○副
大臣(
末松義規君) 御指摘ございましたあるべき
社会保障の姿と
政府による
社会保障改革の
取組について御
説明申し上げます。
まず、これまでの
社会保障改革の流れと今後の
社会保障改革に向けた
政府としての
取組方針について御
説明をいたします。
まず、これまでの
社会保障改革の流れでございますが、
資料の一ページ目をお開けいただきたいと思います。
この
平成七年七月の
社会保障制度審議会、そしてそれに続く
社会保障関係審議会
会長会議の報告書、これにおきましては、大体、ざっくり言うと、公的な
介護保険
制度の
確立の
必要性が指摘され、そしてそれが創設ということの提言を受けたということでございました。そして、その後、この
社会保障構造の
在り方について考える有識者
会議からは、いわゆる構造改革路線の下、
経費の削減あるいは効率化、負担の削減、こういったものが中心となって見直しが進みました。
そういったことで、例えば、この次の二ページ目をお開けいただきたいんですが、この
制度の下で
持続可能性というものを重視していって、例えば、この上の図を見ていただきたいんですが、この二〇二五年の時点で改革前と比較をして負担が百六十二兆円から百四十一兆円に削減、つまり二十一兆円の削減というものを
実現するんだとか、あるいは、この下の左の図にありますように、
平成十九年から二十三年の五年間で国と
地方のこの負担、合わせて一・六兆円分、この
伸びを
抑制すると、こういったことが主に努力をされてこられました。そして、この下の右の表に書いてございますように、これを進める中でかなり顕在化してきた問題というものが出てきました。これが急速に進行する少子化への
取組の遅れ、例えば待機児童、これがなかなか
解決しないとか、そして産科、小児科を中心とする医師不足、あるいは地域
医療の崩壊、
介護分野における人材不足、こういった
医療・
介護サービスの提供体制の劣化とか、あるいは非正規労働者の拡大や格差の拡大、ワーキングプアといった
セーフティーネット機能の低下とか、こういった問題が顕在化してきたものですから、これに対して
対応が迫られると、こういう
状況になってきたわけです。
次に、
資料の三ページをお開けいただきたいと思います。
ここで、この
社会保障国民会議、ここから、
制度の
持続可能性に重点を当てた改革から今度は
社会保障の機能
強化ということで大きな転換が図られてまいります。ここでは、公的
年金に関する定量的なシミュレーションや
医療・
介護費用のシミュレーションを行い、
社会保障の機能
強化のための追加所要額を計算をするとか、あるいは
社会保障機能
強化のための高齢期の所得保障や
医療・
介護・福祉サービスの改革、少子化あるいは次世代育成支援対策などの改革が必要との提言がなされてきております。これが中期プログラムやあるいは二十一年度
税制改正、こういったものを決めて、そして、
平成二十一年六月に
経済財政改革の基本
方針ということでこれが結実をすることになります。
次に、
資料の四ページをお開けいただきたいと思います。これが、現在そしてこれから行おうとしている
社会保障改革に向けての
取組についてでございます。
昨年の十月に
政府・与党
社会保障改革検討本部というものが設置されまして、
社会保障改革について検討を開始いたしました。そして、昨年末には民主党の税と
社会保障の抜本改革
調査会におきまして中間整理が行われました。そして、さらに十二月には、
社会保障改革に関する有識者検討会の報告がなされたところでございます。そして、五つの
原則ということで、五
原則、これについては後で御
説明を申し上げます、それが定められました。そして、
社会保障改革の
推進についてということで、先ほども
説明がございましたけれども、十二月十四日に閣議決定が行われております。これもまた、次のこの集中検討
会議等はまた
最後に御
説明を申し上げます。
資料の五ページをお開けいただきたいと思います。これは、
社会保障改革に関する有識者検討会の報告でございますが、これ内容について今から三枚ほどのページでございますけれども、報告をさせていただきたいと思います。
まず、
現行社会保障制度と改革の
課題ということで、
日本社会の
現状と
社会保障改革の
課題の中で、今まで
日本の
社会保障がどうやってきたのかということで、
日本の
社会保障が男性世帯主の安定的な
雇用を
前提としてきたため、非正規
雇用の拡大等の社会の変化に
対応できていないなど機能不全に陥っているということ。そして、これを克服するため、改革のビジョンを示して多くの
国民の参加を得ながら改革を実行に移さなければならないと、こういった基本認識をここで書いております。
そして次に、では、いかなる
日本を目指すのかということがこの(2)で書かれておりまして、ここで五つの
日本の姿というものを明らかにしております。参加と包摂の
日本、やや言葉がちょっと固いんですが、そういう言葉、そしてつながりと居場所のある
日本、活力ある中間所得層の再生、アジアの中の安心
先進国、責任を分かち合う
日本、こういったことを示しております。
そして、この改革の方法と選択肢ということで(4)に書いてございますけれども、
雇用、教育と連携するシステム改革、
国民とともに進める改革、そして
社会保障諮問
会議ということで、与野党の議員で構成される常設の
会議体を速やかに設置すべきだということが書かれているところでございます。
次に、
資料の六ページをお開けいただきたいと思います。
ここで三つの理念、そして五つの
原則ということが書いてございまして、理念については、この参加保障、普遍主義、安心に基づく活力と、ここに書いているような理念を掲げ、そして五つの
原則、これがよくマスコミでも取り上げられておりますけれども、ここは読ませていただきます。一番目に、切れ目なく全世代を対象とした
社会保障、全世代
対応型の保障へ転換するんだということ。そして二番目に、子ども・子育て支援を
強化し、未来への投資としての
社会保障とするということ。三番目に、
地方自治体が担う支援型のサービス給付とその分権的・多元的な供給体制を強調しております。そして四番目に、縦割りの
制度を超えた、
国民一人一人の事情に即しての包括的な支援、ワンストップサービスとかパーソナルサポート、こういったことが重要であるということ。そして五番目に、次世代に負担を先送りしない、安定的
財源に基づく
社会保障、こういったものを掲げ、そして緊急性の高い改革の各論を四つここで示しております。
七ページをお開けいただきたいと思います。
ここについて、
社会保障負担の
在り方ということで、ここで、公的負担と私的負担のバランスとか、あるいは世代間の負担のゆがみを是正すること、あるいは将来世代へ先送りをしないということ、さらに社会保険の揺らぎを税負担で補完をしていくということ、さらに社会保険
制度を中核にしていくと、これは今後もきちっとやっていくということ、こういうものが書かれてございます。
そして、信頼醸成への道ということで、
社会保障と税にかかわる番号
制度、そして
消費税の使途の限定、こういったことが重要でありますということが書かれております。特に、負担の公平性、あるいは無駄なく活用されると、こういうことがこの
ポイントになっております。そして三番目に、
社会保障強化と
財政健全化の同時達成ということで、ここでバランスを考えているわけですけれども、
社会保障強化だけを追求すればいずれ機能が停止するだろうと。そして、
財政健全化のみを目的に
社会保障の質を犠牲にすれば、これは社会の活力を引き出せないということ、こういったことで、
社会保障の
強化と
財政健全化が同時に達成されなきゃいけないと、こういう
必要性が述べられ、そして次世代にツケを先送りしてはならないと、この
社会保障が同時に求められているということでございます。
資料の八ページをお開けいただきたいと思います。
ここでは、
社会保障改革を支える
税制の
在り方ということでございまして、これは詳しくは述べませんが、所得再配分機能を
強化したり、
消費税が基幹性を持っているということ、さらに、
消費税の使途を明確化する必要があるということ、さらに
社会保障の改革とそれを支える
税制の改革の
一体的実施が不可欠となってきているということ、さらに基礎的
年金国庫負担、この二分の一
確保のための安定的
財源も必要だということで、さらに
地方の
財源確保も必要だということが述べられております。
そして九ページでございますけれども、以上、議論のまとめとして、まず優先
課題というものをここで示しておりますけれども、子ども・子育て新システムの
実現、これを早急にやるべきであるということ、さらに
雇用について、この新規学卒者と若年層のための就労支援体制の
強化、そしてさらに、議論の体制でございますけれども、与野党の国
会議員や有識者で構成する
社会保障諮問
会議、これ仮称ですけれども、こういったものを設置して幅広い合意を形成する必要があるということでございます。
こういうことを通じまして、まとめになりますけれども、中規模の高機能な
社会保障体制へということが述べられております。高福祉高負担ではない、そしてまた低福祉低負担でもない、中福祉中負担の中で高機能な
社会保障体制を目指すということがここで結論付けられております。
最後になりますけれども、
資料の四ページにお戻りいただきたいと思います。
ここで、これはもう何回も先ほどからこの
説明がなされておりますけれども、この有識者検討会の報告を踏まえて、今年の四月ごろまでにあるべき
社会保障の姿、
方向性を明らかにしまして、六月までに具体的な
制度改革案と
消費税を含む
税制改革の
方針を示すという形のスケジュールになっております。そのために、
社会保障改革に関する集中検討
会議を設置しまして、先日第一回の会合も開催したところでございますけれども、幅広く各界から御議論をいただきたいということでございますし、また
国民の皆様にも積極的に発信をしていくということをここでやっていっております。
御
説明は以上とさせていただきます。
その他の
資料につきましては、民主党の中間整理と、あと先ほど御
説明した閣議決定、そして集中検討
会議のメンバーのを参考
資料として添付しておりますので、適宜御参照いただきたいと思います。
ありがとうございました。