○菅原
参考人 JA
宮城中央会副
会長を仰せつかっております、ちょうど三年前の
岩手・
宮城内陸
地震の震源地でもありました栗原の栗っこ農協の組合長の菅原章夫と申します。どうぞよろしく
お願い申し上げます。
きょうは、
先生方には大変お疲れのところだと思いますが、よろしく
お願い申し上げます。
まずもって、今回、このような
震災からの
復興に関し現場の
意見を聞く
機会を与えていただいたことにつきましては、心から感謝を申し上げる次第であります。
被災地の
現状と国に対する要望等を申し上げさせていただきますので、ぜひお取り上げをいただきまして、政策反映いたしますように
お願いをいたしたいと思います。
さて、三月十一日の
東日本大震災でありますが、
宮城県は、九千人を超す犠牲者、さらには五千人を超すいまだ行方不明の
方々がおられますし、三万人を超える
避難所
生活をしていられる
方々がいるというような
現状でございます。
そういった中での
農業の生産基盤につきましては、まさに未曾有の
被害を及ぼしまして、現在に至っても、特に
津波被害を受けた
地域におきましては、
復興どころか復旧さえもままならないというのが実態であります。
五月二十三日現在の
農業、畜産関連
被害額につきましては約四千八百億円に上り、このうち
津波被害額は約四千六百億円と、その九六%を占めております。
その主なものは、揚排水機場の損壊、農地の浸水等の
被害額が約三千六百億円。それから、東北一を誇るイチゴ団地、今百町歩ほどの団地があるわけでありますが、その九割が壊滅をしておりますけれ
ども、そういったイチゴを含む園芸施設、乾燥施設、
農業倉庫等の損壊等の
被害が約三百十五億円、トラクター、コンバイン、田植え機、乾燥機等の
農業用資材
被害が約一万四千台で四百三十五億円、農作物の
被害額が約六十六億円というふうになっております。
津波による農地の流失、冠水面積は、国の発表によりますと沿岸部の八市六町で一万五千ヘクタールに上り、本県全耕地面積の一〇%を超えるというふうな中身であります。
このうち、作付不能水田につきましては約一万ヘクタールに上ると見られておりまして、県内あるいは
県外におきましても、その補てんをする、要するに少しでもその
支援策となり得るような手段として、JAグループといたしましては、内陸部でその面積を少しでも肩がわりして、共
補償で
支援をしようという取り組みを今しているところであります。
また、その一方、
津波等による浸水がないにもかかわらず、下流域の二次災害防止等の観点で水稲作付を自粛せざるを得ない面積が約六百五十ヘクタールであります。これは当然、水田に水を引いて排水をするわけでありますから、排水をする際に、排水の堀がまだ瓦れきなり泥等に埋まったまま、それから、なおかつ排水機関場は全部壊滅状態でありますから、そういった環境を踏まえて作付できないという面積であります。
なお、先ほど
岩手の長澤
会長からも話がありましたけれ
ども、三月十一日と四月七日の余震、特に内陸部ではこれまでにないような激震でありますから、かなりの
農業用資材なりあるいは農地、そういったものが大変な
被害を受けているというのもそのとおりであります。特にパイプラインの地点につきましては、作付できるかどうかというのも非常に危ぶまれたわけでありますが、これは国の計らいでかなり早急にやっていただきまして、何とか田植えにこぎつけることができました。大変本当にありがとうございます。
こういった甚大な
被害をこうむった
宮城でありますけれ
ども、
農業県としてやはり何としても、
農業の
復興なくして
地域の
復興はない、つまりは、
農業の
復興がなければ
宮城そのものの
復興はあり得ない、こういう気構えを持ちながら、我々
農業団体もいろいろな形で、
地震でみずから大きな傷を持っている中で沿岸部に対して継続的な
支援策を今持続しております。
当然、これは長引くわけでありますから、こういったことを踏まえて今いろいろな
支援策を出しているところでありますが、しかしながら、我々
農業団体の力だけではどうにもならない
部分がこの未曾有の
大震災においては数多くございます。先ほ
ども、いろいろ各
会長さん方から
お話があったとおりでありますが、ぜひこれは、国のお力添えを得て、
復興に我々も一生懸命頑張っていきたいというふうに考えておりますので、よろしく
お願いいたします。
なお、大きく六点について御要望を申し上げますので、よろしく
お願い申し上げます。
まず一点目は、当面の
被災農家の収入確保対策であります。
これは、
津波によって
被災農家は一瞬のうちに
生活手段あるいは生産手段のすべてを失ってしまったわけでありますから、その収入の道も閉ざされております。現在行われつつある
農業関連の災害復旧事業や公共事業において優先的に
被災農家を雇用していただくように、国の強い指導を
お願いいたします。
なお、第一次補正予算で実施される水
産業の漁場復旧対策
支援事業のような、要するに、一日当たり一万二千百円の支払いといった日当方式、これは非常にわかりやすい方式でありますが、ぜひ、そういった方式も
農業者の方に創設をしていただきたいというふうに要望したいと思います。
二点目は、国からの
復興への明確なメッセージを早く出していただきたいということであります。
震災によって営農手段を失った
被災農家は、営農意欲を徐々に失いつつあることが今一番心配されております。何としても将来の希望と
農業復興のためのグランドデザインを、
工程表をもって国等行政が早急に示していただきたい。いつまでにここの農地がこんなふうに
再生をされるといった見通しがはっきりすれば、
被災農家も現在の厳しい
状況に耐えて、営農意欲を持続できるというふうに確信をしております。
三点目は、国による
農家負債の整理の
支援でございます。
被災農家が
農業経営を再開するに当たっては、新たな負債が発生し、
震災前に負債を有する場合に、要するに、借金に借金を重ねる、こういった二重債務になってしまいます。そうなれば、
農業経営の再開が当然できかねるというような事態にもなっておりますので、ひとつ
農業に関連する
震災前の負債につきましては、国による債務の買い上げや超長期的な返済棚上げなど、
被災農家に対する債務の整理をぜひ行ってほしいと思います。二重債務問題を放置すれば、
被災農家の離農につながるばかりではなくて、債務者の自己破産や金融機関の債権放棄により
地域金融機関の経営に大きな影響を及ぼしかねないので、よろしく対応を
お願いいたします。
さらに、
被災農家には土地改良事業の償還残金を有する者が多数おります。
津波被災地域の償還金残高は概算で二十二億円ともなっておりまして、これから償還がなかなかできかねる、そういうふうな状態でございますので、何とかして全額免除措置を講じていただきたいというふうに
お願い申し上げます。
四点目は、農地等
農業生産基盤の早期の復旧です。
農地等が日に日に復旧していく姿を見ることが、
農家の営農意欲を高めることにつながります。そのため、国の責任において、農地の瓦れきや堆積土砂の撤去、塩分除去等の処理及び用排水場、用排水路の復旧措置を速やかに講じてほしいというふうに思います。特に農地については、地盤沈下や堤防の損壊により、今後とも農地として
再生が可能なのか懸念されるところでもあります。
再生可能な農地と不可能な農地の線引きを早期に行い、
再生が不可能な農地につきましては、国が一たん買い上げして、土地利用計画において緑地や公園等の公共用地として活用するなどの措置を行うことを
お願いしたいと思いますし、
再生可能な農地につきましては、将来の担い手への集積等も見据え、
農家の合意のもと、必要に応じては国による買い上げ、貸し付けなどの
支援措置も講じていただきたいというふうに思います。
五点目は、
農業機械等生産財の整備に関してであります。
第一次の補正予算によって
東日本大震災農業生産対策交付金が措置され、生産財の整備ができるようになりましたが、基本的に個人は対象となっておりません。面積要件があるなど、ハードルが高い内容となっております。利用できないというような現場の声が今かなり出ておりますので、せっかくの措置でありますから、生産現場が
実情を踏まえてそういったことをできるだけ活用できるように、要件の緩和をぜひ
お願いしたいと思います。このほかの補助事業につきましても、こうした緊急時でありますので、できるだけ手続の簡素化を
お願いいたします。
六点目は、将来希望が持てるような、安心して営農が継続できるような
農業政策の確立をぜひ
お願いしたいという点であります。
せっかく設備の投資を行い営農再開しても、再度
津波等の
被害が懸念されたり、
原発事故の
被害が及ぶ、あるいはTPPにより外国
農産物に国内市場を奪われてしまい、営農継続できない
状況になるのでは、安心して営農再開できないことになりますので、ぜひこういったことも
お願い申し上げたいと思います。
原発事故の早期
収束と、TPPへは参加しないという明確な表明をぜひ
お願いいたします。
以上、要望事項を申し上げましたが、ぜひ実現いただきますように
お願いを申し上げまして、私からの陳述とさせていただきます。
大変ありがとうございました。(
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