○佐々木(憲)
委員 競争力の角度から、
日本の税金を下げないと海外に出ていく、そういう
議論が行われていますが、私はそれは違うと思っております。
といいますのは、海外に
企業が出ていく
理由は、税金が高いからという
理由はほとんどないんです。一番大きな
理由は、海外の市場の中に設備をつくりたい、それから、その進出先の低賃金の労働力を利用して低コストで製品をつくりたい、これが最大の
理由なんですね。税金の問題はずっとずっと下の方にあるわけです。
したがって、幾ら法人税
減税をやっても、海外進出はとまりません。ですから、私は、別な角度からその問題は
考えないと、税金だけで
議論をしていくと、違う
方向に行ってしまうような気がするわけです。
日本経団連は盛んにそれを下げろ下げろと、ずっと一貫して言っていますけれども、肝心の担当者の話を聞いてみると、いやいや、
日本の税金は決して高くはないんだよと。いろいろな負担も含めて、実際にはそんなに高いわけではないんだと自覚していながら、どんどんどんどん同じことを言っているわけです。そういうことを真に受けないで、客観的な
状況をよく
考える必要があると私は思います。
そこで、民主党の税制改正プロジェクトチームというのが開かれているようで、この
出席者から、税率を下げても
企業の内部留保がふえるだけで
意味がないとか、いろいろな御
意見があったようでございますが、問題は、この内部留保というものをどう
国民の側に還流させるか。つまり、内需の側に還流させて最終需要をふやしていく、その
方向で根本的にかじを切りかえる、これが必要だと私は思うんです。
そのためには、
幾つかの手法が私は必要だと思う。
一つは、たまりにたまったこの内部留保を公的な部門、つまり、まず
財政の方に吸い上げてくる。つまり、法人税
減税ではなく、応分の負担を大
企業に求める。
その際には、累進課税が私は必要だと思います。
中小企業に迷惑はかけず、たまっている部分について
一定の負担を求めていくことによって国の
財政を確保し、それを原資として、今度は、社会保障、医療、こういう分野に回していく。つまり、大きく言いますと、所得の再分配
機能をしっかりと再構築するというのが
一つです。
それから二つ目は、賃金を引き上げるということ。
その場合、最低賃金の引き上げはもちろんですけれども、大
企業に対して求めなきゃならぬのは、非正規雇用をばんばん雇用してどんどん切っていくような、これが一番激しいんですよ、大
企業の場合は。
中小企業の方は割合安定しているんですけれども。こういう、安全弁として大量の首切りをやるような、そういうシステムに歯どめをかけて、安定した雇用に切りかえていく、そのためには法整備が必要なんです。
そのために、やはり規制緩和をやり過ぎていますから、労働法制の規制を再構築するということ、これが大事です。そうしないと、
企業は義務づけにならないので、やりたい放題、今はびこっていますから、その点を直していく、これが二点目です。
それから三点目は、例えば下請に対してもしっかりとした単価の引き上げを求めていく。
これはいろいろな具体的な方策を我々は
考えていますけれども、そういうふうな
方向に、つまり、大
企業の内部留保をどのようにして社会に還元して
国民に還元するか、そのことによって最終需要をどうふやすか、ここに
政策の基本を切りかえないと、幾ら雇用雇用と叫んでも、現実にはなかなかそういうふうにならない。そこの根本切りかえが十分じゃない、あるいはそうはなっていないというふうに私は思うわけです。
この点について、
最後に
野田大臣に御
意見をお伺いしたいと思います。