○斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫です。
まず、今回の震災でとうとい命を失われた
方々の御冥福をただただ祈るばかりです。また、御遺族の
皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災され、今なお避難
生活を余儀なくされていらっしゃる
皆様に、心よりお
見舞いを申し上げます。
私は、公明党を代表して、いち早い
復旧復興のために政治が果たすべき役割を懸命に果たしてまいりたいという決意を持って、
平成二十三年度第一次
補正予算案につき質問をさせていただきます。(
拍手)
総理、あなたの言う最小不幸社会とは、一体何だったんでしょうか。
震災から四十九日、この間の
政府は、何をやるにしてもスピードが遅かった。あなた方の、後手に回った
被災地への救援、場当たり的で情報が開示されない原発事故への対応、踊る
会議体の乱立などは、信頼の危機を招きました。
瓦れきの撤去、救援物資の緊急運送、燃料の確保、
仮設住宅の着工、義援金の配付、知見を総動員した原発事故への対応、誠実な情報の開示、屋内退避者への
支援、賠償方針の提示、自治体職員のマンパワー確保、ボランティア活動の
支援等々、我々公明党が至急やるべしと要求したすべてがなかなか実行されず、震災で救われたとうとい命が失われるという二次
災害は枚挙にいとまがありません。
平時における政策の間違いは、徐々に
国民生活を疲弊させるものですが、
災害という有事にあって後手に回る対応は、
国民の命を危険にさらすのです。あなた方の対応、
対策の緩慢さに、我々は強い怒りを覚えます。あなた方
政府には、
国民の苦しみをみずからの苦しみとする姿勢がないのです。これが、あなたの言う最小不幸社会なのでしょうか。
危機管理の要諦は情報管理であり、
国民とのリスク情報の共有が必要です。
被災者の方はもとより、
国民が今求めているのは、具体性のない情緒的なメッセージや、伝言ゲームのような会見ではありません。原子力発電所の隠し立てのない情報を初め、いつ
仮設住宅に入居できるのか、いつ家に帰れるのか、いつ義援金は配付されるのか、いつ賠償は始まるのか、いつ農業、漁業は再開できるのか、食品や水が安全なのか、残してきた家畜はどうなるのか、離れたふるさとはどうなっているのか、子供の通う学校や公園は安全なのかなど、
政府は、速やかに手を打ち、
被災者の知りたいことに答えるべきです。
そして、私たち政治家は、
生活再建のために立ち上がろうとされている
被災地の
皆様に、何をもってこたえるべきでしょうか。今こそ、与野党協力して、政治が果たすべき役目をスピード感を持って実行すべきときです。
また、この場をおかりして、官僚の皆さんにお願いしたい。政務三役の指示を待つのではなく、誤った政治主導を乗り越えて、
国民の奉仕者として、
被災者のために思い切って働くべきときであると強く申し上げたい。
さて、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、いまだ収束せず、水素爆発等の危機も去っていません。現地では、今も、事故の収束に向けた必死の作業が続けられ、多くの住民の方が避難を余儀なくされています。ともかく、今は、一刻も早く事故を収束させなければなりません。
しかし、
政府の事故対応を見る限り、
総理の危機管理能力のなさが、大量の放射性物質を放出する事態を招き、レベル7の最悪の事故へと進展させてしまったと言わざるを得ません。さらに、住民に対する避難指示も全く不適切で、大きな混乱を招いています。
十二年前の東海村ジェー・シー・オー事故のときは、原子力安全
委員会が、住田
委員長代理を中心に現場に素早く陣取り、原子力研究所の全面的な協力のもと、事故の収束に当たりました。再臨界を阻止するための水抜き作業も、
委員長代理がジェー・シー・オー社員を説得して組まれた決死隊によるものでした。住民避難も、安全
委員会と東海村の決断で実行されました。政治家は、こうした取り組みを側面からバックアップしただけでした。
専門知識と経験を有し、統率力を持ち合わせた人が司令官として事故の収束に当たる。一方で、菅
総理、あなたは総責任者として、口を出さずにバックアップに徹するべきです。
事故の収束と廃炉まで見据え、どのような体制で臨まれようとしているのか、また、その中の
総理大臣の役目は何と考えていらっしゃるのか、
総理の見解を伺います。
事故の徹底的な検証も重要です。
なるべく早い段階で、原子力安全・保安院、原子力安全
委員会とも独立した第三者機関としての事故調査
委員会を設け、国際的に開かれた形で検証を行い、人類共通の財産とすべきです。その準備として、東京電力はもちろん、保安院、安全
委員会、官邸、外務省、自衛隊、警察庁、東京消防庁などの事故関連資料を保存し、集中管理することが不可欠です。事故調査
委員会と資料保存について、
総理の確約を求めます。
事故の収束とともに、
国民が求めているのは、稼働中の原発の安全性です。
経済産業省は、先月三十日に、津波に関する緊急安全
対策を指示しました。その後、七日の余震で外部電源の喪失が再び起こってしまい、電力系統の信頼性を確保するための
措置を追加指示しました。まさに、泥縄式の対応です。
今、大至急やるべきことは、最新の科学的知見と今回の教訓に照らして、従来の安全基準や防災計画に不備がないかどうかの検証と、もし不備があるのであれば、その
見直しです。そして、こうした安全基準や防災計画に基づく安全総点検が必要です。その結果、基準を満たしていない原子炉については、運転を停止し、安全性向上の
措置をとらなければなりません。現在稼働中の原発の安全性の確保について、
総理の見解を伺います。
また、より長期的には、安全規制やその体制の抜本的
見直しが必要と考えます。
総理の答弁を求めます。
今般の
補正予算案については、急を要する、瓦れきなど
災害廃棄物の処理、
道路、港湾、学校などインフラの
復旧、さらには、
仮設住宅の建設や
生活福祉
資金の貸し付けなど、
被災者の方の
生活再建
支援などが中心です。私は、
復旧復興に向けた必要不可欠な費用に係る
予算は、与野党の枠を超えて、速やかな成立と執行に一致努力していくべきと認識しています。
であればこそ、あえて指摘したい。それは、何ゆえに本
補正予算案の編成にこれほどの時間がかかってしまったかということです。
きょうは、四月二十八日です。震災の発生から既に四十九日です。この間の
被災者の
方々の御心情、御苦労を考えると、
菅内閣の対応は、余りにも遅過ぎ、スピード感に乏しいと言わざるを得ません。
総理の答弁を求めます。
具体的に質問いたします。
中小企業に対する
資金繰り
支援策については、新たな震災
被害に対する緊急保証や、無利子を含む
災害復旧貸し付けを大幅に拡充した特別貸し付けの創設などが盛り込まれている点は評価します。しかし、地震、津波、原発事故など空前の
災害にあって、従前の
支援策の枠組みにとらわれず、
災害復旧貸し付けの既往債務との一体化、借りかえ
制度や、元本一括返済融資
制度の実行など、中小企業
支援の抜本的拡充が必要と考えます。
また、
道路は、
復旧復興に向けた重要なインフラです。なかんずく東北自動車道などについては、その基幹的な役割を果たすものであり、一定
期間、通行料を無料化すべきと考えます。
総理の答弁を求めます。
被災地における
復旧復興が本格化していく過程で、
財源をどうするのかの課題は避けて通れません。
まず優先すべきは、
子ども手当や
高速道路無料化など
民主党が掲げてきたマニフェストを抜本的に転換するなど、不要不急の
歳出の
見直しによって
財源の確保を図ることであります。しかし、
民主党は、きちんと党内議論をするつもりがないのか、
子ども手当も
高速道路も、今年度分の一部分は見送りとはなっているものの、マニフェスト本体の
見直しは手つかずのまま、またしても先送りです。
あげくには、
基礎年金国庫負担の二分の一
財源二・五兆円を転用するとしていますが、要は、
財源が不明確なまま年金の積立金を取り崩してしまうことにほかなりません。年金の安定化はおろか、信頼を大きく損ねるもので、到底容認できません。年金の将来像も示すことなく、いとも簡単に法案を
修正、変更してしまう場当たり的な対応を見るにつけ、見事に
民主党の年金
制度に対するいいかげんさを露呈していると言うほかはありません。
マニフェストの
見直し、そして年金の積立金取り崩しについての
総理の答弁を求めます。
復興に向けた体制について伺います。
東日本大震災の
復興への取り組みについては、広範囲かつ長期にわたることから、
政府を挙げて推進する強力な体制が必要です。さきに、首相官邸に震災の
対策本部や
会議が二十以上も乱立し、指揮系統が混乱し、
対策のおくれにつながったことを指摘いたしました。残念ながら、
復興に向けた体制づくりでも、その反省は生かされておりません。
総理は、
国民新党の亀井代表が提唱し、与野党の党首クラスが参加するという
復興実施本部の設置を支持した上で、野党と調整を続ける亀井氏を評価していると伝えられています。ところが、一方で、
政府は、
総理とすべての閣僚が参加する
復興対策本部設置を軸とする基本法案づくりを進めています。
民主党の政調会長でもある玄葉大臣は、亀井氏らの動きを、わからないと明言しておられます。
総理、この二つの本部は同じ
会議なのですか、それとも、
実施本部と
復興本部をそれぞれ立ち上げるのですか。あなたの場当たり的な対応が
政府・与党内に混乱を招いています。我々野党も、これでは協力のしようがないではありませんか。明快に
説明してください。
公明党は、地震発生直後から、
災害復興特別措置法の早期制定、
復興に向けた
予算や政策の司令塔の役割を果たす
復興庁及び
復興担当大臣の設置を主張してきました。
復興庁について、権限の調整や
予算、人員の移管などに時間がかかるとの指摘もありますが、
復興計画は
政府がつくり、それを実行するのが
復興庁でありますので、
復興庁は、計画づくりの段階で立ち上がっている必要はありません。長期にわたる強力な取り組みが必要なことを踏まえれば、一定
期間、
政府の機能や
予算を一元的に管理する権限を有する
復興庁が必要です。
総理の見解を伺います。
私は、十四日から議論を開始した
政府の
復興構想
会議や検討
会議で、
復興のための
財源の議論が先行し、その中で消費税増税案が取りざたされていることに、強い違和感を覚えます。なぜ、あらゆる
被災者支援策が遅いのに消費税増税案だけは早いのか。
復興構想
会議のお里が知れるとは、まさにこのことです。
復興ビジョンが先、
財源論はその後です。
復興財源については、一般
財源とは別に
復興勘定をつくり、まず不要不急なものを回す。そして、次に、埋蔵金と言われる特別会計の積立金を充てる。その上で、できるだけ
負担できる人に多く
負担してもらう仕組みがいいのではないかと考えます。
消費税については、社会保障の一体改革の中で議論すべきであり、
復興財源に消費税を充てることに、公明党は反対いたします。
総理の見解を伺います。
最後に、一度の
災害で一万四千人以上の方が犠牲になり、不明者は一万三千人を超え、原発事故ではいまだ収束の見通しさえ立たない現実は、営々と築いてきた
日本のさまざまなシステムがエラーを起こしているあらわれです。我々政治家は、潔い反省に基づいて、与野党を超えて、その修復と
対策を図らなければなりません。今こそ、与野党協力し、スピード感を持って
復旧復興に当たるべきです。
ただし、
総理、あなたは、
災害対策に当たるのは御自分の運命であり宿命とおっしゃっておりますが、
統一地方選挙の結果を見ても、
国民の多くはあなたと運命をともにしたいとは思っていないことは明らかです。
今回の天災への対応は、初動の誤りと対応の遅さで人災へと広がりました。その人災は、誤った政治主導が招いた政治
災害である政災であり、菅
総理による菅災と言わざるを得ません。
総理はみずからの責任を自覚し行動されるべきである。
総理はみずからの責任を自覚し行動されるべきであると率直に申し上げ、私の代表質問といたします。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君
登壇〕