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池坊委員 わかりました。
大臣、
検討という言葉はお使いにならないで歯切れよくおっしゃっていただくと、
大臣の偉さがさらに上がるような気がいたします。
きょうは、
議員の
方々の長年の御苦労が実って、
スポーツ基本法が成立するようでございます。私も
提出者の一人ではございますが、
議員の
方々が本当に長年にわたって尽力されたことに対して、本当にそうだと賛同しながら、きょうの日をただただ待ちわびてまいりました。
スポーツというのは、幼い
子供たちから高齢者、特に高齢社会になってまいりますときに、やはり体を動かす、ちょっとでも自分が動かせる範囲の中で動かすことが、介護などに頼らないで済む
一つの予防にもなると思いますので、生涯にわたって人々が心身ともに健やかに生きていくために
スポーツ基本法がつくられましたことを、心よりうれしく思っております。
それとともに、きょうは
スポーツ基本法ができますので、私は文化の方の話をしたいと思います。
文化芸術振興法ができまして、日の目の当たらなかった文化に日が差してきたのではないかと思います。
展覧会の
支援及び海外美術品の公開促進について、これは
御存じのようにこの三月に、展覧会の開催の
支援、美術品の公開促進、これは、私
たちが大切な美術品を鑑賞するための
支援、手助けになるということで、二つの法律ができました。
展覧会における美術品損害の補償に関する法律、きょうが実は施行日なんです。そういう
意味では、私は大切な日ではないかと思います。
国民が美術品を鑑賞する機会の拡大に資する展覧会の開催を
支援する、その主催者が展覧会のために借り受けた美術品に損害が生じた場合に、政府が当該損害を補償する制度、これは大切な制度だと思います。
美術品国家補償制度は、展覧会の主催者などを対象とする説明会が今月から開催される予定であるということも伺っております。
二つ目は、海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律でございます。
これは、言うまでもなく、海外の美術品等の我が国における公開の促進を図るため、海外の美術品等に対する強制執行等の禁止の措置を定めるとともに、国の美術館等の
施設の
整備及び充実について定めること、そして、国民が世界の多様な文化に接する機会の拡大を図るもの。
この二つがこの春成立して、国民の美術鑑賞の機会がふえたなと喜んでおりましたときにこの東日本大
震災が起こりました。それとともに、
東京電力の
福島第一原子力発電所の事故も起きてまいりまして、さまざまなイベントが
中止されてまいりました。
例えば、山梨県立美術館では、フランス人の人気画家モーリス・ドニの作品百点を展示する展覧会を
中止しました。この展覧会では、ドニの遺族が秘蔵する十点を世界初公開する計画であり、全作品の八割をフランスから借りる予定でしたが、作品がフランスにとどまって、こちらの日本にやってくることができなくなり、
中止になりました。これは、フランス政府の美術館総局が三月十六日に、自国の
国立や
国立級の美術館に対して、危険の情報が十分得られないとして日本への美術品輸送停止を通達したためです。
また、広島県立美術館では、フランス印象派の作品の展覧会、これは五月二十九日までを予定したにもかかわらず、
中止になりました。この展覧会は、ゴッホ、モネ、ルノワールなど印象派と、その源泉となる巨匠の作品八十点のうち、約六割をフランス国内の四つの美術館から借りるという壮大な計画だったんです。
それから、横浜美術館。横浜だから関係ないんじゃないかというふうに思うんですが、ロシアのプーシキン美術館の展覧会、これも、六月二十六日まで開催するはずだったのに
中止になりました。フランスだけでなくてロシア連邦
文科省が、
震災や
津波、原発事故などの諸条件にかんがみ、現時点では貸し出しできないと。
それから、アメリカ・ホノルル美術館から作品を借り受ける予定であった
東京の三井記念美術館の葛飾北斎の展覧会、これも
中止になりました。
なぜ、こんなに
中止になるのか。日本は怖いんだというような意識が世界じゅうに蔓延してしまったからではないかと思います。諸外国が我が国への作品の貸し出しを停止する理由、調べておりましたら、天災などによる危険性ということもございますが、クーリエと呼ばれる学芸員の問題も大きいと聞きました。
クーリエは、作品輸送に同行し、作品の状態をチェックして美術館との受け渡しをする学芸員でございますが、今回の原発事故を受け、放射線被曝の危険性を過度に心配して、我が国への渡航をやめている。そのために作品の輸送ができないということではないかと思います。
また、保険会社が不確定要素を理由に作品の保険を拒否しているため、輸送ができないということも聞いております。首都圏の美術展では、湿度や温度など作品の保管にかかわる停電の心配、計画停電とか言われておりました。
文化庁は、このような
状況をもちろんきっちりと
把握されていると思いますけれ
ども、今後に向けて、我が国への美術品輸送停止を通達したフランス政府の美術館総局などに対して、もう二カ月たっております、この輸送停止の解除とか、そのようなことを申請したり、あるいは、もう今、日本は大丈夫なんだよというような発信をしていらっしゃるのかどうかを、ちょっと
伺いたいと思います。
〔
松宮委員長代理退席、
委員長着席〕