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田中(康)
委員 では、そのデューデリジェンスをいかなる工程で、いつどのようにだれが行うのかということが今回同時に示されなければ、
国民は疑心暗鬼なのではないかと私は思うんですね、
東京電力がどれだけ支払い能力があるのか、どれだけ債務を抱えているのか、どれだけキャッシュフローがあるのかと。
これは、
東京電力という会社は
地域独占企業体でございますから、複数企業が競争する航空会社や電話会社あるいは自動車会社と違うわけで、今この瞬間も毎月何千億円もの現金収入が保証されているわけです。関東の方々がいかに節電をしても、あるいは電力が無
計画停電になっても、北海道電力や関西電力から電気は買えないわけでございますから。すなわち、デューデリジェンス、資産
調査というものを行う、そして
東電の現在の資産保全というものも行わなければ、これは私は
国民の
理解は得られないと思っております。
日本航空のときも、当時、
国土交通大臣であられた前原誠司さんが示されたスキームというものは、私は現在でも納得はいたしてはおりませんが、賢明な選択ではなかったと思っておりますが、いやしくもナショナルフラッグキャリアといって日本の国旗を掲げていた航空会社が、資産再評価によって上場廃止を行い、OBを含む方々の年金というものを切り下げ、そして多くの方々も退職されたわけです。
東京電力はどうですか。同じとらの子の株を持っていらっしゃるというけれ
ども、日本航空を持たれていた方々も信用して持っていたわけです。
私
どもは、資本主義というのは冷徹な、冷酷なのではなくて冷徹なものでございます。自己責任があります。では、この債務超過で、ある
意味では
東京電力は私は今や倒産している企業だと
思います。これは私
どもの会派の亀井静香も同様の
見解でございます。ところが、一般社員のボーナスを半減するといいますけれ
ども、この平均で、ボーナスが半減されても一般社員の平均が四十万円ということは、これは被災地の方々はなかなか納得しないと
思います。
私は、やはりきちんと減資を行う、一〇〇%仮に減資を行えば、数兆円の規模に少なくともなります。あるいは、電力会社の社債というものは、電力事業法の三十七条で優先弁済が保障されておりますから、社債市場がこれで崩壊することはないわけでございます。同時に、現在、膨大なごめんなさいという謝罪CMを流しております。それもめぐり回って経済効果だとおっしゃる人もいますが、恐らくこれも何百億円もかけているわけですね。私は、やはりこういう形を、すぐに今、いつどのようにデューデリジェンスをだれによって行っていくのかということを示さないといけないと思っております。
と申しますのは、今回の
原子力発電所の
メルトダウン、
炉心溶融というものは、
地震と
津波の被害国であります日本が、放射能の拡散で世界に対する加害国日本となってしまったという、ゆゆしきことだと私は思っております。そして、これは範囲も濃度も蓄積も変幻自在な、まさにウイルスのような放射能という見えない敵との闘いは、まさに同じく全世界に拡散するテロとの闘い同様、終わりなきものだと思っております。
先ほどの、ドイツの社会学者でありますベックさんの発言を引用させていただきますが、通常の交通
事故や爆発
事故というのは、痛ましい犠牲者の方々を生んだとしても、被害は
一定の場所、
一定の時間、
一定の社会グループに限定されます。しかし放射能汚染は異なるわけでして、あるいは社会的にも地理的にも時間的にも際限ない。これはまた陸上だけでなくて海上にも及ぶわけですから、あえて申し上げれば、水俣病やイタイイタイ病をはるかに超える、日本
国民と全世界の方々への加害者に私
たち日本はなりかねないということです。
そうなると、最大のいわゆる風評被害の発信者は、正確な情報を出さないものなのではないかという疑心暗鬼な
状況に
国民はなっていると私は思うんですね。今のところは大丈夫という大本営的な発言というものは、結果として
国民を奈落の底に落としていくのではないかというふうに思っております。一次情報を
国民にそのままダイレクトに伝えると
国民が混乱すると言うかもしれませんが、私は、むしろ混乱しているのは、
専門家を自任している専門ばかの方々が、ある
意味では
国民から非常に、あえて言えばやいばを突きつけられている、このままの
状況を放置すると、まさに日本という社会が、それをどうにかしなければと、法治国家であるのりを越えたような、よい
意味での超法規ではないような社会になりかねないと思っております。
今示すべき工程表というのは、ですから、私は、
東電の救済でもなければ、ある
意味では住民補償という目先の金額の話ではない、すなわち被災地の方々の工程表なのではないかと思っております。
私
どものこの日本は、ある
意味では、被曝をした土地というのは、放射能によって汚染されたのではなく、私は、いわば占領されたような領土ではなかろうかと思っております。その占領された領土をどのようにするのか。(パネルを示す)
意職住というのは、まさに寒さをしのぎ、飢えをしのぎ、夜露をしのぐという衣食住ではなく、職業と住まいを得て初めて私
どもは意欲がわくわけでございます。これは阪神・淡路大
震災のときにも大変に感じました。
ですから、ある
意味では、菅さんにお尋ねしたいんですが、例えば何十キロ範囲の方々は強制的に疎開をしていただく。しかし、その間、意職住を得られるために、職業ときちんと住まいを提供する。そして、正確に計測をして、きちんと定めた基準値を下回ったならば、その場所にもう一度戻っていただく。私
どもの広島や長崎も、今、平和都市国家であります。こうした具体的な補償の金額ではない工程表を示す必要があると
思いますが、菅さんの御決意のほどをお聞かせください。