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金子原二郎君 地先干拓をやっていくと、さっきも図面で見たように絶えずミスジがたまって、あれ排水が詰まるわけなんですよ。だから、しかもまた大雨が降ったときはどうしても塩害があるし、浸水があるし、抜本的な解決をするためには何があるかということの中で、複式というものが農林水産省の国営
事業の中で行われてきたわけなんですから。
総理は反対者の
意見ばかり聞いてきたと思うんですよ。地元に住んでいた方々のどうしてこれが必要であったかということをやっぱり
考えた上で、我々は苦労に苦労を重ねて、
平成十二年にはノリの不作がありました。そして、時の
大臣も、一時開けるような話がありましたけど、結果的には、検討
委員会をつくって、そして短期、中期、長期の
調査を一応提案をされた中で、最終的には長崎県、佐賀県、
福岡県、熊本県の知事、副知事、四県の漁連が集まって、そして短期でいいと。短期の
調査でいい、漁連が来たんですから、短期の
調査でいい。しかも、
平成十八年には完成させると約束したんですよ。漁連がそれでいいと言っているわけなんですから。そして、結果的には、そういう中で工事が進んできてこれが完成をした。
今、こういうふうに、ここで約七百人の人が働いていますよ。仮に
総理が言うように開門
調査をしてあそこに水を入れた場合、短期でやりましたから、私はそのときの
状況よく分かっています。塩害が大変ですよ。しかも、短期で開けたために、あの小長井の漁協に約六千万ぐらい漁業被害、半年で払いました。今回、もし仮にあそこを開けて、常時開門して五年間海水ということになれば、それは被害は計り知れないものがある。まず、営農は完全に駄目です。塩水が入ったら下から入ってきます。米だけしか作らなかったというのは、水で抑えていたから米は作れたんですよ、背後地は。しかし、干拓地になってこれが水になったから、背後地の皆さん方も今までは米しか作らなかったのを、畑作も作れるようになって、ハウスも作れるようになったんです。だから、そういうふうな
状況に今置かれている中で、高裁の判決の中でも、正直言って、この湾口部とか近傍の漁民には
影響あるけど有明海全体には
影響ないと言って、高裁の判決でも言っているんですよ。
だから、そういういろいろなものを
考えていったときに、私はやっぱり、しかも県と一緒になってこの
事業をやってきたんですよ。一言の相談もなくて、ああいう形を取ってしまった。しかも、今回長崎地裁でこういった判決が出たということで、大変混乱でしょう、これは政治的に。だから、私は、やっぱりここはもう一度長崎地裁でこういう判決が出たということを非常に真剣に受け止めていただいて、そして、今後どういうふうに対応していくかということを
考えていただかないと。
環境アセスメントもこの前出ました。環境アセスでも、三つのケース、余り金が掛かり過ぎるからといって、
総理から言われて四つ目を作ったというんですよね。あの三つのケースの中でも、どれも有明海全体に
影響はないというふうに環境アセスで出ているんですよ。それは、有明海の、それと諫早湾の与える
影響というのは、例えば流域面積でいうと有明海全体のたった三%なんですよ。それから海面面積でいったら二%なんですから。この数字を見ても、有明海全体に対する
影響はないということはもう分かると思うんですよ。
私は、是非そういった
状況を
考えて、仮にもし開けたら、さっきも言ったように大変ないろいろな被害が想像される。一番私が心配されるのはノリ業者の皆さん、あそこは有明海の中で約四、五百億の水揚げがあるんですよ。あれ、ノリ、もし開けてですよ、常時開門した中で翌年ノリが不作になったと、そうしたら漁民は絶対今度は補償を要求してきますよ。開けたために、要するに開門したためにこうなったということになりますよ。
いろいろなそういう被害が
考えられる中で、それは
総理は今までライフワークでこの問題に取り組んできたかもしれぬけれども、やっぱり一国の
総理ですから。
自分のそれは
考え方を貫くのもいいでしょう。私も小さい県ですけれども知事をやりましたけれども、それは知事をやったらやっぱり全県民の利益を
考えながらやっていかなきゃいかぬ。そうすると慎重にならざるを得ない。だから、決断をするときは、必ず多くの人の
意見を聞いて、その上で、これをやることによってどれだけのプラスとマイナスがあるかということを判断してやってきましたよ。そうしなきゃ行政というのはやれませんよ。思い付きだけで行政をやっておったら、結局地元は混乱をしてしまうわけなんですよ。
私は、是非
総理はここはもう一回
考えていただきたいということを、
農林水産大臣も一緒にやってきたんですよ、裏切ることだけはやめてくださいよ。一緒になって闘ったんだから、開けさせないというんで、
平成十四年も。今回、長崎地裁のこの判決について、私は、一部うわさによると、金銭関係だけ要するに控訴して、開門については控訴しないというような、こういううわさがあるんですよ。ところが、漁民の皆さん方が仮にこれを控訴したら、国側が開門の話をしなかったらもう明らかに
福岡高裁ではこれは勝利は向こうが取るということは分かっている。こんなことをしたら地元はもう絶対に黙っていませんよ。ますます混乱しますよ。どんなに地元に出向いてもこれは解決できませんから、そこを十分に
考えた上で対応していただきたいということをお願いして、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。