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国務大臣(
江田五月君) 非
訟事件手続法案につきまして、その
趣旨を御
説明いたします。
現行の非
訟事件手続法は、その第一編の総則
規定が多くの非
訟事件に適用又は準用されているという
意味で、非
訟事件の
手続の基本法ともいうべき
法律ですが、明治三十一年に制定されて以来、現在に至るまで、抜本的な
見直しがされたことがなく、近年の他の民事
関係の
手続を定めた法令と比較しますと、
手続法として備えるべき基本的な事項に関する
規定が十分とは言えません。また、この間の社会経済情勢の変化に伴い、非
訟事件として
処理される
事件も複雑化、多様化しており、非
訟事件における当事者等の
手続保障の重要性が認識されるようになってまいりましたが、現行の非
訟事件手続法は、この点に配慮した
規定が十分であるとは言い難く、現在の社会の
状況に適合していない
部分が生じております。
そこで、この
法律案は、このような
状況に鑑み、非
訟事件の
手続を
国民にとってより利用しやすく、現代社会の要請に合致した内容のものとするため、新たな非
訟事件手続法を制定し、非
訟事件の
手続の改善を図ろうとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、
管轄、代理、不服
申立て等の
手続の基本的事項に関する
規定を
整備することとしております。
第二に、当事者等の
手続保障を図るための制度を拡充することとしております。
例えば、現行の非
訟事件手続法には、利害
関係を有する者が
手続に参加するための制度や非
訟事件の記録の閲覧、謄写の制度が設けられておりません。しかしながら、これらの制度は、
裁判の結果に利害
関係を有する者が非
訟事件の
手続に主体的に関与し、
裁判所の
判断の基礎となるべき資料を認識しながら主張、反論等の
手続追行をするために必要不可欠なものと
考えられます。そこで、
裁判の結果に利害
関係を有する者が非
訟事件の
手続に参加することができるようにし、また、当事者による記録の閲覧、謄写を原則として可能とすることなどを内容とする制度を創設することとしております。
第三に、非
訟事件の
手続をより利用しやすくするための制度を新設することとしております。
例えば、遠隔地に居住する当事者等への
裁判所への
出頭の
負担を軽減するため、電話
会議システム及びテレビ
会議システムを導入することとしております。
また、
事案に応じて柔軟に非
訟事件の
解決を図ることができるようにするため、和解制度及び調停制度を導入することとしております。
さらに、株式の価格の算定を要する
事件など、専門的な知見を要する
事件の審理を円滑かつ迅速に進めるために、中立の立場にある専門家に、
裁判の資料に関し意見を述べさせたり、和解に関与させたりすることができる制度を導入することとしております。
第四に、現行の非
訟事件手続法の第一編及び第二編は、片仮名、文語体で表記されておりますが、
国民により理解しやすい
法律とするため、平仮名、口語体の表記とすることとしております。
続いて、
家事事件手続法案について、その
趣旨を御
説明いたします。
家庭
裁判所における家事審判及び家事調停の
手続を定める現行の
家事審判法は、昭和二十二年に制定されて以来、全体についての
見直しがされないまま今日に至っております。そのため、近年の他の民事
関係の
手続を定めた法令と比較しますと、
手続法として備えるべき基本的な事項や当事者等の
手続保障に関する
規定が十分とは言えないものとなっておりますほか、この間の社会の著しい変化に伴い、家族をめぐる
事件も複雑化、多様化しており、現在の社会の
状況に適合していない
部分が生じております。また、現行の
家事審判法は、広く非
訟事件手続法の
規定を準用しているため、非
訟事件手続法の改正の影響を免れないという
関係にあります。
そこで、この
法律案は、このような
状況に鑑み、家庭をめぐる
紛争を扱う
手続のうち、訴訟
手続について平成十五年に
人事訴訟法が制定されて現代化が図られたのに続き、非
訟事件手続法が改められるこの機会に、家事審判及び家事調停の
手続を
国民にとってより利用しやすく、現代社会の要請に合致した内容のものにするため、新たに
家事事件手続法を制定し、
家事事件の
手続の改善を図ろうとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、
管轄、代理、不服
申立て等の
手続の基本的事項に関する
規定を
整備することとしております。
第二に、当事者等の
手続保障に資する
規定をより充実したものに改めることとしております。
まず、
手続への参加に関する
規定を
整備し、
裁判の結果に利害
関係を有する者が家事審判及び家事調停の
手続に主体的に関与することを容易にするため、
手続に参加することができる者の範囲や参加した者の権限を明確にすることとしております。
また、当事者に、
裁判の資料を提出し、又は
裁判所によって収集された資料に反論するなどの機会を保障する見地から、当事者による記録の閲覧、謄写に関する
規定を
整備し、当事者が記録の閲覧等の許可の
申立てをした場合には、家庭
裁判所は、
関係者のプライバシー等に配慮した例外を認めつつも、原則としてこれを許可することとしております。
さらに、一般的に
紛争性が高いと
考えられる類型の家事審判
事件におきましては、家庭
裁判所は、原則として当事者の陳述を聴くものとし、また、当事者に
裁判資料の提出期限を示すとともに、
裁判所の
判断の基礎となるべき資料の範囲を明らかにするため、原則として審理を終結する日を定めなければならないものとするなど、当事者に適切かつ十分な主張、反論等の
手続追行の機会を保障するための特則を設けることとしております。
第三に、
家事事件の
手続をより利用しやすくするための制度を新設することとしております。
具体的には、遠隔地に居住する当事者等への
裁判所への
出頭の
負担を軽減するため、家事審判及び家事調停の
手続において電話
会議システム等を利用することができるものとする
規定、高等
裁判所においても調停を行うことができるものとする
規定等を新設することとしております。
続いて、非
訟事件手続法及び
家事事件手続法の
施行に伴う
関係法律の
整備等に関する
法律案につきまして、その
趣旨を御
説明いたします。
この
法律案は、非
訟事件手続法及び
家事事件手続法の
施行に伴い、
家事審判法を廃止し、旧非
訟事件手続法外百二十九の
関係法律に所要の
整備を加えるとともに、所要の経過
措置を定めようとするものであります。
以上が、これら
法律案の
趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。