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大門実紀史君 私
どもも雇用を増やすことは否定しておりません。ただ、低賃金の非正規雇用が増えるだけでは賃金全体の下請圧力になってしまって、このデフレが脱却できない最大の原因でございますので、雇用と賃金の引上げを両立して今進めることが非常に重要だということを申し上げたいわけでございます。
その最低賃金の引上げは、
世界の例を見ても内需拡大の
経済対策として大きくとらえていただきたいというふうに思います。問題は、そういう
経済効果が出るまでの間は実際に企業の支払う賃金は増えるわけですから、それはもう事実でございますので、そこのところの措置をしなければいけないと。大企業は巨額の内部留保をため込んでおりますから十分負担能力がございますが、問題は中小企業でございます。
最低賃金の抜本的引上げに際して、いろんな国でいろんなことが行われておりますが、パネルにいたしました。例えば、
アメリカでは二〇〇七年に大幅な最低賃金引上げを決定いたしました。三年間で
日本円にすると一気に二百円引き上げるというような措置をとりました。抱き合わせで中小企業向け減税を約八十四億ドル、当時の、換算すると八千八百億円程度でございます。これは五年間でございますから年間にすれば一千七百億円の中小企業向けの
支援措置をとったわけでございます。
下に書いてありますフランスの方ですけれ
ども、フランスも二〇〇三年に最賃引上げに大変強力に取り組みました。そのときに企業の社会保険料負担の軽減措置をとりました。何と金額が
日本円にしますと二兆二千八百億円、これは三年間ですから年間にしますと七千億円以上の
支援措置をとったわけでございます。これは特に中小企業に軽減されるという措置でございます。
これらの国に比べて、
日本の
政府が来年度
予算に向けて発表された中小企業
支援措置というのは、もう率直に言って何かの間違いじゃないかと思うほど大変お粗末な政策でございまして、書いてございますが、最低賃金が今六百八十円以下の十九の県に限って、八百円に上げたときに
支援措置をとるということでございます。ちなみに、この十九の県以外に、例えば
北海道とか栃木とか群馬とか茨城とか北陸の各県とか、六百八十円に近いところはどういうわけか線を引かれて対象外になるというふうな措置でございます。
総額も何とわずか六十二億円。しかも、下の方に書いていますが、相談窓口の開設とかそういうものを除くと、中小企業への
支援、直接
支援措置というのはわずか四十一億円でございます。しかも、
中身を書いてございますが、業務改善等助成金十億円というのは設備投資をしたら助成してあげると。その下の賃金改善奨励金というものも、その十九の県の九千の事業所に十五万円から七十万円の奨励金を出すという制度でございますけれ
ども、実はこの十九の県には四十七万という会社がございます。わずか二%だけにもう先着順で
予算のある範囲で早い者勝ちで出してあげるというような、しかも賃金助成としても支払総額の数分の一にもならないというような非常にわびしい施策でございます。
なぜ
アメリカとかフランスがこれだけの規模の取組をしたかというと、貧困の解消だけではなくって、これが
経済対策になる、
景気対策になると、そう位置付けたんでこれだけの規模の取組をしたわけでございます。ところが、
日本はちまちましたこういうものしか出てこないというのが今の限界でございますが、民主党は、二〇〇九年のマニフェストでは、何とこの最低賃金引上げで二千二百億の
予算措置が必要だと。当時は一応本当に真剣に、まじめに考えられておられたわけですね。それがなぜこんなことになってしまうのかということを大変残念に思っております。
経済対策として位置付けた場合、今度の補正
予算五兆円規模だというレベルでございますから、もっと規模も
中身も思い切った対策が打てるんではないかというふうに思います。
是非、来年度
予算作成までまだ時間がございますので、外国の例も勉強していただいて、
経済効果も勉強していただいてもっと
見直してほしい、もっと抜本的な対策を取ってほしいと思いますが、
総理にお考えを……