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国務大臣(
江田五月君)
法務大臣としてお答えするのはなかなか困難なテーマで、いや、これは笑い事ではないんで、本当に
司法の独立がありますし三権分立もありますから、私が合議の
在り方についていろんなことを言うことは差し控えなきゃいかぬことだと思いますが、せっかくの
委員の御質問ですから私の経験から申し上げるので、これは
法務大臣が
司法の方に介入しているというふうに受け取られたら大変心外ですが、審議の参考のために申し上げますと、合議というのは、
検察官の場合とは違いまして、これは合議は、やはり一人一人の
裁判官が全部独立して合議に参加をいたします。そして、いろんな
議論をして、その結果まとまらなければ多数決です。ですから、三対一という、いや、二対一ということはあり得る話です。ただ、合議の秘密がありますから、これは二対一でしたとか三対ゼロでしたということは外には出しません。
下級裁判所の場合はその合議で多数決で、あるいは全会一致で決まった結論は
一つの判決として外へ出てまいります。
その合議の場合に、まずは普通は主任の
裁判官が
意見を述べます。これは大体の場合が判決を起案して、そして合議の合議体を構成している
裁判官に順次回して、そして筆が入ってまいります。そして、その主任の
裁判官というのは、私の経験ではやはり一番若手の
裁判官が行うと。
これは、実は合議といいましても、独立といいましても、やっぱりキャリアを積んだ先輩
裁判官と、そしてまだなりたての、これは本当にそうなんです、なりたての
裁判官が自分の
意見を独立して先輩の
裁判官に対して堂々とこれが私の
意見だとして言うのは本当に大変なことであるし、そして勇気の要ることでもあるし、あえてそれを一番若手の
裁判官がまず最初に起案して出していくというところに鍛えられていくという
プロセスがあるんですね。
そういうことをやりながら、そして合議というのは今の起案の
過程だけでなくていろんなところで行われます。法廷が終わります、法服を脱ぎます、昼飯を食べに行きます、そこでいろんな
議論を食べながらやるということもあるし、様々な合議がございまして、その生きた合議体の
議論というものが実は
裁判官を鍛えていく、そういう道筋にもなっていると。
裁判官の独立と言うけど、本当は独立して物を言うというのは物すごく大変なことだと、そのことは是非お分かりをいただきたいと思います。