○川田龍平君 私の
質問では、医薬品の備蓄とは切り離したところで災害時に特化した必須医薬品を選定してはどうかという
提案でした。こうした災害時のリストというのがあれば災害時の医薬品供給が円滑に
実施されるという
意味で申し上げたので、単純にWHOのモデルをそのまま採用してほしいということではありません。
例えば、JICAが派遣する国際緊急援助隊も活動時に使用する医薬品をリストアップしてあり、そのリストアップされたものをパッケージにして現地に持参して国際救助活動に従事していると聞きます。国際赤十字においても、WHOのエッセンシャルドラッグリストを参考にしたインテグレート・エマージェンシー・ヘルス・キットなどの医薬品キットを使用して円滑な災害ロジを可能にしています。このWHOのエッセンシャルドラッグリストは、衛生状態の悪い国とか新興国で比較的必要な医薬品を単に羅列したものではなくて、どのような
状況にあっても比較的容易に調達できて、また世界各国から訪れる援助隊にも使い勝手の良い医薬品がピックアップされているものです。
災害時に最低限必要な医薬品は、ふだんから製造・流通システム全体の中で重要視されて、あらかじめ分散して製造されたり、緊急時の配送についても業界団体で申合せができるようになれば、もっと効率的に
被災地に供給できるようになるはずです。そうしたリストを作成するに当たっては、WHOが提唱する必須医薬品モデルリストが参考になるという
意味で
提案させていただいたものです。
また、備蓄の医薬品についても、国際赤十字が使用しているようなこのIEHKというまではいかなくても、キット化してしまうことによって配送時の仕分が円滑になります。柔軟な発想で災害医療への備えを考えていただければと思っています。少なくとも、外務省所管の国際緊急援助隊は専門家の知恵を集めてリスト化をしています。災害という事象に国内外の違いはないと思いますので、
厚生労働省でも
是非検討されてはいかがでしょうか。備蓄医薬品のための予算も重要ですが、基盤整備たる災害必須医薬品リストについて
是非考えていただきたいと思います。
そこで、全国で統一した医薬品リストというものを
是非考えていただきたいと思います。この薬効リストというものでは、地域ごとに採用される医薬品成分が千差万別になってしまいます。お互いに備蓄薬を融通するにしても、
中身が地域ごとに異なっていては仕分に手間が掛かってしまうので、商品名ではなくて成分名を具体的に示したリストを国で作成してほしいとお
願いをしておきます。単なるリストではなく、初動、それから急性期、慢性期などの区別が併記されればどの時点でのどの医薬品が必要かというのが分かりやすくなりますし、
被災地に派遣される医師も、手元に配送されてくる医薬品リストが統一されていれば処方が円滑になります。キットとしてパッケージになってしまっていれば、
避難所や救護所にも必ず同じキットがすぐに配送できるようになりますので、こういった初動と急性期と慢性期などへの配慮が必要になるのでこの議論というのは必要になりますが、少なくとも医薬品が救援物資集積所に仕分待ちによって山積みになるということは避けられると思います。
是非、このリストがこのWHOのリストに近ければ近いほど海外の医療チームとの連携も円滑になると思いますので、
是非検討いただきたいと思います。
そして次に、総務省にお聞きしたいんですが、兵庫県の西宮市が開発して総務省の外郭団体の地方自治情報センターが運営している
被災者支援システムは、阪神・淡路大
震災の経験からつくられた
被災者台帳のシステムで、総務省が二年前に全国自治体にCD—ROMを無料配布して、三月十八日にはオープンソース化しました。
自治体の住民基本台帳のデータベースを取り込んで各自治体が導入することによって
被災者が広域に長期
避難した際もきちんと追えるもので、今般見られるような、
被災者がどこに
避難しているか、あるいは自宅に戻ったのかも分からずに、
被災者が情報不足で不安になって、行政が
被災者へサービスできないという
状況もなかったはずです。また、罹災証明や義援金だけでなく、阪神・淡路大
震災の場合には幾つもの
支援金が出たり、仮設住宅や復興公営住宅に移った際にも自治体が管理しやすく、結果として
被災者のためにもなるものです。今回の災害にも
対応できるようにバージョンアップもしている最中だと聞いていますが、日本の災害復興研究で最高
水準でもあると言われている関西学院大学災害復興
制度研究所が三月十七日に
被災者カルテという形でも提言をしています。
この西宮方式を今後導入するように総務省が音頭を取って今後の災害に備えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。