○阿部
委員 対GDP比で申しますと、今の政府関連予算が
科学技術振興につぎ込まれる率は〇・七三くらいになっております。
日本の
科学技術振興の経費の特徴は、民間投資の方が多くて、政府支出は少ない。しかしながら、これからお話し申し上げますが、今後この
日本が、さっき言った環境立国、健康立国、あるいは安心、安全立国となっていくためには、今起きました
原発事故も含めまして、私は、大胆に政府が対応していく、研究面においても
技術革新においても必要な場面が必ずこれから訪れると思います。
ちなみに、これまでの予算の使われ方を見ますと、今回は政府予算案で三・六兆円余りですが、平成二十一年度は、補正予算も含めると五兆円余りが出ておりました。これは前政権の最後の時期でありますが、補正で何回か組まれたということであります。
私は、二次補正の中でもぜひ玄葉さんに組んでほしいものがあるので、自分でその方向に引っ張っていきたいがために聞いているところもありますが、しかし、非常に今大事な局面にあると思いますので、この少なさをよく自覚していただいて、そして
日本の国の将来のために、子や孫のために今ここで頑張るぞとぜひお考えいただきたいと思います。
そして、三点目を伺わせていただきますが、先ほど私が申し上げましたように、
日本の将来向かう姿は、安心や安全、健康あるいは環境などがキーワードになりますし、それはライフイノベーション、グリーンイノベーションと、御政権、今の現政権がおっしゃったことともマッチしてくると思います。しかし、そう言われている一方で、現実がそうなっているのかなということを私は懸念するわけです。
それについて、三ページ目をおあけいただきたいと思います。これは、今般の事故の事故後の
処理における対応でございますが、私は、一言で言って、この対応には健康配慮と環境配慮が非常におくれているどころか希薄、もしかして本気でないんじゃないかと思うので、きょう玄葉
大臣に、先ほど来、福島の選出であることや、あるいは一
大臣、国務
大臣としてとおっしゃっておられましたが、
科学技術担当
大臣としてぜひ御発信していただきたいことがあります。
私は、実は連休中にアメリカに行ってまいりました。
原子力規制
委員会、NRCに行き、またエネルギー庁にも行ってまいりましたが、NRCに行ったときの一番の驚きは、パブリックヘルス、公衆の健康を守ることと環境を守ることがゴールであり、掲げられた目標なのであります。NRC、
原子力規制
委員会の目標は、公衆の健康を守り環境を守る、あとは、核
物質が、今は核テロもありますから、分散、散らばっていくことを防ぐということが掲げられております。
翻って、
日本で考えると、先ほどおられましたが、東電の
皆さんも
保安院も、もっと言えば安全
委員会も、私は、どこか歯切れが悪いというか、本当にあなたたち、国民の健康を守ってくれるのか、あるいは、
汚染水をじゃぶじゃぶ流して環境は大丈夫なのかと。
私は、これから
日本が国際
会議で聞かれる場は多いと思うのですが、この事故は恐らく、スリーマイル、
チェルノブイリ以上の福島という名を残してしまうと思います。であれば、我が国が総力を挙げて何に向かって何をメッセージしていくのか、その突端に
大臣が立っておられます。
この
工程表の何に私がこれだけ怒っているかというと、これは五月十七日に発表されたものですが、下の、ずらっと並んでいる「政府の被災者への対応に関する
工程表」という方を見ていただきたい。上は東電が御発表でありますが、さて、政府の発表はどうかというと、「帰還に向けた取り組み」のところに「
土壌の
放射性物質の蓄積状況の
調査 ※五月以降実施」とか、もっとひどいのは、「中期的
課題」でしかなくなっている「
除染・改良の実施」。これはいつも言うんですけれ
ども、簡単に言うと、
原子力の灰や
放射性物質は降り注ぐだけ降り注いで、落ちついたらお掃除しましょうという
意味であります。
今、実は、先ほど民主党の議員の御質疑である、地表の線量もはかられていません。空間線量と地表の線量は違うものです。地表の方が高くなります。子供は低いところに暮らしています。あるいは、
土壌の線量は、今、五キロ掛け五キロのメッシュで福島県内のみはかられていると思います。これはどう考えても粗過ぎるし、これから取り組むべき
土壌改良は、もちろん福島県の
汚染のひどいところもそうですが、今、郡山でも問題になる校庭の問題もそうですし、もっと遠いところでも通常よりは高い線量が明らかに出ているわけです。
ここで基準値争いをする以上に、私は基準は大事だと思います、でも、それ以上に、実態を知ること、現状を知ること、改善策に手を打つこと、これ以上のライフイノベーションはありません。でも、だれも手を挙げず、だれも取り組まず、放置されて今日まで来ております。
実は、先ほどの文科省の御
答弁で、私はちょっと半分あきれていましたが、
チェルノブイリに学んでこれから協力をしてもらえると言われたと。まあ、それはいいことです。私は、この前予算
委員会でも、それももっとやってくれと言いました。でも、実は、今言われているような、校庭の
土壌の表面をかえるとか庭の木の剪定をするとか
土壌の改良のために化学肥料を入れるとか、二〇〇一年のキエフの
会議でもうレポートが出ています。
なぜ十年間もほったらかして、今これから、さあ線量の測定に取り組みますよ、
土壌の改良は事が決着しなければ手をつけませんよというような状態でよしとされるのか。
ちなみに、地表の線量の測定は、
科学技術総合
会議の中にいる
日本学術
会議も四月の半ばに提言しておられます。四月の四日くらいだったと思います。もう一カ月も過ぎました。文科省はこれから検討すると言います。だれが国民の健康を守るのか。
たくさん申し上げて申しわけありませんが、私は、
科学技術担当
大臣が、ライフイノベーション、環境イノベーションをするんだという決意において、このことをもっと全輪駆動していただきたいですが、いかがでしょう。