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下村委員 私は四月一日、二日に気仙沼と南三陸に視察に行ったんですが、これは、マスコミでもかなり報道されていて、地元の町長さんや市長さんもよくメディアにも出ておられたそういう典型的な、本当に厳しい被災現場を私も見ました。行ったとき、後で宮城県の西村前代議士から連絡がありまして、同じ宮城でも、実は、マスコミには全く報道されていないけれ
ども、今回、もっと大変な被災
地域がある、その中の
一つとして山元町というところがあると。
これはなぜ報道されないかというと、福島県境で、放射能を恐れてマスコミが全く入ってこない。それから、この町は海岸線で、津波で半分以上をやられてしまって、とても一般の人やボランティアが入って復旧
復興活動をできるような
状況ではないということで、私がそこに行ったのが四月十五日だったんですが、自衛隊の
方々が来られて復旧
復興活動をしているんです。
これは、今御
指摘があったように、三月十一日のもうその日の午後八時に、全国から、それぞれの駐屯地から自衛隊の人
たちが現地に向かっているんです。三十五部隊、千百人の方がこの山元町だけに来ておりまして、エリアを分けて、そして行方不明者の捜索や瓦れき処理や、あるいは道路の整備等々、本当に、普通の人が行ってもとてもできないようなことをやっている。なおかつ、全員が結集したのが、三月十二日の夜中の二時にはもう現地に入っている。これは
政府から要請があったわけじゃない、それから地元から要請があったわけじゃなくて、自主的に入っていったんです。
驚いたことに、四月十五日ですからもう一カ月以上たっているんですが、いまだにその三月十一日に現地に入った人
たちが復旧活動をしているんです。途中でかわったわけじゃないんですね。
なおかつ、自衛隊の
方々の話を聞くと、
自分たちが避難されている
方々よりも恵まれた環境では申しわけないと。何が申しわけないのかわからないんですが、つまり、近くの駐屯地の近くに野営をして、そこにテントを張って、そして寝袋で生活をしている。そして自衛隊の
方々は、ほかの
地域では炊き出しとか手伝っている
地域も相当ありましたが、ここの人
たちは、みずからについては、炊き出しもしないで冷たい缶詰を食しながら、本当に、避難民の
方々よりももっと厳しい環境の中で黙々と一カ月以上も活動をしている。
まだ処理が終わっていませんでしたから、これからもいつ
自分の駐屯地に戻れるかわからないけれ
ども、しかししっかり対応をしたい、こういうことを言っていまして、余り
日本のマスコミはこういうことを報道しませんが、本当に頭の下がる
思いを私自身も実感をいたしました。
そして、きょうは、自衛隊についてどういう記述をしているかということについて、新しい教科書がいよいよ採択されることになりました。来年四月から中学校の、特にきょうは、公民の教科書で自衛隊記述についてどんな記述をしているかということで一覧表をつくってまいりましたので、資料をごらんになっていただきたいと
思います。
今、公民の教科書は、旧教科書、前からある教科書会社が五社、それから、今回新しく参入した教科書会社が二社、全部で七社あります。この中で
東京書籍というのが、シェアが六〇%から七〇%で圧倒的にシェアの高い教科書会社、特に、東北地方では一〇〇%に近い会社でありますけれ
ども、この
東京書籍が新しい教科書の中で自衛隊についてどういう記述をしているかということなんです。
資料がたくさんありますので、これを全部読んでいると時間がなくなってしまいますので、私は、特に、憲法九条に
関係してそれぞれの教科書会社がどんな記述をしているかということでアンダーラインを引きましたので、そこをちょっとごらんになっていただきたいと
思います。
東京書籍の三十八ページ、自衛隊について
政府の解釈が書いてあって、その後、「しかし、平和と安全を守るためであっても、武器を持たないというのが
日本国憲法の立場ではなかったのかという
意見もあります。」それから三十九ページで、これは「これからの平和」という項目の中ですが、「一方で、このような自衛隊の任務の拡大は、
世界平和と軍縮を率先してうったえるべき
日本の立場にふさわしくないという声もあります。」
それから、次が
日本文教出版、これは七十一ページのところなんですが、「これに対して、第九条は武力によらない自衛権だけを認めているのだから、自衛隊は憲法に違反しているとか、自衛隊の装備は自衛のための最小限の実力をこえている、といった
意見があります。」という記述があります。
それから次のページ、教育出版です。これは六十六ページから六十七ページのところなんですが、「ただ、
国民のなかには、自衛隊の海外派遣や装備の拡張が、自衛隊の本来の目的を越えているのではないかという
意見もあります。」
それから帝国書院です。「しかし、戦争の放棄と戦力の不保持、交戦権の否認を定めた憲法第九条、そして平和主義に反するのではないかという
議論は、冷戦終結後の今日も続いています。」それから、次の三枚目です。同じ帝国書院ですが、「また自衛隊は、災害派遣などでも活躍しています。」
それから、次が清水書院。「それに対して、いっぽうで、自衛隊は憲法に違反するという判例や学説があり、また自衛隊の縮小を唱える
意見がある。他方で、憲法第九条を改正しようという主張も根づよく、
議論がつづいている。」
ここまでが旧来の旧五社の教科書の記述です。
次からが、今度新しく参入した教科書会社の憲法九条に
関係するところのアンダーライン、
一つは自由社です。「しかし、
世界的にも有数な実力を備えた自衛隊を「戦力に至らない」とする
政府の憲法解釈には批判も多く、憲法改正を行って自衛隊の保有を宣言し、自衛隊をわが国の軍隊として位置づけるべきだという主張もあります。」同じただし書きでも、全く逆の立場で書いてあるんですね。
それから、次が育鵬社ですけれ
ども、「また災害時の救助活動などの面でも
国民から大きく
期待されています。」ということと、それから、「自衛隊の海外派遣については今でも懸念の声がある一方、国際平和や
協力活動のために積極的に海外で活動できるよう
法律を整備することも
議論されています。」
これが以上なんですが、つまり、今回の七社の教科書会社を調べたら、本文の中で災害救援活動に触れている教科書というのは二社しかない、そのうち一行か二行しか書かれていないというのが今回の問題として私はあると
思います。
それからもう
一つは、自衛隊に対する評価というのは、旧教科書五社とそれから新教科書二社で全く違うような表現が、特に九条を
中心としてとられているということでありますが、とりあえずここまでで、
高木大臣としての御感想をお聞きしたいと
思います。