○
首藤委員 外務大臣、これはぜひ
広報活動を、今、本当に
外交がいろいろな、ある
意味で手が縛られている
状況の中で、
広報というのは自由闊達にできるわけですから、
外務省の
総力を挙げて
広報活動に取り組んでいただきたい。
世界じゅうが見ておりますから、ほんのちょっとやっただけで物すごい
効果を生むので、これは日ごろの
広報に倍加してぜひ注力していただきたいと思います。
こうした
状況の中で、私は本当にショッキングな話を聞いたんですけれ
ども、それは、私
たちの、我が党とも
関係があるのかもしれませんけれ
ども、多くの
政治家の中から、これは
地域から選ばれている
政治家としては当然の判断でございますけれ
ども、被災した人、
被災地の回復にこれだけの
お金もかかる、原発の
状況もよくわからない、こういうところで、例えば、
不要不急の
お金を使わずにそういうところへ回していくべきだ、
予算も組み替えてやるべきだ、それはよくわかります。
しかし、ある
考え方の中には、例えば
ODA予算も減らそうとか、また、
ODAの二割なんといって、もう数値まで入れて二割を出して、それで削れというような話も出ているわけですけれ
ども、まあ、ただの
お話だと思いますけれ
ども、こんなことは絶対に許してはいけない。絶対に許してはいけないことでございます。
外交というものは本当に
継続性があり、しかもこの
ODAというのは本当に
我が国の、
平和国家日本の、
軍事力を持たない、
海外への
軍事的派遣力を持たない
日本の貴重な
ソフトパワーであるわけですね。ですから、言うなれば、これは
日本の
正面防御みたいなものでございますから、何が何でも守っていかなければいけないと私は思うんです。
また、こういうときに、だれが考えたって
日本は大変な苦労をしているだろう、恐らく
国家予算の四分の一ぐらいはもうそれで使っているんだろう、そういうときにも
日本が、しかし、
我が国のような、小さいけれ
ども、
世界の片隅だけれ
ども、苦しんでいるんだけれ
どもそこへきちっと援助してくれたということは、その国にとってどれだけのありがたみを持つかですよね。
日ごろ何もないときに、私が子供のときお父さん、
お母さんからお
小遣いをもらって、お
小遣いをもらったってそんなのすぐ使っちゃうんですけれ
ども、本当に苦しいときに、
お金がないときにもらったお
小遣いというのは、ああ、
お母さんにあのときにもらったなというのを今でも覚えているんですよ。
ですから、やはり
日本がそういうような
状況にあるときにきちっと出してくれたというのはすごくいいと思うんです。言うなれば、
日本の今だんだん少なくなっていく
ODAが二倍に評価される最高の
チャンスなわけですよね。そのすばらしい
チャンスをみずから放棄してちょっと削りますよなんと言ったら、せっかくのすばらしい
効果がなくなってしまうんですよね。絶対にそれはやめていただきたいと思うんですよ。
また、この問題に関しては私
たちも反省するところはありますよ。
ODAは何かということの国民的な
議論がしっかりされていないですよね。
ODAは
金持ち国の道楽ではないんですよ。これは、だんだん苦しくなっていく、財政的にも苦しくなってくる、
世界有数の借金を抱えてくる
日本の中で、
日本の経済を、産業を、
日本の輸出を守ろう、そういうためにぎりぎりの選択で、削り、削りしてやっているわけなんですね。言うなれば、
日本の
生命線なんですよ、
ODAというのは。
余りこんな話をしたくありませんけれ
ども、例えば、
井戸に誘い水という
言葉がございます。
空井戸を
ポンプでやっても水が出ない。そこに水をつぎ込んで、その
井戸の、ちっちゃな
ポンプなんですけれ
ども、水を入れたことによって、下の水とつながり、それで水が出てくるわけですね。
手こぎの
ポンプというのは
皆さん知らない方もおられるかもしれないけれ
ども、
ポンプというのはそういうものなんですよ。
最初に水をだれかが満たしてあげなきゃ、水を吸い上げられないわけですよね。
ですから、まさに
ODAというのは、もちろん、あなたの国のためだと言っているところは本当にそうだし、また、人類のためにやっているのもそのとおりです。しかし、
我が国のためにも大きくなっているんですよね。これは、情けは人のためならずという
言葉がございますけれ
ども、本当にそういうことは
日本のためになっているから、これだけ
ODAというのは発展し、維持されているわけなんですよ。ですから、今こういうときにそれをなくしていくのは本当に大きな問題があると思うんですね。
例えば、
日本で今、
海洋汚染がある、あるいは
大気汚染がある、そんな中で、なぜ、まだ一応、この
段階で
世界の
批判が
日本に向かっていないか。これは後で話しますけれ
ども、
海洋法条約からいっても、この行為はおかしいんですよ、違反なんですよ。しかし、
世界からどうして、わあっと太平洋の
諸国から
日本に対する激しい突き上げが国連でも出ないかというと、それはやはり、
日本の今までの長年の血のにじむような
現場での、JICAの
皆さんを含めての
努力とか、そして、こういうときにも頑張っているという
日本の
姿勢があるから、みんなぐっと、のどまで出る
日本への
批判を抑えているわけですよ。それを解放するようなことは絶対あってはいけない。ですから、ぜひそれはしっかりと守っていきたいと思うわけでございます。本当に、
ODAは
日本の
生命線だということをぜひ理解いただきたい。
最後に、よく最近では、僕は余り好きな
言葉じゃないですが、
日本の
矜持という
言葉がありますね。襟を正してしっかりする。このことは、
日本がこんなに苦しんで、こんなに
予算がないときに、こんなに膨大な投資をしなきゃいけない、
災害復興をしなきゃいけないときに、
日本が一銭も削ることなく
ODAをやり、
現場の
エイズ対策をやっている
医者にもしっかりと同じものが、同じ量の薬が行き、
現場で
日本語を教えている
現地の
人たちにもしっかりと給料が払われていくというのが、
現場の
皆さんにどんなに誇りを与えるか。
私は、こういう
現場によく行きましたけれ
ども、もうそのシーンが目に浮かぶようですよ。注射を、ポリオの薬をやっているパキスタンの
皆さん、バングラデシュの
皆さんもアフリカの
皆さんも、その
医者の
皆さんは、
日本知ってるだろう、あの
津波ひどいだろう、その
日本の
皆さんから
皆さんにと思って送ってきたんだよと言って、必ず薬を分けてくれるんですよ。
今、
日本の
外交官のスタッフが減っていると言われていますけれ
ども、これはもう
世界じゅうが
日本の
外交官になってくれるんですよ。ですから、これは絶対に維持しなきゃいけないと思います。これが、言うなれば
日本の
矜持なんです。これが、貿易国家
日本の
矜持なんですよ。
世界の中では、このことが
日本を守ってくれるんですよ。これはぜひ維持していただきたい。
よく
ソフトパワーという
言葉がございますよね。
日本の
ソフトパワーというのは、研究会なんかでも、
日本のお茶のセレモニーとかいうのをやろうと。そうじゃないんですよ。
ソフトパワーというのはこれなんですよ。
日本がこんな
状況の中でも、
世界の末端の最も深刻な、最も忘れられた
人たちにもしっかりと
日本が援助をやっている、このことが
日本に対する膨大な支持になって、これは
日本が常任安保
理事国になるよりも、それ以上の
日本への防御壁となるわけなんですね。ですから、これこそ
日本の
矜持である。
これを、そうはいっても、そこのところはちょっと削れるものは削ってなんということがありますけれ
ども、そうではなく、これは
日本の
矜持として、びた一円も、びた一銭もまけることなく、しっかりとこの時期に守っていただきたい、死守していただきたい、堅持していただきたい、切にお願いしますけれ
ども、
松本大臣の覚悟をお伝え願いたい。