○片山さつき君 自由
民主党の片山さつきです。自民党を
代表して、
総理の
所信表明演説に関して
質問させていただきます。
なお、
答弁が不十分であった場合は再
質問させていただくことをあらかじめ申し上げます。
まず、現下の深刻な
経済情勢ですが、
日本経済の今年の第一・四半期の需給ギャップは二十五兆円もあると推計されていますが、それがこの夏以降の
円高、株安、
デフレの進行と後手後手に回った
政府の
対応によって更に悪化している可能性が高いわけです。日銀もゼロ金利に戻すに当たってこの悪化をはっきり言っているわけですが、GDPギャップの七割は
製造業が占めています。ここまで大変苦しい中、何とか頑張って利益を確保して国内にとどまってきた輸出
産業がついに
日本を捨て、海外への移転を決断せざるを得ないかどうかの最終局面に追い込まれております。
だから、この
対策が有効なものとなるかは非常に
決定的に大事なんですが、
政治で重要なことは事実
認識です。
総理は、このGDPギャップの拡大、どのように
認識されているのか、まずお伺いします。
経済産業省の緊急調査によりますと、八十五円前後の
円高が定着すると
製造業は約四割海外移転し、六割は海外生産をシフトすると。為替相場は介入やゼロ
金利政策にもかかわらず今八十二円台まで
円高が進んでおり、
企業は更に苦境に追い込まれ、中小零細は廃業か一家離散しかないと悲痛な叫びを上げているわけです。
ところが、
日本から出ているIMFの副専務理事は先日、この八十二、三円の為替相場はファンダメンタルズから見て整合的と言い、以前、仙谷
官房長官御
自身も八十二円ぐらいが財務省のボーダーなのかという
発言をし、昨日は櫻井副大臣が、
日本が思っているようにはいかないと不用意な
発言をなさったため、八十二円台が定着してしまっているわけです。
八十五円で四割移転するのであれば、八十二円になってしまったらどのぐらい
企業が追い出されてしまうのか。
円高を仮に容認するとでも言うなら、それを補って余りある巨額の
対策で
産業をつなぎ止めない限り、国内
製造業は本当に死んでしまいますが、財務大臣、これからG7に行かれますね。そして、
経済界の苦しい叫びを聞いているはずの
経済産業大臣、採算レートは八十九円から九十円ですよ。そして
総理、この御三方に、
国益を守るため、いや応なしの通貨安戦争をどう戦う
おつもりなのかをお聞きします。
民間のシンクタンクが、この六月に支給された子ども手当がどのぐらい貯蓄に回ったかどうか、もう調査を始めているんです。何と半分以上から六割ですよ。これでは
政府に同僚
議員が幾ら問いただしてもお答えがないわけですが、だから我が党は、子ども手当やばらまきをやめて、そのお金を本当に景気にすぐ役立つ
対策に回すことを提言してきたわけです。
その我々の
対策の申入れに対して
与党から示された
補正予算の規模は四・八兆円でした。今朝閣
議決定された
対策の規模は五・一兆円と説明されていますが、実はこれ、一・三兆円は地方交付税でありまして、そのうちかなりの部分は来年度に繰り越されることになるんじゃないでしょうか。しかも、そのためには、総務委員会で今
国会、法律を通さなければいけないはずです。なのに、午前中、
総理は
民主党議員の
質問に対して、特例法的なものは必要ないとおっしゃったんじゃないですか。要らないわけですか。
いずれにしても、これを考慮すると、実際には年内にお金が流れるわけではないゼロ国債を足しても、
補正予算の規模は三・八兆円にすぎません。これをなぜ表に出して説明しないのか。これでは、規模も粉飾か、大ぶろしきならぬ小ぶろしきと言われても仕方がないかもしれません。いずれにしても、このGDPギャップを埋めるにはせめて乗数
効果、この
言葉はお嫌いかもしれませんが、乗数
効果のある未来につながる社会資本整備をもう少し盛り込むべきではないでしょうか。
コンクリートから人へに建前だけこだわる余り、ツーリトル・ツーレートになると来年の通常
国会の冒頭でまた補正、そのときにはかえって大きな額の赤字国債を出さざるを得なくなる可能性が非常に高いと思いますが、この点について
総理と財務大臣に伺います。
円高と
デフレで最も苦しむのは
日本企業全体の九九%を占める
中小零細企業や町の商店街です。昨年来、
民主党政権で、自民党時代からずっと積み上げてきたきめ細かな
対策がパフォーマンス目当ての事業仕分でどんどん切られて、不安が高まっています。特に、ほんの数十万円で足りるようななけなしの商店街
対策などを残酷にばさばさ切られて泣いている人
たちが全国にいるわけですが、その仕分をやった方が一着百数十万円のドレスを取っ替え引っ替え着ておられるということを御存じになったら、その心中は察して余りあるものがあります。
いずれにしろ、大
企業の
仕事の繁閑に合わせて
雇用調整をせざるを得ないのが下請
中小企業の悲しい運命ですが、派遣法
改正、これを
国会に出すと言っておられますが、これによって人の確保ができなくなって、追い詰められてしまうんです。その一方で、国が一〇〇%株を持ち続ける
日本郵政では非正規職員がスムーズに正規化しており、その不公平感から
国民の間では怨嗟の声が上がっております。
総理、
経済産業大臣は、このような
中小企業の
雇用の実態の現場を踏まえても、なおかつ派遣法
改正を強行する御
認識なんでしょうか。お答えください。
法人税に関して伺います。
円高で利益が激減した
産業界の一縷の望みが法人税減税ですが、一兆円を超える財源が見付からないから、税率は五%下げてあげるけど課税ベースも拡大させてもらうよ、だから税
負担は減らさないよとの方針を
与党が示していると漏れ聞いております。これでは、
菅総理が昔、
国会でお使いになったきれいなお
言葉をお借りしますと、やるやる詐欺減税ではないでしょうか。
総理と財務大臣に伺います。
二十二年度予算ができたときに、埋蔵金伝説は白日の下に崩壊しましたが、まずこの
マニフェスト違反、埋蔵金詐欺を
国民の前で謝っていただきたいと思います。
ところで、先日、海江田大臣とテレビの
経済番組で御一緒したときに、
財政投融資の貸付金を束にして証券化して売るとか、相続税を払えるような
資産家向けに無利子国債を出してはどうかとか、まあ、ちょっと苦し紛れとしか思えないような財源策を次から次へとおっしゃっておられました。
菅総理、野田財務大臣は、この財源策を採用する
おつもりなんでしょうか。
埋蔵金騒ぎといい、
民主党の財源探しは、近くに行くとすうっと消えてしまう逃げ水、蜃気楼の繰り返しに見えますが、そこまでして財源を徹底して洗い出そうとおっしゃるんだったら、一般会計と国債整理基金特会と合わせて八兆二千六百億円という大変な
資産がバランスシートのど真ん中に載っていますよ。これは必要な法人税減税額の八倍です。何でしょうか。
日本郵政の株式ですよ。この売却を法律で凍結し、しかも将来もそれを一部しか売らない、しかもいつまでに売却するとの予定も付けていないので、つなぎ国債の財源にしようとしてもできない、この郵政改革法案をこの
国会に提出するとも
所信表明で
総理はおっしゃっていますが、全国百四十万人の金融、保険、JAバンク、漁業や林業の共済で金融をやっている方、百四十万人の方々が自分
たちの
仕事を極端に圧迫される、職場を脅かされるとこぞって全部反対している民業圧迫法案であります。
この法案に
民主党内で最もこだわっておられたのは
強制起訴となった
小沢前幹事長ですが、私がかつて金融
国会の前後、伺っていた限りでは、
菅総理は金融についてはかなり自由主義的なお
考えをお持ちでした。岡田幹事長も、郵貯の預入限度額を五百万円に引き下げるべきではないかと御
主張されておられました。にもかかわらず、この法案の成立を強行するというのであれば、ああ、
菅内閣もやっぱり
小沢影
内閣だったんだなと、そのように言われても仕方がないのではないでしょうか。
強制起訴になっても、何が怖いのか知りませんが、処分とかもなされないようですが、
総理、
官房長官のお
考えを伺います。
次に、環境の問題です。
環境、この非常に重要な問題につきまして、今回提出されるという
地球温暖化対策基本法案が仮に成立してしまうと、
雇用や
国内投資に悪影響を与え、
成長に不可欠な
技術開発の原資を奪ってしまうという
産業界の悲痛の叫びは
総理のお耳には入っていないんでしょうか。既に、
円高、法人税高、派遣法
改正の三重苦によって
日本の
産業は大打撃を受けており、このCO2削減強行の四重苦は、とどめを刺すほどきついものなんですよ。
〔副議長退席、議長着席〕
昨年の十一月に、地球
温暖化に関する閣僚委員会、これ、
民主党の閣僚委員会ですからね、現
与党の。ここに提出された
与党の、二〇二〇年までにCO2を九〇年比二五%削減する場合の毎年の家計の負わされる
負担、失われる
雇用、失業率の上昇の試算の中には、家計の御
負担が
最大で一年に何と七十七万円にもなるという、そして
雇用は百二十万人も失われるという
日本経済破局シナリオがかなり信用のあるシンクタンクから、大学から指摘されているのを、これも
総理は御存じないんでしょうか。
経済政策では、ワーストシナリオをも検討するのが当然でございます。なのに、前環境大臣は、この不都合な真実を隠ぺいし、都合のいい試案だけで前
国会を終わらせてしまいました。しかも、二五%削減を海外との排出権取引にも頼るというなら、CO2の
最大の排出先の一つは
中国、その
中国に巨額に
日本人の血税を支払うことになりかねないんです。それも、場合によっては何兆円の規模です。信じ難い愚策ではないでしょうか。
これらの点に関して、
総理、
官房長官、
経済産業大臣に納得のいく御説明を求めます。
国際社会での
中国、日中との
経済関係ですが、最近、
中国は、
財政破綻したギリシャに
支援を申し出てヨーロッパに感謝されるなど、国際金融界での存在感を着々と高めています。そして、
中国は、IMFの大規模増資によって
日本を抜いて
世界第二位の
発言権を持つ可能性が出てきているんです。
その
中国の通貨人民元は、
日本円と異なって自由取引通貨ではなく、
日米欧からの再三の要請にもかかわらず大幅に過小評価されたままです。また、今回のレアアースの対日輸出の一方的制限に見られるように、WTOルールにも、しばしば勝手に破るなど、先進国としての
責任を自覚せず、振る舞いができない国であります。
そんな国に対して、我が
日本がプラザ合意、構造
協議、繊維、自動車、半導体、金融など累次の通商摩擦を乗り越え、
国際社会に払ってきたような痛みを何一つ経ることなく
世界第二位の
発言権を明け渡すという
判断を仮にするならば、一体それはどういう
国益によって正当化できるというのでしょうか。この話は
政権交代後、この一年に進んだんですよ。
これからG7に行かれる財務大臣及び財務大臣時代の
菅総理は今までどういう交渉をしていらしたのか、また
外交は一元化というんですから、前原外務大臣、知らないでは済みません、どのように
対応されるのか、お答えください。
ガス田問題についてお伺いします。
九月十七日、海上自衛隊P3Cが撮影した写真によって白樺ガス田の海面が濁っていることが確認されました。自民党の部会で経産省の担当者が、掘削が行われた可能性が高いと
発言し、報道もされていますが、撮影された写真の公表、
国会提出を何度かお願いしても断られておりますが、拒否される場合、どなたのどのような
判断なのか、
経済産業大臣、
官房長官に伺います。
ガス田交渉に当たって、仮に約束に違反して
中国が掘削を始めたとしても、
経済産業省保有の探査船などを使用し、
日本もこちら側の鉱区で試掘調査を始めればいいわけですよ。
この対抗
措置のマニュアルのあるなし、そしてその内容の事実
関係について
経済産業大臣に御確認します。そして、仮に掘削が行われてもこの対抗
措置を発動しないという
判断があり得るのか、だったら、だれがそれを
判断するのか、
経済産業大臣、外務大臣、
官房長官に伺います。
尖閣、魚釣島は、埼玉の民間の方の所有地を国が借り受けているとの説明を
内閣官房から受けています。仮に、
日本国籍の民間人が居住を希望し、持ち主も許可する場合、受け入れていただけるのでしょうか。
尖閣問題での国の煮え切らない
態度で
日本中がいらいらしております。そこで、愛国心にあふれた方が、多少の不便はあっても自分が国境の防人になると実は既に私に言ってきておられる方がいらっしゃいます。この愛国心をまるで押し殺すかのように居住が駄目だというのであれば、どなたのどういう理由による
判断なのでしょうか。
また、民間人の居住を断り続けて、
日本による実効支配を進めるのだというのであれば、当然国の機関による利用、例えば自衛隊の演習、海上保安庁の灯台以外での施設での駐在、そういったことを進めていただけるのでしょうか。
官房長官、尖閣はしっかり守っているから大丈夫だと講演等でおっしゃっている外務大臣、さらに、最終
責任者として
総理にもお伺いします。
次に、特別要望枠を
政策コンテストにかけることの危険性、
内閣としての
政治責任の放棄及び
国会における予算審議の形骸化について伺います。
新
成長戦略を
実現する財源であるはずの元気な
日本復活特別枠には、
我が国を取り巻く
最大の脅威である
中国や
北朝鮮のミサイルに対抗し得る唯一の手段であるミサイル防衛の整備経費、尖閣で重要性が浮き彫りになった在
日米軍の思いやり予算、海上保安庁の体制整備などが含まれていますが、財務大臣は、この二・九兆円の要望を何と半分以下に削り込む意向を委員会で私に
答弁されています。つまり、
国民の安全を守るという
主権国家の基本的な責務をこの
内閣は投げ出しているのであります。
こうなってしまった
最大の原因は、
社会保障や地方交付税以外の経費を、防衛費であろうが、海の警察であろうが、法律上使途が特定されているエネルギー財源であろうが、すべて一律一割カットという理念のない要求基準を作ってしまったからであります。
パブリックコメントは、
日本国民が一人一コメント出しているのか、外国人やその影響下にある勢力が成り済ましているのか、あるいは買収された意見なのか、確認するすべがありません。なのに、それを参考に評価
会議で優先順位を付けるというのは余りに無防備で危険です。そもそも
政治とは、
政策の優先順位を決めるということではないですか。せめて今からでも、パブリックコメントの対象から除いて、二度とこのような亡国的予算要求基準を作らないようにしていただきたい。外務大臣、財務大臣、そして
総理の御説明を求めます。
ここまでの重要事項を正しく民意が反映され得ないと
民主党の閣僚も認めているパブリックコメントにかけるほど理念に自信がないなら、衆議院を解散して
国民の皆さんに聞いてみてはいかがでしょうか。
最後に、
総理の
国民の命を守る決意、
覚悟の欠如を指摘しておきます。
先ほどの
答弁でも、ASEMでの日中首相会談でフジタの残ったたったお一人の身柄の釈放について話し合ったのかについて、確たる答えがございません。
日本中の四千万人のお勤め人、サラリーマン家庭にとって、これは他人事ではありません。
中国に出張、滞在することは、今やどこの御家庭にも起き得ることです。外国で拘束されても助けてくれないような
政府では、
企業も
国民も国を捨てるでしょう。
菅総理の
政治姿勢こそが
国民に、
日本の空洞化の
最大の元凶となっていることを
最後に申し上げて、私の
質問を終わります。
御清聴ありがとうございます。(拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕