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片山国務大臣 安住国対委員長の
発言を私も直接伺っておりませんので、特にコメントをこれについて申し上げることは差し控えたいとは思うんですが、せっかくの御
質問でありますから、多少思うところを述べさせていただきますと、私も
知事をやっておりまして、ちょうどそのころ、二〇〇〇年の十月ですけれども、マグニチュード七・三という大きな
地震に見舞われまして、当時、本当に無我夢中で、
全力で
復旧と
復興に当たりました。そのころ、国からといいますか、
閣僚から
批判されるようなことはありませんでしたので、もしそのときに、何もやっていないじゃないかとか何か
批判をされたら多分むかっときたと
思いますけれども、そういうことは幸いありませんでした。
このたびの
東日本大震災に関連して、
松本前
復興担当大臣の
発言、それから今取り上げられました
安住国対委員長の
発言が伝えられておりますけれども、私も、
表現の問題はやはりもっと気をつけていただきたいと
思います。ただ、お二人とも、やはり何がしかのもどかしさといいますか、そういうものを恐らく感じておられるんだろうということを拝察いたします。
今回の
地震で、この
国会でもそうでありますけれども、いろいろなことで
政府が
批判されてきております。
対応が遅い、何もやっていないじゃないかということで
批判されておりますけれども、その中でよく取り上げられるもので、
瓦れきの問題、最近は少なくなりましたけれども
避難所の
生活環境の問題、
仮設住宅の建設の問題、最近では
仮設住宅に入っておられる
方々へのいろいろな意味での
ケアの問題、それから義援金の配分が遅いという問題、こういうことが四大話のようによく
議論になっておりますけれども、実はこれは、私などのようにずっと
地方行政に携わってきた者から見ますと、すべて
自治体の
責務であります。もちろん、あれだけの大量の
瓦れきをすべて
原則どおり市町村で
処理すべしということは無理であります。
そこで、
瓦れきの場合ですと、一義的には
市町村の
責務でありますけれども、
広域自治体である県がそれをカバーする。今回の場合は県が
相当力を発揮するということが想定されます。それでもできないときに国がそれを応援する。もちろん、
財政面では国が全面的に
支援をしますけれども、
技術面でありますとか実動の面でも、本来は
市町村、その次は県、だけれども、それで賄えない場合は国が
対応する。これを
補完性の原理というわけでありまして、今、
坂本議員が
役割分担が重要だと言われたのはまさにそのことであります。
避難所も、被災された
住民の
皆さんと直接向き合うわけですから、これこそ
市町村の本来の
仕事であります。国が
一つ一つの
避難所で一人一人の
避難者の
皆さんに向き合うことはできません。国ができるのは
財政面での
支援、
災害救助法による
支援を行っております。それからあと、国は、いろいろな箇所での
災害に
対応してきた
経験がありますので、
避難所でこんなことに気をつけてください、こんなことにも配慮してくださいということを注意喚起する、場合によっては人員も派遣する、こういう
役割でありますが、第一義的には
市町村でありまして、それを
地域的に補完するのは県の
役割であります。
そういうことなんですけれども、この間の
議論は、国が悪いというような
議論にほとんど終始しておりまして、国は何もやっていないじゃないかというような
議論がありまして、私も実は、いささかバランスを欠いているなという感じは持っております。そういうものが、直接的といいますか、そういうもどかしさが、
表現がつたなくと言うと大変お二人には失礼でありますけれども、口をついて出たのではないかと思っております。
私も実は、
被災者生活支援チームの一員として、また最近では
被災地支援連絡会議のメンバーとして、週二回、
内閣府の方で関連の
担当大臣とか職員の
皆さんといろいろなことを協議したり
処理したりしているんですけれども、そういう中で、私の
知事の
経験としても、明らかにこれは県の
仕事だということがなかなかなされていなくて、それが国の方にダイレクトに
批判で来るということはしょっちゅうあります。
そういう場合に、私の場合はどうしているかというと、直接
知事に話をして、こういう問題があるから、ぜひこれは
知事さんの方で県の
担当部局の方におろして
処理してくださいということをお願いして、わかりましたということで
処理をしていただいたりしたこともあります。
それから、例えば最近の
ケースでいいますと、
仮設住宅のいろいろな問題が今出ておりまして、なかなか
自治体の方で、
現地で気がつかない問題もあります。
むしろ国の方から、例えば
仮設住宅で
孤立化を防ぐためにいろいろ、見回りでありますとか、
それなりの
ケアをしてくださいよとか、それからメンタル
ケアについても努めてくださいよとか、
にわかづくりでつくっていますから、雨漏りだとか建具のふぐあいだとかいろいろありますから、そういうものもこれからちゃんとメンテナンスするようにしてくださいねと。
これは全部実は本当は地元でやらなきゃいけないことなんですけれども、国の方からいわば注意喚起的に
要請をしたりします。その際に、なかなか県の方で
担当者が決まっていないというような
ケースもありますので、こちらからしつこく、県の方の
担当者をちゃんと決めてください、
市町村の
仕事かもしれないけれども、国もこれだけ一生懸命やっているんだから、県の方も
担当部局を決めてくださいということを
要請したりしております。
ですから、私にも実はもどかしさはあるのであります。
表現の仕方がお二人とは違って、個別具体的にやっているということなんですけれども、実は通底するものはあるように私も感じております。
それはそれとしながら、しかし、この際、現場の
市町村に本当に
全力を挙げて頑張っていただかなきゃいけないし、それを補完して県としても
全力を挙げていただかなきゃいけない。国も全面的に
支援をいたしますから、三者がそれぞれ
役割分担をしながら、よく連携をとりながらやっていかなきゃいけない。そういうときには、やはりそれぞれができるだけ気を悪くしないように、お互いが前を向いて協力できるような、そういう
環境なりを醸し出さなきゃいけないと努めているところでございます。