○山本公一君
自由民主党の山本公一です。
私は、
自由民主党・
無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました
国土交通大臣馬淵澄夫君
不信任決議案につき、提案の
趣旨を御
説明申し上げます。(
拍手)
まず、
決議案文を朗読いたします。
本院は、
国土交通大臣馬淵澄夫君を信任せず。
右決議する。
以上であります。
十一月四日の夜、
尖閣諸島沖で
中国漁船が
我が国海上保安庁の
巡視船に
衝突した際の
映像が
インターネット上に流出しました。この
衝突事件に関する
映像は、
海上保安庁が故意に
衝突をしてきた
中国漁船の
船長を
公務執行妨害容疑で逮捕、送検しながら
沖縄地方検察庁が
処分保留のまま釈放したことの真相とその是非を知る上で極めて重要な資料であります。
衆議院において、去る十月十三日、
予算委員会で、
国会法第百四条で記録
提出要求を決議し、同月二十七日に
那覇地検から
提出を受け、十一月一日に衆参の
予算委員会の理事等に対象を限定して、約七分間に編集された
映像が放映されました。
衝突事件発生以来二カ月近くの時間を経て、
ようやく実現したものであります。
しかし、今回流出した
映像は、四十四分間にもわたる
映像であることもさることながら、一
海上保安官によって、いとも簡単に
インターネットで流され、世界じゅうの人が見ることのできる状態にされたことは、
政府の
情報管理能力、
危機管理能力の欠如を示す大失態であります。そして、この
映像は、一時期、
海上保安庁の職員であれば、
映像を保管する第十一
管区海上保安本部以外の、どこでも視聴できたことが明らかになりつつあり、その管理体制の不備は
隠しようがありません。
海上保安庁を所管し、監督
責任を有する
馬淵国土交通大臣の
責任は極めて重いものであると思います。
しかるに、馬淵大臣の自覚と認識のほどはいかがでしょうか。
十一月五日の国土交通
委員会では、事実
関係を把握する上で必要な、
海上保安庁が保有する
映像コピーの本数すら答えることをせず、また、大臣の
責任を問う質問者に対し、調査の段階であり、現時点では申し述べられないと答え、また、十一月九日の大臣会見では、本件に関し、昨日八日
海上保安庁長官名で警視庁及び東京地検に被疑者不詳のまま刑事告発したと聞いていると他人事の
ように
発言し、
海上保安官が名乗り出た当日の
予算委員会では、大臣の
責任について、
捜査中であり、これに協力すること、原因の徹底究明、それが私どもの責務であると繰り返し、当事者であるみずからの
責任を明確にすることはありませんでした。また、流出させたのがだれなのか重大な関心が持たれている中、
海上保安官が名乗り出たという事実を知ってから約三時間も首相官邸に報告しなかったことも明らかになっています。
この
ように、馬淵大臣が、極めて無
責任で反省のない、誠意のない態度に終始していることは、驚くべきことであります。本来なら、
海上保安官が告白したことを知った時点でみずから職を辞し、後任の大臣のもとで原因究明、再発防止、
海上保安庁の体制立て直しなどに取り組むべきであるにもかかわらず、大臣の職にいまだにとどまり続けていることは、信じがたいことであり、決して許すことはできません。
最前線で体を張って職務を執行している者にとって、あずかり知らぬという最高指揮官を持つことは不幸であります。
海上保安官の士気、使命感がこのことによって失われないことを祈るばかりであります。
馬淵大臣を
不信任とする
理由は、これだけではありません。八ツ場ダム建設事業についての
発言です。
前原前国土交通大臣は、できるだけダムに頼らない治水の考え方に基づき八ツ場ダムを含め検証すると言いながら、具体的な根拠も示さないままに中止という考え方を貫きました。この矛盾した考え方により、本体工事を目前にし、それを地域活性化の起爆剤にし
ようとしていた地元住民を、深く失望させ、混乱させました。このことだけで
政府・
民主党の
責任は重大と言わざるを得ません。
ところが、
馬淵国土交通大臣は、十一月六日、建設中の八ツ場ダムを視察し、今後一切、中止の
方向性という言葉には言及せず、予断を持たずに検証すると
発言しました。ダム建設を待ち望む地元住民にとっては、これが建設に向けての
方針転換ということであればよいのですが、建設か中止かは検証結果いかんであることに変わりありません。
問題は、新旧大臣の間で異なる考えが示されたということであります。この馬淵大臣の
発言は、再び地元住民の気持ちを攪乱し、今後の生活をますます不透明なものにするもので、まさに
民主党政権が地元住民を振り回していることをはっきりと自覚すべきなのです。
検証の手順が示されるまでに既に一年が経過しました。これから、さらに時間をかけて本格的な検証を進めていくことになります。これで、ダムに翻弄され続けた地元住民の生活は安定するのでしょうか。安全で安心な
社会づくりを行うべき
立場の国土交通大臣としての
責任は極めて重大であります。
さらに、
民主党の目玉政策である高速道路の
原則無料化施策については、これまでの
報道機関による世論調査でも大半の
国民が評価しないと回答していましたが、十一月四日に
発表された、政策コンテストに向けたパブリックコメントにおいては、八二%もの
国民が
原則無料化の
社会実験に対し必要なしと答えていることが
発表されました。公共交通が衰退している現状を背景に、
政府は、来年には交通基本法案を
提出するという
方針を打ち出しているにもかかわらず、公共交通に打撃となる高速道路無料化
社会実験を進めていくことは、矛盾以外の何物でもありません。
この
社会実験費用に今年度で一千億円使われております。さらに、二十三年度予算では、その一・五倍の一千五百億円を要求しております。離島住民の足を守るための離島航路補助金は今年度わずか四十七億円、地域での通学や通院など生活の足を確保するための地方バス路線維持費補助金は六十八億円、地方鉄道その他の地域公共交通活性化・再生のための補助金は四十億円であります。これらの金額と比べたとき、高速道路無料化のための
社会実験費用がいかに大きいことか。
民主党は、本当に地域のことを考えていらっしゃるのでしょうか。
国民に支持をされないこの無料化施策こそ無駄な事業であり、馬淵大臣は即刻この施策を撤回すべきであります。マニフェストに固執し、これを推進している馬淵大臣は、国費を無駄遣いしている張本人であることを自覚し、潔くその
責任をとるべきなのです。しかるに、大臣の職に座り続け、無料化を実現し
ようとしていることは、言語道断であります。
よって、ここに、
馬淵国土交通大臣の罷免を強く求め、
不信任決議案を
提出した次第であります。本
決議案に多くの
議員が賛同され、速やかに可決されんことをお願いし、
趣旨の
説明といたします。(
拍手)
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