○齋藤(健)
委員 自由
民主党の齋藤健でございます。
本日は、
野田新政権ができてから初めての本格的な
国会論戦の場であります。
予算委員会で一年生
議員であるにもかかわらず質問の機会を与えていただきましたことに、まず初めに感謝申し上げたいと思います。
その上で、私いつも申し上げていることではありますけれども、私は質問をするに際しまして、揚げ足をとることはせず、直球の、正論勝負をすることを美学といたしておりますので、御
答弁の方も直球で、正論でお返しいただければありがたいなと思います。
ところで、
野田総理、
総理は我が千葉県が生んだ六十六年ぶりの
内閣総理大臣であります。六十六年前の千葉県出身の
総理は、御案内のとおり、我が地元の
野田関宿出身の鈴木貫太郎閣下でありました。御案内のとおり、鈴木貫太郎閣下は終戦時の
総理大臣でございました。閣下は、海軍軍人として海軍次官や連合艦隊司令長官という重職を重ね、さらには枢密院議長、侍従長といった重厚な経験を積み上げた上で
内閣総理大臣に就任し、その卓越した力量でポツダム宣言の受諾という難事をなし遂げられました。
私はかつて、このポツダム宣言受諾過程について詳細に研究をいたしたことがありますけれども、その過程において、鈴木貫太郎閣下が、軍や
行政や
政治を熟知した上で、実に的確な手を打ち続けてあのポツダム宣言受諾という難題をなし遂げられたその力量に、舌を巻いたものでありました。
六十六年が
たち、今またこの国が震災や
原発事故という国難を迎え、そのときに千葉県の
総理大臣がその職を担うということで、ぜひ鈴木貫太郎閣下に負けないような国家
国民のための大活躍をしてほしいと、同じ千葉県選出の
国会議員として、まずはエールを送りたいと思います。
その上で、本題に移りたいと思います。
本日は、我が党が、野党でありながらも、震災復興やあるいは原発対応に知恵を出し、汗をかきながらさまざまな提案をし動いてきたにもかかわらず、政権与党が真剣に取り組んでいない、下手をすると骨抜きにされかねない、そういう案件に集中をして質問させていただきたいと思います。
まず、これから被災地の復興の主役となる復興庁の設立についてでございます。
この復興庁は、もともとは我が党のアイデアで、
議員提案で
立法化されたものでございます。
民主党の発想には従来なかったものでございます。これから本格的な復興が見込まれる中で、道路、港湾、河川、鉄道、農地、住宅、都市計画、産業振興などなど、各省各局に権限が分散をされておりますので、縦割りの弊害の中でとてもスピーディーな復興がなし遂げられないのではないか。
海岸堤防
一つとりましても、何と二省庁四局が
担当するという仕組みになっております。ですから、被災地の市町村の皆さんも、東京に要請に来て、国土交通省だ、農林水産省だ、
財務省だという役所を幾つも幾つも回らなくてはなりません。さらには、
民主党幹事長室にも足を運ばねば怒られます。
もっと問題なのは、この縦割りの仕組みの中で、お伺いを立てているうちに新しい試みがどんどんつぶされていってしまう、そうなるのが目に見えていることであります。例えば、使えなくなった農地で何か新しいことをやろうと思いましても、農地転用の許可をとるのに何年もかかるというのが現実であります。我が党は、そこを何とかしたいということでこの立案に踏み切ったわけであります。
我が党が提案しましたのは、事復興に関しては、復興庁という新しい官庁をつくって、そこで企画立案、総合調整、そして事業の実施に至るまで、一元的に、一手に引き受けさせるというものでございます。国土交通省だ、農林省だ、経済産業省だといった役所に分散されている復興に関する権限、
責任、人材、
予算を集中して、縦割りをなくして、迅速に、効率的に、整合的に力強い復興をなし遂げようというこれまでにはない全く新しい発想で、戦後初めての試みと言っても過言ではないと思います。
私は、この復興庁に大いに期待をしているところであります。
といいますのは、この復興庁は、何も被災地の復興だけではなくて、今の
日本を覆う閉塞感を打破する、
日本の改革の切り札になると考えているからであります。この復興庁は、復興に関する窓口を単に一本化するということに主眼があるのではありません。今まで
日本全体でやろうと思ってもできなかったような改革が各省各局に邪魔されずに復興地でどんどん実行できる、そこに主眼があるわけであります。
今、
日本は大きく改革をしなければならない課題が山積みなのに、なかなか前進ができていないのは事実であります。産業空洞化への対応ですとか、農業改革ですとか、漁業改革ですとか、あるいは、駅や病院や職場、住宅が近接をした少子高齢化に対応した新しい都市づくり、こういったものもなかなか進んでいないのが現実であります。このままでは、私は、
日本の将来はしりすぼみになっていくのではないかと思います。
被災地において、都市計画の線引きを変えて、私権を制限してでも新しい都市づくりを大胆にやろうじゃないですか。円高に負けない強力な産業
政策を被災地で大胆にやろうじゃないですか。遅々として進んでこなかった大規模農業の実現に向けて、大胆な試みをやろうじゃありませんか。強靱な漁業をつくり上げていく大胆な新
政策をやろうじゃありませんか。これらは、権限を集中した復興庁のもとでなら、だれからも邪魔されずにできるんです。
ところが、いざ、復興庁設置法案みたいなものを法案化しようとしますと、権限を奪われたくない各省が、静かに、しかし徹底的に抵抗をいたします。
総理、今、この復興庁を骨抜きにしようという試みがどんどん進んでいるんです。
総理は所信表明でも復興庁の設置に言及されていますが、その表現ぶりから、何だか窓口を一本化するための官庁みたいなニュアンスが感じ取れたのは、私は大変残念に今思っているところでございます。とにかく早く復興庁をつくらないと、復興事業における各省各局の事実上の支配がどんどん進んでしまって、後でひっくり返すのはなかなか大変なことになります。私は、立案者の一人として大変憂慮をしているところでございます。時間との勝負だと思います。
そこで、
総理に伺いたいのですが、私は、これだけ急ぐ法案ですので、当然この臨時
国会で復興庁をつくる法案が出てくるんだろう、この復興庁をつくるということが決まったのはもう三カ月も四カ月も前でありますので、当然この臨時
国会で法案が出てくるんだろうと思ったのに、なぜこんなに時間がかかっているのか、まずお伺いしたいと思います。