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2011-11-24 第179回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十三年十一月二十四日(木曜日) 午後三時四十四分
開議
出席委員
委員長
松宮
勲君
理事
菊田真紀子
君
理事
田村 謙治君
理事
高井 美穂君
理事
津村 啓介君
理事
吉田
統彦君
理事
馳 浩君
理事
松野 博一君
理事
遠藤 乙彦君
相原
史乃君
石田 三示君 石森 久嗣君 稲富 修二君 江端 貴子君
大泉ひろこ
君 大西 健介君 大山 昌宏君 川内 博史君 熊谷
貞俊
君 熊田 篤嗣君
空本
誠喜
君 平 智之君 高木 義明君 中後 淳君 橋本 博明君 平山
泰朗
君 水野 智彦君 柚木 道義君 江渡 聡徳君 金田 勝年君
佐田玄一郎
君
松浪
健太
君 吉野 正芳君 斉藤 鉄夫君 吉井 英勝君 阿部 知子君
柿澤
未途君 …………………………………
参考人
(
イーター国際核融合エネルギー機構機構長
)
本島
修君
衆議院調査局科学技術
・
イノベーション推進特別調査室長
雨宮
由卓
君
—————————————
委員
の異動 十一月二十四日
辞任
補欠選任
大畠
章宏
君
相原
史乃君
河井
克行
君
松浪
健太
君 同日
辞任
補欠選任
相原
史乃君
大畠
章宏
君
松浪
健太
君
河井
克行
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
に関する件(
我が国
の
科学技術
、
イノベーション推進
の今後の
在り方
について) ————◇—————
松宮勲
1
○
松宮委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
に関する件、特に
我が国
の
科学技術
、
イノベーション推進
の今後の
在り方
について
調査
を進めます。 本日は、
本件調査
のため、
参考人
として
イーター国際核融合エネルギー機構機構長本島修
君に御
出席
をいただいております。 この際、
本島参考人
に
委員会
を代表して
一言
ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ当
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。
本島参考人
におかれましては、本当に大変な御重職について御多忙の中、私
ども
に大変貴重な、有意義な御
説明
を賜りたいと思いますけれ
ども
、どうぞ御忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
本島参考人
から二十分程度で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に簡潔、端的にお答え願いたいと存じます。 御
発言
の際は
着席
のままで結構でございます。 なお、念のため申し上げますが、御
発言
の際にはその都度
委員長
の許可を得て御
発言
くださるようお願い申し上げます。また、
参考人
は
委員
に対して
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、
本島参考人
にお願いいたします。
本島修
2
○
本島参考人
委員長
、ありがとうございます。
フランス
の
南プロバンス
にあります
ITER
と申します、これはラテン語で道という
意味
ですが、
核融合実験炉計画
が今
建設期
に入っております。今回、貴重な
機会
をいただきましたことをまずお礼申し上げたいと思って、こちらへ参りました。 お手元の
資料
で、きょうは二十枚ほどのビューグラフを使って、
ITER計画
の
現状
、
目的
、今後の
見通し等
について
説明
させていただく予定にしております。 そのほかの
参考資料
としまして、この
冊子
ですが、
現場
の
建設
が
建物等
を
中心
として進んできておりますのをまとめたものです。目で見える形で
建設
が進んでいるということをお示しするための
資料
です。 それから、こちらの小
冊子
は、これは「パリティ」が、来年の一月の新年号で各
分野
の
科学研究
がどう進んだかということを特集するんですが、そこに頼まれて原稿を書いたものです。御
参考
にしていただきたいと思います。 それから、これは
文部科学省
の方で各
分野
について、
一家
に一枚という
キャッチフレーズ
の
もと
に、その
分野
のアクティビティーを示した
ポスター
なんですが、右の方に
ITER
が書いてありますとおり、いろいろな
分野
に私
ども
の
研究
がスピンオフしておりますので、それを示すためのものです。御
参考
にしていただきたいと思います。 それでは、早速ですが、この
資料
に基づいて御
説明
をさせていただきます。 まず一枚目ですが、
ITER計画
、インターナショナル・サーモニュー
クリア
・エクスペリメンタル・リアクターの略ですか、
日本
の
未来
のために、
世界
の
未来
のための
エネルギー
の
研究
を進めるための
ビッグプロジェクト
でございます。
一言
でまず申し上げたいのは、
エネルギー
を出すことが求められておりますので、五百メガワット、これは通常の
発電所
の規模ですが、五十万キロの
核融合エネルギー
の達成を目指しております。これを二〇二七年に
実現
することによって、
先生方
、社会の
皆様方
から、
核融合エネルギー
が役に立つということを認めていただける、こういうふうに信じて
研究
を進めておるわけです。 この
ITER
は、
核融合エネルギー
の科学的、
技術
的な
実現可能性
と
安全特性
の
実証
を
目的
としております。
カダラッシュ
に
太陽
をというのを
キャッチフレーズ
に現在
建設
を進めております。 私は、出身は
科学者
、この
分野
の
実験家
でございまして、
日本
で進められてきました
大学共同利用機関
の
核融合科学研究所
の創設に加わりまして、一九八九年から九八年にかけて、大きな
超電導装置
、
大型ヘリカル装置
と申します、現在も
世界
一の
装置
ですが、その
建設
の
責任者
を務めまして、その後十年間ほど
実験
の
責任者
そして
所長
を務めて、
所長
をリタイアした後、昨年から
ITER機構
の
ディレクターゼネラル
、
機構長
を務めさせていただいております。 私がこの
国際機関
の
機構長
に推挙されましたのも、
日本
の高い
科学技術
のバックグラウンドがあったからでございまして、私もそのことを第一に誇りに思うとともに、
日本
の
科学技術
の
推進
のために、
エネルギー
の
推進
のために、
カダラッシュ
で現在
仕事
をしております。 この
サイト
は、一・五キロ、横一キロの
サイト
でして、この
写真
のとおりです。 やはり
核融合
の
目的
について
一言
申し上げたいと思いますので、二
ページ
目をお願いいたします。
ITER
の
目的
は、
地上
の
ミニ太陽
を
実現
することでありまして、
太陽
の中で起こっております
核融合反応
、これは四十七億年も安全に
反応
が起こっております、これを
地上
で
実現
しようというものです。
原理
は、左の方にありますとおり、アインシュタインの相対性
原理
に基づいて、
物質
と
エネルギー
が同じだということを
原理
にしております。
燃料
は、左の上にありますように、Dが
重水素
、Tが
三重水素
でして、この
水素
の
同位体
、仲間を約一億度に加熱いたしますと、
核融合反応
が起こって
ヘリウム
と
中性子
が出てくる。この
中性子
をリチウムという軽い元素に吸収させるとさらに
エネルギー
が起こる、こういった
原理
を
もと
にしております。
重水素
は、
先生方
の体の中にも〇・〇三%入っていて、
放射性物質
でも何でもないんですが、
トリチウム
は
放射性物質
ですので、取り扱いの
技術
は、十分安全なものを
開発
する必要がございます。
化石燃料
はいずれ枯渇するわけですし、
炭酸ガス
を出す
エネルギー源
というのは、今後、
温暖化
の問題をさらに深刻化していくこと、これも非常に
クリア
になってきているところでございますが、この
核融合反応
は、海の中に豊富に存在する
重水素
を
燃料
といたしますので、
我が国
のように海に囲まれている国の場合は特に
燃料
について問題がないという
特徴
、それから、
排出ガス
が
ヘリウム
です、黄色いところですが、
地球温暖化
を起こさない、低
コスト
の
水素ガス
の生産に適している、こういったことを
特徴
としております。 この
ITER計画
は、
我が国
が引き続き
世界
をリードしていくための
科学技術
の
イノベーション
を生み出すことができます。そして、
科学技術立国
に必要な優秀な
人材
を育てることができます。 左の下にありますのは、どれぐらいの
エネルギー効率
があるかということですが、
石油
のタンク一個分の水の中にあります
重水素
を
燃料
として
核融合反応
を起こしますと、約二百五十本分の
石油
に相当する
エネルギー
を出すことができます。こういう非常に大きな
可能性
を持った
エネルギー源
の
研究
をしておるわけでございます。
ITER
は、
地球環境
の保全と
世界
平和への貢献、そして、人類の
高度文明
、私
ども
の
高度文明
を一万年以上続かすことができる
可能性
を持った
エネルギー源
である、こういうことが申せます。 三
ページ
目に移っていただきたいと思います。 なぜ
ITER
か。
ITER
は、こういう大きな
装置
でして、全体で二万三千トン、高さが三十
メーター
、
横幅
が三十
メーター
という
装置
で、
超電導
の
コイル
を使って強い
磁場
を発生させて、このピンク色で書いてありますような
ドーナツ状
の
プラズマ
をつくりまして、一億度に温度を上げる、そこで
核融合反応
を起こさす、こういう仕掛けです。
ITER
は、将来の
商業炉
のために必要な
ステップ
でありまして、いろいろな
技術
の塊であります。
超電導
、
材料
、コンピューター、
制御
、大
電力機器
、
リモートハンドリング
、ニュートロニクス、こういったものでございます。 そして、
我が国
は、準
ホスト国
として貢献しておりまして、高い
プレゼンス
を発揮しております。私が
機構長
に選ばれたということも、その象徴的な
一つ
であると自負しております。 得られた
科学技術
的な知見は
各国
で共有されるわけでございますが、いかに活用するかは
各国
の今後の戦略に大きく依存いたします。したがいまして、
我が国
の
利益
を
最大化
するために、国内の受け皿、
大学
、
研究所
、
企業等
の
基盤
でございますが、これを整備すること、そして、より多くの
人材
を
ITER
に送り込んでいただきまして、次の
段階
に備える必要がございます。 四
ページ
目は、今までの
研究
の
進展
を示したもので、
横軸
が時間で、
縦軸
が
プラズマ
の
性能
です。ここまで、
我が国
は
核融合研究開発
に大きく貢献しておりまして、
日本
の
国旗
がついておるとおりです。
プラズマ
の
性能
が高くなっていくことに大いに貢献しております。 この
性能
の
進展
は、青い色で書いてありますのがスーパーコンピューターの
進展
、
進捗ぶり
を示しておりますが、二年ごとに二倍という最も速く進んだ
科学技術
と言われておりますが、これよりも少し速いぐらいだということを示しております。 五
ページ
目でございますが、
各国
がしのぎを削って
研究
をしているということがこの絵で、左の方にいろいろな
装置
が
国旗
とともに並んでおりますが、その結果が
ITER
に集約されていると同時に、
各国
、特に
中国
、
韓国
も最近大きな
超電導装置
をつくる実力を備えてきておりまして、非常に厳しい競争と、それから
共同研究
が同時に進行しているということを示しております。 相互に
利益
をもたらす
協力関係
をつくること、それから、各極の、
各国
と同じ
意味
で使っておりますが、
利益
の
最大化
ということが同時進行しております。 次のボタンを押してください。中間に赤い線がありますが、
最初
の
左側
の線が
ITER
の
計画
でして、二〇二〇年に
装置
の
完成
、そして
水素
の
実験
をしまして、二〇二七年から、実際に
重水素
と
三重水素
を使った五十万キロを発生させる
実験
を行います。それと同時に、次の
段階
の
計画
が進むわけでございまして、設計、
建設
、
安全性等
の
許認可
を経まして、二〇四〇年、五〇年には次の
原型炉
、
実証炉
が
ITER
の成功を
もと
に可能になるわけでございます。
ITER
は非常に大きな
ステップ
であるというふうに申し上げられます。 次に、六
ページ
目ですが、やはり三月十一日の未曾有の大災害と
福島
第一
原発
のことがございます。
核融合
の
安全性
ということの
説明責任
というのはより大きくなっておるわけでございまして、次の二枚で、
核融合
はどういう
安全性
を持っているかということを簡単に御
説明
申し上げます。
ITER
では、つまり
核融合
では、
福島原発
のような
事故
はあり得ません。その理由が左の方に書いてあるわけですが、
燃料
の蓄え、これが極めて少ないわけでして、
装置
の中にはたった一グラムしか
燃料
が入っておりません。ですから、人間のつくったものですから、故障する
可能性
というのはゼロではないわけですが、故障しても自然にとまる性質を持っております。それから、
ウラン
を使いませんから、暴走する、メルトダウンを起こすというふうな危険もないわけです。 次の
ページ
に移らせていただきまして、七
ページ
目ですが、
ITER
では長
半減期
の高
レベル
の
廃棄物
は出ません。これは
ウラン
を使わないからです。
住民
の方の
被曝量
というのは、
自然界
の
被曝量
の千分の一ぐらいに実際に抑えることができます。それから、最悪の
事故シナリオ
は
関連施設
での火災ですが、この場合でも、近隣の
放射線量
は
自然界
の量と同等または少ない
レベル
に抑えることができます。 現在、
フランス当局
の
安全審査
がほぼ
最終段階
に来ておりまして、十二月末に実質的な
許認可
をいただけるめどがついているところでございます。
住民
の
皆様
の御
意見
を聞く、いわゆるパブリックインクワイアリーというプロセスをことしの夏に終了しております。 八
ページ
目ですが、
原子力
と
核融合エネルギー
の違いは、もう既に申し上げましたように、
核融合発電
の場合は、
燃料
を補給しながら発電いたしますので、
燃料
をとめれば十秒ぐらいで
反応
がとまって、いわゆる暴走が起こらない。
原子力
につきましては、もちろん
日本
の
技術
は非常に高いものがあるわけですが、
燃料
を大量に
発電所
の中に置きますので、その
制御
ができなくなったり、青く書いてあります、水が下がると
反応
が、熱が大量に出て
制御
できなくなってしまう。この違いが
クリア
に八
ページ
目に示されているとおりです。 九
ページ
目ですが、
ITER
は、
中国
、
ヨーロッパ
、インド、
日本
、
韓国
、
ロシア
、アメリカから成る
国際協力
でして、
世界
の人口の五〇%以上と
世界
のGDPの八〇%を占める国々の
国際協力
です。二〇〇六年に、パリのエリゼ宮におきまして
ITER協定
が署名されまして、二〇〇七年に正式に発足しております。 次の十
ページ
目は、
装置
の中で
主要機器
、
ITER
の
本体
を示しておりますが、
各国
がどういう
責任
を
分担
しているかということを示すものでございます。
コイル
と書いてありますのは、
超電導コイル
でございます。
一つ
ずつ御
説明
する時間がないわけですが、主要な
機器
につきまして、
各国
がこのように
分担
をしている。これは、
各国
が自分の
利益
も考えながら、
国際協力
として
分担
を決めていったという経緯がございます。
日本
は、
中心
の
磁場
を出す
コイル
、それから熱を
最後
に取り出す
部分
のダイバータを
中心
としてのコントリビューションをしております。 次に、関連して、十一
ページ
ですが、各極がどういう調達をしているかという分布を示したものです。それから、
コスト
的なものも書いてあります。 私
ども
は
国際協力
でありますので、特殊な
予算
の
単位
を使っております。これをクレジットと通称申しますが、その
単位
が
キロIUA
という
単位
でありまして、過去、ドルを
ベース
にして決められたものです。四千七百
キロIUA
がトータルの
建設コスト
でありまして、一
キロIUA
が一・五五ミリオン、だから百五十五万ユーロに相当いたします。この詳細については、後ほどまた御
質問等
でお答えする
機会
があるかと思っております。
欧州
は四五%を
分担
いたします。これは
ホスト国
でして、
建屋等
もこの中に入ります。その他の極は九%ということになっております。
建設計画
でございますが、次の
ページ
をお願いいたします。
サイト
がバックにございますが、二〇二〇年に
装置完成
、組み立てが十九年まで、そして、その後いろいろな
試運転等
を行いながら、
最初
の
実験
、
ファーストプラズマ
と書いてある
部分
です、二〇二〇年の十一月を予定しております。
核融合反応
は二〇二七年でございます。 それから、
機構
の職員につきましては十三
ページ
にあるとおりでございまして、
日本
からは三十五名、私を入れて三十五名のスタッフが
ITER機構
におりまして、
大変レベル
の高い
仕事
をしてくれております。
日本
が
プレゼンス
を発揮していることの
一つ
であるということが申し上げられます。 そして、十四
ページ
目は、
機器
の
製造
も開始している、それから
現状
を示したものでございまして、十六
ページ
目は
超電導コイル
の一種でございますが、大きな
コイル
の
製造
が始まっているということを示した
写真
です。 それから、十五
ページ
目は、これは
日本
で進んでおります
超電導導線
の
製作
でございます。こういった大きな電流を流す太い
超電導導線
がつくられてきております。
日本
は、この
分野
でも大変高い
技術
を持っております。 それから、次の十六
ページ
ですが、
欧州
におきます
コイル
の
製作
の状況を示しております。
右側
に人の写った
写真
がありますとおり、これはトロイダルフィールド
コイル
でございますが、
装置
の
中心部
をなす
部分
です。上で
日本
がつくった
超電導導線
が下の
コイル
に装着される、こういうわけです。
欧州
と
日本
で九個ずつ、十八個をつくって
装置
に据えつける
計画
であります。 十七
ページ
目は、
日本
におけるトロイダル
コイル
の
製作
の
工場
におきます
写真
でして、非常に複雑な
製作機具
を使いながら精度の高い
コイル
をつくる、その
写真
でございます。 十八
ページ
目は
建設
の
現場
でございます。今、三カ所で、メーンになります
本体棟
の
建設
、それから
本部
の
建物
、そして
コイル
をつくる
工場
を建てております。今後さらに、
カダラッシュ
の
サイト
での
建物
の
建設
も加速されていきます。 十九
ページ
目はもう少し詳細な
写真
ですが、
本体棟基盤
、一・五
メーター
のコンクリートの層をつくりますが、多くの
鉄筋
をつくって
建設
を進めているのが左上。それから、その一部となります、地震に対する
耐震構造物
の
鉄筋
の
写真
です。それから左下は、
PFコイル
、これはポロイダルフィールド
コイル
と申しますが、
ヨーロッパ
が五つ、
ロシア
が
一つ
つくるんですが、
ヨーロッパ
のつくる
部分
が、半径が大き過ぎまして運べないという事情から、
現場
で
工場
を建ててつくる、その
建物
です。
右側
は
本部ビル
、
オフィスビル
でありまして、来年の夏に
完成
いたします。来年の夏以降、
先生方
にこちらへ視察に来ていただけるときには、こちらでごあいさつ申し上げることができるようになります。 これが現地での
建設
の
現状
を示す
写真
です。どんどん
建設
が進んでおります。 その次の
ページ
ですが、
一言
、私
ども
の
分野
でどういう
波及効果
が出るかということを示しておりまして、
左側
の木が、いろいろなところに
技術
を波及させることができるという、その
可能性
も含めたものを示しておりまして、
核融合
は
総合技術
でございますので、いろいろなところにスピンオフしていくわけです。
真空関係
、
材料関係
、極
低温関係
、
電力
、
制御
、こういったものです。
右側
はその成功した一例を書いてあるわけですが、
プラズマ
というのは電離した気体ですので、
電子
とイオンから成るんですが、
電子
を加熱するために
マイクロ波
を使います。
電子レンジ
みたいなものです。これを使いますと、陶磁器が非常にうまく焼けるという
技術
を
開発
いたしました。私が前にいました
研究所
で行った
技術開発
なのですが、これは
炭酸ガス
を出さない加熱です。
自然環境
にも大変優しいわけです。 これが驚くことに
溶鉱炉
の、
溶鉱炉
は石炭と
鉄鉱石
をまぜて溶かして鉄をつくるわけですが、
マイクロ波
を使いますと、三十
メーター
の
溶鉱炉
が八
メーター
ぐらいになる、こういう
研究
も出てきまして、現在、
科研費等
を使って、さらに進んだ
溶鉱炉
の
開発
、
炭酸ガス
の
排出量
を三分の一ぐらいに抑えることができるわけですが、こういった
研究
も進められるようになりました。重要な
波及効果
の
一つ
として御紹介申し上げます。 二十一
ページ
目は、
最初
に申し上げました、
一家
に一枚の「
未来
をつくる
プラズマ
」の
ポスター
でありまして、いろいろな
可能性
があるし、現在、テレビはもうその
プラズマ
が使われている典型ですし、
ICチップ等
の
製作
にも
プラズマ
が使われるわけでございます。いろいろな
可能性
を示している図でございます。
最後
に、二十二
ページ
ですが、
ITER
は新たな
時代
への
ステップ
でありまして、
地球
の
環境
を守りながら、
エネルギー需要
の増大にどう対応していくかという重要な命題に対する
一つ
の答えを出させていただこうと。そのために七極が
予算
を、これは非常に高い
装置
であります、それだけ成果が求められるわけでございますが、今、力を合わせて
建設
を開始したところです。
ITER
は、人工的に安全で無尽蔵に生産可能な
エネルギー
の
実現
に向けた新たな
時代
への
ステップ
を開こうとしております。 そして、
日本
は
ITER計画
の主要な
牽引車
でありまして、今、
世界
は
日本
の高い
科学技術力
に注目するとともに期待をしておるわけでございます。
一言
、三月十一日の大震災につきましては、
各国
から
日本
に対して、何でも言ってください、協力できることは何でもいたします、そういう
国際協力ならでは
のやりとりがございまして、その結果といたしまして、
日本
の
原子力機構
の震災による
ダメージ
を最小化すること、それから
企業
の受けた
ダメージ
を最小化する新しい
建設計画
をまとめて、現在、その
計画
を
もと
に
建設
を進めております。 おくれと言うとなんですが、昨年の
段階
では、二〇一九年の十一月に
装置
を
完成
させるということが
ベースライン
という文書として七極の
理事会
で承認を受けたのですが、その
ベースライン
の中の考え方の範囲という理解の
もと
に、一年
完成
を延ばして、二〇二〇年の十一月に
装置
を
完成
させるということが七極で、つい先週の
理事会
で承認いただきましたので、現在、それに基づきまして、鋭意
建設計画
を再スタートしているところでございます。 大変手短で、十分な
説明
ができなかった面があるのは大変申しわけないとは思いますが、
現状
を
説明
させていただきましたことを大変感謝申し上げたいと思います。
委員長
、ありがとうございました。(拍手)
松宮勲
3
○
松宮委員長
ありがとうございました。 これにて
本島参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
松宮勲
4
○
松宮委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
参考人
に対する
質疑
は、
理事会
の協議に基づき、まず、各会派を代表する
委員
が順次
質疑
を行い、その後、各
委員
が自由に
質疑
を行うことといたします。
参考人
及び
質疑者
におかれましては、御
発言
の際は自席から
着席
のままで結構でございます。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
吉田統彦君
。
吉田統彦
5
○
吉田
(統)
委員
民主党の
吉田統彦
でございます。 貴重なお時間ですので、早速、
質問
をさせていただきます。
核融合反応
というのは、
太陽
が光り輝いて
エネルギー
を放出する
原理そのもの
であって、
核融合
に対する
研究
というのは、
地上
に
太陽
をつくる
研究
と言えると思います。
原理
としては、
重水素
と
三重水素
、
トリチウム
、以下
トリチウム
、の原子核を融合させて
ヘリウム
と
中性子
を生成する、その中で、いわゆる
質量欠損
の
部分
で
エネルギー
を生成するというものであります。 一グラムの
重水素
と
トリチウム
から約八トン分の
石油
の
エネルギー
が出るという本当にすばらしい
技術
だと思いますが、
特徴
としては、
トリチウム
、
重水素
は非常に海水中に豊富にあるということ、また、
核融合反応
は停止しやすく暴走しづらい、また、二酸化炭素の
排出
も少ない、低
レベル
の
放射性廃棄物
が発生しないというものがあると思うんですが、それに加えて特記すべき
特徴
と、想定される一番恐ろしい事象というのを簡潔にお願いできますでしょうか。
本島修
6
○
本島参考人
ありがとうございます。 まず、
燃料
については、もう先生が御指摘のとおりでございます。 次に、私
ども
が重要視しておりますのは、やはり放射線の
レベル
でありまして、
燃料
の
トリチウム
は、ベータ崩壊という弱い
電子
を出す
放射性物質
でございます。ですから、
トリチウム
の安全な取り扱い
技術
の
開発
が必要でございました。こちらは、もう既に
ITER
の
計画
の中で、具体的な
装置
、それから運転
計画
等で
実現
されております。 次に、
材料
を二万三千トン使いますので、
中性子
が当たったときに放射化いたします。
核融合エネルギー
の場合には、その
放射性物質
を、放射化の量を最小化するということが必要になりまして、
ウラン
を使う原子炉のように、高
レベル
の、しかも長い間、一万年も放射線を出し続けるような問題はないわけですが、放射化しにくい
材料
を使うということによって、全体の放射線
レベル
を物すごく抑えることができるという
特徴
がございます。それが
核融合
の次の重要な点として御指摘申し上げたいと思います。 一番重大な想定
事故
ですが、これは、
トリチウム
を扱う
建物等
が火災に遭った場合が想定できまして、その場合に、周辺に対する影響がどれぐらい大きくなるかということを事前に検討しておく必要がございます。
ITER
の場合は、その最悪シナリオでも、周辺の
住民
の
皆様
に及ぼす影響は
自然界
の
レベル
であるということがはっきりしております。
吉田統彦
7
○
吉田
(統)
委員
ありがとうございます。 では、もう少し具体的なお話に移っていきたいと思います。 東
日本
大震災の影響が懸念されます。先ほど先生がお話しされたように、
ファーストプラズマ
の発生二〇二〇年十一月、
プラズマ
を今度燃焼させるような
実験
は二七年三月ぐらいと伺っております。この予定は変更がないということなんですが、実際、
日本
が請け負っている
ITER
の中核
機器
であるトロイダル
磁場
コイル
が
製造
がおくれていくという
可能性
があるんですが、この
ファーストプラズマ
はやはり律速
段階
になりますので、ここのおくれというのは、想定は大丈夫でしょうか。
本島修
8
○
本島参考人
やはり、トロイダル
コイル
の
日本
における
製作
のおくれというのは、
日本
の影響を加味した新しいスケジュールをつくり上げるときに一番大きなことの
一つ
でした。 どういう解決策をとったかと申しますと、半分は
ヨーロッパ
でつくりますので、従前、
日本
が先につくって、
ヨーロッパ
が少しおくれてつくるという工程でしたが、
ヨーロッパ
との
技術
的な協議の結果、それを逆にするということで、
日本
の災害の影響によるおくれを最小化することができました。これが一番重要な点だと思います。
吉田統彦
9
○
吉田
(統)
委員
ありがとうございます。 少し
予算
のお話をさせていただきます。 現在想定されている
予算
、総経費、
日本
円で以前の額だと一兆七千億円程度で、
日本
の費用
分担
、
建設期
九・一%、運転期一三%と聞いております。それで、もし不足した場合、どのように捻出していくかということが
一つ
。 もう
一つ
は、最終的な着地点として、
核融合発電
の
原型炉
を
完成
していくのは二〇四〇年代ごろ、また実用化は二〇五〇年代以降というふうに聞いておりますが、このスケジュール観に関しては、しばらく変更なくいけるのかどうか。 そして、実用化、今回発電しない
実験
炉でございますので、発電をしていく実用化に向けてブレークスルーとしては何が必要なのか。また、
予算
として最終的にどれくらいのもの、最終的な
原型炉
ができるまではどのくらいを想定しているのかを御教示ください。
本島修
10
○
本島参考人
まず
予算
ですが、
予算
の縮減につきましては、私が昨年着任してから既に、まだまだ続けていく必要はありますが、最大の努力をしてきたところでございます。 今回の
日本
の影響を受けての
予算
増というのは、いわゆる、私
ども
キャップド
コスト
という言葉を使う場合が多いんですが、
建設
に関してはトータルの
コスト
がふえないように
計画
をつくろうということを
目的
として、一部先に延ばすことも含めて、そんなに大きい金額ではありませんけれ
ども
、
建設
費には変わりがないような
計画
をまとめました。大変難しいことだったんですが、各極の協力も得ましてそれを
実現
して、先週の
ITER
理事会
に御報告申し上げたという点で、そのためには、さらに大幅な
コスト
ダウンの
可能性
を具体的に示す必要がありましたので、そういった作業も行いました。 例えば、私のところの、
ITER機構
のマネジメント
コスト
は、一年間の検討結果で約百億円ぐらいの
コスト
削減を
実現
しております。それから、物づくりにつきましても約八十五億円ぐらいの
コスト
ダウンをしておりますので、そういったこととバランスをとって、一年、これはおくれということではなくて、やはり全体として、いろいろなものを今までの
計画
それから
目的
に沿ってつくる、こういう覚悟でやってきたわけです。 その後のことにつきましては、実際の五十万キロ出す、DT燃焼と呼びますが、これが二〇二七年で年をまたぎませんので、非常に重要視して新しいスケジュールをつくったわけですが、したがって、その後の工程には実質影響が出ないようにできた、こういうふうに考えております。 それから、発電をしないということは、
ITER
の
計画
の初期に
各国
でいろいろな検討をした結果、そういう選択肢が採用されたわけですが、
ITER
にはテストブランケットと呼ばれる、リチウムを入れて実際の
実証炉
、
商業炉
と同じことのできるモジュールを装着いたしますので、こちらの
研究
によって発電、
ITER
自身は発電はいたしませんけれ
ども
、その次の
ステップ
に必要な
技術開発
というのは十分習得できる、こういうふうに見ております。
吉田統彦
11
○
吉田
(統)
委員
時間がもう来ましたので
最後
ですが、
核融合反応
を起こすため、原子核を毎秒千キロ以上で飛ばしてぶつけなきゃいけない、非常に長時間高温
プラズマ
状態を維持して、それを外部に出さない、そういった
技術
が必要になります。 現在、
磁場
閉じ込め式はトカマク、ヘリカル、そして今、
原理
実証
を目指しているレーザー方式がございます。今回の
ITER
はトカマクですね。先生がいらっしゃった土岐市の
核融合科学研究所
はヘリカル型を
研究
されていました。
日本
の
技術
という上で、このヘリカル型が今後進んでいく
可能性
ということに関して簡潔に
一つ
。 もう
一つ
は、今回、
ITER
サイト
は
フランス
になりました。しかし、今度、発電をしていくような次世代炉に関しては、ぜひ青森六ケ所村を
中心
に
日本
でやっていただきたいというのが我々
日本
国民の願いだと思います。そこに関して先生の御決意をいただきまして、
最後
に、この
日本
に
太陽
を生み出すために今後も頑張っていただきたいと思いまして、私の
質問
を終わります。
本島修
12
○
本島参考人
ありがとうございます。 トコマックも
研究
が進んできて、実際に二〇二七年に
核融合反応
を起こそうという
段階
ですので、トコマックかヘリカルかという対立の構図というよりは、いかに
磁場
を使う
核融合
を最適化していくかという
段階
にもう既に来ていると思います。ヘリカルも多くの特長、特長は長い方の特長ですが、持っておりますので、
日本
におきますこの
研究
活動というのは今後さらに発展していく、こういうふうに私自身、期待もしていますし、考えております。 それから、
ITER
は七極の
共同研究
、国際共同プロジェクトですが、もう明白に次の
段階
は、
ITER
はパワーアンプリファイアー、加熱のパワーを入れて、その十倍のパワーを取り出すわけです。しかし、私は、次の
段階
はマネーアンプリファイアーに近い状態になる、またはまさしくそうなると思います。実際に電気を出して売るということになりますから。そうしますと、各極で独自にやるという
可能性
が非常に高くなってくるわけですから、
日本
でも、先生の御指摘のように、
サイト
を確保して次の
ステップ
に備えることが必要になると思います。 いろいろな国の方は、次は
日本
は青森につくるんですねということを私に言ってくる場合が結構ありますので、私も大いに期待しております。
松宮勲
13
○
松宮委員長
次に、江渡聡徳君。
江渡聡徳
14
○江渡
委員
自由民主党の江渡聡徳でございます。 本日は、
本島
機構長
、大変お忙しいところおいでいただきましたこと、ありがたく御礼申し上げたいと思います。 先ほど御
説明
をいただいたわけでありますけれ
ども
、この
核融合エネルギー
の
実現
のためには、
実験
炉の
ITER
の
建設
、運転というのは必要不可欠な
ステップ
であるというふうに私は認識しているわけでありますけれ
ども
、この
核融合研究開発
における
ITER計画
の位置づけ、そして進捗状況についてお伺いしたいと思います。 また、今現在、
欧州
の方では非常に金融不安という状況下のわけでありまして、ですからこそ、果たして資金の拠出の方が大丈夫なのかなということについても心配しているわけでありますけれ
ども
、その点につきましても
本島
機構長
のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
本島修
15
○
本島参考人
ありがとうございます。 まず、私が
カダラッシュ
に家内と、あとは、もう子供は独立しておりますから愛犬を連れていきまして、そして大きな
責任
をみんなで果たしていこうとしておりますのも、やはり
ITER
という
実験
段階
の
核融合
炉の
完成
のためでございます。ですから、私
ども
人類の歴史で一回だけあるチャンスだ、こういうふうに思っております。
ITER
は、
実験
炉として五十万キロを出すことを
実証
してみせるということが、将来、
核融合エネルギー
が
日本
の社会そして
世界
に認めていただいて定着していくために絶対に必要なことでございますから、
核融合
研究
の非常に重要な
ステップ
になる、こういう覚悟で
カダラッシュ
へ参りました。 そのためには、
ITER
のオーガニゼーションの組織をよりラインマネジメントにするとか、各スタッフの
責任
をより明確にする、これは、やる気を出してもらうということにもつながるんですが、そういったことも
各国
の協力を得ながらここまで来ております。 やはり
実験
炉というのは、人類の歴史におきましても、今までになかった科学と
技術
をつくり出して、それを総合化して初めて成功させるプロジェクトであるという点で非常に重要な
意味
を持つ、こういうふうに思っております。次は、電気を出して社会に供給するという
ステップ
がすぐそこに参ります。 それから、
欧州
の
予算
につきましては、
最終段階
に来ているというふうにブラッセルの方からも聞いておりまして、先週の月曜日には私自身が直接ブラッセルへ行って、先方の
責任者
とも
予算
のことについて協議して、その後で
理事会
に臨んだんですが、
現状
といたしまして、ヨーロピアンパーラメントは
予算
委員会
に相当していると申せますが、五月に私
ども
の
サイト
を御視察に来ていただきまして、
予算
についていろいろ厳しい御
質問
を受けながら、
ITER計画
の
目的
等を直接御
説明
する
機会
がございました。 そのときに、終わった時点でプレスコンファレンスをされて、
ITER
をサポートしますと
委員長
がはっきりおっしゃっていただいて、それで具体的に動き出しておるわけですが、
現状
まだ決着は見ておりませんが、
ヨーロッパ
議会としては
ITER
に
予算
を支出することは認めるという決定をしてくださっております。 あとは、どこからその
予算
を持ってくるかということで
技術
的なと申すとなんですが、具体的な検討が今進んでいるところだ、こういうふうに把握しております。
江渡聡徳
16
○江渡
委員
ありがとうございました。
ITER計画
とともに、今現在実施しております青森県六ケ所村でのブロードアプローチの活動、BA活動も、将来の
核融合
の
実験
のためには大変大事であるというふうに私は考えております。ですから、このBA活動に対しての
機構長
のお考えもお聞かせいただければありがたいなと思っております。
本島修
17
○
本島参考人
非常に重要な位置づけにあると考えております。 特にブロードアプローチは、
日本
と
ヨーロッパ
の間の二極間の
計画
として現在進んでおるわけでございますが、
ITER
の先の、
材料
の
開発
をするための
中性子
源の
研究
、スーパーコンを使っての
研究
、シミュレーションの
研究
、そして
ITER
のリモートオペレーションセンター、こういったことが
中心
になるわけでありまして、より長期的な観点で重要な働きをしてくれないと困る、こういうふうに考えております。 したがいまして、
ITER計画
の
建設
の
進展
と、それから六ケ所村でのブロードアプローチの
進展
というのは、フェーズを合わせて進めていく必要が非常にあると思います。現在、
建物等
もかなりできておりますから、これからさらにアクティビティーが上がっていく
段階
だ、こういうふうに期待しております。
江渡聡徳
18
○江渡
委員
私も、このBA活動というのは大変重要だと思っていますし、また、その形がきちんとうまくいきませんと次の
実験
炉にもつながらないなというふうに思っているわけであります。 さて、
日本
におきましては、三月に大変悲しい
原子力
事故
があったわけでありますけれ
ども
、この
原子力
事故
を踏まえまして、今、
原子力
政策の見直しというような議論が出ていますけれ
ども
、
ITER計画
ということについては少し事情が異なるであろうというふうに私は思っております。 先ほど
機構長
からも御
説明
がありましたとおり、
世界
人口の半分を占める国々が協力して、
未来
の
エネルギー
の選択肢を広げよう、そういうふうにしているものでありまして、
エネルギー
資源の乏しい
日本
として、また
核融合
研究
の先進国である
日本
としても、やはりリーダーシップをとって貢献していくという必要があろうと思っております。その点につきまして、
機構長
のお考えをお伺いしたいと思います。
本島修
19
○
本島参考人
私、着任しましてから幾つか、今までの私の経験も含めて、
日本
だけではなくて
世界
のコミュニティーの皆さんの動向等も勘案しましてしたことの
一つ
、絶対に必要だと思っております、それは、若手に
ITER
の門戸をより広げるということでありまして、したがって、
ITER
が成功裏に終わったときに何が残るかと申しますと、ノウハウ等は残りますけれ
ども
、やはり人だと思います。そのときに、より多くの人を育てた国が一番成功した国だというふうに言えると思います。その人たちがリーダーシップをとって、次の
段階
の
責任
を担っていく。 ですから、
ITER
というのは、
実験
の
計画
で大きなプロジェクトで
責任
も非常に大きいわけですから、やはり
責任
をとれるエクセレンスを持った人たちもより多く来てもらう必要がありますが、若手についても、教育とかトレーニングをする非常にいい
機会
になるはずだと思います。 おとといも、金沢で国際
会議
があったときにそのことを特に申したんです、人をどんどん派遣してくださいと。もちろん
予算
もいただきたいわけですが、それと同じぐらいに人を出して、修羅場をくぐらせてくださいと。私も若いときにそういうふうに先生から鍛えられたように思いますし、その点が非常に重要なことなんじゃないかと思います。
江渡聡徳
20
○江渡
委員
時間が参りました。これで終わりたいと思いますけれ
ども
、
機構長
、これからも一生懸命、人づくりのためにも頑張っていただきたいと思います。 ありがとうございました。
松宮勲
21
○
松宮委員長
次に、遠藤乙彦君。
遠藤乙彦
22
○遠藤(乙)
委員
公明党の遠藤乙彦でございます。
機構長
におかれましては、一時帰国の大変多忙の中、御
出席
を賜り、御講話いただき、本当にありがとうございました。 早速ですけれ
ども
、今、
原子力
政策、
一つ
は核分裂に依存する在来型の
原発
、そしてまたもう
一つ
は将来的に
核融合
という大きな選択肢が出てきて、これは非常に魅力的で重要な選択肢であるとは思います。しかしながら、これは、リスクの面、
コスト
の面、
実現可能性
等の面で、やはり精査が必要だと思います。 リスクにつきましては、核分裂に比べればずっと安全であるということは多分理解が広まってくると思いますけれ
ども
、
コスト
面で、この
ITER
にしても、非常に巨大なもの、かつ、多数国でやらないと財政的にも支援できない形になっておりまして、やはりどうしても、巨大で、
コスト
がかかる。将来的にも、果たして実用炉になった場合でも
コスト
面でちゃんと競争力を持ち得るのかというのが非常に重要な
一つ
の問題だと思っております。 その点につきまして、将来の実用炉になった場合の
コスト
的な見通し、
実現
可能なのかという点、これをまず御
意見
をお聞かせいただければと思います。
本島修
23
○
本島参考人
やはり
コスト
面の見通しをつけるということも
ITER
の非常に重要な点でありまして、
ITER
で
開発
した
技術
というのは、もちろんさらに付加価値、
開発
要素をつけていく必要がありますが、その次の
段階
で使えるわけです。 ですから、次の
段階
になりますと、そういったRアンドD要素、RアンドDにかかるプレッシャー等もかなり下げていくことができるわけですし、非常に重要と申し上げられる点ですが、
ITER
は
実験
炉ですから、
実験
という言葉がついておりますように、あれもできるようにこれもできるようにというわけではありませんが、いろいろなことが可能になるような
装置
でないといけないわけなんです。 私は、少なくとも二つの最適化された状態をつくり出すことが
ITER
にとって非常によい結果をもたらす、そうしますと、その次をやるときに、この国はこの状態を選ぶ、
日本
はこの状態を選ぶ、そういう選択肢が可能になります。ですから、戦術と戦略を使い分けていくこともできます。
コスト
面については、
ITER
はいろいろなことができるようにという
実験
装置
ですから、その分、これは決して言いわけではないんですが、どうしても高くなるということがあります。 ですから、
実験
炉で得た
技術
、それからオペレーション、運転の最適化された状態等を次の
段階
の
実証炉
で使うことによって、
コスト
的には、
ITER
で使った
予算
に比べてかなり効率的にできる。 これは私自身が
核融合科学研究所
におりましたときの設計
研究
ですが、次の
実証炉
の
段階
で
コスト
は今の電気代の二倍以下に抑えることが可能だ、こういう
研究
結果もまとめておりまして、そのさらに先に行けば、さらに
コスト
が下がっていくわけですから、将来の、二〇五〇年以降の社会の
皆様
に十分受け入れていただける
コスト
になるはずだ、こういうふうに考えております。
遠藤乙彦
24
○遠藤(乙)
委員
次の
質問
でございますが、今の
核融合
については、
磁場
に
プラズマ
を閉じ込める方式、今のトカマク、ヘリカル型、それともう
一つ
はレーザー方式、二つがあって、基本的に考え方が違うわけでございます。 今の
ITER
はトカマク方式であると承知をしておりますが、このレーザー方式について、先生の御見解、今後、実用炉はトカマクでもうほぼ方向が決まっているのか、あるいはまだそこは決まっていないのか。
磁場
型とレーザー型の利害得失について、また見通しについて、先生の御見解をお聞きしたいと思います。
本島修
25
○
本島参考人
まず、レーザー方式は、アメリカのDOEの
予算
で、カリフォルニア州のリバモアの
研究所
で行っておるわけです。 現在、レーザー
エネルギー
を順次大きくしていっている
段階
です。来年、比較的早い時期に当初のイグニッションという点火の
段階
に到達するということを目標に
研究
を進めておりますので、私としては、その結果を十分見きわめてから判断できるし、したいし、していただけるんじゃないか。もちろん、レーザー方式というのはディフェンスの面があることも御承知のとおりでございますので、レーザーを評価していく上でのそことのバランスと言うとなんですが、総合評価の上では勘案されるべきことだと思います。 レーザーは、周りから光の
エネルギー
を一カ所に集める。
日本
では、パイオニア的に大阪
大学
が
開発
してまいりました。私自身も大変、山中千代衛先生に始まる
研究
成果は非常にこのレーザー
核融合
に貢献したと尊敬もしております。 トコマック、
ITER
と違うところは、レーザーとトコマック、
磁場
核融合
は順番が逆になるということでして、トコマックは、JT60という
日本
の
原子力機構
の
装置
とかイギリスの
装置
が、
研究
した結果、入れた入力と出力が同じになるブレークイーブンという条件を約十年前に達成しております。その後、
ITER
でイグニッション、点火を
実証
するわけなんです。 レーザーの場合は、非常に簡略化した
説明
になりますが、それが逆になりまして、イグニッションが先に来ている。それは光を集めて瞬間的にやりますから、イグニッションが先に来る。その後は、レーザーの効率とかを十分上げて、イグニッションの後のブレークイーブンに持っていく必要がある。 だから、
ITER
のイグニッションとレーザーのイグニッションはこれぐらい違うという点もありますので、ここも十分学問的に、科学的に検討する必要がある、こういうふうに考えております。もう少し様子を見て、一年ぐらいで結論がかなり出るんじゃないか、こういうふうに思っております。
遠藤乙彦
26
○遠藤(乙)
委員
最後
に一点です。
核融合
はまだ非常に先の長いプロセス、まだ数十年ぐらいはあると思いますけれ
ども
、先生も先ほど
人材
の育成あるいは結集の重要性を訴えられましたけれ
ども
、その中でどうやって
研究
者のモチベーションを維持していくのか。非常に重要なポイントだと思いますけれ
ども
、この点について先生の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
本島修
27
○
本島参考人
やはり若い方というのは前しか見ませんから、大いに期待したいと思います。 具体的には、やはり
核融合
の
分野
も巨大科学になって、昔だったら、テーブルトップデバイスと申しますか、小さい
装置
をつくってやりたい
研究
が全部できたという時期もあるわけです、一九六〇年から七〇年。そういった形の
研究
手法がとりにくくなっているということは事実です。 ですから、
分野
全体でシステマチックに若手の育成それからキャリアパスをつくるというシステムをつくらないといけませんし、そういうことができた
分野
は、勝ち残っていく、成功していく
分野
だと思います。 先生の御
質問
に私の言葉でお答えさせていただきたいと思いますのは、小さくてもいいから、とにかく難しいテーマを与えるように、指導者になる、もちろんキャリアを積んだ人は、それを幾つか引き出しを用意してあげる、そこに若い人が自分の考えを入れてその人の方向を決めていく、こういう仕組みをつくり上げるのが非常に大事だと思います。
核融合
プラズマ
の
分野
も、この絵に象徴されていますように、いろいろな難しいことがありますから、これからも長期にわたって若手の興味を引き出していける、こういうふうに考えています。
遠藤乙彦
28
○遠藤(乙)
委員
ありがとうございました。ぜひ頑張っていただければと思います。
松宮勲
29
○
松宮委員長
次に、吉井英勝君。
吉井英勝
30
○吉井
委員
日本
共産党の吉井英勝です。 一カ月余り前になりますか、
カダラッシュ
で先生にお世話になりまして、ありがとうございました。 きょうは、
最初
に、あらかじめ事務局の方から、
先生方
がお書きになったものが「電気評論」ことしの六月号ですか、ここに出ている
部分
で、
未来
の
エネルギー源
の有力な候補として、五十年以上前から
核融合
を進めてきたというお話がありました。 ちょうど、核分裂も
核融合
も、物理学の
世界
では一九三八年、九年のころ非常に進んだわけで、理論的にはできていたんですが、
原発
の方は、プルトニウム生産炉とか
原子力
潜水艦とか、兵器生産から始まって、そして使用済み
燃料
の後始末とか高
レベル
廃棄物
の後処理なしに進んだという経過はありますけれ
ども
、とにかく、この間に動力炉としてできたわけですね。しかし、
核融合
は、五十年取り組んできて、それが動力炉になるにはまだ二〇五〇年ごろという話ですから、大体百年の
単位
でかかるわけですね。 この五十年取り組んで、動力炉になかなか、未完の状態になっているというのは、何がネックであったというふうにお考えになっておられるかを
最初
に伺っておきたいと思うんです。
本島修
31
○
本島参考人
一九五八年にジュネーブでIAEAの
核融合
の国際
会議
が開催されて、平和利用が始まったわけです。そのときに、三十年後には
核融合
ができると言った
科学者
がいるのは事実でございます。 私は、そのとき既に生まれてはいましたけれ
ども
、その五十年後の二〇〇八年にジュネーブで五十周年の記念大会が開かれたときに、サマリートークを頼まれて、いたしました。そのペーパーにも、もしその五十年前の
科学技術
で三十年後にできると言った人がいたとしたら、それは
科学者
じゃないと私ははっきり書きましたけれ
ども
、やはり何が難しかったかと申しますと、高温の
プラズマ
の
磁場
による保持、閉じ込めが非常に難しかった、これに尽きるように思います。 小さい
装置
ですと、高速のパーティクル、粒子がすぐに壁に当たりますから、保持、閉じ込めが思いどおりにいかなかった、それから不安定性も起こった、こういう事実がありますので、やはり
超電導コイル
の大きなものをつくれる
技術
、それから、中にできる
プラズマ
の現象を理解する物理の
研究
、こういったものに時間がかかったことは事実です。 それから、政府によります
予算
等もどんどん大きくなっていきますから、その
予算
をつけていただくためにも十分検証していく必要もあったわけで、これはアメリカでもそうですし、
ヨーロッパ
でもそうだったわけです。 原子炉につきましては、第二次
世界
大戦中に、マンハッタン
計画
で、シカゴ
大学
の高弟にフェルミという確かに天才がいたわけですが、
ウラン
の棒とグラファイトの棒を重ねていきながら、計算尺でもうすぐイグニッションになるだろうというふうなことをやりながら点火した
原子力
とは、やはり
核融合
は大分ハンディキャップがあったんじゃないか。 しかし、今はもう夢ではなくて現実の目標になっているということ、これは社会の
皆様方
にも、本当に私
ども
からもっとよくわかっていただくように情報を発信する必要があるなとは思いますが、本当に現実の目標になってきているということはきょうのこの場でも申し上げたい、こういうふうに思います。
吉井英勝
32
○吉井
委員
この号でも書いていらっしゃいますし、先ほどの
最初
のスライドのところでも、パワーポイントの方でも見せていただいたんですが、原子炉の場合は、
制御
棒を入れてとめても、
機器
冷却系が働かなかったら今回のようにメルトダウンを起こします。一方、
核融合
ですと、要するに真空を破ってしまったら
プラズマ
が消えるわけですから、この点はとめるのは簡単だと思うんです。 ただ、その場合も、二〇〇〇年の五月の
核融合
会議
の
開発
戦略検討
会議
から、
日本
でも
トリチウム
の除染と回収という問題が提起されるようになりましたが、この
トリチウム
の除染と回収の問題と、それからもう
一つ
は、先ほ
ども
ありました、
中性子
によってたたかれるという、この問題による炉
材料
の問題。きょういただきました「パリティ」の原稿の中でもダイバータのことが紹介されておりますけれ
ども
、やはり、炉
材料
の面で、高速
中性子
にたたかれても大丈夫なものをどうするのかという炉
材料
の
開発
と、
トリチウム
の除染及び回収、これの
技術
的に現
段階
ではどういうところに行っているのかということをお聞かせ願いたいのですが。
本島修
33
○
本島参考人
トリチウム
の回収それから取り扱いの
技術
につきましては、
日本
は
世界
の最先端を走っていると申し上げられると思います。実際にも、
原子力機構
の東海研の中に
トリチウム
の
実験
設備を、
ITER
から依頼して、グローブボックスと申しますか、もちろんこの部屋に入るぐらいの大きさですが、そういった
研究
施設で今までの
技術
の再確認をして、
ITER
に使える
技術
として
完成
させようと、
完成
できるところまで来ております。
ITER
の
トリチウム
の時間当たりの取扱量というのは、その次の
ステップ
の
実証炉
と同じ量になりますので、
ITER
で
安全性
も
実証
されて、この
技術
というのは実用化できる、こういう
段階
に来ております。 それから、炉
材料
につきましても、二〇〇〇年
段階
と比べますと、さらに
研究
が進んで、どんどん進んでいる
分野
の
一つ
だと申し上げられますけれ
ども
、現在では、鉄の合金それからモリブデンの合金、こういった
材料
が実際に
核融合
炉に使えるであろう。これは、これから
実証
しないといけません。要素
研究
として十分
可能性
があるということが示されるところまで来ております。
ITER
の
材料
について
一言
申し上げたいんですが、
ITER
は
実験
炉だから、いろいろなことをできるだけ早くやりたいという考え方がありました。したがいまして、
建設計画
が最終化されて、二〇〇一年に現在の基本設計案がまとまっているわけですが、そこではステンレスを使うということが採用されています。 ステンレスは、さっき申しました鉄とかモリブデンに比べますと、はるかに放射化されやすい
材料
であります。それを使って、既存の
技術
として
完成
されたものを
ITER
では採用しよう、これは私は今でも正しい結論だったと思っております。そのかわり、
中性子
の発生量を実際の次の
段階
の十分の一ぐらいに抑える、こういう安全確保のシナリオがつくられたわけなんです。 ですから、
材料
の
研究
は、先ほど御
質問
いただいた六ケ所でも今後さらに加速されていきますし、そういう点でもブロードアプローチの重要性というのが言える点の
一つ
になってまいります。
吉井英勝
34
○吉井
委員
あとの
質問
はまた後ほどに回させていただきます。
松宮勲
35
○
松宮委員長
次に、阿部知子君。
阿部知子
36
○阿部
委員
社会民主党の阿部知子です。 本日はわざわざ、お忙しいところ、また
フランス
からお越しいただきまして、遠藤
理事
初め各
理事
の御尽力でお話を伺うことができて、ありがとうございます。でも、正直言ってとても難しいので、頭が追いついていくかどうかちょっとわかりませんけれ
ども
、直截なところで伺わせていただきます。 きょう
本島参考人
もお触れになりましたが、三月十一日の東京
電力
の
福島
第一
原発
事故
と申しますものは、それまで、ほぼそうした
事故
は起こり得ない、多重電源喪失な
ども
起こり得ないと想定外にも近い言い方をされていたけれ
ども
、現実には起こり、多大な被害をいまだに及ぼしているところにあるわけです。 この
事故
をめぐって、国民も含めて、私
ども
政治家もそうですが、何を考えているかと申しますと、この間ずっと、戦後の中で、
エネルギー
政策は大規模化して、国家投資の最たるものだと申しますけれ
ども
、核分裂の原子炉を用いて
エネルギー
を得るという方式から、より小規模というか、各地域に応じた分権型の
エネルギー
がやはりこれからは重要なのではないかということで、再生可能
エネルギー
を進める法案も成立させたところであります。 そういう観点からいたしますと、
本島参考人
がおまとめになりました「
ITER
」の特に
最後
のスライドで「新たな
時代
への
ステップ
」というところで書かれている点について、例えば、これから
エネルギー需要
の増大にどう対応するのかということも、確かに
地球
規模で考えると人口増も加わって
エネルギー
というのは必要度は増してまいりますが、また逆に、その地域地域での
エネルギー
の供給や、あるいは大きく言えば省エネなどの形で、例えばドイツなどの例を見ましても、
エネルギー需要
の増大と経済の活性化というのは必ずしも同方向ではなくて、
エネルギー需要
はある程度抑えながら経済も発展させていくという道もこの間
実証
もされていると思いますし、それから、二点目の
核融合エネルギー
による大規模な
エネルギー
生産の
可能性
という点も、小規模分散型というものも
一つ
視野に入ってきているのかなと思うわけです。
時代
時代
、物の考え方というのはあると思います。
本島参考人
御自身は、今そうした大きな転換点にあるのかなと私は思いますが、大前提はどうお考えか。もちろん、私は、
プラズマ
研究
のこととか
核融合
の
研究
については非常に御尽力いただいていることを評価しております。ただ、これを
実験
炉あるいは現実の実用炉にしていって、大規模化して
エネルギー
の量を増していくという考え方が
時代
から見てどうか、これは直截な
質問
ですので、よろしくお願いします。
本島修
37
○
本島参考人
この二十二
ページ
で書かせていただいた大規模と申しますのは、現在の
発電所
の規模、百万キロワットぐらい、こういう
意味
で使っておるわけですが、
日本
も
エネルギー効率
それから発電の効率、使用効率等は
世界
のトップクラスなわけですから、ほかの発展型の国と比べても、既に随分先進型の
エネルギー需要
それから使用のひな形になっていると私は考えております。 自動車は大体、
石油
といいますか、ガソリンとかディーゼルで動くわけですが、百万キロワットの
発電所
から電気または
水素
で
エネルギー
を供給しても、一日三十キロ走ると仮定した場合に、せいぜい二百万台ぐらいの車にしか
エネルギー
を供給できないという事情があるわけです。 そうしますと、
石油
がだんだん使いにくくなっていった
段階
で、
原子力
も頑張らないといけない。
核融合
も、
日本
の国力からいって、一年に一カ所つくっても百年で百台しか
エネルギー源
がつくれない。いずれにしても長期的な視野が必要なことは間違いないわけですから、そこがやはり政治で長期的なビジョンをつくり出していただく必要が絶対にあるところなんじゃないか、こういうふうにも思ってこちらに参っておるんです。 大規模かどうかというよりは、私は、ネットワークをうまくつくって、そして、要らないところからより必要としているところへロスなく送るような仕組み、それから夜は蓄える仕組みとか、そういったまだまだ
日本
の
科学技術
の知恵を絞って、使える、または先生が今御指摘のような方向に持っていく方法というのは幾つかある、こういうふうに思います。ネットワークということが非常に大事なんじゃないかというふうに今御
質問
を受けて考えておりました。
阿部知子
38
○阿部
委員
二点目は、そのネットワークということについて、実は、先生が今
フランス
でやっていただいているお
仕事
も、そういう
各国
の協調、協力の
もと
に、
核融合
技術
も、やはり切磋琢磨して磨かれていくものではあると理解しております。 その一方で、しかしながら、また、
実験
炉などを使う場合に、各パーツ、パーツをいろいろな国々が
分担
した場合に、それぞれ、規格と言っていいのかどうかわかりませんが、いろいろ違いがあったり、今度それを一体として動かして、実際に動くときに逆に問題が生じやすいという側面も、これは組み立てという初歩的なことを考えても、私はあるように思うんですね。 そういう点で、
実験
炉
段階
ではありますが、
機構長
として、例えば、こういう
各国
それぞれの文化も
技術
も
レベル
も違うものを、しかし、一体として運用していくような
計画
、すなわち、これは
核融合
の方が本当に核分裂よりもさらにもう一歩進んだというか次の
技術
なので、おのおの
各国
だけではやれないからという協力体制ではあるんですけれ
ども
、しかし、実用化するときの、
実験
段階
でもそうですね、おのおのの違いがデメリットに出る場合はないのかということをお尋ねいたします。
本島修
39
○
本島参考人
これは、仮定してということでお答えするので、実際の場合と、
実証
できるかどうかという点の問題が起こるかもしれませんが、やはり一国でやる場合と七カ国でやる場合は、七カ国でやる場合の方が手間暇はかかるというのは事実だと思います。それを承知の上で
ITER協定
もつくられておる、こういうふうにも申し上げられるんですが、やはり
建設
段階
でのクオリティーコントロール、製品管理、これをいかに成功裏に進めるかということがすべてだ、こういうふうに考えます。
ITER
は物納で物が来たときに受け入れ検査ということをやるわけですが、
ITER
はそれをやればいいということでは、もし受け入れ検査に合格しなかったらまた何年もおくれるという結果になるだけですから、やはり、ある
部分
について国が物をつくるときに品質管理をどうするか。 それから、設計は、ほとんどのものが、
ITER
がビルド・ツー・プリントと申しまして三次元モデルをつくって、それをプロキュアメントアレンジメントと申しまして
各国
と契約を結んで、その図面の
もと
に
各国
が
企業
に発注する、こういう形態をとっております。 製品管理、品質管理は、
各国
の
責任
ですが、ここを
ITER機構
も直接踏み込んで参加しながら進めることによって、御指摘いただいた問題点というのは結果として解決できるようになりますので、非常に重要な点である、こういうふうに考えております。
松宮勲
40
○
松宮委員長
次に、
柿澤
未途君。
柿澤未途
41
○
柿澤
委員
みんなの党の
柿澤
未途でございます。 きょうは、
本島
先生、ありがとうございました。 私は完全に文系の人間ですので、こういうことにははっきり言えば門外漢なんですけれ
ども
、
核融合
と聞いて、私と同世代の議員の方もたくさんいらっしゃるので
最初
によた話をしますと、例えばアニメの「宇宙戦艦ヤマト」とか「機動戦士ガンダム」とか、こういうものというのは、基本的に小型の
核融合
炉を
エネルギー源
として駆動する、そういうものだと思うんですよね。こういうものが私たちが生きているうちに
実現
に向かって動き出しているというのは、本当にSFの
世界
を実感するような、そんな思いもいたします。 さて、これが本当にいつ
実現
をするのか、こういう話でありますけれ
ども
、二〇二七年に
核融合反応
ということで
実証炉
に進んでいく、このタイムスケジュールに向けた見通しがどんなものなんだろうかということをまずお伺いしたいと思います。
核融合反応
で発電をするための条件というのは、いわゆる臨界
プラズマ
条件、こういうものが満たされなければならない。さらに言うと、それを持続させるための自己点火条件というのが満たされなければならないということであります。原研のJT60の高圧力
プラズマ
の保持時間というのは大体三十秒間ぐらいだとかいうことを、いろいろインターネットで調べて、知りました。
現状
、そういうことで、
核融合
として実用化に向けた
レベル
のところまで持っていける持続時間というのはわずか三十秒間ということであるわけですけれ
ども
、これは、実際に、先ほど申し上げたような臨界
プラズマ
条件を
クリア
し、さらに自己点火条件を
クリア
する、こういう上で、
技術
的な障害になっているのはどんな点で、なおかつ、それを乗り越える見通しが今の時点でどのぐらい立っているのか、こういうことについてお伺いをしたいと思います。
本島修
42
○
本島参考人
まず、
ITER
は、十倍の出力を出す、五十万キロの出力を出す場合で四百秒を設計基準にしております。それから、その半分になったときは、二十五万キロワットぐらいですが、完全に定常を
実現
できます。自己点火条件をそれだけの時間続ける。やはり、今の四百秒、それから少し出力が下がったところで定常というのは、次の
段階
の
実証炉
に必要な条件だからなんです。
原子力機構
のJT60は、臨界
プラズマ
条件一の、入れたパワーと出たパワーが一の条件を達成しました。このときに、三十秒ぐらい、数十秒ぐらいという短いパルスだった理由は、JT60は
超電導
の
装置
ではないので、
実験
に必要な
磁場
が時間がたつとゼロになってしまうわけですね。 定常で
磁場
が出せない、パルス的にしか出せない、そういうテクニカルな理由から決まってきておりまして、
実験家
は、ある
実験
をするときに、その現象に、典型的なタイムスケールと申しますか、済みません、余り具体的な
説明
になっていないんですが、この現象は、例えば三十秒間
プラズマ
をつけて
実験
すると、定常と同じ扱いとして検討できるかどうか、こういう前提の検証をしておりますので、三十秒の
プラズマ
をつけて、高
性能
の
プラズマ
実験
をやったということは、それは次の
段階
で定常でも行けるんですよということを理論的には証明しているんですね。そういう手法をとってまいりました。
柿澤未途
43
○
柿澤
委員
すると、現時点では、
技術
的な面でいうと、二〇二七年に定常的な
核融合
といいますか、こうしたことを阻む要因というのは、乗り越えなければいけないような
技術
的な障害というのは、特段大きなものはない、順調に進んでいる、こういう理解でよろしいんでしょうか。
本島修
44
○
本島参考人
建設計画
をつくって、そして
実験
を開始した後の
実験
のシナリオ、これはコンピューターシミュレーション等で、
ITER
だけではなくて他の極の
科学者
等と、いろいろ現在までのデータ
ベース
、JT60のデータ
ベース
等を勘案しながらしております。ですから、見通しとしては、もちろん達成可能です。 しかし、やはり
実証
しなければ
意味
がないわけですから、少し乱暴な言い方をすれば、それはやらせてくださいというか、やってみなければわかりませんよというわけじゃありませんけれ
ども
、やってみて、予定どおりまたは予定以上の結果が出せて何ぼの
世界
だろう、こういうふうに思います。しかし、見通しとしては、もちろん確信があるので私も
機構長
を受けましたし、みんなも、それから七極も頑張っている、これは間違いございません。
柿澤未途
45
○
柿澤
委員
そうすると、私が生きているうちにガンダムは
実現
をするということになるわけですね。大変感銘を受けました。 お話はかわりますけれ
ども
、にわか勉強で恐縮でありますが、しかし、
核融合
時に発生する
中性子
が
核融合
炉の炉壁を傷める、こういうことがあると言われています。そうすると、実用化した炉が、材質によりけりで、どのぐらいの年数もつのかということになってくる
部分
もあるのかなというふうに私なりに考えるんですけれ
ども
、それは、先ほどの
コスト
・ベネフィットの問題にもかかわってくる。実際に、実用化された炉が何年ぐらいもつ、こういうものであるとされているのか、この点、お伺いをしたいというふうに思います。
本島修
46
○
本島参考人
一番
プラズマ
に近いところに、ブランケットという壁とそれから
エネルギー
を取り出す
装置
をつけます。
ITER
では、ベリリウムを表面に張ったステンレスの、厚さが一
メーター
ぐらいの、一
メーター
よりは小さいんですけれ
ども
、そういう構造物を使います。この構造物は、
ITER
の寿命の間は、一部それはメンテナンスで外したりすることは想定しておりますが、寿命中はもつ、こういう設計です。 将来のリアクターについての御
質問
については、やはり低放射化の
材料
を
開発
することと、それから、五十年ぐらい
核融合
炉としては寿命がもつ必要があるわけですから、その間に一回か二回交換することによって
核融合発電
所が成り立つ、そういう
材料
を
開発
してきております。ですから、それが鉄系でありモリブデン系である、こういうわけでございます。
柿澤未途
47
○
柿澤
委員
最後
にいたします。 今、
日本
は、
原発
依存から脱却をするという脱
原発
、これが唱えられていて、その一方で、そうした形になると、核物理等の
研究
者の
人材
が
日本
において枯渇をしていってしまうのではないか、こういう
技術
の継承というか発展が行われなくなるのではないかというような、そうした懸念も言われています。 そうした中で、先ほど、
人材
を残すということの大切さ、こういうことをおっしゃられたわけですけれ
ども
、今後、こうした
時代
状況の中で、
日本
のこうした問題に関する教育
研究
、
人材
育成、こうした点について、将来の姿ということについてどんな思いをお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
本島修
48
○
本島参考人
まず、やはり教育のことですから、特に高度な教育にかかわりますから、私は、
大学
の
先生方
により頑張っていただきたいということを、僕も教授でしたから、率直に思います。 そのためには、今、政府、国会等でも御検討されていると承知しておりますけれ
ども
、今後の長期的視点を踏まえての
大学
の改革等の
進展
もより一層必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思います。やはり、やる気を持つ
人材
というのは貴重ですし、一人でも多くつくる必要がある、育てる必要がある、こういうふうにも思います。
原子力
、脱
原発
ということについては、もちろん
福島
の
事故
の後、加速されている面もあると思いますが、既にそれ以前から、
原子力
分野
の教育というのはもう
完成
された
技術
だという考え方が随分あったはずですので、
原子力
教室、原子核教室といったものが改組されて名前が変わっていきましたね。そういうことも
一つ
ここで見直すというか、私は決して高いところから物を言うつもりはありませんけれ
ども
、教育として、過去を振り返りながらより
日本
に合った形をつくっていっていただきたいな、こういうふうに思います。
フランス
の私がいる町の近くにシステロンという町がありまして、三月の下旬に
日本
の災害に遭われた方を悼む式をしたいということで、私、市長に呼ばれて、そのときは
フランス
の
国旗
と
日本
の
国旗
がありまして、
日本
の
国旗
を半旗にするという大変荘厳な儀式をしていただいたんですけれ
ども
、そのときに私が市民の
皆様
を前に申し上げたのは、
日本
は高い
技術
を持っているわけですから、より
安全性
について
技術
の
開発
をしていくことになるはずだということを申し上げました。
原子力
については今後いろいろな議論をしていかれるというふうにもちろん承知しておりますけれ
ども
、
核融合
も
原子力
も他の
分野
もそうですけれ
ども
、ルーツについては、人ですし、
基盤
ですから、そういう点では、私は、
核融合
の
技術
が非常に高いということは
原子力
の
分野
の
技術
も非常に高いということだと信じておりますし、そのときに、
日本
は
原子力
は決してあきらめないんじゃないかということは個人的に申しました。
柿澤未途
49
○
柿澤
委員
ありがとうございました。
松宮勲
50
○
松宮委員長
以上で各会派を代表する
委員
の
質疑
は終わりました。 これより自由
質疑
を行います。 この際、
委員
各位に申し上げます。
質疑
のある
委員
は、お手元のネームプレートをお立ていただき、
委員長
の許可を得て
発言
されるようお願いいたします。
発言
が終わりましたら、ネームプレートをお戻しください。また、
発言
の際は、所属会派及び氏名をお述べください。 なお、
理事会
の協議によりまして、一回の
発言
時間は三分以内となっておりますので、
委員
各位の御協力をお願い申し上げます。
参考人
及び
質疑者
におかれましては、御
発言
の際は自席から
着席
のままで結構でございます。 そして、若干時間が予定より延びておりますので、これから、おおむね五時五十分から五十五分ぐらい、つまり、
質疑
応答は三十分以内ということを目途に進めさせていただきたいと思います。 それでは、
質疑
のある方はネームプレートをお立てください。
熊田篤嗣
51
○熊田
委員
民主党の熊田篤嗣でございます。 先生、きょうはすばらしいお話をありがとうございました。 三分以内ということですので、早速、簡単に
質問
させていただきたいと思います。 先ほどからも何度か出ておりましたが、
中性子
の放射化のところですけれ
ども
、今までと違いまして、
ITER
で本格的に動き出すと、DTで動かすことになると思うんですが、DTの場合、これまでとは全然違う
環境
になるんじゃないかと思います。 繰り返しになりますが、改めて、そういった状況下においても越えていけるものなのかどうなのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。 それと、今度のこの
ITER
というのは、七極ということでございますが、
日本
、
ロシア
、アメリカ、EUは先行してやっておりましたが、やはり、
韓国
、
中国
、インドというのは後発組だと思います。 先ほど阿部先生の
質問
にもありましたが、そういった
レベル
の違うところが複数でやることによって、例えば部材な
ども
、先ほど、品質管理をしてということでございましたが、こういったところがおくれてくることによって全体のスケジュールが狂うことはないのか、そこはやはり心配があるなということ。あるいは、こういった後発組が入ってくることで、一緒に
共同研究
をしていくというよりも、むしろ、これまで蓄積された
技術
がとられていくというのか抜かれていくというのか、それによってライバルを育ててしまう結果になってしまうんじゃないか、そういった
部分
の危惧が少々ございますので、そのあたりはどういった状況であるか、教えていただきたいと思います。 それとあわせて、BAの絡みになるのかもしれませんが、JT60SA、今つくり直しをしていると思いますが、そこが、
日本
とEUの共同
開発
でやっていると思います。そういった
意味
でいうと、七極ではなく、
日本
、EU、この二つが先行して
開発
をすることが可能になるのではないのかなと思っておりますが、こういった意義づけをぜひ教えていただきたいと思います。 それと、もう一点だけ、申しわけありません。ある
研究
者の方が、
ITER
というのは非常に保守的な設計をしていると。ですから、これが終わってから、二〇二七年以降に次の炉に進んでいくという形で書いてありましたが、二〇二〇年から動かし出して、並行して次の炉を
建設
していく。要は、例えば、金額は別としてですが、その方がおっしゃったのは、二兆円、年間一千億円を先行投資できれば、実用化を十年早めることができるということを言われる
研究
者がいらっしゃいました。 これは、現実的にそれくらいの自信を持って進めているものなのかどうか、そのあたりも含めて教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
本島修
52
○
本島参考人
中性子
の問題、これは
核融合
炉にとりましても非常に重要です。
中性子
は、遮へいの
技術
というのは、既に原子炉、加速器等で
開発
されてきて、
実証
もされております。要するに、軽い水とかを使うのが一番効率がいいわけです。それから、コンクリートも使いますけれ
ども
、コンクリートがなぜ遮へいに効果があるかというと、コンクリートの中にも水がいっぱい入っているからなんですね。そういう
原理
的なところを十分検討して、それから
実験
で
実証
しながら使っていくことによって
安全性
というのは高まる、こういうふうに申し上げられます。計算に乗ってきている、こういう言い方もできます。 したがって、
中性子
の遮へいは
ITER
で十分検討されておりますので、実際の
実験
でそれが
実証
されるわけでございます。これは非常に重要な点です。どこかに穴があいていて、そこからちょっと余計に漏れたとか、そういうことは率直に申し上げてあり得るかもしれませんけれ
ども
、対応のできることですから、弱いところから出力を上げていくことによって、そういう問題というのは十分克服できるわけです。 それから、ライバルを育てるかどうかという点については、確かに、
ITER
への参加がキャッチアップ型の国と先行型の国があるのは事実でございます。私は国の名前を挙げることはちょっと差し控えざるを得ませんけれ
ども
、しかし、キャッチアップ的に来ておられる国はもうそれに徹していますから、そういう点で、インテレクチュアルプロパティーの押さえ方等については比較的問題が出にくいんじゃないか、こういうふうに思います、建前はすべて共有なんですけれ
ども
。 ですから、結局、それを活用するのは人ですから、
ITER
へ来て、経験を積んで帰ったところで、その人がさらに、
日本
なら
日本
の次の
段階
へ発展させるかどうかというのは、それは
日本
の
責任
ですし、ものですから、そこで差が出てくる、こういうふうに思います。
日本
のお隣の
韓国
につきましては、今工程的には一番進んでおります。そういう面も実はあります。ヒュンダイ等が今後積極的に参入してくることが予想できますので、そういう点では、スケジュールのキープは非常にいいのではないか、こういうふうにも期待しております。 あとは、
ITER
が保守的な設計であるという点については、やはりできるだけ早く
実験
炉として
完成
させなければいけないという事情が働いていた点が非常に大きいと思います。ですから、ステンレスを使ったと先ほど御
説明
申し上げました。これは保守的なことの典型なんじゃないかと思います。 しかし、その決定には十分合理性があった、こういうふうに思います。
ITER
をやることによって、その次はもうこれだというのが決まってくるわけですから、随分先進性が出せるんじゃないか、こういうふうに考えております。 あとは、並行してできるかどうかということについては、ぜひそれは並行して
日本
も国策としてやっていただけないかな、こんなふうに思っています。
ITER
が成功しているということを確認するのは、私の前の
実験
のときもそうでしたけれ
ども
、
最初
につくった
プラズマ
の顔を見たら、それで成功しているかどうかというのは、私はそのときはそれは赤ん坊だと言いましたけれ
ども
、本当にその時点でわかりますので、そのときにもう次の
段階
のゴーサインを英断をもって出してもらうことも可能なんじゃないか。そのためには、専門家の
意見
を聞いていただいて、その上で判断していただくということになる、こういうふうに思います。
熊田篤嗣
53
○熊田
委員
ありがとうございます。
馳浩
54
○馳
委員
自由民主党の馳浩です。 二、三点、簡単にお伺いいたします。 政府の行政刷新
会議
から、提言型の政策仕分けというのが行われて、コメントが先般出されました。「
ITER計画
については、国際交渉を進めることにより、
日本
の負担を圧縮するなど、膨張する負担について、更なる削減、合理化の努力を図るべき。」極めて抽象的な表現ではありますが、何となく、
本島
機構長
の後ろから鉄砲を撃つような表現かなと。 なかなか私も指摘しづらいんですが、別に法的根拠のない
会議
から出たコメントですと言えばそれまでではありますが、そうはいっても、国民としての関心事であることは間違いない。したがって、出身の国から、政府からこういうふうなコメントが出る、その内容について、では、
本島
機構長
としての反論をお聞かせいただければというのが一点目ですね。 二点目は、脱
原発
依存という考え方については、三・一一以降、国民にも各政党にも理解されつつあるのですが、ここは二つですよね。そうすると、省エネと節電をどこまでやりましょうかという合意と、三分の一賄っている
エネルギー
の供給量をどこに求めるのか。五年、十年ですべて自然
エネルギー
、再生可能
エネルギー
が大丈夫かというと、そうではないというふうな認識もある中で、この
ITER
が実用炉になった場合に、
我が国
の安定的な
エネルギー
供給源となり得るのかどうかという、やはり何となく明るい
未来
もお話しいただきたいなと。 二点をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
本島修
55
○
本島参考人
日本
は歴史的に武士道の精神がありますから、後ろから鉄砲で撃つということはないはずだと思います。しかし、私も、きょうも申し上げました
コスト
の削減にはさらに努めてまいりたいと思います。 その方法は実はございまして、私、昨年の七月の終わりに
機構長
の指名を受けて、その後、次の日に全職員を集めて、当然、私のその方針を
説明
したわけですが、そのときに出したメッセージの
一つ
がシンプリフィケーションという言葉です。あらゆるところでマネジメントをライン化してシンプリファイする、ディシジョンメーキングをシンプリファイする、それから設計もシンプリファイしていく、そのためには高度な経験と判断力が必要になるんですが、それによって
コスト
削減が百億
単位
でできてきております。 今後も、
企業
との
製作
という
段階
に入りますので、
各国
の
企業
のテーラーメードな、
日本
は特に高い
レベル
を持っておりますから、そこの
製作
の
現場
から出てくる新しい
技術
の提案とか、そういうことを受けることによってさらに
コスト
低減はできるはずだ、これは私の経験からそういうふうに思います。
日本
でシンプリファイしたことは
日本
の
コスト
の縮減につながるわけですから、プラスのフィードバックになっていくはずだと思います。こういった
可能性
をさらに追求していきたいと思います。 これが
最初
の御
質問
だと思います。 私も、
日本
人として、
日本
の高い
科学技術
が評価されたので、私の個人的な経歴ももちろん評価の対象にしていただいたことは誇りに思っておりますが、やはり
日本
の高い
科学技術
があったから私が
機構長
に推挙されたということは肝をもって銘じております。 したがって、もちろん
ITER
の
機構長
としての
責任
を果たしてまいりますが、
各国
、しかもその主要なメンバーである
日本
のベネフィットがあり、
先生方
から見ても十分あるというふうにならなければ、
ITER計画
というのは成功したとは言えないわけですので、この点については、さらに私の
責任
と努力を傾注してまいりたいと思います。シンプリフィケーションということによっていろいろな
可能性
が出てくると具体的に思っております。 それから、脱
原発
という議論は非常に難しい議論になるはずだと思います。この点につきましては、例えばドイツは、まさしくそういう方向へ一たん進んで、また揺り戻しがあって、現在も進んでおりますね。しかし、
フランス
の
原子力
発電所
から出た電気を買っているわけですね、これも御承知のとおりです。だから、そういう点では脱
原発
になっていないんじゃないか、そういうふうにも思いますから、やはり
安全性
についてしっかり
レベル
を高めるということが
日本
にとって非常に重要な点なんじゃないかな、申し上げるまでもないんですが、私はこういうふうに思います。
核融合
につきましては、やはり百台つくるのに百年以上はかかるロングスケールの
エネルギー
政策になるはずですから、国と政治の理解と支援がなければ
実現
しないわけですが、安定的な
エネルギー源
になる条件はもう十分整っている、それを
実証
するのが
ITER
である、こういうふうに考えております。
馳浩
56
○馳
委員
ありがとうございます。
大西健介
57
○大西(健)
委員
民主党の大西健介でございます。 二点、御
質問
させていただきたいと思います。 一点目は、
ITER
はEUを含めて七極が参加をしていて、
本島参考人
は
機構長
として全体を取りまとめておられる立場にあるわけですけれ
ども
、参加
各国
のこういった先端
技術
への取り組みとか政府のバックアップとか、それぞれ国によって違うと思うんですけれ
ども
、取りまとめておられる立場からして、なるほど、この国は感心するなとか、さすが、見習うべき点があるなという点があれば、ぜひ教えていただきたいというのが一点目です。 二点目は、
本島参考人
のきょうのプレゼン
資料
の十三
ページ
のところで、「
我が国
からの
人材
投入はまだまだ不十分」というふうに書いてありまして、先ほどの
質疑
の中で、それは恐らく、
一つ
は、
人材
育成という観点からもっともっと若手を送るべきだということを言われているのかなというふうに感じましたけれ
ども
、現在、どうやって
人材
を選抜しているのか。あるいは、細かいことになりますけれ
ども
、待遇というのは十分な待遇なのか。一流の
研究
者、
科学者
にとって十分な待遇なのか。それを含めて、それから、先ほどの
質問
と関連しますが、では、
各国
はどういう戦略を持って
人材
を
ITER計画
に送り出してきているのかという
部分
について教えていただければと思います。
本島修
58
○
本島参考人
まず、七極は、七極七様と言ってもいいぐらいですので、そのことによりますおもしろいこともいろいろ出てまいります。それから、内部的な行き違いとか対立とかですね。 今、まず
ヨーロッパ
についてですが、やはり地元だということもありまして、他の
分野
の
研究
機関から、例えばCERNですね、ああいったところから
超電導
の関連の
技術
者を大量に送り込んできたりとか、そういうフレキシビリティーがかなりあるように思います。 この十三
ページ
の表を見ていただいても、今EUは六〇%を占めておりまして、私としては、他の極に頑張ってもらって、
予算
の支出率に見合った
人材
構成ということになりますと、数字の上では四五%とか五〇%ぐらいが適正という、私も、他極から優秀な人をより多く得ることによってこのバランスを改善していきたい、こういうふうにも思っています。 昨年私が着任したときは六五%でした。ですから、一定の努力をした結果、今六〇%で、ほかの国がチャンスがふえている、こういう傾向です。これはいい傾向だと思うんですが、
ヨーロッパ
もそれを認めてくれております。 セレクションについては、もう完全にオープンセレクションですので、あるポストで、ある国の方が定年になったり国から呼び戻されて帰ったときに、その国の方が次に入るという保証は全くありません。こういう競争
原理
で物事を決めております。 例えば、インドの場合は、インド政府が当初お決めになって、五年契約が原則なんですが、三年契約で帰してほしいということが私の行く前はあったんですが、これですと、入れかえに、せっかく経験を積んだ人が三年でいなくなって、本人のためにもなりませんし、引っ越し費用は出さないといけない、もちろん、引っ越し費用については小さいことですが。インド政府とかけ合いまして五年に延ばしてもらうことに成功しているところでございますが、実質的にも結構やるべきことがまだこれからもあると思います。 それで、人を送り込んでもらうという点については、今、
ロシア
が若手の
研究
者を
ロシア
の費用で八人送りたい、これは研修生みたいなものですね。来年の二月から、その来た方の安全とかも確保する必要がありますので、準備を整えて、この仕組みが始まります。
ロシア
政府は非常に積極的だ、先鞭をつけているという言い方ができると思います。その中で残りたいという人がいれば、オープンセレクションに応募してもらって、結果が出れば採用していく。
ロシア
にとりましても非常にメリットがあるわけですね。 それから
中国
とは、来週私は
中国
へ行きまして、USTCという
大学
と協定を結びますが、やはり、向こうの学生を向こうから送り込みたい、
ITER
のスタッフを客員教授にして採用したい、こういう非常に具体的な
計画
が進んでおります。 ですから、
日本
からも既に、教授の先生のコネクションで一番
最初
に
研究
生が来たんですが、その後もう少し拡大をできれば本当に学生の興味ももっと引き出せるんだけれ
ども
な、こういうふうに考えておるところです。 御
質問
には大体お答えできたかどうか、やはり
日本
も積極的に人を出してほしい。
日本
の場合は、外国へ行った留学生で定着する人が二%しかいないというデータがあるようですね。逆に、留学生を受け入れても、二%しかその人たちは定着しない。もう少し数字がふえるといいな、
ITER
がそれに貢献できるといいな、こういうふうに思っております。
松宮勲
59
○
松宮委員長
ちょっとお願いでございますが、時間が相当迫っておりますので、簡潔に御
質問
いただき、また、
参考人
の方もできるだけ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
吉野正芳
60
○吉野
委員
一点、
質問
します。 私、
福島
県でありまして、まさに私の選挙区がここの第一
原発
のところなので、先生のこの六
ページ
を見ますと、もう
福島原発
のような
事故
はあり得ない、安全だと言っているんですけれ
ども
、逆に、どんなところが危険なのか。
ITER
はこんなところが危険なんだ、こんなところが危ないんだというところを教えていただければと思います。
本島修
61
○
本島参考人
最大の想定
事故
は、
トリチウム
の漏えいです。キログラムオーダーの
トリチウム
の漏えいがやはり一番気をつけないと、懸念すべき安全
対策
の対象になります。これに尽きるかと思います。 あとは、
ITER
の場合、津波の問題はありませんが、上流にダムがありますから、そのダムが決壊したときに水位が何
メーター
上がるか、こういった検討はしております。三十
メーター
上がるんですが、私
ども
はさらに五
メーター
高いところに土地がある、こういう検討結果で
安全審査
をお願いしております。 やはり、最大という点では
放射性物質
である
トリチウム
です。
平智之
62
○平(智)
委員
きょうは、ありがとうございます。 ぜひ夢の
エネルギー
として
完成
することを心から願っておりますが、ちょっとあえて政策の面から。 高速増殖炉の
完成
が二〇五〇年というふうに今設定されていて、この
核融合
の、
商業炉
になるんですか、二〇四〇年から運転するよとおっしゃっているとすると、夢の
エネルギー
が今二つ国内で動いていることになるので、膨大な
エネルギー
を二つ持つことになるんですが、このあたり、
研究
者のお立場からどう思われるかが一点。 それからもう一点は、今回の
福島
第一で、私も関係議員として活動させていただいていますが、
原子力
村と呼ばれる言葉の中に、
研究
者の方が集まっておられて、例えば熱力学の先生とかプラントエンジニアの
先生方
がなかなか入っていけなかったということが今現在でもあります。 学術
会議
も随分心配しておられて、どうしたものかと思っておられますが、この
ITER
並びに
核融合
炉全体が本当に、理学、サイエンティスト、エンジニア全体の
総合技術
になり得るか、どう思われているでしょうか。その点について。
本島修
63
○
本島参考人
まず、
ITER
は、少しふろしきを広げさせていただきますと、と言うとちょっと表現力がないことを露呈してしまいますが、やはり
各国
のカルチャーを集めて新しいカルチャーをつくろうとしていると言えると思うんです。したがいまして、より透明性の高い
科学技術
になるはずだ、これが
国際協力
の非常にメリットの大きい点のはずだ、こういうふうに思います。 したがって、各
分野
分野
で細分化されて、
各国
の中では細分化されてしまっているものが、国をまたぐことによって、その垣根が取り払われる場合が非常に大きいと思います。そのために手間暇もかかるし、
コスト
もかかる。しかし、それは時間をかけていいし、投資していただいてもリターンのあることじゃないか、こういうふうに期待しておるんです。 それで、実際にインテグレーションをやりますから、そこでいろいろな
分野
からの参入というのが、やはりパイオニアですから、いろいろな
可能性
がある。そこは
原子力
の
完成
された
技術
と思われていた
部分
と違うところのはずだと思います。パイオニア精神を常に持てる、持つべきだということでもあると思います。 あとは、「もんじゅ」と
ITER
を比較して、さあ、どうなんだという御
質問
だとしたらちょっと答えにくいんですが、しかし、「もんじゅ」に投資された金額というのもかなりの金額のはずですから、やはりその投資した
予算
が効率的であったかどうかということについてはぜひ検証していただく必要があるのではないか。私たちも、何年か先にその検証にたえ得るように、きちっとした
仕事
をしていくのが
ITER
オーガニゼーションの責務の最大の
部分
である、こういうふうに考えます。
松宮勲
64
○
松宮委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終わりました。 この際、
本島参考人
に
一言
御礼を申し上げます。
本島参考人
には、大変貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げますとともに、
ITER
プロジェクトの現地におけるトップリーダーとして、どうぞこれからも御身御自愛の上、遺憾なく力量を発揮されますよう心より御祈念申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
参考人
は御退席いただいて結構でございます。
本島修
65
○
本島参考人
ぜひ
カダラッシュ
へ御招待申し上げたいので、いつでも御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。(拍手) ————◇—————
松宮勲
66
○
松宮委員長
この際、
理事会
の協議に基づき、
委員長
から報告いたします。 本日の
理事会
において、十月二十五日の当
委員会
における古川大臣の吉野
委員
への答弁について、大串政務官より、「十月二十五日の当
委員会
における、古川大臣に対する吉野
委員
の核
燃料
サイクルについての
質問
であるが、吉野
委員
の通告・関心事項を幅広く古川大臣に伝えなかったため、吉野
委員
の
質問
に対する古川大臣の答弁に十分円滑でなかった点があった。このことについて、私以下、事務方一同、大いに反省している。」との
説明
を受けました。 このことを受けて、私からも適切かつ円滑な
委員会
運営が図られるよう、いま一度内閣府に対し、注意を申し入れましたことを御報告します。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十七分散会