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武田参考人 武田でございます。
きょうの朝のテレビを見ておりましたら、
福島県の小学校は、二十ミリ
シーベルトという
基準を文部
科学省が出している、それから計算して、ややいかがわしい計算でありますが、一時間に三・八マイクロ
シーベルトまでいいと。これを下回っても御父兄が納得しない、だから運動させることができないんだというようなニュースが出ていました。
こういった御父兄の気持ちはどこから出てくるかといいますと、
原子力発電所が何か
事故を起こしますと、漏れる
放射線量、
放射線量というのは不安定なものがいっぱいあるんですけれ
ども、公開するような場合にベクレルというのを使うんですけれ
ども、大体、億単位、数億ベクレルが普通の
放射線が漏れたときの値であります。
数億ベクレル漏れますと、
社会にはどういうことが起こるかというと、新聞には一面にでかでかと出て、
原子力発電所から数億ベクレルの
放射性物質が出たと。国は大騒ぎをして、研究員を派遣したり、
原子炉がとまったり、再開するのに三年かかったり、こういうふうにするわけですね。それが数億ベクレルなんですよ。
今回
福島原発から出た量は、それの一億倍なんですね。数京ベクレルから数十京ベクレルですね。ですから、
通常新聞が大騒ぎし、国家が大騒ぎする量が数億ベクレルに対して、今回
福島原発から出た量は何十京ベクレルなんですね。ということは、何十億倍なんですよ。
通常国家が大騒ぎする
レベルの例えば二十億倍、そういった量が今回の
福島原発から出たわけですね。
ふだん、数億ベクレルが出たときに、大変危険だというので原発を数年とめてやるということをやる
政府が、それの一億倍出たら安全だと言ったわけですね。これを理解するというのは、普通には到底できません。ですから、普通の心境としては、これはうそだというふうに思うのが当然であります。
したがって、現在、
福島県を中心とした
方々、特にお母さん方が非常に強い不安感を持っておられるということは、
政府発表を中心としたものがつくり出した非常に強い不信感というか、そういうものであろうと私は思います。
例えは難しいんですけれ
ども、一円でも節約しなきゃならないと言っていた人が、突然、十億円を前にして捨てなさいと言っているようなものですから、それを庶民が理解するということはもう無理であります。
もう
一つ、テレビでこういうふうに言っていました。
御父兄に二十ミリ
シーベルトが安全であるという
説明ができないというんですね。それは当然できないわけです。二十ミリ
シーベルトは一ミリ
シーベルトよりも発がんリスクが二十倍になるということですから、二十倍になると言わなきゃいけないということですね。しかし、二十倍になるのをどうして我慢させるのか、私たちの将来を担っている
子供たちになぜ我慢をさせるのかということをしっかりと
説明しないと、お上が二十ミリと決めたからそのとおり信じなさいなんていうのは、江戸時代じゃないので、皆さんが納得しないのも当然であります。
ここのところも非常に大きな問題があって、実際にお子さんを育てておられて、
福島の小学校に通わせているお母さんたちの気持ちをわかって、今までの
政府がやってきたものとの整合性をとってもらわないと、これは解消しない問題であるというふうに思います。
それから、論点の第二点なんですけれ
ども、ちょっと
科学的に振りまして、私は、ずっと
科学の分野で
原子力をやってきて、こんなになって深く反省しておりまして、自分は
原子力をやってきたのは本当によかったのか、こんな結果になるような技術をやってきたのかという非常に深い自責の念があるのでありますが、これはどこにあるかというと、一年一ミリ
シーベルト以上は危険であるということに基づいているわけですね。
最近、一年百ミリ
シーベルトまで大丈夫だと言われる人がいて、私が非常に残念に思うのは、
原子力の技術体系全体が一年に一ミリ
シーベルト以上は危険だということによって
原子炉は設計され、研究がなされ、すべての法体系がそろっているわけですね。
技術というのは、技術自身が独立して存在するわけじゃなくて、もし一年に百ミリ
シーベルトまで大丈夫ならば、現在の原発は安全なんです。
福島原発ですら、もしも一年百ミリ
シーベルトという
基準に変えるんだったら、あれは化学工場の火災
事故と変わらないんですよ。
原子力発電所の
事故が危険なのは、そこから
放射線が漏れて一ミリ
シーベルト以上の
被曝をするからこそ、国家としても乗り出すような大事件なわけですね。
ですから、今回、一年に二十ミリ
シーベルトとか一年に百ミリ
シーベルトとかは大丈夫であるということになりますと、
原子力技術全体を全部変えなきゃいけませんし、
原子力の安全
基準から設計
基準からを全部変えなきゃいけません。そして、今
エネルギー議論なんかがありますが、もしも一年に二十ミリ
シーベルトとか百ミリ
シーベルトが安全であれば、別に自然
エネルギーとかなんとか言わなくても
原子力をやればいいわけですね。
ですから、一年に何ミリ
シーベルトぐらいまでが日本人としての
被曝として安全であるということをどこに定めるかによって、
原子力政策から、
エネルギー政策から、現在の
被曝に対する補償から、全部変わるということですね。
ですから、そこについて私は、今ほかの
参考人から御
説明があったように、現在の国際的に一年一ミリ
シーベルトと決まっているものを今さら変えることはないと。それを変えていたら、私たちは何のために
放射線とか
原子力をやるときに防御をしてきたか、何のために設計してきたのかといえば、私は
原子力の仕事をずっとやってきましたけれ
ども、
原子力の機器を発注すると、普通の機器の五倍ぐらい値段がするんです。それはなぜするかといったら、一年一ミリ
シーベルトだから高いんですね。それで重工の会社はもうけてきたわけです。だけれ
ども、突然今、百ミリ
シーベルトまでいいというのだったら、普通の、五分の一の安い機械を買えばいいわけですから、全部の体系が変わるわけですね。
その中で、文部
科学省が一年二十ミリというふうに変えたということは極めて大きな
影響もあり、それが主に
子供に対して適用されているということは非常に大きな問題であろうと思います。
これは忌憚なく述べさせていただけば、私の技術論というのは、人間は空を飛ぶべきではないから飛行機はいけないというような議論はとらないんです。もちろん人間が空を飛ぶべきじゃないかもしれません、初期の飛行機は次々と墜落しましたから。だけれ
ども、それがクリアされて安全な飛行機になれば飛べるということですね。
原子力発電所もそうで、
原子力自体をやるべきではないという議論、私はそういう考えではありません。
原子力発電所が
社会に対してよい
影響を与え、悪いことをしないというのであれば、墜落しない飛行機になるわけですから、それは
科学技術として採用すべきだ。
しかし、そこのところをはっきりしておかないと、あいまいにして事柄をやると、今度の
原子力発電所の
事故は、
原子力発電所が
エネルギー政策上必要であるから
原子力発電所は安全だというような論理の逆転が今度の
事故を招き、多くの人を苦しめたんじゃないかというふうに思います。
最後の論点ですけれ
ども、現在、
福島原発から
放射性物質が残念ながら出たわけですね。一応、一年一ミリ
シーベルトを守るということを前提にお話ししますと、もやもやっとした
放射性物質が出て、これは国が一番最初に間違ったことを言いましたから、多くの人が間違っていますが、
放射線は距離の自乗に反比例するなんておっしゃったものですから、皆さんが
原子炉から離れれば大丈夫だと思っておられますけれ
ども、
放射線自体は光ですから、自分の目で
福島原発が見えなくなったら
放射線は来ません。現在、中性子は出ていませんからね。
ですから、
放射線というのは、
福島原発の見えないところ、自分の目で見えないところには来ません。現在来ている
放射線というのは、
福島原発からどかんと爆発したときに、火山の灰のように風に流れてずっと行ったものですね。これはだから、今度の場合、西北に流れました。
これは例えば、
政府でいえば、気象庁が全力を挙げて風向きを予測しなきゃいけなかったのに、気象庁は、SPEEDIがあるから、これは
原子力安全委員会が持っているんだからそっちがやれ、こう言った。今度はSPEEDIの方は、余り
放射線が大きいからこれを発表しないんだという。国民は、税金を払ってSPEEDIをつくり、気象庁を持っているにもかかわらず、どこに
放射性物質が飛んでくるか全くわからない
状態で最初の
被曝をしてしまったわけですね。
私は、しようがないから、ブログを書くとき、これはもうブログを書いて付近にいる人を逃がさなきゃいけないと思ったものですから、そのときに私が参考にしたのはドイツ気象庁のデータだったんです。
私はとても悲しい思いをしました。日本が
科学技術立国でありながら、気象庁が、細かく花粉の
状況とか火山の噴火の
状況の予想図を出しているにもかかわらず、国民の命に極めて重要なことになると引いてしまったわけですね。
原子力
委員会のSPEEDIもそうです。
だから、まず第一に、私たち技術者は、
原子力をやっている人たちは、国民の命を
原子力から守るのが第一ですから、起こってしまった
事故は仕方ないので、それに対して最大に損害を少なくする行為をすべきだった。そういう
意味では、極めて大きな不作為による
被曝を
福島の人たちにさせてしまったという感じがいたします。
ところで、ふわっと飛んでいくわけですから、単なる粉なんですよね。
放射性物質というのは単なる粉なんです。粉と言ってもいいし、ちりと言ってもいいし、ごみと言ってもいいし、何でもいいんですけれ
ども、そういったものなんです。大きさは大体花粉みたいなもので、重さは黄砂ぐらいのものだ。
そうすると、飛んでいきますから、三月はどうだったかというと、空間の線量が高いわけです。それで、
福島原発から
放射線が来たんじゃなくて、この部屋でも結構今ありますけれ
ども、ここの部屋に
福島原発から飛んできた
放射性物質が何億とあるわけですね。そこのちっちゃいところから我々は弱い
放射線の合計を受けて、それで現在ここは、自然
放射線〇・〇二に対してその十倍であるとか、そういった量になっているわけですね。
だから、三月の最初は空気が汚れているわけです。四月の初旬になりますと、私のブログの読者から寄せられるデータをずっと整理しますと、地面に落ちますから、地面が非常に高くなる。そのころ、私は、お子さんを外出させるときは手を引かないで、だっこしてくださいと言ったんですね。やはり下よりか上に行かなきゃいけません。
四月の下旬から連休になりますとそれが流れまして、屋根に乗った
放射性物質は、といに出てきます。それから、散ったものは吹きだまりに集まります。それから、現在は、側溝からさらに進んで升のところに移っています。
この前、
福島県に行って
測定してきましたら、普通のところが〇・九マイクロ
シーベルト・一時間に対して、側溝の溝をはかりますと九マイクロ
シーベルトでした。九マイクロというと物すごく多くの
被曝をしますから、絶対に
子供を近づけちゃいけない。だから、僕はそこの人に、黄色い枠をしてくださいと言ったんですね、
子供が近づかないように。
このことは何を言っているかというと、
放射線を防御しなきゃならない国としては、時々刻々、正しくやらなきゃいけない。ところが、自治体なんかで
放射線の量をはかっているんですよ。それで、地上十五メートル、五階なんかではかっているところがあるんです。それに文句を言いますと、いや、機械が高いから、壊されるといけないから五階ではかっているんだというんですよ。五階なんかに人はいませんからね。赤ちゃんは特に危ないわけですけれ
ども、〇・五メートルぐらいではかってくれなきゃいけない。だから、公表されるデータ自身がいいかげんなわけですね。これは命にかかわることだから、そんな機器の値段なんか言っていないで、やはりちゃんとしたデータを国民に提供するということが非常に重要だと思います。
それから
最後に、粉でありますから、除けるんですね。それで、校庭だったら校庭の表土を取る。
チェルノブイリのデータを見ますと、はっきりはわかりませんが、二十年で二十センチ沈んでいますので、一年に一センチの割合。だけれ
ども、日本は雨が降るので、もうちょっと進行するとします。ですから、梅雨の前に、
福島県の汚染されたところをとにかくのけてほしいんですよ。これはぜひ先生方のお力で、のけてほしい。
今は逆の
方向に行っているんです。要するに、汚いものがもうそこにある。もしもお母さんが
放射性物質が目で見えれば、絶対にふきます。ふいて取ろうと思います、だって、そこに毒があるわけですから。なぜそれをどけないのか。
それをどける努力をせずに、
基準を二十ミリに上げたり、
放射性物質が入っている野菜が
基準以下だから安全宣言なんかしたって、無駄なんですね。問題は
被曝の量を減らすということですから、そのためには、現在立入禁止になっているような高いところは自衛隊なんかの
協力も得てできるだけ早く
除染しないと、もう一回風が吹きますと、道路に落ちている粉は、舞い上がってほかに行きます。ですから、早くとめなきゃいけない。
それから、もちろん
福島市のある程度のところは汚れておりますから、これの表土を一番早いうちに取ればいいんですよ。この前
福島に行ったら、残念ながら、もう稲を準備しちゃっているところがあるんです。土をまぜちゃったら下の方に行きますから、これはもう二十年ということになるわけですね。ですから、できるだけ早くやらなきゃならない。
それから、小学校の土をひっくり返すというのがあるんですけれ
ども、何をやっているのという感じですね。ひっくり返せば、低
レベル廃棄物というか、そういう
放射線を帯びたものが土の中に入ります。雨が降れば地下水に行きますね。セシウムは土とのなじみが深いからすぐには移動しないかもしれませんが、ずっと移動していくわけですね。地下水に移動したらとても厄介なことになるわけです。ですから、この際、非常に強い決意を持って
福島のところを除く。
これは私の論で、違った御
意見もあると思いますが、
科学技術は原発をつくる技術だけじゃないんです。原発の技術というのは、原発が壊れたときに、それを速やかに
除染して、何でもなかったことのように
生活できるようにするというのも技術なわけですね。これも
原子力発電所をやる上においては極めて重要な技術なわけです。
日本は
科学技術立国でありますし、
経済力も非常に強いのですから、世界に先駆けて、私は、原発が爆発したら多少困るけれ
ども、きちっと住民を
避難させて速やかにそこを
除染したら、
除染したらというのは
放射性物質を除いたら、一年以内に必ずそこで普通に住めるようになる、そういう国であるということを示してもらいたい、それも実は
原子力をやる上での技術の
一つじゃないかというふうに思います。
それからもう
一つ、先ほど別の
参考人から御
説明がありましたように、一年一ミリ
シーベルトを上げると、日本はもう既に汚染された国なんですね。我々が自由に海外旅行に行き、海外のレストランで安心して食べ、海外から輸入される水を安心して飲むのは、世界じゅうが
ICRPの
基準で一年一ミリだからなんです。
それを日本だけが一年二十ミリにしたら、日本の農産物ばかりでなく、すべての製品、テレビに至るまで輸入禁止がかけられても文句は言えないわけですね、赤ちゃんを抱いて日本に旅行に来たら二十倍の
被曝をするということを国際的に宣言しているわけですから。もちろん、健康にも
影響がありますし、日本に与える
経済的な
影響は極めて高いというふうに思います。
私は技術者ですので、いろいろ政治的なことは別にいたしまして、ぜひ、できるだけ早く日本の技術力を動員して、まず第一に梅雨の前、第二には風が吹く台風の前に、すべて除いて、木なんかに、葉っぱなんかにはつきますから、適当に、夏ぐらいには雑草も葉っぱも全部切って、回収できるフィルターのついた焼却装置で焼却すれば、
福島を一年以内に安全に住めるところに戻すということが極めて重要なことではないかというふうに思います。(拍手)