○中川雅治君 実際にその資料がなければ判定できないわけなので、特にこの
石綿の場合には後で遺族が、どうも亡くなったお父さんとか御主人が
石綿に関する業務に従事していたとか、あるいは
周辺の
状況から
石綿を吸ったんではないかということで申請をする。
しかし、そのときにはもう亡くなったときの病理に関する資料とかCTやレントゲン等々も全て廃棄されていて認定できないということになっては、こうやって請求期限を延長いたしましても実効性が期されないわけでございますので、
是非その辺は
関係者の御理解をいただくように、そういった記録の保存も、全部ということではないわけで、こういう場合には取っておくというような配慮をしていただくようにもう一度私からは強く要請をしておきたいと
思います。
ところで、
石綿にさらされる業務に従事することにより指定疾病等にかかり亡くなった方の御遺族は、通常は労働者
災害補償保険法の規定による遺族補償給付を受けるわけでございますが、この遺族補償給付を受ける権利は五年間の時効によって消滅するので、五年間請求をし忘れていた方は労災の遺族補償給付は受けられないわけでございますが、本
石綿法の特別遺族給付金の支給は受けられるという制度になっております。
現行法では、こうした特別遺族給付金の支給を受けられる方は本
石綿法の施行の前日までに死亡した労働者等の御遺族となっておりますが、今回の改正では、施行日から十年を経過する日の前日までに死亡した労働者等の御遺族まで拡大することとしております。
石綿によって亡くなったのかどうかということは、御遺族もすぐには分からないケースも多いと
思います。しばらく後になって、死亡した方が
石綿にさらされる業務に従事していたことが御遺族に分かったというケースもあるでしょうし、専門家による判定にも
かなり時間が掛かるケースもございますので、こうした改正はまさに適切であると考えます。
さらに、特別遺族給付金の請求期限も、
現行法では施行日から六年となっておりますのを十六年に改めることとしておりまして、これも極めて適切な改正であると考えます。この改正も、今申し上げましたように、広報と、それからやはり医療機関による資料等の保存が必要となるのでありまして、
環境省の御努力を
是非お願いしたいと重ねて申し上げます。
ところで、労災が適用にならない一般の
石綿による死亡者の御遺族が受ける特別遺族弔慰金等は特別葬祭料と合わせて約三百万円となっておりますが、労災の遺族補償給付はトータルすればもっとずっと多額でありますし、特別遺族給付金も原則として年二百四十万円でございますので、特別遺族弔慰金と特別遺族給付金とを比較してみましても、その格差はやはり問題だと考えます。
これはもちろん、
責任を有する者が存在し、将来のリスクを考慮し、保険料とそれに応じた保険給付を行っている労災保険制度と、
責任を有する者の特定が困難であり、
費用負担すべき者が特定できない
石綿健康被害救済制度とでは基本的な考え方が違うということは私も理解いたしておりますが、同じ
石綿暴露によって生じた
健康被害であり死亡であることには違いないことを考えますと、制度全体についてもっと踏み込んだ見直しをすべきだと考えますが、
環境大臣の見解をお伺いしたいと
思います。