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池坊委員 公明党の
池坊保子でございます。
政府提出の
展覧会における
美術品損害の
補償に関する
法律案について、幾つか御
質問させていただきたいと思います。
二〇〇八年、私が副
大臣だったときに、前参議院議員の浮島とも子さんが、美術大国、文化芸術大国
日本と言うならば、せめて、外国から来る
美術品に対して
国家が
補償してほしい、この
補償制度がないのは
日本とロシアだけですからと
質問をなさいました。私はそのとき、もちろん、これは費用もかかることですから、財務省とよく検討しながら、やはり、一人でも多くの
国民に
美術品をあまねく見る機会ができるようにその促進を図りたいというふうに
お答えしたことを覚えております。
それから成立までに二年かかりましたけれども、二〇〇九年度予算で
文化庁が調査費を予算化しましたし、二〇〇九年三月には、
制度の導入を前提とした調査研究協力者
会議を発足させて、そういう
意味では、段階的にきょうの日を迎えるために準備はしてこられたと思います。
私たち公明党の中にあっても、昨年の春、
美術品等の
補償制度に関するプロジェクトチームを設置して、高い公益性を有し、文化芸術立国
日本、それをつくっていくためにはどうしたらいいか、その
一つの歯車の中に、私は、
展覧会の水準を維持し高めていくために真剣に取り組むべきであると考えてまいりました。
この
制度の有効性は、
主催者の
負担を
軽減して、より質の高い
展覧会の
開催を可能にするだけでなく、
日本の
美術館に対する国際信用を高め、
日本の絵や彫刻などを
海外に紹介する機会もふえるなど、国際文化交流を進める上でも極めて重要な基盤になっていくと思っております。
また、国が関与するということで、
美術館の安全管理体制を向上させ、結果的に事故を減らすという効果も期待できるのではないかと思います。事実、一九七五年に導入したアメリカでは、これまでに九百件を超える
展覧会を開きながら、
補償事例は二度しかなかったというふうに聞いております。
私は、多くの
国民が
展覧会に行く機会がふえたらいいな、そのように思っております。それは、もちろん、
国立の
美術館、博物館で、長い行列をつくって見る。例えば、長谷川等伯を娘と見に行きましたが、並ぶのに大変なんです。それから、お寺で見られるような仏像も、上野の
美術館、あれももうぎゅうぎゅうの人でした。
国立美術館、博物館が果たす役割は大であると私は思っておりますが、それだけじゃなくて、近くに
美術館がある、
民間の人が、自分の家屋敷を売って、現代美術のアート展をしたい、それを守っていきたい、あるいは、ふだん行けないような人たちも、近所にあったら行ける。先ほど林
政務官はアクセスとおっしゃいましたが、私はアクセスが悪いところにでもやるべきというふうに考えております。
松濤
美術館の近くに住んでおりました私の母は、九十歳でしたが、散歩の帰りにこうやって
展覧会を見ることができる、この年まで生きていて本当によかったわ、そういう
日本をやはりすばらしいわねと言っておりました。私は、そういう
民間の小さな
美術館の展覧をも大切にするような、そういう法律であってほしい、私たち公明党が目指している法律はそういうものでした。
ところが、あけてみましたら、とんでもなく、そうじゃないんです。法律をつくるということは、民主党の議員の方には若い議員の方がいらっしゃいますので、ぜひ聞いていただきたいと思います。
議員立法は私たちがつくりますから私たちの主張が全部盛り込まれます。でも、閣法というのは大概役所がつくるんです。私は、
文部科学の役人は、誠実で、まじめで、才能豊かな人だと思っていますが、総合的にいろいろなことが見られない、
一つのことだけ取り出して、いいか悪いかといったら、それはいいんですよ、だけれども、総合的に見て、
国民がそれを喜ぶかとか、現場ではどうなっていくのか、そういうことを考える力がちょっと法律をつくるときに欠けてしまうのではないかと私は思うんです。閣法は、特に、私たち国
会議員の責任で細かくチェックする必要があるというふうに私は思っております。
これは私が
政務官のときですけれども、法科大学院ができました。大丈夫なの、いろいろな問題があるわよと
問題提起いたしました。大丈夫ですということをすごく言われました。だけれども、私が
問題提起して、もちろんその
政府の中にいて、それを阻止できなかった私の責任でもありますけれども、今表面化しているたくさんの問題があります。先ほども馳さんから
お話が出たような免許更新制、それも私は
政府の中におりましたけれども、これを本当につくっていいの、拙速じゃないの、十年研修はどうなの、それとの整合性は、そのときもばっと論理的に大丈夫だという
説明を受けながら、現実には、そうではない問題がたくさん起きております。
ある著名な評論家は、役人は相手のプライドを傷つけずに自分の意見を主張し、それに誘導するのにすぐれた能力を持っていると言っておりましたが、私も全くそうだと思うんです。ですから、私たちは、法律が出されたときに、例えば、
文部科学だったら、
文部科学の範疇の法律に関しては、特に
与党の方は、これでいいのか、役人が、いいんです、大丈夫ですといろいろ
説明しても、問題意識を持っていただきたいと私は思うんです。だって、
国民生活に多大な影響を与えるんですから。
例えば、
皆さん御存じですか、これはちょっと
文部科学とは違うんですけれども、例を引いて私は申し上げたいんですけれども、
平成十六年に検察
審査会法が改正されました。そのときに裁判員
制度が問題になっていて、みんなそれに夢中になっていたんです。それに対しては、ここにいらっしゃる方は責任はないと思いますが、そのとき国
会議員でない方も多くいらしたと思います。ところが、そのすき間を縫うというか、起訴議決
制度というのが新たに導入されて、議決に強制力を持たせるようになったんです。これは普通の平凡に生きている人たちに本当に大きな影響を与えるんですよ。でも、あっという間にできちゃった。
私は、本
会議で賛成したと思うんです。でも、恥ずかしいけれども、それをしっかりと
認識して賛成したかというと、そんなこと、あっという間に賛成してしまったんじゃないか。つまり、法律というのはそれぐらい強いんだということを、私は皆様方とともに
認識をしていきたいというふうに思っているんです。
なぜかといいますと、この
美術品の
国家補償、すごくいい法律だと思いました。ところが、あけてみたら、
文化庁が、では、どういう
展覧会でこれを
補償するのか、はい、百億です。百億って、とんでもない。
大臣も御存じでいらっしゃいますよね。百億とは一
年間に何件でしょうか。
笹木副
大臣。