○石井啓一君 私は、公明党を代表して、ただいま
議題となりました
平成二十三年度第二次
補正予算案に対して
質問をいたします。(
拍手)
東日本大震災から四カ月目の七月十一日、私は、岩手県の
被災地で朝を迎えました。
大震災で亡くなられた
方々、被災された
方々を思いまして、
復旧復興への決意を新たにいたしました。
九日から十一日まで、公明党の
東日本大震災復旧復興支援対策チームのメンバーとともに、宮古市、釜石市、大船渡市、山田町など岩手県三陸沿岸の
被災地を訪れ、市長、町長を初め漁業関係者の
方々などと対話を重ねてまいりました。
山田町の船越湾では、やっと小さな漁船を係留できるようになった漁港で、ブルーシートを広げて十数人の漁業関係者の
方々と車座で懇談をしながら、御意見、御要望を
伺いました。
生活の糧である漁船や漁具を失い、いまだに
生活の
再建のめどが立たない
状況の中で、ある漁師の方が発した、
政府は一体何をやっているんだ、とにかくやることが遅いという言葉が胸に突き刺さりました。
また、ある首長は、国の判断を待っていられない、みずからの決断で
瓦れき処理など先行すべき施策を次々と
実施したと話していらっしゃいました。今からでも国の覚悟を示してほしいと訴えられました。
菅総理、これが現場の声です。あなたは、やるべきことはやってきたとおっしゃいますが、
被災地では、今も二万人以上が
避難所
生活を余儀なくされ、
瓦れきの
撤去も進んでおりません。事実として、
政府の
対応が遅いのです。現場の声、
被災者の心を真剣に受けとめていないと言わざるを得ません。
このたびの二次
補正予算案も、一次
補正の四兆円の半分、二兆円という極めて中途半端な
規模で、
総理の延命が目的と思わざるを得ませんし、結果として、本格的な
復興に向けた三次
補正をおくれさせています。
加えて、
総理は思いつきや場当たり的な発想で一貫性のない
指示を出すため、ますます現場が混乱し、
対応がおくれてしまいます。
まずこれらの問題を指摘して、具体的な
質問に入ります。
震災からの
復興に向けて、
中小企業の
方々や農林漁業者が
事業を再開する際に大きな障害となっているのが二重ローン問題であり、今般の
震災の甚大さにかんがみ、政治主導により解決策を図ることが求められております。そのための重要な方策として、既存債務を一たん買い取った上で
事業者の
再生を
支援する新たな機構の設置が不可欠と
考えます。
政府・民主党は、当初、機構そのものの設置に消極的でしたが、公明党、自民党との協議の中で、ようやく新たな機構の設置を受け入れました。しかし、その中身は、現行法の枠組み、省庁の壁を越えられない不十分な
内容と言わざるを得ません。
政府・民主党案の問題点を、三点指摘いたします。
第一に、
政府・民主党案では、旧債務の買い取り額が一千五百億円から二千億円程度のようですが、被災の実情とは全くかけ離れた、限定的なものにとどまっております。
第二に、現行法の枠内、具体的には、
経済産業省所管の
中小企業基盤整備機構からの出資が主体では、農林漁業者なども対象としているものの、その性格から、農林漁業者への十分かつ確実な
救済は期待できません。
第三に、
被災事業者を迅速に
支援するためにはワンストップで
支援する仕組みが必要ですが、
政府・民主党案は、既存の
中小企業再生支援協議会による
支援と旧債務を買い取る新たな機構による
支援というツーステップであり、使い勝手が悪いという点です。
政府・民主党は、速やかに、私たち野党が参議院に
提出した
再生支援機構法案を成立させるべきであります。
菅総理の決断を求めます。
また、住宅ローンなどを抱える個人債務者の
救済も重要です。
その
一つとして、現在、金融機関等の関係者間で検討され、本日中にも決定されると聞いております個人向け私的整理ガイドラインにおいて設立される見込みの第三者機関の手続費用については、被災債務者に負担がかからないように、国がその費用を助成し、二次
補正予算の
予備費で
対応すべきと
考えます。
総理の答弁を求めます。
次に、
瓦れきの
処理について
伺います。
東日本大震災からの
復旧復興に向け、
被災地で今最も必要とされる
対策の
一つが
瓦れき処理であります。東北三県に限っても、
瓦れきの推計量は約二千二百万トンもあります。
公明党は、七月一日、
瓦れき処理を国の責務として促進する
災害廃棄物
処理特別
措置法案を四野党共同で衆議院に
提出いたしました。その
内容は、
瓦れき処理について、
被災自治体の要請に応じて国が代行すること、そして、
処理費と施設整備・運営費のすべてを国が負担することが大きな柱です。
本来であれば、
震災発生後直ちに
政府が
提出すべき法案であります。ところが、野党の法案
提出から一週間もたって、ようやく
政府は、野党案をコピーしたかのような法案を
提出してきました。
その上、
政府案では、一番の論点が欠けております。
処理にかかった費用の自治体負担分を後から
地方交付税で補てんすることにより結果的に国が全額を負担するとしておりますが、これは現行法の特例
措置でもできることです。自治体の一番の足かせは、一時的であれ、拠出できる
予算が
確保できないことなのです。
事態の緊急性にかんがみ、
政府・民主党は、我々野党が
提出した法案を
早期に成立させるべきであります。
総理の認識を
伺います。
次に、地盤の液状化や宅地崩壊への
対応について
伺います。
東日本大震災は各地に想像を超えた
被害をもたらしましたが、その
一つに、現行の
支援の仕組みでは全く不十分な、地盤の液状化や宅地崩壊による
被害があります。
総理は六月中旬に液状化
被害を視察されたそうですが、視察されてから一体どんな手を打ったのでしょうか。全く伝わってきておりません。
政府の
対応が遅い一方で、被災市町村の中には、補助制度の創設など、宅地
被害の
復旧のために素早い
対応をとっているところもあります。こうした自治体の取り組みを
支援するとともに、これまでの制度の抜本的拡充や新制度の創設など、
被災地域の家屋の特徴や
被害の実情を踏まえた液状化
対策や宅地崩壊
対策に取り組むべきと
考えます。
総理の
見解を求めます。
次に、
被災自治体の判断で活用できる
復興基金の創設について
伺います。
公明党は、被災県それぞれの地域の特性や被災
状況、特に
原発事故の
影響を抱える
福島県の特殊事情などを踏まえつつ
復旧復興を進めていくため、複数年にわたり地元のニーズに基づいて自治体の判断で活用ができる使い勝手のよい
復興基金の創設が不可欠であると
考えております。
阪神・淡路
大震災の際には、
震災後およそ二カ月半で兵庫県と神戸市が
資金を拠出し
復興基金が立ち上がったことを見ても、菅政権の
対応は鈍いと言わざるを得ません。
公明党は、第二次
補正予算に関する
提言で基金の創設を主張いたしましたが、今般の二次
補正における特別交付税の活用や第三次
補正以降の
復興交付金の創設で
財源を
確保し、
早期に基金を創設すべきと
考えます。
総理の
見解を
伺います。
冒頭申し上げたとおり、私は、先週から今週にかけて岩手県沿岸の
被災地を訪れました。釜石市や大船渡市、山田町などでは、住民との意見交換やアンケート調査などを行い、既に
復興基本計画の骨子やビジョンをまとめていらっしゃいました。九月には
復興基本計画をまとめられるという
状況であります。
その一方で、
政府からは
復興基本計画策定に当たっての土地利用などの
方針が示されないため、
被災自治体は頭を抱えております。
政府は、集落の高台への集団移転など大
規模な土地利用の転換を伴う
事業を
被災自治体が
実施する場合、法の弾力運用や規制緩和、補助制度のあり方など、現行制度の見直しや新制度の創設、
財政支援をどのように行っていくのか。こうしたことの具体的な
方針を早く示さなければ、自治体が
復興基本計画を策定しても、絵にかいたもちになりかねません。
また、
復興基本法に盛り込まれた
復興特区について、平野
復興担当大臣は、法案を秋の臨時
国会に
提出すると発言されました。これでは、
復興特区が指定されその効力が発揮されるのは、かなり先になってしまいます。
被災地の
早期復興を真剣に
考えるなら、ぜひとも今
国会中に
提出、成立させて、
復興を大きく前進させるべきと
考えます。
自治体の
復興基本計画策定に当たっての土地利用などの
方針や
復興特区法案について、
早期に策定すべきであります。
総理の
見解を
伺います。
申し上げたように、
被災自治体では、今、
復興に向けたビジョンや計画、基本
方針の策定が進んでおります。
政府としても、こうした自治体の取り組みに、
財政支援や規制緩和など、あらゆる方向から
支援していかなければなりません。特に、自治体の
復興基本計画の前提となる、国による基幹インフラの
復旧及び整備の
方針を速やかに提示することが重要であります。
例えば、大津波で壊滅的な
被害を受けた
被災地の防潮堤や防波堤について、未曾有の大津波の前では効果がなかったとの意見もありますが、
被災自治体からは、津波
被害の軽減に大いに役立ったと高い評価が寄せられ、一日も早い着実な
復旧が求められております。
また、三陸沿岸道路の
早期整備が必要であります。この道路は、
震災時の
避難路となっただけでなく、救援物資や医療関係者を運ぶ、文字どおり、命の道としての役割を果たしました。
被災自治体は、三陸沿岸道路の
早期整備を待ち望んでおります。
こうした基幹インフラの
復旧整備の
方針が見えてこなければ、
被災自治体の
復興基本計画策定のための前提条件が整いません。こうした
方針を速やかに示していただきたい。国土交通大臣、明確にお答えください。
次に、農林水
産業者に対する
支援策について
伺います。
事業再開に向けて、目下の
課題は、既に述べたとおり、二重ローン問題の解決と、農地や水産関連施設、木材加工場等の生産インフラの
復旧であります。
復旧復興の見通しを示すことと並行して
政府が
責任を持って行うべきことは、被災した生産者に対する当面の
生活支援です。
一次
補正予算では、経営再開に向けた
復旧作業を行う農業者への
支援金や、漁港の
瓦れき処理作業に対して日当を支払うことといたしましたが、
予算も限られており、現場の生産者は、これでいつまで
生活を支えられるのか、不安を抱えていらっしゃいます。本格的な
事業再開が可能となるまでの当面の
生活支援策を講じるべきであります。
我々公明党が提案している
復旧困難な農地の一時買い上げなどは、
復興計画の
早期実行を担保するとともに、被災農業者等の当面の
生活資金を
確保することにも役立ちます。農林水産大臣の
見解を求めます。
日本経済の先行きも、決して楽観はできません。
例えば、
復旧復興が進まないことによる被災企業の
再生のおくれ、電力不足の長期化に加えて電力料金の引き上げなどによる
産業への
影響、それに伴う企業の海外移転等による
産業の空洞化、雇用の喪失、さらには国際競争力の低下も懸念されます。また、原油高などによるコストの押し上げ、欧州を初め世界
経済の不透明感が増す中での為替相場の円の高どまりなど、
日本経済の置かれている厳しい
状況を十分に踏まえた
経済対策を講じるべきであります。
被災企業の
再生支援、電力供給制限への
対応、
日本ブランドの復活と
輸出の回復、個人消費の回復などを目指した総合的な
経済対策について、本格的な
復旧復興対策に加えて、第三次
補正予算にしっかりと組み込むべきと
考えます。
総理の答弁を求めます。
被災地では本格的な夏を迎えていますが、政治が手をこまねいていては、
復旧復興への取り組みがおくれ、あっという間に冬が来てしまいます。既に、第三次
補正予算の
提出は早くても秋、執行に至っては冬になりかねない
事態となりました。まことに遺憾であります。この時間的なロスを招いたのは、
菅総理の身勝手な延命策によるものにほかなりません。
政治の役割は、
被災者の気持ちに寄り添い、被災された
方々が希望を持って立ち上がる勇気と行動に対して最大限の支えとなることであります。
国民の圧倒的多数は、
菅総理が一刻も早く退陣し、新しい
総理のもとで国民のため、
被災者のための第三次
補正予算が
早期に
編成されることを期待しているというふうに申し上げまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君
登壇〕