○古屋範子君 私は、公明党を代表して、
平成二十三年度における
子ども手当の
支給等に関する
法律案について
質問を行います。(
拍手)
まず、
法案の
質疑に入る前に、このたびの
ニュージーランド南部で発生した大
地震により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお
見舞いを申し上げます。
現地邦人二十六人の安否がいまだ確認されておらず、一刻も早い安否確認を、また、
救出のためにさらに
全力を挙げるよう求め、
法案の
質疑に入ります。
子ども手当は、
民主党が二〇〇九年の衆院
選挙で掲げた看板
政策であり、その
マニフェストに基づいて考えるならば、今般の
法案は、
平成二十三年度から
中学生までのすべての
子供を
対象に月額二万六千円を
全額国費で
支給する恒久的な
法案となっていたはずであります。
公明党は、二十二年度の
子ども手当法に修正を求め、
平成二十三年度以降の
子育ての
支援に係る全般的な
施策の
拡充を盛り込みました。二十三年度以降ということは、恒久制度を志向している。時限法はあり得ません。修正条項に反しています。
さらに、
現金給付に対し、
保育サービスなどの
現物給付は、十分な
拡充がなされているとは言えません。
バランスが非常に悪い。さらに、またしても単年度限りの
法案となっています。これでは
子育て世代の安心が生まれるはずはなく、修正した
趣旨に反するものと言わざるを得ません。
このようなその場しのぎの
法案を提出した菅政権に対し、反省と責任の所在を明らかにするため、以下、
質問をしてまいります。
まず初めに、本
法案は明確な
マニフェスト違反だということです。
一体、
民主党が
国民と
約束した
子ども手当の本当の姿とは何なのでしょうか。二万六千円の
子ども手当をよもや方便で
マニフェストに掲げたわけではないと思いますが、改めて確認をさせていただきたい。
昨年末の
子ども手当の
財源確保をめぐる
政府の迷走、そして今般提出された
法案内容を見る限り、
民主党マニフェストの実現はもはや困難と認めるべきではないでしょうか。一から
制度設計をやり直すお考えはあるのか、それとも、これまでどおり、出生順位にかかわらず一律二万六千円を
支給する考えは変えないのか、簡潔に
お答えください。
また、仮に
マニフェストを変更するのであれば、
国民への謝罪と
説明が必要と考えますが、この点についても、あわせて、
菅総理に明快な御答弁を求めます。
次に、
支給額について、三歳
未満のみ一万三千円から二万円に引き上げる
理由に関して、二点伺います。
これまでの
国会質疑の中で、その
理由の
一つとして、
関係閣僚から、三歳
未満の
子供を持つ家庭は比較的若い世帯が多く、
収入も少ないという答弁がありましたが、これは全く後づけの
理由ではないでしょうか。
三歳
未満の
児童手当を五千円から一万円に引き上げる乳幼児加算
創設の
平成十九年
児童手当法改正の際、三歳になったら
手当が半額に減らされてしまうのは混乱を招く、あるいは、
子育てに伴う経済的
負担の軽減という
趣旨ならば、むしろ
負担の重くなる三歳から五歳及び学齢期に厚くすべきなどと言い、
法案に反対したのは
民主党ではありませんか。当時と
考え方が変わったのですか。はっきりと態度を示すべきです。
三歳
未満の
子供を持つ世帯の
収入が比較的低いことについて、その根拠となるデータを示し、明確な
説明を求めます。
もう
一つの
理由として、
年少扶養控除の廃止により、三歳
未満の
子供を持つ世帯では、
児童手当のときと比べて実質的な手取り額が減ってしまう、すなわち
負担増となる世帯が出ることを挙げています。しかし、これは、
支給額の見通しも立たないまま増税を先行したために起きた
制度設計ミスではありませんか。
確かに、三歳
未満のみ七千円引き上げれば、この
年齢の
子供を持つ世帯の
負担増は回避できるかもしれません。他方、三歳から小学生までの
子供を持つ年収八百万円の世帯では、
平成二十四年度以降、
負担増となる世帯が出てきます。
また、二月八日の
予算委員会で我が党の坂口
議員が指摘をしたように、第三子以降の
子供を持つ世帯では、今回の措置でも
負担増を回避できない
ケースがあります。
こうした点を踏まえ、三歳
未満のみ
支給額を引き上げることの必要性や、税制改正の
影響を含めた
子ども手当の効果について、改めて
検討する必要があるのではないでしょうか。
政府のお考えを伺います。
次に、単年度限りの
法案となった
理由について伺います。
昨年の
子ども手当法案の
質疑において、二十三年度以降の
制度設計について
お尋ねしたところ、当時の長妻厚労大臣は、「
政府全体で本格的な
制度設計に向けて
検討し、結論を得た上で、改めて
法律案を提出したい」、そう答弁をしています。
なぜ、本格的な
制度設計ができなかったのか、恒久的な
法案提出ができなかったのか、
総理の明快な答弁を求めます。
次に、
子ども手当の
財源について伺います。
公明党は、二十三年度以降の本格的な
制度設計に向けて、恒久
財源の確保が必要であることを強く主張してきました。
まず、二十二年度に行った、
中学校修了まで一律一万三千円を
所得制限なしで
支給する場合、これを
全額国費で賄おうとすれば、満年度で二兆七千億円が必要です。この
財源について、
政府は、所得税、住民税の
年少扶養控除の廃止に伴う国と
地方の増収額一兆一千億円を恒久
財源として充当し、それ以外は歳出削減等で捻出する考えを表明しています。
しかしながら、この一兆一千億円のうち
地方増収分の六千九百億円は、現在までのところ、
地方との調整がついておらず、
全額子ども手当に充てることが担保されておりません。
加えて、三歳
未満の七千円引き上げには、二十三年度の十カ月分で二千八十五億円、満年度で約二千五百億円の追加
財源が必要ですが、これについては、これまで
民主党が述べてきた配偶者
控除の廃止などではなく、昨年末、突如として、成年
扶養控除や給与
所得控除の見直しなどで捻出することが決まりました。その決定プロセス等を見ても、いかに
民主党の
制度設計があいまいだったかがわかります。
マニフェストで
約束した無駄遣いの一掃による
財源捻出が極めて不十分なまま、かつ、赤字
国債を発行したままに
子ども手当を
支給していることは、将来世代にそのツケを回すことにつながりませんか。
財源の裏打ちもないにもかかわらず
支給増にこだわり、早急に必要な
子育て支援策も実現できないというのでは、
国民の
支持は到底得られるものではありません。
平成二十四年度以降を含め、安定的な
財源をどのように確保するのか、
国民が納得できる
説明が必要です。
総理の誠実な答弁を求めます。
次に、公明党が、昨年、
法律の附則に盛り込んだ、
子育て支援に係る全般的な
施策の
拡充について伺います。
この
規定は、
現金給付に偏りがちな現政権の
子育て支援策をただし、おくれている保育所整備など
現物給付の
拡充を含めた、
バランスのとれた
子育て支援を進めるという
趣旨で修正を加えたものです。
そこで伺いますが、
平成二十三年度
予算案では、
現物給付はどこまで
拡充される見通しなのでしょうか。
子育て支援関連
予算について、
平成二十一年度、二十二年度、そして二十三年度
予算案における
現金給付、
現物給付の
予算額並びに関連
予算に占める割合をそれぞれ示し、御
説明ください。
次に、
地域の
実情に応じた
子育て支援サービスを
拡充するための新たな
交付金について伺います。
政府は、これまでの
次世代育成支援対策交付金を改組し、新たに五百億円の
交付金を
創設するとアピールしています。しかし、この
事業は、もともと
予算措置で行われていたものであります。既に二十二年度
予算で三百六十一億円が計上されており、アリバイづくりのほかの何物でもありません。
現金給付に全く見合った額になっていません。焼け石に水です。一体これで何ができるというのでしょうか。抜本
拡充とはとても言えません。
今般、なぜ、
交付金の
創設が
子ども手当法案に盛り込まれることになったのでしょうか。その
理由を明らかにするとともに、従来の
交付金とどのように違うのか、わかりやすく御
説明ください。
次に、
地方負担をめぐる混乱について伺います。
読売新聞の調査によると、
地方負担の存続に反発し、その
負担分を
予算計上しないことを決めた、あるいはその方針であるという
自治体が二県六十三
市町村に上ることが明らかになっております。これは、もともと
子ども手当は
全額国費で賄うと言っていたにもかかわらず、
地方への丁寧な
説明、
理解もないままに一方的に
負担存続を求めた
政府・与党の責任です。
地方負担の存続をめぐっては、一昨年からこうした反対
意見があることを認識していたにもかかわらず、その後、十分な
協議の場を設けることもなく、一年間、一体
政府は何をしていたんでしょうか。こうした混乱を招いた責任について答弁を求めます。
また、今後も
地方負担を存続するのか、あるいは
マニフェストどおり
全額国庫
負担とするかをめぐり、閣僚間の発言に差異が見られます。最終的な
制度設計において
地方負担をどうするのか、
総理に見解を求めます。
次に、
支給額の根拠と妥当性について伺います。
二万六千円の根拠について、昨年の
質疑で当時の長妻大臣は、第一に、
子供の
育ちに必要な基礎的な
費用の相当
部分をカバーする、第二に、諸外国の
手当制度と比較しても遜色ない水準とするといった点を総合的に勘案して、
民主党として
国民にお
約束した額だと答弁しています。
しかし、もともとの
子ども手当額は一万六千円だったわけであり、直近の現閣僚のあいまいな答弁を見ても、確たる根拠がなかったことを、後づけの
理由でごまかしているにすぎません。
改めて伺います。二万六千円という金額は、西欧諸国と比べてもトップクラスの水準にあります。それを主張した以上、金額の詳細な積算根拠を示すべきです。どのような計算で二万六千円となるのか、明確に
お答えください。
冒頭申し上げたとおり、
子ども手当法案は、
民主党マニフェストの中でも一丁目一番地と称せられる
目玉政策です。それが、二十二年度に続き、単年度限りの措置となった。恒久法となって出てこない。毎年このような場当たり的な
法案提出を繰り返していては、
子育て世代の安心につながるどころか、制度への不信感はかえって増長することとなります。
不信感を取り除き、安心して
子供を生み育てられる環境をつくるためには、恒久的な
子ども手当の
制度設計や、
子ども・
子育て新
システムなどを含めた
子育て支援の全体像を明確に示すことが
政府に求められています。
昨年の
法案質疑において、
政府は、肝心なところは年末の
予算編成過程で
検討するなどとして、あいまいな答弁に終始しましたが、今回は、そのような答弁をやめていただきたい。
政権交代からわずか一年五カ月、
菅内閣の
支持率は、鳩山政権末期の一九・一%を下回り、一七・八%。
政権交代後最低を記録しました。もはや、
国民の菅政権への信頼は地に落ちつつあります。
民主党は、十九日、全国
政策担当者
会議を開いたと聞いております。神奈川の
民主党の
政策担当者からは、
子ども手当の
地方負担は公約違反だとの
意見が出てきております。もはや、国
会議員にとどまらず、
地方からも公然と退陣要求が突きつけられております。
子ども手当法案が通らなかったら
国民生活が混乱するとしたら、
政府・与党の責任です。
国民生活をどう守るかは、第一義的に
政府・与党がその責任を負うべきであり、
政府は責任を持って、混乱がないよう、手だてを考えるべきであります。
民主党が
国民との契約とまで言い切った
マニフェストの破綻を認め、修正するのであれば、
総理は
国民に対して即刻謝罪すべきではありませんか。
マニフェストの破綻、
支持率の低下、どの
状況を見ても、改めて
国民に信を問うべきである。このことを申し上げ、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君
登壇〕