
復興、原子力災害
対策に万全を期すとともに、五年間で
競争力・体質強化、地域振興を集中展開して、食と農林漁業の再生を早急に図り、そのための
取り組みに資源を集中的に投下してまいります。
世界に発信するメッセージ、日中
関係、日韓
関係及び北朝鮮への
対応についての御質問をいただきました。
世界の
情勢は日々変動し続けており、
国際社会は多極化が進行しています。私は、このような新たな時代の呼びかけにしっかりとこたえる
外交を推進する所存であります。この考えのもと、
我が国は、
国際社会が抱える
課題の解決のために、引き続き積極的に貢献をしてまいります。
御指摘の中東・北アフリカ地域の改革・民主化努力にも、総額約十億ドルの円借款を含めた支援を具体化していきます。
金融危機に関しても、来るG20で、欧州発の世界
経済危機の封じ込めに日本としての貢献を示します。
中国との間では、来年の国交正常化四十周年を見据えつつ、幅広い分野で具体的な協力を推進し、大局的な観点から戦略的互恵
関係、共存共栄の
関係を深めていく考えであります。
日韓両国は、基本的価値、東アジア地域の平和と繁栄の
確保等の利益を共有しており、両国
関係をさらに重層的で強固なものにしていく考えであります。
北朝鮮の核・ミサイル開発は、
我が国のみならず、
国際社会全体にとって安全保障上の脅威です。日米韓で緊密に連携しつつ、北朝鮮によるすべての核計画の放棄を引き続き強く求めていきます。
また、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くす決意であります。
最後に、普天間飛行場の移設問題及び沖縄側からの要請についてのお尋ねをいただきました。
沖縄においては、本土復帰から約四十年が過ぎてなお、在日米軍基地の七四%が集中し、基地
負担の軽減がおくれております。沖縄における米軍基地の存在が日本全体の安全を支えている事実がある以上、沖縄の痛み、
負担を
国民全体で分かち合うという不断の努力が必要と考えます。
沖縄側からいただいた米軍基地
負担の軽減などに係る御要請については、
政府として真摯に受けとめ、この要請に誠意を持って
対応し、関連の
施策を着実に
実施すべく、一層の努力をしていきます。
特に普天間飛行場の移設問題については、
政府として、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の
負担軽減を図るべく、沖縄県の
皆様に誠実に
説明し、理解を求めてまいります。
沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしていますが、現在の日米合意は、全体として、少なくとも現状に比べると、沖縄の大きな
負担軽減につながると考えており、
政府としては、引き続き、沖縄の
皆様の御理解を得るべく、一歩一歩努力していく考えでございます。
以上で
答弁を終わります。(拍手)
〔
議長退席、副
議長着席〕
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