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竹谷とし子君 ありがとうございます。
是非よろしくお願いいたします。
今回の
金融商品取引法に関連して、会計監査について質問をさせていただきたいと思います。
私は、議員にならせていただく前に、公認会計士の資格を持ちながら経営コンサルタントとして、複数の
企業の経営健全化に携わらせていただきました。その経験から明確に分かることは、バブルの崩壊などで打撃を受けながら、それでも倒産せずに存続した多くの
企業が、社内の会計情報をガラス張りにする、見える化に取り組んだということでございます。
なぜ見える化をした
企業が経営の改善に成功したか。それは、会社の中のどの事業が借金を増やしていてどの事業が利益を生んでいるのか、どこに幾らお金が掛かっていて、それが本当に利益に結び付いているかといった
数字が明確になることで、客観的な数値に基づいた分析ができるようになり無駄があぶり出されてくるという、そういうことでございます。
また、会計の見える化に取り組む中で、社員の方一人一人にコスト意識が生まれて、経営者の方は会社を健全にするための的確な意思決定も可能になります。高い金利で借りた負債は早期に返し、
損失が膨らみ続ける事業は見直し、人、物、金の経営資源、これを将来性ある事業に集中させるなど、経営改善のために計画、実施、検証、見直しのPDCAを繰り返して業績の維持回復に取り組んできました。これは民間
企業の話ですけれ
ども、私は、国の行財政の運営についても、この取組というのは、利益追求の
企業とは違いますが、必要ではないかと思います。
世界の先進国に目を向けてみますと、公会計についてほとんどの国が、民間
企業同様の、それに近い複式簿記、発生主義の会計へ改革を行っています。
専門家の調査によりますと、その中でいまだに決算にこの方式を導入していないのは日本とドイツだけ。そのドイツも、この方式への変更を検討しているということです。先進国の中でも債務のGDP比率が最も高い日本が、皮肉なことに世界の潮流から取り残されて時代遅れの会計制度を続けているとも言えます。国民が受ける
損失は計り知れないと私は思っています。国も、そして多くの自治体も膨大な債務を抱えて、さらにこの度の東日本大震災の復興復旧に予算を振り向けていくためには、財政の見える化をすることによって財政の全体像を明らかにして無駄な事業をあぶり出していくということは不可欠だと考えています。
今、
財務省のリードで国としても省庁別の
財務諸表を作成するなど、いわゆる公会計の改革に取り組まれていると理解をしております。同時に、総務省も数年前から段階的に地方自治体の公会計改革に取り組んでいます。従来の現金主義、単式簿記から、
企業会計並みに発生主義、複式簿記的会計に変えていこうという取組です。
私自身も、公会計改革に先進的に取り組む幾つかの自治体、例えば地元の千代田区や浜松市、東京都などに出向き、担当者から話を伺いました。自治体が行っている事業は多種多様ですが、その事業ごとにコストが明確になるように取り組んでいます。例えば、学校給食一食当たり、また図書館の本一冊を貸し出すのに必要なコスト、特別養護老人ホーム一床当たりのコストなど、それらが明確になれば議会でも、また役所の中でもその
数字を基に具体的な議論、検討ができるようになってくると思います。
公共サービスは、ある人にとっては無駄に見えても別の人から見れば必要というものが少なくないと思います。そのため、何らかの事業を廃止するとなると、必ずと言っていいほど反対をされる人、また困る人もいると思います。しかし、その事業に掛けているコストを明確にして住民に提示をした上で、そんなにコストを掛けてまで本当にやる必要があるかどうか、またコストを抑えるためのほかの方法がないかどうか、そういう視点から
判断できれば、より多くの理解を得ることができるようになってくると思います。
私は、事業仕分よりも、財政を見えるようにする、財政の見える化で客観的な
数字を示して
判断できるようになるということが大きな意味があると考えています。その意味からも、省庁別
財務諸表の作成や総務省の取組は、今後とも大変大事だと考えておりますし、
財務大臣のリーダーシップに私は期待をしております。
このような取組の中で、検討が遅れていることがあります。それは、国や自治体の
財務諸表などに対する会計
専門家による第三者の監査です。会計と監査というのはパンとバターの
関係と言われます。
財務諸表が会計基準に基づいて適正に作成されていることを独立した
専門家が保証するのが監査です。現在、国では会計検査院の検査が、そして地方自治体では監査
委員の監査が行われていますが、それは間違いがあったことを
指摘することはできても、会計基準に基づき記録をされており
財務諸表が全体として間違っていないことを証明するお墨付きを与えるということではありません。その意味で、検査と監査は似て非なるものです。
現在、OECDに加盟する主要国、アメリカ、イギリス、ニュージーランド、フランス等では、
政府の
財務諸表を独立機関が監査しています。主要国の中で行っていないのは日本だけです。会計人による監査をすることで
財務書類の精度を高めて国民への
説明責任を果たすことに寄与すると考えますが、監査制度の導入について
財務省がどのように考えておられるか、
財務大臣に伺いたいと思います。