○五十嵐副
大臣 よくぞ聞いていただきまして、ありがとうございます。
まず、個人所得課税からお話をさせていただきたいと思います。
今、子ども手当の所得制限の話がございますけれども、
先ほど申し上げましたように、控除から手当へという考え方を根本に持っておりまして、そして、今までの惰性に流れていたちょっと甘過ぎる部分については思い切って適正化を図らせていただくということで、いわゆる高給の方々にばらまく必要はないじゃないかということに対して、むしろ控除を縮減した方が実は高所得者には効いてくるのであって、そういう面でバランスをとらせていただいたという思いがございます。
二十二年度では年少扶養控除等を整理させていただきましたけれども、二十三年度
税制についても、給与所得控除に上限を設定させていただきました。これは、青天井の国はほぼ
日本だけという
状況でありまして、高給与の所得に大変甘い
税制になっておりました。
特に、高額な法人役員等の給与については大幅に縮減する方がむしろ適切である、なぜならば、給与所得の中に含まれている部分で、裁量的な経費が使える人たちにまで一般のサラリーマンと同じような給与所得控除を認めるのはどうかという考え方がございます。これは世界じゅうにあって、どこでも上限がある、それがなかったところが逆に問題だということで、ここに手をつけさせていただいて、適正化を図らせていただいた。
そして一方では、特定支出控除について、逆に、中堅以下のサラリーマンの皆さんについて、使いやすくするように
範囲の拡大、自分の勉強のために本を買うとか、あるいはセミナーに出席するとかいうことについて、実額控除の拡大を図らせていただいた。
また、勤続五年以下の法人役員等の退職金についても、これは二分の一課税という大変甘いものですから、これを活用すると、これは例に挙げていいのかどうかわからないわけですけれども、例えば、
一つは渡り鳥と言われる退職官僚の皆さん方ですね、短
期間に働いて、給料は小さくするけれども退職金は厚くするということで、これを悪用して、退職金は二分の一に圧縮されますから、税金を安く済ませるということができていたものを、ここの穴をふさいで、渡り鳥の退職金の収入、そこから税金をちゃんと払っていただくということもこの中に含まれております。
あるいはまた、ちょうどことしは地方の自治体選挙があったわけですけれども、地方自治体の首長の皆さんは、四年
ごとに退職金をもらってそのお金で選挙を戦うということになりますと、何もない新人の皆さんと比べてハンディがプラスについてしまうということなどを考えると、勤続五年以下で退職金をそのたび
ごとにもらってその課税が半分になるというのはいかがなものかということもありまして、勤続五年という線を引かせていただいて、こうした退職金の優遇については限界を、特定といいますか一部の高所得の方々、優遇され過ぎていた方々については考えるということをさせていただきました。
あるいは、成年扶養控除につきましても、成年者は独立して自立するということがやはり本来の姿であろうと思います。そこで、いろいろな事情があるわけですけれども、私どもは、働くことができる方々には働いていただくのが当然で、親御さん、保護者が一定の収入がある場合には、これは控除を縮減するということをさせていただいたわけでございます。
これについても幅広く例外をとりまして、病気の方、あるいは病気も精神的な病気もあると思いますが、そういう方々も、家でひっそりと暮らすというよりも、むしろちゃんと病院へ行っていただいて治療していただく。そして、治療しているということがはっきりすれば控除の対象にするけれども、ただ働かないからといっておうちにおられる、そして親御さんが収入が多いということで働かずにおうちにおられる方々にまで税金を免除するのはいかがかと。事情のある方には皆さん、それから親御さんに資力のない方については控除をきちんと維持しますけれども、そうでない方々については、収入が一定以上ある方々については縮減をさせていただくという適正化を図る。
所得課税についても、そういった面で全体としてバランスをとらせていただいたということでございます。
長くなって恐縮ですけれども、次に、法人課税についてもよろしければ御
説明させていただきます。
課税ベースを拡大しながら、法人実効税率の五%の引き下げ、また、中小法人に対しては軽減税率の三%引き下げを行い、中小法人については一五%というかなりぎりぎりの
水準の法人実効税率にとどめる、そういう改正内容となっております。
また、資産課税については、相続税の再分配機能を回復し、格差の固定化を防止するという観点から一貫して地価の上昇に備えて基礎控除を拡大してまいりましたけれども、ここのところずっと逆に地価が下がってきていたわけですから、その方向での見直しをさせていただいた、そして最高税率の引き上げを含む税率
構造の見直し等の措置も行わせていただきました。
一方、お金を回す、世の中のお金の回りをよくするということが必要で、資産をつくり終えて余裕のある方々にただそのお金を貯金していただくというより、まだまだ使いたい盛りの世代に早く移転をして使っていただく方が景気によい
影響があるだろうということで、贈与税については、高齢者層が保有する資産を現役世代に移転させるということで、子や孫などの受贈者、贈られる側、その場合の贈与税の税率
構造を緩和し、相続時精算課
税制度の対象
範囲を拡大するという措置を講じさせていただきました。
また、一方で課題となっております地球温暖化対策でございますけれども、地球温暖化対策のための税の導入については、広範な分野にわたりエネルギー起源CO2の排出
抑制を図るため、全化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税の仕組みを活用し、石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せする地球温暖化対策のための税を設けることといたしております。
また、国税通則法の抜本改正につきましては、納税者権利憲章の策定、税務調査手続の明確化、法制化、更正の請求
期間の延長等、処分の理由付記の実施を図ることとしておりまして、税理士会の先生方を初め多くの方々からこれは画期的な改正である、また税務当局においても今まではっきりしていなかった部分をはっきりさせていただいた面があるということで、多くの皆様から御評価をいただいている改正案になっていると存じております。
ありがとうございます。
〔鷲尾
委員長代理退席、
委員長着席〕