○
齋藤(健)
委員 アメリカの状況を少し詳しく
お話しさせていただきたいと思います。
まず、アメリカは今どういう
約束をしているかということでありますけれども、国内で法律が成立をすれば二〇二〇年に一七%削減をするという
目標、つまり、自分の国内法が成立をすれば一七%削減するという
約束を国連の
事務局に
提出をしている。だから、これがアメリカの今の正式なスタンスであります。
そのアメリカの状況でありますけれども、アメリカの立法状況は今、下院の状況でありますが、下院は、二〇〇九年の六月に、ワックスマン・マーキー法案というものが、賛成二百十九、反対二百十二の僅差で辛うじて通過をいたしております。下院は、これまで何回もこの温暖化絡みの法案が出ては、下院というのはどうしても地元の力が強いところがありますので、全然成立をしたことがないんですが、このワックスマン・マーキー法案というもので初めて気候変動絡みの法案が下院を通過したのであります。
この下院の法案の排出削減
目標というものは、二〇二〇年について二〇〇五年比二〇%減というふうになっているんですが、これはあくまでも努力
目標でありまして、そういう
意味では、対外的な責任は一切負わないものになっております。したがって、
日本が求めているものにはなっておりません。下院にある法案は、既に
日本が求めているものにはなっておりません。
その下院も、その後、中間選挙で
民主党が大敗北をしまして、共和党が百七十九から六十三議席ふやして二百四十二議席になりましたので、
民主党は過半数割れになりました。この法案は、
民主党が過半数のときでさえ造反が多くて辛うじて僅差で通ったものでありまして、下院ではこの種の法案が過去通ったことがないことを考え合わせますと、しかも今ある法案でさえ努力
目標でしかないわけでありますから、この下院で、あと二年間、
日本が求めるような削減
目標が通過する可能性はありません。
そして、上院では今、上院の選挙前にも、上院は二〇〇九年の九月に、ケリー・ボクサー法案というところから始まりまして、調整が始まりました。難航いたしまして、最終的に、国連に
提出したときに引用された一七%削減
目標は、当初上院の法案に入っていたのがなくなってしまいまして、数値
目標がなくなった状況の上院の法案も合意ができていない。
さらに、その後、中間選挙で上院では共和党が四十一から四十七になりまして、過半数には満たないものの、アメリカでは上院が六十議席を割りますと極端に法案を通しにくくなるという状況になりますが、
民主党は六十議席を割っているわけであります。上院
民主党は、今でさえ一七%の
目標がない法案で合意に苦しんでいたのが、この中間選挙で、まとめることがほぼ絶望的になったわけであります。したがいまして、今、アメリカが条約
事務局に
提出した、国内法が成立すれば一七%削減をするということは、ほとんど実現可能性がなくなっているんです。
アメリカは、
世界の
排出量の一九%を出している国です。この国が、
日本が求めている条件が恐らくもう九九%以上満たされない、そういう議会の状況になっているわけでありますから、もしアメリカがこの
日本が求めるような前提条件が満たされなかった場合には、
日本がこういうふうにするというのをつくって当然だと思います。もし、このアメリカ議会の九九%の、まあ私は不可能だと思いますが、それをひっくり返せる妙案があるというのであれば、どういうふうに
日本政府は米国議会を動かしていけるのか伺いたいと思います。
それから、もう
一つ申し上げますと、ヨーロッパやオーストラリアは、
世界が高い
目標で意欲的に取り組むなら自分たちは何%を削減する、
世界がやらないのであれば自分たちは何%やるという二段階の、当然のやり方で
世界に交渉に臨んでいるわけであります。なぜなら、国際交渉というのは、満たされるかどうかわからないけれども、満たされなかった場合にはこうするというものがなければ、どうしていいかわからないじゃないですか。
ですから、なぜ、ここまで前提条件が満たされないということがはっきりしておきながら、今なお出そうとされないのか、そして、もし前提条件が満たせるというのであれば、どうやって満たすような努力をされようとしているのか、その点について明快に御答弁いただけたらと思います。