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坂口(力)
委員 ありがとうございました。
いろいろなケースがありますし、
大臣がおっしゃるように、余り介入し過ぎても、これもぐあいが悪いということもございましょう。しかし、中には、非常に多いケース、こういうときには起こりやすい、そういうケースもあるわけですね。
例えば、結婚されて、お子さんが生まれて、そして
離婚をされる。その
離婚された
女性が再び結婚される、あるいは結婚されないまでも内縁の人ができる。そういう家庭の中で
子供に対する
虐待というのが起こるケースが非常に多いわけですね。
その
女性の
立場からすれば、初めに夫として迎えた人よりも、後で選んだ、現在の人の方が愛情は深いということを証明しようとすれば、思えば思うほど、そこは、前の夫との間に生まれた
子供に対して厳しく当たることが一つの証明になる。そこがだんだん高じていって、そして、それが
虐待、死亡といったようなことにも結びついていく。何となく、その心情と申しますか、母親の
立場から見ますと、わからないでもない。それはしかし、起こってはならないことでありますから、そうしたところは、しっかりと予防的見地でここは見ていく必要がある。
したがって、お子さんが生まれて、
離婚をされたような場合、そして、その方が再婚をされるような場合、例えばお子さんを施設に預かってもらうこともでき得る、また、そんな御
相談も受けるようにする、そうしたこともしていって、そして、惨めなことが起こらないようなケースをつくり上げていくといったようなことはできるのではないか。ですから、重症化させないというだけではなくて、予防するということももう少し可能ではないかというふうに今
考えたりいたしております。
それだけではなくて、
子供が非常に手間暇がかかるという人も、中にはあるでしょう。親と
子供の
関係だけでこの
虐待という問題を片づけることはできない。
社会全体が、どうも
虐待を誘発させやすいような
社会にだんだんとなってきているということも
考えていかなければならない。その辺のところも
見直していかなければならないというふうに思うわけです。
私、少子化対策をやっておりまして、お若い皆さん方とお話し合いをするケースも今まで多かったわけでありますが、あるお若い
女性が、まじめなお顔をして、
坂口さん、
子供を産んで何か得なことはありますか、こう聞かれたんですね。私はちょっと返答に困った。それは、
子供を産めば時間もかかる、お金もかかる、自分のやりたいこともできなくなる。得か損かという
考え方でいけば、長い目で見れば、将来を見れば、
子供を産み育てるということがこれほどすばらしいことかというふうに思うようになりますけれども、ただ、産んだ直後に損か得かと言われますと、それはやはり、得なことというのを言いあらわすことは、なかなか難しい。でも、まじめにそういうことをおっしゃる方が、一人ならず何人かおみえになるというのは、かなり
考え方が変わってきているなということを感じざるを得ない。
そんな方でも、お子さんをお産みになって、できてみれば非常にかわいくて、損か得かというようなことはどこかへ忘れてしまってお育てになる方もあるだろうというふうに思うんですが、もし、そういう気持ちを持ったままでお子さんをお産みになるようなことになったときには、
虐待というものと直接結びつくか結びつかないかは別にいたしまして、何となく心配だなというふうに感じたことがございます。
したがって、ここは、
社会全体で子育てをしていく、それにはどういう
社会をつくっていったらいいのか、お互いにどういう
考え方でやっていったらいいのか、その辺のところは、やはりもう少しディスカッションをする
機会をふやしていかないといけないのではないか。私も
専門家ではありませんから、そういう
質問をされたときに、いや、それはあなた違います、こうだというふうにぴしっと言える力というのがなかなかなかったものですから……。そういうお話を聞いたこともある。したがいまして、全体として私は見ていかなければならないというふうに思っております。
以上、総論的なことを少しお聞きをいたしましたが、法案の
審議でありますから、少し具体的なこともお聞きをしておきたいというふうに思います。
一つは、児童
相談所の役割というのは非常に大きくなると思うんですね。それで、児童
相談所長にどういう人がなられるかということも、その地域における問題を解決するために非常に私は大きな影響を与えるだろうというふうに思っております。
どういう方が児童
相談所の所長になられるのかということを見てみますと、これは児童
福祉法第十二条の三に、そしてまた児童
福祉法施行規則第二条に書かれておりまして、いろいろとその条件が書かれております。
その中で、児童
福祉司として二年以上勤務した者というのもありますが、その次には、それと同等以上の能力を有すると認められた者、こういう書き方もある。そうしますと、同等以上の能力を有する人ということでありますと、見方によりましては、だれでもできると言うと語弊がありますけれども、だれでも任命することができ得るみたいな感じを受けるわけであります。
ほとんどのところは立派な方がおやりになって、立派に務めていただいているわけでありますけれども、地域によりましては、この児童
相談所の所長さんというのは、上がりの職というんですか、やめる前に一遍長たるものに
つけておいてやめさせよう、それで、その一つに児童
相談所所長にして最後というようなケースが見られないこともない。
それは、その人にとってみれば、長い間の役所生活をやめるに当たって、それはふさわしいことであるのかもしれませんけれども、しかし、その行っている
内容を十分
理解をされているのかどうかということになりますと、そこは疑問符を
つけざるを得ないというような気がいたします。
これは
厚生労働省でしょうか。児童
相談所の所長さん、あるいはもっと下で務めていただく人もそうですけれども、やはりそれなりの知識を持った人がやってもらわなければならないわけですし、そして、二年ごとに職場をかえてしまうというのも、これもちょっと
考え物でありまして、少し長い期間をとって、そこでじっくりと腰を落ち
つけてそのお仕事をやっていただく、
専門的な知識がふえればふえるほど、そこでまた職責も上に上がっていくというようなことが少し児童
相談所では大事なのではないかという気がいたします。その点、どうでしょうか。