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2011-04-12 第177回国会 参議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年四月十二日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      田城  郁君     尾立 源幸君  三月三十一日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     田城  郁君  四月十一日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     古川 俊治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田 昌良君     理 事                 中村 哲治君                 前川 清成君                 金子原二郎君                 桜内 文城君     委 員                 有田 芳生君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 今野  東君                 田城  郁君                 平田 健二君                 古川 俊治君                 丸山 和也君                 溝手 顕正君                 森 まさこ君                 木庭健太郎君                 井上 哲士君    国務大臣        法務大臣     江田 五月君    副大臣        法務大臣    小川 敏夫君    大臣政務官        法務大臣政務官  黒岩 宇洋君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   植村  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        田村 公伸君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       樋口 建史君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     原口 亮介君        法務大臣官房長  稲田 伸夫君        法務省刑事局長  西川 克行君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (東日本大震災直後の被疑者釈放に関する件  )  (検察に対する国民の信頼回復及び特捜部の在  り方に関する件)  (行政機関による人権救済及び個人通報制度導  入の法整備に関する件)  (判検交流の位置付けと今後の在り方に関する  件)  (検察審査会による強制起訴におけるデュープ  ロセスの担保に関する件)  (検察官の使命・役割と倫理に関する件)  (新たな刑事司法制度の構築に向けた今後の検  討に関する件)  (取調べ全面可視化及び取調べメモの取扱い  についての新たな指針に関する件) ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、山崎正昭君が委員辞任され、その補欠として古川俊治君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会警察庁生活安全局長樋口建史君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長原口亮介君、法務大臣官房長稲田伸夫君及び法務省刑事局長西川克行君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 前川清成

    前川清成君 昨日をもちまして東北地方太平洋沖地震からちょうど一か月が経過をいたしました。改めて被災されました皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。  先週末、大臣被災地を訪問なさったとお聞きしております。その際の思いみたいなものがございましたらお聞かせいただけますでしょうか。
  7. 江田五月

    国務大臣江田五月君) まさに未曽有大震災でございまして、その上、原子力発電所の事故もいまだ不安定な状況が続いているということで、昨日は、全閣僚、首相官邸にそろいまして、十四時四十六分、黙祷をささげたところでございます。  私も現地へ行ってまいりました。先週の土曜日、九日にこちらを立ちまして、花巻空港から、ちょうど木曜日でしたかね、余震がかなりひどいのがありまして、東北自動車道上りが走れないという状況で、空港から一般道を通って気仙沼へ行ってまいりました。  気仙沼というのは、御承知のとおり仙台法務局支局がございまして、ここが津波被害に遭いまして、これでこの支局にある戸籍副本がもし被害に遭っていたらこの部分の戸籍再製というのは絶望的になるんじゃないかということでしたが、全く幸いなことに、二階まで津波被害でしたが、戸籍副本は三階に保管してあって、併せ管内市町村役場から送られてきていた戸籍届け書、これもありました。ここでかなりのところまで戸籍再製ができるということもあって、法務省の施設を視察をする。  あわせて、現地を見てくるということで行きましたが、まず市役所へ行きまして市長さんにお会いをしましたら、市役所会議室の壁に数字が書いてありまして、そのときまでの死者七百二人、行方不明者千四百十三人と書き出されておりました。市長の御自宅も流失したそうです。市役所の壁には尋ね人の紙がいっぱい張ってありまして、その多くが今もなお瓦れきの下にあると思うと本当に胸が潰れそうでございました。  それから、市民会館避難所になっておりまして、そこへ伺いますと、市民会館の館長さんが女性で、非常に気丈に頑張っておられた。御主人津波被害で亡くなられたそうです。お嬢さん二人と車で移動中に、子供たちだけは逃がして、しかし自分は分からなくなった。東京に出て働いている息子が帰ってきて、徒歩で瓦れきの中を捜してやっと車の中の御主人を見付けてくれた、いい子だと、私は夫が見付かって葬式ができるだけでも幸せだと、こう言って頑張っておられたと。本当にこういう人たちを見て、私ども精いっぱい、これはもうオールジャパンで復興に取り組まなきゃならぬと思ったわけです。  ちょっと長くなりますが、もうちょっと。  気仙沼支局へ行きましたら、もう本当に津波で完全に、どういいますか、瓦れきでもう埋まってしまっているんですね。そして、その下になお死体がある。支局の建物にはコンクリートミキサーが横になって張り付いているわけですよ。その辺り一帯は全部水産加工工場の地帯でございまして、缶詰の材料である缶、空き缶、まだ使っていない、これが支局の中にもういっぱい入っている状況で、三階に上がって戸籍副本などをしっかり守った書棚を私は思わずなでて、よくやったと、こう言ってまいりました。その後、一関の法務合同庁舎にも参りました。  本当にこういうところで頑張っている皆さんに、私どもは精いっぱい努力して与野党を超えて報いていかなきゃいかぬとつくづく思っております。
  8. 前川清成

    前川清成君 先週末、奈良は桜が満開でした。東京へ来ますと、東京も桜が咲いておりました。どんな困難に直面しても私たちの国には必ず春がやってくるということを桜の花が教えてくれるように思います。  与党は、政府震災対応に専念できるようにということで、震災後は質問を差し控えてまいりました。これまで与党としては当然の措置であったとしても、大臣所信や予算の委嘱について江田大臣議論をさせていただくのが今日最初になります。  今日は検察問題に関する一般質疑ということなんですが、それに先立って一つだけ確認しておきたいことがあります。それは、震災直後に仙台地検福島地検管内被疑者処分保留のまま釈放しているという件です。  この件で、まず第一に、福島地検管内で三十一人、仙台地検管内で三十人と先日の衆議院お答えになっておられますけれども、その詳細、どこの検察庁で、どこの支部で何人かというのをお答えいただきたい。二番目には、強制わいせつ児童買春等、軽微とは言えない犯罪が含まれているんですが、治安に不安は生じないのか。三番目には、震災直後とはいえ、なぜこのような措置をとったのか、なぜ釈放したのか。四番目に、この釈放は誰が判断をなさったのか。五番目には、釈放された者の中には再び住居侵入で逮捕された者もあるわけですけれども、この釈放が適切であったのか。この点について大臣の御見解を確認しておきたいと思います。  以上です。
  9. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 五点ほど尋ねられましたが、ちょっと今メモをうまく取れなくて、思い出し出しお答えをしますが、途中で質問をもう一度いただくかも分かりません。  まず、今回釈放した被疑者等罪名についてということでございます。  福島地検管内被疑者罪名は、窃盗等が十三名、傷害等五名、覚せい剤取締法違反等四名、道路交通法違反三名、詐欺業務横領二名、児童買春児童ポルノ処罰法二名、建造物侵入等一名、強制わいせつ一名の合計三十一人。  仙台地検管内の内訳は、勾留取消し被告人三名を入れて三十ということでございまして、窃盗等十一、詐欺業務横領七、傷害等四、建造物侵入等三、覚せい剤取締法違反等二、児童買春児童ポルノ法二名、道交法違反一名で合計三十名となっておりまして、今見ましたように、強盗とか殺人とかという裁判員裁判対象事件になるような重大事犯は含まれていないということでございます。  二点目は、済みません。
  10. 前川清成

    前川清成君 大臣、ごめんなさい。私、罪名はお尋ねしていなくて、どこの検察庁釈放したのか、まずお尋ねしたんですけど。
  11. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 福島地検支部も答えますか。
  12. 前川清成

    前川清成君 はい、お願いします。
  13. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 仙台は、本庁石巻支部、それから古川支部気仙沼支部登米支部福島は、本庁いわき支部郡山支部ということです。  二点目は何でしたでしょう。
  14. 前川清成

    前川清成君 二点目は治安に不安を与えないのか、三番目は釈放した理由、四番目……
  15. 江田五月

    国務大臣江田五月君) ちょっとそこで。  治安に不安を与えないかということですが、私が最初に受けた報告では、これはそれぞれの地検から法務当局に上がってきた報告を私が受けたわけですが、仙台地検においては、それぞれ皆一応、まあ罪名はいろいろあるけれども、今申し上げましたような裁判員裁判対象事件ではなくて、不安に陥れるような罪質のものではなくて、警察とも十分に協議の上で、警察の方の要請もあってこれを釈放したので治安上の問題はない。現に、その後もそうした治安の観点からのいろんな議論というのは起きておりません。  しかし、福島地検管内においては、最初、今申し上げました強制わいせつが、まあ非常に軽微な、心配するようなものじゃないんだという報告で、それ以上のことを私も確認をしなかったんですが、その後の報告とかあるいはマスコミの皆さんの報道とかを見ますと、これはちょっと、女性皆さんから考えてもこんな者を釈放するのはどうなんだというような声が上がるのも当然と私も思いまして、いささか、いささかといいますか、これは大きな疑問符が付くぞということを申しました。  そして、その後、更に詳細な報告を受けますと、当時のその場所の状況ですね、ライフライン、特に水が止まってしまっているとか、なかなか安定的に取調べを、あるいは身柄の拘束を続けるというのに困難がある。あるいは被害者がちょっと居どころがよく分からなくなって、勾留期間中にきっちり取り調べる、そして最終処分までするのにちょっと困難があるとか、あるいは被疑者の身上ですね、これまでの生活歴あるいは御家庭の様子などから考えて、当該検察官がこれは釈放しても大丈夫だという判断で、検察官の手元で適切に判断をしたんだという、そういう検察判断釈放されたものだと考えます。  総じて治安等に大きな影響があるものではないと思いますが、しかし一つだけ、窃盗被疑者が、釈放後ほぼ半月ぐらいでしょうか、またコンビニ事務所に入り込んで、これは入り込んだといってコンビニ事務所に何の用もなく入り込むことはないわけですから、建造物侵入で逮捕されて戻ってきたというようなことがありますので、やはり結果的にはこの釈放は良かったのかと、そういう問題は起きると。  私も、現場からの報告がやや上滑りな報告であったということも含め、これは地域の皆さん方に、そうでなくてもいろんな困難をしている皆さん方に、検察が最大限の努力をして移監などの措置をとらずに釈放したということについてはおわびを申し上げなきゃならぬと思っておるところでございます。
  16. 前川清成

    前川清成君 それで、本題の検察の問題に入りたいんですが、この昨年末の最高検報告書あるいは在り方会議提言を読んで、なぜ前田検事がこのような事件に及んだのか、その原因が十分に究明されていないように私は感じました。それで、前田検事はなぜこのようなことをしたというふうに述べているのか、その点、大臣、どのように認識しておられますでしょうか。
  17. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、前田検事動機ですが、元検事、厚生省の元局長の公判が後に紛糾することになるのではないか、そして上司から叱責を受けるのではないか、これを恐れてフロッピーディスク改ざんに及んだと、こう最高検報告書にも書いてありますし、そして、もう皆さん承知思いますが、本日十時でしたか、大阪地方裁判所判決が言渡しがございました。懲役一年六月の実刑判決でございますが、その判決の中でも同様の動機認定がされているということで、こんな程度でそんなことをするかなと、こういう御意見もあろうかと思いますが、少なくとも裁判での、あるいは最高検検証での動機認定というのはそういうものでございます。
  18. 前川清成

    前川清成君 裁判が紛糾するから、あるいは後日上司に叱責されるからというのは極めて表面的な原因であって、本当のところは、彼の検察官としての将来なりをおもんぱかってのこと、つまりは、もしも無罪判決であれば彼が自らの出世にかかわるみたいなことを考えたからではないかなと、私はそう思っているんです。ですから、もう少しここは掘り下げて、なぜ前田検事なりあるいは大坪検事なりがこのような犯行に及んだのか、原因を究明しておいてそれを取り除かないと、私は同じ事件が繰り返されるのではないかなと、そう思っています。  それで、最高検の昨年末の報告書の中に、この事件のことを前代未聞事件だと、こういうふうに書かれています。これは西川刑事局長で結構ですが、前代未聞というのはどういう意味なんでしょうか。
  19. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 確かに、御指摘のとおり、最高検検証結果には前代未聞の事実という記載がなされております。  これは、まず捜査主任検事本件の重要な証拠物であるフロッピーのデータを……
  20. 前川清成

  21. 西川克行

    政府参考人西川克行君) はい、改ざんしたと。それからさらに、その事実を知った上司がこれを隠蔽したということでございまして、これは証拠隠滅罪、犯人隠避罪で公判請求されると、これまでになかったことであり、またあってはならないことであると、そういう意味前代未聞の事実ということを言っているというふうに考えております。
  22. 前川清成

    前川清成君 西川刑事局長は、検察官による証拠改ざん隠蔽はこれまでなかったことと、そういうふうにおっしゃいましたけれども、それは真実ではないのではないかと私は思います。  私が公刊する判例等を調べた限りですが、例えば、最高裁昭和五十年五月二十日の決定、これは有名な白鳥決定ですが、この中には、その証拠になった弾丸について、第三者の作為ひいては不公正な捜査の介在に対する疑念が生ずることは否定し難い、こういうふうに明言をしています。これは確かに、警察か、あるいは検察か、どっちが悪いことをしたのかは書いていないんですが。  最高裁昭和五十七年の一月二十八日の判決、これはどういう事件かといいますと、被害者の妻と不倫関係にあった被告人が、不倫が発覚したので、夫とさらには不倫相手である妻を殺害したという事件です。有罪立証のキーになったのは、被害者の妻の陰部から被告人陰毛が発見されたと、そういう鑑定結果なんですが、その最高裁判決においては、鑑定に用いられた被告人陰毛は実は被告人から任意提出されたものなんだと、それを鹿児島警察大迫忠雄という刑事鑑定資料の中に紛れ込ませたんだと。二十三本の陰毛のうち五本が所在不明になっているということを裁判過程で追及されたときに、検察官がこの被告人頭髪裁判所に提出して、これでごまかそうとしたという事件昭和五十七年一月二十八日の判決です。  ですから、これも、直接手を下したのは警察ですが、鹿児島県警ですが、検察も片棒を、頭髪陰毛か、これ容易に区別付くはずですから、検察もその隠蔽に加わっていたというのは昭和五十七年の一月二十八日の判決認定をしています。  さらには、検察官が違法な証拠改ざん隠蔽をしたということで、検察官自身民事訴訟の、国賠訴訟被告になった札幌地裁昭和四十六年十二月二十四日の判決。これは、警察が押収してきた証拠札幌地検岩見沢支部で保管していた、しかし、それを四年半余り検察官裁判所に出さなかったと。そのことについて裁判所は、まさに刑事被告人ら及び弁護人らの当該証拠の存在及び証拠としての利用を不能ならしめる意思の下になされたのではないかとの疑いが強いというふうに認定しておりますし、あるいは、そういう事情の下での公訴提起について、公訴提起の段階で収集されていた証拠から見ても、合理的な疑いを超えて被告人らの犯行への加担を立証できる見込みは存在しなかったと、検察官高木、三沢、金田らはこの当該証拠を隠匿し、それが、これは別の被告人ですが、訴外井尻によって窃取されたことにした疑いが濃厚であるというふうな札幌地裁判決もあります。  ですから、今、西川さんが、前代未聞だと、こんなことは今までなかったんだと胸をお張りになることが私は大変不思議に思っているんです。あるいは、検察ではなくて警察証拠隠蔽をしたというのであれば、例えば大阪地裁昭和五十八年十二月十二日の判決大阪高裁昭和六十年六月二十一日、大阪高裁の六十二年六月五日、浦和地裁平成三年三月二十五日の判決などなどで幾らも認定されているところです。  もう一度お尋ねをしますが、この事件前代未聞だというのはどういう意味ですか。
  23. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 私も、これまで警察検察含め、捜査側あるいは公訴提起の側が証拠について、あるいは証拠書類についていろいろな手を加えたようなことがなかったと言い切る自信はございません。自信がないどころか、今、前川委員指摘のようないろんな案件が、疑わしきものあるいは多少認定されているものなどあると思います。  ただしかし、それらの件はいずれもそこにかかわった検察官公訴提起をされたというようなことはなかったんで、本件ではまさにこの前田検事フロッピーディスクのプロパティーを改ざんして、そしてそのことで起訴されて本日実刑判決を受けるということでございまして、これはまさに前代未聞、今日の判決理由の中でいえば万死に値するということでございまして、今やこの判決で明らかなように検察信頼が地に落ちているんで、これを何とかしなきゃ私どもは法の支配の貫徹した国家にならないという重要なところだと思っております。
  24. 前川清成

    前川清成君 今の御答弁は、検察官による証拠改ざん隠蔽はこれまではなかったという西川局長答弁を修正されたということでよろしいんでしょうか。
  25. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 西川局長は、自分思い検察官ですから述べたんでしょうが、私はもう少し離れたところから見ていて、やはり検察官もそう胸を張りたい気持ちはよく分かるが、胸を張って検察官ここにありと言うためには、自ら検察改革にしっかり取り組まなきゃいかぬという思いで若干の訂正をさせていただきました。
  26. 前川清成

    前川清成君 それで、このような検察官による証拠改ざんあるいは隠蔽あるいは見逃し等々が横行してしまうのは、繰り返されてしまうのは、私は検事になったことがないから分かりませんが、無罪判決が出ると、その人事上、当該検察官に対してマイナス評価が出てしまうからですか。
  27. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 私も検察を指揮監督する立場ではございますが、検察庁の中に検察官という立場でいたことはないので自分の体験としては分かりませんが、しかし、そのようなことがあることは断じてこれは認められない。無罪判決裁判所が出すということは、これは検察官にとって恥でも何でもないんで、現にある事件、これを弁護人の側からいろいろ吟味をする、立証する検察官の側も一生懸命訴訟追行をやる、そして、裁判所無罪なら無罪で、それをあえていろんなものを隠したり改ざんしたりして有罪に持っていくことこそ恥じるべきだと思っておりまして、その過程を見て、訴訟活動過程なりあるいは実際の執務の働きぶりなりを見て、いや、しっかり無罪の論告をした、これは立派だと、こういう判断をして人事上の処遇をすることは一向に差し支えないし、むしろそうすべきものであろうと思っております。
  28. 前川清成

    前川清成君 残念ながら時間が参りましたので最後の質問になるんですが、今大臣がおっしゃったとおり、神様ではなくて人間捜査をして、人間裁判をするわけですから、見込み違い無罪判決が出る、これは当たり前です。常に有罪だったら裁判所は要らないということになってしまうんだろうと思うんです。  しかしながら、これまで、証拠を隠してでも、証拠を偽造してでも有罪判決を取ろうとしたのは、やっぱり検察官人事の中に、無罪判決を取ってしまうと捜査が稚拙だった、だからあいつは駄目なやつなんだと、そういう人事評価がやっぱりあるからなんだろうと思うんです。  ここは、じゃ、是非大臣検察官人事評価というのは、今おっしゃったように、無罪判決を取ったら、無罪判決が出てしまったらマイナスではありませんよということを全国の検察官及び将来検察官になろうとする人たちに向かって宣言をしておいていただかないと、第二の前田検事、第三の前田検事が出るように私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  29. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 先ほども申し上げましたとおり、公正な立証活動をして、弁護人にもしっかりと弁護の機会を与えて、結果として無罪になる、これは私は決して恥ずかしいことではないので、日本の司法制度がちゃんと動いているということだと思うんですね。そういうことも含めて、先日来、検察在り方検討会議提言をいただき、私も、検察の再生に向けた取組という、これは検事総長一般的指揮という形で指示を書面でいたしました。  そして、この前田検事のことについて前川委員は、この動機は、それはいかにも薄っぺらじゃないかと言われますが、そこの動機をもっと深く深く深く聞こうと思うと、やはりこれはもう自供頼み捜査ということになってしまうので、そうではなくて、やっぱりその捜査過程も後から十分検証可能なように録音、録画についてもやってみようというようなことを今進めておりまして、私は、今の人事評価についても、無罪がどうだったからというのでない、本当に立派な検察官が立派に仕事ができるようにする、そうした検察在り方、これは今最高検の方にこれを具体化を、人事についても、あるいは教養についても具体化しなさいと投げてありますので、最高検の方がしっかりとした具体案を出してくることを今待っているところでございます。必ず検察の再生をやり遂げなきゃならぬと思っております。
  30. 前川清成

    前川清成君 終わります。
  31. 田城郁

    田城郁君 民主党の田城郁です。よろしくお願いをいたします。  質問の前に、私からも、震災から一か月に際しまして、改めましてお亡くなりになりました国民の皆様に心より御冥福をお祈りしますとともに、被災された全ての国民の皆様に改めてお見舞いを申し上げます。また、福島原発の事故の現場で事態の収束に向けて全力を尽くして活動しておられる東電及び協力会社の社員の皆様、あるいは自衛隊員、消防隊員、警察官の皆様方を始め、関係各位に対しまして深い敬意と感謝を申し上げます。  さて、私も東北、北関東の被災地に赴きまして、厳しい現場の現状を肌で感じ、そして被災者の悲痛な叫びをお聞かせいただいております。その中で、いまだ行方の分からない肉親を必死になって捜していらっしゃいます被災者の方々から訴えられているのが携帯電話でのGPS機能を使って肉親の現在地が分からないかという問いかけです。  ある方が電話会社に問い合わせたところ、法的に無理ですときっぱりと断られました。こういうときだからこそ何とかならないのかということで、無念そうに語っておられました。恐らく、被災者の方は肉親が戻ってこないということは理解しているはずです。しかし、やるだけのことはやり切りたい、そして、亡き肉親に、頑張って捜したけど見付けられなかった、ごめんなさいと謝って、許しを請うて、自分の心に空いた大きな穴を少しずつ埋める作業をして、可能性の追求を一つ一つ積み重ねて、駄目なら駄目で心に区切りを付けて次へのステップへ上っていくのだと、そのように思います。  納得のいく説明があれば心に区切りが付けられるものの、法的に無理ですだけでは、可能性が残っているのに教えてもらえないということで区切りが付けられない、つらい精神状態が続いてしまうという構図がつくられます。これでは復興への意欲やエネルギーも湧いてきません。  震災に際しましては、ほかの省庁にも質問が可能だとお聞きしましたので、この際、総務省にお聞きをいたします。  GPS機能で行方不明者の現在地が分かるのか否か、この震災の現状に鑑みて技術的観点でお答えいただければと思います。また、仮に条件がそろって発信位置が分かった場合に、通信会社は被災者に教えるすべはないものでしょうか。今後の対策も含めて、何かあればお聞かせ願えれば幸いです。お願いします。
  32. 原口亮介

    政府参考人原口亮介君) お答えさせていただきます。  携帯電話のGPS機能でございますけれども、これは、携帯電話の基地局等が例えば壊れておりまして電話が通じない状況になっておりますと、その場合はGPS機能も使えないと、そのようなことでございます。ただ、逆にそれが直っておれば、当然GPS機能、使えるということでございます。  それで、後半の方のこのような場合どうかということでございますけれども、電気通信事業者の保有いたしますGPSの位置情報につきましては、総務省の告示で電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというのがございまして、それに定められているところでございます。それによりますと、電気通信事業者は、いわゆるプライバシー保護の観点から位置情報を他人に提供しないものとするというふうにされております。しかし一方、同じガイドラインの中で、違法性阻却事由がある場合についてはその位置情報を他人に提供することが可能であるというふうになっているところでございます。  このように、本来、違法性が阻却されれば提供することが可能なわけでございますけれども、今回、先生御指摘いただきましたような事態があるということに鑑みまして、私ども総務省といたしましては、早急に携帯電話事業者に対する説明の場を設けまして同ガイドラインの説明をきちんと行いまして、災害時に携帯電話事業者が保有する位置情報、それが適切に取り扱われるように努めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  33. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  被災者以外の日本国民、特に私たち会議員や行政府人間に問われているのは、被災者の喪失感をどれだけ埋められる状況をつくれるか否かだというふうに考えます。これはほんの一例ですが、このようなサポート体制があらゆる場面でつくれるか否かで復興への足取りがまた全く違ってくると思います。総務省に限らず、各省庁の前向きな姿勢と確実な実行が、そして国会議員も含めてですが、今私たちに求められているんだと思います。一緒に頑張っていきましょう。  質問を変えまして、法務省にお聞きをいたします。  法務省は、今回のサイバー関係の法整備に当たりまして、関連する幾つかの法律の改正を提案をしております。これは、社会的基盤としてのインターネットの普及やサイバー犯罪の増加、あるいは大規模サイバー攻撃への対応、欧州評議会サイバー犯罪に関する条約等国際的な対応が必要な状況など、法案の趣旨については私も理解をしているつもりです。  一方で、日弁連や多くの市民団体あるいは労働組合、NPOなどから不安や懸念の声が訴えられていることもまた事実であります。捜査現場で法律の拡大運用がされて不当な逮捕や冤罪が起こるのではないかと、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障することがうたわれている憲法二十一条への抵触する捜査活動が行われる可能性があるのではないかと、そういう懸念であります。  法務省の方にお聞きしますけれども、これは実質的な共謀罪には当たりませんか。
  34. 西川克行

    政府参考人西川克行君) お尋ねは、現在、サイバー法案ということで、情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案というものを提出させていただいているということでございまして、その中身は、主なところを申し上げますと、コンピューターウイルスの作成等の規制ということと、あとはコンピューターネットワークが極めて重要な社会基盤になっているということで、刑事訴訟法の関係で電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法等を整備するというものでございまして、共謀罪等はこの中には含まれていないということでございます。
  35. 田城郁

    田城郁君 では、市民団体やNPOや労働組合は安心して活動ができるということですか。あるいは職業的な強制執行妨害者あるいは暴力団等の反社会的勢力というふうな表現なども記載されておりますけれども、ここに市民団体、NPO、労働組合は入るのでしょうか、入らないのでしょうか。
  36. 西川克行

    政府参考人西川克行君) まず、手続法の関係でございますが、確かに電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備等がこの法案の中に含まれておりますが、これらにつきましては、裁判官によって発せられる令状を必要とするなど、手続の適正を図るための仕組みを設けることとしておりますが、いずれにいたしましても、捜査当局において、刑事訴訟法その他の法令に従いまして、労働者の団結権や表現の自由の不当な侵害にわたらないように配慮しつつ適正な捜査に努めるものと承知をしております。  それから、もう一点、組織的犯罪処罰法を改正して強制執行妨害犯罪の加重処罰規定を新設するということになっておりますが、組織的犯罪処罰法第三条の罪の対象となる組織としては、例えば暴力団であるとか、振り込め詐欺集団であるとか、違法カジノ集団というものが考えられているということでございます。もちろんその適用に当たりまして、強制捜査をしようとするときには疎明をしなければならないということでございまして、もとより罪を犯してはいない人が罰せられるようなことがあってはならないということは言うまでもございませんので、捜査機関において、本法案の成立後もこれまでと同様、刑事訴訟法その他の法令に従って適正な捜査に努めるものと承知をしております。
  37. 田城郁

    田城郁君 くれぐれも一般の市民生活、あるいは市民団体やNPO、労働組合等の正当な活動に影響の出ないよう、運用場面へのチェックあるいは法務省の指導監督を是非よろしくお願いをいたします。  質問を変えます。  法務大臣にお聞きをいたします。  所信で、取り組むべき課題の二番目に、人権諸条約に基づく個人通報制度の導入のために体制整備を決意するというふうに述べられております。  我が国は、自由権規約は批准しているものの、選択議定書は批准していないために、日本国民が裁判などあらゆる手だてを国内で尽くしても権利が回復されない場合に国連の自由権規約委員会に救済を求めるということができないような現状になっていると思います。そもそもこの制度は国民にはほとんど知られていません。この現状を変えるべく、改めて江田法務大臣に、個人通報制度の有用性、体制整備に対する具体的な内容等、進めるに当たっての決意をお聞かせいただければ幸いです。
  38. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 委員指摘のとおり、我が国は幾つもの人権条約に加盟をしているわけでございます。しかしながら、個人通報、その人権条約で創設されている救済のシステムに国民がアクセスできないというのがこの個人通報制度の趣旨でございまして、せっかくこういう国際人権システムに加入しているんですから、やはりそれは、そこへ国民がアクセスできるようにして、そして国際的な人権救済システムをより価値あるものにしていかなきゃいけないということで、この個人通報制度というのは是非ひとつ導入をしたいと思っておりまして、これによって国内でも人権意識が更に高まっていく、あるいは国際的にも我が国の人権の取組というものが積極的に評価をされるようになっていくということでございまして、実際に導入するに当たっては、それは国内の体制と整合性がどうなっているか、国内の制度をちょっと変える必要があるかどうかなど検討しなきゃいけませんので、今その体制整備について進めているところでございます。  何としても私はこれは導入をしたいと思っておりますが、体制整備の実態につきましては、黒岩大臣政務官が取り組んでいますので、もし必要ならどうぞ、答弁させます。
  39. 黒岩宇洋

    大臣政務官(黒岩宇洋君) 今、田城議員の方から、是非積極的に取り組んで、そして、なおかつ国民の皆様にも広く周知してほしいという、そういう趣旨の御提言をいただいたと思っております。  以前までは外務省主催のいわゆる事務方の研究会に法務省も参加させていただいておったんですけれども、私は政務官に就任しまして、これはやっぱり政治レベル、政務レベルで更に検討を進めようということで、私の下に勉強会を今設置して、具体的な国内法の整備等にもいろんな今検討をかなり詰めておるところでございますんで、また田城議員からも更に後押ししていただいて、法務省としても鋭意、積極的に取り組んでいくことをこの場でお約束を申し上げます。
  40. 田城郁

    田城郁君 昨年十二月現在では百十三か国が議定書に批准をし、G8の中で個人通報制度が利用できないのは日本だけだということでございます。世界で常識的に批准され運用がされているものが、日本ではされていないという現実がございます。今まで対応してこなかったことを対応するということも検察信頼回復に結び付くという意味では法務省信頼を回復するチャンスでもあると私は考えますので、是非積極的な推進をよろしくお願いをいたします。  質問を更に変えます。江田法務大臣にお聞きをいたします。  法務大臣は所信表明の中で、検察に対する国民の信頼は失墜したというふうに強い言葉で遺憾の意を表明していらっしゃいます。また、四月の八日には全面可視化の試行を検事総長に指示をしたというふうなこともお聞きをしておりますし、刑事司法改革会議の立ち上げも方針化をされたというふうに聞いております。大臣の指導力と英断に敬意を表したいというふうに思います。  信用度ゼロ、いや、マイナスからスタートする検察がそれを回復するためには、江田大臣及び法務省はどういう努力をしなければならないのか、改めてそれぞれの決意をお聞かせ願えれば幸いです。よろしくお願いします。
  41. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 今日午前中に大阪地裁判決の出ましたこの事件の主文は、懲役一年六月、実刑でございます。そして、理由の中では、まさに万死に値すると書かれておる。検察官事件処理に当たって、しかも特捜部検察官自分の筋書とうまく合わないフロッピーディスクのプロパティーを改ざんをして、そしてそれが表に出ないうちにと還付をして、ところが、まさに天網恢々、ばれて、そしてその全体像が上司まで全部それにいろいろかかわっている。今この裁判はこれからというところですが、こういう事件が起きて、これは大阪だけではないんじゃないかと。事件自体はもちろん大阪ですが、検察のこれまで長く積み重ねてきた実務の積み重ね、これはこれでもちろんすばらしいもの、すばらしい成果も上げてきたわけですが、その中にやはり隠れているある種の自己改革を妨げていく姿勢、そういうものがあるんではないかと。こんなことで、検察信頼回復検察改革、これはもう本当に今一番大切な法務行政の課題だと、こういうふうに私は考えております。  最高検検証結果を出しました。そして、その中で様々なことがあります。全部で十二項目でしたか、具体的にやるということが書いてありまして、その中にはまだ手が着いていない部分もあったりしますが、そうしたことも全て含めて検察在り方検討会議提言をいただきました。その提言を、これを、法務省でやること、最高検でやること、両者が一緒になってやること、その役割分担とそしてお互いの協力、これをこういう形でやろうじゃないかということで、検討会議提言をもう一歩進めた形で、先日、検事総長法務大臣室に御足労をいただいて、そして書面をお渡しをして、検察の再生に向けた取組というものをお渡ししたわけです。  その中では、項目ごとに特に留意すべき事項ということを書いて、この点はこういうことに注意してやってくださいよと、こういう指示を出しておりまして、例えば録音、録画については、特捜部事件について、それは全過程の可視化といいますと、それをやるべしという意見と、いや、そうするといろいろ障害が起きるぞという意見と検討会議の中に両方あった。両方あったけど、それを言い合っているだけではこれは始まらないんで、とにかく全過程の可視化で何が障害が起きるか、そのことも明らかになる、その程度には、あるいはそのことが分かるようになる、そういう数はちゃんと全過程可視化やってくださいよと、これは単に検討じゃ駄目なんで試行で実行してくださいと、こういうことまで具体的に示して先日指示をしておきましたので、私は、これは検察庁法という法律にのっとった私の一般的な指揮ですから、必ず検事総長が中心になって全検察挙げて取り組んでいただけるものと思っておりまして、そういうことによって検察信頼は必ず回復をしていきたいと決意をしております。
  42. 田城郁

    田城郁君 一般的な指揮ということで指導されているということで大変心強く思っております。私は、冤罪をゼロにするというためには全面可視化というのは必要最低限であるというふうに考えております。これが実現するか否かで検察改革の本気度が試される試金石になるというふうに考えております。  茨城県の布川事件の再審の判決が五月二十四日に下されます。私は無実が言い渡されることを切に願っておりますが、冤罪に対する更なる世論の高まりが起きることは間違いありません。  また、私は先日、高知で冤罪を訴えております高知白バイ事件の元スクールバス運転手の片岡晴彦さんにもお会いをし、お話をお聞きいたしました。この事件は二〇〇六年に高知市郊外で起きたもので、白バイの巡査が片岡さんが運転するバスに追突して亡くなったという痛ましい事故であります。バスに同乗の中学生全員と後続の乗用車を運転していた校長先生が同様にバスは止まっていたと主張しているにもかかわらず、一切証拠として採用されず、過酷な取調べの中で、バスが白バイに追突したと認めさせられた片岡さんが過失を問われて刑に服することになった事件でございます。  私は、この片岡さんも含め、厚労省の村木さん、足利事件の菅家さん、布川事件の桜井さんや杉山さんほか多くの冤罪を訴えている方々にお会いをしましたが、その方々は異口同音に強い口調で捜査の際の全面可視化が必要だと主張をしております。布川事件の桜井さんは、どうやって供述ができ上がったかという過程を知らなかったら事実だと思ってしまいますよねと、一部可視化に限定したい人はうその自白が生まれる過程を明らかにしたくないのだと思う、私たちが望むのはその過程を明らかにしてほしいということだというふうに主張をしております。  特捜は廃止すべきなどという意見も出ている中で、私は特捜は存続すべきだというふうに考えております。検察が今こそ自浄能力を発揮し、信頼性回復の第一歩を踏み出す絶好のチャンスであるというふうにも考えます。そのためには、全面可視化検察庁にとって無条件で実施すべきと考えますし、そのほか克服すべき課題は山積をしております。このほか、全面可視化のほかに幾つかの課題があると思いますが、大臣はその課題についていかがお考えでしょうか。
  43. 江田五月

    国務大臣江田五月君) この全面可視化ということの意味がなかなか定かでないんですね。全ての事件、全件可視化、すなわち録音、録画ということと、全過程、始めから終わりまで全て録音、録画ということと、その両方についてそれぞれどの程度ということがあるんだろうと思いますが、私は全過程の可視化が必ずかなりの数行われる必要があると。それをちゃんと見ながら、一歩一歩検察の改革を含め刑事司法全体の改革を進めていきたいと思っているところでございます。  今、田城委員挙げられましたいろいろな事件がございますが、それぞれの皆さんの訴えておられることに耳を傾けていきたいとは思いますが、さはさりながら、録音、録画をやればこれでもう全て冤罪はなくなるかというと案外そうでもない、もっといろいろなことをやらなきゃいけないんで、そしてまた冤罪というのは一体何なんですかというこれも、人間のやることですから絶対的真実が明らかになるということが一体本当にあるのかどうかと、こんなことも考えながら適正な、この社会を適正に動かしていく刑事司法の在り方というのはこういうことじゃないのかということを考えていきたいと。  よくいろいろな事件でマスコミの皆さんなどが、これではまだ突っ込み不足だと、本当のところはどうも明らかにならなかったなどと評されることがございますが、刑事司法で全ての裏の裏まで明らかになるものなのか、それが刑事司法の本来の目的なのか。そうではなくて、やっぱり捜査というのはここまでしかそれは駄目、そこまでやって、それでこの刑事司法が運営できる限度で刑事司法は社会の役目を果たしていくんだという、そういうようなところがやはりこれから必要なんじゃないかというわけで、自供に頼り切る、そういう刑事司法でないものをひとつつくっていきたいと。  そして、そういうものを動かしていけるような検察体制というのをつくると。そのための検察官の心構えの基本であるとか、あるいは教育や人事在り方であるとか、チェック体制の在り方であるとか、あるいは捜査、公判の在り方、そのことを総合的に、これから法制審の下に場をつくって、外部の目、外部の風も入れてそうした検討を前へ進めていこうと思っております。
  44. 田城郁

    田城郁君 あくまでも法と証拠に基づいて公正公平な法務行政が行われる、そのことを望みますし、法務行政を改革し、大臣の目指す法の支配が行き渡り、誰もが個人として尊重される社会の確立のために、江田法務大臣法務省皆さん、もう一段の御努力をお願いするとともに、私も微力ながら尽力をしてまいることをお約束いたしまして、質問を終わりにいたします。  どうもありがとうございました。
  45. 丸山和也

    ○丸山和也君 丸山和也でございます。  今から質問させていただくんですが、この度、検察在り方検討会議というところから再生に向けてという提言が出されているんですが、こういうことですので、これらを中心にしながら二、三絞ってお聞きしたいと思うんですけれども。  前に、たしか前川委員だったかと思うんですが、判検交流について聞かれたようなことがあったと思うんですけれども、これをちょっと聞きたいんですけれども、いわゆる判事と検事の交流ということが、戦後間もなく、恐らく一九四八年ごろから、法的根拠は別にないまま慣習的にずっと行われてきていたように思います。そして、現在も行われているかどうかはっきり分かりませんけれども、多分行われているんじゃないかと。この位置付けとか、その評価とか、今後どうするのかという点についてお聞きしたいと思うんですけど。  僕は、これはある意味で、判事と検事が相互に入れ替わってお互いの立場をよく理解し合って刑事司法の推進のためにということでやっているというようなことらしいんですけれども、やはりそれは、ある意味では判事と検事のなれ合いを生んだり、それから国家賠償とか国が訴えられる行政訴訟とかにあっては、やはり国の立場を理解するような司法の在り方裁判在り方につながっていくだろうし、また結果的には行政訴訟で原告が勝つような事件が非常に少ないというようなことにもつながっているんじゃないかと思って、ある意味非常に、ある意味で、実務的にずっと行われているんだけれども、不透明であり法的根拠もはっきりしないままやられてきていることじゃないかと思っているんですね。ですから、こういうのは反省とともに一旦もう切って廃止し、これからの在り方をすきっと考えていくということが望ましいんじゃないかと思うんですが、この点についてどのような基本的お考えをお持ちなんでしょうか。
  46. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは丸山委員も御承知のとおり、日本の法律家というのは、法律家として判事、検事弁護士、三者を一体として養成していくということがもう戦後ずっと続いてきたやり方です、その中身はいろいろと変化をしてまいりましたが。裁判官、検察官弁護士、三者を一体として養成して、そこは三者それぞれに、三者三様の持ち味がありますから、お互いに対立をする、そういう立場に立つ、しかし法律家としてお互いに理解をし合いながら紛争を解決し、法整備を進めていくという、そういう関係にあるのが法曹三者だと思っております。  法務省が所掌をしております司法制度の整備とか、あるいは民事、刑事の基本法令の立案等の事務、これはやはり裁判実務の経験を有する法律専門家である裁判官を任用することが非常に有用であり、その必要性が高いということで人事交流を求めているものでございまして、裁判官以外の法律専門職としての経験その他の多様な外部経験を積むこと、これはまた他方で裁判官にとっても有用なことでございまして、裁判官の資質の向上ということもその中にあるので、今後とも、そういう意味で私は、法律専門家である裁判官から法務省に適切な実務の遂行に当たってもらうということは続けていくつもりでございます。
  47. 丸山和也

    ○丸山和也君 そういう発想が、だから駄目なんですよ。要するに、いわゆる法曹三者を一体として育てていく、みんなで協力してやっていくんだと、これは当たり前のことであって、そういう抽象的な一般論と具体的に問題が指摘されていることは峻別せにゃいかぬと思うんですよね。そして、そういうことをしないままだらだらとやっていくからこそ、刑事司法においても本当の目的が達成されないんじゃないかという批判がずっとあるわけですよ。では弁護士として、じゃ弁護士が判事席に、まあ弁護士から任官される人もおりますけれども、判検事の交流のような形はないわけですよ。それで、しかも、ある部になると担当検事裁判官が一つの部になって一定期間チームとしてやっていく中で毎回別個の弁護人が入ってくると、こういう構造的になっているわけですよね。  だから、はっきり言って、弁護士にとっては非常に新参者なわけですよ。ところが、なれ合った判事と検事がそういう雰囲気の中で事件を回転させていくというか、こういう構造的なところはむしろ断ち切らなきゃいけない。むしろ断ち切らなきゃいけないところを更に進めようとしているところがやっぱり組織の、本来厳格にあるべき司法が人間関係によってゆがめられていくという危惧があるわけなんですよ。だから、これはもういろんな方が指摘しているんだけれども、やっぱりそういうところが結構改めてないんですよね、改められていないと。これからもやっていこうということなんで、非常に、これはやっぱり何というか、見識に欠けるというか、厳しさに欠けるということを私、法務大臣指摘しておいて、反省してもらいたいと、見直す方向で検討してもらいたいということをここで言っておいて、次の質問に移ります。どうせ答えは決まっていますから。  いわゆる──いや、もう結構です。特捜部在り方についてお聞きしたいんですけれども。これ、先ほども特捜部が起こした大阪地検事件に関連していろいろ問題にされているんですけれども、いわゆる検察在り方検討会議でも、特捜部の廃止を含めていろんな議論がなされたけれども、存続すべきだというのが大方を占めたということで、もう当たり前のことしか書かれていないから、本当にどれほど特捜部の廃止を含めて議論がなされたのかが分からないんですよね。  それで、意見としては、特捜部刑事部に移した上で刑事部において独自捜査を行う案とか、特捜部を廃止すべきとの意見もあったと。だけれども、結局は、少なくとも特捜部は存続させて独自捜査を任務とする部署は廃止は必要ないというふうになったと。これは何も変わらないわけですよ。それで、ただ、心情的な反省としては、エリート意識や傲慢さを持っているのではないかとか、特捜部らしい事件を立件しなきゃならないというプレッシャーがあったんじゃないかとか、こういうところは注意していこうという、もう何というのか、子供の反省文なんですよ、はっきり言って。  こんなものじゃ改革にも何にもなっていないですよ。いわゆる特捜部を置くんならエリート意識を持たなきゃ駄目でしょう。持ってやるべきものじゃないですか。こういうのがなかったら特捜部を置いている意味がないんですよ。しかも、独自捜査をするということであれば、エリート意識を持って、エリートとしての気概とそれなりの権限を持ってやるからこそ特捜部の存在価値があるんで、エリート意識もなくしなさいと、それで特捜部らしい事件を立件しようというようなプレッシャーを感じなくていいですよと。何をしろというんですか、すると。これだったら一般の刑事部に移して一般の刑事捜査をやるだけでいいんじゃないですか。ここら辺が全くめり張りがないし、真剣に議論したように思えない。  それで、検討会議の面々のいろいろな顔を見ても、個人個人としては立派な人がおるようなんだけれども、まとめた提言書というのは本当にありふれたあれなんですよね。だから、これはいわゆる、特捜部を存続させた上で、特捜部を監督するというか、機能を充実させるべきだということで、横からのチェック体制を取り入れるべきだという提言しているんですけれども、何というか、めり張りのない提言であり、また横から──揺れていますね。私、質問が大きくて、やっぱり震度が大きいのかもしれないけれども。  こういうことについてもう少し大臣に、なぜ特捜部を置いておくことが必要なのかと。それで、この程度の横からのチェック体制を入れるというような言葉だけで十分なのか。これからの、エリート意識は余り持つなとか、独自の、らしい事件を立件しようというようなプレッシャーを持たないようにしなさいというようなことで特捜部が健全に機能していくのかどうか、今まで批判されたような。そこら辺についてどのように思われているんですか。
  48. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 委員から厳しい御批判をいただきました。御批判には謙虚に耳を傾けたいと思いますが、同時に、批判に対して私どもの方の弁解もちょっとは聞いていただきたいということで、先ほど手を挙げかけて指名していただけなかったことに一つ言いますと、判検交流について、訟務の部分には確かに問題多少あると私も思っておりまして、これは少なくしてまいります、一気にというわけにいきませんが。  訟務にやはり裁判官から入ってくるのがいますと、どうしたってそれは裁判官と国の代理人とがなれ合いになっていると外から見たら見えてしまう部分はあるだろうと、この点は変えていくということをまず申し添えておいて、そして特捜の関係でございますが、特捜は、特捜部は存廃も含めて検討会議議論をしていただいた、それは検討会議にお願いをする際にも存廃含めて議論してくださいということでお願いをしたんですが、その議論の中で、やはり検察の中に、例えば政治家であるとかあるいは巨大企業であるとか税の関係であるとか、やはりそういうものについてしっかり目を光らせて、巨悪を許さないという、そういう捜査をきっちり行う部門が必要だということで、特捜的な機能はやはり検察は持っておく必要があると、こういうことが書かれておりまして、ただ、今の特捜部を是とすることなく、特捜という名称とか組織体制・編成、人員配置など含め見直すための検討をせよというのが検討会議提言でございました。  そこで私は、これはそういう見直しの検討に取りかかって三か月以内をめどに検討結果を得るように検事総長に指示をしたところでございます。検事総長におかれては、そういう提言とそして私の指示の趣旨を踏まえて、今の見直しの具体案を出してくれるものと思っております。
  49. 丸山和也

    ○丸山和也君 僕は、言葉じゃなくて、特捜部を置くならやっぱりしっかりしたエリート集団として組織をつくり上げるべきだと思うんです、むしろね。何となくエリート意識を持つなとか特権意識を持つなみたいなことでは、中途半端な特捜部があっても意味がないと思うんですよ。巨悪を追及する、政治的ないろんな事件を追及するといったって、やっぱり人材、能力、権限、そういう意味でしっかりした国民に支持されるようなエリート集団をつくらないと僕は機能しないと思うんですよね。だから、むしろそういう観点から堂々とやるんならいいんですけど、何となく反省して、余り仕事するなよと、横からいろいろチェック受けなさいよというような形で、しかも残すんだということで、非常に分かりにくくなっていると思うんですね。  それで、特捜部とか検察信頼を失ったのは、まあ約二十年ぐらい前だったかな、金丸事件ですよね、あれ、一九九二年ですわ。あれが、佐川からの五億円の献金を、政治資金規正法違反で略式起訴で呼出しもせず、呼び出して取調べもせず二十万円の略式の罰金で済ませたということで、東京地検検察庁に黄色いペンキが投げ付けられたり数千通の抗議文が行ったんですよね。それで検察があたふたと対応したということがあるんですけれども。  そういう本当に国民の信頼を受けるという意味では、いわゆる強いしっかりしたエリート集団があるということは国民は別に反対はしないと思うんですよ。中途半端な訳の分からない秘密的な特捜部があって何をしているのか分からないという、しかもろくな、巨悪の事件も何も追及しないということの方がよっぽど特捜部の存在価値がないように思うんですよ。ですから、法務大臣にお願いしたいのは、むしろ健全なエリート意識を持った、国民に支持されるような特捜エリート集団というのを養成してくださいよ。その点についてどのように思われますか。
  50. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 委員特捜部に対する温かい思いやりというのは本当に有り難く思いますが、しかし私は、これは特捜部だけがエリート意識を持つという話じゃないんじゃないか、むしろ検察全体がもっと使命感に燃えて、どういう検察の部署にいても自分たちは公益の代表者なんだと、そういう意識を持って仕事をしていくべきで、しかし特捜部というのは先ほども申し上げましたような特別の、目を光らせているという部署ですから、これを組織的に支えるためにいろいろな専門知識を集約させていくような、あるいはこれまでの経験知をちゃんと生かしていくような、そういう組織の在り方検察全体にしっかりつくり上げるということをこの提言に書いているわけでございます。  さらに、特捜について国民の失望感もあるわけですから、そういうものを乗り越えていくためにも、特捜の身柄事件について、全過程の可視化も含めて検証可能な、そういう試行を実行していきなさいということも言っているわけでありまして、この特捜というものに専門的知識や意見を持った、すばらしい能力を持った者を特化させるということじゃなくて、これはやっぱり検察全体の能力のアップということを考えていかなきゃいけないんではないかと思っております。
  51. 丸山和也

    ○丸山和也君 僕はその考えは間違っていると思いますね。一般論って何となく耳触りはいいんですけれども検察も全てそれはもちろん重要で、どれが重要でどれが重要でないということは全くないんですけれども特捜部というような、特別、独自の捜査権限を持って自己完結するような組織をわざわざ残すということであれば、それなりの強い責任と強いそれだけの、特権と言ったらおかしいけど、やっぱり権限とそれからエリート意識をつくらないと意味がないと思うんですよ。だから、要するにこれは、そういうものはそれなりの存在意義が認められてこそ初めて機能するので、また社会の巨悪を追及することができるのであって、そうでなかったらやっぱり僕は余り意味がないと思うんですよね。巨悪の追及もできないと思いますよ。  その一言を言っておいて、私の意見ですから、法務大臣とそこがちょっと違うなということで、これでは本当の特捜部が生きてこないなと、残したとしても。それだったら廃止した方がいいんじゃないかというのが私の意見でありまして、そこでそれはもうおいておきますので、どうかこういう意見もあるということを検討していただきたいと思います。  それから、検察全般のことについて今回提言が出ているんですけど、一つお聞きしたいんですけれども、この検察在り方検討会議の人選ですよね。ずっとここに出ています、二十名近くおられるのかな、方は見たんですけれども。座長は千葉景子さんという当時のあれですけれども、これはどういう基準に基づいて、公平無私にというか、あるいは私的な思惑があれば私的な見解でもいいんですけど、どういう基準でこういう方を選ばれたんでしょうか。
  52. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、私が法務大臣になる前の柳田法務大臣時代の人選でございますので、私からお答えいたしますが、もし小川大臣、黒岩大臣政務官、補足があれば言っていただきたいと思うんですが。  今般の検察をめぐる一連の事態を踏まえて、検察在り方について幅広い観点から抜本的な検討をしていただくということで、そういう目的を達成するために、刑事司法に限らず様々な分野で御活躍の方の中から検察在り方に関して様々な御意見をお持ちの方を選ぶと。検察在り方についていろいろの意見を公表されておらない方も必ず検察のことについて考えていただけると、そういう人を選んで、また各方面からの御推薦も参考にすると。  こういう観点から当時の政務三役が、まず千葉景子さんは、これは今委員言われたように、柳田さんの前の法務大臣で、検察の様々な出来事が起きてきた当時の法務大臣ですから、そのことをもう痛感をしているわけで、この人に座長を務めていただくことにして、さらに千葉座長と政務三役の協議で他の人選を行ったものと承知をしております。
  53. 丸山和也

    ○丸山和也君 個々の人選について余りとやかく言うつもりないんですけど、一例で挙げて、一番上に、アルファベット順なのかな、これ、石田省三郎さんという弁護士さんおられますけど、この方は仙谷元官房長官の推薦ですか。仙谷さんの事件を片っ端からこの人が代理人としてやられている方なんですけれども、私とも相手方になっているんですけど、それは別に全然問題なくて結構な話なんですけれども、やや、刑事司法全般についてそういう高い見識を持ってやられているかどうか分かりませんけれども出ているもので、一例として、これはどなたの推薦なんですか。
  54. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 私はちょっと個人的によく知らないんですが、周りのささやきによると、仙谷さんと確かに仲がいいということはそのようですが、当時の仙谷官房長官が推薦をしたというふうには私ども承知をしておりません。刑事の分野に精通した弁護士だということで人選をしたものと思っております。
  55. 丸山和也

    ○丸山和也君 ありがとうございました。  たくさん刑事弁護に精通した弁護士がおられるものですから、石田さんここに出られているということで、やや、ちょっとあれっと思って、というより面白く思ったんですけれども、なかなかユニークな人選だなと思ったわけで、そういうわけで一つ聞かせていただきました。  それから、よくアメリカの検察官とかに話をしますと、日本の検察官というのはやっぱり、日本は検察官の楽園だなと。要するに、楽園、パラダイスですよということをよく言っていました。それはどういう意味かというと、やはり非常にオールマイティーな捜査あるいは起訴、全ての権限を持っているということと、比較的抱える案件が一人頭ですると少ないというふうなこと。  それと、何というか、ある意味では検察官一体の原則という中で、組織として全部動いていて、個人個人の責任が余り問われないというようなこととか、それとか、特に検事正クラスになると、アメリカ辺りだと大体みんな選挙で選ばれるわけですよね。日本の場合は全く選挙がないと。どういう事件をどういうふうに処理しようと次の選挙で落ちるというようなこともないし、キャリアとして給料も上がっていくし、定年までよっぽど事件さえ起こさなければ行くと。組織に守られ、まあそれは逆に組織に従属するということでもあるんでしょうけど、組織に守られ、外からの個々の検事に対する国民の批判にも直接さらされることなく、それで定年退職まで行くと、いい身分だなと、事件もそんなに多くないと。こういうふうに見られているのは、あながち僕は間違いではないと思うんですよね。それをぬるま湯と言うかどうかは別にしまして。  こういう状況なんですけれども、それで日本の場合は、検察というのは一つですよね、組織は。アメリカの場合はやっぱり、検察庁、大体三千ぐらいある。それぞれが長がいて、それぞれが結構独自にやっているんですね、やり方も違うし。ここら辺が全く違うんですけれども、例えば、大きな改革というなら、法改正も含めて、将来的には検事の一部公選とか、そういうことは考えてもいいんじゃないでしょうか。そういうふうに私は思うんですけれども、長期的な問題としてどのようにお考えですか。
  56. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 法曹三者をそれぞれどういうふうに養成するかというのは、世界中でいろんな制度があるというのは確かにおっしゃるとおりでございます。日本では、特に裁判官、そして検察官、これをキャリア裁判官、キャリア検察官ということで、司法研修所終わって、二回試験終わりますとそういうところへ就いて、後はもう定年までずっと上がっていく。裁判官はそれでも十年ごとの任期が来まして、それから最高裁の場合には国民審査がある。検察官は、おっしゃるとおり、一度なると定年までは何もありませんが、しかし検察官適格審査会というのもあるし、それから今は、検察の不起訴に対して審査をしてもらえるという形もありますし、様々なそういうチェックがなくはないと。  ただ、私は検察官として勤めたことがないのでそこは実感としては分かりませんが、恐らく、恐らく検察官という世界の中でぬくぬくと、まあ事件を適当に右から左へやっておきゃいいやといって暮らしている人たちというのは、本当にやりがいのある仕事をなかなかさせてもらえないんじゃないかという気はいたします。  それから、事件数が少ないというのは、果たしてそうかなと。大体、大部分の検察官自分で一から捜査をするというんではなくて、警察から送致をされた事件を受けて、これをしっかり、警察の送致が間違いないかどうかをよくチェックをして、そして公判請求する、あるいは不起訴裁定書を書く。それには上司の目も光っているが、しかし幾ら上司の目が光っていても、やっぱり独任制ですから、自分の責任でこれらの職務を行っていかなきゃならぬ。公判になりますと、それはやっぱり厳しい弁護人のチェックが目の前に待っているということで、なかなか厳しい毎日を送っているのではないかと思っております。  今委員おっしゃる、日本の検察官も例えば選挙で選ぶとか、そういうようなことを入れていいんではないかと、それも一つのアイデアかと思いますが、取りあえずは今のこの検察信頼回復のために精いっぱいの努力をするのが私どもの務めだと思っております。
  57. 丸山和也

    ○丸山和也君 今、やはり日本に、問題になっているというか、一つは可視化の問題ですよね。全面可視化に向けた動きが進みつつあると思うんですけど、可視化の問題。それから、最近というか、近年取り入れられました検察審査会制度の、法改正に基づく検察審査制度ですね。それと、それからやはり私が先ほど言いましたように、一部検察官の公選というような制度の検討とか、こういうことを総合的に日本的に考えていく中で、大きな検察制度自身の在り方を検討すべきだと思うんですよね。  それで、そこら辺まで本当に踏み込んだ検討をしないと、ある検事が、特捜部検事フロッピーディスク改ざんしたとか、これは万死に値するんだとか、言葉は確かにそうだけれども、はっきり言ってこういうのがちょこちょこ、そこまで行かなくても、それに類似したことがちょこちょこ生まれてもおかしくないような制度的な一種の疲労が起きているんだと思うんですよ、僕、耐用年数というかね。だから、何というか、機能不全ですよね、はっきり言えば、一種の。そういうのの現れだと思うんですよ。もちろん機能している部分もいっぱいあるんですけれども。だから、そういう一つの兆候として、検察制度全体を本当に一回解体するぐらいの、発想としてはですよ、解体して組み立てるぐらいの発想はやっぱりやってもらいたいと。  だから、先ほどの可視化の問題についても、法務大臣やや前向きだと思うんですけれども、全ての事件かどの事件か、それから全部か一部かとか、昔から言われている議論の域を出ていませんし、それから、検察審査会制度についても、これは私お聞きしませんでしたけれども、これでいいのかどうかという逆に揺り戻しの意見もございますし、それから、やっぱり裁判員制度が始まったということが一つの大きな地殻変動をもたらすと思いますので、こういう点についても前向きに、それを生かす形で検察改革も見据えていただきたいし、それから、一部検察官の公選制というようなことも考えていただきたいと。  やはり、実際、裁判所にしたって最高裁にしたって、十年ごとのあるいったって、よっぽどのことがないとこれは再任されないこともないし、最高裁だって、はっきり言ってあれで、最高裁、あの国民投票で駄目になった人というのは僕は余り聞いたことがありませんし、だから有名無実化した制度を幾らつくっても意味がないと思いますので、やっぱりぴりっとするような改革を是非やってもらいたいと。  じゃないと、今回の不祥事件で大きく騒いで反省しましたいうだけで、どこが変わったのかなということになって、恐らく、先ほどどなたかがおっしゃったように、第二、第三のこういう改ざん事件とか、あるいはもっと小さな違反事件が起こるかも分からないと。それで、そうこうやっているうちに、もう特捜部なんて巨悪を摘発するというようなイメージと全く違う部になってしまうと思うんですよ。  そういう危機感を持って、特捜部を残すなら、再度言いますけど、しっかりしたエリート集団として鍛え上げて、国民に信頼される人物、見識全てを含めてエリート集団として国民が信頼するような集団につくり上げなきゃいかぬと思うんです。それであって初めて全体のバランスというか、ほかの部門も生きてくると思うんですね。今、特捜部という特別な何か部のような感じでみそを付けて、ここが駄目だからってほかにその駄目が広がっているような感じを受けるんですね、検察全体に。そこら辺を是非性根を入れて検討していただきたいということを申し上げて、私の質問は終わります。
  58. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 答弁しますか。江田法務大臣
  59. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 検察を解体してつくり直すんだというぐらいな意気込みで改革をしろという委員のそのお言葉は大変な激励だと受け止めます。  そして、今日午前中の大阪での判決、これは被告人前田元検事が自ら万死に値すると言ったと、これを判決に書いている。前田被告人が万死に値すると言った言葉は今多くの検察官に衝撃として伝わっていると思っております。そして、私は、今大切なのは、そういう万死に値するような仲間が出てしまった、そこでくじけてしまうんではなくて、全国の検察官が今こそ奮い立たなきゃいけないという気持ちを持たせることが今大切なんだと思っておりまして、必ず検察を立て直してまいります。
  60. 丸山和也

    ○丸山和也君 終わります。
  61. 古川俊治

    古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。  最初に、検察審査会についてお伺いをしたいと思っております。検察審査会による強制起訴の制度でございますけれども、この制度、平成十六年の司法制度改革の法案によって、刑事訴訟法の一部を改正する法律案によってできたんですけれども、そのときに私は議論に加わっておりませんし、丸山委員も加わっていなかったんですけれども、民主党も賛成されたということでお聞きをしていきたいと思っているんですが。  これは、検察審査会による強制起訴制度、公権力行使に対する民意を反映させるという司法制度改革の趣旨だと思うんですが、それとともに、反面、素人感情による判断であるという指摘が極めて多いと思うんですね。その点について、やはり検察審査会強制起訴に至ればこれは公権力の発動と言えますので、これに対するチェック・アンド・バランス、抑制、監視の機構というのは江田大臣はどのようにお考えでしょうか。
  62. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 強制起訴に対するチェックですね。これは、強制起訴であれ、あるいは検察官による起訴であれ、裁判所によってその起訴が、これは検察官の方の、あるいは強制起訴の場合にはそういう仕組みを通った検察審査会の議決を受けて検察官役をやる弁護士の主張を裁判所で審査をするわけですから、そこでチェックが十分行われると、三審制で行われるというものだと思っております。
  63. 古川俊治

    古川俊治君 平成十三年六月十二日の司法制度改革審議会の提言、この中にも、検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度を導入すべきであるとするその一方で、被疑者に対する適正手続の保障ということにも留意せよと言っているんですね。そうすると、これは当然、起訴議決に対し法的拘束力を与えることはもうこれはやられているわけですけれども被疑者に対する適正手続の保障という点はどのようにお考えになるんでしょうか。
  64. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 被疑者に対する適正手続の保障ということも、司法制度改革審議会の中でそういう議論もございました。しかし、これは起訴手続の中の一つのプロセスであって、最終的に不起訴ということになる最後の段階で検察審査会が二度起訴議決をして、そして起訴されるというその手続ですから、被疑者捜査が適正だという、その意味では被疑者に対する適正手続の保障はあるかもしれませんが、被疑者自体が検察審査会の手続の中で調べを受けるというそういうことが権利という形になっているということにはなっておりません。しかし、もちろん検察審査会被疑者を手続の中で言ってみれば証人として事情を聴くということは、これはもちろんできるわけです。
  65. 古川俊治

    古川俊治君 検察審査会に証人として被疑者が呼ばれるということですか。
  66. 江田五月

    国務大臣江田五月君) そういうことです。検察審査会に証人として呼ばれると。ただし、証人といってもこれは被疑者ですから、宣誓はしないということになっておると。
  67. 古川俊治

    古川俊治君 それは被疑者の権利として認められていることですね。被疑者が希望すれば、常に審議に関与できるということでよろしいですか。
  68. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 被疑者が求めれば呼ばれるという手続にはなっておりません。  なお、ちょっとさっき言い間違えました。証人の場合も、検察審査会の手続の場合には、被疑者でない証人の場合にも宣誓はしないそうです。
  69. 古川俊治

    古川俊治君 もう一度確認しますけれども被疑者検察審査会において陳述をする権利があるんですか、ないんですか。
  70. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 権利としての陳述は認められておりません。
  71. 古川俊治

    古川俊治君 権利としてないものに、なぜ適正手続の保障と言えるんでしょうか。
  72. 江田五月

    国務大臣江田五月君) ですから、これは起訴手続の最後の段階での仕組みであって、被疑者一般に対する手続の保障はもちろんあるけれども検察審査会の中で特に被疑者が何かの主体として権利を持つという構造にはなっておりません。
  73. 古川俊治

    古川俊治君 よく分からないんですけれども、私の理解力が不足していて申し訳ないんですが、起訴手続の最終段階、それはそうですよ。ただこれは、検察審査会強制起訴というのは、検察が不起訴と決めたものに対して検察審査会が審議をして、二度起訴相当ということになれば起訴が行われるということですよね。そこについての強制手続を持たせる。そのことについての被疑者のデュープロセス、実質的なデュープロセスにも気を付けるということを法制審は述べているわけですね。それはどういう制度になっているのかと伺っているんですよ。分かるように説明してください。権利としてまさに被疑者が関与できなければ意味がないんじゃないですか。
  74. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 司法制度改革審議会の中で幾つか強制起訴を入れる場合にはこういう点を留意しなさいよということを書いてあって、その中の一つ被疑者に審査に参加をさせて意見を陳述させるということも書かれてはおりますが、しかし、それはそういうようないろいろな点を留意せよということ以上には書いていないので、そこで被疑者に参加の、そして陳述をする、そういう権利は与える構造になっていないということです。
  75. 古川俊治

    古川俊治君 大臣は、それで被疑者に対する適正手続の保障という観点からは十分だとお考えですか。その理由お答えください。
  76. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 一般の、検察審査会の起訴ではない検察官が起訴する場合にも、もちろん被疑者被疑者として黙秘権の告知も与えられますし、またいろいろ事情も聴かれますが、私は是非、この起訴手続の中に当事者として参加をして、一定の権利を認められた上で活動するというふうにはなっていないわけですよね。それで、その続きですから、検審の手続の中では当事者として参加をして権利に守られて行動するという構造にはなっていない。  それがいいか悪いかという議論はあるだろうと思います、確かに。しかし、従来、検察審査会が幾ら言っても、検事の、検察官の方がそういうものに従わなかったのがずっと続いてきたわけですよ。検察審査会が不起訴不当だとか起訴相当とか言っても、もう本当に実質的には無視されてきたのがこれまでの経過なので、そこで司法制度改革審議会の中で、これはやはり国民が起訴の手続をチェックするわけですから、不起訴の手続を、したがって、この検察審査会が起訴相当といった場合に一定の条件がクリアされれば起訴を強制させて裁判所裁判を受けようという制度を導入したんで、導入してまだ本当に僅かな期間しかたってないわけですから、これはこの手続、この起訴相当手続というもので行われる裁判というのをもう少し積み重ねさせていただきたいと思っております。
  77. 古川俊治

    古川俊治君 議論にわたりますのでこれ以上は言いませんけれども、一回、一旦、普通の検察の活動であれば不起訴となるものについて起訴議決を出すんですから、それは普通の起訴の場合とはやはり効力が違っても私はいいと考えています。そういうことになれば、当然権利として認めると、被疑者検察審査会で意見を述べても、それによって起訴相当の判断が変わるようであればそれはもっと問題なわけですから、そのような意見を申し上げて、次の質問を伺いたいと思います。  同様なんですけれども、憲法三十一条に定めるデュープロセス、これは手続的な適正だけではなくて実質的な適正も定めていると考えられておりまして、この原理というのは法令の形式的な適正というだけではなくて、当然その実質的な捜査あるいは起訴における適正というのも求められていると考えられるわけですね。  従来、検察においては、日本では大体九九%の有罪率があったということで、それは検察官有罪と確信できるものについて厳選して起訴しているからと言われる、これは起訴厳選主義と言われていますけれども、これを取らない、検察審査会の場合はこれを外れているわけですけれども、そこにおける実質的な起訴の適正というのはどこで図られると江田大臣はお考えでしょうか。
  78. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 刑事手続全体でデュープロセスを図っていくという考え方で、この様々なプロセスの段階段階でいろいろな被疑者の権利というものがあるわけですが、検察審査会においては、この検察審査会が独立して権限を行使をする、検察審査会のメンバーの選び方はこういう形で選ぶ、その予算は裁判所でちゃんと付ける、あるいは一度の起訴相当ではなくて二度起訴相当がなければいけない、これは十一人中八人以上の賛成でなければ議決ができない、そして不起訴不当じゃ駄目で起訴相当でなければいけない、あるいは検察官の意見、あるいは弁護士を補助人として弁護士の補助を得ると、あるいはその補助が適切でなかったら解任もできるというようなことで様々な手続的な適正化を図っていると理解をしております。
  79. 古川俊治

    古川俊治君 先ほどの大臣お答えでも、検察審査会の権力行為に対するチェックというものは裁判所で図ると、裁判所で最終的にはチェックされるからだという御意見でしたし、起訴厳選主義を取らない、検察審査会の場合ですね。それは最終的には裁判所判断されるからいいんだということになるんでしょうけれども江田大臣裁判官として九年間の御経験がございますので、私は裁判官になったことはないんですが、実際、刑事事件大臣が御経験がそれほどあるかどうか私存じませんけれども、実際に捜査の、起訴厳選主義にならない場合に裁判所がそれだけの役割を果たせるんでしょうか、現在の裁判所が。その点について伺いたいと思います。  例えば九〇%の有罪率になった、米国のような制度になった場合、裁判所がその真偽を判断していく上で十分だとお考えですか。
  80. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 私は、大変申し訳ないんですが、刑事裁判の実務というのは単独を一年ほどやったことがあるだけで、刑事裁判はそれほど詳しくありません。  したがって、もっと刑事裁判に詳しい人から十分聞かなければ分かりませんが、これは裁判所検察官弁護人とがお互いにもう本当に必死の思いでいろんな主張をし、立証をしやっていくわけです。それを裁判所はずっと心を澄まして、そして両者の主張をしっかりと見定めて、証拠を吟味をして結論を出すわけですから、私は裁判所が強権的に何かのシステムを使ってというようなことがなくても十分裁判所としての役目は、起訴が相当であるかどうかを吟味をする役目を果たすことができると思います。  いろいろな専門的な知識などについては、これは鑑定という制度もありますし、そうしたものをフルに活用していく、そういう裁判所であってほしいと思いますし、またそう今やっていると思います。
  81. 古川俊治

    古川俊治君 私が申し上げているのは、今までは九九%、有罪は多くは自白があったということで本人も認めている、公判において認めている事件が多かったわけですよね。ですから、裁判所の負荷という意味ではそれほど高くはなかったと私は考えている。ですから、一部の無罪の主張をされていて争っている事件について十分な審議をしていって、それがマスコミ等で報道されていたと思いますけれども、それから先、これから検察審査会がどのように動いていくか分かりませんが、そういう中でまさに真偽のほどというのを裁判所が問われるという場面になってきた場合に、裁判所が今までよりも大きな負荷が掛かるのではないか。  私は、現在の裁判所の体制でそうした真偽を完全に判明していくという、あるいは一部が検察の機能を担っていくわけですよね、今までの。そういうことが本当に可能なのかどうかということを江田大臣の御経験から伺っているんです。
  82. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 検察審査会強制起訴ということが起きた場合の裁判所裁判能力ということをお聞きなんだと思いますが、これは私は通常、ほかの裁判でもそこは変わらない。有罪の可能性と、有罪の可能性というのは、それはいろいろ見方があると思います。  しかし、いずれにしても、普通に検察官が起訴する場合であっても有罪判決が確定するまでは無罪の推定があるわけですから、そこは同じことで、裁判所はその有罪の心証を得ることができなかったらこれは無罪判決するのであって、そこは検察審査会による議決を踏まえた強制起訴だから裁判所が自ら職権的に証拠調べをするというようなことは全くそれは構造上ありませんので、違いはないと思います。
  83. 古川俊治

    古川俊治君 表面的には恐らく違いがないんだと思いますけれども、これ意見にわたりますんでこれでやめますけれども、恐らく今までが、検察が注目されてきた、これは社会的に注目されてきたという意味ですけれども、これから非常に裁判所に対するこういったことで社会的な注目度が大きくなると。そういう意味で、今までの裁判所在り方というのも、米国のとかなり違いますから、ああいうふうになっていった場合にどうかということが一つ懸念されるなと私は考えていると、そういう意見表明にとどめさせていただきます。  続きまして、審査補助員の制度がございますけれども、これについて伺わせていただきます。審査補助員というのは審査案件に対する事実上、法律上の問題点を整理、説明し、審査員の自主的な判断をサポートするものであると。そのような役割のために中立的立場に立つことが要求されております。  検察審査会法三十九条の二の第五項にも、審査補助員は、その職務を行うに当たって、検察審査会公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため置かれたものであることを踏まえ、その自主的な判断を妨げるような言動をしてはならないと、こう定められているんですが、実際、法律上の問題点や事実上の問題点を整理、説明する、特にその案件に関することというのを説明すると、どうしてもこの自主的な判断に影響を及ぼすようなことが起こり得るわけですね。そういう点をどうやって実質的な担保をしているのか、この三十九条の二の五項ですね、この制度についてちょっと伺いたいと思います。
  84. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、検察審査会というものが公訴権の実行に関して民意を反映させるという、そこで一般の選挙人名簿から検察審査会委員を選ぶわけで、その皆さんが専門的な知識を持っている人たちではない、そこに意味があるわけですから、そこに意味があるわけですから、その皆さんの専門的な法律的知識について弁護士の中から選ばれる人がこの審査補助員の役割を果たすということで、これは弁護士も、もちろん当然弁護士の資格がある者がそこでやるわけですから、検察審査会委員判断を妨げるような言動はしてはいけないというある種の倫理、これは守っていくものだと信頼をする以外にないと思います。  もし、委員は十一人もいるわけですから、その補助員が審査会の委員判断に、自主的な判断に影響を与えるような誘導的なこととか間違ったこととか、そういうことをやった場合には、これは引き続き職務を行わせることが適当ではないということで検察審査会が審査補助員を解嘱することができるようになっておりまして、こうした制度でこの適正は担保されているんだと思います。
  85. 古川俊治

    古川俊治君 実際に解嘱させるというのは非常に難しいことだと言えるわけですけれども、特にその具体的事案について法的な説明、問題点の説明と、この自分判断を入れないでというのは極めて難しい技術なんですね。まあそれぐらい大臣もお分かりだと思います。だから、弁護士の倫理に基づいてといっても、それは倫理だけでは担保できない、実際非常に難しいことを要求されているわけですから。それが一つ懸念されるということでありまして、実は、現在までの強制起訴四件のうち二件で審査補助員であった弁護士が指定弁護士、起訴における指定弁護士に選任されているという事実をお聞きしました。二分の一、かなり高い確率なんですが、そうしますと、まさに審査補助員が起訴方向へ誘導したんではないかという疑念がやっぱり生じてくるんですよね。  それで、是非、これも意見にわたりますけれども、例えば審査補助員を二人、複数にしたり、あるいは指定弁護士とは切り離すということを制度としてお考えいただきたい、そうすると明確に担保できますから。その辺をお考えいただきたいと思っております。  私、この司法制度改革のときの議論に加わっていないものですから、そういう意見を言わせていただいているんですけれども、最後に、これ一番の問題点だと私も思っていますのは、まさに検察審査会法の目的というのは、公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図ることと、そう一条に書かれているんですね。そうすれば、検察官の不起訴処分の当否だけではなくて、起訴処分の当否を審査する権限というのを検察審査会に与えるべきではないのかという問題が一つ生じてくるわけです。  これは、司法制度改革のときには話し合われなかったようですけれども、足利事件、あるいは先ほど言及のあった布川事件ですか、ああいうのを見ていますと、最近は冤罪に極めて高い注目があると思うんですよね。この不当起訴に対する審査会の在り方ということについては、江田大臣、どのようにお考えでしょうか。
  86. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、もうまさに起訴というものが行われた場合には、その起訴の当不当、これは裁判所でちゃんと審理をされるわけでございまして、公訴提起がいろんなことで違法の場合には公訴棄却になりますし、あるいは証明ができなければ無罪ということになりますし、そういう形で裁判所で審査をされるもので、そこに検察審査会の審査という余地はないということで、起訴処分も検察審査会の審査の対象とすべきものだとは考えておりません。
  87. 古川俊治

    古川俊治君 起訴されるということについて裁判所がチェックすればいいという御意見は非常に形式的でございまして、起訴によって多くの社会的な、事実としては物すごい不利益を受けるわけですよね。それはお分かりだと思いますけど、その点についてどうお考えですか。裁判有罪と言えるほどの合理的な疑いを入れるという程度で嫌疑が証明できなかったとしても、それで起訴されたということとは全く別の次元なんですね、話が。それは大臣、どうお考えですか。
  88. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 起訴されたということでもう社会的に抹殺されるようなそういう風潮があるということは、これは問題だと思っております。起訴されても、それでもなお無罪の推定というのは有罪判決が確定するまではあるわけですから、そこはやはり社会のゆとりといいますか、そういうものがなきゃいけないものだと思っております。  しかし、起訴があったら検察審査会でとなりましたら、これは検察審査会が何を審査するのかよく分からない。裁判所でちゃんと裁判するわけですから、裁判所裁判検察審査会の手続も更に加えるということはちょっと二重の手続になってしまうんではないかと思います。
  89. 古川俊治

    古川俊治君 いや、不当な起訴というのも恐らく、それは起訴すべき事案でないのに起訴するというのは当然あるわけですよ。それに対する市民の目というのを入れた方が、それは国家権力の発動に対する市民目線ですから、まさにこれは司法制度改革の趣旨により合うという、こういう意見は極めて多いですよ。  まず、現在の審査会制度ではいろいろな制度考えられているんですが、この中でも、検察審査会の役割の中で検察業務の改善に関する建議、勧告というのがあるわけですね。しかしながら、この建議、勧告というのは残念ながら具体的な事件を離れていて、全てについて一般的な形で改善はできないということになっております。  特に、この司法制度改革審議会の提言の中は、検察審査会の制度の機能を更に拡充すべく、被疑者に対する適正手続の保障にも留意しつつ、検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度を導入すべきであるというふうに言っているだけの話であって、別に不起訴だけに強制力を持たせるんではなくて、起訴に対する判断ということにも別に触れても、これに反することにならないんですね。  じゃ、続けてなんですが、不当起訴と思われる事件一つが、私、医者でございますから申し上げておきたいんですが、これは福島県で産婦人科の医師が逮捕されてしまうという事件があって、この起訴はおかしいという話を全国的にやった、これは不当であるという話を医師会の方あるいは医療の実務団体から出させていただいたんですね。まさにそういう事例があるわけですよ。  こういうことで申し上げまして、前回の刑事訴訟法の一部を改正する法律案の場合に刑事時効の延長という話がございまして、業務上過失致死の刑事時効を五年から十年にするということになったんですね。私、この医療過誤については、時効ぎりぎりになって起訴が行われるものが多くて、そうすると、医療事故の捜査というものが非常に長きにわたって、物すごく現場に対して悪い影響を与えるということで質問をさせていただいたところ、参議院法務委員会において附帯決議を付けていただきまして、第三項めに、医療事故に起因する業務上過失致死傷事件の処理に当たっては医療の萎縮効果を生じない運用に努めることということについて言及されておりまして、それについては格段の配慮をするということになっています。この趣旨を尊重するという御発言を大臣からいただいておりますけれども、この点について具体的な取組をお聞きしたいと思っております。
  90. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 委員の今言われた医療行為の業務上過失致死なり傷害なりで起訴するという場合の扱いについて慎重な過失の認定を行うべしということについては、これは平成二十二年の刑事訴訟法の改正を受けまして、法務当局において検察当局に対して通知により附帯決議の内容の周知徹底を図りました。
  91. 古川俊治

    古川俊治君 私が申し上げているのは、そのある福島県の事件では不当起訴だったと私は考えていると、起訴すべきではない事件だったと考えているということがまず第一点で、この度の刑事訴訟法の改正は、刑事時効、特に業務上過失致死の時効を五年から十年に延ばすことが医療事故の捜査の期間が長くなってしまう可能性があるから、それに対して医療萎縮を生じないように運用するという話でしたね、その法律について。それについてどういう今具体的な取組をしているのかと、通知をしただけで、ではどういう取組をしてくれるのかということを伺っているわけです。
  92. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 医療現場における通常の医療過程とはちょっと違うかなと思われるような死亡事故などについてどういうふうにこれを扱うかというのは、これはそれとして医師会の皆さんなど様々な皆さんの知恵をいただきながら検討をしています。これはもう委員承知のことだと思います。それはそれとして検討をしていただくべきことだと思いますが。  刑事訴訟法改正で時効の延長があって、その後どうなっているかということについては、法改正以後のケースで、検察当局において医師を業務上過失致死傷罪で起訴した事案というのは合計三件、事件発生から起訴までに要した期間は約十一か月から約二年五か月、これはなかなか数が少ないのでちょっと比較というのは難しいですが、それ以前と比べますと減っているのかなというような印象は受けます。
  93. 古川俊治

    古川俊治君 起訴するなら早くやって、なるべく早く事件を終えていただきたいということとともに、不起訴の決定をするんであれば早めに医療機関に知らせていただきたいと。それによって、もちろん民事賠償は別の話ですけれども、医療現場が刑事捜査から解放されるようにしていただきたいと、そう思っておりますので、その趣旨を徹底していただきたいと考えております。  続きまして、検察の問題についてお聞きしたいと思います。  検察官というのはそれぞれが検察権を行使する独任官庁であるということでありますけれども刑事裁判における訴追官としては審級を通じた意思統一が必要であることから、検察官検事総長を頂点とした指揮命令系統に服することになっています。これは検察官同一体の原則というやつですね。この独任官庁であるということと検察官同一体の原則というのは、これ素直に言えば完全に矛盾した原則なんですが、これをどうやって両立させると、それをどのような仕組みを取っているのかということについて伺いたいと思いますが、お願いします。
  94. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは確かに、一見、それぞれ検察官が独立して独任官庁で事務を行うということと検察官同一体の原則というのはどう調和するのかというのは難しい課題だと思いますが、しかし、確かに上司の指揮監督等に服するという、そういうこともあるし、しかし一方で、独任官庁として権限を発揮をするんだという、そこの矛盾するかに見える両方の原則があるというのが日本の検察権行使のまさに妙味でございまして、これを現場の検察皆さん方は適切に動かしている、しかし時々適切でないこともあって事件が起きて、私はこれは、この検察の今検討会議提言にもあるんですけれども、そこのところを両立させる様々な知恵をもっと発揮をしなさいよと。  例えば、よく知りませんが、飛行機を操縦するときに、パイロットがいて、そこへもっと先輩のパイロットがいて、いろいろこれを見ながらお互いに技量を向上させていくとか、人事評価についても、上司評価だけでなくて同僚やあるいは期の若い人たち評価も含めるとか、そこはいろいろな知恵があるんだと思っております。
  95. 古川俊治

    古川俊治君 これについて大体六二・六%、検察官の、検察在り方検討会のアンケート調査の結果ですが、検察官の六二・六%がこの相反する独任官庁制と検察官同一体の原則というのが、双方が矛盾した原則がうまく成り立っていると答えているんですね。  ということは、普通に考えれば、自分の独立した意思、法曹としての良心と検察上司に服するということはこれは相反するんですが、それがうまく成り立っていると思うのは、なぜかしら検察組織における非常に特殊なところでありまして、本人がだんだん感化されてくるんじゃないかと疑わざるを得ないわけですね、これ。ですから、みんな同じように考えるという、そういう文化があって、いつの間にか染まってしまうと。これは実を言うと、この両方の原理というのは、まさにこの厚労省の問題、捏造事件の根本にあると思うんですね、ここをもう一回問われるかどうかですね、ですからお伺いしているんですけれども。  最高検察庁のこの問題点等という資料がありますけれども、公表版というやつですか、そこの二十三ページから二十四ページの問題ですけれども、そこに特捜部の一般的な状況とかいうところに書いてあることで伺いたいんですが、大坪さんという、今被告になっていますけれども、大坪被告が、ほとんど個人的な、非常に部下に対してプレッシャーを与えるような人間であったということがかなり強調してあるんですね。そこにおいて、すなわち東京地検ではそんなことなかったし、大阪地検でも大坪さんが来る前はそんなことはなかったということが書いてあるんですね。  それは大臣、これは大坪部長の個人的な問題と本当にお考えですか。
  96. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、最高検検証結果では、大坪部長より以前は、部長及び副部長が基本的に全ての証拠を直接把握して、必要に応じて捜査会議を用いて、みんなで情報を共有して検討、協議を行ってやっていたと。しかし、大坪部長のときになってそれが変わってきたというようなことを書いています。  私、そこへ、現場にいたわけじゃもちろんありませんし、これはもう検察庁最高検の方でそういう結果をお出しになっているので、そういうことだと思っております。
  97. 古川俊治

    古川俊治君 検察庁の方、お答えいただけますか。検察庁の方、いらっしゃいませんか。その点について、これどういう、はい、お願いします。
  98. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 事実関係については今大臣お答えになったとおりでございます。  ただ……
  99. 古川俊治

    古川俊治君 大臣は分からないとおっしゃったんです、現場にいたわけじゃないから。
  100. 西川克行

    政府参考人西川克行君) ただ、検察当局においてこの検証を作成するに当たりまして、東京、大阪、名古屋の各地検特捜部の幹部経験者を含む検察官三十名ぐらいから聞き取りを行って、それで今述べたようなまとめをしたということと承知をしております。  ただ、検察当局が、これは大阪地検特捜部にしか起こり得ないという認識をしているということではこれはございませんで、例えば決裁官であるとか部下検察官の意識、それから職場環境等の事情によっては他の検察庁においても起こり得るという認識をした上で、何とかそれについて改善策を持ちたいと、こういう認識にいるということであるというふうに承知しております。
  101. 古川俊治

    古川俊治君 それはそれで認識しているのかもしれませんけれども、書き方としては、まさに大阪地検特捜部の大坪部長の問題点ということが非常に強調してあるんですね。この自由欄ですか、アンケート調査の自由欄の中には、大阪地検事件は個人の資質が原因で起きたものではない、組織に問題があったために生じたものであり、決裁制度や人事配置に原因があったものと考えられると、そう言っている検事がいるわけですね。  アンケート調査の中でも、日々の仕事の中で検察官としての自己判断より組織や上司への忠誠が優勢になったことがあるという設問については、大変よく当てはまる、まあまあよく当てはまる、肯定的意見が二一・三%、そして、これは否定的な回答をしなかったというのを入れると四二・一%がそうなんですね。すなわち、これはどちらとも言えない、否定的な回答していないとなると、どちらとも言えないということで、時と場合によってはやっぱりそうしますよという意見だと思うんですけれども、半数近く、四割以上の人がそうすると自己の判断よりも組織や上司への忠誠が優勢になったことがあり得るということなんですね。  それから、昇進や人事考課の判断上司との人間関係や上司の好き嫌いなどの恣意的な要素による影響を受けていないという質問に対しては、肯定的な答えをしたのは三九%にとどまっていると。そうすると、六割が昇進や人事考課の判断に恣意的要素がかかわることを否定できない。だから、そうすると、やっぱり上司との人間関係とかそういうのに気を遣わなきゃいけないということになっているわけですね。  これは本当に大阪地検だけの問題と言えるんでしょうか。大臣、どうお考えですか。
  102. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 最高検の方でも大阪地検だけの問題ではないんだと。やはりこれは検察の体質全体を検討しなきゃいけない、見直さなきゃいけないんだということはちゃんと受け止めていると思っております。  それと、これは私ももう随分昔の経験ですが裁判官の経験を持っていて、検事の場合でもさっきそこは妙味だと言ったら笑いが起きてしまいましたけれども、やはり裁判官の場合も一人一人の裁判官が独立して職権行使するんです。しかし、裁判所という組織もあるんです。裁判所の場合は三審制ですから、それは自分が間違っても上級審で正してもらえるけれども、上級審では正してもらえるから間違ってもいいんだなどとは思わないんですよ。それは検察官だって同じことで、それは笑っちゃいけないんです、これは。やっぱり、そこは一人一人の検察官は独立して権限を行使していくんです。そういう気概を持ちながら、しかし実際には、実際には、自分自分の責任で権限を行使するというのは物すごく難しいことなんです。ですから、やっぱりそれは上司もいたり同僚もいたり、同一体の原則というものに、時にはそれも生かしながら、みんなで技量を高めていくという、それが検察官のスピリットだと私は思っております。
  103. 古川俊治

    古川俊治君 大臣裁判官が上で上級審が正してくれるからいいんだと言ってはいけない、裁判官は独立しなきゃいけないという御発言でしたけれども、今そうおっしゃいましたけど、私はそうじゃないと思うんですね。裁判官が良心で出すんであれば、その判決で一番忠実な自己判断出すのがまさに裁判の常識でありまして、上の審級に行ったら覆されるから嫌だというのは、まさに自分の昇進を考えているからそうなるわけですよ。だから、(発言する者あり)いや、そうじゃないですか、だって。私にはそういうふうにしか思えないんですね。  ですから、そうであればやっぱり、検察官であれば、上のことに従わなくても自己の適正な判断を貫くのが、貫けるようにしていくのが、まさに独任制の中にあって、そういう文化の中で一体の原則をどうやってやっていくか、これはもう相当の改善が必要だと。組織の問題ではないということであれば、当然、組織の全体としてこの独任制官庁という問題と、それから検察官同一体の原則のかかわり方をもう一度再検討していただきたいと。  そういう意味で、私、検討会の中で、上司からの単線的な評価だけではなくて同僚や部下による評価も含めた情報を幅広く収集する仕組みを設けて適切な人事評価を行えと。ですけれども、こういうふうに提言しておりますけれども、同僚や部下の評価を含めているだけではやっぱり不十分だと思います。何らかの客観的な、先ほど無罪のことに前川議員が触れられていましたけど、無罪については悪く扱わないとか、明確なやっぱりある程度客観的な人事評価がなければ、情報を集めて結局のところ上司判断するということだと、ずっと組織の体質は変わらないと思うんですね。ですから、これは人事評価の点ももう一度考えていただきたい。  それから、もう一点だけ追加しますけれども特捜部在り方について、特別公判部というのが一つあって、これは特捜部、特別に公判部を組んでやるというやり方なんですが、この厚労省の事件前田検事が公判にもかかわっていたということになりまして、ですから公判でもチェックできなかったわけですね、言ってみれば。認識していた検事もいたのに、結局それで正さなかったということになっておりまして、そういうことになると、実際、その公判部に行けば……
  104. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 質問をおまとめください。
  105. 古川俊治

    古川俊治君 はい。チェックする機会があるのにそれをやっていなかったということになりますから、私はちょっとこれ資料をお願いしたいんですが、特捜でやった事件の、特別公判部でやったのは結局仲間内で公判もやっているんじゃないかという疑義がありますので、その数について報告していただきたい。これ、ちょっと磁気資料を調べるのに時間が掛かるとおっしゃっていましたので、是非委員会で資料を要求していただきたいと思います。
  106. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 後日理事会で協議いたします。
  107. 古川俊治

    古川俊治君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 検察在り方検討会議提言、私も読まさせていただきました。言わばこの提言というのは、組織の在り方から捜査手法まで全般的な見直しというものを法務検察当局に迫る内容という意味では、昨年十二月、最高検が公表した再発防止策を間違いなく超える改革案であるという点については評価を私もいたします。    〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕  最もその最高検指摘と違っている点は何かというと、最高検の再発防止策の中には外からの力というものについて全く触れていませんでした。今回の検討会議では、先ほどから議論になっていますが、独立性に配慮しつつも、繰り返し外部の目、外部の風を入れる必要性を訴えていると、この点は私は極めて高く評価すべきであり、是非とも今後、この外部有識者から意見、助言を得る仕組みの構築とか、検察運営全般について外部有識者が助言できる仕組みというのを是非ともこの提言どおり設けていただきたいと強く思うものでございます。  ただ、その一方で、やはりこれも先ほどから議論をされておりましたが、今回の提言自体、例えば取調べ全面可視化の問題であるとか特捜部在り方という問題については、ややこれは具体性を欠いているとこれは言わざるを得ないと思います。この点については、先送り、改革について送られてしまっているんじゃないかという批判があることも事実であって、この点については私も踏み込み不足という気がしてなりません。  大臣自体はこの提言そのものをまず全般的にどのように評価をされているのかということについてお伺いをしたいし、またその中で、私が先ほど冒頭述べましたように、今回の提言一つの非常に大事な点である外部からのというこの点についてどのようにお考えか、併せてまず冒頭答弁を求めたいと思います。
  109. 江田五月

    国務大臣江田五月君) この検察在り方検討会議は、前々大臣、柳田大臣が、その当時の国民の検察に対する大変な信頼の失墜、これを何としても改めていかなきゃならぬ、検察信頼を回復していかなきゃならぬということで立ち上げたものでございまして、この検討会議の中にも外部の皆さん方にいろいろ入っていただいて、多角的、多面的に、集中的に議論していただいてまとめていただいたもので、これは検察の改革のために大変有益なものだと私は受け止めております。  そして、確かにいろんな皆さんの意見がございます。それは、録音、録画一つ取ってみても、これをやらなきゃいけないという人と、やるといろいろ捜査に支障が出るという人と両方あるわけで、世の中そういうことですよね。いろんな場面でそういうことがいっぱいあるんで、そこを、それでもいろんな皆さんの知恵をずっと集めながら書いてまとめてきているもので、このそれぞれの見方から、ここのところはちょっと足りないというようなところがあるかと思います。私も、ここはもう一歩踏み込みたいところだというところももちろんないわけじゃないんで、今の例えば可視化についても、これはこの提言の中の一番きついところを私はあえて引っ張り出して検事総長に指示をしたような場面もございますので、そんな意味でこの提言というものを大変有益なものだと受け止めております。  その上で、外部の目、外部の風ですが、ここは大変大切なところで、検察が決して独善に陥っちゃいかぬ、特に特捜部が独善に陥ることなく、現状を是とすることなくと、こういうことを言っているわけで、外部の皆さんの目というものを本当に入れていかなきゃいけないと。  そこで、この提言にある、検察運営に関して外部の有識者から意見、助言を得られる仕組みを構築すべきであるという、そういう改革案が示されましたので、この提言を踏まえて先日、四月八日に検察の再生に向けての取組と、こういうものを公表し、検事総長にもお渡しをして、現場を預かる最高検において、特捜部の組織の在り方について直ちにその見直しのための検討に取りかかって、三か月をめどに検討結果を得るように指示をいたしました。そしてまた、検察運営全般に関して外部の有識者から意見、助言を得られる仕組みの構築等についても、最高検において三か月以内をめどに実現していただくということにいたしました。  やはり検察の改革は検察自身がやる気になっていかなきゃいけないので、私は検察にこういう方向でひとつ自ら苦しみながらこの案をまとめてくれと、こういうことを言っているわけで、若手の検察官どもみんな参加をしながら議論をしていただくということを期待をしております。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 提言に沿って少しお話をお伺いしていきたいと思うんですが、提言の一番最初の部分は、これも先ほどから議論あっていました、検察官のスピリットという話を大臣されました。まさに今回の問題は何かというと、提言でも指摘したとおり、検察は何のためにあるのかという、提言によりますと、存在理由すら見失ってしまっているのではないかというようなことを提言は申し述べているものであって、言わば一番根本姿勢の問題からまずどうしていくのかということをこの提言は問いかけている。私もそうだと思うんです。やはりそこの基本の部分ができなければ、制度、仕組みをいじったとしてもなかなか難しい面がある。そこからまず踏み込んでいる。  この提言の中では、検察官に対してどうすればいいかということについて述べている部分について読み取らせていただきますと、検察官には今、国家公務員としての服務規程のほかには職務上の行為の基準を明文化した独自の基本規程が存在しなかったことから、検察の基本的な精神、理念を表明し、個々の検察官の行動の指針となるような基本規程を明文化した上で公表すべきだと、こういう述べ方をしております。  ここも考え方がいろいろあると思うんです。警察官ではどうなっているかというと、これは警察法の第一条で目的規定、そして第二条で警察の責務規定がある。さらに、それを遂行するための手段というのは警察官の職務執行法として法定されていると。こういう在り方を取っている方法もあるんだと思います。  私は、この検察の基本的な使命、役割について、例えば今、検察庁法というものがある。こういったものに法的に定めるという必要性もこれはあるんじゃないかという議論は大いにあると思います。この点について大臣はどのようにお考えかをまず聞いておきたいと思います。
  111. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 検察というもののスピリット、これを法的に定めるということがこの提言の中では出てきてはおりません。そうではなくて、これは、提言の中では検察全体が外部の風も入れながらよく考えて、よく議論をして、そしてこの基本規程を自分たちで明文化しなさいと、そしてこれを公表しなさいということを書いてあるわけでございまして、私はこういう趣旨で検察がこれからやってほしいと。そこで、この先日の検察の再生に向けての取組で最高検に、外部の有識者などの意見を聞きつつ、これはちょっと時間を掛けたらどうですかと、六か月という時間を区切って検察全体で、若い検察官ども議論の中に入って、そして自分たちがこれからこうするんだというものをちゃんと作ってみろというので指示をしたところでございます。  その中で、必ず私は、検察というものは悪をただすという、そういう気持ちを持つと。しかし同時に、自分が思う方向に世の中を動かすなどというのでなくて、自分が思う方向に事件をつくるということでなくて、やはりそこは、真実は何なのかということの前に謙虚で、そして公訴官として公的な立場から社会正義というものをちゃんと担っていく、そういう高い理想を持って努力をするという、そうした方向が出てくるものと信じております。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣は、提言にあるとおり、基本のその規程というようなもので国民の多くの意見を聞いていると。でも、提言に至るまでの途中で法文化の話もあったわけですよね。この辺については、大臣自身はこれを法制化するということに対してはどんな考え方ですか。
  113. 江田五月

    国務大臣江田五月君) この規範、私どもも参議院手帳に倫理綱領とか行為規範とかちゃんと印刷をして毎日持って、まあ毎日見てはなかなかいないだろうけど、あるわけですよね。    〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕  私は、確かにこの検討会議の中でいろんな議論が行われたと、そのこと自体は完全にフォローはしておりませんが承知をしておりますが、しかし、本当に生きた規範というのは法律化、法律になっているから生きた規範になるというものではなくて、やっぱり自分たち自身が自ら手に入れることが大切なんだろうと思っておりまして、この提言にある自ら基本規程を作りなさいということが大切なことだと思っております。
  114. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、基本規程になった場合の一つの難しさというのは、それが単なる訓辞のようなものにとどまってしまうという危険性はないかという指摘もこれ提言の中にございました。つまり、どういうことかというと、法制化は、ほかのちょっと国家公務員と違うと思うんですね、検察官独立の原則とかあるので。したがって、法制化というのはなかなか難しいということは何とか分かるんですが、かといって、じゃ何も規程に対して、ある意味では一つの、これはアメリカ辺り制裁措置というような問題もあるわけですよね。  そういった意味では、その点について、例えば基本規程を作るのであれば、それに反するようなもし何か問題が起きるのであれば、それに対して厳しい、それに対する罰則とまでは言いませんが、何かの措置もあるというような、そういう考え方を取るのも一つの考え方だと思います。これから議論する話だとは思いますが、そういった単なる基本規程だけでない、厳しいものにしていくと。逆に言うと、そういうのがあったらモチベーションが下がるんじゃないかという議論もあると思いますよ。でも、やはりそこは今回の問題を重大にとらえるのであれば、基本規程といってもそういった厳しいものも含んだものにすべきではないかと、こんな点についてはどうお考えでしょうか。
  115. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは検察が自ら議論して自ら今の状況について苦しみ抜いて作っていく基本規程の、そのプロセスというのは結構大事だと思っております。と同時に、これだけではなくてチェックの在り方、縦横、あるいは監察といった制度、こうしたことも一方でこの提言の中にありまして、そういうところでこの基本規程にもとる行為があった場合の措置というものはいろいろ考えていかれることだと思います。  大事なのは、今この議論を、ここまで来て、指示も出して、それをとにかく一歩二歩と踏み出していくことが今非常に大事な時期なので、これが五歩か六歩までしかないじゃないか、十歩まで書いてないじゃないかといって駄目だというんじゃなくて、とにかくは動き出してもらうことが今大切だと思っております。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つは、特捜部在り方ということで、先ほども様々な議論がございました。  これ、特捜部を存続するのかしないのか、組織を統合するのかしないのか、いろんな観点があったと思います。確かにさっきおっしゃっていたみたいにエリート意識の問題とかプレッシャーの問題、様々な問題あると思うんですけれども、もう提言読んでいると、これ一体どういう方向性で何をしていくのかということが見えてこない。現状を是とすることなく、特捜部捜査能力の向上とチェック機能の強化等を図るため、名称、組織体制・編成、人員配置等を含め、その組織の在り方を見直すための検討を行うべきと。これは何をやろうとしているのかと。全く正直に言って、提言を読んだだけでは方向性も何も見えてこないという気が私はしてならなかったんです。  やはり今度の問題というのは、そんな簡単な、こんなことだけで、余計難しかったからこそ短期間で結論が出ずにこんな形になったのかもしれませんが、私は、全廃とまでは申しませんが、少なくとも今特捜部がこうやって幾つもあることが必要なのかということについて私は疑問です。特捜ということであれば、それを専門的にやる者が要るというんであれば、それこそ全国に一つその特捜部というのがあって、そこが全国に回るというような方法だってあっていいはずなんですよ。そういった在り方一つのせめて道筋というか、そんなものが見えるような私は方向性というのが今の段階では必要じゃないかなと。例えば、大臣が指示なさるにしても、今からもう一回、名称、組織体制・編成、そんなものをよく、検察の問題は検察考えなさいというんじゃなくて、やはり一定程度のベクトルを掛けたような一つの指示の在り方がこの特捜部の問題ではあっていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、在り方検討会議議論をいただいたんですね。検討会議での議論については、存廃の点、つまり存続なのか廃止なのかも含めて議論をしてくださいということで、それで議論の中では特捜というのはもう要らないんじゃないかという議論もなくはなかったと聞いております。しかし、多くの皆さんの意見の中でここにまとまってこの提言になっているので、そういう多くの皆さんが、これ私はかなりインテンシブな議論をしていただいたと思います。議論をした結果この提言になっているという、そこは重要視していきたいと思っております。  その上で、この現状を是とすることなく、つまり現状というのは是じゃないんですよということを言っているわけですから、あえて私の方で検事総長に三か月をめどに検討して結果を出せということを言ったわけでございまして、東京と大阪と名古屋と三か所なのかどうか、こんなことももちろん最高検で検討していただきますし、また特捜の機能をバックアップするための、それだけじゃないけどいろんな専門委員会などをどうつくるかというようなこともありますし、私は、更にもう一つは、特捜部の身柄事件についての全過程の可視化もちゃんと含んだ試行をしなさいと、これは検討じゃなくて試行をしなさいと踏み込んでいるわけですし、一定の方向というのは検察最高検において受け止めていただけるものだと思っております。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、そうすると、組織の在り方そのものの問題、今御指摘大臣からもいただきました。いろんな議論があった中でのこういう話になったんだろうと思います。  もう一つは、是非、それとともに大事なことは、今特捜がどうなっているかというと、結局、いわゆる特捜部内で捜査から公訴まで担うという一人二役の問題というのは、これは極めて大きな問題だろうと思うんです。この提言の中では、横からのチェック体制を構築すべきというような提言がなされておりましたが、言わば、やはりこれが最初から最後まで一人の特捜の方がやらなくちゃいけなかったというところにも大きな問題があるんだろうと思います。  ある新聞の社説の中ではどう言っていたかというと、提言は曖昧だけれども、せめて特捜部捜査した事件は他の部署が起訴すると、これくらいはせめて提言の中で明言すべきじゃなかったかというような指摘すらございました。  言わば、そういった組織全体の見直しとともに、特捜の捜査、そして公訴までの在り方、この点について大臣自体どんな基本的なお考えを持ちながら、そしてこれをまた、ある意味では、いろんな意見を聞くとおっしゃいましたが、これも一つの方向性は大臣として指示を是非すべきだと思いますが、少なくともこの一人二役みたいな体制だけは是非とも改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 捜査自分でして自分で起訴までするというのが、一人二役でなかなかそこへチェックというものが利かないシステムになっているという、そういう反省は確かにあるんですね。  しかし、特捜は捜査だけして公訴提起は別の部がやるということになると、これはまたそれでなかなか、じゃ、公訴提起をするその部は捜査をした特捜をどうやって是正していくのか、もう一度自分でここはやっぱり捜査をしてみなきゃいかぬと。つまり、警察捜査をして検察がそれをしっかりチェックをして公訴提起をするというのが、一般の事件全てそうなっているわけで、それを検察の中だけでつくるというのでいいのかどうかといったこともあって、いろんな議論があったと伺っております。  しかし、なかなか合意に至らなくて、今回の提言の範囲、つまり横からのチェックということになって、まあ公判部がありますから、公判部の方でもう一遍よくチェックをしてみて、これはやっぱりちょっといろんな難点がありますよということになれば、例えば引き返す勇気というのも必要ですよということも書いていますし、また、特捜について上級庁が担当の部局をつくろうというようなことも、これは最高検の方でスタートをしておりますし、そういう意味で、委員今おっしゃるような問題意識というのは持っているということを御理解ください。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、この提言を受けて、先ほどから大臣が何回も繰り返しておっしゃいました、つまり、これを受けた形で提言を更に踏み込んで全過程可視化へ試行しろと、試行しろ、始めろということをおっしゃったことは極めて大きな意味があることと思いますし、まさにこれをきっかけとして、言わば全過程可視化、そして、より幅を広げた全面可視化というのをどうとらえるかとおっしゃいました。  まずは、大臣が指示されたのは、特捜という問題についてのこういう全過程の可視化ということにまず踏み込めと。もう極めて大事です。この一歩が、私どもからすれば、全面可視化というか、事件をどう限るかという、いろんな問題があります。しかし、いわゆる多くのこの可視化の方向へかじを切ったんだということの第一歩であるというふうにとらえていいのかどうか。私たちは是非これについては大きく広げていただきたいと思っておるわけですが、その点についての大臣の考えをいただきたいと思います。
  121. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、私が検事総長にこの取組というペーパーをあえてお渡しするときに私ども議論をいたしました。そして、この全過程可視化、もちろん全過程可視化は全件全過程可視化やれとは書いてないんです。しかし、全過程可視化をやったときに起きる様々な問題点も検証可能なようにやりなさいというわけですから、これは、都合のいい二、三の事件だけ取り出してやったというのじゃこれは検証できませんので、一定のボリュームはどうしても必要になってくる。  そういう形で、全過程の可視化とか、あるいは一定の事件については全件可視化とか、そういうものをやってみてまた下がるんですよじゃなくて、これをやってみて、その結果を踏まえて次へ行くんですよということを前提にして進めなさいと、そして、その結果をこの法制審議会につくる部会でフィードバックをいただいて、そこでまたもみながら、刑事司法全体を改革していくという歩みを始めようということで書いていますので、全過程、全件、全面可視化への第一歩と言われるとちょっとそこはいろいろありますけれども、しかし下がることはないと、これは明確に言い切っておきたいと思います。
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、大臣は六月をめどにという話がこの可視化の問題ではいつもおっしゃっておりましたが、今回指示を出されたことと、つまりいろんな流れの中で、今年の六月というのはそういう意味では、この全過程可視化を受けて次へ進むか、後退することはないとおっしゃいました、どこまでどうするかという問題も含めて、やっぱり六月ということは一つの大きな、この全過程可視化ということへ進んでいく大きな一つのポイントとなるのは次は六月であるというふうに私どもは期待して待っておいてよろしいんでしょうか。
  123. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 六月というのは、これは私の前々任者から、前々々でしょうかね、始めた省内勉強会で、法務省の中で今国の内外をずっと調査をして回っているところで、それが仕上がってくるのが六月。これがもうちょっと早まらないかと思ったけれどもなかなかそうもいかないので、六月をめどにそうした調査の結果が上がってまいりますから、そこを一遍区切って、その後なるべく早く省内での検討の結果をまとめて次へ進もうということを言っているわけで、そこまでちょっと行ってみないと何とも分からないところがありますが、録音、録画について下がることはないんだと、これはひとつ是非御理解いただきたい。  その上で、今、法制審議会の場を借りて刑事司法全体を改革していく検討の場をつくろうということ、これもなるべく急ぎますが、ちょっと時期がなかなか区切れないんですが、そことのツートラックになっていくかも分かりませんし、それをどこかで一本化していく必要もあるかもしれませんし、これからいろいろと試行錯誤をしていかなきゃならぬと思っております。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に御質問をしておきたいのは、これから大臣が言われたその可視化の問題を本当に前へ前へ進もうとした場合、一番多分ぶつかるだろうなと思うのは警察との関係の問題だと思います。前の国家公安委員長もこの横の方に、自民党の方で座っていらっしゃいますが、警察、民主党政権になってからもなかなかこの警察の方は、この可視化という問題については極めてハードルが物すごく高いというイメージを私は持っております。その意味では、この問題を進めるときには警察、国家公安委員会含めて、こことの連携、協議というのが本当に大切になっていくんだろうと思います。  もし、今大臣から、警察の間でこのくらいのことはというお話があるならそれはそれで伺いたいんですが、まだなかなか、それは今からの課題だと私も思っておりますので、是非とも、この問題を取り組むときには是非警察まで巻き込んだ形での、本当の意味での一つ事件についての全過程可視化というような問題まで実現、形ができるように、その協議ということについては重ねて重ねてお願いを申し上げ、これについての御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  125. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 木庭委員はちゃんと問題の所在を理解をしておられまして、まさに敬服をするわけでございますが、警察捜査というものは、やはりこれは私があれこれ言うことはできないです、国家公安委員長がやっていることですから。そこへ私がいろいろくちばしを差し挟めませんが、協議はもちろん精いっぱいやってまいりますが。ただ、刑事訴訟法の捜査を所管しているのはこれは法務省ですので、したがって、その捜査在り方というのはこういうものじゃないかということをいろいろ議論をしていく。  それと同時に、私は、警察皆さん自分たちの職務というものに忠実であろうと思えば、やはり検察の言うとおりになかなか自分たちも同じことをやるというわけにはいかないという気持ちを持つのも、それも理解をするんです。ですから協議をするんです。  そして、ですから、刑事司法全体の在り方を変えていく、本当に可視化をここまでして、それでちゃんと刑事司法は成り立っていくんだという、そういう刑事司法にしていく、それの中でですよ。だから、警察の場合には、やはり一定の刑事司法の改革ができて、そこで警察というものが出てくるというような、そういうプロセスもあり得ると思っております。  いずれにしても、警察の方がいわゆる足を引っ張るから検察も何もできないとか、そういうような発想じゃなくて、いろんな人がいろんな努力を重ねながら、そして悩みながらこの国の刑事司法というものを良くしていくために努力をしたいと思っております。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  127. 桜内文城

    ○桜内文城君 先月二十四日、二十五日のこの法務委員会質疑に続きまして、引き続き基本的人権についてお尋ねいたします。  まず一つ目が、刑事司法あるいは刑事訴訟手続における基本的人権の保障と申しますか、今ほども議論のありました可視化について一言お尋ね申し上げます。  先週、四月八日に法務大臣から検事総長に対しまして、検察庁法十四条に基づきます一般的指揮権に基づく検察の再生に向けての取組というものを発出されております。今の木庭委員質疑の中にありましたように、特に可視化につきましては非常に積極的に踏み込んだ内容のことを御指示されておりまして、この点非常に高く評価したいと考えております。全事件そして全過程の試行を三か月以内をめどとして行っていくということでございます。  これに関連しまして、お手元に今日は配付資料を配らせていただいております。これは、その直前、四月七日に日本経済新聞の電子版に出ておりました記事でございますけれども、可視化に伴いまして、新たな捜査手法の導入等についてこのような記事が出ておりました。  中身からいいますと、結構具体的に書いておりまして、刑事司法改革会議(仮称)を立ち上げるですとか、その人数二十人前後で構成ですとか、あるいは具体的に検討の内容といたしまして、新たな捜査手法といたしまして、司法取引であるですとかあるいは偽証罪の適用強化等々についての相当に具体的な内容を含んでおる記事でございました。  例の三月三十一日に出ましたこの在り方検討会議提言の二十九ページ辺りにも、冤罪を生まない捜査、公判を行うという意味で、新たな時代の捜査、公判への移行という形のことも触れられております。真実の供述をするインセンティブを与える仕組みや虚偽供述に対する制裁等々、似たような話だと思うんですけれども。  私自身、前回の質疑の中でも指摘させていただいたところですけれども刑事司法の目的であります被疑者等の人権保障、そしてまたもう一つが真実発見、それと、更に言えば、新たな被害者を生まないという意味での犯罪防止ということも刑事司法手続の中で考慮しなくちゃいけない事項だと考えております。  特に、刑事事件といいますと、これを私人間という言い方をするのがどうかですけれども被害者からすれば、自らの生命、身体、財産あるいは名誉というものが侵害されて、これを公権力によって保障といいますか保護を求めていく。あるいは、逆に被疑者の人権という意味でいえば、まさに公権力であるところの司法権からの人権侵害を最大限防いでいく、冤罪を起こさないということも重要なことになっております。  そういった意味で、今後、こういった新たな捜査手法の導入ということは、私はむしろ被害者、新たな被害者をつくらないという意味での人権保障にもつながっていく重要な観点だと思うんですけれども、その点について大臣の所見をお伺いいたします。
  128. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 新たな被害者を生まないために新たな捜査手法を導入することを考えたらどうかという、なかなか難しい問題点の指摘でございまして、答えに窮しているわけですが、取調べの録音、録画をすると捜査にいろんな支障が出てくることが十分あり得る、そこで、その支障を乗り越えるために捜査手法を多様化して、今のおとりであるとか取引、司法取引であるとか、いろんなものを入れる、それを入れなければ、この録音、録画というものができないという、そういう構造ではないと私は思っているんです。  全部仕上げた後でそういう構造が見えてくるかもしれません。しかし、これは今の新しい捜査手法を入れなければ録音、録画というものができないと言っていたんじゃ、もうまさにいつまでたっても議論ばっかりして何も起きないというんで、まず今、これまでの経過をずっと見て、あるいは皆さんのこの国会での議論もあります、あるいは様々な国民各界各層での議論もあります。まず、録音、録画というものを目に見える形で試行をしようと。そこからいろんなことが出てくれば、今度は出てきたものを検証しながら、それを乗り越えるためにいろんなことを考えようと考えているわけでありまして、その検討の中に新たな捜査の手法というものが浮かび上がってくることを私は否定はいたしません。
  129. 桜内文城

    ○桜内文城君 このように試行を始めていただいて、その中で、今言ったような真実の発見と申しますか犯罪防止の観点も含めて、今後新たな捜査手法の導入が本当に必要なのか否かという点も含めて御検討いただければ幸いでございます。  次に、基本的人権そのものについて再度お尋ねいたします。  三月二十五日の大臣の御答弁で、まさに人間人間として持っている権利であるというふうにおっしゃいましたが、まさにそのとおりだと私も考えております。所信表明の中にありました、先般は人権諸条約等について触れさせていただいたところでありますが、その後、私もその解釈権といいますか、を所管しております外務省からも、過去のこういった個人通報制度等に関する実例等についていろいろと教えていただく機会がございました。  特に、前回も指摘させていただいたところでありますけれども、人権諸条約、幾つかございます。いわゆるB規約ですとか、女子差別、人種差別、拷問禁止、強制失踪ですね、こういったものがあるところでございますけれども、前回も指摘したところですけれども、基本的にはやはり公権力といいますか、当該締約国の政府からの人権侵害に対して、国連等の機関に対して直接通報していくと、こういった制度であるということでございます。ただ、私人間の適用がどこまであるのかという点で、一番問題になりそうな部分がこの女子差別でございまして、その事例等を伺ってきました。  例えば、賃金差別ですとか、あるいはドメスティック・バイオレンスという、虐待ですね、家庭内での、こういった事例、具体的に個人通報制度の対象となったものを外務省から聞いた範囲でちょっと御紹介いたしますと、例えば、ドメスティック・バイオレンスが多いといえば多いんですけれども、ハンガリーですとかオーストリアですね、オーストリアの場合は被害者が死亡したような大変厳しいドメスティック・バイオレンスだったわけですけれども、こういった、政府がその被害者を加害者から守る効果的救済措置、保護命令等を提供していないというような制度的な欠陥がありまして、これについて国連等から当該国、締約国に対して是正を求めるといったような事例が私が聞いたところでは五件ほどございました。  何が言いたいかといいますと、こういった女子差別等の条約に関しましても私人間の適用が多いのかなという感じもしておったんですけれども、あくまでもやはり公権力に対する人権といいますか、あるいはその関係での制度を整備していないという点で、このような個人通報制度が制度の趣旨として通底しているということは指摘させていただきたいと思っております。  ここは特に答弁を求めるところじゃないんですけれども、もう一つ例を、実例といいますか、基本的人権に関して実例を挙げさせていただきます。  これも、前回大臣からも御指摘あったんですが、人権擁護推進審議会、以前あった分ですね、二〇〇一年の五月に答申が出ております。その後、ようやくですけれども、私も十分これ勉強させていただきました。その中で、冒頭からあるんですけれども、ちょっとやはり日本の中で人権ということを議論する際に、対公権力といいますか、対国家の人権という伝統的な考え方から、より一歩進めたといいますか、拡張してといいますか、私人間の人権侵害ということはむしろメーンの話題としてこの答申の中でも触れられておるところでございます。  私自身は、前回も申し上げましたけれども、人権というものを私人間にまで拡張的に解釈していくということが、むしろ他者の人権、例えば、この人権擁護機関のかつての法案等によりますと、事業者の経済的活動の自由の制限につながるおそれがあるんではないか、あるいは仮に報道機関を除外するとしても、個人の言論の自由というものを制限するおそれがあるのではないか、そのような懸念を抱くところでございますけれども大臣の所見をいま一度お聞きいたします。
  130. 黒岩宇洋

    大臣政務官(黒岩宇洋君) 桜内委員から今、個人通報制度と、あと人権侵害救済機関の在り方と、二点にわたりながら、この人権というものに対する私人間に対しての適用の御意見、御提言をいただいたと思っております。  個人通報制度については、これも前回お答えしましたけれども、この条約を所管しているのは外務省でございまして、外務省の判断というものを我々は承っておるんですが、あくまでも個人通報制度については、国内の救済措置をとにかく尽くして、尽くしてもなお権利の侵害が救済されない場合にある程度限りまして、当初の権利の侵害が私人によって行われた場合であっても、これが委員会により通報は受理することがあり得るということで、外務省の方から私も説明聞いております、と私も承知いたしております。  人権侵害救済機関については、先ほど委員がおっしゃったとおり、人権擁護推進審議会の答申においては、国は、このような私人間の人権侵害についても、その被害者を救済する施策を推進する責務を有していると、こうあります。  ただ、今まで旧政府案や民主党案等、幾つか出た中で、もちろん様々な問題点も指摘をされております。もちろん、被害者救済の名の下に国民の人権が不当に侵害されるような制度では、これはあっては絶対ならないわけですので、今私の下でこの勉強会をしておりますが、少なくとも私の考えでは、様々な、少数者と言われるようないろんな意見も取り入れなければ、これはもう国全体の人権侵害を救済するわけですから、これは本当に多くの人の合意を得られる今制度づくりに邁進しているところですので、またいろいろと委員からも御提言をいただきたいと思っております。
  131. 桜内文城

    ○桜内文城君 ありがとうございます。そのような方向で検討していただければと思っております。  もう一点だけ付け加えて私の問題意識申しておきますと、前回の答申ですので、次できてくる制度、つくっていく制度というものが全くこれと同じというわけではないんですけれども、私が問題だなと感じましたところをちょっと申し上げておきます。  例の答申ですと、司法的救済から行政による人権救済制度を整備していく必要がある、こういうふうなくだりがございます。これはこれで一つの考え方だと思うんですけれども、例えば先ほど申しました虐待とか、これは基本的に犯罪構成要件に該当するものでございますし、あるいは契約上の、私法上のことでありますと民法九十条ですとかそういった一般条項を通じて私人間適用がなされていく。こういった司法的な救済措置というものが用意されている中で行政がどこまでこのような私人間のことに介入していくのか、そういった問題点があろうかと思っております。  例えば、その答申の中では、これまでのような事後の被害回復から事前の防止へとありますが、例えばこれは表現の自由という領域でいいますと、まさに事前抑制禁止の法理に引っかかってくるおそれが非常に高いんではないかとも思われますし、あるいは勧告、公表というものも、前回の法案の中には制裁といいますか、是正措置としてありますけれども、こういったものが事実上の間接強制の効果があると、そこまで言っていながら行政がそこまで介入していくことが本当にいいのかどうかということもあろうかと思っております。  特にその関係でいえば、憲法三十二条、あるいは憲法八十二条二項ただし書の裁判を受ける権利、特にこの八十二条二項ただし書、裁判の公開についての条文でございますけれども、ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪、要は政治的自由ですとかあるいは言論の自由、それからこの憲法第三章で保障する国民の権利、基本的人権ですけれども、これに関する事件の対審は常にこれを公開しなければならないというような厳格な裁判上の手続、そして公開というものを憲法上の要請として求めていることを考えますと、行政が事前抑制をするようなことはなるべくならば私はすべきではないと、私人間の関係についてですね。もちろん差別がいいと言うつもりは全くありません、そこはもちろんやめていかなくちゃいけない。そういう社会をつくっていく必要が我々にはあるわけですけれども、これを法制度として、国家機関として行っていくということについては慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。  今の私の意見について、大臣の所見をお伺いいたします。
  132. 江田五月

    国務大臣江田五月君) もちろん人権救済の下に新たな人権侵害が起きてはいけないことはこれは当然で、そうしたところは制度上も運用上も十分意を用いていかなきゃいけないと思いますが、司法的救済というのはなかなか、一つは強力です。それは民事でいえば、債務名義があればこれは強制執行ができる。刑事でいえば、確定判決であれば人を刑務所にも送ることができる、罰金を強制的に取り上げることもできる。  しかし、それだけに司法的救済というのは、手続はもちろん、それはもう用意周到に準備された手続ですからなかなか大変です。この簡易、迅速、柔軟に紛争を解決していくというのは司法的救済ではなかなか困難な場面があるので、そこで、その一番メーンの救済は司法的救済、しかし、それでなくてもう少し簡便にこの救済をやっていく方法として行政機関にそうした救済を託すことはできないかといっていろいろやっているわけで、司法的救済の方で一定の基準が出されます。その基準を行政的救済の手続の中で、この基準を基にして勧告であるとか公表であるとか、あるいは調停であるとか和解であるとか、あるいは説得であるとか、様々な方法で具体的に人権救済を図っていくということは、私はこれはあるべきものであって、もちろん、委員幾度も御指摘になられるように、そのことが新たな人権侵害をつくっちゃいけないことは当然ですが、是非ともよく練られた制度をつくりたいと思っております。
  133. 桜内文城

    ○桜内文城君 このような新しい国家機関をつくって、今おっしゃったように、確かに、司法制度をどう改善していくのかということもあれば、そこで追い付かない部分について行政が対応するというのは確かに、大臣のお言葉を使いますと、妙味といいますか、どういう制度設計をしていくのかということにかかわってくる重要なところだと考えておりますが、特に、やはりこうやって行政があらかじめ、ソフトな対応とはいえ私人間の関係に介入してくるということになりますと、仮にそこで新たな人権侵害が生じた場合には、人権侵害を受けた側は、まさに国家に対して、公権力に対して異議を申し立てなくちゃいけなくなる。  ところが、なかなか、まさにそこは、仮に裁判になったとしても、国を相手に裁判で勝つ可能性、それから時間、手間暇等々を考えていきますとなかなか難しいということがありますので、私は、これは意見として申し上げるだけですけれども、行政が私人間の関係に介入することはよくよく抑制的に考えていくような制度設計が必要だというふうに考えておることを申し上げておきます。  最後の質問いたしますけれども、これはちょっと宙に浮いたような話で恐縮なんですが、憲法十一条の解釈について大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。  私自身の考えも若干申し上げておきますけれども、この十一条、私は非常に重要な条文だと思っております。第二文ですけれども、「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、」、次が大事だと思っているんですが、「現在及び将来の国民に与へられる。」という文言がございます。  現在及び将来の国民って一体何なんだろうと。この解釈でございますけれども、その前の十条で「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」というふうにありますので、恐らく現在の国民ということであれば、未成年も含め、既に日本国籍を持っている、国籍法に基づいて日本国民とその要件を満たす者と考えられるんですが、この将来の国民、私は、まだ生まれていないけれども、これから生まれてくるであろう、そういった非常に広い意味での国民というものを想定しているんじゃないかと考えております。  その根拠と申しますと、これはむしろ前文になるんですけれども、前文の第二文ですか、二段ですか、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、」というふうなくだりがあるんですけれども、信託、これは社会契約説でいいますとジョン・ロックの信託説でございますけれども、信託の場合は信託受益権というものを、まだ生まれていない人ですとか、あるいは十分に確定していない人に与えることができる。そういうふうに解釈していかないと、まだ生まれていない人、将来の国民というものが、権利能力も持っていない、そういった人たちが信託受益権といいますか権利を、基本的人権というものを享有すると、与えられるという文言をどう解釈すればよいのかなという点で、私はこの信託説が妥当ではないかというふうに考えるところでございますが、人権の基本ということで大臣のお考えもお聞きしておきたいということで質問いたします。
  134. 江田五月

    国務大臣江田五月君) まず、憲法の解釈というのは、これは法務大臣の権限ではないんでございますが、せっかくの御質問ですから私の考えを申し上げますと、確かにこの言葉遣いがどうかというのはいろいろあるかと思いますけれども、憲法、個別の言葉遣いを、注釈をいろいろと重ねるということもありますけれども、それよりも、基本的人権については、この十一条というのは、一般的に基本的人権というものの普遍性であったり永久性であったり不可侵性であったり固有性であったり、こういうものについての宣言というふうに理解をされていて、そういう意味で永久の権利なんだと、将来もこの人権というものはちゃんとこの国において生きるんだと、そういうことを宣言をしているものだと思っております。そして、それに尽きるんだと思います。
  135. 桜内文城

    ○桜内文城君 ありがとうございます。  最後に私の意見だけちょっと述べておきますけれども、要はこの信託説の場合、国民の生命、自由、それから財産といいますか幸福追求権というものを政府に信託すると。逆に言いますと、政府が受託者としての責任を負っている、これが憲法の基本的な構成だと私は考えております。そういった意味で、この基本的人権を国民に対して与えると、現在及び将来の国民に対して与えるという条文につきましては、私はやはり受託者としての責任を有しているのは政府だと、政府と国民との間で基本的人権というものを考えていくというのがあくまでも基本であろうという解釈を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  検察在り方検討会議の議事録も読みましたけれども、大変熱心な議論が行われ、そして、私も提案しましたけど、冤罪被害者からのヒアリングであるとか、それから検察官への意識調査など、これまでにないことも行われたことは大変重要だと思っております。  ただ、可視化について、今も指摘ありましたが、範囲の拡大は打ち出したものの、全過程可視化にまで具体的に踏み込まなかったことは非常に残念に思っております。  まず、最高検自身が行った検証のことについてお聞きするんですが、これ専ら、前田検事と大坪部長の下での大阪地検特捜部の特殊性に問題をどうも矮小化をしていると私は読むんですね。検察全体の問題というのは、先ほどもあった特捜部の一般的な状況という項だけで、ほかの東京などではそういうことは、特に異なる問題はないとした上で、ただ特異な事例とするのではなくて、二度と繰り返さないという観点から、検察が組織として、特捜部の行う事件に対する指導及び決裁の在り方等について十分な対応が必要だと言っていて、専ら指導と決裁の在り方にしているんじゃないかと思うんです。  しかし、この間も指摘ありましたけど、この在り方会議が行った意識調査で、検事の約二六・一%が実際の供述とは異なる特定の方向での調書の作成を指示されたと答え、それから、二七・七%の人が任意性、特信性に問題が生じかねない取調べであると感じる事例を周囲で見かけたり聞いたりすることがあると、さらに、三一・八%の人が無罪になったらキャリアにマイナスの影響があると感じているという、この三つを並べますと、やはり検察そのものの全体の構造的な問題、体質が問われているんではないかと私は思いますが、そういう点の検証最高検検証には欠けていると思うんです。  まず、こういう検察全体のやはり構造的な問題が問われているという点での大臣の認識をお聞きしたいと思います。
  137. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 最高検検証結果においては、確かに井上委員指摘のとおり、厚労省元局長無罪事件捜査当時の大阪地検特捜部に見られた問題、そして、これは特捜部一般に共通するものではないとされていると私も思います。  しかし、検察当局が、このような問題は当時の大阪地検特捜部にしか起こり得ないものだというように判断しているとは、これはちょっと思えないので、やはり決裁官と部下検察官の意識や職場環境等の事情によって他の検察庁においても起こり得るものだと、そういう認識は検察当局において持っているものと私は承知をしていて、その上で、そういう問題意識を検察全体にひとつ共有していただいて、検察在り方検討会議提言と、さらにこれを受けた私からの取組という指示、これを踏まえて検察の再生のために全力を挙げて取り組むと、こういうふうに検察が取り組むと私は思っております。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 確かにほかで起こり得ないとは言ってないんですが、言わば前田検事のような特殊な人がまた出てくるかもしれないという下において起こるというようなことではなくて、やはり全部の今の検察がこういう問題を抱えているんだという認識がどうも私は欠けていると思うんですね。  それで、それがいろんな検証にも現れていると思うんですが、村木さんが検討会議のヒアリングで二つの疑問を述べられたわけですね。自分が全くかかわってなかったのに、どうしてたくさんの検事さんでかかわったという調書が作られたかという問題と、それから自分が首謀者だったというストーリーを検察が作ってそれが維持されたのは何でかと、そういう疑問を持ったけれども、この検察検証の中では自分は事情を聴かれなかったし、なぜ組織的にあれだけ事実と違う調書が作られたかということについて余り直視をせず、それに対する原因、要因の分析はなかったというふうに指摘をされております。  私も同じ思いをするんですが、なぜ組織的にこういう調書が作られたことに対しての分析、原因分析をこの検察検証はやってないとお考えでしょうか。
  139. 西川克行

    政府参考人西川克行君) お答え申し上げます。  まず、最高検検証結果におきまして、検察官証拠請求をしました関係者の各供述調書について、裁判所判断の内容も踏まえて言及がなされているところでございます。これによりますと、裁判所証拠請求を却下した本件公的証明書を作成した係長、それから自称心身障害者団体発起人及びその設立時の会長の三名に対する供述調書につきましては、必ずしも相当とは言い難い誘導等により、客観的証拠や客観的事実と整合しない供述調書が作成されたのではないかと疑われるものが少なからず存在して、その取調べについては反省すべき問題があったという、こういう指摘がなされております。他の採用された供述調書に関しましても、中には、内容自体は特に不自然な点は見られないという、それから検察官の強い誘導等があったとも見られず供述したことが認められるというのもありますが、逆に、記憶が正確であるか疑いが残る、こんなような指摘もなされているという部分もございます。  これらを踏まえまして、最高検におきましては、検証結果における再発防止策として、特捜部が取り扱う身柄事件被疑者取調べの録音、録画の試行を開始したと。大臣が先日、さらに検事総長に対しまして、特捜部における被疑者取調べの録音、録画の試行について取調べの全過程の録音、録画も含めて試行の対象とすると、こういう指示がなされたということでございまして、検察当局におきましては、この趣旨にのっとって適正な取調べが行われるよう努めるというふうに考えております。  以上でございます。
  140. 井上哲士

    ○井上哲士君 確かに裁判によって幾つかの供述調書の特信性が否定されたということで、先ほど述べられたような記述があるんです。その後に、捜査の時点から約五年前の事実に関するものであって、安易に他の供述に沿った内容に強く誘導するなどしたら、それによって信用性が高まるものではないと、むしろこれらの供述調書全体が検察官による押し付けによるものではないかという疑念を生じさせたと、だからこれは反省すべきことがあると、こういう流れになっているんですよ。  ですから、村木さんが言っている、みんなで、複数の検察官が共通のストーリーでそういう供述書を作り上げたということがなぜ起きたかということは、全く反省もなければ分析もないんです。それがかえって裁判のときにはうまくいかなかったよという、その問題点はありますけどね。  大坪部長の下でその捜査会議もちゃんとやらなかったと言われていますけど、じゃ、何でみんなが同じようなストーリーに沿って、そういう村木さんからいえば全く身に覚えのない供述調書を、同じようなものを作り上げたのかと。しかも、公判のときには六人の検事が出廷をして、これらの供述は任意だったという証言までしているわけですね。  組織的にこういうことが行われたということに対する検証がないんじゃないか、反省がないんじゃないかと私は思いますが、大臣、いかがですか。
  141. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 最高検検証結果に御指摘のようないろんな不十分な点が確かにあろうかと思います。やはり、最高検といえども検察全体の組織の中ですから、どうしても身内にメスを入れるのが不十分だったという外部からの御指摘というのは当たっているというところがあると思うので、検察改革に当たっては最高検検証結果の実行ということだけではやっぱり足りないと。そこで、この検討会議提言には外部の目、外部の風ということをしきりに強調してくださいましたので、そうしたことを踏まえてやろうと、改革をしようとしているところでございます。
  142. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、富山事件でも志布志事件でも、そのたびに検察内で検証しているわけですが、結局同じ事態が繰り返されているわけですね。その枠をやっぱり出ないものに私は今回の最高検検証はなっていると思うわけで、検討会議議論ども踏まえ、更に踏み込んでやることが必要だということを強く申し上げておきたいと思うんですが。  昨年の質疑のときに取調べメモの扱いについて何度か指摘をいたしました。この検証では三月末までに結論を得るように議論をするというふうになっていましたが、先日新しい運用指針が出されておりますが、取調べメモについて言わば原則廃棄から原則保存すると、こういうふうに変わったというふうに理解してよろしいでしょうか。
  143. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、これまで公判引継ぎ用取調べメモ、これは保管と。一方で、これまではそれ以外のものは一律廃棄だということになっていたんですが、しかしそれはやはりいかぬだろうということで、最高検の方で、それ以外の取調べメモについても、事件ごとに事件の内容、性質、証拠関係等も考慮して、念のために保管しておくべきか否かを個別に判断するということにしたと承知をしております。  このような改革で、これは改めたということなので、個別にきっちり判断して、このメモは将来の紛議を招くようなことのないようにやはりちゃんと取っておこうという判断をちゃんとしなさいよということですから、全部メモは残せということにはなっておりません。今までの一律廃棄というものを改めて、個別に判断して残すものを選びなさいということでございます。
  144. 井上哲士

    ○井上哲士君 一律廃棄については改められたということであります。  次に、取調べの可視化の問題でお聞きしますが、部分可視化というのはむしろ弊害があるんだということも繰り返し指摘をされていました。全過程の可視化が必要だということを改めて強く申し上げたいんですが、可視化で自白を得られなくなるという議論の中でよくあるのが、人間同士の信頼関係がつくれなくなって自白を得られないんだという話なんですね。  これは、やはり村木さんがヒアリングのところで言われているんですが、取調べというのは、リングにアマチュアのボクサーとプロのボクサーが上がって試合をする、レフェリーもいないしセコンドも付いていないというふうな思いがいたしましたと、非常に率直に言われているわけですね。ですから、そういうプロボクサーにレフェリーもセコンドもなしにアマチュアが向き合うというような状況、そういう密室の中で圧倒的に検事が有利という中で、私はそういう人間的な信頼関係でなくて、そこにあるのは屈服だと思うんですね。それで何か正しい自白が得られているということ自身が私から見ると錯覚だと思うんですが、その点、大臣、いかがお考えでしょうか。
  145. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 井上委員のおっしゃることは分かりますが、分かりますが、必ずしも全てが錯覚というわけでもなくて、そこはいろんな個別の場合があるだろうと思います。捜査の現場で取調べを行う捜査官が被疑者の弁解に耳を傾けながら情理を尽くした説得を行う、そして信頼関係を築いて供述、真実の供述を得られるということは、これはあり得ない話だとまではやっぱり言えないんじゃないか。そういうこともあるけど、しかしそれに頼ると、ついつい妙な屈服関係、委員のおっしゃる屈服関係になって、本当の真実ではなくて迎合的な供述が出てくるとかそういう場合もあるので、そこは密室での信頼関係に頼って真実を得るという手法というのにやはり一石を、この改革に一石を投じなきゃならぬと思っているところです。
  146. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、密室の中で自白を求められる人の、いろんな圧迫の中でその人も、調べを受ける方も錯覚を受けることもあったりすると思うんですね。ですから、私はやっぱりこういう考えにのっとるべきではないというふうに思うんです。  もう一つ非常に気になるのは、新しい検事総長が二月の二十八日に日本記者クラブで講演をされているんですが、この中でこういうくだりがあるんですね。今、取調べの真相解明機能が低下しているという話で、こういうふうに言われているんですね。弁護士さんが頻繁に接見に来られるようになりますと、接見時間、回数、これは過去に比べ飛躍的に増え、これを悪いというふうに決して言うわけではないけれども、黙秘を慫慂されることが非常に多い。特に、特捜部事件から離れますが、人が殺されます、本人が弁護人を頼む前に弁護士さんが飛んできます。そうして、君は黙秘しろ、最低限調書に署名したら駄目だということになる。そういうような活動が活発になっていることで取調べの真相解明能力が相当下がってきているのは事実だろうと思っていますと。こういうことを検事総長が言われているんですね。  例えば、弁護人、本人が頼む前に弁護士がすぐ行っていると。これはそういう人権を守るためにそういう制度にしてきたわけですよね。そういう被疑者が当然の権利を行使することと真相解明が敵対するようにとらえるという姿勢に非常に私は問題があると思うんですね。  真相解明というのは、別に検察の見立てどおり供述を得て犯人をつくることではなくて、取調べの結果、見立てに無理があって、その人は無実だということになれば、それも真相解明のはずなんですが、どうも今のこの検事総長のお話からいうと自白をしなければ真相解明が低下すると、こういう話にしか取れないんです。  ですから、何か可視化の見返りに武器としてどんな捜査手法を導入したら均衡が取れるかと、こういう議論ではなくて、現に今行われているようなストーリーに、見立てに合わせて供述に追い込んでいくような取調べ、いろんな不当な取調べをやめさせるためにどうすればいいのかということを今やはり議論をするべきだと思うんですね。  検事総長は、別途発言では、捜査したときに真相の解明ができますという力を付けさせることも必要だということも言われているわけで、こういう基本の捜査をおろそかにしたり力不足こそ反省すべきであって、見返りの捜査上の武器のあるなしで全過程可視化を避けるような議論はするべきでないと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  147. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 検事総長がどういう真意でこういう発言をされたかというのは分かりませんが、誤解のないようにと言っている、ちょっと誤解されるかなというような感じはしないでもありませんけれども、否定的な理解を前提として、弁護人の接見などについて否定的な理解を前提として指摘された発言ではないと思いたいと思います。  確かに弁護人となろうとする者の接見というのもあるわけで、まだ頼まれていなくても、それは行っていろんなアドバイスもしたりするのも当然の弁護士の職務ですし、また、そうしたアドバイスを受ける権利も被疑者にもあるわけで、そのときに黙秘権を告げて、あるいは調書に署名をするなと。すると、それは当然調書の証拠能力の関係で一歩進んだ調書ができるわけですから、そうしたアドバイスをすることもそれはあるでしょう。そういうことをやれば、それは供述から真相解明と、供述から真相解明へ向かうということがちょっとやりにくくなるということもそれもあるでしょう。しかし、それが悪いと言うんじゃ、それは弁護人に働くなと言っているようなものですから、それはそうはいかないんで、供述から真相解明へ向かうことがなかなか難しければほかの道から真相解明に向かえばいいんで、そのことを検事総長が否定をしているのではないと。  ただ、確かに今、井上委員がおっしゃるとおり、そうした活動も一生懸命やろうという弁護士さんたちもおられて、そういう弁護士さんたちの活動によって、検事総長もいろんな経験を積まれて、昔の経験と比べると今はなかなか供述を得てそこから真相解明に向かうのは困難になってきているなという、そういう事実を述べただけで、そのことは私は時代の進歩だとむしろ言ってもいいかと思います。
  148. 井上哲士

    ○井上哲士君 そのいわゆる可視化の見返りに新しい武器としての捜査手法がなければできないというような議論はくみすべきじゃないということについてはいかがでしょうか。
  149. 江田五月

    国務大臣江田五月君) それはそのとおりです。
  150. 井上哲士

    ○井上哲士君 そこで、先ほども議論があったんですが、特捜の事件について全過程の可視化を試行するというような大臣の指示がありました。  ちょっと報道などで検察側の発言を見ていますと、弊害があるかどうか検証するため、ある程度の件数で全面可視化を試行したいと、こういう発言もあるんですが、どうも弊害があることを何か示したいみたいなニュアンスにも取れないではないと。ですから、問題があればそこに手当てをしてむしろ可視化を前に進めていくという姿勢だというふうに理解をしておりますが、そういう、つまり全過程の可視化を目指す流れの中のものとしてあるんだということで確認をしたいんですが、よろしいでしょうか。
  151. 江田五月

    国務大臣江田五月君) これは、検討会議の中では、この全過程の録音、録画の実施を目指すべきだという意見も多くの委員の支持を得たけれども、一方で多くの意見から、取調べの機能が損なわれかねないとの懸念も十分踏まえた上で検討すべきだという指摘もあるんで、両論あるんです。  そこで、私は今回のこの検事総長への指示の中で、全過程の録音、録画を行った場合に何らかの弊害が生ずることとなるのかといった問題点について検討に資するよう、必ずしも起きるだろうと言っているわけじゃないんで、起きるかもしれないけれども起きないかもしれない。それが分かるには一件、二件検察にとって都合のいいものだけ全過程可視化してもしようがないんで、そこはそれだけのボリュームを持って、あるいは事件のいろんな種類も入れて試行を始めてくださいということを言っているわけでございまして、そこは是非誤解のないように願いたいと思います。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、全過程の、全面的というのかどうかはあれですけれども、可視化を目指すというそういう流れの中でのものだという理解でよろしいわけですね。
  153. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 可視化をする場合に全過程をやらないと、一部だけやったんじゃ意味がないという意見もありますから、そういう意見も踏まえてやりたいと思いますが、まあいろいろやってみようじゃないですか、まず。そして、全件全過程、もうありとあらゆるものが全てとはなかなか、これはメリットとデメリットというよりも、むしろコスト・アンド何ですか、てんびんに掛けて、ちょっとこれは金や手間が掛かり過ぎるということもあるかもしれませんから、そこは選択というものはあるだろうと思います。
  154. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非、個々いろんな問題とか、ことは出てくると思うんですが、それは解決をしながら前進をしていくということで強く求めていきたいと思います。  最後に、この提言を受けて、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査、公判の在り方を抜本的に見直すためとして法制審議会の部会を設けて検討するということなんですが、この供述調書に過度に依存した公判の在り方というのは、何も検察だけではなくて、裁判所にもその問題の一端があるという指摘も繰り返しされてきているわけですね。  むしろ、裁判所が法律の構成要件に合うような供述調書を作成するように求めてきた、警察側が、検察側がそれにこたえるのが仕事だということでやってきたということが問題としてもあるという指摘もあるわけでして、最高裁として、こういう供述調書に過度に依存した公判の在り方というものが、今後正すということが検討されるということになるわけで、現状認識、それから今後としての最高裁としての方向はどのようにお考えか、いかがでしょうか。
  155. 植村稔

    最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えをいたします。  委員指摘の点でございますが、公判の在り方についての評価の問題でございまして、私ども最高裁の事務当局といたしましてお答えするということは、申し訳ございませんが、差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、供述調書の取扱い、本当にこれは刑事訴訟の中で大事な問題でございまして、証拠能力の面と証明力の面があるわけでございますが、そのいずれの判断にも個別のケースについては慎重な検討が必要だというふうに思っております。  証拠能力につきましては、裁判所といたしましても、今後とも事実認定における証拠の重みというのを肝に銘じまして、当然、弁護人の御主張もその点について出てまいります。証拠能力の要件、法律に書いてある要件を充足しているかどうか、慎重な吟味をしなければいけないというふうに思っております。それから、採用するということになった場合にも、それ自体、供述調書の内容自体、慎重に吟味する必要がございます。  それから、証拠というのは、客観的証拠その他の、ほかに重要な証拠もあるわけでございまして、そういった証拠との対比、さらには弁護人がその調書の信用性についてどのように御主張になっているのか、その辺りも十分に考えて最終的な評価をしなければいけないと、慎重に検討しなければいけないというふうに考えておるところでございます。
  156. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので、終わります。
  157. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  158. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。江田法務大臣
  159. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、その内容は、民事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を四十五人増加しようとするものであります。  以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
  160. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会