○猪口
邦子君 自民党の猪口
邦子でございます。
本日は、
原発問題を中心に集中的に
質疑をさせていただきます。
まず冒頭、改めてでございますけれども、
東日本大震災でお亡くなりになられた
方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族の皆様に哀悼の意を表し、また、被災されている全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
総理、このようなときだからこそ、
日本には
危機管理に強い政権が必要です。このようなときだからこそ、勘違いのない対応力が必要なのです。そして、このようなときだからこそ、世界も
原発事故を含め
日本国の
危機管理能力を見極めようとしているのです。
私は、まず菅
総理に分かっていただきたいと
思います。国際社会は今、菅
総理は
地震、
津波、
原発事故、複合危機に対応しているので、同情して余り強いことを言わないんです。しかし、実際には猛烈な批判が国の内外から押し寄せるような事態なので、そこを勘違いしない方がいいと。改善すべきは改善して、気が付いたところから直していって、
是非そのようにお願いしたいと思う、そういう趣旨で私は本日質問させていただくのです。
震災と
原発事故から一か月半たつんです。
福島第一
原子力発電所から大気中に放出された放射性物質の量は、四月十二日の時点で、保安院そして原子力安全
委員会が発表したことによれば、総量にして三十七万あるいは六十三万テラベクレルという非常に巨大な規模、そして二十三日には、原子力安全
委員会は更にその想定を上回るようなものであったということを明らかにしているんです。これを何とかしなければならない。放射性物質をまき散らすこと、これを政権として止めることができなければ、これを止めることができる政権に替わってもらわなければならなくなるかもしれません。何としても、
総理、現在
日本の
総理でいらっしゃるわけですから、刻一刻集中力を持って、この放射性物質のまき散らしの問題、これを何としても収めなければならない。そうすれば、復興ももっと現実味のある、そして前向きなものになると思っているんです。
そこで、なぜ国家としてこんなことになってしまったのか、一か月半たってなぜこんな状態なのかと、これをちょっと一緒に考えていただきたいと思うんですけれども。
まず第一に、
危機管理の本質に反して、既に指摘されていますけれども、組織や
会議体が拡散中なんですね。古典的な
危機管理の成功事例として、ちょっと古い話で恐縮なんですけれども、
アメリカのキューバ・ミサイル危機というのがあって、アリソンという方が書いた「決定の本質」という有名な本があります。危機の本質、発生したらまず決定の回路をスリム化する、首脳を中心に
責任者間の連絡回路や
会議形態を一気にスリム化することによってリーダーシップを鋭く研ぎ澄ますことが可能になると、まずそこがポイントなんです。自民党の脇議員が指摘してきたとおりなんです。
ところが、
総理は、その真逆をおやりになっているんです。原子炉の安定冷却、冷温停止に向かうことがまだ安定的にはできていない、まだ
危機管理のさなかなのに、組織拡散、
会議増設をしています。法的根拠のある原子力災害対策本部、
総理が本部長、これがあるんです。そして、官邸には
危機管理センターがあります。私は、大学教授の時代、その基本設計にもかかわった
委員です。
このように、法的にも施設的にもそのような国家の仕組みと
危機管理の道具立ては整っているのに、根拠のない統合本部を
東電という民間企業に置きまして意思決定の場所さえも拡散している。これは今までの
危機管理の成功事例の原則に反していると思うんですけれども、菅
総理、いかがでしょうか。