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山内徳信君 私は、社民党・護憲連合を代表して、在日米軍駐留経費負担特別
協定、いわゆる思いやり予算に対しましては反対の討論を行います。
日米地位
協定第二十四条は、
日本は施設・区域の
提供のみと規定されており、基地の維持経費等は
米国が負担することになっております。
そもそも、この思いやり予算は、一九七八年当時、
米国の財政危機とドル安による物価高騰の折、金丸
防衛長官が、思いやりがあってもいいと発言したことから始まっております。一九八七年六月以降、本予算の措置は、日米間で
協定を
締結し、暫定的、特別的、限定的という当初の
趣旨に反して改定を繰り返し、そして固定化し増額されてまいりました。
しかし、その実態は、他の
同盟国、NATO諸国の総額を上回る巨費を
日本一国で負担しており、これは
米国の軍事的植民地と言っても過言ではございません。何でもはい、何でもはいといって聞いてきた対米従属の象徴的な姿であります。
経済的にも余裕があるときならばいざ知らず、今は事業仕分をする時代です。
三月十一日に発生いたしました東
日本大震災による未曽有の生活破壊、
経済破壊、社会基盤の破綻、財政破綻という国難に直面しております。総額十兆円とも、あるいはそれ以上書いておる新聞もございますが、本当に、被災者救済あるいは復旧復興の財源を
確保するということは極めて重要であると同時に深刻な問題であります。既に菅首相は与党のマニフェストの
見直しにも言及され、不要不急の予算は全て被災者救援、復旧復興に充てるべきです。
今回の
協定で、私は以下の問題について
指摘をして、反対の意思を表明したいと思います。
その
一つは、今回の
協定では、今まで三年の有効期限を何ゆえに五年に延ばすのかということが腑に落ちません。
政府は今、沖縄の基地負担の軽減を強調され、米軍再編を進めておられます。そういうときに思いやり予算を五年間に延ばしていくというこの動きは、まさに基地負担の軽減の動きにも反するものであると思います。
二つ目は、無駄遣いとの批判の多いその基地の村あるいは基地の沖縄に住んでおりまして、いかに無駄遣いが多いかということを、時間がありませんから申し上げませんが、
外務省と
防衛省の職員は一度私の事務所においでいただきたいと思います。詳しく
説明を申し上げます。こういうことならば、私が仮にアメリカの軍人であってもアメリカ本国には帰りたくないと、こういうことを言うだろうと思います。そういうふうなやはり恵まれた生活環境にあるわけであります。それは
日本の常識からすると、やはりとても
理解できません。
さて、無駄遣いの批判の多い労務費や光熱水費は減額するとしながらも、減額分を特別
協定の枠外に加算し、全体としては
現行水準を維持するというごまかしをしていること、枠外加算分の使途もよく明確になっておりません。
三つ目は、今
協定は
海外への訓練移転費用をも
日本が負担するとしている点です。訓練を県外に移転しても、外来機がやってきて基地の負担は全く減りません、沖縄の嘉手納、普天間飛行場は。
これまで米軍は、飛行経路や爆音に関する、騒音に関する
協定を守った試しはありません。また、
日本各地の在日米軍基地での爆音訴訟で原告勝利、国側敗訴、敗訴いたしますと、損害賠償の支払の義務が生じてまいります。その額は私の計算では二百二十億であります。これは、爆音をまき散らしておりますのはアメリカ軍でございますから、その負担の七五%はアメリカ側が負担し、
日本側が負担するのは二五%と地位
協定十八条五項には書かれておるわけでございますが、アメリカはこの負担分を一回も
日本側に払ったことがございません。したがって、アメリカ分も
日本の納税者が納めた税金で支払いされておるという、この状態でございます。
そして、思いやり予算の執行現場を、先ほ
ども申し上げましたが、私は十分、沖縄でございますから知っておるつもりでございます。そういう実態を
日本政府も余り知らな過ぎておると、こういうふうに思います。米軍は米軍で、そのことをいいことに甘え切っております。やりたい放題のところがあります。
したがいまして、
日米関係を健全な
方向に持っていくためにも、思いやり予算に私は反対の意思を表明してアメリカ側に反省をさせていく、そういう機会にもしたいと思っておりまして、反対いたします。
以上であります。