○寺田典城君 みんなの党の寺田典城でございます。よろしくお願いします。
第百七十七回通常
国会は、ねじれ
国会となり
民主党の
政権運営は大変だと思いますが、我が家もねじれております。息子は
民主党で、私はみんなの党であります。
ねじれを否定的にとらえる方が多い中で、私は、健全な
政権運営のためにはねじれはマイナス面だけではないと思います。それは
国民に選択肢を示す政治であります。ねじれがあるからこそ、
国民に情報が開示され、与野党がお互いに知恵を絞り、競い合い、そして協力し合うことができるのではないでしょうか。
過去を振り返りますと、秋田県知事時代は、十二年間ねじれの県政でありました。その中で、ぶれないこと、徹底した情報開示と行政コストの削減をすること、公務員の能力を
活用すること、具体的な
目標設定をすること、そのようなことを念頭に県政運営をしてまいりました。
日本は、秩序正しく
可能性のある国であります。日本の将来をどうするのか、早く方向性を示すべきだと思います。
総理の基本的なお
考えをお聞かせください。
さて、
平成二十一
年度の
決算及び現在の
我が国の
課題を踏まえ、御
質問いたします。
日本は、一九四五年に終戦を迎え、
国民が一体となり祖国の再建に邁進してまいりました。神話とも言える奇跡的な
経済復興を遂げ、一九八五年にはジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるまでになりました。しかし、
経済の低成長や少子高齢化により、これまでの人口
増加、高い
経済成長を前提とした
年金や終身雇用などのシステムは成り立たなくなっております。
約五十年も続いた
自民党政権は、八百兆円を超える借金を残して
政策的に行き詰まり、
国民は、世の中を変えなければならないと
政権交代を選択しました。政治を変えることを選びました。
民主党政権は、これまでの政治を変えることが役目であり、それが
国民の声にこたえることであります。
まず、今
課題になっております幼保一元化についてであります。
平成二十一
年度決算において、幼保一元化を進めるための認定こども園施設整備費
補助金は、十七億七千八百四万円の
予算のうち、たったの〇・七%の一千二百三十三万円しか
執行されておりません。このような
予算執行の例がほかにもあるでしょうか。
財務大臣にお伺いいたします。
認定こども園の認定
件数は、
平成二十二年四月一日現在で五百三十二件にとどまっております。これは、保育所、幼稚園、両方の
制度がそのまま残った複雑な
仕組みとなっており、手続が煩雑で事務負担が
増加するなど、施設側から見てデメリットが多いためであります。このような
制度設計の甘さが
予算執行の非効率を招いております。この
実態を見て、文部科学省も厚生労働省も、自分たちが子育てに対していかに非協力的なのか、至らないところを猛反省というんですか、超反省すべきであります。
保育所も幼稚園も、業界挙げて幼保一元化に反対する動きが顕著であります。しかし、これまでやってこれたからといって何も変えようとしなければ、この少子化の流れの中で
国民の期待にこたえられなくなると思います。保育に欠ける、欠けないという議論ではなく、希望する誰でも、零歳児から受け入れる保育園の良さ、幼児教育に力を注ぐ幼稚園の良さ、両方の恩恵を受けられる効率的なシステムを早急につくり上げるべきであります。文部科学大臣、厚生労働大臣は真剣に幼保一元化を進める気があるのか、いつまでにどのような形で実施すべきとお
考えなのか、意気込みをお聞かせください。
子育ての中でもう一つ喫緊の
課題なのが
子ども手当であります。
民主党政権が打ち出した
子ども手当は、義務教育と同様、子育てに社会が
責任を負うという一歩踏み込んだ
考え方を示した点で一定の評価ができるものであります。
事業の実施には約三兆円の
財源が必要とされますが、農家の戸別所得補償と同様に、今のままではばらまきと言わざるを得ません。多くの
国民が
社会保障など将来の生活に不安を抱く中で、見通しが何もないまま借金を積み重ねれば、
国民が一層不安に思うだけであります。
批判、問題の多い
子ども手当でありますが、低所得者の方々にとって必要であることは事実であります。所得が減っていく中で、低所得の世帯の子育てに対する負担感は増しております。親の所得の差による子育て格差、教育格差が更に広がっているのが現実であります。
もし、
子ども手当関連の
予算案、法律案が否決された場合にはどうするのでしょうか。今までの児童手当の受給
対象者だけにでも
子ども手当並みの金額を暫定的に支給することを
検討すべきと思いますが、厚生労働大臣はいかがお
考えでしょうか。
現在、保育所に約一兆円、幼稚園には約四千億円の公費が投入されており、
子ども手当に必要な約三兆円と合わせると四兆四千億となります。この
財源を元に、全ての人が安心して子育てできる、社会全体で子育てを支える全く新しい
仕組みを議論してはいかがでしょうか。
世界的な競争社会の中で
我が国日本が生き残るには、教育レベルを高め、知的国家をつくり上げることが大切であります。時間の余裕はありません。一刻も早く高等学校までの一貫した教育システムの中に幼児教育を位置付け、全ての子供がひとしく保育教育を受けられる環境を整えることが必要であります。
総理の御見解をお伺いいたします。
次に、公務員
制度改革であります。
政府・
民主党は、国家公務員人件費の二割削減を公約に掲げております。現在、
我が国では、地方も合わせ人件費は約三十兆円であり、これを二割削減すると約六兆円の
財源を生み出すことができます。
財政再建に向けた
消費税の
増税など新たな
国民負担を求める前に、まずは
国会議員も国家公務員も自ら率先して行政コストの削減に取り組むことが必要であります。
知事時代の経験を申し上げますと、日本一簡素で効率的な行政を掲げ、行
財政改革を進めながら徹底した行政コストの削減に努めてまいりました。毎年三%の退職者に対し新規採用を一%に抑え、知事部局職員約四千八百人を十年ほどで約三千六百人へと、四分の一削減することができました。そして、県民と職員の生活を守るためと説得し、賃金カットもいたしました。その結果、県全体の人件費をピーク時の
平成十
年度の千八百三十二億円から、およそ十年間掛けて昭和六十三
年度並みの千五百五十一億円へと、二割近く削減することができました。
こうした取組を国全体で進めることがそれほど難しいことなのでしょうか。地域主権を進めることによって重複行政を整理し、国の
出先機関を廃止し、それによって生じる余力人員は、高い能力を生かし、国際貢献などで活躍できると思います。
九百兆円近い国と地方の長期
債務残高、急速に進む少子高齢化は待ったなしであります。残された時間は僅かしかありません。
総理には大胆な改革を期待しておりますので、その決意をお聞かせください。
最後に、
国会議員を始め多くの方々は
予算の獲得ばかりで
決算にはほとんど関心を持たず、誠に残念であります。どの家庭でも、家計の無駄を減らそうとするときは家計簿を見直すのではないでしょうか。国家も同じであります。
財務省は主計局を廃止し、
決算局をつくってはいかがでしょうか。
予算の消化主義はもちろん認められませんが、
決算を精査し新たな
予算の無駄を省くことは
予算編成と同じくらい重要であります。
決算をきちんと
予算編成に反映させれば、
財政の効率化が図られ、
財政再建が進むのではないでしょうか。
財務大臣の御見解をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の
質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君
登壇、
拍手〕