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馬淵委員 総理にいただいた言葉、政権運営の
基本認識、まさに
国民の
皆さん方がしっかりとその言葉を聞いて、そしてこれからを注視されていかれると思います。真摯に受けとめて、ぜひ取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
さて、その
国民の声でありますが、これは昨年の十二月の意識調査でございます。民間の意識調査。これを私が見たところ、あなたの
生活にとって身近なテーマは何かという問いに対しては、消費税増税問題、
年金問題、医療・介護問題などが上位の三つとなりました。
一方、この調査で、
生活者が日本社会にとって重要なテーマは何かという問いが問われたところ、尖閣諸島問題、北方領土問題、沖縄普天間基地問題、北朝鮮問題と、外交問題が上位四つを占めました。身近なテーマとしてはほとんど触れられないほどの下位のテーマが、身近ではないものの関心が非常に高い問題として外交テーマが取り上げられています。
こうした
生活者の意識は、政権交代前、政権交代後のそれから大きく変化をしておりました。定点観測的なこの調査の中で見てみますと、政権交代前は、外交問題より、あるいは国際問題よりも、
消費者の細かい問題を重視し、住みよい政治にすべきだという声が圧倒していました。政権交代後も、期待していたこと、これらの上位は、税金の無駄遣いをとめる、政治主導の
実現、
年金問題の解決などでありました。しかし今、こうした
国民の意識は大きく変わった。現実的な脅威としての北朝鮮問題、あるいは対中、対ロ、東アジア外交、日米関係の深化など、
国民は、
生活に直結した課題の解決を前提として、外交スタンスの明確化を求めています。
その上で、私は、尖閣問題、北方領土問題という昨年秋に起こった二つの出来事について、私たち
自身が得た教訓は何だったのかということを考えてみたい、こう思います。
私
自身、これらの事件、事案が起こったとき、
国土交通大臣として、そして
北方対策担当大臣として、外交課題に直面する事態だと受けとめておりました。日本としての誇りを失わないよう、厳しい声に対して凛として受け答え、問題を解決し、中国やロシアとの関係をあるべき姿に向けていくよう、所管する立場の中で尽力しなければならないと考えておりました。
一方、これらの事件の現場に遭遇しながら、中国が何を考えているのか、ロシアがどのようなことを考えているのか、こういったことに思いをめぐらすと同時に、日本はどう振る舞うべきか、日本としての誇りを失いかねない危機に直面してどこへ向かえばいいのかということを、内政
担当の
大臣として考えておりました。
したがいまして、
国土交通大臣あるいは
北方対策担当大臣として、尖閣問題については、海上保安庁による船長逮捕という所管事項について、国内法にのっとって厳正に対処したものであり、今後も変わらない、このように繰り返し答弁をいたしました。あるいは、ロシアのメドベージェフ大統領の国後訪問等については、極めて遺憾であるとの声明を、これも幾度となく行ってきたものでもあります。
そして、少し時間が経過した今、改めて、この二つの出来事によって、
国民は国家の利益というものに対してより敏感にならなければならないという実はごく当たり前のことを実感しているということを、
政府は認識しなければならないと痛感しています。その国家の利益とは、平和な暮らしを享受できる前提である安全保障であり、豊かな暮らしの礎となる経済的繁栄であり、さらには
国民が
国民であることの喜びを感じるための誇りであります。
民主党は、マニフェストで、自立した外交で世界に貢献することをうたっています。そして今、私たち
民主党政権には、こうした周辺諸国との関係が前向きに発展をし、懸案を解決し、真に互恵的な関係をつくっていくことが求められています。そして、その結果、日本の誇りがしっかりと保たれていくという確信が
国民の
皆さんの中に生まれるように、国家の利益を意識した外交政策を進めていくことが真に求められています。そのためには、中長期的な戦略が必要であることは言うまでもありません。
アメリカは大統領任期四年、場合によっては二期の八年です。中国は、国家主席の任期は五年、二期十年の場合もあります。ロシアの大統領任期は四年、これは次から六年になります。こうした中で、世界の大国は少なくとも四年間以上の時間軸で外交、安全保障政策を進めています。
民主党は、任期の四年間、
責任を持って政権を担う、このように言ってまいりました。やはり、中長期的な戦略、どうやって国益を増進していくかというビジョンなしでは
国民の信頼は得られません。ちなみに、二〇一二年、さらには一三年にかけて、アメリカ、中国、ロシア、フランスといった主要国では、国家首脳の選挙もしくは交代となる重要な時期を迎えることになります。日本の足腰をしっかりさせなければ、これらの国々とともにビジョンを語ることはできません。
そのために、日本の安全保障の根幹である日米同盟を深化させていくことが不可欠であります。日米両国が
地域の秩序を形成していく、その上で重要な役割を果たしていくという
基本方針は不変であります。また、堅固な日米同盟は、現実的な脅威となっている北朝鮮の核開発、拉致問題を解決するためには不可欠なものでもあります。
しかし一方で、日米同盟が若干でもぎくしゃくしていると見られると、たちまち外交の安定が崩れてしまう、
国民の不安が増大してしまうことになりかねません。事実、尖閣問題、北方領土問題、この二つがあたかも軌を一にして
発生したかのごとく、巷間語られもいたしました。いわく、普天間問題で米国との関係がぎくしゃくする中、外交、安全保障分野で地に足がつかない日本を揺さぶる機会として、中国やロシアはそれを知って攻勢をかけてきたなどなどであります。もちろん、こうしたことが事実とは異なれど、少なからず
国民の間に広がる雰囲気があったことも私は否めないというふうに思っています。
さて、このように、日米同盟の安定と深化は極めて重要な課題であります。
国民の安心のために、今後、日米同盟をどうやって深化させていくのか、深掘りをしていくのか、安定させようと取り組んでいくのかということについて、
お答えをいただきたいというふうに思います。