○平(将)
委員 この間、私が具体的に
指摘をさせてもらいましたから、金融庁の
答弁も微妙にやり方を変えてきているんだと思いますが、グレーゾーン金利、上限金利を制限しました。そこには二十兆円ぐらいのマーケットがあったわけです。それを、大体七割八割は正常に回っているのに、多重債務者の問題で全部を禁止してしまいました。では、その二十兆は一体どこに行ったんですかという
問題意識を持てば、今のような答えにはなりません。
さらには、今、副
大臣、多重債務者が減ったと。それは当たり前ですよ、借りないように
仕組みをつくったんだから。でも、貸金業者から借りられなくて、二社目がやみ金だったら、これは多重債務者の数字には出てまいりません。
報道等を見ると、金融庁が制度見直し不要だと言った一番の理由は、
一つは、自殺者が減りましたと。確かに、多重債務で自殺をする、これは
社会問題ですから、政治が手を差し伸べる、必要な政策を打つのは当然のことです。自殺者が減ったんですよというのが
一つの論拠でありました。
二つ目は、お金が借りられなくなって、やみ金に行った人が減りましたということを金融庁は言っていたわけですね。インターネットで調べましたけれ
ども、産経新聞などでも、金融庁は制度の見直しは不要だと。その中で言っていることは、やみ金に手を出した人は減っているじゃないかという数字を挙げています。これは、産経新聞が挙げている以上は、多分そういうことを積極的に金融庁の方で
発表したんだと思います。
配付資料をごらんいただきたいと思います。別にけんかをするつもりはありませんので、よく見ていただいて御
判断をいただきたいと思うんですが、
皆さんに配付をしている
資料の五ページを見ていただきたいと思います。
五ページの赤枠で囲ったところ、これが、金融庁の貸金業利用者に関する
調査結果の概要として、要は、希望どおりお金が借りられませんでした、それでどうしましたかという問いに対して、二番の一番下の赤い四角、やみ金から借りましたという人が、二十二年の三月では三・〇%。しかしながら、二十二年の六月に貸金業法を完全施行した。そうしたら、二十二年の十一月に調べてみたら、何と〇・三%、劇的に減りました。そして、その五カ月後に調べたときは二・一%と、ふえてはいますけれ
ども、その前の三・〇%に比べたら減っていますね、そういう
説明をしていたんですね。
私もそういう
説明を受けましたから、ああ、そうか、では、このもとになったアンケート用紙を持ってこいというお話をさせていただきました。それで、もとになったアンケート用紙を持ってきました。
では、解説をさせていただきます。
この三・〇%の問いは、二十二年の三月に実施をしていますけれ
ども、過去三年間の間でやみ金に行った人はどのぐらいいますかと聞いているんですね。二十二年の十一月実施のアンケートは、二十二年の六月に
法律を完全施行した後、やみ金に行った人は何%いるんですかと。六月完全施行ですから、わずか五カ月後ですから、
調査なんかしているのは三、四カ月ですね。その間にやみ金から借り入れをした人は何%いるんですかと。二十三年四月実施、これも、二十二年の六月、完全施行後にやみ金に手を出した人は、借りた人は何%いるんですかということですね。
これをぱっと出されて、時系列で見たら、おお、減っているじゃないかというけれ
ども、
質問の内容が違うじゃないですか。三年間と三カ月と五カ月を横に並べて、はい、減りましたと。私は、これはひどいんじゃないかと思いますよ。私が
資料を取り寄せなかったらだれもわからないですよ。
ですから、こういうことはちゃんとやりましょうよ。この見方は、三年間の間で三・〇なんです。三年間から、さらにわずか三、四カ月で三・三になったんですよ。さらにそこからわずか五カ月で五・一になったという見方をしなければいけないんです。それと、今、副
大臣は多重債務者は減ったと言ったけれ
ども、それは借りられないんだから。二社目がやみ金なら、多重債務者の数値には出てきません。
ちなみに、後ろに
資料の設問がついていますので、見ていただければと思います。
そして、九ページを見ていただきたいと思いますが、
警察も、いやいや、多重債務者の自殺者が減ったんだからいいじゃないですか、この
法律はきいているんですよと言っています。では、その
資料を全部持ってこいということでいただいたのが、この九ページの
資料です。
真ん中辺、経済・生活問題というところに多重債務ということがあります。
平成十九年は千九百七十三人いましたが、二十二年には六百七十人減って一千三百六になりましたと。これは確かにいいことだと思います。
しかしながら、先ほ
ども言ったように、法改正をして、多重債務自体ができないんですよ。多重債務ができないから、二社目は借りられないからやみ金に行ったら、それはデータは出てきません。行き詰まっちゃえばそこで終わりです。親から借りて親との
関係も悪くなるかもしれない、夫婦の
関係も悪くなるかもしれない、職場でお金を借りてトラブルになるかもしれません。
ですから、多重債務者だけが減りましたといったら、我々、ぐうの音も出ないんですよ。自殺者が減ったといえば、それはいいことだと。しかしながら、これを見ていただけば、その一個上、生活苦は五百人ふえています。一番上、親子
関係は百七十人ふえています。夫婦
関係も二百二十人ふえています。下の、職場の
関係も七十三人ふえています。
ということは、この多重債務者の自殺が減ったということは、かなり論拠としては弱い。だから、ふえたとは言いません、ふえたとは言いませんが、当然、
法律がやれば多重債務者というカテゴリーには入らなくなるんだけれ
ども、それが周辺ににじみ出て、結果として決して減っていることにはならないんだと私は思います。
そういうことを踏まえて、我々の視点は、多重債務者もしくは本当に困っている人たちには手を差し伸べなければいけないと思います。しかしながら、経済活動を、過度の規制を加えてマーケットを壊してしまう、ゆがめてしまう、これは私は理屈が違うんだと思います。
私は、金融庁は、
厚生労働省じゃないんですから、やはり問題を直視して、本当に多重債務者とその周辺の人たちを助けるための政策はどうあるべきで、本来の金融のマーケットはどうあるべきかという
議論をするべきなんだと思います。
それで、一ページを見ていただきたいと思いますが、実は、超党派で貸金業法改正の
影響と対策の勉強会というのをつくらせていただきまして、やっております。これは、民主党は、衆議院では樽床さんとか田村さんが入っています。参議院では大久保さんや藤末さんが入っています。公明党は、遠山さんとかも入っています。賛同者が五、六十名います。
ちょっと提言について触れさせていただきたいと思いますが、上限金利というのをぎゅうぎゅう押し込める、貸さない親切がありますねということでやるんだけれ
ども、私はこれは全くナンセンスだと思います。
率で見ると大きいですけれ
ども、実は、少額で短期でお金を借りる人ほど、金利が高くなければ借りられないんです。ですから、お金に困ったことのない人たちが頭で
考えて、金利が高いのはけしからぬと言うけれ
ども、それを抑えることによって、少額、短期のお金が供給されない。さらに言えば、大きな金額でいえば、大きなお世話ですよ、国が何%でやれなんというのは。ということから
考えても、上限金利は国際標準並みに緩和をすべきだと私は思います。
二つ目、総量規制、これはもう世界に類を見ません。
国民全体を準禁治産者扱いにするような
法律です。この総量規制、なぜ所得の三分の一なんですかという問いをしたら、大体モデルの平均収入はこのぐらいありますね、そうするとキャッシュフローでこのぐらいは返せますね、そのモデルのアベレージの数字自体が上限になっているんですよ。それを上回ると
法律違反です。これも本当に大きなお世話ですね。
これは全会一致で賛成をした
法律ですから、全員に
責任があると思いますが、この上限金利、総量規制、これだけぎゅうぎゅうやってきて、でも、多重債務者が救われたからいいじゃないかと言っているけれ
ども、実際どうも救われていないように見える。これはそろそろ、副
大臣、金融庁として、やはりあのときは間違っていたと、
与謝野先生もあのときは推進派でしたけれ
ども、問題直視をして
対応すべきだと思いますけれ
ども、いかがでしょうか。
〔大島(敦)
委員長代理退席、
委員長着席〕