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山本(幸)
委員 自由民主党の
山本幸三でございます。
このたび、ひょんなことから
理事になりまして、
野党筆頭
理事という重責を担うことになりまして、浅学非才の身でありますが、指名された以上は誠心誠意務めたいと思いますので、よろしくお願いします。
きょうは、
金融機能強化法の
審議でありますが、私は二重
ローン問題というものを取り上げたいと思っております。
この問題を考える上で、いわゆる不良債権問題そのものなんですね。我が国では、九六年の住専
国会から始まって、そして、最終的には九七、八年、金融
国会で不良債権問題の処理について一応の道筋をつけたわけでありますが、その流れがこの
金融機能強化法につながっているわけです。
私は、振り返ってみて、必ずしも日本の不良債権問題というのはすんなりと解決されたわけではないなというふうに思っているんです。それはどうしてかというと、これは非常に難しい要素を含んでおりまして、何かというと、いわゆる
経済合理性と倫理の問題がぶつかるんですね。ここをどう判断し、決断を下すかというのは、これはもう政治家しかできない。そのことがきちっと整理されていないと、本当の問題解決に至らないんですよ。私はそう思っているんです。
これまでの一般
質疑、それからきょうの
審議を聞いていても、どうもまだ皆さん方、
大臣、副
大臣、
政務官等の間ではそこがすっきりしていないなという印象を持っていますので、これをぜひきちっとしたい。
その点について、最終的には両
大臣の判断になるわけでありますので、最後にその辺の判断と決断を聞きます。細かい話で難しい話は両
大臣には聞きませんけれども、その重要なポイントだけはお聞きしますので、ぜひよろしくお願いします。
その前に、少し、細かい技術的な話をちょっと済ませておきたいんですけれども、不良債権問題があったときに、私は、
金融機関の不良債権問題というのは二つの面がある。
一つは、貸し手の
金融機関のバランスシートをよくするということです。これは、今回の
法案もそれですよ。
ところが、それだけでは問題は解決しないんですね。借りている方、
債務者の
企業なり
個人なりのバランスシートをきれいにしてやるということがなければ、幾ら
金融機関だけ助けたって、
経済全体としてはよくならない。不良債権問題というのは、この両者を一緒に解決してやらなければうまくいかないんですね。そのときに
経済合理性と倫理の問題がぶつかるんです。
かつての金融
国会のときに、当時の民主党さんといろいろなやりとりがありまして、最終的に
健全化法案を丸のみして通したわけですね。あのときに
一つだけ通らなかった
法律がありまして、不動産関連
権利等調整法という
法律を出したんですが、それは、不動産担保で
融資していたものを、だめになっちゃったら、
内閣に
委員会をつくってそこで協議して、債権放棄してやろう、そして無税償却も全部自動的に認めるというような
法律だったんです。これが非常な不評でありまして、徳政令ではないかとか、あるいは、裁判所が絡まないでそんなことを行政でやっていいのかというような批判がありまして、実は金融
国会のときに通らなかった
法案がこれ
一つでした。
その後、私は、いや、やはり債権者の
金融機関だけきれいにしたってだめだという問題意識をずっと持っておりまして、
債務者の方を救わなきゃだめだということで、執念を燃やして、次の
国会に、特定調停法という
法律をみずから立案いたしまして、その批判を全部埋めるような形でつくり上げて、最終的には全党の賛成をいただいて通すことができたわけであります。
その基本的な考え方は、当時は、日本の債権
債務関係というのは、
債務者が一〇〇%責任を持つというやり方ですね。借りた金は返さなきゃいけないという原理原則があるということで進んでいます。それが基本的な哲学で日本の法制度はでき上がっている。それに対して、私は、貸し手責任というのもあるじゃないかという問題提起をして、海外の例を調べてみると、確かにそうだと。貸し手が責任を負うところもあるだろうということで、お互いに譲り合うようにしないとうまくいかないよということで、そこで債権放棄ということを出してくるわけですね。
債権放棄をやれと
金融機関に言いますと、
金融機関は二つの理由からちゅうちょいたします。
一つは、勝手に債権放棄をやったということは、利益の機会をなくしたということで、株主代表訴訟を起こされるかもしれないという不安があります。これが
金融機関の
一つの理由。それからもう
一つは、債権放棄したときに、その
部分について無税償却を認めてくれるかどうかという税法上の問題があります。この二つがネックになって、なかなか
金融機関はうんと言わなかったんですね、従来。
これを解決してやろうということで、特定調停法では裁判所でやると。裁判所が絡んでいて公平公正じゃないということはあり得ないということで、株主代表訴訟の心配はない。それから、そのとき国税庁と話をつけて、ほぼ自動的に無税償却を認めるという国税庁、当時の課税部長の
答弁をいただいて、そういう方向で進んできました。
その後、この特定調停法だけじゃなくて、いわゆるADRというものとか債権処理の私的ルールみたいなものが出てきましたけれども、私は、基本的には裁判所を絡めるのが一番いいんじゃないかと思っているんですね。
この特定調停法と、あとの民事
再生法とかほかのものはどう違うかというと、民事
再生法とかになると倒産の部類に入っちゃうんだ。特定調停法までが倒産じゃないんだ、合意ベースで話が進むからね。だから、
企業というのは、一回倒産という烙印を押されると、これは将来にわたっていろいろな支障が生じるんですけれども、倒産の形じゃなくて再建する、そこに債権放棄を入れてやれば非常に助かるということであります。
まず法務省に聞きたいんですけれども、私は、今回の災害で、
金融機関も傷つき、あるいは
債務者も傷ついているんですが、そういう場合には、
債務者を救ってやるという
意味で、この特定調停法なり、そのほかの民事
再生法でもいいんですけれども、一番いいのは特定調停法じゃないかと思っていますが、そういうことをやって、どんどん処理をしてやらないと、次の
事業に進めない。そういう点について、新聞等では、裁判所は特別の体制を組んでそれに応じるようにしているということでありますが、その辺の
実情と方針について法務省からお伺いしたいと思います。