○村田
委員 ところで、
災害のために国会がちょっと休戦になりまして、きょうはその後の初めての
財務委員会でありますので、
災害のことについていろいろ私の経験から申し上げたいというふうに思います。
私が、六年前ですか、防災
担当大臣に就任したときは、翌日に大きな台風が来まして、それで、私は二日目に、伊勢市へ
政府の視察団を連れてヘリコプターで飛んだんです。だから、そういう
状況でございましたから、私は自衛隊のヘリコプターの中で、もう本当に音がやかましくて
説明なんか全く聞こえない中、メモで、
災害救助法についてと
災害対策基本法について、これはどういうことなんだということを教えていただいたのを記憶するんです。
その後、中越
地震があり、それからスマトラのあの大
津波もあって、年が明けて、玄界島、福岡のあの
地震があって、最後は、選挙中に宮崎県でまた台風があって、選挙中に宮崎県の救援に行った。私はそういう一年間を
大臣として過ごしたのでございます。
そういう
災害だらけの一年間という私の体験から、今、発災してから
政府がとっているいろいろな態度を見ると、私も考えるところがいろいろあります。それから、
大臣は直接の担当ではありませんけれども、緊急
災害対策本部のメンバーの一人でありますので、私の今の
政府の
対応について感ずるところをきょうは頭の中に入れていってもらいたいということで、五点ばかり、いっぱいありますけれども、とりあえず五点だけ読んでみたいと思います。
日本は非常に自然
災害が多い国で、我々は
平成七年に、非常に局地的だったけれども、三十万人という大規模の
被災者を出した阪神
大震災というものを経験した。その後、中越は、ちょっと田舎の、過疎、高齢化が進むような地域の、やや中規模の
地震を経験した。それから、今度のものですよね。これは非常に広域的で、かつまた規模も大きい。そして、原発事故というものも重なっている、複合的だと。
だけれども、我々は、いろいろな経験、知見を持っているんです。だから、私は、一つとしては、過去の経験やノウハウが何で継承されていないのかな、そういう印象を深く持っております。
それから二番目は、
政府・与党の
会議がちょっと多過ぎるんじゃないかというふうに思うんです。
緊急
災害対策本部、原子力
災害対策本部、これはしようがないでしょう。その他に、電力需給の関係から、
経済情勢に関する検討会合とか、
政府と東京電力の統合連絡本部とか、それでまた、本来ならば、緊急
災害対策本部の中でスムーズに事が運べば不要な、
被災者生活支援特別対策本部というのができた。これでは、だれが何の指揮をとって、だれが責任者か、全くわからなくなっているんじゃないかな、私ども、はたで見ていてそういうふうに思います。これが二点目です。
それから三点目は、「日曜討論」を見ていて、ちょっと私も、今さら何てことを言うのかなというふうに思って見詰めた、唖然としたわけですけれども、平野
内閣府副
大臣が、役人が、上に相談して、一々御注進とか相談に来ないで、現場
対応をもっともっと積極的にやって、どんどん解決していってもらいたい、こういう発言をしておられました。現場で即決、
対応してもらいたいということを言っていたんですよね。
これは、民主党政権ができて、
皆さん方が脱官僚とか変な政治主導ということを言い募ったから、役人と政治家との間に溝がある、余分なことをしないようなことにしよう、どうもそういう感じになっちゃっているのではないかな、そこから出る問題だから、民主党政権の責任だと私は思うんです。
私のときは、
内閣府の
災害担当の統括官がおりまして、その
もとに全省庁の関係の局長さんが集まる、そこでいろいろな議論をする、それが地方公共団体の方とのつながりを持って、情報が伝わっていく。しかも、主要なことは私は言いましたけれども、その統括官が極めて問題の解決能力を持っておりまして、非常にスムーズに事が運んだというふうに思います。
その当時の統括官と話し合うのでございますけれども、やはり
災害というのは戦争なんですよ。戦争をやっているときに、いろいろな新しいことが次から次へと起こってくるときに、上官に鉄砲を撃っていいでしょうかなんてやっていたら、自分が撃たれちゃうんですよ。今のやり方というのはそういう
状態になっているんじゃないかなということを私は心配しますね。
それから四つ目は、最高司令官は動き過ぎてはいけないということであります。
やはり私も、小泉総理との関係で厳しく言われた。特に宮崎のあの最後の選挙中の
災害のときには、選挙の最中、総理が宮崎に入るということが漏れたんですよ。そうしたら、総理は、ついぞ宮崎に足を踏み入れなかったですね。私には、
災害を選挙に活用してはならないということを厳しく言っていましたね。だから、そういう意味で、私はちょっとおかしいなというふうに思うところがあります。
それから最後は、広報は用件を簡潔に、感情移入は不要。最後は、
被災者に安心を与えるメッセージを送るというのは、これが要諦だと思います。
やはり、かわいそうだ、一生懸命やっているということはもちろんあれなんだけれども、しかし、
被災者は、自分たちが得たい情報というものを簡潔に、短い時間で得たいんです。余分なことは要りません。私は、本当に正しいことを簡潔に淡々と御
説明するという態度が必要じゃないかなというふうに思います。
ところで、今言った五点のうち、一番目に言ったことに戻りますけれども、過去の経験やノウハウが継承されていないのが残念ということなんですが、人材は随分いるんです。
中央防災
会議、開かれたか開かれないか知らないんですけれども、あそこの専門部員も含めて、いっぱい知見を持った人がいますよ。それから、神戸の人と防災未来センターの河田先生ですか、あの先生も非常に知識の豊富な方です。それから、今、相撲の賭博の
委員をされている伊藤先生だって、
災害の大家なんですよ。それから、長岡の市長、これは全国市長会の会長をしていますし、自分も、みずから中越
地震で大変苦労をされた方なんですね。何で、そういう人をまず集めて、発災した次の昼ぐらいに、ばばばばっとやらないかと。
あの阪神
大震災のときにやった人、それから中越のときにやった人、OBになっているかもしれません。現役もいますよ。何で集めないのかというのが私は不思議でならないんです。
東京消防庁にああいう無人で消火できる消防車があるというのは、私自身は知っていましたよ。何であれが出てこないのかなと思って、不思議に思っていましたけれども、やっと出てきたなと私は思った次第であります。
それで、今一番大事なことは、私も、民主党の友人を通じて、こうやれということを裏でアドバイスはさせてもらっているんですが、三十万人強の人が避難所に避難してきた。これはもう無理ですよ。仮設住宅を建てるといったって、私のときは二カ月かかりました。これは特別の雪国仕様、そういう特別な仮設住宅だったんですが、とはいっても絶対数が、三十万人に
対応するような仮設住宅が集まるかどうか。
初代の小里防災
大臣にさっき聞いたのでございますが、あのときは、全国のプレハブメーカーの社長さんを呼び集めて、一々、何ぼできるか、何ぼできるか聞いた上で、外国にも、その発注の可能性、調達の可能性があるかどうか聞いたそうですよ。その二カ月間、待たせるんですか。
私は、やはり今必要なことは大疎開だと思います。「日曜討論」だったか何だかも聞いていたけれども、地元の町長あるいは市長さんが、避難所でコミュニティーができて、人間のつながりができているからこれを壊したくないと言っておられる。私はそうだろうと思うんです。
だけれども、やはりこれから二次
災害でいろいろな意味でストレスもたまる、あるいは
災害弱者は、せっかく
津波から助かったのにこれから命を失う、そういう可能性が出てくるわけでありまして、だから、そういう人たちの命を助けるためには集団疎開しかないと思います。我々の当時の研究でも、大規模な場合には集団疎開しかないと。
それはどうかといったら、遺族が御遺体を捜したいから離れたくないという人たちもいるし、人間関係を崩したくないというので、そこに、地元にいたいという
被災者は、それが当然ですよ。だけれども、
政府が自治体のおさに、いや、それでは
被災者の命を今後一カ月、二カ月守れないから、どうか決意してくれということを説得しなきゃいけないんじゃないかと私は思いますよ。そういうことをやっていますかと。
ずっと聞いてきましたけど、私はもう、すぐ、こんな大規模になったら集団疎開しかないと。そうしたら、
政府が、全国に受け入れてくれ、できたら町ごと引き受けてくれというのを発しなきゃいけない。それで、金は全部
政府が面倒を見るよ、だから、
災害救助法にのった、そういう金を出すから受け入れてくれ、だから食事もやってくれ、そういうことを頼まなきゃいけないんだろうと思います。
いち早く
提案したのは、応じたのは、阪神
大震災の経験のある関西連合でしたね。それから、長岡の市長も、聞いておりましたら、
災害弱者に対しての避難を受け入れるということを言っておられました。さすがに経験者だと僕は思います。
そのときに、一つ
大臣に言っておきたいと思うのは、
災害救助法にも問題があるんです。
本当は、あれは現物主義ですよ。現金はやらないということになっているんです。だけれども、もしあの
法律を改めて、現金を一定の場合にはやるということになったら、民間ではいっぱい賃貸住宅があいているんです、そこにお金をやるからということで入ってもらうという可能性も出てくるんです。
それから今度は、次の段階で、さっき言いましたように、
被災者を受け入れてくれた、発災をしなかったほかの県ですよね、大阪とか新潟とか。そういうところは、
災害救助法では
被災県に求償するということになっているんですよね。なぜそれは、直接国がそっちに払うよということにしないかということも、
財務大臣としては、これからの問題として出てくるんだろうというふうに思います。
あと十分しかなくなりましたので急いでやります。
それから、
財務大臣としては、
災害という事象に財政がどう立ち向かうかということで、これからだんだん苦しむことがあると思います。それは、さっきも言ったけれども、
災害復旧となると、大体はインフラが巨額になるんですね。だけれども、インフラの復旧ということだけじゃなくて、個人の生活再建をどうするかということが本当に大きな問題になると思います。
私が
大臣のときには、当時野党だった民主党の議員の人たちと、
被災者再建支援法について、三百万円しか出さないと言ったら、かわいそうじゃないかといって大分やられまして、私はこう言ったんです。いや、本当に気の毒な人は、三百万円に五百万円もらって、それでうちが建てられる人は本当の弱者じゃないかもしれないと。本当の弱者は、とらの子の老後のお金を持っていて、それを全部使って、
政府から今度は五百万円を出してくれたから、それで八百万円でうちを建て直そうということができない年寄りが一番弱者じゃありませんかということを、私は、そういう答弁でたたかれちゃったんですよね。
だから、公営住宅をもっとコミュニティーの近くに建てるような
措置を考えたらどうかということを言っていたんです。だけれども、
財務大臣として個人補償をどうするかというのは、これから考えていくときに大きな問題になるというふうに思います。
それから二番目は、民主党は、復興庁という考え方があるようです。それから、さっきのだれかの
質問に対しての答弁で、本来ならば
災害というのは
被災を受けた自治体が責任を持ってやって、金銭的な支援を国がやるという建前になっているわけであります。だから、一次的には、
被災自治体が責任を負うという形になるわけですね。
だけれども、復興庁というのは、これは縦割りを一緒にして、それから国主導で復興をやるということですね。そういうときに、中越
地震のころから、やはり地元の意思、町をどうやって復興していこうかという町の住民の意思というのが、そろそろ尊重されるような時代になってきたんです。そこで、その復興庁の構想を考える民主党が、地域主権を唱えてきた立場から、地元の意思をどうやって尊重していくのかということとぶつかり合わなきゃいけない事態が出てくるんじゃないかなというふうに思います。
片山総務
大臣が、鳥取西
地震のときに、
被災者再建支援法だけでは、三百万円じゃ少ないというので、おれたちのところは地方公共団体が金を出さなかったらコミュニティーが壊れると言って、県独自でお金を追加して、それでコミュニティーが壊れるのを守ったんです。そういう意味で、今度は広域的だから、地域がばらばらになるんですよ。だから、それと国でやるということのぶつかり合いというもの、この悩みというものを
財務大臣としてどう解いていくかという、その解答を出さなきゃいかぬと私は思います。
それから三番目は、公共土木施設
災害復旧事業費国庫負担法というのがありまして、これに一番原則が出ておるのでございますが、原形復旧の原則ですよ。だけれども、あれだけひどい
災害が起きると、要するに、もっといい、完璧なものにしたいということが当然起こるわけですね。この原形復旧というものと、プラスアルファにしたいという要望をどうマッチングするかという悩みが、
財務大臣としてはあるだろうと思います。
それから四番目に、長期的視野に立った防災をどう考えるかということです。すなわち、民主党さんで事業仕分けされたスーパー堤防、これをどうするのか。だけれども、一方において、田老町というところでは、あれだけ十何メートルのスーパー堤防をつくったんだけれども、だめだった、無駄だからもうやめようか、その議論があると思うんですよね。
首都圏のスーパー堤防については、蓮舫
大臣がいとも簡単に事業仕分けして
廃止になりましたけれども、もう一度この問題は、これから首都圏、東海、東南海とかそういう問題がある、原発も、一応
津波の堤防はつくったんだけれども低過ぎたということを考えたときに、これからの長期的視野に立ったコンクリートをどう考えていくかということは、
財務大臣としてしっかりとした議論をしなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
最後は、将来の巨大
災害にどう備えるかということです。そのためにも、財政再建は急がなきゃいけない、こういうことじゃないかというふうに思います。
最後に、さっき後藤田
委員の
質問に、これから財源問題を考えるときに、政策の優先度はしっかりと考えると言った。それは
財務大臣としてぎりぎりの答弁で、彼は残念だと言っていましたけれども、私は、
財務大臣としてのイニシアチブを示した一つの答弁であったと高く評価したいというふうに思っております。
ここまで来たら、
財務大臣がやはり党にも言って、民主党のやり方というのは
政府主導なんでしょう。だから、
財務大臣が将来のことを考えてきっちりとしたイニシアチブをとれば、この問題についてはやはり説得をできると思うんですよね。そうすれば、この予算の問題とか関連法案の問題は解決していくと思うんです。
それで、阪神
大震災のときには村山総理で、副総裁が小渕さんだった。小渕さんは、当時の新進党の小沢一郎先生のところに行って頭を下げた、協力してくれと。だけれども、今見ていると、与党の
皆さん方は、自民党に頭を下げるのは嫌がっているような風情が見える。
しかし、そうじゃないんだよ。頭を下げるのは……(発言する者あり)これは違っていますか。これは、自民党に頭を下げるんじゃないんです。あるいは政権維持のために頭を下げるんじゃないんです。
被災者のために、野党に頭を下げるんです。そこをしっかりと頭に置いて、早くいろいろなものを動かしていかなければ、政治の解決能力を全世界から問われる、私はこういうふうに思っております。
それから、最後に一言。べらべらしゃべりましたが、財政健全化目標とか、あれはどうするんですか、あなた方が、中期財政フレームというのは。それはどうするつもりかということを最後に聞いて、私の
質問を終わりたいと思います。