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山本(幸)
委員 いや、だから、そういういろいろなことを総合的に
考えるなら、しっかりやりましょうよ、ここで。拙速にこの控除だけやめるなんてばらばらなことをやらないで。それが本当の抜本的な
税制改正ですよ。
それから、もし、そういういろいろなことが行われていて生活費の
考え方が変わってきたというのなら、じゃ、東京都の生活保護の基準とどう調整していくのかというような話がなきゃおかしいですよ。そういうことをやって、調整した上で議論するならいいですよ。それをやらなければ、こんなふうに細切れで控除
制度をいじられたら、たまったものじゃない。
それから、ここは指摘だけにしておきますが、控除が変わることによって、それは子
ども手当をもらうかもしれないけれ
ども、保育料とか
国民健康
保険税とか全部、
所得課税、課税最低限のこれで連携しているんですよ。それは調整しているという話があって、いろいろあるんだけれ
ども。じゃあ、その調整の仕方を見ると、あるところは昔の控除が残ったことにして調整しましょう、あるところは基礎控除だけで
考えましょう、ばらばらだ。そんなことで本当にいいのかと私は思いますね。
そういうことを
考えると、これはもう少し慎重にやらなければいけない、
所得税制度の根幹にかかわる、このことを申し上げておきます。
せっかくですから、もう一つだけ重要な話をしなきゃいけないので次に移りますが、それは納税環境整備の話です。
通則法の改正とかがあって、納税者の便宜のために、権利のためということで、いろいろないわゆる規制が行われる。例えば質問調査のときには、原則、事前通知を必ずしろとか、それから、処分については理由を明記しろと。ある
意味でいうと、納税者の権利保護、透明性の確保という観点からはわかるところもある。しかし、これを決めるのは余りに拙速過ぎる。
というのは、そういう納税者の権利を擁護するということと透明性を確保するということも大事だけれ
ども、もっと大事なことは、しっかり徴収しなきゃいけないということなんですよ、
財務省なり国税庁は。それがなければ税収は上がらないんでしょう。徴収する立場にある職員
たちのことを
考えたことがあるのかというのが今回の提案に対する私の疑問ですよ。これを今すぐに、短兵急に導入したら何が起こるか。
税務署の職員は、今、五万六千人いるんだ。そうすると、大体年間の総事務量というのは計算できて、約千二百万日と計算される。そのうち税務調査でどれぐらい行われているかというと、
経験的に、大体四百万から五百万日程度行われていると言われている。これで、どれだけの税務調査をやっているかというと、法人で四、五%、個人については一%ぐらいだ。だけれ
ども、一罰百戒で、変なことをやったら税務署が来て調査をやられるという気持ちがあるから、みんな、まじめに
申告しましょうかということが起こってくるわけですよ。
このバランスをとらない限り、納税者のためだけにそんなことをやったら、
財務省の機能はどうなるんですか。これで、例えば、処分については理由付記を全部やれとか、あるいは事前通知をやれとか、そういう準備が要る。そうすると、大体一件当たり二、三日、事務量がふえるとされる。そうすると、私の計算によれば、今行われている調査は三割ぐらい減らさざるを得ない。
これは、職員の数にこの
部分を計算し直すと、六千人分ぐらいふやさないと今の調査水準は維持できないというレベルになるんですよ。そんなことでいいんですか。
今、現場の税務署の職員は、来年一月からなんていうと、そんな、どうしていいかわからない、萎縮しちゃっていますよ。組合の方からも
意見を聞いた。あなた方の
意見は聞かれたことはあるかと。いや、何も聞かれていない、ちゃんと仕事ができるか心配でしようがないと言っていますよ。
財務大臣とか副
大臣は、ほかの人は納税者にとったらいいじゃないかと言うかもしれないけれ
ども、この苦しい仕事をしている税務職員のことを
考えてやるのがあなた方の仕事なんだ、ほかの人に嫌がられても。これは大事なことなんですよ。だから、私は、少なくともこれは
考え直さないかぬ。余りに権利擁護ばかりに走り過ぎている。
しかも、本当は両論併記だったものをあっという間に一つの
意見にとられた。大体、今まで、事前通知の問題とか理由付記の問題というのは、最高裁の判例があって確定しているんですよ。しかも、行政手続法の例外になっているんだ、この税務署の手続は。それは、やはり税を徴収するということについての特別の事情があるからということを十分行政手続法上も認められ、そして最高裁も認めて、判例が確定しているんですよ。
理由付記なんて、訴訟の前にはみんな必ず理由は出さなきゃいけないようになっているんだから、何の問題もないんだ。だけれ
ども、これを全部、処分に理由付記なんてやられたら、税務署の職員の仕事はそれだけに追われちゃうわけですよ。できませんよ。調査なんてほとんどできない税務署になっちゃう。それでいいんですか、
大臣。