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渡辺猛之君 自民党の
渡辺猛之でございます。
会派を代表してということではございますけれども、後ほどほかの
先生方の御
意見も賜れればと思い、
発言をさせていただきます。
私の母校の小学校は、昨年の春、閉校となりました。私の在学中は全校児童六十人でありましたが、元々小さな小学校でしたけれども、昨年の閉校時には全校児童たった六人となり、隣の地区の小学校に統合されました。中山間の過疎
地域のみならず、
我が国が人口減少社会に転じる中で、一部都市
地域への過度な人口流出による地方での人口減少、これは
地域活力を喪失させる大きな一因となっております。
そのような
現状を鑑み、元気で活力ある
地域の
構築のために本
調査会でお伺いした参考人の
皆様の貴重な御
意見やさきの視察を踏まえ、私なりの考えを述べさせていただきますけれども、先ほども議論になりました三月十一日に
発生をした
東日本大震災はこれまでの私たちの価値観を一変させるほどの大きな
災害であり、その点も考慮に入れて
発言させていただきたいと思います。
第一に、
地域の活性化に必要な人口を維持、確保するために何をなすべきかという視点であります。人口減少によって失われる
地域活力は、様々な知恵を絞った人口増加策によってもう一度取り戻さなくてはなりません。人口増加の方策は大きく二つに分けられると思います。
一つは交流人口の増加、もう
一つは移住人口の増加であります。
まず、交流人口の増加に最も力を発揮するのは観光振興であります。高度成長期からバブル期までに見られた団体客に特化した観光形態から、個人の多様な
ニーズを満足させる形態への転換が今求められています。例えば、農林業や伝統
産業、あるいは最先端技術に触れるなどの体験型ツーリズムや、人間ドックとセットになった医療ツーリズムなど、
地域が保有する様々な資源を生かしたきめ細やかなプランニングとセールスが必要だと思います。
外国人観光客の誘致については、これまで
我が国の
取組が最も遅れていたところであり、今後の飛躍が期待される分野であります。そのような折に起きた
東日本大震災、特に
福島の原発事故は外国人観光客の誘致にも大きな影を落としかねません。一日も早い収束に向けて引き続き最大限の努力をするとともに、国内はもとより海外に向けて正確な
情報を適宜発信することにより風評
被害を抑える対策には万全を期さなければなりません。
第二には、
産業の振興による
地域の活性化という視点であります。人口増加策のもう一方、移住人口の増加というのを考えるとき、雇用という視点を避けて通ることはできません。
地域そのものの魅力に加えて、人が
生活するための糧をその
地域で稼ぐことができるというのが定住を促すための鍵になります。交流人口が増加し、観光業が活性化すれば、それだけ
地域の雇用は増加します。一般に想起される観光
産業に加え、先ほど述べたような新しい形態の観光を考えると、農業や
地域独自の資源なども
産業として魅力あるものにしていくことが必要であります。
農林漁業の第一次
産業は、若い人の就業率も低く、かつては魅力ある
産業とは呼べなかった時代もあります。その大きな理由は、現場の作業の過酷さに比して対価となる収入が思うほど得られなかったことによります。しかし、施業の集約化や効率化を図ること、あるいは
地域産物をブランド化することによって十分採算が合う
産業となり得ます。そのためには、従事者から
経営者への発想の転換が必要であり、一次
産業に共通するリスクマネー等への新しい金融の
仕組みづくりも検討されるべきであると同時に、農協、森林組合、漁協などの更なる活用も必要だと思われます。また、今回被災した東北地方沿岸部は国内有数の農業、漁業の産地でもあり、その復興へ向けた
取組は、これまでの観念にとらわれることなく、新しい日本の農業、漁業のモデルケースをつくるというぐらいの覚悟を持って取り組んでほしいと思います。
地方の
商店街の活性化は、今や
全国共通の
課題と言っても過言ではありません。高松丸亀町
商店街の成功事例は
全国でも希有なケースであり、ほかの同じ悩みを持つ
地域にとって大いに参考になるのではないでしょうか。
町づくりに成功した
地域には、ばか者、切れ者、よそ者の三者が共通して存在すると言われます。他人からあんなに一生懸命やっても何にもならないのにねとばかにされようとも続けられる情熱を持ったばか者、その情熱を戦略に変換することができる切れ者、そして
地域の狭い視野にとらわれない第三者の冷静な判断ができるよそ者、この
地域活性化に必要な三者が生まれてくる背景には、
関係者の
現状への危機意識の共有と成功するまでとことん続けるという覚悟が前提となるでしょう。
地域の
商店街の再興は、雇用の場の確保に大きな効果を発揮するとともに、郊外の大型店に行くには交通手段の確保もままならない
高齢者のためにも、お互いの顔が
見えるという点で、様々な二次的効果も生み出すことが期待されます。
人口移住、特に若い
人たちの移住を進めるためには、その
地域で雇用の場が存在することが必要不可欠な条件ではありますが、その
地域で長く暮らしていくためには経済的側面を満たすだけでは十分とは言えません。そのために、第三の視点、文化・伝統
産業による
地域の活性化であります。海外ではナント、グラスゴー、ピッツバーグなどの都市、国内では滋賀県長浜市や愛媛県内子町など、芸術文化や伝統
産業によって都市再生、
地域再生を果たした事例をお伺いしました。
人口格差が文化の
地域間格差を生じさせている原因の
一つにもなっており、地方の競争力を高めるためにも、国の政策として地方の文化活動への
支援も考えていく必要があるのではないでしょうか。
先般の参議院国土交通
委員会で我が党の
岩井議員が
発言をしておられましたが、景観をつくるには十年掛かる、その景観が風景に変わるのには百年、風景が風土に変わるには千年の時間が必要だと
発言がありましたが、風土とはまさに
地域の伝統であり、文化であります。それぞれの
地域が長い歳月を掛けて築いてきた文化と伝統を改めて見直し、大いに誇りを持って町づくりに当たることが望まれます。
町づくりの主役はそこに暮らす住民であることには論をまちません。元気で活力ある
地域の
構築を図るには、国が政策としてなすべきことと
地域が自主的に取り組むことの線引きをきちんとし、権限、財源の移譲も視野に入れながら、国として
制度的な
支援をすべきと考えます。
また、今回の
震災を機に、危機管理の観点からも、
現状の極端な一極集中を是正し、各地方に機能分散を図ることも活力ある
地域の
構築に大きな効果があると思われます。様々な花が咲き乱れる美しさを例えた百花繚乱という言葉のとおり、地方が独自性を発揮し、百花繚乱の国づくりによって元気で活力ある
地域が
構築されますことを期待して、私の
意見表明といたします。