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田中(康)
委員 国債を多くするとまさに評価が下がるので長期金利が上がるというような
意見があります。しかし、増税をすれば、これは
被災地だけでなくて、
日本全体の景気がさらに失速をしていくわけです。ましてや、少子社会でございますから、二十年後には
日本の人口は九千万です。労働人口も激減していく中で、新しい方程式ということが必要だと私は思っております。
これは、例えば米国債を初めとする外国債を
日本は八十兆円持っているわけです。これは決して、別に米国債を
日本が売却するわけではありません。中国のような国を初めとする幾つかの国は、こうしたことを逆によいカードとして、担保として使っているわけです。ですから、
日本がこの八十兆もの外国債というものを売ることなく、担保として日銀直接引き受けを行うということは、逆に、
日本が自虐史観になっているから、何か国債をふやせば国債市場が悲観的になるんじゃないかというこの発想を逆転しなくちゃいけないと私は思っています。
もう一点の、ちょっと今、パネルをごらんください。
復興無利子国債に関しましては、今回、同じ会派の
下地幹郎と一緒に
経済効果を試算しました。総務省の会計調査、国税庁の統計年報書、日銀の賃金循環統計を
もとにしています。
家計の金融資産は合計千四百兆でございますが、そこからローン等を引いて千百兆、そこからさらに保険や年金の準備金というものの四百二十兆を引いて、これが六百九十六兆でございます。七十歳以上の方の保有割合がこの中の五三%ですので、ここに記しました三百六十九兆となります。
誤解なきように申し上げますが、これは、お年寄りの財産を奪い去ろうということなのではございません。お年寄りの財産は、いつか、生前贈与であったりあるいは相続という形になり、そのときには税金がかかるわけでございます。
今回は、三年の時限で生前贈与を非課税とする。そしてそのうち、三百六十九兆の半分の百八十四兆は非課税の贈与財産として、ほぼ三、四十代から五十代の
方々に渡るわけです。これは、これらの
方々の消費性向は約七割でございますので、十年間で消費に回る額が百二十九兆、消費に回ることによってGDPが増加をしますから、税収弾性値一・一を掛けますと、十一・六兆という形になります。
他方で、上に書いてございます生前贈与の残り半分、百八十四兆は、今回発行する
復興無利子国債というものの購入を義務づけるという形でございます。これはすべて国庫に入ります。公共投資に回せます。
政府支出が増加しますから、GDPが増加します。同じく弾性値を用いますと、十年間で十六・五兆、合わせて二十八・一兆の増収でございます。
現行の相続、贈与税収は、土地、不動産も含めた数値で年間約一・二兆円でございます。一番下に記しましたように、全世代で十年間で四・五兆でございます。仮に今回三年の時限を行いますと、百八十四兆ですから、年間に六十一兆の国債発行が可能となります。この試算に関しましては、皆様のお手元の二枚目の説明のところにも記しました。
これを、将来返すのはどうするのだというようなことをおっしゃる方がいます。しかし、開闢以来の
状況の中で、私が申し上げている新しい方程式をつくらなければいけないということであります。ですから、形を先につくってしまうようなシーリングではなく、脱ちまちま、脱シーリングという発想で、私は、
日本の国のあり方というものを示す必要があろうかと
思います。
ところで、
日本は、太平洋
戦争、第二次世界大戦では、死亡された戦地の
方々の七割というものは、戦闘ではなく栄養失調によってでありました。すなわち、
日本は、兵たん、ロジスティクスというものの悲劇がある。
私は、今回の
震災においても、例えば
南相馬市、桜井勝延市長は、私が知事になるころからの知り合いであります。今回、四回ほど、小さな力ではありますが、炊き出しであったりあるいは避難所の支援をさせていただき、
お話を伺ってきています。
御存じのように、あのときに屋内退避と言いました。屋内退避だが、
自分たちの食べ物は
自分たちで自給せよと。しかし、いわゆる風評
被害という形の中で物流のトラックも来ない。まさに、これは硫黄島の棄民
状態であったわけでございます。
やはり私は、これは御提言も申し上げましたが、
震災から三日間、二十四時間、例えばNHKのラジオ第二放送というものは、法律に基づいて、公共放送ですから指示できるわけですから、二十四時間、三日間、医療機関やライフラインの放送を、それも、
福島県、
宮城県、岩手県、県域別に放送ができます。茨城に関しましては、単営局の民間の茨城放送がありますから、ここに人員と資金を投入することでそうしたことができる。それがやはり人心を安定させることだと
思いました。
あるいは、自衛隊のヘリは着陸しなければという法律があるという
お話でしたが、やはり、手巻き式で電池をつくるラジオであったり、あるいは毛布それから水と食べ物をパックにして、二軒、三軒でも、人の影が見えなくてもその集落に低空で落としていくということは、これは初動の三日間でございます。
残念ながら、これは、私も自戒の念を込めて、私たちは兵たんということを早急に
考えねばならないと思っております。
この中で自主避難要請という形が出たのも、要請であると、命令ではないから国が費用を持たなくていいのだというような、仮に命令だと国が費用を持つことになるのでコストダウンができなくなるというようなことが共同通信に
政府関係者の発言でございましたが、やはり私たちはそこも改めねばならないと
思います。
実は、衣食住というものは、私も阪神・淡路
大震災のときに一市民としてボランティアを経験する中で、最初は、まさに着るものと食べ物、つまり、寒さをしのぐ、飢えをしのぐ、そして夜露をしのぐことです。しかし、「意職住」というのは、私は、職業と住まいがあってこそ意欲が持てるということだと
思います。
阪神・淡路のときは、長田区のケミカルゴム
工場の方は職も失いました。しかし、多くの方は姫路や大阪に職がございました。今回は、
家族や家屋を失うだけでなく、職業や会社をも失ってしまったということであります。
私は、仮設住宅、この問題は、例えば現時点では各自治体の中でございます、きのう、改めて確認をいたしました。しかし、気仙沼は、県は岩手県になりますが、トンネルを越えてわずか十分の、合併をした一関の
場所は当日から
電気がついていて、そして、そこには休耕田等がございます。百世帯という単位でなく、例えば集落の中の十世帯、十五世帯という単位で、きめ細かくつくる。南三陸町も、同じ
宮城県の、トンネルを越えた登米市は、同様に
電気がついていた
状況であります。ここにも休耕田や土地はございます。
ぜひ、自治体単位でなく、これもやはり国が、押しつけなのではなく、兵たんというものは国家がきちんと指針を示して、そして、その
もとで
地域の実情がわかっている
方々に一緒にお願いをするということが必要だと
思います。ぜひとも、この点は
関係の省庁の
大臣の方にお願いしたく
思います。
もう一点は……