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赤澤委員 數土
委員長は、四月十二日の
就任会見において記者から、残念ながら、前の
委員長は、
会長選出をめぐって混迷をもたらし、そして退かれたわけですけれども、その座につかれた方として、
会長選びの混迷はどのように受けとめているかという
質問をされたときに、「
経営委員会や
監査委員会でも報告を出しており、私が関与、あるいは
説明を受けたこともないのでノーコメントが適切であろう。」、こうお答えになったと
NHKのホームページで紹介をされています。
私は、そもそもここから少々おかしいなと思ってきたわけです。つまり、いわば前任者の失敗について
説明を受けたこともないと発言をし、コメントもしないというのでは、前任者の失敗の教訓が生かされないのではないかと不安になったのは私だけではないんだと思うんです。新しい
経営委員長が前任者の失敗の教訓を肝に銘じて同じ失敗を繰り返さないこと、これを国民が期待するのは当然のことだと思います。
このことを認識した上で、私は、
就任当時の數土
委員長から、せめて、
経営委員会や
監査委員会の報告などによれば、
会長選出をめぐる混迷の教訓として、少なくともしっかりとした
情報管理、あるいは言いかえれば
経営委員の
情報発信の管理などが必要だ、
委員長である自分を含め
経営委員は責任の重さを自覚し、慎重な発言や
情報発信に努めなければならないと考えるなどという御趣旨の発言をいただいて、国民を安心させていただきたかったというのが率直なところです。
以上を踏まえてさらに
質問を続けますが、新聞に掲載された數土
委員長のインタビューや記者会見について言及をさせていただきます。
就任会見では
委員長御自身が、自分はCEOではない、こういうことを明言されているにもかかわらず、私からすると、もし発信する必要があるとしても、本来
松本会長が口にされるべき内容をかなり頻繁に數土
委員長が口にされているように感じるんです。
例を順次挙げていきたいと思います。
就任から二カ月余り経過した時点の共同通信のインタビューです。
就任直後だからという言いわけはもう通じない時期だと思います。
受信料収入の一〇%
還元について、
還元は公の約束、
受信料の
値下げという形でやらないといけない、よほどの理由がないと変更できないと断言されています。その後のインタビューで、どうなるかわからないとトーンを落とされているわけでありますけれども、私の記憶が正しければ、この一〇%
還元問題について、
執行部のトップである
松本会長が具体的に踏み込んだ発言をされたことはこれまでないと思っています。
執行部のトップであって業務運営に責任を負う
会長が言及しておられない問題を
経営委員長があえて触れる必要があるのかというのは、私は大いに疑問だと思うんです。
もちろん、數土
委員長がさまざまな思いや考えがあって御発言をされていることは
理解をいたします。私にも思いがあります。とはいえ、
NHKの最高意思決定機関である
経営委員会の
委員長が
執行部がまだ
検討中の問題について言及をすることは、やはり
執行部の判断や業務運営にも大きな
影響を及ぼしかねないと思います。
もっとまずい最近の例もあります。先週水曜日、六日の読売新聞だったと思いますけれども、インタビュー記事で、數土
委員長は記者から「番組をインターネットに同時送信すべきか」と問われたときに、お答えはこうでした。「法
改正が必要だが、同時送信しないとだめだろう。その場合、
受信料を投入すべきかどうか。私見だが、
NHKが直接運営するのでなく、中間の会社が広告
収入を得て運営し、
NHKが一定の
収入を得る手法もあるのではないか。」と御発言になっています。
率直に申し上げて、私見であれば発言されない方がよいと思います。
この私見の表明を受けて、翌日の記者会見で
松本会長は、「
NHKは
放送法で広告
収入を得ることはできないし、そういうことを
検討しているわけではない。」と発言をされました。これも、記者会見の内容として
NHKのホームページで公表されています。
要するに、
経営委員長が公にされた私見を
会長が翌日打ち消す、否定するという事態が生じているんです。
NHKそのものの信頼性を損なわないかを懸念される事態と私は
理解いたします。
冒頭の話に戻りますけれども、昨年末からことし初めにかけての
経営委員会による
会長選出の大混乱、これは記憶に新しいところです。この問題は我が自民党も厳しく追及をしてまいりました。その大混乱の原因は、
経営委員会も、
経営委員がマスコミに好き勝手なことを話した、つまり
情報管理の甘さにあったということは認めています。先ほどから
お話があるように、その教訓を生かして、數土
委員長御本人が、先日、
会長選任に当たっての内規を定められたというふうに承知しています。
情報管理は
経営委員長が一元的に行うということでありますけれども、その
経営委員長が言いたい放題と言うと少々恐縮なんですが、私見を含む天真らんまんな御発言を繰り返されるとすると、
会長選出をめぐる混乱と同様の混乱が再び起こらないという自信は私にはありません。
そこで、數土
委員長にお尋ねをしますけれども、
経営委員長の最近のマスコミでの御発言を含め、私は、少なくとも、それを聞いた、見た国民から見て、
経営委員長と
執行部の間にいささか不協和音が生じているように見受けられると思うんです。數土
委員長御自身は、この点についてどのように感じておられますか。