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参考人(
青葉紘宇君) 御紹介いただきました
青葉です。
私は、
里親という立場でここに臨んでいるつもりでおります。全国
里親会といたしましては、この
虐待対応の流れについて、早期の実現をお願いしたいと思っております。一日も早い成立をお願いしたいと思っております。
監護、
教育についての
親権が
子供の
利益のためにあるという
考え方は画期的なものと思っておりまして、我々子育てに従事する者として肝に銘じてまいりたいと思っております。
また、
児童施設や
里親は
親権問題と隣り合わせに組み立てられております。絶えずぎくしゃくといいますか、いろんなすり合わせのあるところです。
親権が今まで非常に強かったものですから、なかなかいろんな子育てしにくい面がありましたので、今回の
改正に期待しているところです。
もう
一つ、我々の
特徴としては、
親権が
停止された後、その空白
部分を埋めるのが
施設とか
里親とか
子供を養育する者の責務というか立場というふうに理解して今日臨んでおります。したがいまして、
親権停止に至るまでの法的手続とか、そういう
部分については、私は今回述べる能力がありません。
子供を
保護して生活が普通に流れ始めた段階からの問題提起ということになります。
私の場合は、もうこの年ですので、
子供を二十人ほど里子として世の中に送り出しております。今三人、中高生の男の子と日夜戦っておりますので、その経験を述べながら、何か選んでいただければと思っております。
非常に親というのは大切なものだということは大変分かっているんですけれども、親の中には、その責任に、重さに耐えられないような、そういう実親さんもいらっしゃいますし、かなり突っ込んで支援しないといけない、そういう親御さんもいらっしゃいます。そういう人たちと一緒に子育てをしていこうというのが
里親であり、
施設の職員だろうと思っております。
そのときに、やはり親が全てを握っているというふうなことになりますと、我々、
意見を差し挟む余地がなくなりますので、そこは柔軟に、ケース・バイ・ケースに
子供の
福祉ということで
対応できるような、そういう環境といいますか法体系ができてくれないかなというのが切なる願いです。全てを我々によこせとか、全て親だとか、そういうのではなくて、ケース・バイ・ケースにできたらいいなというのが
里親仲間のいつも話で出てくるところです。
それからもう
一つは、今日のポイントで申し上げたいことは、どう言ったらいいんですか、
制度的には未
成年後見制度は一応整備されますし、今回の法
改正でも
法人後見とか
複数後見ということで成立するんですけれども、今までの
運用面が
財産管理というところに焦点が絞られておりまして、
子供を世話するとかそれから人権を守るとか、そういう
部分の
視点がなかったものですから、そういうふうな
部分を強く打ち出せるような、
運用面で御配慮いただくような、そういうこれからの作業をしていただければ有り難いと思って、そう希望しております。つまり、
子供の人権を
後見人は守るんだという、
財産を守るんではなくて
子供の人権を守るんだという
視点をどこかで強く打ち出していただければと思っております。
ということを前提に、幾つか、三つほどテーマを抱えてまいりました。
一つは、これは総論的になりますが、今回の
子供のために云々という
部分は、
教育・
監護権というふうな、たしか上に冠が付いていたと思いますので、ほかの就労だとか契約だとかいろんなことを含めまして、幅広い
親権でも
子供のためにあるんだということを是非
主張していただけるような、そういう環境をつくっていただければと思います。今回の法
改正をきっかけに、その一歩を踏み出していただくような環境になっていただければと思っております。
それから、具体的な表れとしては、
子供にかかわる我々にとっても、実親による子育てを支援する立場にある、子育てを支援するんだという立場にある、承知の上なんですけれども、日常生活上の簡単なことは現に養育している者、
里親だとか、おじさん、おばさんも入るんでしょう、
施設の先生だとか、そういう人にかなりの
部分委ねていただけないでしょうかということです。
具体的には、もう今まで何回もいろんなところで例が出ておりますけれども、高校生のアルバイトも就労許可権とかいう話になりますと親以外には承認できなくなりますので、この
程度の日常的な
内容、それから携帯電話の契約なんというのもどこでも話題になりますけれども、そういうのは日常的な営みというふうに解釈して、現に養育している人に任せてもらえないかと。かといって、親の立場を否定するものでもないんですけれども、そう人権を侵害するようなことが、アルバイトするぐらいのことは、思っておりますので、そういうふうな解釈ができるような
民法といいますか、大本のところが変わっていただけると有り難いと思っております。
それから、もう
一つのテーマで、未
成年後見制度を普及していただきたいという思いが強くあります。今のところは、
子供に
財産がある場合には各方面から
未成年後見が付けられるようにということで実際に付いているわけですけれども、
財産のない
子供についてはもうほとんど
後見人の話題が出てきません。それで、社会的養護で
保護された
子供については、多くが
財産がありませんので、
後見人という発想は出てきておりません。なかなか受け入れてもらえないという実情があります。ですから、とにかく全ての
子供に
後見人が付けられるように、
子供の人権を守るんだという立場で、是非そういう環境になっていただければと思っております。
それから、これは解釈が分からないんですが、
親権停止期間中、二年というふうに伺っておりますが、
一つの区切りが、その期間中も
未成年後見が付けられるのかどうかというのをどこかで質問していきたいと思っておりますけれども、それはまた分かりません。どういうふうな解釈するのか分からないところです。一応付けていただければと思っております。
それから、
後見人の
なり手がないから、
未成年後見の
なり手がないから
後見人を推進しないんだという話もよく
関係者から伺いますが、これは、
子供の場合は
財産管理というのがメーンにどうしても歴史上なると思いますけれども、身上
監護といいますか、
子供の世話、それからアドバイス、そういうのを踏まえてが期待されますので、地域性がどうしても出てくると思います。なるべく近くに
未成年後見がいて、現に養育する者と一緒に子育てをするという
体制が組めたら有り難いと思っております。地域の中に
未成年後見人を育成する、そういう取組をお願いできればと思っております。実際に私の方の経験から、学校の先生なんかが、かなり卒業後も、十八歳の後も親とのトラブルの間で中に入っていただいているというケースを何件か私も経験しておりますので、
行政のOBとか、それから学校の先生とか校長先生とか、そういう方に
後見人を振ることも可能かなというふうに思っております。
それから四番目、四つ目としての
意見ですが、
子供の戸籍に実は
後見人がずらずらと載ってしまいます。
後見人の本籍から氏名からみんな
子供の戸籍に載ってしまうんです。そうすると、結婚するときに戸籍を二人で持ち寄りますので、そこで、これ何ということになって、別に知れて、秘密でもないんですけれども、黙って通り越せるのであればその方がいいだろうというふうに思って、戸籍に記載しないで登録制に、いわゆる
成年後見制度が登録制になっておりますので、そういうシステムが組んでいただけないかというのが切なる願いです。
もし、今回の法
改正なり
ガイドラインで登録制が間に合わない、できないという
枠組みであれば、戸籍の記載の
方法ですね、何か一行ぐらいで済むような
方法が
実務的にできるのか私分かりませんけれども、最低そこに行っていただきたいと思います。そうしないと、
子供に、
後見人あなた付いた方がいいんだよ、付けるよと言ったときに、後々まで記載が残るようなことはなかなか提案できませんので、是非記載については御
検討いただければと思っております。
一つは、
実務的に日々の生活で
未成年後見人と
里親の接点の事例を
一つ挙げておきましたので、これを読み上げるような形で、一、二分時間いただきたいと思います。
この子は、幼児期に相次いで両親を亡くしまして、保険金が、大分大きなお金が下りました。養護
施設におりましたので、そこの
施設長さんが
後見人ということで通帳を預かったということです。
里親に言った方がいいだろうということで
里親宅に行きまして、
里親宅で使ったお金は矯正歯科で百万円、それから高校を失敗しまして入り直して余分に七十万掛かりました。ここまでは普通の
財産管理なんですが、十七歳ぐらいになるとアルバイトもしたりいろいろありまして、バイクをアルバイト代で買いたいと、ここに書いておきましたけれども、自分で働いたんだからどうしてもいいんだろうということで
里親に申出がありまして、なかなか返答が難しいので、自分で働いたお金ですので、なかなか断れないというか、駄目という根拠も難しかったものですから、ここで、
里親には
財産管理権がないから
判断できないよということでここでは逃げております。この子は、
後見人に
判断してもらえということになりまして
施設長さんのところに飛んでいきました、買ってくれということでね、判こを押せと、買うときのですね。そうしましたら、
施設長さん、この子のことをよく知っていたものですから一喝して、怒られて帰ってきたというような場面がありました。
我々実際に子育てしている者としては、
未成年後見人だとか、それから支援する人、
児童相談所の職員も含めまして、こういう
関係を望んでいるわけです。つまり、他人の
子供を一人で全て育てるというのは大変重たいといいますか負担になりますので、是非こういう形で、
法律の
専門家なり、こういうお説教できる人を
後見人になっていただければと思っております。先ほど申し上げたように、学校の先生なんかがとっても
子供にとってはおっかない存在なんだなというふうには思っております。
それから、もう
一つの例として、これは
里親になってから
後見人に
里親自身がなったという例ですが、これは無国籍の
子供を
措置された
関係で、
児童相談所と
相談をして誰が国籍取得の事務をするかという話になりまして、
里親さんやってほしいということで、
児童相談所と一緒にやるわけですけれども、日々に大使館に、領事部ですが通ったり、そういうところは
里親がみんなやりました。たまたまその国では
里親というのは大変ステータスの高い国柄だったものですから、大変丁寧に領事さんに扱っていただいて、難しい手続もかなり厚意でどんどん話が進んで国籍を取ることができたという事例です。
じゃ、これが全て
里親ができるかというと、たまたまこの人はそういうことができたんで、逆の事例もありまして、下の二行に書いておきましたけれども、真実告知をまだ
子供にしていないから手続ができないんだということでいろいろ難渋した話も聞いております。
こんなところが
実務的に、日々の生活の中で、この
民法改正の中で感じたり考えて、お願いしたいことであります。
以上です。