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野田国務大臣 所得税については、累次の改正で、これまで累進
緩和や、あるいは各種控除が
拡大をされるということが傾向としてはずっと続いておりました。
その結果どうなってきているかというと、
所得再分配機能と財源調達機能が低下をしてきているというのが今の実情だと思います。
所得再分配機能が低下をしているということは、要は格差が
拡大をするという中で、果たしてこれでいいのかという根本的な
議論がやはりあると思うんですね。
皆さん若干お疲れのようなので、少し理念的な
お話からいきたいと思うんです。
私は余り原理主義じゃなくて、特定の学説にこだわるタイプではありません。税制改正も、あるいは
予算編成もそうなんですが、今回、かなり格差是正をしていこうと、去年、二十二年度も、二十三年度も。それは、人類が獲得してきた価値、命がけで獲得してきた価値というのは、自由と平等だと思うんです。この自由と平等は、両方しっかり守らなければいけません。
ただし、これは時代状況によって、自由という右足を踏み出すときと、平等という左足を踏み出すときと、やはり二足歩行であって、自由度をきかせたような税制改正をこれまでしたことはありましたよね。だけれども、今度は、
所得再分配機能が低下している中、格差是正が進んでいる中、どういう税制改正をやっていくかというときは、少し平等という左足を踏み出す、そういう機会ではないかなという位置づけのもとで、そういう理念のもとで今回は、今回というか二十二年度から始まっていますが、二十三年度の税制改正においては、これは議員御
指摘のあったいわゆる給与
所得控除、そして成年扶養控除の見直しをさせていただいているということでございまして、給与
所得控除については、上限を設定するとともに、高額な法人役員等の給与に係る給与
所得控除を縮減する。
一方で、法人実効税率の引き下げなんかをやったから、大企業優先、そして個人を泣かせるのかというレッテルの張られ方を割としています。これは大きな間違いであって、法人と個人を二分に分けること
自体がおかしいですね。元気な法人が出てきて個人の生活も豊かになるわけで、これは連携しているはずです。その中で、この見直しの話というのは、さっき言った
所得再分配機能の低下において、いかに格差是正をしていくかということであります。
ということで、給与
所得控除を今回いじった分、何か大衆増税みたいに言われていますが、給与
所得者の大体一・二%が対象ですから、決してそういう批判は当たらないということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思いますし、成年扶養控除についても、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であるということを踏まえながら控除を縮減していますが、これは、心身ともに障害を持っている場合であるとか、六十五歳以上であるとか学生であるとか、確実に就労困難な人たちはその対象から外しておりますので、まさに大衆課税ではないということだけは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。