○赤松正雄君 公明党の赤松正雄でございます。
ただいま
議題となりました
在日米軍駐留経費の
日本側負担にまつわる
協定、いわゆる
ホスト・ネーション・サポート協定について、公明党を代表して、
賛成の
立場から
討論をいたします。(
拍手)
討論に先立ち、今回の東北、関東を襲った
未曾有の大
地震、大
津波によって無念にも命を落とされたり今なお行方不明の
皆様に、衷心より哀悼の意を表明いたします。ともに、想像を絶する大
被害を受けられ、かけがえのない
家族を失われた御遺族の
皆様や
被災者の
皆様に、心からのお悔やみとお
見舞いを申し上げます。
さて、今回の
協定のポイントは、基地従業員の
経費については、
日本側が
負担する上限
労働者数をサービス部門を対象に四百三十人、
協定の期間である五年以内に段階的に
削減することにしたこと、いま一つは、
光熱水料などについても、現在七六%の
日本側の
負担割合を、段階的に四%
削減し、五年後には七二%にするということであります。この減額分を
提供施設整備費に振り向け、全体で
総額を維持しようというものであります。
この
協定の
締結をどう見るか、議論すべきテーマは多岐にわたっております。
大きく言えば、戦後六十五年、一九六〇年の
日米安保条約締結から半世紀がたちました。いつまでも半占領状態が続いていることを許すのかとの視点からの論点があります。細かく言えば、基地従業員の
労務費や
光熱水料の
日本側の
負担が大き過ぎないのか、もっと的確な基準や
原則をつくるべし、特例といってもほどがあるのではないかとの指摘があります。
私どもは、こうした大小取りまぜてのさまざまな論点の存在を承知した上で、この北東アジアにおける
日米同盟の重要性が一段と増していることを自覚せざるを得ません。一定の
同盟の代償は払うしかないのであります。
いみじくも、今回の大
地震、大
津波、原子力発電所
事故の緊急対応をめぐって、
アメリカがオペレーション・トモダチを展開してくれています。
日本がこの国家的危機を乗り越えていくに当たって、
アメリカはともに手を携えていくかけがえのないパートナーであることは、疑い得ない現実なのであります。
その上で、今回の
協定締結に当たって思い起こされることは、今も
自民党議員からもありましたように、三年前の
ホスト・ネーション・サポート見直し時における
民主党の衆参両院での執拗なまでの批判のあらしであります。
基地従業員の
労務費の使われ方や
光熱水料費の無駄遣いをめぐり、手をかえ品をかえての論難でありました。
国民の税金の使われ方についてのチェックですから、当然といえば当然でありましょう。しかし、今読み返しますと、例えば、娯楽
施設の
労働者の給与を
削減すべきだとの主張は、そうした職業に従事する人々の差別にさえつながるのではないかと思われるほどの過酷な言い回しもありました。
当時
反対する
理由に挙げられた点について、今回の交渉では、果たしてその主張を貫き通せたのか。答えは、ノーです。それなりの努力はなされたのでしょうが、すべて中途半端であったことは否めません。
今にして思えば、
政権交代実現のためには手段を選ばない一群の例の一つだったのでしょう。私たちは、それを
民主党の
皆さんが率直に認められることが大事だと思います。それであって初めて、
日本の国益とは何かということをベースにした現実的な外交、安全保障論議が展開できる、そう考えるからであります。
ところで、この際、私が触れておきたいのは、
日米地位協定の
改定と沖縄の普天間基地移設問題という二つのテーマをリンクさせることであります。
民主党は、マニフェストに、
地位協定の
改定を提起するとしてきました。しかしながら、
政権が交代して一年半、
地位協定改定を
アメリカ側に申し入れたとのニュースに私たちは接することができないでいます。結局は、旗を掲げるだけで、具体的な
行動は起こしていないのです。ここにもう一つのマニフェスト違反がある、そう言わざるを得ないのであります。
野党時代は簡単にできると思ったけれども、現実はやはり難しいということでしょうか。
先日も、辞任される直前の前原外務大臣は、衆議院
予算委員会のやりとりの中で、
地位協定改定の旗はおろしていないとの答弁をしました。それを聞いたとき、私は、旗は旗でも白旗ではないのか、そう思いました。
安保条約五十周年を超えた現在、大事なことは、
日米関係の一層の深化であり、緊密な
関係構築だと思います。
かつて、ある国の指導者は、戦場で失ったものを交渉で取り返すことはできない、そう言いました。これは、裏返せば、戦争で奪ったものを交渉のテーブルで返したりするものかということでしょう。思えば、
アメリカは、これとは
反対に、戦争で得たものを交渉で返すという英断を下した国家であります。であるがゆえに、今なお沖縄に対する強い執着があるとの見方もできなくはありません。
それにつけても、見過ごすことができないのは、先日のケビン・メア元沖縄総領事、前国務省
日本部長の暴言であります。この発言は、過去の積み重ねが崩れたことへの悔しい思いがあったとはいえ、持っていく先を間違えられたものと言わざるを得ず、まことに残念であります。
かねて私は、
日本が
ホスト・ネーション・サポートをするのだから、
アメリカはゲスト・ネーション・マナーを持つべきだ、しかしそれが余りになさ過ぎると指摘をしてまいりました。事は、若い軍人のしわざではない。メアという
日米関係の一方を代表すると言っていい人物がこの程度の沖縄認識だからこそと思わざるを得ません。ここは、あの発言を逆手にとって、
日米沖の三者による歴史認識の研究の場を設けるというぐらいの
提案が
日本政府からあってよかったのではないか、そう思います。
デッドロックに乗り上げた感のする沖縄の基地移設問題を解くかぎは、一にも二にも、私は、
地位協定の
改定について具体的に問題を提起して
日本側が汗をかくことだと思います。
そのためには、
日本が沖縄を琉球王朝以来の歴史と
文化と伝統を重んじる
地域だととらえることからまずは始めるべきだと考えます。とっくに
日本の領土になった一地方自治体だというのでは、事態は解決しない。沖縄の方と誠心誠意話し合うと先日も
松本外務大臣は言いましたけれども、沖縄を、準国家的位置づけをもってして対応すべきだとさえ私は思います。それで初めて沖縄の人々の心が動くのではないでしょうか。
かつて、中国・清と
日本・薩摩のはざまでもみにもまれ、その後は
アメリカと
日本のはざまにおいて苦労し続ける沖縄からは、今、米中のはざまに立つ
日本が学ぶべきことは極めて多いと思うのであります。
東
日本の今次の大
災害から
復旧復興に挑む闘いをする中でこそ、三たびの開国、三度目の開国を
日本が果たし得るとの指摘があります。そのためには、まず沖縄をめぐる問題を越えていかなければならないと、その重要性を改めて強調させていただいて、私の
賛成討論にいたします。(
拍手)