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大臣政務官(森田高君) お答えいたします。
総務省としての郵政民営化の総括というものはありませんが、
政務官として答えさせていただきたいと思いますが、これは本来の
郵政事業の役割とか機能を維持するということよりも、民営化、分社化というものがある種政策目的化している嫌いはあると思っておりますので、実態としてなかなか三事業一体、ユニバーサル
サービスという本来の職務、役目を果たすことがなかなかできないような環境になってきているんだろうと私は
認識しております。
そして、最も重要なことは、金融ユニバーサル
サービスというものを維持するための仕掛けが、これは必ずしも十分でなかったと私は考えております。お客さんから見れば、会社間の連携がなかなかこれは困難であるということに起因する利便性の低下、例えば、これは先ほ
ども難波先生の御
質問に申し上げましたが、総合担務ができないということ、配達員が貯金や保険を扱うことができないということ、あるいは貯金、保険の人たちが郵便を扱うことができない、あるいは郵便局長さんによるゆうパック等々の集荷ができないということがまずあるんだろうと思います。
そして、会社経営から見た場合には、分割ロスというものがございます。これは、例えば共通部門、人員の肥大化というものがありまして、本社機能では八九%、支社においては二二%、これは民営化した、分社化したことによってむしろ人件費が掛かる慢性的な高コスト体質ができてしまっているということが言えるのかなと。ですから、本来の三事業一体という理念を継承するならばこういうことは本来起きなかったと、そういうふうにも思っております。
それで、今次、
災害が起きまして、このことが改めて浮き彫りになったわけでありますが、これも先ほどの答弁と若干重複しますが、今、利用者の利便性の低下ということにおいては、
避難所に配達に行った郵便事業会社の配達員の方が貯金、保険を一切扱うことができなかったと、これを何とかしてくれというふうな国民の声が高まってきて、ここはもう
特例的にも何とかしようよということをこちらからも日本郵政に対して
要請しまして、何とかここを今乗り越えてきているということでありますし、あるいは
福島原発から二十キロ以上三十キロ未満の圏内におきましては、これは様々国会の中でも御指摘いただいておりますが、まだ残っている
方々に対して郵便物を十分に配達することが実際できないわけであります。
これは、生身の体で専ら屋外業務で郵便を届けるということをなりわいとされる郵便事業会社の方にとっては、これは被曝リスクとの闘いでもあるわけであります。これは、郵便事業、
郵政事業は公益を担う役割ということを考えていけば、それは一生懸命努力してやりなさいという意見も一方にあるでしょう。ただ、彼らは今民営化されています。民間人でありますから、それを国家が強制する
権利はどこにもありません。更に言えば、彼らのうちの半数以上が非正規雇用になっていると。つまり、福利厚生、この後の
災害に対する、被曝に対する
措置というものが十分に示されない中で被曝覚悟で国民のために働きなさいということを今言える
状況なのかということを考えていっても、この
災害の中で本来の
郵政事業の役割を果たすということがいかにあるべきかということをしっかりこれから議論すべきかなというふうに思っております。
そして、現場
対応ということに関して少し長くなりますが申し上げたいと思いますが、車両やバイクがやはり郵便局会社と事業会社で共有し切れないということは、非常に業務の効率性という観点から見ると不具合があると私は思っております。
そして、グループ内、四分社化の中での調整がやっぱり問題があったのは、今回の場合は年金支給でございます。この年金支給というのは
窓口で年金を
高齢者の
方々に配付するということ、日本銀行から委託を受けたゆうちょ銀行が郵便事業会社と郵便局会社と連携してこれを渡すということになるんですが、やはりいざこれで有事ということになりますと、この四社の間の
情報連携あるいは実務遂行に当たってのやっぱり意思疎通がなかなかこれは実際起こってみると難しかったということもありますので、これは常にそういった危機が起きるであろうということを想定して、もっともっと準備しなければいけなかったという向きもありますが、ただやっぱり四分社化された中での不具合とこれは見ることもできるわけでありますので、こういったことも踏まえて、これからのありようというものをまさに先ほど先生がおっしゃったような郵政の改革法案の審議の中で御議論いただきたいと思っております。
そして、二つ目におきましては、宅配便事業のことでありますが、これに関しましては、先般、まあこれは直接
関係はありませんが、かんぽなどに関する
一つの法務省の見解が示されたわけでありますが、いろいろやっぱりこれは話は続いていくんだろうと思っております。
特に、ゆうパックと日通ペリカン便の宅配事業の統合におきましては、この統合段階において、つまり
平成二十年八月二十八日の株主間契約が結ばれる前に、これはグループの中で様々議論があったということを承知しております。
例えば、郵便事業会社の経営者は、これを統合すると必ず赤字になるという試算を示しました。五年間で累積八百億円以上赤字になるということを数字をもって示されたわけですが、当時の経営者の最高経営責任者であります西川前社長におきましては、その試算を示された郵便事業会社の役員を非常に激しくこれは
会議の場で叱責されて、数字そのものをもう一回持ってきなさいということを主張されたやに聞いております。
そのことは
総務省がまとめさせていただきました日本郵政ガバナンス検証
委員会の個別検証において公表させてもらっている次第でありますので、その際の責任がどういうところにあるかということは、それを読んでもらえればおのずと明らかになってくるだろうと思っております。