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2011-04-12 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年四月十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      竹谷とし子君     山口那津男君  三月三十一日     辞任         補欠選任      金子 洋一君     石井  一君      田城  郁君     尾立 源幸君      山口那津男君     竹谷とし子君  四月一日     辞任         補欠選任      石井  一君     金子 洋一君  四月十一日     辞任         補欠選任      古川 俊治君     山崎 正昭君  四月十二日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     大石 尚子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 舟山 康江君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 大石 尚子君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 水戸 将史君                 鴻池 祥肇君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    副大臣        法務副大臣    小川 敏夫君        財務大臣    五十嵐文彦君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        総務省自治行政        局長       久元 喜造君        厚生労働省社会        ・援護局長    清水美智夫君        中小企業庁長官  高原 一郎君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君        日本銀行総裁  西村 清彦君        日本銀行理事   山本 謙三君        日本銀行理事   田中 洋樹君        日本銀行理事   雨宮 正佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融調節に関する報告書に関する件  )  (金融証券市場をめぐる諸問題に関する件)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、田城郁君及び古川俊治君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君及び山崎正昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として総務省自治行政局長久喜造君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁白川方明君、同副総裁西村清彦君、同理事山本謙三君、同理事田中洋樹君及び同理事雨宮正佳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融調節に関する報告書に関する件及び金融証券市場をめぐる諸問題に関する件の両件を議題といたします。  まず、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。白川日本銀行総裁
  8. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本銀行は、昨年六月と十二月に、平成二十一年度下期と平成二十二年度上期の通貨及び金融調節に関する報告書をそれぞれ国会に提出いたしました。今回、最近の日本経済動向日本銀行金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚くお礼を申し上げます。  東日本大震災発生からほぼ一か月がたちましたが、多くの尊い命が奪われた上、今なお多くの行方不明の方がいらっしゃいます。今回の地震で犠牲となられた方々に対し心よりお悔やみを申し上げます。また、現在も多くの方が厳しい生活を余儀なくされております。被災者皆さんに対して心よりお見舞いを申し上げます。  まず、今回の震災を受けた日本銀行対応について御説明申し上げます。  日本銀行は、震災後、被災地における現金需要への対応を始め、我が国金融機能の維持と資金決済の円滑を確保するため、民間金融機関とも協力しながら万全の措置を講じてきています。また、金融市場安定確保のため、市場における需要を十分満たすよう極めて潤沢な資金供給を行いました。地震発生の翌営業日には金融緩和を一段と強化しました。具体的には、リスク性資産中心資産買入れを五兆円程度増額して十兆円程度とし、固定金利での資金供給オペレーションと合わせた基金の規模を四十兆円程度としました。さらに、先週開催した金融政策決定会合では、被災地金融機関対象に、今後予想される復旧復興に向けた資金需要への初期対応を支援するため、長めの資金供給オペレーションを実施することが必要と判断し、また、今後の被災地金融機関資金調達余力確保の観点から、担保適格要件緩和を図ることが適当と判断しました。これら二つの措置については、現在具体案を検討しており、今月末の金融政策決定会合で細目を決定する予定です。  次に、最近の経済金融情勢について御説明申し上げます。  我が国経済は、震災影響により、生産面中心に下押し圧力の強い状態にあります。震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出国内民間需要にも相応の影響が及んでいます。  震災後の金融動向を見ますと、関係者の懸命の努力を通じて、我が国金融決済機能はしっかりと維持されています。日本銀行金融ネットワークシステムを始め我が国の主要な決済システムは正常な稼働を維持し、円滑な決済が確保されています。金融市場も全体として安定しています。今回のような大震災の後においては、決済システム金融市場の安定の意義は極めて大きいと思っています。この間、金融環境は、総じて緩和動きが続いていますが、震災後、中小企業中心に、一部企業の資金繰りに厳しさがうかがわれています。  先行きについては、我が国経済は、当面、生産面中心に下押し圧力が強い状態が続くと見られます。しかし、新興国経済の拡大に支えられた世界経済の高い成長率という、震災前までの日本経済回復動きを支えていた基本的な条件は維持されています。このため、その後、供給面での制約が和らぎ、生産活動回復していくにつれて、海外経済の改善を背景輸出が増加するほか、資本ストックの復元に向けた動きが顕現化することなどから、我が国経済は緩やかな回復経路に復していくと考えています。  このように申し上げた上で、今回の震災我が国経済に及ぼす影響については不確実性が大きいことは十分認識しており、注意深く経済動きを点検していく必要があると考えています。  物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、下落幅が縮小を続けており、先行きは、当面、小幅のプラスに転じていくと考えられます。ただし、本年八月に予定されている消費者物価指数基準改定に伴い、前年比が下方に改定される可能性が高いことも意識しています。  続いて、以上の見通しをめぐるリスク要因について御説明します。  まず、景気の上振れ要因としては、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国資源国経済の強まりなどがあります。一方、下振れリスクとしては、国際金融市場動向や、ひところに比べて低下しているとはいえ、米欧経済先行きをめぐる不確実性があります。さらに、先ほども述べましたように、今回の震災我が国経済に及ぼす影響については不確実性が大きいと考えています。この間、国際商品市況上昇も、リスク要因として注意しています。国際商品市況上昇は、その背景にある新興国資源国の高成長我が国輸出の増加につながる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力低下は、国内民間需要を下押しする面もあります。  物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、我が国物価が上振れる可能性があります。一方、中長期的な予想物価上昇率低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもあります。  最後に、日本銀行金融政策運営について御説明申し上げます。  日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するために、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、金融市場安定確保成長基盤強化の支援という三つの措置を通じて、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていきます。  日本銀行としては、引き続き、震災影響を始め先行き経済物価動向を注意深く点検した上で、必要と判断される場合には、適切な措置を講じていく方針です。  ありがとうございました。
  9. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 おはようございます。自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  今日は、金融庁提案をしております、まだ法案、趣旨説明がこれからですけれども、企業財務会計士について、そしてまた金融市場をめぐる諸問題について、東電の問題を中心にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。  まず、金融庁が今回提案をしております企業財務会計士でありますが、市場関係者方々意見を伺いますと、様々な混乱が生じているというのが実態であります。そこで、本日は趣旨説明の前ではありますけれども、その辺を少し簡略にただしたいということが一点目でございます。  そもそも、平成十五年の公認会計士制度改革で増加した公認会計士試験合格者に対して、実際、その後企業側のニーズがそれほど増加しなかったということが問題として背景にございます。そして、結果として多く就職困難者が生まれたわけでございますけれども、ここの実務経験が満たされませんと一向に公認会計士になれないという問題がありまして、その救済措置として、今回中間的な役割である企業財務会計士という職を設けたのではないかというような見方も広がっているわけであります。  資本金三億円以上の企業に就業して実務経験を二年積みますと企業財務会計士としての登録が今回可能になるという改正でありますけれども、監査税理士業務が遂行できない、言わば中間的な新しい職種という位置付けになっております。非常に分かりづらい線引きであります。  一方で、公認会計士の方は資本金五億円以上の企業での実務経験が必要とされるわけでありますけれども、この企業財務会計士の場合には資本金三億円以上の企業であれば就業可能であるということですから、当然五億円以上の会社も入ってくるというわけであります。したがいまして、資本金五億円以上の企業で三年間実務経験を積みますと、経歴としては全く公認会計士取得経歴を得ることができるということになりまして、言わば、その三年後には自動的に公認会計士資格を取得し、税務業務も遂行が可能になるという制度設計になっているというふうに伺っているところであります。  そこで、公認会計士企業監査に当たる立場という大きな柱が職種的にあるわけでありますけれども、その一方で、企業内で会計業務を遂行する立場として、むしろ税理士を登用する方が立場の違いが明確になって非常に分かりやすいのではないかという意見も一部にはあるわけでありますけれども、自見大臣にお伺いしたいと思います、この線引きについてはいかがお考えでしょうか。
  11. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 佐藤議員にお答えをいたさせていただきます。  企業高度化をし複雑化する中で、企業内容開示の質を向上させるためには、会計専門家活用促進を通じて、企業会計実務の更なる充実を図ることが適当であると思っております。  今先生いろいろ申されましたが、公認会計士企業を含む経済社会の幅広い分野で活動することを目指して、今先生指摘がございました平成十五年に公認会計士法改正を行われたところでありますが、その後、公認会計士合格者活動領域企業に十分に広がっているとは言い難いと、今先生も御指摘がございました、そういった状況があると思っています。このような状況を踏まえて、企業における会計専門家活用促進を図るため、公認会計士と比べて取得要件を軽減した企業財務会計士という新たな会計専門家資格を創設することが適当と考えたわけでございます。  もう少し、先生もう全部よくお分かりでございますが、今言いましたように、大体合格を、仄聞するところによると千五百人から二千人ぐらい合格させようかなという所期の目的であったようでございますが、実際、リーマン・ショック以降の不況もございまして、この会計監査法人の求人が大体八百から九百人ということでございまして、そういったことも現実にあったわけでございまして、そういった中で、もう先生が一番御存じでございますが、会計というのは決して、もう先生の御専門でございますが、税務に対する会計と、あるいは株式市場に対してきちっと会計を公開する、あるいはかなり違いがございまして、そういった意味で、今先生が言いましたように、公認会計士はまさに税務監査監査のこれは独占業務でございまして、税理士は、これは税務代行税務相談独占業務でございまして、今申し上げましたこの企業財務会計士は、これは独占業務というのはございませんが、その中間と申しますか、独占業務はございませんが、そこに位置するわけでございますが、ただし、問題のところはきちっと、ある程度たてば企業財務会計士公認会計士になり得るんだという制度を残しておりますから、その点で私は、これは今の、より会計制度の、日本なんかは特に最近、企業会計制度税務、これ大変財務省の主税局が厳しいところでもございますから、なかなか一致しないところがございます。そういった意味で、会計といえども、いわゆる今の会計制度IFRSなんという、世界会計統一基準を作ろうじゃないかという動きもございますが、そういった問題点もあるということを先生よくお分かりだと思いますが、よくこういったものを御理解をいただきたいと。  企業財務会計士は、公認会計士合格に加えて、相応の実務経験を必要とする一定の専門知識と能力を備えた会計専門家資格であるということを御理解をいただきたいというふうに思っております。
  12. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 簡潔に御答弁いただきたいというふうにまず冒頭にお願いするべきでした。よろしくお願いいたします。  企業財務会計士独占業務ではありませんので、まさに公認会計士税務業務との垣根の中間的な存在とも考え得るわけでありますが、ですから、今の御答弁では一向に、なぜ税理士の方が独占業務でない企業財務会計士ができないのか、それが範疇に入っていないのか、全く制度設計としてなぜ除外されているのか理解できないという、そこの疑問は残るままでございます。  また同時に、上場企業に対して、今回の制度設計では、公認会計士企業財務会計士活用状況財務諸表情報開示させる規定を創設するというふうに設けられているわけであります。  これは、財務諸表でこういう情報開示をするという規定を設けるということは、やはりこの国際化の時代の中で、投資家財務諸表を比べ合って見たときに、あちらの企業は公開して公認会計士企業財務会計士を使っているようだと、こっちの企業は使っていないということになると、必然的に何か行政主導公認会計士企業財務会計士登録企業運営として既定路線化するような、逆に行政規制とも受け止められるんですが、企業活動をいたずらにこれは規制し過ぎる仕組みにはなりませんでしょうか。簡潔にお答えいただきたいと思います。
  13. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今、もう先生御存じのように、まさに金融世界あるいはマーケットの世界というのはもう全世界に同時的に連動しているわけでございますから、そういった中で、今先生の御懸念の点がそういうふうにならないようにしっかりやっていきたいと。  やはり会計というのはなかなか、アメリカの会計基準、今IFRS中心としたヨーロッパの会計基準、また日本からも昔から会計基準はございますが、その利益という概念を取ってもなかなかこれは統一しておりませんで、今私も何人かそういった国際会計基準方々とお会いしましたけれども、そういったことを含めて、やはりできるだけ、何といいますか、各国の事情もございますし、その事情を当てはめつつ、やはり経済がグローバル化するためにどうしていくのかということを知恵を絞る必要があると。先生の御意見もしっかり聞かせていただきたいというふうに思っております。
  14. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 直接私の質問には全くお答えいただいていないわけでありまして、そういう情報開示制度規制として創設することについて踏み込み過ぎた規制だと。逆に公認会計士企業財務会計士の登用を強要するような結果として格好になりかねないということを指摘させていただきたいと思います。  次に、時間も限られておりますので次の議題に入りたいと思いますが、金融機能強化法について、先週の金曜日に自見大臣改正についてその意向記者会見で示されました。  実際に、東日本大震災発災を受けまして、被災地地域金融機関資本増強が目先の課題であることは間違いありません。昨日も仙台銀行が公的資金注入申請の検討を始めたという報道も流されたとおりであります。実際に、我が国資本増強制度としては、一つには、恒久制度である預金保険法第百二条に基づく公的資金注入の方策、そして来年三月で期限切れとなります金融機能強化法に基づく早期健全化策の二通りがあると考えられます。  これらの金融機関への対処でありますけれども、特に被災地地域金融機関に対しては、金融機能強化法ですと、破綻金融機関債務超過金融機関には現行法では対処できない、対象外になっているという実態があるわけでありますが、この債務超過破綻金融機関については、預金保険法第百二条の方を適用するという方向で今後進まれるのか、あるいはこの金融機能強化法改正されるのか、その方向性をお示しください。
  15. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 金融機能強化法を、特に東日本大震災地域においては特例措置をしたいということを私金曜日の記者会見で申させていただいたわけでございまして、今度の国会是非皆さん方の御同意をいただいて、この金融機能強化法特例措置と申しますか、被災に遭った地域特例措置法律をお認めいただきたいと思うわけでございますが。  今、金融機能強化法では債務超過でないことが国の資本参加要件とされておりますが、足下では、被災地に所在する金融機関を含め、地域金融機関として十分な自己資本を確保しております。これはもう是非、よくこういうことを言いますと、一体、日本の今金融機関自己資本が足らないんじゃないかという誤解を呼びますので、これは先生もう一番御専門でございますが、この前の記者会見でも言いましたが、地域銀行自己資本比率一一・六、それから信用金庫は一二・三、信用組合も一一・九でございまして、今は十分自己資本がございますが、被災地金融機関は、融資先中小企業あるいはいろいろな企業が傷んでおりますから、結果として、そういった中でもしっかり金融機関として金融仲介機能を発揮できるように、今までこの金融機能強化法、二回、たしかこれがペイオフと抱き合わせで一番最初、金融機能強化法金融ショックのときに……
  16. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 大臣質疑趣旨に沿って簡潔に答弁をお願いいたします。
  17. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) はい、分かりました。  作りましたが、今の法律麻生内閣のときですね、自民党と公明党さん内閣で作られたわけでございますが、これは経営者責任を比較的強くは追及しておりませんが、今回は要するにこの被災地、まあこれ相手は自然現象でございますから、経営者責任を問わないということを基本として、まだいよいよ煮詰まっておりませんけれども、そういったことで使いやすい、やはり被災地中小企業をできるだけ救えるような方法を考えたいと、そういったことで今やっておるわけでございますから、いずれにしても、今後必要に応じて適切な考え考えてまいりたいというふうに思っております。
  18. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 全く私の質問にお答えいただいてなくて、ただ何分何分も一方的にお話をいただいているようでありまして、これじゃ質疑にならないんですね。  ちょっと議長、御注意いただきたいと思うんですが。
  19. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) できるだけ質疑者質問趣旨に沿って簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  20. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 それで、破綻金融機関債務超過金融機関について、預金保険法百二条を使うのか、それとも金融機能強化法を使う意向なのか、そのことだけ一言、意向としてお答えください。
  21. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) それは、民間金融機関でございますから、基本的に民間金融機関経営者はどう考えるかということが、当然でございますが、一番大事なところだというふうに私は認識いたしております。
  22. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 要するに、申請ベースで、民間金融機関がどちらに申請するかに委ねるということですか。
  23. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 大臣の御答弁、ちょっと補足させていただきます。  今委員のお問合せは、実際の状況に応じて預保法の方で措置するのか、金融機能強化法の方で措置するのか、その判断基準が、破綻懸念を持つその債務超過に至っているかどうかという基準が書いてあるというところまでお話がございましたが、その債務超過判断が、こういった震災の直後、これから数か月間、どれぐらいか分かりませんが、その中で客観的に非常に難しいという場合が生じます。そのときに我々としましては、金融システム全体がこの状況の中で健全に機能し、企業全体に力強いメッセージを送っていくためにも、金融機関の方が判断してこの機能強化法の方に申請を出したいということは非常に尊重すべきかなというふうに思っています。  ただ、冷静な判断として、明らかに債務超過になっているようなところ、そう思えるところまで強化法で救うということにはなっていなくて、そこの部分は預金保険法の方で救うということになろうかと思います。
  24. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 この点を私は確認したかったのは、要するに、資産査定が被災地地域金融機関では今直ちに不可能なんですね。ですから、債務超過になっているかどうか分からない中で、しかし早期健全化は図らなければいけないと、そういう実態があると思うんです。  ですから、申請ベース金融機関に、自己査定において金融機能強化法を適用するのか、あるいは預保法第百二条を適用するか、金融機関判断に任せるのではなくて、これは事後的に最初は健全資産と思われたものが劣化している可能性もありますから、そういう意味では、最初から、例えば金融機能強化法破綻金融機関債務超過金融機関特例措置として被災地地域金融機関については対処できるというふうに一つの法律の枠組みで、債務超過から早期健全化から全てできるような枠組みを設けた方が混乱が避けられるということを私は申し上げたいんですね。そのことは是非御検討いただきたいというふうに思います。  それでは、時間も限られておりますので、次の東電の問題について参りたいと思いますが、東日本大震災の結果、福島第一原発事故に東京電力が至ったわけでありますが、既に東電株は事故前の二千二百円から三百円程度まで急落しています。それから、東電債も利回りが上昇をしていますし、それからCDS市場も四〇〇ベーシスポイント程度スプレッドが急拡大をしている現状であります。  資金繰り困難の回避のために、三月末にはメガバンクから総額一・九兆円の融資を東電に対して実行したわけでありますけれども、この融資の実行直後に今度は政府筋から、玄葉大臣を始めとしまして閣僚の発言で東電の国有化論が急に浮上してまいりました。実際、この一・九兆円の融資を実行した際の民間金融機関判断としては、まさか国有化というのは前提に入っていない融資であったというふうに言われているとおりでありますが、それが、いきなり国有化論が融資実行直後から発生して、そして銀行株が急落を招いたというふうに報道されているとおりであります。  膨大な損害賠償の東電負担に関するやはり早急な政府としてどうするかという方針が決められないために、逆に、この政府のコメントのぶれとか、こういった賠償責任に関する方針の策定の遅延、こういったものが金融市場に混乱を招いているというふうに思われるんですが、自見大臣、いかがでしょうか。
  25. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 簡潔に申し上げます。  株価に関しましては、様々な要因がございますので、市場において決定されるものでございますから、先生、今、東京電力の株価についての御質問でございましたが、変動要因を特定することは困難でございますからコメントは差し控えさせていただきたいと思っています。  いずれにいたしましても、三月二十九日の株式市場動向を見ると、TOPIX及び日経平均株価についてはほぼ横ばい状態で推移し、御指摘のような混乱はなかったというふうに私は認識いたしております。
  26. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 金融担当大臣としては非常にマーケットの動向に対してセンシティブでない、これはちょっと極めて問題なコメントを今最後にされたなという気がいたしますが、今、金融市場が一番懸念をしているのは、東電の社債がどうなるかと、あるいは国有化された場合にその金融資産はどうなるか、どういう扱いを受けるだろうかと。それが明確に方向性としていまだにくすぶって打ち出されていないので、金融市場関係者というのは非常に萎縮した状況に置かれざるを得ないわけであります。  そこでお伺いしたいと思いますが、東京電力債ですけれども、東電債は電気事業法第三十七条によりまして一般担保付社債と規定されております。これは、東電債の保有者に東電の全財産についてほかの債権者に優先して弁済を受けられる権利があることを規定したものでありますが、これ、社員の未払給料とか退職金や共益費などの民法上の一般の先取特権に次ぐ高い弁済順位という規定になっております。これに間違いがないかどうか、経済産業大臣、確認させてください。
  27. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 今回の原子力発電所の事故による損害でございます。原子力損害の賠償に関する法律というものがございまして、一義的には事業者が責任を持って対応すると、担うと、こう考えております。  我々は、基本的には、基本的にはといいますか、東京電力には民間事業者として頑張っていただきたいと、そう考えておりまして、現実にいろんな、一都八県に対する電力供給も行っておりますし、そういうライフラインに対する責任も負っておりますので、そういう経営をしっかり継続していきながら、収益を元にしながらこういう賠償にもしっかり当たっていただきたいというふうに考えておりまして、国有化の問題も全く我々としては考えていないということでございまして、民間事業としてしっかり頑張っていただきたいというのが基本でございます。
  28. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ちょっと違う答弁をされたようでありますけれども、電力債の取扱いについて一般担保付社債というふうに電気事業法第三十七条で規定されております。これは民法上の一般の先取特権に次ぐ高い弁済順位という理解で構いませんか。もう一度お答えください。一言でお答えください。
  29. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 御指摘のとおり、電気事業法三十七条によりまして、一般の先取特権、一般財産につきまして他の普通の債権よりも優先に弁済を受けるその地位にあります。
  30. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今後の東電の事業再建において、例えば最近では日本航空の再建で会社更生法が適用された直近の事例があるわけでありますが、会社更生法によりますと、一般の先取特権その他一般の優先権がある更生債権に分類されていますこの一般担保付社債は、先取特権や更生担保権に劣後する関係にある一般更生債権に分類されている損害賠償請求権よりも優位にあるという見方があるわけであります。  会社更生法上、この解釈で間違いないでしょうか。
  31. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 会社更生法上は、一般の更生債権よりも上位の一般の優先権がある更生債権として扱われます。
  32. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 すなわち、会社更生法上の解釈によれば、東電は一般担保付社債である東電債の債権実現を保全しつつ、損害賠償の支払が生じれば更生計画において実質的に棒引きを依頼する対象となり得るのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
  33. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 棒引きというのは、社債についてでございますか。
  34. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 いや、損害賠償です。
  35. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 損害賠償の場合は、これは優先権の順位が高いものから弁済を受けますので、優先権が高い債権者において財産の全部が仮に弁済されれば一般債権者には配当がないというのが、これが一般の原則でございます。
  36. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ちょっと意味がよく伝わらなかったようなんですが、要するに、一般担保付債権である東電債と損害賠償請求権の優劣の順位について確認をさせていただいているんです。  今のお答え、先ほどのお答えでは一般担保付債権の東電債は優位にあるというふうにお答えいただいたと思いますが、それを受けて、仮に会社更生法を適用した場合に、更生計画においてこの損害賠償請求権は一般担保付社債である東電債よりも劣位にあると。したがって、会社更生計画において損害賠償請求権は、いわゆる棒引き交渉の依頼をする対象になり得るのではないかと、その点のお答えをいただきたいと思います。
  37. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 個々具体的には更生計画案によりますので、常にそれが同じというわけではございませんが、やはり一般債権は優先債権に劣後しておりますので、優先権の方が先に優位に弁済されると。ですから、一般論としましては、やはり劣後する一般債権は、弁済を受けない、あるいは優先する債権、計画案におきましてもやはり劣後した扱いになることがございます。  ですから、棒引きというのがちょっと何とも言えないところでありますが、会社更生法の場合には、それぞれの債権者ごとに更生計画案が出てそれを了承するということによって成立するわけでございますので、具体的な内容は更生計画案によりますが、一般論といたしましては、やはり劣後する債権は劣後するわけでございますから優先債権よりも劣ると。ですから、全額を満たすだけの財産がないとすれば、それは債権カットされる可能性が一般的には高い。それを棒引きと言うようなことであれば棒引きということになると思います。
  38. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 まさにその点を確認させていただきたかったんですが、要するに、東電が損害賠償請求権に応じるだけの十分な資金がなければ、かぎ括弧付きの棒引きという対処もあり得るということになるわけだと思います。それが法的な解釈であるということが今確認できたと思います。  要するに、法律にのっとってやれば、一般担保付社債である東電債は守られるという、優先順位が高いという位置付けに法律的には保証されているわけでありまして、ですから、あくまで粛々と政治議論なしに法律論にのっとって、誰が損害賠償に応じる実質的な負担能力があるかということは、もうこれは最初から極めて明白なんですね。東電には限界があると。ですから、その残りの部分については、やはり最初から相当な政府負担を認めて、そして早急に東電と政府との負担割合の枠組みを策定し始める方が、前に進み出す方が、被災者の生活設計を前に進めるという意味でも、経済界も金融市場も安定に向かい、誰もが前に進み出せるはずなんですが、その財政上の覚悟ですね、これは野田大臣、ありますでしょうか、いかがですか。
  39. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) ちょうど昨日なんですけれども、閣議決定がございまして、文部科学省に設置されました原子力損害賠償紛争審査会、この審査会において原子力損害の範囲の判定の指針などの策定が行われまして、事故との相当因果関係が認められるものについて、原子力損害賠償法に基づき損害に対して適切な賠償が行われることと承知をしています。その法の枠組みでは、第一義的には事業者である東電ということになります。そういうちょっと手順を踏んだ中での判断になってくると思います。
  40. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 早急にやはり政府が方針を打ち出すということが一番大切であると思いますし、その中で国有化とは一線を画す対案もいろいろ出ているようですが。劣化資産、いわゆる廃炉のコストですとかあるいは損害賠償という、この問題処理の部分だけを東電から会社分割、切り離して、スペシャル・パーパス・カンパニー、SPCなどを設置して、そこで政府保証債を発行して損害賠償資金に充てると、賠償請求に応じると。そしてまた、その政府保証債の元利金支払の原資としては、当然ながら、新しい、生まれ変わった東電の、グッドカンパニーの東電から捻出をし、また電力会社十社合わせた共同基金を設けてそこから基金を拠出、それでも足りない部分は政府の負担だと、そういう順序はあると思うんですが。そういう提言も出ておりますが、財務大臣、最後にいかがでしょうか。
  41. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、枠組みとしてはやっぱり原賠法であって、第一義的には東電の責任でありますけれども、一番大事なことは被害に遭われた方々に適切な補償が行われるということでございますので、そういった面で万全を期していきたいというふうに思います。
  42. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございました。これで質疑を終えます。
  43. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 自由民主党の丸川珠代でございます。  震災後初めて質問をさせていただきます。  昨日で震災から丸一か月となりました。まだ、いまだに一万人以上の方が行方不明になっておられ、また避難所で生活をされている方が今十四万六千人もいらっしゃいます。被災された皆様方に改めてお見舞いを申し上げ、また今行方不明になられている方が一日も早く、また一人でも多く家族の元へ帰れるということを願ってやみません。  仮設住宅の入居もようやく始まりましたけれども、必要とされる数が六万二千二百九十戸、菅さん七万戸とおっしゃっていますけれども、まだやっと七千四百戸が着工しただけであります。住まいの確保、そして収入の確保、これが今被災地方々が将来に対して最も不安を覚えていらっしゃるところであり、政府に対しては是非早い見通しを示していただきたい。復興の方針についての見通しです。そして、時間的な見通し。この復興の地図と、あとスケジュールともいうべきものを早急に示していただきたいということを最初にお願いを申し上げたいと存じます。  お願いを申し上げた上で、被災地の復興に欠かせない金融についてお伺いをしたいと存じます。  既に政府は、預金の払戻しやあるいは融資について柔軟に対応を進めるように金融機関に幾つも要請はしておられますし、また震災金融市場決済システムの安定について政府、日銀挙げて尽力をされましたことは高く評価をさせていただきたいと思います。  また、金融機能強化法改正案を提出されることについても自見大臣が会見等でおっしゃっておりまして、先ほど佐藤議員からも御質問がございました。既に仙台銀行が申請を検討しているというような報道もございますが、被災地金融機関への公的資金注入については、是非これが、その銀行の株主のためではなくて地元の復興のため、借主のために使われているかどうかをきちんと監視をしていただきたいと思いますが、ごめんなさい、通告にないんですけど、大臣一言だけお気持ちがございましたらおっしゃっていただけますか。
  44. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 三月十一日の本当にマグニチュード九の大変大きな地震と大変大きな津波、たくさんの方が亡くなられたし、今でも不明者の方がたくさんおられる、そして大変広い範囲にわたっているわけでございますから、そういった中で今マーケットを開いていたことを丸川議員が評価していただきましたが、政界の一部にもマーケットは閉めるべきだと、あるいは先物市場は制限すべきだという御意見があったわけでございますが、私はこういったときだからこそ逆に日本はきちっとマーケットを世界に向けて開けておくべきだと、私の強い気持ちで開けさせていただいたわけでございます。  確かに、次の月曜日は六百三十三円下がって次の日は千円下がったんでございまして、大体、市場も、確かに大きな津波が来たんでございますが、大体九割方で今はある程度落ち着いておりまして、私はそういった意味で、今、丸川議員がマーケットを開けていたということを評価していただいたことを大変有り難いと、こう思っております。  それから、まさに被災に遭った、これ地域中小企業あるいはいろんな企業があるわけでございますから、これは健全な強力な金融機関がなければ自由主義社会においては企業経済社会も成り立たないわけでございまして、しかし、突然の大震災でございますから、やはりそこは適宜適切に、全身全霊を挙げて、当然これ金融機関でございますから、人からお預かりした預金でございますから、それを運用していくわけでございますから、そのことを踏まえながらしっかりもう最大限の、被災に遭われた企業、あるいはそういったことに対して金融機能強化法ということもあったわけでございますし、また、この被災の間できるだけつなぎ資金も貸すようにということを金融庁からお願いをさせていただいたわけでございますから、できる限りのことは、いろんな法律を駆使し、一部法律を変えさせていただきたいと思っておりますけれども、できるだけ皆様方の御理解をいただいて、この被災に遭われた中小企業、あるいは中小企業円滑化法案も延長させていただきましたから、個人で住宅ローンのいろいろな条件変更というものを、中小企業、個人、できますから、そういったことを最大限に利用してやらせていただきたいというふうに思っております。
  45. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 法律改正し、お願いすることも大事ですが、それが実際に、入れたお金が隅々に行き渡って生かされているかということについては目を光らせていただきたいというお願いでございます。  さて、政府は、未然にそうやって資本を増強する手段を用意していく一方で、金融検査、また監督の指針についても震災対応した特例措置あるいは運用の明確化措置というものを指示しておられます。  この内容が、貸出先の状況被災のために把握できない場合は、それまでに把握している状況で査定をしてよいというものであります。また、被災地に限らず震災影響による計画停電や原材料の調達難などから財務状況が一時的に悪化している債務者については、震災による赤字、延滞を一過性のものと判断できる場合には債務者区分の引下げを行わなくてもよいことを明確化されると。それから、貸倒引当金についても、貸倒れ実績率等の算定に当たっては、今般の震災影響による貸倒れ等の実績は異常値として、震災影響がない貸出金の貸倒れ実績率等には算入しなくてもよいことを明確化されるというものでありますが、これらの措置は、被災者の債権について金融機関が一時的に判断を棚上げして、結果的に復興のための資金の融通をスムーズにするという上で非常に重要な措置だと思います。  ただ、この一時的というものをどう読むかということによってどういう債権が対象になってくるのかというのは大きく左右されますし、ひいては今実際にお金を借りておられる方の安心にもつながっていく問題だと思いますので質問をさせていただきますが、この震災による赤字、延滞が一過性のものと判断できるかどうかは、復興の時間軸あるいはプロセスというものが示されていることが大前提ではないのかなと思います。  例えば、東北経済を支える産業の一つであります水産加工業をちょっとイメージしていただきたいんですが、水産加工業は、これは港と船が稼働していないことには成り立ちません。東北では、御承知のように、漁船が九割失われてしまいました。一体このうちの漁船がどのくらいのペースでどのくらいの期間で復活するのか、これは政府の手助けにもよりますけれども、その見通しがなければ水産加工会社の赤字が、あるいは延滞が一時的なものでとどまるのかどうか、それともそうではないのかという判断はできないことになります。  あるいは、ほかの例を挙げますと、原発の地域でございますけれども、原発による屋内退避区域の方々、多くは放射性物質の飛散が収まったら地域へ戻りたいと考えておられる方は多いと思いますが、例えば地域で小売業を営む人、一体どの程度の人がどのくらいのペースで戻るかというのは、正直、政府がどういうふうに原発をこの先処理していただけるのかということによって全く変わるわけですし、昨日、計画避難区域というものも指定されまして、ある程度見通しは見えるようになるのかもしれませんが、それでも数年とか非常にまだ曖昧な数字の単位でしかないわけでありまして、こういう見通しが示せなかった場合には、一体検査官は一時的というのをどのように判断するのかなという疑問があるわけでございます。  是非、今挙げましたそれぞれの事例を基に、考え方というものをお答えいただけますでしょうか。
  46. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 丸川委員の御質問にお答えしますが、先ほど来お話をお伺いしておりますと、委員のお気持ちとしても、また被災地における金融機関と債務企業との関係の実情にしましても、私たちが一番重視しなければいけないのは、この状況の中で金融機関と債務企業とが本当に信頼関係を持って復興に最善を尽くせるような環境を整備するということだろうというふうに思います。  そうした視点から、先ほど農林水産業の例を出していただきましたが、確かに漁業を営んでいらっしゃる方、若しくは加工業を営んでいらっしゃる方は、港湾が整備され船が出ていけるようにならなければ事業が始められないのですから、それまでの間は一時的だというふうに言わざるを得ないようにも思います。  ただ、さりとて、その一時的なのが、今から数か月間の範囲はもうほとんどの方々が共通に認識できる一時的な要素だと思いますけれども、それがおっしゃるように数年間にわたって何の見通しも立たないままずっと引っ張っていけるだろうかという御不安は非常によく分かるような気がいたします。しかし、そこで今、金融当局としまして、そこの、その一時的なという用語のメルクマールをどこかで示すことは、むしろ今の現地における金融機関と債務企業との信頼関係を維持増進していくのに役立つだろうかということを考えてみた場合、もう少し我々としては事態を注視していく必要があるんじゃないかというふうに思っている次第でございます。  ですから、今回、まず当座とり得る措置として、この検査マニュアルなり監督指針なりの表現を一時的なときにはそれをそのまま健全な状態と置き換えてもいいんだよというようなことを示させていただきましたが、そこから先、時間の経過とともにある程度のことは考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。
  47. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 基本的な精神は同じだと思いますので、とにかく不安を与えないということがまず当座、数か月、一年程度にわたって本当に一番優先されることではないかと思いますが。  もう一点、その一時的という言葉が出ているところがございました。これについてもお伺いしたいんですが、被災地に限らず、震災影響による計画停電や原材料の調達難などから財務状況が一時的に悪化している債務者というのがあります。例えば、これ風評被害というものが一時的になるかどうかというのは正直まあ誰にも分からない部分ではあります。出荷制限にも掛かっていないにもかかわらず、同じ地域から出ていく野菜、今もう値段が暴落しておりまして、一生懸命みんなで今、大丈夫な野菜は食べましょうということで、我が党も党を挙げて活動をしておりますけれども、実際には例えば箱代の利益も出ないので野菜捨てざるを得ないというようなところがあるわけでございます。  東京を始め観光地はいずれも外国人観光客が激減をしておりまして、例えば北海道ですと、旅館組合に入っている八十五軒でアンケートを取ったら、宿泊施設で六月末までに二十六万人もキャンセルが出ているというんですね。これは当然財務状況大幅に悪化することが予測されるんですが、はて、これが一時的ということで判断していただけるのかどうか、またこれ震災影響ということに含まれるのかどうかということ、この二点についてお答えをいただけますでしょうか。
  48. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今御指摘いただいたように、今回の震災の現時点の状況を見ますと、被災地のみならず全国に例えばサプライチェーンの問題等あって取引の影響が及んでいたりします。まず、そういった意味におきましては、直接的な被災企業、それを融資していらっしゃる金融機関という関係だけではなくて、全国でお取引があるというふうに思えるようなところも全て対象として考えていただいてよいということになっています。  それから、その一時的かどうかというのは、先ほどのちょっと答弁の繰り返しにはなってしまうんですが、それらの全国にいろんな関係を持っていらっしゃる企業があって、その企業に対して融資していらっしゃる金融機関の方がその震災影響が少なくなって、なくなっていったときには回復できるというふうに思っていただけるのであれば、それも一時的というふうに考えてよろしいのではないかと。ただし、あくまでそこは最終的に冷静な判断は必要な領域でございますので、そこまで一時的と言いますかというようなところはある程度はあるのではないかというふうに思っています。
  49. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 金融機関判断に委ねられるということになると、金融機関の心意気一つということにもなりかねないと思いますので、これは考え方としてでいいんですけれども、例えば震災から一定期間はもうとにかく間口を広く取って多くの人に手を差し伸べる、だけど、一定期間を区切って、そこから先は金融システムの安定、正常化に向かってきっちりと区切りを付けますよというような、別にその時期を明確に今言う必要はないんですが、今そういう考え方ですというような示し方もあるのではないかなと思います。  自見大臣にお伺いしますけれども、簡潔にお答えいただきたいんですが、この特例措置、上記運用で、今申し上げたような運用で対応される期間について、考え方、お示しはいただけますでしょうか。
  50. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) まさに三月十一日、決算期間際に発生したわけでございますから、私、前の委員会で申し上げましたように、非常時には非常時の対応の仕方があるということを申し上げましたので、できるだけその地域中小企業あるいは経済、そういったところに、できるだけそこにお手伝いできるように、しかし同時に、金融機関でございますから、民間金融機関でございますから、当然、今さっきも申し上げましたように、人様から預金を預かってきておるわけでございますから、そういった意味で、公的金融でございますね、これは、政府の税金を入れて、例えば予算であれば、補助金であれば全額もらえるわけでございまして、また公的金融であれば利子の補給をして非常に低利、長期、固定金利も用意できるわけですから、そういったところ、あるいは信用保証協会ともきちっと手を合わせながらしっかりやっていきたいということでございまして、今先生から御理解いただきましたように、先どうするのかという御質問でございましたが、そのことは今後の推移をしっかり注視してまいりたいということを申し上げておきたいと思っております。
  51. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 続いて、震災の復興の財源の議論をめぐって、今、日銀の国債引受けということが取りざたされておりますが、政府にお伺いしたいと思います。政府は市中の金利上昇を招かずに市中消化できる国債発行額というものを現時点でどの程度というふうに考えておられるんでしょうか。
  52. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) お尋ねの金利の動向というのは、国債発行額だけではなくて様々な経済金融情勢要因によってこれは左右されるものだというふうに思いますので、一概にどの程度発行すれば金利が上がると数字を挙げて言えるということではないというふうに思いますが、ただし、少なくともその債務残高が対GDP比で主要国では最悪の水準であり、平成二十三年度中でも借換債も含めて百六十九・六兆ですか、約百七十兆ほど国債発行するわけでございますので、市中消化できるように適切な国債管理政策と併せてやっていかなければなりませんが、市中消化するためにはやっぱり財政規律を守っているというそのメッセージを常に発信しておくことが極めて肝要だというふうに思います。
  53. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 日銀白川総裁にもお伺いしたいと思いますが、日銀は市中の金利上昇を招かずに市中消化できる国債発行額を現時点でどの程度とお考えですか。
  54. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  ただいまの野田財務大臣と同じ見解でございます。  中央銀行ですからマーケットという立場からお答えしたいと思いますけれども、現在、日本財政状況が非常に厳しいにもかかわらず、これまでのところ長期金利は低利で安定的に推移しておりまして、国債発行も円滑に行われております。これは大きく言って二つの背景があると思います。  一つは、これはマクロ的な背景でございますけれども、我が国は家計及び企業部門の貯蓄超過状態が続いておりまして、金融機関も十分な資本基盤を有しております。したがいまして、金融市場の安定が確保される限り、マクロ的には国債の円滑な市中消化を支える、そうした環境が維持されるというふうに考えております。  それから二つ目の条件は、これも先ほど大臣が触れられましたけれども、広い意味での政策に対する信認ということだと思います。具体的には、最終的に日本の国民は中長期的な財政再建に取り組む意思があるというふうに市場参加者が認識していると、もちろん状況は厳しいわけですけれども、そうした意識がある。それから、金融政策についても、日本銀行金融政策が物価安定の下での持続的な経済成長を支えるという目的にきちんとフォーカスをされているということに対する信認があるということでございます。  逆に言いますと、こうした二つの条件、これをしっかり維持していくということが大事だというふうに思っております。
  55. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 震災の復興は一時的でなくては困りますし、一時的な財源を確保するためであれば、より迅速にそして十分な量を供給するために必要とあれば特別な判断をすることも必要であると思いますので、どの程度の財源が必要かということに制約が掛からない形で検討が進められるように希望いたします。  最後に、金商取引法についてどうしても一点指摘をしておきたいんですが、適格投資家を新しいカテゴリーとして加えるということについて、ただでさえ分かりにくい金商法を更に分かりにくくするおそれがあるのではないかという懸念海外の運用者から耳にしております。  既にこの一般投資家、特定投資家を自分の申請で行ったり来たりということによって、募集を掛ける側からは、一体この人が私たちが募集を掛けていい相手なのかどうか、それはどのような条件で掛けなきゃいけないのかということが非常に分かりにくいと。例えば、金商法の解釈についてリーガルオピニオンを取ると、大手の弁護士事務所に聞いてもばらばらで、結果的に、これはリスキーなので日本で募集するのはやめようという海外の運用者がいるというのが現実に起きていることなんですが、この点についての御認識を最後にお伺いして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  56. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今御指摘の適格投資家というカテゴリーをつくるということをまた次に御審議をお願いします金商法の際に御説明申し上げてまいりたいと思いますが、時間がございますので、簡単にお答えしたいと思います。  今までとにかく意欲的に投資をしたいと思っていらっしゃる方々のうち、先ほど御指摘のような機関投資家方々は、もう事前に御説明する必要もなくもうとにかくどんどん取引をしていただければよいのだと思いますが、もう少しその範囲を広げまして、事前にいろんな御説明をしなきゃいけないというところの要するに手続を省略できる層はどこだろうかということを探した際に、ここまでの要件が備わっていればそれを省いて投資してもらってよいのではないかということでございます。  それを、そういう、何か曖昧な定義になっているんじゃないかという御指摘もおありかも分かりませんが、そういったことが業者側から見たときにそれを使いづらいというふうに映っているということについては、もう少ししっかりとそうでないということを御説明する必要もあるというふうに考えていますが、いずれにしましても、私たちは投資家の層を広げるためにこうしたことをやっているつもりでございます。
  57. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 丸川珠代さん、時間が参りましたのでおまとめください。
  58. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 金融立国を掲げる政府でございますので、ルールは分かりやすくということをもう一度考え直していただけたらと思います。  以上でございます。
  59. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、白川総裁に所感をお尋ねいたします。  白川総裁は、平成二十年四月に総裁に就任をされまして、三年を経たわけでありますが、この間、平成二十年九月にはリーマン・ショック世界的な金融危機の拡大という事態に直面をする、またこの度は未曽有の我が国の大災害に直面をするという、まさにそうした大変な状況の中で三年を経過したわけでありますが、この間の日銀の金融政策運営を振り返っての所感があれば、一言お伺いしたいと思います。
  60. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本経済を改めて振り返ってみますと、バブル崩壊以降、日本の潜在成長率が徐々に低下し、その下で物価が緩やかではありますけれども下落をするという状況が続いております。こうした状態をできるだけ早く是正していくというのが大きな日本経済にとっての課題でございます。  この三年間ということで振り返ってみますと、そうした日本経済全体の抱える大きな課題についてはまだ残念ながら達成ができていないという状況でございます。そうした中で、今もお話もございましたけれども、リーマン・ショック、それから今回は東日本大震災という二度の大きなショックを経験したわけでございます。こうした中で、日本銀行金融政策でございますけれども、二〇〇八年の秋以降、政策金利の引下げや、あるいは様々な金融市場の安定化確保策、それから企業金融の円滑化措置、さらには成長基盤強化支援のための措置、それから昨年秋には包括緩和の下での資産の買入れ等の措置、それから今般は被災地金融機関を支援するための措置等々、様々な措置を講じ、日本銀行の持てる金融という面からこの日本経済をできるだけ早く物価安定の下での持続的成長軌道に復帰させる、そうした努力をしております。  ただ、残念ながら、冒頭申し上げましたとおり、この二つの大きなショックもありまして、日本経済は現在厳しい状況にあります。私としては、現在の職に就いて以来一貫してそうでございますけれども、日本銀行法に定められた使命、つまり、物価安定の下での持続的な経済成長の実現、それから金融システムの安定ということについて、これからも全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  61. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、先ほどの御報告の中で我が国経済先行きということで、緩やかな回復に復していくと考えていますと、しかし不確実性が大きいということで、下振れリスクということで様々具体的に指摘をされております。  私は、白川総裁指摘をされたこの下振れリスクというのはかなり蓋然性が高いという、そういう実感を持ちます。私は愛知県に住んでおりますが、もちろん直接の被害はなかったわけですけど、しかし自動車工場のラインは一部を除いて今も止まったままでございまして、これは部品が、もう言うまでもなく調達できないということであります。  私は、こうしたことをきっかけにもう一気に製造業の空洞化が進んでしまうということだって十分これは心配をしなければいけない、こういう実感を持っておりまして、そうした意味ではこの下振れリスクというのは、かなり蓋然性の高いことをここに羅列しておられるのではないかと思っておりまして、本当にこういう緩やかな回復経済軌道になっていくという、このように確信していいものかどうか、改めてお尋ねします。
  62. 白川方明

    参考人白川方明君) 冒頭申し上げましたとおり、日本経済先行きについては非常に不確実性が高いというふうに思っております。そう申し上げた上でこの先の経済動き考えてみますと、現在は震災影響により生産面中心に強い下押し状態に今あるというふうに理解しています。サプライチェーンの寸断あるいは電力供給制約等によって大きく生産能力が低下している状況でございます。経済活動は現在大きく落ちております。  その落ち方という点で見ますと、二〇〇八年秋のリーマン・ショックと同じように、短期間に急激に今落ちているということでございます。ただ、前回の、リーマンのときにはこれは金融の収縮を原因として突然に需要が蒸発をしてしまう、つまり需要自体がなくなってしまったわけでございます。今回は、これは突然、供給制約発生をしたということでございます。しかし、需要これ自体は新興国の高い成長に支えられまして、世界経済これ自体は現在順調に拡大をしております。  したがいまして、何とか一日も早くこの供給能力の制約生産設備への障害、これを取り除くことが最大の課題でございます。この間、日本銀行は、そうした経済の下押しということが金融を通じて更に下押し圧力をもたらすことがないように、先般、金融緩和の強化を決定いたしました。  いずれにせよ、この経済先行きについては不確実性が高いというふうに見ておりますし、何よりもこの経済の立て直しという点では、供給能力の回復に全力をやっぱり日本としては挙げていく必要があるというふうに考えております。
  63. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この委員会でもデフレ克服に向けての日銀の役割ということで批判的な意味も含めて様々議論がなされてきました。  今回の震災を受けて、すぐにもう間髪を入れず金融緩和措置をされておりまして、リスク性資産の買入れの基金を上増しをするですとかという、そうした措置を講じた、このような御報告がございましたが、今回のこの金融緩和措置というのは実体経済の悪化の防止にどの程度効果が見込めるのか、この点をお尋ねします。
  64. 西村清彦

    参考人西村清彦君) 今御指摘のとおり、日本銀行は、地震発生後の週明けの三月十四日の金融政策決定会合で、まずCP、社債等、それから指数連動型上場投資信託、いわゆるETF、それから不動産投資信託、いわゆるJ—REITですが、このリスク資産を中心資産買入れ等の基金を五兆円増額して四十兆円程度とすることにより、金融緩和を一段と強化したわけです。  これは、震災に伴う企業マインドの過度の悪化とか金融市場におけるリスク回避姿勢の過度の高まりということが実体経済に悪影響を及ぼすということを未然に防止するというのが主な目的であります。基金の増額分はまだ一部の買入れを始めている状況です。しかし、震災直後、CP・社債市場を始め一時期リスク回避姿勢がかなり高まったということも事実ですが、その後きちんと見ておりますと、金融市場にも全体として落ち着きが戻ってきております。  このように、私どもとしては、先月決定した金融緩和政策は既に相応の効果を上げているというふうに考えております。今後についても、引き続き経済に対する影響というものをしっかりと点検していきたいというふうに考えております。
  65. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 経済の下振れリスクということを考えますと、今後、今回の緊急の金融緩和措置は一定の効果があったということでありますが、更なるそういう追加的な対策ということも考えていくという、こういうお立場なんですか。
  66. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  三月の震災直後、金融緩和の強化を決定いたしました。現在はこの線に沿いまして資産の買い増しを今行っているという段階でございます。数字で申し上げますと、資産の買入れは最終的なめど額、限度額というのが十兆円でございますけれども、この三月末では二・九兆円でございます。今、着実にこの買入れを行っております。現在、これがどのような効果を及ぼしていくのかということを注意深く点検しております。  一方で、経済先行きについては、これは先生指摘のとおり不確実性がございます。私どもとしましては、引き続きこの震災影響を含めまして、先行き経済物価動向を注意深く点検し、必要と判断される場合には適切な措置を講じていくというのが基本的な構えでございます。
  67. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、いわゆる禁じ手と言われるようなことまで日銀に求める、そういう立場ではありませんけれども、しかし、今の制度の中でできることは思い切って金融緩和考え得る全ての手段を出動してほしいということは要請をいたします。  そこで、金融機関に対する措置としては長めの資金供給オペレーションを実施をすることにしたと。この具体案については今月末の政策決定会合で細目は決めますと、こういう御報告でございました。これは阪神大震災のときにも行っているわけでありますが、今回は貸出し規模は一兆円で期間は一年間、利率は〇・一%と、こういうことでございますが、これも阪神のときは期間を延長するということをしておりますが、今後状況に応じて更に長めの資金オペレーションについても延長あるいは規模の拡大ということは十分考えていくのかどうか、そういう状況であるのか、お尋ねします。
  68. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  まず、今回の規模を一兆円とした考え方でございますけれども、内閣府の試算によりますと、今回の大震災の直接的な被害の見込額が御案内のとおり約十六兆円から二十五兆円程度と、阪神・淡路大震災の二倍程度であります。それから、前回阪神・淡路のときに日本銀行が行いました復興支援貸出し、このときの限度額が五千億円、実績は二千七百十五億円でございました。そうした被災の規模が一応二倍であるという政府の試算を前提に、今回、前回限度額の二倍の一兆円、それで金額は、一年という形でスタートいたしました。  これ、現在被災地金融機関においてはまだ今具体的に資金繰り上の何か問題が生じていること、これは全くございません。ただ、これから本格的に復興復旧が始まっていくときに、そのときに日本銀行としていち早くこの資金供給の体制をつくっていくことによって安心感をつくりたいというのが趣旨でございます。  一方、並行して政府それから地方公共団体においてもこれは復旧復興に向けた様々な支援措置、この検討も始まっているというふうにお聞きしております。日本銀行としましては、今後、復旧復興に向けた資金需要の出方に加えまして、被災地金融界の取組状況、それから公的支援の状況も踏まえつつ、日本銀行として必要と判断される場合には適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  69. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の事態での金融決済システムはおおむね問題なしという状況でございました。ただし、一部の金融機関で、義援金の振り込みが集中したというようなことが理由にしておりますけれども、トラブルがあったということは事実でございます。  日銀としては、こうした自然災害だけではなく、システム障害などの技術的問題、さらにはテロ等の人的なそうした災害の問題、さらには感染症の発生等、あらゆる障害の発生に備えて、この金融システムが動じないような、そういう対策を引き続き取る必要があるわけでございますが、今回のこうした災害も踏まえて、この円滑な資金決済を確保していくための今後の日銀の取組についてお考えがあればお尋ねします。
  70. 山本謙三

    参考人山本謙三君) お答えします。  御指摘のとおり、金融決済システムは国民生活や経済活動を支える重要なインフラであります。日本銀行はこれを踏まえまして、今御指摘のありましたような様々な想定を置いてこれまで業務継続体制の充実に努めてまいりました。また、民間金融機関に対しても多くの助言を行いますとともに、協力して定期的な訓練の実施に当たってまいりました。今回の震災では、こうした取組の成果もありまして、我が国資金・証券決済システムは基本的に安定的な稼働を続けてきたというふうに考えております。  もとより、業務継続体制の整備は、事柄の性質上、これで十分ということはあり得ないわけであります。今回の震災を踏まえれば、例えば電力の供給が長期にわたり制約を受けるといった可能性なども念頭に置きまして、我が国金融決済システム全体の業務継続体制を改めて点検し、一層万全を期していきたいというふうに考えております。また、個別金融機関や個別企業の取組を補完し、これが整合的なものとなるよう、将来的にはより多くの金融機関などを幅広く対象としました訓練なども検討していきたいと考えております。
  71. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、急激な為替変動への対応について日銀総裁財務大臣にお尋ねいたします。  三月十一日の震災発生以降、三月十七日には海外市場で一ドル一時七十六円二十五銭という史上最高値を記録をしたわけでございます。このように、震災後急激に、一時的にではあれ円高が進行した背景につきまして、日銀また財務大臣はどう分析をしているのかお尋ねします。
  72. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では、まず白川総裁
  73. 白川方明

    参考人白川方明君) それでは、最初に私から答えさせていただきます。  震災発生後の為替相場の動きを見ますと、発生直後には、日本企業金融機関による外貨資産の売却、よくこれはマーケットではレパトリエーションという言葉を使っておりますけれども、財源捻出のために外貨資産を売却するのではないかという思惑などがありまして、円が買われる展開をたどりました。  また、三月十七日の早朝でございますけれども、外為証拠金取引に係りますロスカット、損切りのための円買いなども加わりまして、これは若干テクニカルな要因でございますけれども、そうしたことも加わりまして、一旦は既往ピークとなります七十六円台に達しました。  もっとも、今申し上げました外貨資産の売却、とりわけ日本の機関投資家が外貨資産を売却し、そのことで円高になっているのではないかという点については、これは全く根拠のないものであったというふうに考えております。  こうした円高方向動きは、三月十八日に実施されましたG7の協調介入を契機に歯止めが掛かっておりまして、足下では、これは欧米の金利上昇もありまして、やや円安方向に振れる展開になっているというふうに見ております。
  74. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 大臣はいいです。
  75. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 野田大臣はいいんですか。
  76. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もう時間もあれですので。  今総裁がおっしゃったように、三月十八日にはG7の協調介入が功を奏したということでございますが、今後、為替の安定につきましてどう国際協調を行っていく考えなのか、これは財務大臣にお尋ねいたします。
  77. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 一時的な円高の要因については、総裁の御指摘のとおり、分析のとおりだと思います。  発災は三月十一日でした。国民が、多くが不安に思っているときに過度な変動とか無秩序な動きで為替によって日本経済が打撃を受けるということはまさに二次災害みたいなものですから、そういうことにならないように私どもから今般は介入の要請をしました。各国とも適切に御協力をいただきました。  この関係はこれからも続けていきたいというふうに思っておりまして、これから、十四日から十七日にかけて、白川総裁とともに、国会のお許しもいただきましてG7、G20、IMFC等の国際会議に出てまいります。今般の適切な協力について御礼を申し上げるとともに、引き続きマーケットを注視しながら適切な協力をするということの確認も併せてしてまいりたいというふうに思います。
  78. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、リーダーシップをそうした国際場裏において取ってもらいたいと思います。  次に、中小企業金融につきまして、以降は財務大臣中小企業庁又は金融庁にお尋ねをいたします。  政府は今月中に二十三年度補正、一次補正を国会に提出をする予定と聞いております。今、被災地は当然でありますけれども、オールジャパンでもう中小企業金融面で大変に厳しい状況にある、このように思っております。  そこで、今回の一次補正では、この中小企業金融対策としては何を盛り込むつもりなのか、財務大臣にお尋ねします。
  79. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 東日本大震災によって被災地における中小企業が大変甚大な影響を受けていることは間違いございません。加えて、そうした被災地中小企業と取引関係のあるまた企業にも影響があるし、加えて、計画停電等によってこれまた大きな影響を受けている中小企業もございまして、これは、被災地だけではなく、もうちょっと広い範囲で中小企業に対する特に金融面での支え方を考えなければいけないと思っています。これは各省とも今協議をさせていただいておりますし、加えて、各党からも御提言をいただいています。  そういうものを踏まえて、まだ額がどれぐらいになるかは別として、中小企業の資金繰り対策等を中心とした金融対策をしっかりと補正予算の中には盛り込んでいきたいというふうに思います。
  80. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 我が党も、今月五日に菅総理に対しまして山口代表、我が党の対策総合本部長が申入れをし、提言をしておりますので、是非取り上げていただきたい、このように思います。  若干具体的な提言の内容を申し上げますと、我が党は、今、政策金融公庫の災害復旧貸付制度がありますが、これを抜本的に拡充をするべきだ、こう提案をしております。それは、今大臣がおっしゃった、被災地のみならず取引先等も含めたオールジャパンの企業対象とするべきである。あるいは、貸付限度額も五億円まで、現行一・五億円でありますけれども、増やすべきである。そしてまた、元本の据置期間を十年間、こういう思い切った借りやすい制度にするべきだ。こうした提案をしているわけでありますが、こうした政策金融公庫の災害復旧貸付制度の大幅拡充ということを是非予算の裏付けを持ってやっていただきたいと考えますが、この点いかがでしょうか。
  81. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 荒木委員の御指摘のとおり、地震による被害を受けた中小企業については、日本政策金融公庫において災害復旧貸付制度を適用するとともに、特に著しい被害を受けた方には金利の優遇措置を現在とっているところでございます。加えて、今回の地震に端を発した計画停電の影響などにより業績が悪化した中小企業者に対するセーフティーネット貸付けについて四月一日付けで拡充を行わさせていただきました。更なる制度の拡充という御党の御提言は承知をしております。中小企業者の被害の状況や具体的な資金ニーズなども踏まえて、関係省庁と連携してしっかりと検討させていただきたいというふうに思います。
  82. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 中小企業庁にも来ていただいておりますので、今のセーフティーネット保証のことについても若干お尋ねしますが、政府においてこのセーフティーネット保証の対象業種を大幅に拡充したということについてはもちろん一定の評価をしております。我が党は、更にそれとは別枠で、目いっぱいもう借りている場合もありますので、別枠でこの災害関係保証という新たなそうした保証制度を設けてはどうか、こういう提案もしております。  中小企業庁として、補正予算でのこの中小企業金融支援についてはどういうことを検討しておるのか、お尋ねします。
  83. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) お答えを申し上げます。  まず、災害関係保証を含みます被災中小企業方々向けの信用保証制度でございますけれども、内容によってはこれは法律改正あるいはもちろん予算の措置が必要となるわけでございますけれども、委員指摘の保証枠の拡大でございますとかあるいは填補率の引上げなどの制度拡充につきまして、震災の被害というのは大変広くわたっておりますし、中小企業者の方々は大変な今状況に置かれているという、そういう認識の下に、震災の対策の中でしっかりと検討とあるいは実施をしていきたいというふうに考えております。  それから、貸付制度につきましても、今御指摘のとおり、まさに金融面につきましては、やはりこの災害復旧貸付けという制度は、今財務大臣からも御答弁ございましたけれども、直ちに実施させていただいておりますけれども、更に限度額の拡充でございますとか金利の引下げなどにつきまして、これもしっかりと検討して、御提言も踏まえて実施をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  84. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非しっかりと盛り込んでいただきたい、このように思っております。  そこで、自見大臣にお尋ねをいたします。公明党はこの四月五日の提言の中で、中小企業金融支援に重要な役割を果たしている地域金融機関の基盤強化を図るため、適切な対応を行うよう政府に提言をいたしました。先ほどの大臣お話でも、もう金融機能強化法のいわゆる特例的な運用ができるような法改正もすると、このようなことでございますので早く出していただきたいと思いますが、また、この法律の適用期限は平成二十四年三月までの措置でございますけれども、こうした震災による影響が長期化することが懸念されるわけでありますので、明年の四月以降もこのスキームが活用できるような、そうしたことも法改正の中で考えなければいけないと思いますが、いかがでありますか。
  85. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 日本の法人の九九・七%は、先生御存じのとおり、中小企業でございまして、二千八百万人の方が働いておられるわけでございまして、私はよく国民の四人に一人は中小企業の従業員だということを申し上げているわけでございますけれども。今先生質問のあった金融機能強化法でございますが、これもう特例措置を設けまして、今先生、いつまでやるのかという話でございますが、この法律そのものは、今の法律は来年の三月三十一日まででございますから、当然こういった大震災でございますから、復旧に、阪神・淡路大震災のときでも一応の復旧には三年それから五年というめどがございますから、そこら辺も参考にしながら、しかし今度の場合は非常に範囲が広うございます。たしか、私の記憶が正しければ、阪神・淡路大震災よりも被災地の面積は三十倍ぐらい広いですね、非常に五百キロぐらいにわたっておりますので。  そういったことを踏まえながら、しっかり先生たちの御指導をいただきながら、できるだけ早く金融機能強化法を出させていただきたいと思っておりますので、またその時期についても適宜適切に有効なように考えさせて、本当に中小企業の役に立つという法律を作って、そしてやはり適当な長さが当然要るというふうに認識をいたしております。
  86. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 こういう非常時ですので、中小企業支援また金融機関への支援、あらゆるメニューというか手だてを用意をしておくことが大事である、このように考えます。  最後に、震災被災地における金融機関の現状について、また銀行業界の取組についてお尋ねをいたします。金融庁にお尋ねをいたします。  災害被災直後は金融庁と連絡すら取れない金融機関もあった、このように聞いておりますが、今被災から一か月が経過しまして、金融機関の復旧状況はどうなっているのか、説明してください。
  87. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今御指摘のように、被災地におきましてもたくさんの金融機関がございまして、東北六県及び茨城県に本店のある七十二の金融機関の営業店は約二千七百ほどございます。その中で、非常に復旧に努力していただきました結果、昨日、四月十一日時点では、閉鎖店舗数は約五%に相当する約百四十まで減少しております。つまり九五%では営業を再開したということでございます。  また、もう一つ、金融機関の鋭意努力によりまして、閉鎖店舗における取扱いというものが近隣の店舗におきまして対応するということもやっていただき、かつ役場など避難所に臨時窓口を開設して対応していただいている、こういう状況でございます。
  88. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 報道を見ておりますと、全部流されてしまって、通帳が流されてしまってもう生活資金もないんだ、こうしたことを訴えておられる被災者の方がおられます。被災地において預金者、顧客の利便確保については銀行業界としてはどういう取組をしているのか、金融庁に報告を求めます。
  89. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 銀行業界の方に我々の方から三度にわたって要請いたしまして、そういった要請に真摯に対応していただいております。  もう何度か御紹介しておりますので全部は申し上げませんが、まず、先ほどおっしゃっておられました預金の引き出しにつきましては、本人確認というものをできるだけあり得る全ての手段を通じて確認を取ってやっております。また、本来であればこういうことは平時では起こらないのですが、口座を持たれている金融機関ではなくほかの金融機関に行っていただいて、そこで自分の何々銀行の何々口座があるんだけれどもということをおっしゃっていただければ、ネットワークを通じましてその銀行の口座を確認した上で払出しに応じると、こういったこともやっており、その他、印鑑の必要性なしということも要するに例示的に御説明したいと思います。  以上です。
  90. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 現在は、そうしたまさに当面の生活資金をどう確保するか、簡易な手続で預金、貯金を下ろせるようにするかということがもうこの金融機関対応中心になろうかと思います。  次の段階になりますと、相続問題ということもこれは生じてまいります。  これは私具体的に相談を受けたんですが、残念ながら亡くなられた方の相続人といいますか、私が聞いたのは御両親が相続人というケースでございました。もう家が流されてしまってもうなくなって、通帳もないわけでありますから、一体子供がどこに預金をしているのか確認するにはどうしたらいいのですかという、こういう御相談でした。  今、現時点では、もうそれぞれの金融機関に私は誰それの相続人ですということを言って一行一行全部当たらないとそれはできません、分かりません。ただし、生命保険協会あるいは損害保険協会では、その協会に私は相続人ですがと言って問合せをすれば、協会が各会社にこの被相続について契約がないかということを問合せをして、まとめて相続人の人に報告してくれるんですね。ところが、銀行の場合には一行一行全部やらなければいけない。  だから、私は、これは銀行協会において窓口を一本化して、相続人がきちんと言ってこられた場合には、責任を持って加盟銀行に問合せをして報告をするということを今後していく必要があると思いますけれども、この点、是非金融庁、そういう指導をして対応を求めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  91. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 荒木委員指摘のように、まず生保協会等におきまして、先ほどおっしゃられましたとおり、御本人が行方不明、亡くなっておられるといったときに、その相続関係者の方からお問合せいただきましてその照会をするということを始めていただきました。  実は、委員の御指摘委員始め、やっぱりある程度皆様方共通にお考えなんでしょうか、現在までにそういった声があったこともありまして、私どもから金融機関の方にお願いするまでもなく、実はその予定でいらっしゃるみたいです。今早急に準備を進めているというふうに銀行業界の方からお聞きしておりまして、その内容は、銀行業界におかれまして一番適切な内容にしていただけるものだと思っていますが、今お聞きしております段階では、お問合せの銀行業界におきます相続関係者の照会に応じる態勢を整えていくつもりであるというふうに伺っています。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今後、様々こうした預貯金をめぐる法律問題等も生じてくると思いますので、また一つ一つ指摘をし、本当に被災者の身に寄り添うような行政の推進を求めていくということを申し上げまして、質疑を終わります。
  93. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治でございます。  本日は、日本銀行に全て質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問に入る前に、この震災の中で日本金融システムが安定して稼働しており、国民一般そして世界中からも不安を抱かれていないという事実をまず指摘しておきたいと思います。これは、日ごろからの金融当局者の金融システム安定化に対する不断の努力と地震発生後の速やかな流動性供給対応のたまものだと考えております。高く評価するとともに、引き続き不断の努力をお願いしたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず、言うまでもなく、震災前から日本経済状況は供給過多あるいは需要不足によるデフレということでございました。この震災によって、供給力が大きく落ち込んだだけではなく、需要の方も自粛ムードということで落ち込んでいるという様子でございます。  このままでは、日本経済どんどん縮小してしまうのではないかと考えられるわけですが、昨日も日銀で支店長会議が行われたと思います。さくらレポートは拝見させていただきましたが、東日本、西日本、いろいろばらつきがあるようでございますが、まず白川総裁、その支店長会議のアップデートな総括をお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕
  94. 白川方明

    参考人白川方明君) お答え申します前に、まず金融システム、決済システムにつきましては、今回は大きな問題はありませんでしたけれども、しかし、今回の経験を通じてまたどういうところに将来的な問題があるのかということも見えてまいりましたので、これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。  支店長会議でございますけれども、昨日支店長会議がございました。併せまして、地域経済報告も公表いたしました。この地域経済報告では、最近の経済情勢につきまして、総括判断としまして、多くの地域震災後の生産活動の障害等を背景に、慎重な見方が広がっているということを示しました。  こうした判断背景でございますけれども、東日本中心に、震災影響によりまして、社会インフラやあるいは生産・営業用設備の毀損、サプライチェーンの障害、電力使用の制約といった供給面での制約が生じたという報告が非常に多うございました。また、震災後、消費マインドの慎重化などが見られているという点についても随分多くの意見が出されました。これは、もちろん被災地だけではなくて、様々な観光地もそうでございますけれども、いろんな店からそうした報告がございました。  日本銀行としては、こうした地域経済の情勢に関する報告、情報、それからマクロの経済データ、金融指標、全てを総合しまして適切な情勢判断に努めてまいりたいというふうに思っております。
  95. 中西健治

    ○中西健治君 本日の会議の冒頭の報告の中で、足下経済における下押し圧力要因として、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給制約、こういったものが挙げられました。それはそうだと思います。  では、日銀の金融政策運営の枠組みでいうところの第二の柱に当たります、よりフォワードルッキングな視点で見た場合の日本経済リスクということについてお伺いしたいんですが、震災後どう変わっていっているのかということについてお伺いしたいんですが、白川総裁お話を聞いていますと、供給面制約ということについてかなり重視されているかなというふうに思います。そして、先ほどの荒木委員質問に対しても、今回は供給面制約経済の落ち込みの原因であり、需要の蒸発が生じたわけではありませんということをおっしゃられておりました。  先ほどの説明答弁でいきますと、リーマン・ショックと比べると海外需要があるから大丈夫なんだというふうに私には聞こえたわけですけれども、国内の需要が減退しているということについて軽視し過ぎているのではないかということについてお伺いしたいと思います。
  96. 白川方明

    参考人白川方明君) 今回の経済活動の落ち込みの出発点は、これは供給制約でございます。しかし、その結果として需要が落ちているということも、これは明らかな事実でございます。  したがいまして、私どもとしましては、需要面への影響を軽視しているというわけでは決してございません。先ほど申し上げましたのは、先々の景気回復の道筋という意味で、供給制約をできるだけ早く解消することが最終的に日本経済の復活につながるんだという基本的な道筋を申し上げただけでございます。  それで、需要面への影響でございますけれども、供給面が出発になった需要の減少に加えまして不透明感、これは先行きに対する不透明感、これはいろんな不透明感がございます。供給ルートがどうなるかという不安感もございますし、あるいは原発のリスク、これをどういうふうに考えるのかということがありますし、それからあとは自粛ということがございますし、それから全体としての社会のマインドの萎縮ということがございます。そうしたことが需要影響を与え、それがまた経済活動に影響を与えるということについては、これは十分な注意を払っております。  まさにそうしたことを懸念するために、震災発生直後の翌営業日でございますけれども、リスク性資産の買入れの増額を行ったというのも、結局、マインドの悪化が経済活動に金融を通じて影響するということを防ぎたいという、そういう我々の思いからでございました。
  97. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、総裁がおっしゃられた需要の蒸発ではないというのは、要するに海外のことだけを指して言っていると、そういうことで考えてよろしいですね。分かりました。  続きまして、三月十四日の総裁会見、そして三月二十三日の宮尾審議委員の講演でも、不安心理の高まりあるいはリスク回避姿勢の強まりが実体経済影響を与えることを未然に防ぐという趣旨の発言をされておられます。  この不安心理やリスク回避姿勢というのは、金融市場、マーケット内部に限定したお考えの話なのか、それとも広く実体経済に対しても存在する懸念なのか、そして中央銀行として、日銀としてリスク性資産の買入れのほかに具体的に何かできることがあるとお考えになっていらっしゃるのか、そこについてお伺いさせてください。
  98. 白川方明

    参考人白川方明君) 現在、この未曽有の地震、それから津波、それから原発ということが発生しまして、大変経済全体に大きな不確実性があるということでございます。こうした不確実性、原因が何であれ、これが経済活動に大きな影響を与えているわけでございます。  日本銀行という通貨を発行するという立場からしますと、そうした不確実性の中でも、特に金融面からこの不確実性が増幅してしまうということを、これを防ぐということに、これは最大のやっぱり我々の使命があるというふうに思っております。もちろん、他のより実体的な要因からするこの不確実性、これについては我々、もちろん軽視しているわけではございません。先ほど申し上げましたとおり、これも最終的にはマインドを通じて、それから金融を通じて影響してきますので、私どもが行った金融緩和の強化ということはまさにそうしたことでございます。  今まだ余震が続いておりますけれども、我々として行っておりますことは、一つは、これは決済システムをしっかり維持するということでございます。  これは、冒頭、議員からも高い評価をいただきましたけれども、もしこの震災の過程で日本の根幹となる決済システムが、これがダウン、稼働しないということになりますと、これは大変な影響になります。これは、まだ現在も余震が続いておりますので、我々は大変な緊張感を持って臨んでおります。  それから、二つ目が金融市場に対する資金の潤沢な供給でございます。  幸い、震災直後の神経質な地合いというのは少し後退してまいりましたけれども、しかし、これもいつまたそうしたことが出るかも分かりませんので、ここは細心の注意を持っております。金融緩和もそうでございます。あわせて、今度は全体の金融システムが円滑に回っている場合でも被災地金融緩和については、これは別途の問題に直面しております。したがって、被災地金融機関支援ということも現在早急な実行に向けて検討を行っております。  こうしたことも含めまして、今後ともしっかり対応考えていきたいと思っております。
  99. 中西健治

    ○中西健治君 白川総裁は常々上振れのリスクと下振れのリスクがあるというお話をされるわけですが、私のように金融業界でずっと生きてきた人間にしますと、リスクには方向と量ということだけではなくて、スピードというか、突発性、急変性ということを身にしみて経験してきているわけですけれども、急に大きなショック、ストレスが掛かるということですが、今回、危機対応ということについて再認識されていく中で、今総裁が一番気にしなければならないと思っておられる急変可能なリスクは何なのでしょうか。それが発生した場合に日銀の対応の準備状況というのはどうなるんでしょうか。  例えば、流動性のボトルネックがどこかで急に発生して取付けが起こるですとか、国債の市中消化不能懸念から金利が急上昇する、そんなことがいろいろ考えられるわけですが、総裁が一番気にされていることは何でしょうか。
  100. 白川方明

    参考人白川方明君) 現在、非常に大きな不確実性に直面しておりますけれども、中央銀行総裁という立場でどのようなリスクを一番懸念するかというと、これはやはり金融からするリスクでございます。もう既に先生指摘の点ばかりでございますけれども、決済システム、これが突然ワークしなくなってくるとどうなるだろうか、あるいは金融市場において突然円滑な機能が損なわれるとどういうふうになるんだろうかということが、これが最も根源的な不確実性として私は気にしております。  先生指摘のとおり、これは、リスクということについては大きさも、もちろん確率とか大きさもさることながら、これがいつ実現するのか、その要素が私は大変大事だと、私も全くその点については認識を共有しております。期待とか信認というのは、これは観念としてはみんなもちろん認識しているわけですけれども、しかし、それがどういう形で形成されるのかについて必ずしも体系だった理論があるわけではありません。  結果から言いますと、これは非連続的に変化し得るということでございます。それであるだけに、そうした可能性を意識しながら我々自身、体制を組んでいくと同時に、信認を維持するような基本的な政策の構えについてしっかりとして情報発信をしていくことが大事だというふうに考えております。
  101. 中西健治

    ○中西健治君 続きまして、三月二十七日の日本経済新聞の一面にも記事がございましたけれども、この震災の後、企業の資金ニーズが急速に高まってきているということでございます。こうした資金需要にこたえていくことは金融業界の責務でありますけれども、一方で、我が国の発行する借換債も含めた大量の国債は銀行の資金余剰によってこれまで支えられてきているわけです。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  今後、民間資金需要が増加していくならば何らかの影響が出てくる可能性考えられます。公的部門と民間部門のぶつかり合いということが十二分に想定されるのか、そこら辺をどう考えていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
  102. 白川方明

    参考人白川方明君) 議員御指摘のとおり、震災の前とそれから震災の後では多少状況が異なってきておりますし、今後また変わってくる可能性も十分に意識しておりますけれども、まず、震災前までは民間企業の運転資金やあるいは設備資金の需要は後退しておりましたが、震災後、一部の企業でまず運転資金需要を増加させる動きやあるいは手元資金を取りあえず厚めに持っておきたいという動きが見られるようになりました。そうした事態に対応して、日本銀行はまず潤沢な資金供給資金供給オペレーションで行っております。  経済全体で見た場合どうかということでございますけれども、引き続き、家計や企業の支出姿勢は全体としてはまだこれ慎重でございまして、家計・企業部門の貯蓄超過状態、貯蓄が投資を上回るという状況はまだ続くというふうに見られます。  先ほども他の委員質問に対して答えましたとおり、金融市場の安定が確保されている限り、マクロ的には国債の円滑な市中消化を支える環境は維持されるというふうに思いますし、それから、民間金融機関でございますけれども、民間金融機関も、資本基盤は、これは相次ぐ増資等もありまして、損失をカバーする、そういう財務基盤は現に有しております。したがいまして、マクロの貯蓄・投資バランスと、それから基本的な政策運営に対する当局に対する信認がある限りは、現在直ちにこのファイナンスという面から問題が出てくるということではないというふうに思っております。  ただ、いずれにせよ、先ほどの非連続的に変化し得るということも考えた上でしっかりとした政策を行っていきたいというふうに思っております。
  103. 中西健治

    ○中西健治君 ということは、当面、非連続的な何かショックが起こらない限りにおいては民間部門と公的部門で資金の取り合いになってぶつかり合うということは想定していないと、そういうことでよろしいですか。
  104. 白川方明

    参考人白川方明君) マクロの貯蓄のバランスと、それから基本的な政策当局の姿勢に対する信認がある限りと。これはある限りというふうに私どもが客観的に言うというのは多分不適切で、私自身がこれ政策当局者でございますから、政策当局者の一員として信認を確保、維持できるような政策運営を続けていくということでございますけれども、そうしたことがあれば双方がぶつかり合って民間の復興のファイナンスがその面からうまくいかないということは、これはないというふうに思っております。
  105. 中西健治

    ○中西健治君 ちょっと別の質問をいたします。  震災被災地への中央銀行としての直接支援として、先日、短期的に地域金融機関サポートのために一年〇・一%で貸出枠一兆円の検討を決められた、これもこれで高く評価できることだと思いますが、先週七日の決定会合では、骨子素案を取りまとめて次回の決定会合までに具体的な検討を行うように執行部に指示を出しているということです。そして、先日はオペ実施の最終決定はなされていません。  なぜ、前回の決定会合では検討、指示だけにとどまっていて最終決定までいかないのか、こういうスピード感でいいのか、こうしたことについてお聞かせください。
  106. 白川方明

    参考人白川方明君) 私どももスピード感は非常に大事だというふうに思っております。  今回のこの制度考えてみますと、これは被災地金融機関の支援を行いたいという我々の思いでございます。  被災地金融機関は、これはもう言うまでもございませんけれども、例えば三陸の地区の農協あるいは漁協、こういった金融機関も含む、あるいは信用組合も含むものでございます。こうした金融機関については、日本銀行は従来これは取引先ではございません。取引先ではございませんけれども、今回、日本銀行の取引先金融機関を通じてそうした金融機関にも資金が行き渡るようにそうした手はずを整えたいというふうに思いました。  この我々が始めます制度が本当に生きていくためには、その被災地金融機関実態、その金融実態、これを十分に踏まえませんと、これ絵にかいたもちになります。そういう意味で、そうした実態を急ぎ調べて、その上でこの四月末の決定会合で決定し、速やかに実行していきたい、つまり制度趣旨を最大限生かしたいという思いでございます。
  107. 中西健治

    ○中西健治君 今の質問に対する答えとしてはよく分かったわけなんですが、私がなぜこのような質問をしたかといいますと、金融政策決定会合の位置付けに関して懸念というか、私は常日ごろからちょっと不満のようなものを持っておりまして、それは金融政策決定会合と執行部の位置付けというのは何なんだということでございます。  一九九八年の日銀法改正に併せて政策決定会合の定例化と議事要旨の公開ということがされた経緯はよく承知しているわけですが、現在の政策決定会合、これ一般の会社の取締役会に当たる政策委員会と全く同じメンバーで構成されており、日本銀行という組織、会社のガバナンスの観点からは機能しているかもしれませんが、とても金融政策を議論する場に私には見えないんです。執行部で議論されたものが金融政策決定会合で承認される、そんなような形にひょっとしてなっているんではないかなというふうに私には見えるんですね。  金融政策決定会合のメンバーとなる日銀の審議委員ですが、全員が、厳しい言葉ですけれども、ずぶの素人というわけではないですが、財界枠や女性枠などという言葉でやゆされるように、セントラルバンカーとは言えないような方々がメンバーにいらっしゃることがあると。もちろん、そのときのメンバーの資質によっては金融政策そのものの実質にかかわる盛んな議論が行われたことがあるということも承知しておりますけれども、メンバー選出の方法から見ても、金融政策決定会合金融政策の実質的議論の場であることが必ずしも担保されていないのではないかというふうに私は思っております。  実質的な議論の多くが執行部で行われてしまうということであるならば、金融政策の透明性を担保するためには執行部内での議論こそ公開しなければいけないのではないかなというふうに私は思っております。  アメリカのFOMCでは、御存じのとおり、地区連銀総裁などによるメンバーですので、活発な議論が繰り広げられているわけですけれども、そしてある程度意見の対立というのは必ず見られています。ところが、日銀の金融政策決定会合では、執行部の提案金融政策の理論的あるいは実証的な観点から真っ向から反対が行われるということがほとんどないというふうに思っておりますし、反対者がいても常に一人しかいないという構造が不思議に思えてならないんです。  これは質問しているということではなくて、私の意見はこういうことで、このことをまあまあ今後強く訴えていこうかなと思うんですが、一点、これにかかわることとして、この政策決定会合において本当に金融政策にかかわる実質的な議論ができているのかどうか、総裁考えをお伺いしたいと思います。
  108. 白川方明

    参考人白川方明君) まず、結論から申し上げますと、金融政策決定会合において真剣な議論が行われております。  少し議員の御意見に沿ってお答えをいたしますけれども、日本銀行の政策委員会のメンバー、すなわち金融政策決定会合のメンバーにつきましては、これは政府、国会でお決めになりました日本銀行法に従ってこれは決められております。実際の任命、これも政府、国会において任命されております。その上で、私どもは毎回この決定会合で議論を行っておりますけれども、実に真剣な議論が行われております。  先ほど執行部提案というふうにおっしゃいましたけれども、これは、政策決定会合で私も含めて九名の委員意見を展開し、その上で私がこの委員会の多数意見を取りまとめて、その上でこれは私が議長の提案として出して、それが可決をされているということでございます。したがいまして、何か委員会の議論とは別に何か執行部案というのがあるわけではこれは決してございません。  それから、反対票でございますけれども、これは数字を見ればこれは直ちに分かりますけれども、反対票の多さという意味では、これは日本銀行はイングランド銀行と並んで実は多い中央銀行でございます。むしろ、アメリカのFRBは非常に反対票が少ない中央銀行でございます。  いずれにせよ、日本銀行は、反対票が多いかどうかは別にしまして、要は実際に充実した議論が行われているかということでございますけれども、これは、自分が言うのはもちろんこれは変でございます、これは、最終的に議事録を見てこの議論の質というものを、これはもちろん第三者が検証するものでもございますけれども、私の見るところ、これ一生懸命真剣に議論を行っているということでございます。
  109. 中西健治

    ○中西健治君 時間が参りましたので、私の質問は終わらせていただきますが、私が質問したかったのは、一生懸命やられていることはきっと間違いないんだと思うんですが、真剣にやられていることも間違いないんだと思いますが、白川総裁に対して実証的な観点から反駁ができる人が本当にいるのだろうか、そんなことを私は問題意識として持っているということでございますので、またどうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  110. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  日銀質問に入る前に、ちょっと財務大臣被災地の緊急の問題で確認しておきたいと思いますが、私、先週、先日、岩手県の大船渡、宮城県の気仙沼、石巻、塩竈と、こう回ってきたんですけど、もう四週間たっていまだ瓦れきが散乱した状態です。なぜ全然手が着かないのかと現地の人たち、自治体に聞いたんですけれども、要するに、国の仕事なのか、国がやってくれるのか自治体がやるのかがまだはっきりしない状態があったり、どこが費用分担するのかとか、あるいは個人の事務所とか庭とかに船が突っ込んだり車が突っ込んだり大変な状態ですけれども、個人の敷地に入ったのは自己負担なのかどうかとか、もう大混乱の状態でした。  帰ってきて、環境省にいろいろやってもらって、結局八日の日に、これは環境省の災害廃棄物処理事業、これでやれるということで、今言った自動車、船舶とかいろんな含まれる、QアンドAを八日の日に出してもらうということで、何となくどういう道筋なのかが今ごろになってやっと自治体も分かってきたというふうな、大変遅れた対応だったと思うんですけれども。  それで、今日ちょっと取り上げたいのは、そういうことで、これは国が、一応、若干の自治体負担もあるんですが、最終的には交付税措置もあるということで国が負担するという枠組みなんですが、それもはっきり伝わってなかったんですね、先週の段階で。だからあれだけ瓦れきが放置されていたという、これは大変な問題で、本来もっと早くいろんなことをお知らせして、周知徹底して撤去してあげないと復興のスタートができないわけですよね。  そういう問題だったんですけれども、今日、それを踏まえた上で、昨日の時点でまだこんな話がございます。自治体がなかなか手を着けてくれないから先に自分で瓦れきを撤去した方々がおられます。そういう事業所とか個人がおられます。その費用はどうなるのかといって自治体に聞いたら、それはもう自己負担ですと言われちゃったり、あるいはもうある自治体、もう名前出しちゃいますけれども、仙台市なんかは、環境省は今言ったように災害産業廃棄物処理事業で後で、もう既に自分で処理したものも領収証とか災害時の写真とか取っておけば、後から出したいと環境省は思っているんだけれども、財務省がノーと言っているんだということを住民の方々説明したりしております。  私はちょっと違うと思っているんで、はっきりと財務省としてどうお考えか、大臣から言っていただきたいと思います。
  111. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 御指摘ありがとうございます。  現場を踏まえた御指摘を踏まえてきちっと対応していきたいと思いますけれども、財務省がこう言って駄目よということは、これはあり得ません。阪神・淡路の大震災のときも、御自身で業者さん選んで最初にもう自主的に撤去してと。事後的に対応したということあります。ありますので、これはあくまで災害廃棄物の処理をどうするかということを環境省決めていただければ、これはもう廃棄物行政そのものでございますので、財政が問題で文句を言うということはあり得ませんので、そこは明確に申し上げておきたいと思います。
  112. 大門実紀史

    大門実紀史君 それを早くはっきりとメッセージとして言っていただくことが大事だったといいますか、要するに国が信用されてないですよね。本当に出してくれるのかなみたいなところで、だからもう被災地の住民の方困っているわけですから、もういろいろ言わないでやれと、後で面倒見るからという強いメッセージが、そういうものが必要だったんだと思います。  大臣からはっきり言っていただいて、要するに自主的にやった場合もきちっとした、それが立証できれば後からちゃんと出るという仕組みに、環境省がきちっとそれを出せば財務省はちゃんと手当てができるということを確認させていただきましたんで、これで今日から、あしたから、QアンドAにもそれが確認できたら環境省も載せたいと言っておりましたので、進むかなと思っておりますので、ありがとうございます。  もう一つは、日銀の方に質問に入りますけれども、今回日銀が発表した被災地金融機関に対する支援の資金供給オペレーションなんですけれども、これはよく見てみますと、これはしばらくしてから、現地の企業がもう少し余力ができて復興に入ろうという段階のスキームではないかなという、この現地を見てきた実感では思います。  つまり、借り手の企業が増えてきたと、これから復興に入りたいというときのスキームで、ですから日銀の貸付金利、これ〇・一%ですか、これも、それは地域金融機関が借りるわけですけれども、それは企業にそれ以上の金利で貸せる状況が生まれているから〇・一で、〇・一というのが低いのは分かっていますが、貸すという点からいくと、もう少し何といいますか、被害の若干少ないところの企業とか金融機関とか、あるいは今の申し上げたような三陸の町々でいきますと、もうちょっと後に役に立つスキームではないかと。  これ自身を否定しているわけではございませんけれども、今どういう状況になっているかといいますと、私、信用金庫の理事長さんともお話をいたしましたけれども、まず借り手でいきますと、工場も店も津波で流された、もう破壊されてしまったと、全壊状態ですね。そうすると、新たにお金借りて何かやるどころか、もう今の借金をとにかくチャラにしてほしいと、それが一番の最大の要求と、こんな状況でございます。  したがって、信用金庫などがどういう状況かというと、先ほどありましたけれども、やっとオンラインが回復したとか、この店舗は潰れたままだけれどもほかの店舗で営業始めたとか、そういうところはやっとお金が引き出せるようになってくると。そうすると、被災者方々は生活資金が必要ですからお金を引き出し始めます。一方、貸したお金は返ってこないということで、そういう意味で、企業に貸すためにお金がないわけじゃなくて、その金融機関地域金融機関そのものがお金が資金不足になってくるという状態が今現在の状態でございます。  したがって、〇・一で貸してあげるなんて話はちょっと後だというふうなことがありますので、そういう点でこれを否定するわけじゃないんですが、今目の前にある危機ですね、このときに是非、日銀が地域金融機関のことをお考えになるということでしたら、今目の前にあるこの危機を救うためにこれと違うスキームを研究してほしいなと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 白川方明

    参考人白川方明君) まず、被災地状況でございますけれども、私どもの仙台支店、福島支店、それから盛岡事務所を通じまして金融機関状況を聞いてございます。まさに議員御指摘のとおり、今のその被災地状況は、復興を言うまだその前の段階だというふうに、そこは私ども十分認識しております。  現在、被災地金融機関は金繰りという面からしますと、今預金が流出しているわけではございません。それから、資金需要が今大きく盛り上がっているというわけでもございません。ただ、そういう時期ではありますけれども、しかし、やっぱり一方で、被災地金融機関は先々の、例えば風評リスクということもございますし、万が一その預金が流出したらという、そういうやっぱり不安感はございますし、それからいずれ復興資金需要が出てくるということも見えています。  そういう意味で、日本銀行としては、今はまだそういう段階でないことはもちろん承知しておりますけれども、しかしその初期の段階でまだ本格的に他の、例えば政府にしてもあるいは地方公共団体にしてもいろんなまだ準備ができていない段階で、少なくとも資金面で日本銀行ができることをやっておくことは、これはやっぱり意味があるというふうに思いました。日本銀行はその仕事の性格上、最終的な借り手である企業なり個人に直接お金を貸すということはできませんけれども、あくまでも間接的な金融機関支援ということにならざるを得ないという点は是非理解をいただきたいというふうに、ただ、そう申し上げた上で、我々として何か知恵の絞りようはないのかということだというふうに思います。  今回、検討の指示ということで、この四月末に検討いたします一つの項目は、担保要件緩和でございます。被災地金融機関は、じゃどういう担保を、どういう資産を担保として持っているのか、そういう担保の実態を見ながら、もちろん一方で日本銀行財務の健全性もございます。しかし、その両者のバランスを考えながらどういう担保要件緩和があるのか、これは今日本銀行が発表することによって、やはりそうはいっても金融機関を何がしか支えていく力があるというふうに信じてそうした検討を行っております。いずれにせよ、また今後とも知恵を絞っていきたいというふうに思っております。
  114. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、もう非常事態ですので、あらゆる手段として日銀としてもいろいろお考えいただきたいと思います。  先ほど、今、白川さんから預金は流出していないというのは、これは全体の資金量でございまして、私が申し上げている、余り名前出すと風評被害になっちゃいますので、幾つかの、三陸で、そこで根を張っている信用金庫というところは事実流出しております。そこのところのことを今申し上げているわけですので、これに関連して自見大臣に、先ほどからもう話が出ておりますので伺いますが、地域金融機関ですね、そういうところに資本の強化というのは、もちろん重要なことだと思います。  ですから、そういう信用金庫が体力を付けて、いろいろ柔軟な対応ができるようにするのはいいんですけれども、今申し上げたような家も工場もなくなったような方々でいえば、これはもう今の借金返せません。返す見込みありません。新たな借金もできません。そうするとおのずと不良債権化していきます、放置しておくと。そうすると、その不良債権化したものを処理するその損ですね、処理損ですね、これに堪え得る体力を付けてあげることはできても、助けてあげなきゃいけないわけですね、借り手の方を、そういうもう返せない状態の人たちを。これを今考えなきゃいけないですよね。金融機関に資本注入して体力付けるのは、金融機関は助けられますけれども、借り手の方は不良債権化していくわけです。その処理損をするときの貸倒れの引当金、引当損に関して、体力付けてあげるから金融機関は助かるかも分かりませんが、あくまで借り手の方は助かりません、金融機関に資本注入するだけでは。この借り手の問題、自見大臣、いかがお考えですか。
  115. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 大門議員にお答えをいたします。  今さっき私が申し上げましたように、主に私は民間金融機関を主管をさせていただいておりまして、主にみんなが預金を、民間金融機関、もうお分かりのように預金を集めさせていただいてそれを融資に回すということが原則でございまして、当然民間金融機関、この中小企業金融円滑化法案あるいは金融機能強化に対する法律自己資本を注入するというような法律でございますが、当然それはそれなりに、いよいよもう全く、一定の当然限界がございます。そのために、私が今さっきから申し上げておりますように、やはり本当に必要なところは財政出動ですね、予算を全部もう出してしまう、あるいは補助金を出すと、あるいはそれは国が全部持つとか、そういった非常のときはそういうことも当然考える。  それから、私が今さっき言った政策金融ですね。これはもう普通の民間金融機関ではできませんけれども、やっぱり十年、二十年、長期の超低金利、あるいは場合によっては無利子貸付け、そういったこともできるわけですから。それから、今さっきも言いましたように、金融機関も貸すときは、これは経済産業省でございますが、この金融機関に対しての保証ですね、貸した、中小企業に。  そんなことを多彩にやはりきちっと私は使い分けて、やっぱりきちっと総合的に政策を推し進めていく必要があるというふうに思っております。
  116. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が申し上げているのは、返せなくなった借り手がこのまま行くと、もうたくさんおられるんですよね、もう借りられないし、それで、返す手だても、店も何もないわけですよ。手段がないわけですね。その方々を救うには、この前、和田政務官とは議論したんですけれども、私はやっぱり何らかの新しいスキームを考えて、今までもいろんな企業の債権放棄とかスキームを考えて救済をしてきたわけですね。これだけの被害ですし、しかも、そこの産業を支えている方々でございますから、その人たちを救わないと産業全体が面で復興できない状況なんですよね。  それで行くと、やっぱり何らかの買取りスキーム、スキームをつくって、そこで凍結をして、マイナスからじゃなくてゼロからスタートしてもらって、頑張ってもらって、その後、その債務について返せるなら返してもらうとか、ちょっと一遍引き取ってあげないと、金融機関も大変だし、御本人も大変だと、面の復興もできないというふうに思うので、そういうスキームが必要だと思いますけれども、ちょっといかがですか。
  117. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) そんなことを含めてしっかり、今政府の方でも菅総理を中心に対策本部をつくっておりますので、きちっと、いかにしていろいろな政策を駆使して、この被害に遭われた方々、あるいは、今さっき言いましたように、全国の九九・七%は中小企業でございますし、四人に一人は中小企業で働いておられるわけでございまして、また農業、水産業も、水産加工業を始め大変壊滅的状況にあるわけでございますから、そういったことで、しっかり各省各省、本当に力を合わせてやっていきたいというふうに思っております。
  118. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣おっしゃったように、そういうスキームを含めて、ちょっと発想の転換をして対応してもらいたいなというふうに思います。  復興財源の問題でございますけれども、また後でひょっとしたら日銀に国債を買えという話があるかも分かりませんけれども、私はもう反対でございます。  国民新党亀井さん、面白いことをおっしゃっていますよね、無利子国債発行して、大企業とかお金のあるところに引き受けてもらえばいいんだと。ちょっとうちとは違うんですけれども、同じように復興国債ということを提案をしております。  ちょっと一言申し上げれば、国民新党の無利子国債というのは以前から提案されていて、税制面で優遇をするということをインセンティブに買ってもらおうと。それそのものは否定いたしませんが、私は、やっぱり今回はもう国難ですから、日本国民全体で引き受けると、みんなで助けるという発想で。何か、その無利子国債だと相続税のときに優遇してあげると、何かお金持ちの欲望を引き込むようなところがありますけど、そうではなくて、やっぱり今はみんなで助けるという発想が必要じゃないかなと思っておりまして、復興国債というのを我が党は提案しておりますけれども。まあ簡単に言いますと、個人向けの例えば少額の国債を出して、それぐらいの金額なら私も貯金の代わりにそちらに出そう出そうと、国民がたくさんみんなで支え合おうと、今そういう気分がありますので、そういう国債。なおかつ、その上で、国民新党もおっしゃっているように、内部留保とか負担能力のあるところには大口で引き受けてもらうと。大企業とか大金持ちとかですね。そういう発想でございます。  先ほど白川さんがおっしゃいましたので、ちょっと関連して聞きたいんですけれども、日本は借金が多いのにこれだけ長期金利が安定しているのは二つあると。一つは企業部門と個人の貯蓄の部分が多いからだということと、財政規律を守ってきたからだという二つ、そのとおりだと思います。今申し上げた復興国債という発想でいきますと、その企業あるいは個人の貯蓄が多い、この貯蓄の、何といいますか、振り替えというふうなことにもなりますし、なおかつ国内の市中で消化するという点からいきますと、財政規律も、まあ借金は増えますけれども、中央銀行としての財政規律にはノータッチということで規律は守られると思うんです。  そういう点で、そういう国債、何も我が党の言ったことをやれという意味ではありませんが、そういういろんな国債の在り方を考えるべきだと思いますが、先ほどちょっと白川さんがおっしゃいましたので、ちょっと感想をといいますか、いかがでしょうか。
  119. 白川方明

    参考人白川方明君) 国債を発行する当事者は、これは国でございますので、日本銀行総裁という立場でどういう国債発行のやり方がいいのかという、その具体論についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、どういうふうな国債を発行するにしても、これは、この国債については、最終的にはこれは税でもって元本それから利息を返済していくものであります。そういう意味で、今は経済に大きなショックが加わっているけれども、しかし最終的にしっかり経済の底力を上げて財政バランスを回復していくという意思の下に制度設計し、そしてそれに対し投資家が応じていくというのが望ましいというふうに思っておりますし、日本銀行はそうした状況が維持できるように金融政策面でしっかりと信認を保つということを通じて貢献をしていきたいというふうに思っています。  非常に抽象的なお答えで申し訳ございませんけれども、そういうふうに思っております。
  120. 大門実紀史

    大門実紀史君 最後に野田大臣に伺いますけど、まだ国債、どういう形でというのはまだ言及しにくいと思いますが、規模からいって、いずれにせよ税のやりくりだけでは難しいなというのが大体の常識的になっておりますが、その際、是非国債の発行は、単に今までの赤字国債の延長で考えるとか、まあ部分的には建設国債になる部分もあると思いますけれども、ちょっと従来の枠の国債ではなくて、いろんな、今に合った、しかも財政的にいろいろ規律を失わない、信用も失わないというようないろんな知恵を集めて、その国債の在り方、発行する国債の在り方を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  121. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおりだと思います。  やっぱり国民の連帯による負担の分かち合いという考え方は全く同じです。加えて、まあこれ財源どうするか、国債の在り方はこれから具体的に与野党の御協議も踏まえながら対応していきたいと思いますが、やっぱり財政規律を守りながらマーケットにきちっと信認されるメッセージを出しながらということが基本だと思います。
  122. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
  123. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山でございます。  今、大門先生から国債の話が出ましたので、そちらから入りたいくらいの気持ちではありますが、まずやはり今回日銀の御報告のということなものですから、ちょっと確認なんですが、三月の資金供給量、マネタリーベースというのは百十二兆七千四百三十二億という、この数字でよろしいんでしょうか。分かりますか。
  124. 白川方明

    参考人白川方明君) 今、三月末の今計数……
  125. 中山恭子

    ○中山恭子君 三月末。
  126. 白川方明

    参考人白川方明君) 三月末の数字の正確な計数を今確認の上お答えいたしますけれども、概略そうした数字だったというふうに思っております。  三月末の今手元に当座預金の残高ございますけれども、これが四十・八兆円でございます。マネタリーベースは、あとこれに銀行券が加わりまして、これが八十・九兆円でございます、この二つを合計しますと約百二十一兆円でございます。実際のマネタリーベースはこれ以外に統計作成上若干の変動がございますけれども、大体こういったオーダーでございます。そういう意味では先生指摘のとおりでございます。
  127. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。済みません、新聞で二月末の数字が三月と出ていたように思えたものですから、これでいいのかなというちょっと疑問がございました。百二十兆を超えているということでよろしいですね。  また、当座預金残高が四十・八兆ということですので、非常に高い水準になっているかと思いますが、日銀としては、大体当座預金残高、この水準を維持していくというように見ていてよろしいんでしょうか。
  128. 白川方明

    参考人白川方明君) 震災前の当座預金の残高は、これは十七兆円でございました。十日ぐらいの間に金額が四十兆を超える金額に大変に増えました。これは、地震発生し、民間金融機関が、取りあえず先々に何が起こるか分からない、具体的な資金ニーズがあるわけではありませんけれども手元に資金を抱えておきたいということになりました。そうした動きを放置しますと、これは金融市場が混乱をいたします。日本銀行はそれに対し、その需要を上回るぐらいの勢いで大変大きな金額を出しました。そうした金額を出すことによって金融機関の不安心理が徐々に後退してくるということでございます。  これは、どの程度の残高になるかということは、基本的には金融市場状況、つまり、金融市場の安定をしっかり維持するという目的にどれぐらいの金額が必要かということに基本的には規定されます。かつての日本銀行の量的緩和のときには、これは当座預金残高を目標として、金額をある目標を設定し、それを実現するように運営しておりました。現在は目標は、これはコールレートでございます。そういう意味で、コールレートで運営し、しかし金融市場の安定を得る、結果として数字は変動します。  したがいまして、この四十兆を超えた金額がこの後もずっとべたっと行くということではございません。ただ、先ほど来の金融市場の緊張といいますか、潜在的な不安定要因ということを我々は意識しながら適切な金融調節を行っていきたいというふうに考えております。
  129. 中山恭子

    ○中山恭子君 このマネタリーベースの資金供給ですが、例えばアメリカ、イギリス、中国などと比較して、その伸び率などについて、私も日銀がリーマン・ショック以来非常に本当一生懸命しっかりした金融政策を取ろうとして努力してくださっているということを高く評価しています。その中で、ほかの国との比較ではどうなのかという、ちょっと教えていただけたらと。
  130. 白川方明

    参考人白川方明君) マネタリーベースというものは、基本的にはこれ中央銀行のバランスシートの大きさということにほぼこれ置き換えられるわけであります。もちろん、国によって若干統計的な変動ございますけれども。  それで、日本銀行の現在のバランスシートの大きさということで申し上げますと、これは直近でいきますと、日本銀行は名目GDP対比二九・九%でございます。イングランド銀行が一六・五%でございます。米国FRBが一七・九%でございます。欧州中央銀行は二〇・八%でございます。今、中山先生の御質問の中に中国人民銀行もございました。中国人民銀行は手元に数字ございませんけれども、中国人民銀行は、まだ全体としての小口決済システムが発達していない関係で銀行券を使う割合が非常に高うございます。したがいまして、ちょっと中国は数値的には日本銀行よりも高うございますけれども、しかし、これはちょっとやや特殊な事情がございます。  それでは、その変化幅ということで行きますと、これはもちろんどの時点を出発点にするかによって感じは変わってまいります。ただ、現在のような状況、つまり、デフレ状況に到達したという意味では日本は九八年でございます。それからの変化幅、つまりGDPに対する中央銀行のバランスシートの比率の変化幅という意味でいくと、これまた日本銀行が先進国の中央銀行の中では最も大きいということでございます。これは時々数字が出てきますのは、FRBがバランスシートを拡大し始めた二〇〇八年、そこを起点としてその変化幅を見るとFRBの方が大きいではないかという議論があることはもちろん承知しておりますけれども、ただ日本銀行はもうかなり早い段階からFRBがやっているようなアグレッシブなことを行っているということでございます。
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございました。基準で取り方が、数字が大分違ってくるというのもよく分かりますが、努力していただいているということも分かります。  一つ、先ほどの話に戻りますが、当座預金残高が四十兆を超えているということなんですが、ある意味ではこれは公債の市中消化能力と見てよろしいんでしょうか、どうお考えですか。
  132. 白川方明

    参考人白川方明君) 民間金融機関の方から見ますと、これは今、日本銀行にたくさんの当座預金を置いていますけれども、これは先々どういうことがあるか分からないから資金を持っておこうということもございますし、それから、元々金利が非常に低うございますから、いわゆる機会費用というものがそれほどありませんので中央銀行に当座預金を置いていてもいいかなというものもございます。  最終的に一国の国債の消化能力というものは、先ほど来の話の繰り返しになって恐縮でございますけれども、基本的にはマクロの貯蓄・投資バランスがどういうふうになっているのかということと、それから政策運営に対する信認ということであると思います。民間金融機関はそうしたバランスの中で現在国債に対する運用を増やしているということでございます。預金に対する貸出しの割合をよく預貸率と呼んでいますけれども、預貸率は現在、業態によって違いますけれども、概して言いますと、下位の金融機関になりますとこの預貸率が低い、まあ上位の金融機関もそうですけれども、その分国債を増やしているということで、マクロ的には先ほどの貯蓄・投資バランスの反映がそこにまた出ているというふうに思います。
  133. 中山恭子

    ○中山恭子君 やはり市中消化能力がどのくらいあるのかなというのが、いつも何かしっかりした数字がつかめないものかななどと思いながらおりますので、こんなのは使えないんだろうかと思ったりしたところでございます。  資産買入れ震災後、三月十四日にすぐ政策決定会合で追加緩和として資産買入れ五兆円増加していただきました。大変迅速な動きで良かったと思っております。更に追加するという可能性があるんだろうか、そのリスク資産の買取りというものをですね。東電の話もありますし、お考えいただけているのかどうかと思いますが。
  134. 白川方明

    参考人白川方明君) 昨年の十月に包括緩和の下でリスク性資産を含む買入れ、これを始めました。この三月の震災後にそのリスク性資産中心に買入れ額を倍増させたわけでございますけれども、現在、その引き上げた目標に沿って着実に今買入れを増やしております。我々としてはその買入れがどのような効果を及ぼしていくのかということを現在検証している段階でございます。  取りあえず、先ほど申し上げましたけれども、三月の金融市場、例えばCP市場、社債市場を見てみますと、私どもの買入れが随分とCP市場、社債市場の安定に寄与したという声をこれは発行体の企業からもいただいております。もちろん、これは発行体の企業のために行うわけではございません。金融市場全体の安定が経済の安定に貢献するということで行っておるわけですけれども。  今後についてのお尋ねでございますけれども、現在、今積み増しを行っている段階だということでございます。今後の経済の展開、これを注意深く点検して、我々として、もしこれが必要であるというふうに判断するときには適切な政策を取っていくというのが、これは、これに限らずでございますけれども、一般的なスタンスでございます。それだけ、現在の経済状況については注意深く見ていく必要があるというふうに思っております。
  135. 中山恭子

    ○中山恭子君 今お話にありました昨年十月の成長基盤強化支援資金供給というもののお話考えてよろしいんでしょうか。今回それが表に出てきておりませんでしたので、この枠の三兆円というのをどのようにお考えなのかと。
  136. 白川方明

    参考人白川方明君) 私の説明が少し要領を得なかったかもしれません。  包括緩和による資産買入れ、これは昨年の十月に決定をいたしました。その買入れ金額、そのリスク性資産中心とした資産の買入れでございますけれども、十月スタートの時点ではこれは五兆円、今回それを倍増をして十兆円にいたしました。  一方、中山先生から今御質問になられました成長基盤強化支援のこちらの融資は、昨年の四月にそうした方針を発表をしまして、夏以降これを実行をしております。こちらの方につきましては、現在、その残高三兆円に向けて今積み上げを行っているということでございます。これについてもどのような、今後、例えば今回震災発生しまして、その上で成長基盤強化という観点から何か新たに工夫をする余地があるかどうか、その辺もしっかりと考えていきたいというふうに思います。  ただ、いずれにしても、これ、先ほどほかの議員の御質問にもございましたけれども、今まだ被災地は復興についてなかなか具体的なプロジェクトが見えるという段階ではないということがありまして、我々としては、それぞれの段階でどういうことが必要なのかということを考えて、時間軸を意識しながら政策をやって行うことが大事だなというふうに思っております。
  137. 中山恭子

    ○中山恭子君 分かりました。資産買入れの拡大措置の五兆円プラス五兆円と、それから昨年の三兆円分ですか、これも場合によっては活用していくということでよろしいんですね、確認だけです。
  138. 白川方明

    参考人白川方明君) 今増額を決定しているということではもちろんございませんけれども、この資産買入れ成長基盤強化支援について、現在まだ枠を使っておりませんけれども、先々検討を、経済の展開に合わせて、もしそれが必要である、望ましい、経済に貢献するということになりますと、その場合には適切に対応していきたいというふうに思っております。  ただ、繰り返しになりますけれども、まだこの震災後の復興の状況がよく見えていない段階で具体的にどうこう申し上げるよりか、我々の一般的な構えを申し上げた上で、どのような日本銀行対応が一番この日本経済に貢献するのかをしっかり考えていきたいというふうに思っております。
  139. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます、いろいろお答えいただきまして。  先日の財政金融委員会で、私は自見大臣に、金融機関に対して資金をしっかり出してほしいというお願いをいたしました。先日の四月七日の日銀政策決定会合で資金を、一兆円の貸付総額を出すということを決めてくださったそうで、やはり、金融機関のところで混乱が起きるということはどうしても避けなければいけない問題だと思っておりましたので、早速このような形を取って動いていただいているということを高く評価しております。  先ほど自見大臣からもありましたが、金融関係、金融政策関係というのは本当に、御自分でできる限りのことをしてくださっているというふうに見ています。自見大臣さっきおっしゃったのは、今足りないのは財政出動だというお話がございました。ある意味では、やはり、公共投資、公共事業が余りにも少なくなってしまっているということなのではないかと考えております。民間には資金がもう十分ある、だけど使い道がない。国の方には、やらなければいけない公共事業というのは社会インフラ整備、これは全国的な戦後の社会インフラがちょうど今変えていかなければいけない時期に来ているわけですから、国としてはやらなければいけない公共事業というものがもう山ほどある、だけど今は財政資金がないからということで公共事業はほとんどストップしている、もう本当下がってしまっている。このアンバランスがやはり大きなデフレが続いているということなんだろうと考えておりまして、その民間で余っている資金を何とか動かして公共事業の方で使える形をつくるという、いろんな手だてを考えなければいけないんだと思うんです、短期的にも、長期的に見ても。  そういった中で、前回申し上げました、日銀のところで資金を出して、そこでもうストップさせて市中に出さないという形というのもあり得るのではないだろうかと。もちろんその前に、建設国債でいけるのか、市中消化が、今国債の残高というのが六百三十七兆ですか、これに対して更に市中消化を毎年二十兆円ずつずっと続けていけるものなのかどうか、建設国債でやっていけるのかどうか、そういったところを十分審議した上で、社会インフラ整備、この災害対策プラス全国の社会インフラ整備というものを国としてやり始めなければいけない。  これがデフレ脱却につながり、日本経済の復興につながっていくと考えておりまして、そういったところも含めて、財政当局、そして、まあ決めるのは国会だからということかもしれませんが、日銀が積極的にそのただし書を使うということはあり得ないと思いますが、財政当局として、また日本経済をしっかりしたものにするために、公共事業を中心とした政策を取るというお考えはいかがでしょうか、財務大臣質問に入っていなかったかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
  140. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) この距離で耳元でささやかれると何かべらべらしゃべりそうなんですけれども、基本的には、御指摘はよく分かります。分かりますし、特にこれから、取りあえずは復旧に向けて第一の補正をどう作るかということに今専念をしていますが、復興段階においてはどういう形でお金を使っていくのか、しかも財政出動だけではなくて民間のお金の呼び水になるような方法も含めて、各党の御意見も踏まえながら対応をしていきたいというふうに思っています。  ただ、国債どうのというのは、これはこれからのいろいろな議論があるかと思いますけれども、震災発災後も二十年債と二年債と十年債と、それぞれ入札をやってまいりました。現時点では順調に推移をしていますので、基本的にやっぱり市中消化というようなこの原則は堅持をしていきたいというふうに思います。
  141. 中山恭子

    ○中山恭子君 市中消化で対応できるのであればもちろん市中消化で進めていいものでありますけれども、それではとてもこのデフレと災害と両方をやれないというような状況がある場合には、財政的な出動をそれで止めるということは、やはり逆に財政収入も伸びてこないということになりますので、その辺りはしっかり強い経済を目指すということで、あらゆることを否定しないで、あらゆることを視野に入れて、新しいことでもいいと思いますので、政策を取っていただきたいと思っております。  G20、G7にお出かけかと思います。その中で、先ほど謝意を含めてというお話がありました。日本経済が強くなるためのあらゆることを進めて、しっかりした経済を運営していくということをおっしゃっていただけたらと思います。もし時間があれば、その決意だけでもお知らせいただけたらと思います。
  142. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおり、あさってからG7、G20、IMFC、出てまいります、白川総裁と参加させていただきますが、基本的には、今回の国際社会の支援に対する謝意、そして力強く日本は復興するんだという決意の表明をしてまいりたいというふうに思います。
  143. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。終わります。
  144. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) それでは、午前中はこのくらいにいたしまして、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  145. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として大石尚子さんが選任されました。     ─────────────
  146. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融調節に関する報告書に関する件及び金融証券市場をめぐる諸問題に関する件の両件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 金子洋一

    金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。  今回の東日本大震災被災された皆様方に改めまして心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復興を私どもも頑張っていかなければならないなと決意を新たにしております。様々な政策手段を投入をして、あるときにはタブーと言われるようなこともやっていかなければならないのではないかなと考えております。  それに基づきまして、今回の日銀からの報告書につきまして、主に日銀総裁にお尋ねをいたします。ただ、答弁につきましては、極力簡潔にお願いをいたします。また、さらに、今年の三月の二十五日の衆議院の財金委員会での山本幸三委員質疑、これを踏まえた形でさせていただきますので、そちらでお答えになった事柄については原則としてお触れいただかなくて結構でございます。  それでは、お尋ねを申し上げます。  まず、この大震災の復興につきまして、個人的なことで恐縮でございますけれども、私は日銀引受けの復興国債を発行せよというふうに主張をしております。二十兆円を超える規模で発行をすべきだと。かつ、これは復興のためのものでありますから、それ以外の用途にはこれは絶対に流用をしない、つまり東北できちんと使うんだということと、同時に、二十兆円も借りて大変なことになるんではないかなという市場の御懸念を打ち消すために、財政再建の計画も同時にこれは公表して、そういったセットでお示しすべきではないかというふうに提案をさせていただいております。  また、こうした同様の日銀引受けで行うべきだという御提言、これは衆参の財金委員会中心に、予算委員会でもそうですが、与野党を問わず政党の枠を超えてこういった声がたくさん出てきております。大変心強いことだと思っております。  ところが、こうした提言につきまして、日銀総裁あるいは日銀からの出席者通貨の信認が失われるとおっしゃって反対をされております。  今回は、通貨の信認とは何かということにつきまして中心にお尋ねをしたいと思っておりますが、まず最初に東電の社債について少しお尋ねをしたいと思います。  これは報道ベースのことでございますので、誤っていたら御指摘をいただければと思うんですが、日銀が先般、東電の社債を購入をしたということでありまして、これが非常にいい条件で購入をいただける、まあ千億円が上限ですが、いただけるということで、販売希望者が殺到したと報道されております。  もちろん個別のオペレーションについて云々というのは難しいことだろうとは思いますけれども、東電の社債のCDSは先週末、大体四二〇ベーシスぐらいで取引をされておりました。東電の社債を購入することが通貨の信認を毀損しないということでありましたら、今、日本の国債というのは、震災後、急に上がりましたけれども、大体八五ベーシスポイントぐらいで取引をされております。震災以前でしたら、それこそ桁が違う数字でございました。そういった日本の国債も、つまり東電より五倍以上、あるいは東電の方は更に数字が変わるかもしれませんが、そういった将来のことは分かりませんけれども、現時点でも五倍以上リスクが大きいと評価をされているものを購入しても、これは通貨の信認は失われないという理解でよろしいんでしょうか。総裁にお尋ねします。
  148. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) 初めに私からお答え申し上げます。  まず、御質問の件でございますけれども、私どもの資産買入れ等の基金等のオペ全般にわたってでございますけれども、個別銘柄の取扱いにつきましては、マーケットに無用の憶測をもたらす等の問題がございますので、お答えできない点を御理解いただければと存じます。  その上で、一般論として申し上げますと、通貨の信認という問題は、この後御議論になるかと存じますけれども、基本的には日本経済政策全体、言ってみれば金融政策が財政のファイナンスということを目的に行われずに、物価安定の下での持続的成長ということを目的に行われているということ、あるいは財政規律がしっかり保たれているかということが問題でございますので、その点を考えますと、やはり社債と国債というものは違う性格を持ってございますので、この両者につきましてリスク量のみを比較して買入れ額の適否を論じるということは適当でないように思われます。  以上でございます。
  149. 金子洋一

    金子洋一君 今の御答弁を聞いていますと、社債の方がリスクが高い、まあ国債と社債は性質が違うので、これ当然社債の方が中央銀行の本来伝統的なスタンスから見ますと持つべきではないということになるわけですよね。となりますと、今おっしゃったのは、社債の方が通常でないものになるということをおっしゃったわけでしょうか。
  150. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今、私が申し上げましたのは、通貨に対する信認を確保するという観点から、金融政策、財政運営全般に関する信認ということで申し上げました。  御指摘のとおり、一般論として申し上げますと、これは社債の方がリスクの高いリスク性資産でございます。私ども、経済状況に応じ、かつ金利がほぼゼロでこれ以上金利政策の余地がないという中で、様々な金融政策、運営手段を試みる中で新しい領域に踏み込んでいるわけでございますが、それと同時に、中央銀行の資産の健全性ということを確保するために、例えば信用基準を設ける、あるいは上限額を設けるといった、あるいは適切な会計基準を採用するといったことで最大限の努力をしていると。中央銀行のバランスシートの健全性を維持するという観点からも、最大限の努力を講じながらこうしたオペレーションを行っているということでございます。
  151. 金子洋一

    金子洋一君 正直申し上げて、お尋ねをしたことに全く答えていただけていないので、この件は飛ばします。時間の制約がございますので、こういうような答弁をいただかないようにせんだってお願いをしたつもりでおりましたけれども、どうもそういった行内での伝達がうまく行われていないようでございまして、甚だ残念であります。  それでは、通貨の信認の件、引き続きお話をさせていただきますけれども、三月二十五日の問題でありますが、山本幸三委員への総裁答弁の中で、非連続的な変化が生じた過去の例があると、だから日銀の引受けはできないんだというふうなお話をいただきました。  そこで、昨日、三時間以上掛けてレクをさせていただきましたけれども、その中で、じゃ、我が国のような先進国、通貨発行権を持って生産設備が毀損されていないという条件の下でそういった非連続的な変化が生じた例というのはあるのかとお尋ねをさせていただきました。そうしましたら、日銀の、レクを聞きに来られた皆さんが何とマンキューの教科書を持ってきたと。そして、戦間期のドイツ、これは通貨供給量が半年で一億倍になった、そういう例を持ってこられました。あとは一九八五年のボリビアの例です。本当にこれのことですかと、これまさか日本にこういうことが起きるわけじゃないですよねとお尋ねをしましたら、六時ぐらいになって、午後六時になって二〇〇一年のアルゼンチンの例を持ってこられました。  果たして日本経済考える上で、戦間期のドイツ、戦争に負けて焼け野原になったドイツ、そしてボリビア、アルゼンチン、これが例になるのかと引き続きお尋ねをしましたところ、まあ通貨発行権を持っていて、かつそういった生産設備が毀損されていないケースではそういった例はないんだというふうにおっしゃったわけですが、ということは、ハイパーインフレが日本で起こる可能性はほとんどない、そう考えてよろしいわけですね。  簡潔にお願いします。
  152. 白川方明

    参考人白川方明君) 通貨の信認が崩れるということがあってはならないということで、各国とも努力をしております。  したがいまして、例として、先進国は現在その通貨信認ということで原則が確立しております。その結果、先進国において激しいインフレが起こるということは戦後においては非常に少なくなってきているということであります。  しかし、このことは通貨の信認を守る仕組みが重要でないということじゃなくて、まさにそういう重要な仕組みを尊重しているからこそそうした事態を避け得ているというふうに思っております。
  153. 金子洋一

    金子洋一君 済みません、ハイパーインフレが日本で起きる可能性はほとんどないと私は受け取ったんですが、そう考えてよろしいですねと御質問申し上げたつもりなんですが、その点についてお答えはいただけないんですか。
  154. 白川方明

    参考人白川方明君) 中央銀行総裁立場で、ハイパーインフレが起こるとか起きないというふうな言い方自体、これは多分不適切だというふうに思います。  中央銀行として大事なことは、通貨を発行するという大事な権能を法律によって与えられている以上、この信認をしっかり守っていくように努力していくということに尽きます。
  155. 金子洋一

    金子洋一君 正直に申し上げまして、真っすぐにお答えをいただけないというのは甚だ残念でございます。  誰がどう見ましても、戦間期のドイツのようなこと、あるいは一九八五年のボリビアのようなこと、あるいは二〇〇一年のアルゼンチンのようなこと、我が国では通貨発行権を持っています。インフレファイターとして有名な日銀があるわけですから、こういった状況で誰がハイパーインフレが起こると考えているのかということになりますと、これはいないというふうに考えざるを得ないわけであります。  また、山本幸三さんの質疑を踏まえますと、これ、市中消化を前提とした場合で日銀の直接引受けをしてもインフレにならないということが、これはまた明らかになったわけであります。  となりますと、ハイパーインフレというのもまあどういうふうに起こるのか分からない、その可能性についても言及すらできない。それは言及ができないということでしたら、それはないものだとしか我々には受け取れません。何らかの、例えば、ハイパーインフレ、いや、非常になりにくいんですが、こういうようなケースがあって、こういうことがあって、こういうのが重なれば我が国でもなりますということだったら分かるんですが、そういった、社会学的に申しますと操作的な定義すらしていただけないのでは、これは公的機関のヘッドとしてそういう答弁国会でなされるのでは大変困ると言うしか、私申し上げられません。  午前中に中山委員から国債の市中消化能力につきまして御質問がありまして、また私もその問題について全く同様の問題意識を常に持っております。  そこで、過去のデータを見てまいりますと、平成十五年ごろ、これはたしか秋ぐらいだと思いますが、日銀券の発行残高が約七十兆円あったと。その一方で長期国債の保有残高が約六十五兆円あったという時点がございます。これはいわゆる日銀券ルール、銀行券ルールを信奉する日銀の立場からしますと、日銀券ルールが今にも破られてしまいそうだという大変憂慮すべき状態だったと思うんですが、そのときに、総裁にお尋ねしますけれども、実体経済に何か悪い影響があったんでしょうか。インフレが起きたんでしょうか。国債の市中消化が問題があったんでしょうか。そして、通貨の信認がそこで失われたんでしょうか。その点についてお答えお願いします。
  156. 白川方明

    参考人白川方明君) 今議員が御質問になりましたその時期も含めまして、日本銀行は、今先生がおっしゃったいわゆる銀行券ルールということを原則に国債の買いオペを行うということについて我々自身明確に説明し、市場でもそういうふうに信用されておりました。したがいまして、そうした原理原則がしっかり確立されていることによって問題を防ぎ得たというふうに思っております。
  157. 金子洋一

    金子洋一君 個人的には大変不満なお答えなんですが、また、経済学者でも日銀券ルールが経済学的に根拠があるとお考えになっている方は恐らく西村総裁を含めても余りいらっしゃらないんじゃないかと思いますが、いや、いらっしゃるんだったら御発言いただければ結構ですけれども。  仮に、銀行券ルールを前提といたしましても、当時は五兆円、上にマージンがあった。今どういう数字かと申しますと、これ午前中にもちらっとお話が出ました。発行銀行券の残高が八十・九兆円、また長期国債の保有残高が五十八・二兆円でございます。となりますと、二十三兆円まだあると。日銀券ルールを前提としましても、あと二十三兆円、長期国債の保有を増やせるわけですね。先ほど申しました十五年の例で見ますと五兆円分空いていましたから、それを考慮に入れても十八兆円買えるわけですよね。  となりますと、特に御返事をいただけませんでしたので、十五年の場合何も起きなかったということを前提にさせていただきますが、今の状態でも市中から十八兆円分購入することはできるわけであります。そして、そういったルールを前提としても、ほぼ満たす条件でもマイルドなインフレにすらなっていなかったということは、これ、誰が見ても明らかだと思うんですね。  それを私は今回強調申し上げたいということと、あともう一点、今回の質疑で大変よく分かることなんですが、通貨の信認について、実は定義を教えてくれとレクの際に申し上げました。当然、通貨の信認を毀損するので日銀引受けの国債発行できませんと、国会で何回も何回も総裁御発言なさっていますよね。ということは、通貨の信認というのは誰もが明らかな形で定義をされているんだろうなと私は思ったわけであります。ですから、じゃ、行内の資料でもいいし、出来合いのものでいいです、切り張りでいいですから定義持ってきてくださいと言ったら、出てこない。これ、おかしいことだと思いませんか。  その先にちょっといろいろ追加的なお尋ねをしましたら、いや、通貨の信認については定性的な定義はあるんだけど定量的な定義はないというふうにその日銀の方がおっしゃったわけです。それじゃ外部の人間が、今の状態通貨の信認が保たれているというふうに判断できないじゃないですかと言ったら、いや、そこは半期に一度、展望レポートを出して日銀が判断をしますから、それを読んでくださいという御返事だったわけです。これでは市場とのキャッチボールにならないわけですよね。  展望レポートというのは、それは、じゃ私も書けるんですかとばかな質問をしましたら、それは日銀部内で書きますと。じゃ、日銀が要するに判断をするんだと、俺に任せてくれと言っているのと同じじゃないですかということじゃないですか。それで、こういう状況市場とのやり取りとか、あるいは政府との密接な連絡といってもまずいんじゃないかと思いますが、総裁の所見をお伺いします。
  158. 白川方明

    参考人白川方明君) お尋ねは、通貨の信認の定義は何なのかということだというふうに受け止めました。これは先ほど、既に国会で言ったこと、先回、三月の二十五日に言ったことについては言わぬようにということではございましたけど、御質問でありますので、その部分については若干重なりますけれども、二つの要素があるというふうに考えています。  一つは、中長期的に見て物価の安定が確保されている……
  159. 金子洋一

    金子洋一君 いや、それはそうじゃないです。だから、展望レポートで公表しているからそれでいいんだということについてどうお考えなのかと。
  160. 白川方明

    参考人白川方明君) 展望レポートでは、先々の経済物価の姿、見通しを展望しまして、それが我々の判断する中長期的な物価安定の定義に照らしてどういうふうに評価できるかということを示しております。  通貨の信認、物価の安定ともう一つ、これは最終的に通貨の支払、これは、現代の金融システムの下ではこれは預金通貨でございます。つまり、最終的に預金がちゃんと元本が返ってくるという安心感でございます。これはリーマン・ショックのときにも示されましたけど、最終的にあの局面では欧米各国、政府が公的資本注入を行いました。つまり、最終的に民間金融機関の信用というのは、これは国家のやっぱり信用によって支えられるということでございます。これは言い換えますと、財政のバランスについて中長期的なバランスが確保されるかということに帰着します。それであるがゆえに、ユーロの参加の条件として、その一つの条件として財政バランスも入っているわけでございます。  そういう意味で、厳密に数量的に定義できないけれども、しかし、大事なことは世の中にはたくさんあるというふうに思います。民主主義もそうですし、この通貨の信認ということもそうだというふうに思います。
  161. 金子洋一

    金子洋一君 御答弁については全く納得できませんが、時間が参りました。  日本銀行が保有する長期国債の残存期間別割合とその残存期間を今後毎月公表していただきたいということと、学者さんや学会に対する支出の公表も是非お願いをしたいと思っております。  ハイパーインフレ、ドイツで起きました、戦間期のドイツ。これは、古い無能なライヒスバンクという中央銀行をぶっ潰してレンテンバンクに変えてレンテンマルクを出したということで終結をしましたので、金融政策をきちんと使えばそういったハイパーインフレすら対応ができるんだということを強調させていただきまして、私からの時間、終了させていただきます。  ありがとうございました。
  162. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。よろしくお願いいたします。  初めに、被災者支援関連の義援金についてお尋ねをしたいと思います。  今回の災害は大変な規模でありまして、被災をされた方々の避難が被災地から遠く県外に行っているというケースがたくさんございます。私の地元新潟県には、四月十日現在で八千四百八十四人の方が被災地の方から避難をされているということで、そちらでいろいろお話を聞いているわけでありますけれども、一番今お困りになっていることの一つで、避難されている皆さんの手元資金が不足をしているという状況があります。  これに対して、義援金の給付について方針が定まったということなんですが、一日も早くこうした方々へ義援金を給付をしていただきたいというふうに思うわけですが、決定された内容と、今後どのように給付が行われるかについて御説明願います。
  163. 清水美智夫

    政府参考人清水美智夫君) 義援金配分割合決定委員会、先週の金曜日に開催されました。この委員会は、日本赤十字社などの義援金受付団体が私どもの協力の下に設置したものでございます。  その決定内容でございますけれども、第一次配分として、一つ、死者、行方不明者、一人当たり三十五万円。二つ、住宅全壊・全焼、一戸当たり三十五万円。三つ、住宅半壊・半焼、一戸当たり十八万円。四つ、原発避難指示・屋内退避指示世帯、一世帯当たり三十五万円という考え方によりまして被災都道県に第一次配分を行うということが決定されたところでございます。  現在、この言わば単価に基づきまして各県が数量を掛け合わせまして義援金受付団体に伝達いたしますと、義援金受付団体の方から各都道県の方に資金が渡されると。そこで、その上で各都道県で義援金配分委員会が設けられ、そこで具体的な配分基準が決まる、こんな方向になっているところでございます。
  164. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 そうすると、まだ基準が決まっただけで、具体的なお金が給付されるようなプロセスに入っていないということなんでしょうか。もう少し具体的にお願いします。
  165. 清水美智夫

    政府参考人清水美智夫君) 実際に対象者の方々に義援金が渡されるまでは、事実確定、これは市町村の手が相当必要かと思いますが、そういうことでございますとか広報周知でございますとか、具体的手続といったことが定められることが必要かと存じております。それらのことにつきましては、被災都道県におきまして義援金配分委員会の立ち上げと並行して様々な検討が速やかに行われているところというふうに伺っておるところでございまして、それらの手続が進むにつれ、義援金の配分というのが次第に現実化していくと、そのように承知しております。
  166. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 おっしゃっていることは分かるんですが、被災自治体は復旧復興も含めて今後大変な状況があって、なかなか、その辺りがしっかりと素早く対応できているのかなということがまずあります。  その点もしっかりと総務省の方でバックアップをしていただきたいんですが、さらにあわせて、先ほどお話をしたとおり、被災地から遠く離れて県外に避難をされています。これ新潟県だけで八千四百八十四人で、ほぼ大方の方が今回の給付を受ける対象になると思うんですけれども、こういう県外にいらっしゃる方にとって被災地の自治体にまで行ってお金を受け取るとかそういうことは物理的にまず無理ですし、現実的な対応考えれば、今避難をされている自治体が事務委託を受けてそうした配分ができるようにするべきだと思うんですが、その辺りも含めて、総務省、御説明願います。
  167. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 一般的に、ある仕事を別の地方公共団体に委託をするということは、双方の自治体同士が協議をして合意をすれば可能であるというふうに考えられます。  現在、この義援金の配分につきましては、先ほど厚生労働省からお答えがありましたように、それぞれの県の配分委員会で検討が行われているというふうに承知をしておりまして、これから具体的にどういうふうに配分するのかということが検討がなされるというふうに思いますけれども、どういう方法が実際に現実的なのかということについて、避難先の市町村の協力も得ながら、避難元のまず県、そして市町村も入って検討がなされる、そういう必要があるというふうに考えております。
  168. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 現場に任せるということはよく分かりますけれども、先ほどからお話をしているとおり、今回のケースというのは極めて、そういう県をまたいだりしていろんなケースがありますから、もっと総務省さんが主体的にこういう形でやっていくという方向性をむしろ自治体に示していって、そういう中で、自治体同士が協議したらできますよということであれば、何かそれは方法論を提示をして、あと皆さんやってくださいというふうに聞こえるんですね。  そうじゃなくて、もっと政府が主体的に、こういったケースたくさんもうあるわけですから、いろんな県にまたいでいる、その辺りをもっとやられるべきだと思うんですが、いかがですか。
  169. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) この義援金につきましては、元々はこれは民間、赤十字社のお集めになったお金をどういうふうに被災者に配分するのかということでありますので、ここはそれぞれ、厚生労働省、総務省、それぞれどういうふうな形でこれにかかわっていったらいいのかということにつきましては議論のあるところだろうと思います。  問題は、いずれにいたしましても、この義援金が被災者の方の手元に渡るためには、それぞれ被災県、また市町村の協力がなければできませんので、私どもといたしましては、特にこの市町村の仕事がどういうふうに回るようにするのか、現実に役場機能が壊滅しているような自治体もありますので、それについて全力で私どももサポートをしております。必要な他の自治体からの職員の応援のシステムなども構築させていただいたところでありますので、そういう点も含めてしっかりと支援をさせていただきたいというふうに存じております。
  170. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非よろしくお願いいたします。これ非常に時間が掛かってくると思うんで、しっかりとその辺りを方向性をバックアップをしていっていただくことをお願いいたします。  次に、みずほ銀行の件をまず先に聞かせていただきます、政務官来ていただいていますので。  みずほ銀行のシステム障害の原因はシステムの手当ての不十分による人為的ミスということも言われているわけですが、この原因究明と再発防止をどのように考えていらっしゃるか、御説明いただきたいと思います。
  171. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 御指摘のみずほ銀行におけるシステム障害につきましては、今のところは検査に入ったところでございますので、その検査の進捗とそれから結果を見極めることによって申し上げることにさせていただきたいと思います。今時点で申し上げられることは、特定支店におきまして一時期に集中して取引が行われることに対してシステム障害が起きたということに尽きております。
  172. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 しっかりやってください。これは大変金融システムにかかわることですし、タイミングが特に非常に私は悪い、バッドタイミングだと思います、こういうことが起きたということが。それは、日銀の考えている金融システムの中にこうした個別銀行の決済システムということは当然含まれているわけですよ、広義の中で。そういったことが、しかも大手の銀行がシステム障害を犯すということは非常に大きな問題なんで、しっかりとその辺りは監督官庁としてやっていただきたいということをお願いをさせていただきます。  お忙しいと思いますので、委員長の御了解があればこれで結構であります。
  173. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) はい、どうぞ、じゃ和田政務官、退席お願いします。
  174. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それでは、日銀総裁にお尋ねをしていきたいと思うんですが、まず今後の経済見通しについてどのように考えていらっしゃるかということを少し議論してみたいと思っているんですけれども、さきの記者会見などでも、今後時間がたつにつれてサプライチェーンの復活も見られるだろうということもおっしゃっているわけですが、そうはいっても供給面でいえば、今供給力が減少をしてきているという状況があります。一方で、それに伴う需要の喪失というか低下もありますけれども、どちらかといえば、これまでは供給に対して需給のバランスで見れば需要が足りないという傾向でずっと内閣府の試算の数字、GDPギャップも出てきているわけですね。  それが、今後その需給のギャップが埋まってくるというふうに見られているんだとすると、トレンドとしてはインフレ傾向になっていくというふうに先々見られているのかなということが一点と、あと為替の側で見れば、輸出の減少と輸入の増加、あるいは各国との内外金利差の拡大を考えれば、これは円安傾向になるのかなというふうに思うんですが、この辺りのマクロの状況をどのように見られているのか、まず御説明いただきたいと思います。
  175. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  先行き物価の見通しを考える上で最も大事な項目の一つは、今先生指摘の需給のバランス、需給のギャップでございます。  今、足下で起きていることは、突然生産能力が毀損をしたということで、その限りでは供給が減って需給ギャップのマイナス幅が縮まるという方向ではございます。ただ、同時に、先生指摘のとおり、このことによって需要も減ってきております。したがって、現在、マクロの需給バランスが震災後どのように変化したか必ずしも特定し難い面があります。ただ、いずれにしても、マクロの需給バランスがどういうふうになっているかは別にしまして、いろんな分野でボトルネックが発生して、特定の資材の値段が上がるということは、これは十分考えられることでございます。  ただ、出発点がそういうことですと、今度、これは時間の掛かるプロセスではありますけれども、やがて供給能力が復帰してきますと、その面から一旦縮まった需給ギャップがまた元に戻ってくるという力も働いてまいります。そういう意味で、少し先々を展望した需給バランスについては、これは今予断を持って考えられませんけれども、一方的に縮まっていくというわけでもなくて、基本的な経済の姿はやっぱり点検していく必要があるというふうに思っております。  それから、物価考える上でもう一つ重要な要素は、これは国際商品市況でございます。この一か月間、もう国際商品市況は随分上がりました。これは世界的な、地政学的なリスクという問題もありますし、それから、そもそも新興国経済が非常に高い成長率成長をしているということで、資源に対する需要が高まっていることもあります。ただ、いずれにしても、これは日本にとってみますと輸入コストの上昇ということになってまいります。  最後に、これは予想物価上昇率ということでございます。これは中長期的に予想物価上昇率がどうなるかということでございます。この点は、震災発生後のデータを見てみましても、今のところまだ変化をしているという感じではございません。ただ、先々いろんな可能性考えられますので、これは上にも下にもその可能性はございますので、注意深く点検していきたいというふうに肝に銘じております。
  176. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 御指摘のあった商品市況については大変私も懸念をしているわけでありますけれども、そうすると、そういう傾向を注視していく中で、国債の価格なり金利についてもそういった傾向にある程度連動してくるという可能性もあるのかなと思うんですが。  そこで、先ほど来議論のある市中の国債の買入れ余力をどのように今後見ていくかということなんですが、そういう中長期のトレンドの中で今後国債が増発をされていくとすると、国債の要するに価格あるいは金利上昇といった面が出てくる可能性も否定できなくはないと思うんですが、そういったところをどのように評価されていますか。
  177. 白川方明

    参考人白川方明君) まず最初に、多少午前中の議論の繰り返しで恐縮でございますけれども、マクロ的に見た日本の国債消化能力という観点ですと、これは投資を大幅に貯蓄が上回るという貯蓄超過の状況でございます。マクロ的には貯蓄は存在するということでございます。したがいまして、政策というものに対する信頼、これは財政政策もそうですし金融政策もそうですけれども、そうしたことに対する信頼が維持される限り、国債の消化が難しいということでは必ずしもないというふうに思います。  お尋ねの先々の長期金利のことでございますけれども、先々の長期金利がどういうふうに決まってくるのかというのは基本的には二つでございます。一つは投資家が先々の経済物価情勢をどのように見通すかということと、二つ目は国債を保有することに伴うリスク、これをどう考えるのかということでございます。  もし、先々の経済成長率が上がっていくという見通し、これが出た場合に長期金利が上がる場合には、これは元々それだけ所得水準が上がってきて消化力も高まっているわけですから、これ自体で問題になるということは多分ないと思います。  一方、国債を保有するリスクが高まるというのは先ほど申し上げました政策に対する信認が低下するということで、この結果リスクプレミアムが上がる場合には、これはもちろん経済に対して悪い影響が出てくるということになります。  したがいまして、財政の面ではしっかり財政規律を守っていくと、それから金融政策についても物価の安定の下での経済成長ということについてしっかり焦点が据わっているということが大事だというふうに思っております。いずれにせよ、そうした状況金融の面から実現していくのが日本銀行の仕事だというふうに思っております。
  178. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 再三、家計なり企業の資金的な余力ということと日銀を中心とした制度の信頼性ということをおっしゃっているわけなんですが、今後の税に対することはこれ国会の議論になってくると思いますね、増税するしないということも含めて、いつのタイミングかと。  ただ、個人金融資産ということにも当然限りがあるわけでありまして、よく言われるのは、それは無限ではないと。いつかそういったもののその余力というものも減少してくるんだと。じゃ、それがどこなのかということになると、これはかなりいろんな個別の議論があると思いますが、今我々が懸念をしていることは、そういったことにだんだんと近づいていって、家計や企業の資金の余力というものがなくなってくる状況が近づいてくるんではないかということの中での金利上昇ということもあり得るということです。その辺りはいかがですか。
  179. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 皆さん、その場で身の安全を確保してください。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  180. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 速記を起こしてください。
  181. 白川方明

    参考人白川方明君) 先ほどのお答えと多少重なる部分がありますけれども、国債を誰が保有するかということを考えますと、今、日本の場合、金融機関が圧倒的に多く保有しているわけで、典型的には銀行でございますけれども、銀行は国民、一般家計から預金を受け入れて国債に運用するということでございます。一方、日本銀行の、例えば今国債の買いオペを行っていますけれども、これもバランスから考えますと、日本銀行は、国民が銀行券を持ってくれる、その銀行券が見合いにあり、一方国債があるということで、いずれも、銀行券であれあるいは預金であれ、最終的に家計がそうした銀行券あるいは預金という通貨に対して信頼をしているということが前提になります。  したがいまして、預金はもう信頼がないけど銀行券は信頼があるということはありませんし、逆に、銀行券は信頼がないけど預金はあるということもありません。結局、通貨の信認をしっかり守っていくということが、この点の条件が確保されていれば、あとはマクロ的な需給の貯蓄、投資のバランスというものがやはり最終的には大事になってくると。そういう意味で、私どもとしては、財政の面それから金融の面で、両面でしっかりと信認を維持していくということこそが国債が安定的に消化されていくということであります。  今朝ほど財務大臣からも御答弁ございましたけれども、震災発生後、既に十数回国債の入札が行われております。この国債発行、これはいずれも順調に行われております。これだけの今、日本は危機でございますけれども、しかしそこの国債発行が順調に行われている、ここのこういう状況をしっかり維持していくようにやっぱりしていくことが大事だというふうに思っております。
  182. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 今は大丈夫だという議論なんですけど、今後どうなっていくかということもやっぱり我々はすごく注視をしているわけでありますから、先ほどからお話ししているとおり、その市中の消化の余力というものがだんだん今狭まってきているんではないかなという前提で、今後どう日銀としてそれを予見をして、それに対してどのように対応していくかという議論ができればなということなんです。  その中で一つ具体的に、ちょっと質問を変えていきますが、資産買入れ等の基金の運用をそもそも決められたときに、金融緩和を一段と強力に推進するために長めの市場金利の低下と各種リスクプレミアムの縮小を促す観点ということをおっしゃっているわけですね。そうすると、仮に今後何らかの形で国債が増発をされていって、その結果、国債の価格、金利上昇ということが起きた場合、まさにこれは一種のリスクプレミアムの状況というふうに思うわけですが、そういった状況下でこの基金、今回増額をされているものの中で長期国債も含めて項目があるわけですが、そういったときに、市場の安定化を図るというためにこの国債の買入れを行っていくということは私は十分あり得るし、それは適切な考え方だと思うんですが、この点についていかがですか。
  183. 白川方明

    参考人白川方明君) 今のお尋ねに関連することを最初に申し上げまして、最後にまたお答えをしたいと思いますけれども。  現在、日本銀行は、金融調節に当たり、金融政策に当たりまして国債の買入れ、これを実は大いに活用しております。現在、年間二十一・六兆円のペースで、これは昨年も買い入れましたし、今年も買い入れるということで、これは二十一・六兆円のペースで確実に買っております。したがって、現在、日本銀行が国債の買入れをやめているということではなくて、これは確実に行っております。この日本銀行の国債の買入れは、これは先ほどの銀行券が趨勢的に増加をしていくということに見合った形で買入れを増やしております。  この国債の買入れの目的が、あくまでも物価安定の下での持続的な成長を実現していくという目的に沿って行われているということが大事であります。その目的が、それ以外の目的、つまり、国債が順調にファイナンスされるということを目標にしていくということになってまいりますと、これは最終的に様々な悪影響が出てき得るということでございます。これは、日本銀行は現に国債を買っていますから、買っていますけれども、その買っている目的はあくまでもそうしたことに従ってやっているということでございます。  リスクプレミアムが高まって金利が上がるというケースは、先ほど申し上げましたように、一つは財政について、その財政バランスについて信認が失われていくということが仮にもしある場合には、これはそのこと自体を正していくということが大事であります。それから、もし金融政策に原因があって金融政策がもし目的を踏み外すことがございますと、それ自体がまた更なる混乱をもたらします。  いずれにせよ、日本銀行としてこれ国債を買わないということを言っているわけではなくて、日本銀行は現に国債を買っております。しかし、その買い方については、そうした注意を持って最終的に日本銀行の目的達成をしっかり果たしていきたいという、そういう構えでございます。
  184. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もう財政ファイナンスを目的とする形で買取りをすることが問題だということは日銀総裁ずっと言われていることなんで、それは理解はしていますが、おっしゃっている意味は。要は、私が申し上げているのは、市中に国債が出ていった中で、そういう金利上昇とか国債の価格のリスクが高まっている状況であれば、それは財政ファイナンスの目的ということではなくて、まさに市場の安定と広い意味での経済の安定という目的でそれを買い取っていくということはあり得るし、私は許容されることだと思うんですね、日銀のオペレーションとして十分に。  その点について、そういう今おっしゃっている、じゃそれはそういうふうに国債の価格下落する理由は何なのかと。それはもちろん国の財政面の大枠のこともあるかもしれません。ただ、残念ながら、そういったことというのはいつどういう形で解消されていくかということはまだ決定したわけではありませんから、そういった状況下で国債が発行されれば、現実的にはその局面局面で今申し上げたようなリスクが高まることはあり得るわけですから、そういうときには機動的に、今ある制度であるこういった基金などを使ってやっていただきたいという意味なんですが、その辺りもう少し御答弁いただけますでしょうか。
  185. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本銀行は毎回、決定会合におきまして、経済金融動きを点検して金融政策の方針を決定しております。  そのときに、経済物価影響を与える様々な要因がございます。今先生が御指摘の国債、金利、これがどういうふうに影響を与えるか、あるいは為替レートがどういうふうに影響を与えるか、様々な要因が、もちろん株価もございますし、その他もろもろ、今であれば震災もございます。日本銀行としては、そうした様々な要因を全て考慮して、経済物価にどのような影響を与えていくのか、それが我々の考える望ましい姿から乖離していくというときに、そのときに日本銀行の持っている様々なオペの手段を使って調節を図っていくということでございます。  したがいまして、何か一対一で対応しているということではございません。もちろん先生もそういう趣旨でお尋ねになったわけではございませんけれども、我々としては、様々な金融市場動きも含めて、しかし最終的に経済の姿が今後どうなっていくかということをしっかり点検して、適切に政策をやっていきたいというふうに思っております。
  186. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 適宜、機動的に是非やっていただきたいということを申し上げておきます。  その中で、今回の基金の増額の中で、特にリスク性資産の項目の方を手厚くされているわけですね。私はむしろ、全体的にもう少し五兆円というよりは規模も大きめにして、各長期国債も含めた金融資産の買入れ枠をもっと増やしていくべきだろうというふうに自分では思いますが、その辺も含めて、リスク性資産に特に手厚く配分をされていることの考え方を教えてください。
  187. 白川方明

    参考人白川方明君) 震災発生直後の金融政策決定会合でございましたけれども、我々が一番懸念したのは、この大変な地震が起きて、この結果人々のマインドが萎縮してくる、あるいは投資家のマインドが極端に慎重化する、そうなりますと、これは金融市場に大きな影響が出てまいります。そういう危機が起きたときには、これは安全資産である国債は、これはみんな買うわけであります。問題は、安全でないというより国債に比べると安全度が低い、つまりリスク性資産について、これが買われない、あるいは売られるということでございます。  そうした事態が起きますと、経済を下押すということで、そうした事態を何よりも懸念しました。したがいまして、昨年秋の包括緩和導入時と異なり、今回はリスク性資産中心に買入れを増やす、もちろん国債の買入れも行いましたけれども、リスク性資産により傾斜をした方がいいというのが地震直後の非常に極端に先々不透明性が高まったという状況での我々の判断でございました。
  188. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もう一点、枠をもっと増やしたらどうかということもお伺いをしたんですが、そこにも併せてなんですけれども、もっと大きく広げていってもいいんじゃないかということについてはどうですか。
  189. 白川方明

    参考人白川方明君) 午前中の答弁と若干重なりますけれども、今この包括緩和の下で買入れを今積み増しを現に行っております。  我々としては、この買い増しの効果がどういうふうに出ていくのかということを今見ております。毎回の決定会合において経済物価情勢を点検し、もしそれが必要であるというふうに判断した場合には適切に対応していきたいというふうに思っております。  そういう意味で、これは毎回の決定会合後の我々の発表文で、その趣旨を、これは毎度繰り返し書いてございますが、そうした構えで政策に臨んでおります。
  190. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 あともう一つ、いわゆる成長通貨供給見合いで一・八兆円ですか、買っていらっしゃる国債……
  191. 白川方明

    参考人白川方明君) 二十一・六兆でございます。
  192. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ええ、毎月買われ、年間二十一。これについて、最近の議論の中で、この部分を増やしていくというような考え方というのはないんですか。
  193. 白川方明

    参考人白川方明君) 現在、日本銀行は年間二十一・六兆円のペースで国債の買入れを行っております。これは先々の経済成長、その下での銀行券需要の増加の姿を予測しながら、現在の買入れペースで行うと大体どういうふうなバランスになっていくかということを展望しながら行っておるわけでございます。現在はこの買入れが最適だというふうに判断しております。もちろん、これは今申し上げた先々の経済の見通しということにもちろん依存しますので、こうしたことが変わればもちろん前提条件が変わってくるわけでございます。ただこれ、基本的には趨勢的に銀行券がどういうふうに増加していくかというかなり経済の基調的な姿でございますから、そう短期的に大きく変わるというものではございません。日本銀行は二〇〇八年のリーマン・ショックの後もこの買入れの増額を行いましたのも、そうした点検を踏まえて買入れの増額を現に行ったということでございます。  現在、日本銀行の国債の買入れ金額は、GDPとの対比で見ますと、米国のFRBと匹敵する、あるいはそれよりも若干多いという感じでございますし、FRBが今行っておりますのは、この六月末まで買入れを行うということは発表しておりますけれども、その後については発表しておりません。日本銀行は年間二十一・六兆円ペースで買入れをこれまでも行ってきているということも是非理解を賜ればというふうに思います。
  194. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 分かりました。  恐らく資産買入れ基金の四十兆の方がより機動的なオペレーションということになると思うので、その辺りもしっかりと先ほど来申し上げていることをこれから注視してやっていただきたいと思います。それがまずお願いをしたいことであります。  ちょっと時間がもう残り少ないので、一次補正に関連して少し財務大臣に来ていただいていますのでお伺いしますが、予算規模、報道で四兆円とか言われております。この予算規模と財源の捻出、これは今後すぐ議論に入っていくと思うんですが、この辺り、御説明いただけますか。
  195. 五十嵐文彦

    ○副大臣五十嵐文彦君) お答えをいたします。  報道の数字は私も承知をいたしておりますけれども、今各省庁において災害の現況を把握し、積み上げで瓦れきの処理、それから仮設住宅の建設、公共事業、インフラの一次分、早急に復旧しなければいけない部分の積み上げ、それから学校施設等の復旧の経費、それから自衛隊等の救援のための経費等を積み上げをさせていただいておりまして、まだ日々動いていると。確たる数字は申し上げられない段階でございますが、報道の数字は承知をしておりますし、またそれほど外れてはいないかなとは思ってはおりますが、まだ大きく動く可能性があるということでございます。  財源につきましては、午前中に野田大臣からも御答弁がありましたように、財政規律を維持し、国債市場の信認を保つという意味で国債は発行せずに一次については対応したいと。数次にわたってこの後、復旧復興段階でまた対策が打たれると思いますが、一次では国債を発行しないということで、歳出、歳入両面から見直しを行い、手当てをしていくと。また、与野党間の協議はもう始まっていると承知をしておりますが、野党の皆さんの御意見も入れてまとめていきたいと、こう考えているところでございます。
  196. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 野党の考えもまとめてということをいただきましたので、お話をさせていただきますが、今ある政府の中の予算でやりくりをしていく、あるいはそういったことで新規国債を今回は考えていないということであればなおのこと、今の二十三年度予算の中身を抜本的に私どもは見直していただきたい。特に子ども手当については再三申し上げているところでありますが、最近の世論調査で子ども手当をやめて災害復旧の財源にするべきという方が、賛成が八三%です。民主党支持層でも八五%。  副大臣、世論がこうだからというだけではありませんが、これだけやっぱり国民は物事の政策の優先順位ということをしっかりと今は議論すべきだと国会に求めているというふうに我々は理解しているわけですね。そうすると、まず抜本的に子ども手当の私は廃止ということも視野に見直しを行って、そこから財源をまず捻出していく、それでまだ政府に余力がある財源があればそういったものも使う、その先に国債の議論があると思うんですが、いかがですか。
  197. 五十嵐文彦

    ○副大臣五十嵐文彦君) 私どもはさきの衆議院選挙、総選挙で示された民意というものもございます。子ども手当については必要な施策だと思っておりますが、しかし新しい状況が出てきておりますので、見直しについては柔軟に考えていくという態度を取っているところでございます。
  198. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それはその衆議院時点での民意でありまして、一番新しい選挙の民意は数日前に示されております。その結果をあえてここで申し上げるつもりはありませんが。  そういったことと、今申し上げた世論調査でそういう形が示されているということは、まさにこれが一番新しい民意なわけですから、そこはきちっと政府として大胆にやっていただきたいということを再度私としては申し上げたいわけですが、そこを議論しているとまた時間が最後なくなってしまいますので。  最後になるかもしれませんが、まずお伺いをしたいこと、この議論の中で、年金基金、基礎年金の国庫負担維持財源を転用するという話もこれ報道ベースで出ているわけですが、これもしやるとすると、今特例公債法が出ているわけで、これどうなるのかなということを我々思うわけですが、その辺り、片方衆議院で公債法の中にこの財源は年金にということで言っているわけですが、これどういうふうに考えられているんですか。
  199. 五十嵐文彦

    ○副大臣五十嵐文彦君) その部分も含めて与野党で協議が行われているということでございますが、おっしゃるとおり、一般論として言えばおっしゃるとおりでございますので、修正ないし撤回が必要に一般論としてはなるということには、論理的にはなってくるかなとは思います。
  200. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 一次補正は復旧に係る大変重要な予算ですから、我々もこれには建設的に当然議論に加わり賛成をしていく立場考えていかなきゃいけないと思いますが、それにはやはり、まず政府・与党がそういった形の予算案と財源ということを示していただかないと、何でも賛成しろということではないと私は思いますので、その辺りしっかりと政府で議論をして、それを早急に提出をいただくということをお願いをして、今日の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  201. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 両件に対する本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二十八分散会